20120224ito 私は、日本共産党を代表して、予算、諸議案ならびに市政の重要問題について、質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、消費税増税についてです。
 政府が、「社会保障と税の一体改革」の名で、2015年までに消費税を10%に増税すると決めたことにたいして、全国で怒りが広がっています。
 今回の消費税10%への引き上げで13兆円の大増税ですが、年金の支給額削減、さらに年金、医療などの保険料値上げによる負担増をあわせると年間20兆円にもなります。
 大増税は、国民の暮らしと日本経済にはかり知れない打撃を与え、財政破綻をいっそうひどくするだけです。
 大和総研の試算によると、「税と社会保障の一体改革」が行われれば、子ども2人の標準世帯では、300万円の年収で消費税負担増11万円を含めて、可処分所得が24万円減少。年収240万円の75歳以上の夫婦では、消費税負担増10万円を含めて、可処分所得が16万円減少します。最近の世論調査すべてで消費税導入反対が賛成を上回り、大半の調査で5割の国民が反対の声をあげています。全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会なども増税反対の声をあげています。
 アメリカ、ドイツ、イタリアなどでは、富裕層への増税が検討・具体化されるなど、富裕 者増税が世界の流れとなっています。
 日本共産党は、消費税に頼ることなく、持続可能な社会保障の充実と同時に、財政危機打開の展望を開くための「提言」を発表しました。
 その財源として、米軍への「思いやり予算」など軍事費、政党助成金など、ムダ遣いを一掃するとともに、富裕層・大企業に応分の負担を求めます。
 次の段階で、累進課税を強化する所得税の税制改革を行います。それによって、18兆円から21兆円の財源をつくることができ、社会保障の充実と財政危機打開の道を開くという内容です。
 市長は、1月4日の記者会見において、負担減を求めるポピュリズムから決別しなければならないという新聞社説へ共感を示しましたが、ポピュリズムとの決別と、「市民と共に悩み、共に考え、共に行動する」ことに、大きな隔たりがあると思います。ブレずに、市民の立場に立ちきることを期待するものですが、世論調査でも、多くが消費税増税に反対していることについて「ポピュリズム」の反映とお考えですか、それとも、消費税増税は、市民生活を破壊する悪政だとお考えですか、伺います。また、所得が低い人ほど重くのしかかる消費税増税には明確に反対すべきと思いますが、見解を伺います。
 質問の第2は、TPP問題についてです。
 環太平洋連携協定交渉の日米政府間協議で、日本側は、「すべての品目を交渉対象とする」という基本方針を伝え、「例外なき関税撤廃の原則」に従う約束をしました。
 ニュージーランド政府の文書によると、「交渉内容などについて、秘密扱いにする」としています。
 交渉国の国民にも知らせないという秘密交渉に日本は断じて参加するべきではありません。
 市長は、こうした新たな事態に立って、交渉への参加をただちに中止することを、野田首相はじめ政府に求めるべきと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、衆議院定数削減についてです。
 民主党は、衆議院比例定数を80削減する法案を、この国会に提出するとしています。小選挙区制は、大政党有利に民意をゆがめ、民主党は4割の得票で7割の議席を占めることになります。市長は、比例定数削減は民意をゆがめるものとお考えですか、見解をお聞かせください。

 次に1月20日、白石区の姉妹孤立死事件についてです。
 1月20日、マンション管理会社から「昨年12月から連絡がつかない入居者がいる」と警察に通報があり、マンションの部屋で姉妹の遺体が発見されました。
 42歳の姉は、昨年の12月末ごろ脳内血腫による病死、その後、1月上旬ごろ知的障がいがあった40歳の妹は飢えと寒さで死亡していました。
 心からおくやみを申し上げるとともに事件の問題点を指摘し、再発防止を求めて質問を行います。
 姉は、2010年6月1日、2011年4月1日と6月30日の計3回、白石区の生活保護の窓口に行っていましたが保護は受けられませんでした。
 1回目の2010年6月1日の白石区保護課の面接受付票によると、姉が解雇されて、求職活動をしているが、「今後の生活が不安として相談にきた」、区役所は「能力、資産の活用等生活保護制度全般について説明した。高額家賃について教示。保護の用件である懸命なる求職活動を伝えた。仕事も決まっておらず、手持ち金もわずかとのことで、後日関係書類を持って再度相談したいとして、本日の申請意思は示さず退室となった」としています。
 この時点で、生活の見通しがたっていないのは明らかです。求職中の人に対して、「懸命なる求職活動を伝えた」というのは、「もっと必死になって仕事をみつけなければならない」ということなのでしょうか。「高額家賃について教示」とありますが、生活保護基準の二人暮らしの家賃は4万6千円で、この姉妹が住んでいたところは5万円でした。生活保護を受けていないのですから、基準がいくらなのか知らないのは当然ですし、2人で5万円のところに住むことが「高額家賃」ということになるのでしょうか。「生活保護を受けるには、家賃が高すぎる」と言われて、生活保護を受けることをあきらめたのではないかと、心配になります。
 2回目は、2011年4月1日です。4月8日にハローワークの教育訓練給付が支給されることになっているものの、それまでの7日間、現金は千円しかなく、食料も少なく食べていけないので、相談に行っています。このとき、すでに、家賃は2ヶ月滞納し、公共料金の滞納があること、国民健康保険には未加入であることを白石区保護課は掌握しています。
 そして、給付金が出るまでの7日間分として、非常食用の缶入りパンを支給しましたが、1人1日あたり1缶すなわち1食分だけでした。
 7日後にハローワークの給付金を受け取ったとしても、妹の障がい年金は、1月あたり6万6千円であり、5万円の家賃を払うと、たちまち生活は行き詰まってしまうことは、誰の目にも明らかだったはずです。しかし、生活保護の申請はなされませんでした。
 そして、3ヵ月後の6月30日に、3回目の保護課行きとなります。
 面接受付票には、「求職活動をしているが決まらず、手持ち金も少なくなり、生活していけないと相談に来たものである」とし、さらに「預貯金・現金」は「残り少ない」、「ライフラインの停止・滞納状況」については「聴取にいたらず」と状況を把握せず、国保には「未加入」としています。しかし「申請意思」の欄には「無し」に丸がつけられているのです。
 また、「以前は社会保険の任意継続に加入していたが、保険料を払えず喪失した。生命保険に加入していたが、保険料を払えず解約したとのこと。活用可能な資産は無しと申し立て。負債は家賃・公共料金の滞納分」と書かれています。
 2010年6月の1回目の相談の時と比べても、生活が追い詰められていく様子が明らかです。
 しかし、白石区保護課の対応は、「能力・資産の活用等、生活保護制度全般について説明。高額家賃について教示。保護の要件である、懸命なる求職活動を伝えた」と、保護を受けさせませんでした。市民の最低限度の生活を営む権利を守っているとは思えません。
 かつて、同じ白石区で母親餓死事件がありました。今度は姉妹が孤立死、しかも妹さんは凍死です。知的障がいのあった妹さんは、生活すべての支えとなっていたお姉さんが亡くなって、どんな思いでいたでしょうか。ガス暖房が止められて、どれほど寒い思いをしたでしょうか。亡くなる前に、「111」番に電話した履歴が残っているそうです。119番か110番に助けを求めようとしたのではないでしょうか。しかし、誰も助けられずに、妹さんは死んだのです。
 生活保護を受けさせない福祉ではなく、命と人権を守る福祉にしなくてはなりません。
 二度と同じような痛ましい事件を起こさないために以下7点質問します。
 質問の第1は、生活保護の申請手続きについてです。
 1点目は生活保護制度全般の説明についてです。姉が生活保護の窓口へ行った1回目の2010年6月1日と3回目の2011年6月30日、家賃の滞納や公共料金の滞納の上に、仕事がなかなか決まらないという状況の中で、「自分で何とかしたい」と頑張ってきた姉がどうしようもなくなって生活保護の申請のために白石区役所へ足を運んだのです。しかし、1回目と3回目の面談では、「生活保護制度全般について説明」したことが記録されています。
 姉は生活保護を申請するために区役所へ行ったのであって何度も生活保護制度全般の説明を聞くために区役所へ行ったわけではありません。申請したくて区役所に来ている人に何度も生活保護制度全般の説明を行うこと自体、保護申請をさせないための追い返しではないか、姉は2回も生活保護制度全般の説明を聞くために区役所へ行ったと考えているのか市長の認識を伺います。
 2点目は申請の意思確認についてです。2008年の予算委員会でわが党の議員が「生活保護の窓口へ来た方に申請したいのかどうか保護課の職員の方から確認すべき」と質しました。当時の保健福祉局総務部長は、「まず窓口に来た要保護者への申請の意思を確認すること、また、保護の意思が確認された者についてはすみやかに申請書を交付する手続きを行う。」と答弁しています。現在、窓口ではこの答弁が徹底されていません。生活保護の窓口で対応した職員が要保護者に対して申請する意思を確認した上で申請書を速やかに交付する手続を行うことを徹底するべきと考えますがいかがか伺います。
 保護課の窓口は「相談窓口」ではなく「申請窓口」と申請することを徹底して位置づけるべきと考えますがいかがか伺います。
 3点目は申請までの支援についてです。窓口に来た要保護者には申請のために必要な書類を説明しますが、種類が多く、解りづらいことからきめ細かい丁寧な支援が必要な方には体制を整えて対応すべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第2は、本市の責任についてです。
 生活保護法第19条では、「市長は、保護を決定し、かつ、実施しなげればならない」と定められています。生活に困窮していた姉が保護課へ3回も足を運んでいたにもかかわらず、生活保護を受けることができませんでした。特に3回目には出たばかりの妹の障害年金約13万円は家賃や公共料金の滞納分を支払い消費済みであり手持ち金はわずかであったこと、仕事も決まっていなかったことなどから生活保護を開始すべき事例だと考えますが、いかがかはっきりとお答え下さい。また、生活保護の決定・開始をしなかった責任について市民の前に明らかにしてください。
 保護受給者を増やさないという国の政策と本市の意向がはたらいていた事が根本問題だと考えますが、いかがか、ご見解をうかがいます。
 質問の第3は、緊急時の食料の現物支給についてです。2回目に姉が保護課に行った時、臨時対応として、災害用のパンを渡していますが1缶約350キロカロリーしかありませんでした。成人が1日に必要なエネルギーを確保できるよう、現物支給のマニュアル化を行うべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第4は、生活保護を受けられなかった方々への生活実態調査についてです。 生活保護の窓口に来た方は本市全体で2010年度に1万7332人で、そのうち生活保護を申請できた方が7932人と9400人が生活保護を受けられませんでした。市長は今回の孤立死をもたらした自らの責任を明確にして、その方々の今を知るために直ちに生活実態調査を行うべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第5は、ライフラインについてです。姉妹の孤立死事件を受けてガスや電気などライフラインを停止させない対応が求められています。民間企業と行政の連携は勿論のことですが生活に困窮している人のライフラインは絶対に停止しないという協定を民間会社と結ぶべきと考えますがいかがか伺います。
 また、国保、市税、水道料金などについても「他にも滞納などで困っていたら相談窓口がありますから何でも相談してください」という働きかけをいままで以上に徹底させるべきですがいかがか伺います。
 質問の第6は、生活保護課と保健福祉課との連携についてです。
 知的障がいのある方やその家族が保護課の窓口に来たときに申請時に必要な書類の説明とともに「障がい者相談支援事業」で援助していることを必ず伝えることを位置づけるよう徹底するべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第7は、知的障がいのある方への生活実態などを把握する現況調査についてです。障がいが軽度の方と家族が介護しているなど福祉サービスや福祉施設を利用していない知的障がいのある方は約1400人います。その市民に現況調査が行われることになりましたが、調査書の内容はわかりやすい内容にして、その後もわからない所があったら、丁寧に対応し、生活実態が把握できないという方がないようにするべきと考えますがいかがか伺います。
 また、調査の中で地域の民生委員に住所を知らせてもいいという方については見守りをしてもらうとのことですが、住所を知らせたくないという方の対応については今後どうして行くつもりなのか、今回の姉妹孤立死を受けて現在ある「障がい者相談支援事業」の職員体制を強化して障がい者の見守りも含めた支援の対応にあたるべきと考えますがいかがか伺います。

