2014年8月21日 日本共産党北海道委員会
同 札幌市議会議員団

 札幌市議会議員の金子快之氏(東区)がツイッターで「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところです」と書き込んだことに、多くの批判が寄せられています。しかし、金子議員が所属する自民党・市民会議は、「個人的な見解で問題ない」と容認し、本人も撤回の意思を示していません。

 「アイヌ民族はいない」という金子発言は、北海道の調査(昨年10月)によっても1万6786人が判明しており全くの誤りです。アイヌ民族の存在を否定し、その尊厳を傷つける発言は撤回すべきです。
 見過ごせないのは、過去に自民党内から繰り返されてきた「単一民族」発言に通じるものであることです。かつて、中曽根康弘首相、伊吹文明文部科学大臣、中山成彬国土交通大臣(いずれも当時)が、アイヌ民族や在日韓国人、在日朝鮮人、ウィルタなど国内少数民族の存在を否定する発言を行い、国内外から厳しく批判されました。

 同時に、2007年9月に国連総会で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択され、08年6月の自民党政府のもとで衆参両院が行った、アイヌ民族を日本の「先住民族」と認めた「国会決議」をないがしろにする発言として重大です。
 「国会決議」は、「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながら差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない。すべての先住民族が、名誉と尊厳を保持し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは、国際社会の潮流であり、また、こうした国際的な価値観を共有することは、我が国が21世紀の国際社会をリードしていくためにも不可欠である」と、先住民族としての諸権利を認めてこなかったことがアイヌ民族の名誉と尊厳を傷つけ、差別と貧窮の根源となっていると明確に述べています。
 札幌市が、アイヌ民族に関わる施策を総合的に推進する計画としている「札幌市アイヌ施策推進計画」も、この全会一致の「国会決議」に基づいたものであり、金子議員の発言は施策の否定に他なりません。政府与党も一致して進める施策をも、必要ないとする金子発言について、所属会派としての厳正な対応こそ求められています。

 日本共産党は、金子議員が発言の誤りを認め謝罪するとともに、所属会派の自民党・市民会議が金子議員に発言の撤回と、厳正な処分を検討するよう求めます。「国連宣言」と「国会決議」に基づきアイヌ民族の生活と権利を擁護するために引き続きわが党は努力をつくすことを表明します。