20121003sakamoto 私は、日本共産党を代表して、当面する市政の重要課題について、順次質問を行います。

 最初は、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、消費税増税についてです。
 8月10日、参議院本会議で、民主党・自民党・公明党の賛成で、消費税増税法案が可決・成立しました。国民世論を無視した3党の密室談合による暴挙です。8月29日、日本共産党など7会派が「野田首相問責決議案」を参議院に提出し、自民党も含めて賛成多数で可決しました。民主党政権公約に違反すること、多くの国民が消費税増税に反対していること、民主・自民・公明の3党のみで協議をし、議会制民主主義が守られていないことについて、首相の責任を問う決議です。市長は、消費税増税は公約違反だと思わないですか、国民の意思を聞くために、解散・総選挙を行うのが筋だと思いませんか、うかがいます。
 日本総研は、消費税が8%に引き上げられる2014年度のGDPが、「増税がなかった場合と比べて0.9ポイント押し下げられる」、と試算しています。中小企業・商店などは商品価格に消費税を転嫁できず、自腹で消費税を納めるために、営業が困難になります。増税によって閉店・倒産に追い込まれる事態がいっそう深刻になると思いますが、市長は、消費税増税による本市経済の影響についてどのようにお考えか、うかがいます。消費税増税法を実施させないよう手を尽くすべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、「社会保障制度改革推進法」についてです。
 社会保障を「自助・自立」でやりなさい、という考えを基本とするこの推進法は、年金給付や子ども手当てを減額し、医療では保険がきく範囲を縮小して窓口負担は引き上げる、介護保険料は値上げするなど、改悪ばかりが並んでいます。
 平均的な高齢者夫婦世帯では、2000年にひと月24万5千円だった年金が、2011年には22万4千円になり、さらに定率減税や老齢者控除の廃止、介護保険料の値上げなど、新たな負担が9千円で、1か月3万円の実質減となりました。40代の夫が働いている4人家族では、配偶者特別控除の廃止、年金、健保、介護などの保険料引き上げで月1万4千円、公的負担が増えることになります。これに消費税の増税が加われば、医療費の支払いができないから病院に行けない、利用料が支払えないから介護サービスを受けられない、など、いのちをおびやかす深刻な事態が広がると思いますが、市長は、この「推進法」が、市民のいのちや健康にどのような影響を与えると認識されているのか、必要な医療や介護が受けられなくなる市民がいっそう増えるとお考えにならないのか、うかがいます。
 質問の第3は原発についてです。
 3月末から、首都圏反原発連合がツイッターなどで呼びかけた首相官邸前での「原発いらない、再稼動反対」の抗議行動は、参加者が次々と増え、10万人、20万人という規模に膨れ上がっています。全国各地に広がり、札幌でも毎週金曜日に北海道庁前に数百人が集まっています。8月22日、野田首相と「首都圏反原発連合」との面会が実現しました。大飯原発の再稼動を中止すること、停止中の原発すべてを再稼動させないこと、原子力規制委員会委員長および委員の人事案を撤回することを求めましたが、首相は従来の見解を繰り返すだけでした。反原発連のメンバーは、「今日は通過点。私たちの要求が聞き入れられるまで抗議行動を続ける」と表明しています。原発をなくすために行動する国民的な広がりを、市長は激励すべきと思います。ぜひ、この場からメッセージを発していただきたいと思いますがいかがですか。
 また、毎週金曜日の、道庁北門前の反原発抗議行動に、市長も参加すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 泊原発は、大飯原発の次の再稼動対象の一つになっており、すでに原子力保安院がストレステストを行い、中間取りまとめを発表しています。国会と政府それぞれが行った事故調査委員会では「引き続き事故原因の究明に主導的に取り組むべきである」と提起されており、徹底的な検証はまだ終わっていません。大飯原発の再稼動に対して、市長は、「福島第一原子力発電所の事故原因の徹底的な検証と、それを踏まえた安全対策や新たな原子力規制体制といった必要となるすべての対策が講じられるまでは議論を開始すべきではない」と答弁されています。北電・泊原発を再稼動させるべきでないと思いますが、いかがお考えか、うかがいます。