 次に、新年度予算と行財政改革推進プランおよび第3次札幌新まちづくり計画について質問します。
 1月31日、記者会見で新年度予算案が発表されました。質問の第1は、市長の予算編成の考え方についてです。
 本市の予算は、市民の命と健康を守る、貧困と孤立から市民を救う、大地震などの災害対策を進める、厳しい不況の中で若者の正規雇用を拡大し、地域循環型経済に進んで行くことを、特に強化すべきと考えますが、市長は、予算編成に当たって、これらの点について、どうお考えになったのか、重点にすべきだとお考えになったのか、伺います。
 質問の第2は、貧困対策についてです。2011年度予算と比較して新年度予算では、法人市民税が7.8ポイント減少しています。道内経済のいっそうの冷え込みを反映しているものと思いますが、個人市民税は、3.1ポイント上昇しています。しかし、これは、年少扶養控除の廃止などの増税によるものであり、市民所得が増えるどころか、増税によって一層厳しくなっている状態です。
 市長は、市民の中に貧困が広り、深刻化しているという認識をお持ちなのか伺います。貧困対策の抜本的強化が求められていると思いますが、いかがか、伺います。
 質問の第3は、延長保育についてです。
 貧困から市民を救い出すことが求められているなかで、行財政改革推進プランで、低所得者への減免措置が相次いで縮小されようとしていることは問題です。
 新年度予算案にも盛り込まれている「延長保育の減免見直し」は、保育料も免除されている特に所得の低い階層からも料金を徴収しようとするものです。1時間当たり100円、2時間で150円とされていますが、1日2時間ずつで、25日間だと、1か月3750円の負担になります。児童クラブの有料化で1か月3千円と提案したことに対して、保護者や関係者、議会でも猛反対の声が上がったことを市長はご存知だと思います。有料化の対象とされているのが、低所得者です。市長は、この「延長保育の減免見直し」は、児童クラブ有料化の当初案の3千円よりも重い負担だとお考えにはならないのですか、見解をお示しください。
 質問の第4は、2013年度から実施しようとしている市営住宅の減免の縮小についてです。
 減免されているのは、「病気、その他特別の事情がある場合において必要があると認められる」という世帯であり、低所得者であります。減免家賃は、平均6450円ですが、これを10690円へと引き上げるものです。延長保育の有料化と同様、低所得者を狙い撃ちにした負担増です。児童クラブの有料化に反対の声が上がって、見直したということでありますから、この家賃減免の縮小についても、市民や入居者から反対の声が上がれば、考え直すおつもりはあるのか、伺います。
 このような、低所得者を狙い撃ちする負担増は、貧困に拍車をかけるものと思いますが、市長はどのようなお考えで低所得者への負担増をしようとしているのか、伺います。
 質問の第5は、保育料の10%値上げについてです。
 保育所入所世帯の平均所得税額は、指定都市で、システムデータ上の問題などで把握が困難としている8市を除いて、本市は、一番少ないのです。一番所得が少ないのに、保育料は平均並みにするということは、負担は非常に重くなると思うのですが、いかがか、市長の見解を伺います。
 また、若年世帯では、不安定非正規雇用が増え続けて、経済的に厳しい状況が続いていますが、保護者の経済的状況を考えた上での値上げなのか、もっぱら本市の都合による値上げなのか伺います。
 1月31日の記者会見で市長は、「児童クラブの有料化につきましては、市民の皆様方からの様々な声をお聞きした上で、議会各会派からの申し入れもございましたが、そのことを考慮して」考え直し、安くしたと述べています。
 児童クラブの有料化に反対するパブリックコメントは57件ありましたが、保育料値上げに反対するパブリックコメントは214件です。保育料についても「市民の皆様方からの様々な声をお聞きし」てやめるべきだと思いますが、いかがか、伺います。それとも、議会各会派からの申し入れがあればやめるということなのですか、伺います。
 札幌の保育料は、他都市と比べて安いだの平均だのと言うのではなく、市民と保護者の暮らしから、判断すべきです。値上げは撤回すべきですが、再考するおつもりはないのか、伺います。
 質問の第6は、住宅エコリフォーム事業についてです。
 住宅エコリフォーム事業の予算枠は1億円に増額されました。市民にも業者にも歓迎されると思いますし、地元経済の活性化にも貢献するものと考えられます。
 1億円の助成の経済波及効果についてですが、本市産業連関表34部門別の建設分野を用いた場合、第2次波及までで、どれほどの効果が期待できるのか、伺います。
 また、申請が殺到した場合には、さらに補正を組むべきですがいかがか、さらには、工事内容と業者の条件の緩和も行うべきですが、いかがお考えか伺います。
 質問の第7は、第3次札幌新まちづくり計画についてです。
 子どもの笑顔があふれる街、安心して暮らせるぬくもりの街、活力みなぎる元気な街などの5つの政策目標は、その具体的内容が重要です。市民の暮らしは、年をおって厳しくなる一方です。働いている人の賃金は減少の一途ですし、新たに学校を卒業する人はなかなか就職が決まらない、決まっても不安定な非正規雇用が増えています。高齢者は、医療や介護の負担に悩まされていますから、安心して老後を迎えられません。若者からお年寄りまで、不安と貧困で苦しめられているなかで、本市が市民を守る役割を本当に発揮できるまちづくり計画が求められています。
 これからの日本と本市の社会の流れを市民福祉の向上を目指す立場で大きく見通す観点が、計画に反映されることが重要です。
 その第1は、高齢者や障がい者が増加していくことです。施設の増設を含めて、福祉施策を思い切って強めていかなくてはなりません。
 第2は、国が、進めている病院や施設から、在宅への流れを踏まえたまちづくりです。在宅介護の強化と介護サービスと一体となった優良な住宅の提供です。
 第3は、孤立防止です。地域コミュニティの活性化をはかり、高齢者・障がい者・低所得者が外出できるための支援、いきがいづくりなど、市が積極的に役割を果たすべきです。
 第4は、国が進めている庶民増税や、低賃金化、年金の引き下げなどによる貧困の広がりへの対策です。
 第5は、雇用対策です。派遣や非正規雇用の増加に歯止めがかからず雇用対策は今後ますます重要な課題になります。
 第6は、少子化対策です。子育てに対する経済的支援、「もう一人産みたい」の思いを実現できるための支援が必要です。
 これらを実現するためには、総花的な計画ではなく、医療と福祉を柱にしたまちづくりへと思い切って舵を切ることが必要です。
 医療と福祉は、それ自体が市民の切実な要望であると同時に、労働集約型産業であり雇用効果は非常に高いです。
 90人定員の保育所建設で約2億円の建設の仕事を発注し、あらたに約20人が保育士などで雇用されます。80人定員の特養ホームで約8億~10億円の建設工事、平均60人の雇用がうまれます。これらの建設は、地元中小の業者に直接発注できるもので、雇用も創出され、地域経済に与える効果は非常に大きなものです。
 第3次札幌新まちづくり計画は、医療や福祉分野に大胆に踏み込む修正をすべきと考えますが、いかがかですか。
 また、今後さらに予想される貧困への対策を補強すべきと考えますが、いかがか、見解をうかがいます。