 また、この夏、原発なしでも電力が足りていたことが明らかになりました。関西電力は「445万キロワット、電力が不足する」と言っていましたが、需要のピークだった8月3日でも81万キロワットの余裕がありました。北海道でも道民の節電努力で十分足りることが証明されました。北電が示した計画停電予告は「脅しではなかったのか」、「冬場も電力不足にはならない」という声がありますが、市長はいかがお考えですか。原発は「将来的にはなくす」ではなく、「ただちにゼロにする」決意を明らかにして、そのための手立てを一歩ずつ進めていくことこそ求められていると思いますが、いかがかうかがいます。
 質問の第4は精神障害者交通運賃割引についてです。
 国土交通省は7月31日、「一般乗合旅客自動車運送事業標準約款」を改定し、運賃割引の対象に、これまで対象とされなかった「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者」を加えました。これによって、乗合バスの精神障害者への運賃割引に道が開かれることになりました。障害者自立支援法で、身体・知的・精神の3障害は一元化されたにも関わらず、精神障害者の医療費や交通費負担など実際には一元化されていないなか、ねばり強い障害者団体の運動によってようやく一歩進んだものです。
 今回バスについては3障害同一の「標準約款」になりましたが、実際にはJRでも、精神障害者だけ運賃割引がありません。障害者基本法、障害者自立支援法にてらして、精神障害者にも平等に交通費割引を実施すべきだと思いますが、市長はいかがお考えか、うかがいます。
 今回の国土交通省の約款の改訂を受けて、本市でも、市内バス事業者に対して、精神障害者も含めた運賃割引制度を早期に実施することを求めるべきですが、いかがか。本市交通局も、地下鉄と市電の精神障害者への運賃割引を行うべきだと考えますがいかがか、うかがいます。

 次は、市営住宅の問題について、大きく2点質問します。
 まず、市営住宅家賃減免制度の改悪についてです。
 本市「行財政改革推進プラン」で、「市営住宅使用料の減免制度の見直し」が上げられ、減免制度を利用している入居者から、不安と怒りの声が上がっています。
 質問の第1は、低所得者を狙い撃ちする値上げという問題についてです。
 国の通知で、家賃減免制度の対象は、生活保護基準以下の著しく低額な収入とされています。具体的には、政令月収7万2千円以下でありながら、生活保護を受給していない世帯です。
 そういう世帯を応援すべきだと思いますが、いかがですか。低所得者に的を絞った負担増は、弱い者いじめであり、減免制度縮小はやめるべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、「サービスを利用している者と、していない市民の公平性の確保」という値上げの際の常套句についてです。
 第2回定例会のわが党の代表質問への答弁、および住まいの協議会での都市局長の発言でも、「入居者と入居していない市民の負担の公平性」と言っています。
 1点目は、公営住宅法についてです。
 憲法第25条の具体化の一つである公営住宅法第1条は、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」するとしており、市営住宅は、民間賃貸住宅とは、性格を異にするものです。
 ですから、入居していない市民と公平かどうかという観点は、公営住宅法の精神にそぐわないものであると思うのですが、いかがか、うかがいます。
 2点目は、市民の中に「不公平感」はなく、値上げの理由として、市が持ち出したという問題です。
 「入居者と入居していない人との公平」と言うなら、市営住宅の家賃を民間賃貸住宅と同じになるまで引き上げなければならないことになります。
 あるいは、入居を希望する世帯をすべて市営住宅に入居させなければなりません。本市は、市営住宅をろくに建設もせず、抽選の応募を数十倍もの高倍率にしておきながら、「入居者と入居していない人の公平」などと言える立場にはないはずですが、これらについて、いかがお考えか、うかがいます。
 低所得者に家賃の値上げを求めなくてはならないほど、市民の中に「不公平感」が噴出しているのでしょうか。