 次に公契約条例について質問します。
 質問の第1は、公契約条例の制定についてです。
 川村雅則北海学園大学准教授は、本市の委託事業の労働者の実態を調査しました。
 ごみ収集の非正規労働者は時給制の不安定収入、毎月の手取り額が15万円未満、年収200万円未満です。「何年働いても昇給もなければ賞与も冬季手当てもない」「何年たっても正社員にはなれない」など厳しい生活実態が書かれています。
 2008年に本市が行った「委託業務従事労働者実態調査」でも、「月額支払い給与が13万円で生活ができない」「市民のために働いて1年間の手取りが230万円しかない。」「正社員として働きたい。給与も安く燃料手当てや家族手当等がついてなく生活がきびしい」という声が多くありました。
 せめて、本市の契約する事業においては、賃金の引き上げをして人間らしく生活できることが求められています。ワーキングプアから生活が成り立つように応援する。モノを買う力が生まれれば、消費購買力があがる。本市経済を循環させることにつながります。それは、経済界にも喜ばれることだと思います。
 公契約条例は、野田市・川崎市・相模原市・多摩市で制定されました。
 東京・多摩市議会では、公明党の三階みちお議員が、「公共事業のダンピングにより、しわ寄せが労働者の方々の賃金に影響し、官製ワーキングプア自体が問題視されてきました。その対応の条例」と述べ、条例案に賛成しました。川崎市議会では、自民党の吉沢章子議員は、「公契約条例の制定により、川崎市発注の仕事に労働者の最低賃金が設けられることは、歓迎すべき」と、述べています。公契約条例を制定し、国に対して「公契約法」の実現を迫っていこう、とする動きが広がっています。政令市の中でも所得水準が低く、経済の落ち込みが激しい本市が公契約条例を制定することは、低すぎる最低賃金の底上げなど、国政を動かす大きな力につながります。
 市長は、最低賃金では生活が厳しいという実態をどうお考えか、本条例が地域経済にどういう効果をもつのか、経済界にとって不都合なものとお考えか伺います。
 市内の業界からの条例制定に疑問の声もあると報道されていますが、市長自ら業界団体へ出向いて条例の意義を熱く語り、理解を得るべきと思いますがいかがか伺います。
 質問の第2は、条例の適用範囲についてです。
 私どもは、条例の適用範囲について、すべての公契約を対象にすべきと考えています。適用範囲を広げることで、賃金底上げの効果も大きくなります。適用範囲について今後必要な見直しをすべきと思いますがいかがか、伺います。
 質問の第3は、作業報酬の下限額についてです。
 工事については、「公共工事設計労務単価」を参考に考えられる予定とのことですが、国の基準である二省単価そのものが、前年度実績から算出されるもので、年々下がっています。二省単価の100%にすべきと考えますが、いかがか伺います。

 次に、雇用対策について質問します。
 今春卒業予定の高校生の就職内定率は、昨年12月末現在で55.6%と半分の生徒しか就職が決まっていません。大学生の就職内定率は昨年12月1日現在で69・5%と昨年より0.4%減となっています。昨年12月の札幌圏の有効求人倍率は0.42と就職を希望する人の半数以上は就職できない状況です。就職活動では、「150社、200社と面接したが採用されなかった」などの声もあり、異常な事態が長く続いています。
 質問の第1は、市長の公約、4年間で5万人の雇用を増やすことについてです。現段階の到達点を明らかにしてください。また、4月には、何人の雇用増となるのか見通しをお示しください。
 質問の第2は、高校生・大学生の新卒者の支援策についてです。高校生の就職内定率はわずかに増えているとはいえ、高校生・大学生でまだ就職が決まっていない新卒者が4月から職につけるように援助することが緊急に求められていると考えますがいかがか伺います。
 質問の第3は、指定管理者における雇用問題についてです。2010年度、正規職員1118名に対し、非正規職員2165人と約2倍です。しかも2009年度より非正規雇用が増えています。選定によっては4年ごとに指定管理者が変わることもあるという指定管理者制度そのものがもつ不安定雇用を生み出すしくみは、一刻も早く解決しなければなりません。
 本市職員でも、指定管理者でも、委託業務でも、非正規雇用が増え、官製ワーキングプアを生み出しています。市長は正規雇用を増やすべきだとお考えですか問題意識と今後の取組についてお示しください。