 市民の声を聞く課でまとめた「市民の声・平成22年度年報」では、一昨年度、本市に寄せられた提言・要望・苦情は、1万2,134件ありました。しかし、「市営住宅の家賃が安すぎて不公平だ」という声は1件もありません。昨年度も1件もありません。
 オンブズマンへの苦情申し立ては、2010年度130件、2011年度125件ありますが、やはり「市営住宅の家賃が安くて不公平」という声は、1件もありません。
 入居者と入居していない人との間で公平感の問題などないのです。
 わが党の議員が、8月9日、建設委員会で、この点について質問したところ、「今後行うアンケート等でも、減免の役割、家賃負担の限度額を聞く」との答弁でした。
 つまり、「不公平感」があるから値上げをするのではなく、値上げをするために「不公平感」を持ち出したのだと思いますが、いかがか。低所得者に値上げを押し付けなければならないほど、不公平感が噴出しているということなのか、うかがいます。
 3点目は、指定都市平均と市民の中の公平感とは無関係であることについてです。
 建設委員会で、理事者は、「政令指定都市平均を超えて、札幌市独自で行っている受益者負担の軽減を見直す。その際の言葉として、受益者とそれ以外の市民の公平性を確保するとうたっている」旨の答弁をしましたが、軽減率が指定都市平均を超えているか、いないかということと、受益者とそれ以外の市民との間の公平感とは全く別の問題です。
 市民の公平感に問題をすり替えるのではなく、「指定都市平均を超えているから、減免を減らして値上げしたい」と、正直に言うことが市民に対するせめてもの誠実さです。
 理屈に合わない口実を持ち出し、市民を煙に巻くようなことはやめるべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第3は、家賃と修繕費の関係についてです。
 第2回定例会の代表質問に対して「修繕等の財源確保のため、制度の見直しは必要」と答弁されました。
 しかし、市営住宅の修繕は一般財源で行われており、家賃収入とは関係ありません。
 建設委員会で追及された理事者は、修繕費には一般財源が充てられているとし、「年度ごとの予算編成の中で増減がある」こと、家賃収入と「相関関係はない」ことを認めました。
 「修繕を進めるために、家賃減免を縮小する」と言えば、「修繕を進めるために、多少の家賃値上げはやむを得ない」と考える入居者もおりますが、そこにつけ込むようなことは、行政がやることではありません。
 あらためてうかがいます。
 家賃収入が増えれば、修繕費が増えるという関係にはないのが現実の姿だと思いますが、いかがか。市民と入居者に誤解を与えるような言い方はやめるべきですが、いかがですか、お答えください。
 質問の第4は、当事者の合意についてです。
 理事者は、「住まいの協議会の答申に基づいて制度の見直しを進める」、「制度利用者の同意は必要ない」としながら、一方では、利用者の声は「参考とし尊重もする」と意味不明の発言もしています。
 「尊重する」とはっきり言えないのは、制度を利用している当事者に反対されるのが目に見えているからであり、どんなに反対されても値上げを強行するために、言質を与えないためではないのですか。
 家賃減免を受けることで助けられている制度利用者、とりわけ低所得者の声を十分尊重すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 次に、大きな2点目、東日本大震災避難者の市営住宅家賃の問題です。
 震災被災者で本市市営住宅に、76世帯、199人が入居しており、来年4月までは、国費が充当されるため、家賃が免除されることになっております。
 これらの入居者は、福島県などから避難してきたために、住まい、仕事など生活基盤を失った人です。東北の復興はまだ遠い道のりであり、現在の経済状況では、避難者に手厚い支援が必要であることに変わりありません。国は、来年の4月以後、1年間の国費による入居が可能である旨通知を出しています。本市においても、通知の趣旨を生かし、今後とも家賃を免除して入居を続けられるようにすべきと思いますが、いかがか、うかがいます。

 次は高齢者の暮らしやすいまちづくりについてです。
 住み慣れた地域で暮らしつづけるためには、歩いて買い物、病院、生きがいづくりなどができる地域づくりの具体化が問われています。