 次に、介護保険制度について伺います。
 質問の第1は、介護保険料についてです。
 新年度から65歳以上の介護保険料を第4段階、基準額で4万9560円から5万5873円に12.7%も値上げしょうとしています。後期高齢者医療制度の保険料も1600円値上げが予想され、年金支給額が、今年6月から0.3%引き下げられます。本市の要介護認定者意向調査では、「負担が苦しく、やり繰りが難しい」、「負担であるが何とかやり繰りしている」などの声が非常に多くなっています。こうした状況のなか保険料を12.7%値上げすることは過酷な負担だと考えますがいかがか。市民の負担感をどのようにとらえているのか、伺います。
 現行の介護保険制度では3年ごとの際限のない介護保険料の値上げが行われることになることから、国に抜本的改善を求めることと合わせて、一般会計からの繰り入れなどで値上げをストップすべきですがいかがか伺います。
 質問の第2は、利用料についてです。
 実態調査では、「負担が苦しく、やり繰りが難しい」という人がいます。使いたくても利用できないのが実態であり、本市独自の減免を行うべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第3は、特別養護老人ホームの整備についてです。
 特養ホームの新増設によって待機者を解消することが今、強く求められています。4年間で1018人増にする予定ですが、市内57施設、総定員数4356人に対し2011年12月末現在で6159人の待機者がいます。新年度分の特養ホーム設置者募集では、募集3カ所に対して、それを大きく上回る数の希望者が名乗りを上げたと聞いていますが、前倒ししてでも予定より整備規模を拡大すべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第4は、介護保険料滞納者に対する給付制限についてです。
 介護保険料を滞納することでペナルティを科せられ、介護サービスを受けられない人が出ています。2011年5月の調査では総計187件にもなっています。利用料は1割ですが滞納すると制裁として給付制限があります。1年以上ですと、いったん10割を負担し、申請すると9割が返還される償還払い、2年以上は利用料が3割負担になり高額介護サービス費も受けられなくなります。議会で繰り返しこの問題を取り上げていますが、「制度上、介護サービスを利用すること自体は制限されない」と答弁されています。そこで実態論での質問です。昨年の第2回定例会で、本市で要介護認定を受けている人のうち、実際に介護サービスを受けている人が77%であるのに対し、給付制限を受けている場合は、19%しか介護サービスを受けていないことを指摘しました。あらためて伺います。給付制限によって、介護サービスを受けることが困難になっている実態について、市長は、なんの問題もないとお考えなのですか伺います。また、必要な介護を受けることは、人権として保障されるべきだと思いますがいかがか。低所得者には配慮して給付制限はやめるべきですがいかがか伺います。

 次に札幌市障がい児・者医療福祉複合施設に関わる問題についてです。
 2014年4月を目処に、開設する複合施設は、障がい児・者に対する福祉・保健・医療の一元化、連携をより緊密にするとのことですが、それぞれの施設の機能をより高め、障がい児・者、その家族の要望に応えることが求められます。
 質問の第1は、発達医療センターの機能移転についてです。
 現在、発達医療センターに通っている子どもや保護者、職員からも不安の声が多数でています。
 中央区北7条西26丁目にある発達医療センターには、現在、通院・リハビリには北区・東区などからの利用者が半数を占めています。移転する予定の静療院は豊平区平岸にあり、地下鉄駅から徒歩10分も急な坂を登らなくてはなりません。関係者への説明会では「今でも学校を早退しないとリハビリの時間に間に合わない。移転したら通うのを止めなければならない」との声が多数出されています。児童・生徒および保護者にとって相当な不便と負担を強いられることになると思いますが、いかが対処されるおつもりか伺います。リハビリ機能は現在のセンターでも引き継ぐかあるいは利用者が多い北区や東区から通いやすい場所に新たな施設を開設すべきと思いますいかがか、お考えをお聞かせ下さい。
 質問の第2は、複合施設の施設整備についてです。
 現在検討中の計画では、いまの静療院を増改築して、様々な施設が一気に集約されることになりますが、そもそも、それぞれの施設が十分に機能を発揮する面積はありません。
 今の体育館は取り壊し、半分の面積約240平米で新築する計画とのことですが、これまでの機能を十分に確保できるのでしょうか。また、第2かしわ学園の通所者や保護者からはこの体育館を利用できるようにして欲しいとの声も寄せられています。
 発達医療センターが入る2階3階には新設予定のエレベーターを止めることができないとのことです。また4階には児童ディケアが設置されることになっていますが、地震や火事などの避難を考えると、安全に避難誘導させることが出来るのでしょうか。
 特に老朽化した施設であるひまわり整肢園や第2かしわ学園は早急に新築・移転すべきですが、静療院成人部門が空いたからといって、この際だから一切合切詰め込んでしまおうというやり方は容認出来ません。利用者や職員の要望等を十分に聞き取り、施設に反映すべきであり、拙速に計画を推し進める事は止めるべきだと思いますがいかがか伺います。

 最後に、ひとつのビルの階によって所有者が異なっている、いわゆる「ゲタ履きビル」の問題について質問します。
 質問の第1は、オリンピアビルなど、市営住宅との合築ビルについてです。
 南区真駒内のオリンピアビルおよびプラザビルは、いずれも1970年に、1階・2階部分は店舗や事務所、3階から5階は市営住宅として建築されました。建築後41年になります。この近接した2つのビルは、老朽化がすすみ、3階以上にあった市営住宅はすでに閉鎖し、入居者は全員移転しました。したがって、3階から上はすべて空き家となり、夜は真っ暗です。
 昔流行った、所有形態の複雑なビルは、老朽化を迎えた時、改築するにも取り壊すにも、権利者間で合意を得ることができないために深刻な事態を迎えています。
 とくにオリンピアビルと本市とは、長く協議を続けてきたにもかかわらず、今後の方向性が定まっていません。
 この老朽化したビルが、いつまでも、今のままの状態を続けることは、周辺の街づくり、環境上もよくないことだと思いますが、いかがか、お考えを伺います。
 また、再開発など、権利者が合意できるプランを作ることができるのは本市であり、合意形成のため、今後、本市から真摯に働きかけを続けるべきだと思いますが、いかがか、伺います。さらに、プラザビル、幌北団地、光星団地についても、今後のあり方は、本市が中心になって円満に協議をまとめるべきだと思いますが、進捗状況と今後の見通しをお示しください。
 質問の第2は、すすきのの中心部・南6条西4丁目のすすきのゼロ番地ビルについてです。
 ここは、2階以上が都市再生機構のUR住宅、1階は札幌振興公社所有のすすきの市場、地下1階はすすきのゼロ番地飲食業協同組合が所有しています。1958年建築で、すでに53年が経過しています。このビルの将来のあり方について、議会で議論を積み重ねてきた歴史があります。2002年予算特別委員会では、当時の助役が「いろんな機能を持たすような地域であり、関係部局、振興公社にも趣旨を十分伝えてまいりたい」と答弁しています。2006年第4回定例会の代表質問では、副市長が「札幌振興公社、都市再生機構、すすきのゼロ番地飲食業協同組合の3者による協議が開始されており、この推移を見守っていく」と答弁しています。さらに2009年の予算特別委員会では、「振興公社任せでなく、本市が、権利者相互の話し合いがすすむように働きかける、庁内関係部局と連携し問題解決をすすめる、市が主導的役割を果たす」と答弁しています。古くからの飲食店経営者は高齢化もすすみ、上層階の住宅も空き家が目立ち、耐震力もないため、いつまでも放置できない問題になっています。
 あらためて、伺いますが、この場所は、すすきのの中心部でもあり、まず、街づくりの位置づけをはっきりさせるべきだと思いますが、いかがか、伺います。
 関係者は、市議会での責任ある立場の理事者の答弁を信頼し、今日まで待ち続けていますが、具体的な協議は進んでいないのが実態です。これまでの答弁の通り、市が主導的役割を果たし、振興公社、都市再生機構、ゼロ番地協同組合と誠意をもって話し合いを進めるべきだと思いますが、いかがか、伺います。以上で私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

上田市長 答弁

 8項目、ご質問をいただきましたので、政治姿勢と行財政改革推進プラン等についてのご質問、公契約条例について、私から答弁させていただきます。
 まず、私の政治姿勢の第1点目に、消費税増税についてということでご質問でございます。
 ご指摘のように、消費税につきましては、社会保障と税の一体改革の中において、社会保障制度とそれを賄うための財源といたしまして、税制の抜本改革の中で議論されるべきものだというふうに考えております。その議論に当たっては、財政運営や低所得者層への配慮などさまざまな前提条件というものが満たされるよう最大限の努力をした上で、消費税増税がやむを得ないと国民が理解することができる、そういう必要性があるのだというふうに私は考えているところでございます。
 TPP問題でありますが、これまでも、個別の機会や、あるいは北海道市長会などを通じまして、国に対しまして、道民合意がないまま関税撤廃を原則とするTPPへの参加を決して行わないということを求めてきたところでございまして、今後とも、道内各自治体や関係団体が一丸となって取り組みを続けてまいりたい、このように考えております。
 衆議院の比例定数の削減についてでございます。
 国会議員の定数削減等の議論は、政治改革、行政改革や各小選挙区間における人口較差を是正するために取り組んでいるものというふうに認識をいたしております。選挙制度というのは、国民の投票の権利というものを保障するという民主主義のまさに根幹にかかわる重大問題でございます。
 国民の意見や思いというものが国政にしっかりと反映されるためにどのような制度が望ましいのかということは、まさに国民的議論とともに、国権の最高機関であります国会の場で深くご議論をいただくことが極めて重要である、このように認識をいたしているところでございます。
 次に、新年度予算、そして、行財政改革推進プラン、第3次札幌新まちづくり計画についてご質問が多数ございますので、簡潔にお話をさせていただきます。
 1点目の新年度予算編成に当たっての考え方ということでありますが、これにつきましては、市民の皆さんにわかりやすく、めり張りのある予算としたいという考え方に基づきまして、少子高齢化への対応や地域経済対策、防災力の強化などに特に意を用いたものでございます。
 貧困対策についてでございますけれども、厳しい社会経済状況の中で、非正規雇用が増加いたしまして、不安定な雇用が拡大するとともに、ワーキングプアと言われる人たちが増加をしてきております。このことは、格差や貧困という問題が深刻化しているというふうに考えますので、極めて社会的に大きな課題だと、このように認識をいたしているところでございます。
 この貧困問題の解決には、新たな雇用の創出や就業の促進、さらには、生活保護や年金、医療といった社会保障制度の整備など、国や道の制度や施策を含めた総合的な施策展開というのが必要でございまして、今後とも、国や道と連携を図りながら取り組んでいきたい、このように考えているところであります。
 延長保育の問題についてでありますが、延長保育料については、保育サービス全体の充実のためにも見直しはやむを得ないところでございまして、児童クラブの例を引かれて利用料と比較をされておりますけれども、それとの比較というのは必ずしも適当ではない、このように考えております。今後さらに議論を深めていきたい、このように思います。
 市営住宅の家賃の減免の見直しと低所得者の負担増についてでございますが、市営住宅使用料につきましては、他都市と比べて財政基盤が極めて脆弱な中にありまして、低所得者層の方々に配慮をしながら減免を継続することといたしておりましたが、入居者と入居していない市民との負担の公平性だとか、修繕費、そして、これらの財源の確保のためにも制度の見直しは必要だと、このように考えておるところでございます。
 現在、市民委員や入居者代表も含めまして住まいの協議会という協議会を設けておりまして、減免制度のあり方について審議をしていただいておるところでございます。その結果も踏まえまして見直しを行っていきたい、このように考えているところでございます。
 保育料の10%値上げについてということであります。
 国基準の保育料階層は世帯の収入に応じて設定されておりまして、その額は、家庭の負担能力というものを考慮したものとなっているところであります。特に、低所得世帯に対しましては、札幌市の保育料は、ご承知のとおり、国の基準額から大きな軽減というものを行っているところでございます。子育てにかかります費用の負担軽減についての市民要望というのは非常に多いものがございます。パブリックコメントの結果についても真摯に受けとめなければならない、このように考えているところでございます。
 しかしながら、財政状況が依然として厳しい中で、保育の施策のみならず、さまざまな子育て支援施策の充実を図っていくということとしておりまして、これらの制度を持続可能なものにするためには、保育料の軽減率を見直しすることは、必要やむを得ないというふうに考えているところでございます。
 住宅エコリフォーム事業についてのご質問でございます。
 まず、住宅エコリフォーム助成の経済効果についてでありますけれども、補助額に対しまして、約20倍の工事発注が見込まれているところでございまして、いわゆる産業連関表による経済波及効果というのは、工事発注額の1.59倍というふうに試算をされておりますので、約32億円程度が見込まれるというふうに考えているところでございます。
 新年度予算につきましては、議会の議論も踏まえまして、大幅に増額を行ったところでございます。まずは、その予算の着実な執行に努めてまいりたい、このように考えております。
 また、工事内容と業者の条件についてでありますけれども、これは、エコリフォームというふうに言っておりますように、環境負荷の低減、あるいはバリアフリー化の推進ということが一つの条件にもなっております。施工業者に対する一定の信頼性担保の観点からもこれらの要件といったものも定めたものでありまして、今のところ、その見直しということについては考えていないというふうにお答えをさせていただきます。
 次に、第3次札幌新まちづくり計画についてでございます。
 第3次札幌新まちづくり計画では、各世代が支え合う、優しさとぬくもりあふれるまちを目指すべきまちの姿の一つというふうに位置づけをしておりまして、見守りや安否確認など地域福祉力の向上や特別養護老人ホームの定員増大、あるいは地域医療体制の充実など、福祉・介護・医療サービスを充実させる事業を積極的に計画に盛り込んでいるところでございます。
 また、保育所や特別養護老人ホームの入所定員増については、それぞれ4,000人増、1,018人増ということを計画化しておりまして、私がこれまで取り組んでまいりました過去8年間の定員増分に匹敵をする大幅な充実を図っているところであります。
 新たな雇用の創出ということでは、これは貧困対策の一つということにもなるわけでありますが、議員のご指摘にもありますとおり、保育所や特別養護老人ホームの新設は、新たな雇用を生み出す効果も持つものと考えておりまして、これら雇用創出効果の高い事業を積極的に計画化するとともに、若年層の就業支援などにも取り組み、5万人の雇用創出ということを目指すということにしているところでございます。
 また、札幌の経済成長の原動力と位置づけをしております食、観光、環境、そして健康・福祉、この4分野を戦略的に振興するとともに、エコリフォーム促進事業だとか、あるいは市有建築物の総合的な保全の推進など、市内中小企業が受注する可能性の高い事業というものを積極的に計画化しているところでありまして、これらの総合的な取り組みによりまして、札幌経済を活性化し、雇用を生み出して安定的な社会になっていくだろう、このようなことをねらいにしているところでございます。
 第3次札幌新まちづくり計画を着実に推進することによりまして、安心で活力あふれるまち札幌を実現してまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、公契約条例についてご質問でございます。
 最低賃金でも生活が厳しいという実態についてでございますが、北海道地区の最低賃金額につきましては、北海道平均の生活保護水準を下回っているということからも、極めて低い水準にある、このように認識をしているところでございます。
 また、地域経済に対する効果についてでありますが、税金を原資として発注いたします市の工事や業務等に従事をいたします労働者に一定水準額以上の賃金が行き渡るということで、税金が地域の経済循環、域内循環に役立つということはもちろん、関係業界にとりましても、人材の確保や、あるいは技術の承継など、業界の健全な発展にもつながり、ひいては地域経済の活性化、そして、これらの事業に携わっておられる事業者の皆さん方は、まさにまちづくりの根幹にかかわる仕事をされておるわけでありますので、長い目で見て、札幌のまちづくりに役に立つ、寄与する制度になる、このように確信をいたしておるわけであります。
 条例につきまして、みずから理解を求める行動をとるべきではないかという点につきましては、これまでも議会での答弁や記者会見などで条例の趣旨や必要性について繰り返し述べさせていただいているところでありますけれども、関係業界の皆様方にも機会をとらえまして直接お話を、これまでもさせていただきましたけれども、これからも最大限の努力をさせていただきたい、このように考えているところでございます。今後も、関係業界を含め、幅広く条例の意義について訴え、そして、この議会でもご理解を得るべく努力をさせていただきたい、このように考えるところでございます。
 次いで、条例の適用範囲についてでございますが、条例施行後、効果や課題などさまざまな点について検証をしていく中で、市民や関係業界、関係団体などからの意見もいただきながら、必要に応じて見直しを検討してまいりたい、このように思います。
 作業報酬の下限額についてでございますが、非常に重要な点でございますが、条例の趣旨を踏まえながら、労働者、事業者、学識経験者などで構成をされます審議会において、地域の経済状況や労働環境というものを勘案しながら議論をしていただき、そこで得られた意見を踏まえてこれを決定していくというシステムを考えているところでございます。
 私からは、以上でございます。