 質問の第1は地域包括ケアシステムの考え方についてです。
 地域包括ケアシステムは「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場、日常生活圏域で適切に提供できるような地域での体制と定義する。その際、地域包括ケア圏域については、中学校区を基本とする」とされ、本市においては、エリアを連合町内会に合致するまちづくりセンターを基軸とした生活圏域を想定しているようです。
 これまでの行政としての公的責任を放棄し、医療機関や福祉事業者、あるいは地域住民の相互の支え合いに委ねるものであってはなりません。
 改定介護保険法の下で、高齢者や市民の「最後は住み慣れた地域、自宅で」との願いを逆手に取り、介護保険の利用者、病院患者の在宅への「押し流し」を徹底することによって、公的給付を出来るかぎり削り込む安上がりな体制になっていくという懸念が本市にもあると思うのですが、市長はどの様にお考えか。
 行政が要となり、人的支援と体制づくりを強化し、本当に安心して暮らし続けることの出来る地域づくりを、住民や関係する介護・医療機関と実現することが肝要と考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は介護の在宅支援のあり方についてです。
 介護保険の改悪により、訪問介護の生活援助の時間区分見直しが行われ、90分から60分、60分から45分に時間が短縮されました。厚生労働省の生活援助平均サービス提供時間は、洗濯16,6分、買い物28,7分等ですが、近くにスーパーなどがあっても買い物前には商品確認やお金の受け渡しで時間が必要です。現場は大変混乱しています。ヘルパーからは「利用者さんとゆっくり話ができない」、「調理する時間がないため惣菜をスーパーで買ってくる」、「おかずはこれまで2品だったが、今は1品だけ」、利用者からは「今までヘルパーと一緒に買い物や調理をしていたが、時間が短くなり、ヘルパーに任せるようになった」などの切実な声が出されています。生活援助にとって重要な会話の機会が奪われいて、厚生労働省が掲げている「自立支援」そのものに逆行する事態も生じ、これでは在宅生活を続けるのが困難になってしまいます。
 保険料は上がり続ける一方で、サービスの質は下がり続けるという現状についていかがお考えか。市民が安心して必要な介護サービスをうけることが出来るように本市として、実態把握に努め、利用を自粛しているケースや事業所側の型どおりの調整をそのまま受け入れて、結果として必要なサービスを確保出来ない「隠された困難なケース」についても掘り起こし、明らかにするべきと思うがいかがか、伺います。
 質問の第3は高齢者住宅対策とりわけサービス付き高齢者向け住宅についてです。
 昨年10月にスタートしたこの事業は、安否確認と生活相談を受け付ける相談員を配置するというもので、高齢単身者、夫婦世帯が安心して暮らせる住まいを提供しようというものですが、本市では9月20日現在、65件、2,766戸の登録がなされ、増え続けています。
 昨年の決算特別委員会で、私は、登録事務を行う都市局と提供する福祉サービスの質を指導する保健福祉局、さらに、スプリンクラーの設置など消防局とも十分な連携を図るよう求めました。住宅担当部長は、「介護保険法や建築基準法、消防法に基づいて各局と連携をとり、対応する」との考えを示しましたが、「当面は登録を募り、事業の着実な前進を目指したい」旨の答弁でした。
 今後も、どんどん登録が増える事が予想されるなか、良質な住宅を供給するためには、本市として十分な指導を行う必要があり、そのためには関係部局の連携が不可欠となりますが、この間どのように連携に向けて協議してきたのか。今後、どのように対処していくおつもりか伺います。
 サービス付き高齢者住宅では独自に食事、介護、家事、健康管理などのサービスが付加され、併設された施設には、デイサービス、ショートステイ、認知症対応のグループホーム、訪問介護、訪問看護など様々な介護関連事業が組み込まれています。介護を必要とする状態になった時に必要なサービスを適切に受けられるよう、介護福祉の観点から入居者の現在のニーズや、今後の動向、併設施設の現況の調査を行い、介護事業者に対する指導を強化すべきと考えますが、今後どの様に対処していくおつもりか伺います。