小澤副市長 答弁

 げた履きビルの問題についてお答えいたします。
 1点目の市営住宅との合築ビルについてですが、オリンピアビルについては、札幌市としては、あいた建物をそのまま放置することは望ましくないと考えておりますが、区分所有者が現在も店舗、事務所等の営業を行っているため、これらの事業終了に合わせて解体することが適当と考えており、これまでも、区分所有者に対し、解体手法等の協議を行いました。今後も継続して協議をしていきたいと考えております。
 なお、入居者の移転した幌北団地については、建物の解体に向けて関係者との協議を行っているところであり、プラザビル、光星団地については、現在のところ、特段の動きはないというふうに承知をしております。
 次に、すすきのゼロ番地ビルについての1点目、まちづくりにおける位置づけについてであります。
 すすきのゼロ番地ビルのある薄野地区は、東京以北最大の歓楽街であり、今後とも集客交流機能の向上を図り、安全・安心で魅力あるまちづくりを進めていくべき地区と認識をしているところであります。
 2点目の札幌市の役割についてですが、すすきのゼロ番地ビルの所有者であります札幌振興公社、都市再生機構及び薄野ゼロ番地飲食業協同組合の3者により、近々、具体的な検討が行われると伺っており、札幌市としては、問題の早期解決が図られるよう、必要に応じて関係者に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。

生島副市長 答弁

 雇用対策についてお答えをいたします。
 まず、1点目の5万人雇用に向けての進状況でございますけれども、年度ごとの実績は決算後に集計することとしておりまして、現時点ではお示しをすることはできませんけれども、平成23年度は1万1,000人余の見込みでございます。
 2点目の未内定者への支援についてでございますけれども、4月採用予定のある企業を集めました市主催の合同企業説明会と、国や道などの関係機関と協力・連携した合同企業説明会を3月に実施することとしております。
 次に、指定管理者制度における雇用問題についてでございます。
 指定管理者制度におきましては、一定期間ごとの指定更新を原則としておりますことから、非正規雇用者などの雇用問題は制度設計に内在する課題であり、直接的な手だてを講じることは難しいものと認識をしているところでありますが、このような中にありましても、雇用の継続性の確保、促進を図る観点から、指定管理者の募集時に雇用の継続性の取り組みについての提案を求め、選定委員会における選定評価の際の加点要素とするなど、制度運用において雇用問題の配慮を行っているところでございます。
 今後とも、このような雇用の継続性の確保に資する取り組みについて、制度運用の中で検討してまいりたいと考えております。

渡部副市長 答弁

 私からは、白石区の姉妹孤立死事件について、介護保険制度について、札幌市障がい児・者医療・福祉複合施設にかかわる諸問題についてお答えをいたします。
 まず、白石区の姉妹孤立死事件についてであります。
 結果といたしまして、姉妹が何らの支援を受けることなく、亡くなられたということにつきましては、大変厳しく受けとめております。
 議員ご指摘のとおり、平成23年6月30日の3回目の生活保護の相談がございました。それから、5カ月以上経過してお2人が亡くなっておりますけれども、現行の生活保護制度の中だけで解決するのは大変難しかった事案だと、そのように考えております。
 いずれにしましても、札幌市では、今回の出来事を受けまして、関係部局がそれぞれ対策を講じ、取り組んでいるところでございます。
 順に、ご質問にお答えいたします。
 生活保護の申請手続についてでございますが、1点目の生活保護制度全般の説明につきましては、生活保護というのは最後のセーフティネットであるため、生活困窮の相談には、世帯の状況をよくお聞きしまして、活用できるほかの制度を助言した上で、生活保護の仕組みについて説明を行っているところでございます。
 2点目の申請の意思確認についてでございます。生活保護の説明を行い、相談者の保護申請の意思を確認した上で、申請書を交付いたしております。
 3点目の申請までの支援についてでございますが、申請書類の作成に当たりましては、記入方法の説明など必要なサポートを行っております。
 本市の責任についてということでございますが、3回目の相談におきましても、残念ながら申請の意思は示されなかったということでございます。面接時におきましては、困窮と思われる状況にありましたが、職権による保護を行うような直ちに生存が危うくなる状況ではなかったため、開始には至らなかったものでございます。今後とも、生活保護の理念に基づき、適正な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
 緊急時の食料の現物支給についてでございますが、人道的な見地からの緊急避難的な対応につきましては、制度のはざまで浮かび上がった問題でありまして、今後どうあるべきか、検討してまいりたいというふうに考えております。
 4点目の生活保護を受けられなかった方々への生活実態調査についてでございますが、保護課の窓口では、生活保護に関することばかりではなく、夫婦や親子などの家族問題、今後の生活の不安等、さまざまな相談を受けておりまして、すべてが生活保護の申請に至るものではありません。
 相談時に申請に至らなかった方に対しては、いつでも申請が可能な旨を説明しておりまして、実態調査が現時点では必要とは考えておりません。
 ライフラインについてでございますが、生活困窮者のライフライン確保に向けた取り組みにつきましては、国の通知を受け、従前より関係事業者への申し入れを行っていたところでございます。
 関係事業者に対しましては、再度、申し入れを行い、3月中には、北海道との共催により、事業者と第1回目の会議を開催する予定でございます。
 本市関係部局からの福祉相談への働きかけについても、これまでも行っており、今後もしっかりと対応してまいります。
 6点目の生活保護課と保健福祉課の連携についてでございますが、今回の場合は、残念ながら十分な連携があったとは言えません。今後につきましては、知的障がいのある方やその家族の方が相談に来られた場合には、担当課あるいは相談支援事業所の窓口を紹介してまいりたい、そのように考えております。
 7点目の知的障がいのある方への生活実態などを把握する現況調査についてでございます。調査票の作成に当たりましては、障がい者団体からの意見も参考にしながら検討を進めてきたところでございます。設問等の設定に当たりましては、わかりやすい表現に心がけまして、漢字には振り仮名をつけるなど、回答しやすいような工夫を行っております。また、記載に当たりまして支援が必要な方に対しましては、電話や訪問等により個別に聞き取るなど、適切に実態が把握できるように対応してまいりたいと思っております。
 見守りや支援が必要な方で、民生委員に対する情報提供を希望されない方につきましては、必要なサービスが提供されるよう、個々の状況に応じた対応に努めてまいります。
 相談支援事業所の体制につきましては、昨日の代表質問でもお答えしましたが、事業所の適正配置、人員体制につきましても、さらなる充実に向けて検討してまいります。
 次に、介護保険制度についてでございます。
 1点目の介護保険料についてでございますが、その支払いをされている方々の中に負担感をお持ちになっている方がおられることは、平成22年度に実施しました高齢者に対する調査の結果などで認識はしております。次期の介護保険料につきましては、保険給付費の増加や第1号被保険者全体の負担割合の引き上げなどにより、その額は上昇せざるを得ないものでありますが、介護給付費準備基金等を活用いたしまして、できる限りその上昇の抑制を図るとともに、被保険者の方々にご理解をいただけるように努めてまいりたいと考えております。
 また、国に対しましては、他都市と連携いたしまして、第1号被保険者の保険料負担の軽減について要望をしているところでございます。保険料の負担軽減のために一般会計から繰り入れを行うことは、制度上、想定されていませんで、国においても不適切な運営としているところでありまして、適切ではないと考えております。
 利用料についてでございますが、利用料につきましては、介護保険制度上の軽減措置を行っているところでありますが、札幌市独自の利用料軽減措置を新たに設けることは、事業所等に対する財政補てんのための新たな財源が必要になることから、実施は難しいものと考えております。
 3点目の特別養護老人ホームの整備についてでありますが、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画におきましては、介護保険料への影響などを考慮しながらも、緊急度の高い方に配慮いたしまして、平成24年度から26年度までの3年間で720人分の整備を盛り込んでおりまして、これを着実に進めてまいりたいと思います。
 4点目の介護保険料滞納者に対する給付制限についてでありますが、給付制限は、介護保険料の滞納に伴う介護保険法に基づく措置であります。支払い方法や利用者負担の割合の変更後も、利用料を負担することで介護サービスを利用することが、制度上、保障をされております。
 次に、札幌市障がい児・者医療・福祉複合施設にかかわる問題についてでございます。
 1点目の発達医療センターの機能移転についてでございますが、発達医療センターの豊平区への移転に伴いまして、現在よりも通院に時間を要することに対する負担や訓練機会が減少するのではないかという不安があることは十分承知しております。このため、最寄りの地下鉄駅からの通院手段の確保や訓練機会の提供方法を工夫するなど、利用者負担を軽減いたしまして、利用機会を確保する方策を検討してまいりたいと考えております。
 2点目の札幌市障がい児・者医療・福祉複合施設の施設整備についてでありますが、利用者などからの要望等に対しましては丁寧に対応することが必要だと考えておりまして、これまでも延べ7回の利用者や関係団体への説明会を開催しておりまして、今後におきましても、随時、説明会を開催する予定でおります。説明会等を通じまして、利用者などから寄せられた要望等につきまして可能な限り計画に反映をするとともに、安全性や使いやすさにも十分配慮しながら、引き続き、整備計画の検討を進めてまいる予定でございます。
 以上でございます。