 質問の第4は特別養護老人ホームの整備についてです。
 特養ホームの待機者は今年6月時点で6,496人と昨年12月の6,159人から337人増えています。今年度218人分の新設を行いましたが、待機者解消にはほど遠い状況です。緊急度の高い方はもちろん、希望している全ての待機者が入所できる様、特養ホームの建設、施設の整備を行うべきと考えますがいかがか。この3年間720人増の計画を前倒しして、せめて在宅で待機している2000人分整備をおこなうお考えはないのか伺います。
 質問の第5はいわゆる買い物難民についてです。
 1つ目の質問は、8月末、本社が栗山にある小規模小売店が倒産、北区拓北・東区北丘珠の店舗を突然閉店した問題です。
 北区拓北では、市民生協が2年前に撤退し、閉店したスーパーが生鮮3品の買える唯一の店でした。最寄りの生鮮品を扱っている店は、閉店した店舗からあいの里方面へ1,7キロ、篠路方面へ2キロ以上あり、高齢者はもとより障がい者や車を持っていない世帯では、バスなどの公共交通やタクシーを利用せざるを得ない状況に陥ります。
 町内会が地元の福祉団体と話し合い、週2回、バスを巡回させることになりましたが、買い物難民の解消が急がれます。市としても何らかの手立てを講じるべきではありませんか。一日も早く新規開店や移動店舗の誘致などを行うべきと思いますが、いかが対処されるおつもりか、伺います。
 2つめの質問は公共交通、とりわけバス路線の維持・拡充についてです。
 住み慣れた地域に長く住み続けるためには、自家用車に頼らない交通網の維持・整備が必要です。地域を網の目でつなぐバスは、高齢者や障がい者にとって重要な足となります。規制緩和がすすむ下、たえずバス路線の減便・路線変更が起こります。
 買い物や通院など、高齢者・障がい者に不可欠なバス路線の確保に向けて、特別の対策が必要と思いますが、いかが対処されるおつもりか、また、高齢者・障害者に優しいノンステップバスの増車を今まで以上に行う必要があると思いますが、今後の方針をお聞かせ下さい。

 次は、孤立死と生活保護の問題についてです。
 質問の第1は、7月に起こった西区での59歳の男性の孤立死問題についてです。
 報道では「7月11日、近所の人が不審に思い、警察に通報した。署員が室内に入ったところ、男性がベッドに横たわったまま亡くなっていた。死後3~4カ月とみられる。部屋にはテレビとベッドだけだった。財布の中には旧百円札1枚だけだった。食料は一切なく餓死した可能性がある」とのことでした。
 水道局によると、1997年に6,570円の水道料金滞納で給水停止が行われてから遺体が発見されるまでの間、水道は止められたままでした。この間、2か月ごとの定期検針及び給水停止中の滞納者に対する年2回の実態調査をしていましたが、2005年8月以後は「長期不在扱い」にして、実態調査を取りやめ、定期検針のみとなりました。
 水道局では、1997年に水道を止めた時や、その後の検針でも男性に会えなかったことから「長期不在扱い」と判断したようです。しかし、近所の人が見かけていますし、電気が止められたのは、今年4月です。部屋も引き払われていませんでした。つまり、この男性は不在ではなかったのです。水道局の職員が訪問した時に、会えなかったというだけで「長期不在扱い」という判断をしたのではないでしょうか。判断をする際、大家さんに確認するのはもちろんですが、ご近所の声を聞いたり、夜に明かりがついていないか、玄関の前に、草が伸びているか、踏み跡があるか、電気メーターが進んでいないかなどの総合的判断をしたのか、はなはだ疑問が残ります。「なかなか会えないが、人はいるようだ」という判断がされれば、粘り強く訪問し、はたらきかけ、生活状態を聞ければ、保護課につなぎ、孤立死を防ぐことができたのかもしれません。料金滞納の件で訪問したり、督促する水道局職員、国保のサービス員、税務、保育料や給食費の納入の働きかけこそ、生活再建の第一歩としなくてはなりません。これらの料金督促に当たる職員に、ゲートキーパーの視点を持たせることが決定的です。今回の孤立死事件から、何を教訓にして、今後、どういう対策を取るのか、料金の督促にかかわる嘱託も含めたすべての職員に、ゲートキーパー教育を徹底すべきと思いますがいかがか伺います。
 質問の第2は生活保護の申請についてです。
 第2回定例会の代表質問で、相談した市民が、申請書類をもらえるかどうかは職員の判断しだいであることを指摘し、「生活保護を申請するかしないかは市民が自ら決めることで、そのために、道内15市では窓口に申請用紙を置いてあることも示し、申請書類は市民の手の届くところに置くべき」と求めました。渡部副市長の答弁は、「申請用紙というものは、住民票の申請とか、そういった用紙とは同じものではございません。」と言いましたが申請権を守る視点を踏まえて生活保護の申請書が住民票と何が違うのか明らかにしてください。また、なぜ他の市で、窓口に申請書が置けるのに本市では置けないのか、本市でも保護課の窓口へ申請書を置くべきと考えますが、市民が納得できるように説明してください。
 更に予算特別委員会では、「申請書の交付を希望される方には速やかに渡すように今後、区のほうにも徹底していく」と担当部長は答弁していますが、実際に現場では生活保護の申請をするために相談に行ったのに、「他の制度を活用するように」、あるいは「関係書類が揃っていない」などと帰されています。生活保護制度に詳しい人や議員などが同行しないと明らかに困窮状態にある方に対して申請書を渡さずに帰しているという対応がいまだに続いていることについて市長は把握しておられますか、各区のこのような対応は問題であり、ただちに改善すべきですが、具体的にどう対処するのか、伺います。
 質問の第3は、保護の職権廃止についてです。
 豊平区で保護を受給していた方は、区役所保護課の指導指示に従い、8月中にハローワークに10回も行っていましたが、そのことを、担当ケースワーカーに報告に行ったときに、たまたまケースワーカーが外出して不在だったので、報告できずに帰りました。そういうことが2回ありました。ところが、8月末に、区役所は、「指導指示に従わなかった」として、職権で生活保護を廃止しました。
 就労活動をしていたのに、「その報告がない」というだけで、生命の問題に直結する生活保護を一方的に廃止したのは、職権乱用の疑いが生じると思います。重大な問題だと思いますが、いかがか、見解をうかがいます。
 本当に報告を求めたいのならば、保護費を窓口渡しにすれば済むことですが、それもせずに廃止したことは、手続きに瑕疵があると思いますが、いかがか、市長の見解をうかがいます。
 質問の第4は生活保護の受給者を孤立死させないための対策についてです。
 生活保護受給者で一人暮らしの方の孤立死が3カ月で43人もいたことが本市の調査結果で明らかになりました。生活保護受給者の高齢化や一人で暮らしている方に親族や地域とのつながりや、なにかあった時に頼れる人はいるのかなどについてアンケート調査を行い、孤立しないための対策を具体化していくべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第5はケースワーカーの研修についてです。
 母子世帯の高校生が、学校を休みがちで「このまま続けられるだろうか」という悩みも持っています。担当ケースワーカーは、休みがちだという子どもの話を聞いて「高校をやめたら教育費全額返還してもらいますから」と言いました。すでに、学校に支払ってしまった分まで返せと言われても返せるはずはありません。このような対応は誤りだと思いますがいかがか伺います。
 さらに、予算特別委員会で「専門の福祉職の配置と熟練の職員の配置など年齢構成のバランスをとった保護課体制にするよう」求めたところ、生活保護担当部長は、「研修体制の充実を図っている」と答弁しましたが、研修と同時に実践で経験を積み重ねていくことが重要です。そのうえでも専門職と熟練した職員の適正な配置によって日々、連携しながら職務に当たるべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第6はケースワーカーの体制の強化についてです。ケースワーカーの標準数は社会福祉法に基づいて1対80と決められています。しかし、経済の悪化や不安定な雇用状況、福祉制度の不十分さなどから生活保護を受給する世帯が増えており、白石区のあるケースワーカーは、110世帯も担当しています。市長は現状のケースワーカーの体制についてこれで良しと考えておられるのか、ケースワーカーの増員を図り体制を強化するべきと考えますがいかがか伺います。