伊藤 りち子議員 再質問

 私から、行財政改革推進プランの市民負担増の問題についてと姉妹孤立死事件の大きく2点について再質問をしますけれども、その前に、介護保険料の滞納者に対する実態論に即して答弁してくれというふうに言いましたけれども、以前と同じ回答で、全く、払えない人たちの苦しみ、大変さ、この実態がわかっていない、とても冷たい答弁だというふうに思います。これは、予算特別委員会の中で引き続き厳しく質問させていただきたいということを言っておきたいと思います。
 まず、行財政改革推進プランについての再質問です。
 保育料の負担増についてですけれども、市長は、この保育料の問題について、生活が大変になっているけれども、札幌市も非常に財政が厳しいと、ご理解いただきたいというようなことですけれども、今、若い世帯、子育て世帯の皆さんの収入というのは上がっていないのですね。非常に生活が深刻になっている。平成21年、2009年のときにこの保育料の問題について検討がされたとき、経済が冷え込んでいて収入もふえていない、保育料の負担は無理だというふうに、このときには負担増を行いませんでしたよね。その理由が、経済が冷え込んで、若い子育て世帯の生活実態が厳しくなっている、だから負担増をさせないのだと、こういう理由でした。
 今回、経済は立て直っているのですか。昨年3月11日には東日本大震災も起こって、北海道経済は深刻な状況ですよ。若い人たちの収入もふえていないのです。そういう中で、一律10%の負担増をするというのは、本当に保護者や若い人たちの生活実態に目を向けていない、そういう見直しではないでしょうか。負担増ではないでしょうか。この点について、白紙撤回するべきだと思いますが、改めて、市長の考えを伺います。
 それから、延長保育減免見直しと市営住宅の減免見直しについてです。
 これも、代表質問で言いましたけれども、低所得者のねらい撃ちですよね。今、本当に経済が冷え込んでいて、そして、困窮している人たちも救えないような、二度とそういう事件を起こさないようにということで、今、私たちも提案していますけれども、その一番弱い人たち、低所得者の人たちに負担をしていただく、こういう考え方が、貧困対策についても聞きましたけれども、市長の中に、本当に実態がどうなっているのか、貧困の方々の暮らしがどんなに大変になっているのか、そういう実態がわからないから、やらせていただきます、見直しませんというようなそういう答弁になるんじゃないですか。白紙撤回するべきですよ。二度と孤立死を生みたくない、そう言うのであれば、こういう改革をしていかなければ、口先では何とでも言えますよ。本当に二度と痛ましい事件を起こしたくないと言うのであれば、こういう低所得者、貧困の人たちの暮らしを守る、そういう施策にしていくべきだというふうに思いますけれどもいかがか、伺います。
 それから、姉妹の孤立死事件については、市長の責任についてただしたのです。副市長の答弁ではなくて、市長が答えてください。
 この姉妹の孤立死事件については、やっぱり、何回も生活保護全般の説明を受けて帰っている。
 全く説明したらいけないと言っているわけではありません。1回目、生活保護について知らない方に、生活保護制度というのはこういうものだよという丁寧な説明は必要だと思います。だけど、この姉妹は、3回、保護課に相談に行っているのです。相談に行くたびに生活実態が悪化している。
 これは、先ほど私が詳しくその状況をお話ししましたけれども、どんどんどんどん悪化していっている、これは明らかなことではないでしょうか。
 そういう人たちに対して、2回目は食料の現物支給でしたけれども、1回目、3回目については説明を何回もしているんですね。相談ではない、申請しに来たのに、申請できないで帰されているのが実態だと。今の答弁の中でも、丁寧に相談している、申請する意思も促していると。何で、こういうことをやっているのに孤立死が起こるのですか。5カ月たったから市の責任はないという考え方では、市民は納得できませんよ。きちんと、二度と繰り返さない、この立場に立った改善策を真摯に実行していかなければならないと思います。
 生活保護法の第1条では、日本国憲法の第25条の理念に基づいて、困窮しているすべての国民を救うべきだと、こういうふうに書いているのですよ。この生活保護の第1条の、憲法第25条でうたっている精神、健康で文化的な必要最低限度の生活を保障する、このことを、札幌市の生活保護行政において、一番念頭に、頭にあったら、3回も追い返さないで、この姉妹の命、とうとい命は救われたのではないでしょうか。私はそう思いますよ。
 3回目の相談は6月30日、そのときの要保護状態は困窮状態だったということは明らかではないですか。国保も未加入、これは把握していたと。そのまま帰していいのか。国保未加入を把握していたのにそのまま帰したということは、重大な問題だと思いますよ。間違いなく要保護状態、第19条に基づいて、市長がこの方に生活保護を受けさせるべきだったと。この責任を明らかにして、二度と今後起こらないようにしていくということを、今、たくさんの市民も来ています、明らかにしてください。

上田市長 答弁

 2点ご質問でございますので、市民負担の問題でありますけれども、低所得者層をねらい撃ちにするというふうにおっしゃいました。しかし、この値上げというのは、札幌市の財政状況との兼ね合いで決めるしか私たちに方法はないということを、ぜひ共通の認識にしていただきたいというふうに思います。お金がたくさんあれば何でもできる、そういうふうに言わざるを得ない側面があるということを、その中でどういう配分をするのかという総合的な考え方をとらなければならないわけでありまして、私も、もちろん、安ければ安いほどいい、たくさん質の高い福祉行政が行われることが、それは、もう、だれも反対はしないし、私もこれから高齢者の仲間入りをするわけでありますので、自分がそういう立場になったときに、そういう社会が実現できるように、私自身も個人的にそのように思います。
 そういう思いを持ちながら、今できる最善のことを努力するしか私たちにはできないということも、これまた現実でございまして、例えば、延長保育料の問題でも、150円、100円というお話も、22日間掛け合わせてというふうなお話もございましたけれども、そういうことばかりではなくて、やはり、それに係る人件費がどれだけかかっているのか、そのうち、すべてを利用者の方々にかぶせていこうなんていう考え方は私どもは持っていないということを、ぜひ、お話を聞いていただきたいというふうに思います。
 保育料についてもそうであります。4,000人の定員を増員しようと。これも、やはり4,000人をふやすということは、子どもを預けて働きたいという方々、そういう方々の政策でもあるわけであります。それに係る4年間の、これからかかる運営費だけでも66億円かかる。そのうち、値上げで補てんできるもの、これはわずか27~28%ぐらいのものだというふうに思います。あとは、ほかの一般の財源を充てて政策を進めようというふうにしているわけであります。これに加えて、保育園をつくっていくというのに75億円ぐらいお金がかかります。これも、やっぱり、お金があれば、いろいろ工夫して寄せ集めて、その政策を実現するためにお金がある、余裕があれば、こういう利用者の負担というものをなしに実現することが可能だというふうに思いますけれども、しかし、それができないというのが、何としても、私どもは、歯がゆい思いを持ちながら、ご理解をいただくしかないのではないかというふうに考えているわけであります。
 市営住宅についても、しかりでございます。基本的に、私たちが一つのお財布の中で、どういう収入の財源的な担保をどこから導き出すのかということと、それを負担していただいた方の期待を裏切らずに、しっかりとしたサービスを充実させていくということにどうやって私たちが振り向けていくのかということを、ぜひとも、その苦悩のあらわれであるということをご理解いただきたい。
 私どもは、理事者でもありますけれども、私たち自身も市民であるわけであります。私たちの税金の使い道をみんなで議論しよう、そういう真剣なお話をさせていただいているわけでございまして、ぜひともご理解をいただきたいというふうに思います。
 こういう保育料の改定についてという平成24年度版のパンフレットをつくらせていただいておりますが、その裏面に、この保育料にかかわらず、子育て世代に対するサービスといいますか、行政サービスとしてさまざまなことを企画して、そして、何とか多くの方々にこの札幌市で子育てをすることが喜ばしいという気持ちを持っていただけるようにしようということが書かれてございますので、これらも私どもはご理解をいただきたい、このように考えます。
 二つ目の白石区のお2人の姉妹がお亡くなりになった件につきましては、本当に、先ほども答弁させていただきましたけれども、残念で、ざんきにたえない、そして、本当に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思っているところでございます。
 これを二度と繰り返さないということにするためには、何が欠けていたのか。先ほど渡部副市長から、制度のはざまの中で、なかなか救いがたい事例だったというふうな趣旨のお話がございました。そういう側面も私はあると思います。しかし、どれだけ細かくネットワークを組んだところで、しょせんは人間のやることです。そこで受け付けて接することができた人間がどういう感性を持って人に接するのか、想像力をどう持つのかということがまさに大事なことでございまして、それは、傍聴席からも第25条というお話がたくさん出ておりますけれども、憲法の第25条で定めているその精神が、実際に受け付けをやっている、相談を受けている人間がどうやって感性を持ってそれに当たるのかということだというふうに思います。
 その中で、公務員が常に考えるのは、公平性だとか透明性だとか、そういうふうな限界も必ずあるわけであります。これをどうやって、その感性を持って人の苦しみあるいは苦境といったものを察知、感覚ができるか。感覚をしたもので、みずからの仕事の中でできないことについては、ほかの制度とどう結びつけるかという仕事をやっていくという、そういうことを……(傍聴席から発言する者あり)
 私たちはしなければならないことだと、このように考えているところでございます。
 そういうことで、私たちは――感性の問題なのですよ。(発言する者あり)制度と制度のはざまの問題をどうやって埋めていくかという感性の問題なのです。(発言する者あり)
 そういう意味で、私は、もちろん最高責任者でありますので、市政の中でこういうことが、悲しい事故が、さいたま市で起きたり、あるいは釧路市で起きたり、さまざまな場所で今日的に起こっている問題、これは、どこの自治体の首長も心を痛めているでありましょうし、それが二度と起こらないようにするにはどうしたらいいかということを懸命に考えているというふうに私は思います。それをどうやって実現するかということについては、また、個別の職員との議論、そして、議会での皆さん方のご意見、そういったことを参考にさせていただきながら鍛え上げていくということをお誓い申し上げて、答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。

伊藤 りち子議員

 行財政改革推進プランについては、市長の政治姿勢だと思うのですよね。お金がないからできない、そういう問題じゃないと思います。本当に貧困対策について心を痛めて、そういう人たちの命を守れないというふうに考えたら……(「それこそ感性だ」と呼ぶ者あり)そう、それこそ感性だと思うのです。
 国で、今、消費税の増税も行おうとしている。
 先ほども言ったけれども、介護保険や後期高齢者は、いろいろな負担がふえていく中で、年金は引き下がる、こういう中で、市民にとっては、いろいろな分野から負担増が広がるんですよ。そういうときに、札幌市の財政が厳しいからご理解くださいと言われても、市民は理解できません。66億円かかるから理解してくれと。では、市民が理解できるような議論をした上で考えたのですか。
 法人市民税だって14.7%、力がある企業の減税は続けていますよね。それから、道路占用料だって年間13億円も北電や北ガス、NTTにもまけている。こういう見直しすらしていないのに、低所得者をねらい撃ちするようなやり方は認められないんです。理解できないんです。市民の暮らしを守る防波堤となるのが、上田市長、あなたの仕事じゃないですか。そういう見直しをしっかり行ってほしいということを申し上げます。
 それから、姉妹の孤立死事件、これについては、生活保護の窓口に来るのは、市民の最後の、本当に最後のとりでなんですよ。このお姉さんは、だれにも迷惑をかけたくない、だれにも援助を求めないで、自分で何とか妹を守って生活していきたい、そういうふうに思ったんです。さっきの再質問のときに、おれのところに来れば助けてあげられた、そういうやじも飛びました。私もそう思います。3回目に行ったら困窮状態だと言って申請書をもらえる、そういう段階だったんですよ。それが、一人で何とかしたいといって足を運んだのに、もらえなかった。生活保護制度全般の説明を聞いて、ああ、やっぱり私は保護を受けられないんだな、そういうふうに思って、急迫した状態になったこの12月、このときにはもう既に行く気力はなかったのではないでしょうか。
 これは、本当に許されない問題だというふうに思います。二度と繰り返さない、この気持ちは一致できると思いますけれども、まず、生活保護制度が最後のとりでなのだ、これを改善していかなければまた繰り返すんだということを肝に銘じていただきたい、このことを強く訴えて、私の質問を終わります。