 また、現在の保護課の職員配置の実態は、半分が新卒の職員であり未経験でケースワーカーになることが増えています。研修を徹底することも重要ですが、日々の業務での悩みや対応の仕方など各課で相談できる経験豊かな職員が必要です。2~3年という短い期間で人事異動する今のやり方を見直し、職員配置のバランスも考慮すべきと考えますがいかがか伺います。

 次は、経済、雇用問題についてです。
 個人消費は依然、低迷したままで、6月の札幌の百貨店、スーパーとも売上は前年同月を下回りました。新設住宅着工戸数も同様です。今、市内の需要を喚起させる経済政策や市民の所得を増やし家計を応援することが求められ、こうした問題を解決するための本市の中小企業対策は重要な課題です。
 質問の第1は、新産業創出事業についてです。
 今後10年間の街づくりビジョンの中間報告で、はじめて、脱原発を位置づけました。また、本市において、「エネルギー転換調査」も行われ、原子力発電に依存しない社会をめざし、省エネルギーの推進や代替エネルギーとしての再生エネルギーの普及を進める必要があります。自然エネルギーの本格導入こそ新しい産業振興、地域経済の活性化へ大きな可能性があります。様々な技術開発、実用化を進められる産業で、発電装置の小型化やバッテリーの開発、地熱など、中小業者の高い技術力が生かされる分野でもあり、モノづくりの力も生かされます。
 脱原発・新エネルギーの本格導入と新産業創出の関係について、どうお考えですか、また、今後、どのように展開されていくのか、お示しください。自然エネルギーを活用した産業に地元企業が積極的に参加できる仕組みを本市がイ二シアチブをとって、つくるべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第2は、商店街支援の強化についてです。
 2011年度から、空き店舗の活用などのための商店街再生事業資金1000万円が予算化されましたが、一件しか活用されませんでした。積極的に活用されるためにも地元商店街の意見など十分反映させ、支援策を強化すべきですが、今後の取り組みについて伺います。
 質問の第3は、雇用問題についてです。
 1点目は、新卒、若者就職支援についてです。
 若者をめぐる雇用状況は深刻です。2012年3月新規高卒者の就職内定率は、全国では、97%、全道88%、札幌圏78%と依然、厳しい状況にあります。
 国の緊急雇用対策を活用して事業を立ち上げ、就職促進のためのセミナー等、就職に役立つ資格取得や職場実習による正社員やフルタイムでの就職支援などを行っています。その中でも、新卒未就職者、若者求職者人材育成事業などの、ジョブスタートプログラムについてですが、2011年度、大学・短大・専門学校を卒業した未就職者の85%が就職に結びつき、高卒では83%、おおむね25歳以下の求職者の場合では79%と効果が上がっていると思いますが、国においてこの事業を廃止する動きもあります。本市独自でも継続すべきですがいかがか伺います。
 2点目は、企業向け若年層雇用安定助成金についてです。
 若年求職者を応援する事業として、本市在住の者を正規に雇用したら一人20万円、200人・4000万円の枠でしたが、助成金対象25人、支給金額500万円に留まりました。
 雇用意欲のある企業に一人でも多く、札幌の若者を雇ってもらうために、事業主に働きかけたり、利用しやすく、申請手続きの簡素化など行うべきですが、今後十分活用されるよう、どのように改善を図るのか、うかがいます。

 次は、保育問題についてです。
 質問の第1は、「子ども・子育て新システム」についてです。
 「子ども・子育て支援法」、いわゆる「子ども・子育て新システム」法案は、民主・自民・公明の三党修正を強行可決・成立しました。「本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずるべき」と衆議院において6項目、参議院では19項目もの付帯決議がつけられており、「2015年度の実施までに具体化する」とあいまいな点だらけです。
 幼稚園と保育所を一体化する「総合こども園」の導入は、国民の厳しい批判にさらされ撤回しました。しかし、幼保連携型「認定こども園」の拡充、小規模保育所の創設など、公的責任を後退させるものになっています。
 株式会社などの営利企業の参入促進、補助金からの株主配当や他事業への流用に規制はなく、儲け目的の参入・撤退、保育の「質の低下」が懸念されています。
 さらに重大なことは、国が半分、自治体が4分の1出している認可保育所の建設・改修費の補助廃止が、そのまま盛り込まれたことです。財政支援なしでは、建設も改修も困難になり、社会福祉法人が「全てつぶれてしまう」と危惧されています。もし、そのまま実施されたなら社会福祉法人や自治体に甚大な影響を及ぼします。
 本市の増設計画にとっても重大であり、国に強く抗議し、指定都市市長会とも協力して、国に撤回を求めるべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第2は、さっぽろ保育ルームについてです。
 本市の保育ルームは、定員20人以上のA型と定員10人以上のB型があり、A型8カ所とB型2カ所の10カ所を認定したところです。
 ところが、保育ルームA型は、3歳以上の児童の給食を外部搬入することを可能としていますし、B型については、調理室の設置がなくても良いとされており、保育室の一人当たりの面積はA型よりも狭く、保育士資格者の配置は、保育にあたる職員の半数以上いれば認められ、嘱託医の体制もありません。さらに、3歳以上には保育料の上限額がなく、いくらにでも設定できる仕組みです。
 A・B型ともに、利用の申し込みは直接保育ルームに行い、契約、保育料の支払いも直接で、本市の目が届かないシステムになっています。どこを見ても、本市認可保育所の基準を下回っており、公的責任の大きな後退です。
 昨年8月、文教委員会に「認可外保育施設への助成金に関する陳情」が提出された際、わが党は、待機児童は認可保育所を増やして解消すべきであることを述べ、「助成をした認可外保育施設に対して、認可に移行していけるような指導や助言、援助をしていくべき」と求めました。それに対し、子育て支援部長は「移行していけるようにしたい」と答弁しています。
 保育に欠ける子供については、自治体として責任を持って保育所の整備を実施していくべきであり、安上がり保育を実施すべきではありません。答弁どおり認可保育所に移行するように援助すべきですが、いかがかうかがいます。
 質問の第3は、保育ママについてです。
 本市は、保育ママについて、「保育士有資格者を条件にしている」としてきました。ところが今年度の募集にあたっては、代替保育ママの資格要件を、市民と議会に説明することなく「保健師、助産師、看護師のいずれかの資格、または幼稚園教諭の免許状を有している」人も可能と基準を引き下げながら、本市のホームページには、代替保育ママについて、「いつもの保育士資格のある保育者が保育ママの代わりに保育しますので安心です」と書かれています。
 なし崩し的改悪はすべきではありません。代替保育ママの資格要件を元に戻すべきですが、いかがか伺います。
 第4に、待機児童解消についてです。
 昨年度は、1190人分の保育所を増設しました。しかし、昨年の7月と今年の7月を比較すると、待機児童が71人増加し、1174人にもなっています。
 2011年度から4年間で4千人分、今年度1139人分を増設する予定ですが、これでは大幅な待機児童解消には至らないと考えられます。
 4年間の計画を前倒しで実施し、さらに1千人分を増やす積極的な計画を持つべきと考えますが、いかがか伺います。
 また、保育ルーム、保育ママに加えて、預かり保育、幼稚園保育室など、一時しのぎ的に認可外に求めるべきではありません。条件の悪い、安上がり保育ではなく、認可保育所増をはかり待機児童を解消すべきですが、いかがか見解を求めます。
 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

上田市長 答弁

 私の政治姿勢に対して何点かお尋ねでありますので、お答えをいたします。まず消費税増税についてということでございまして、消費税率の引き上げにつきましては国及び地方を通じた社会の安定財源、これを確保するということを目的としているということでありまして、さまざまな視点で議論がなされ、国政の場において成立したものと認識をしているところでございます。また、解散総選挙につきましては、内閣総理大臣の専権事項でもございます、高度な政治的判断によるものと考えているところでございます。また、本市経済への影響についてということでございますが、消費税率が引き上げられるということになりますと、景気の後退だとか、あるいは消費行動の抑制ということにつながるということが懸念をされていることは、承知をしているところであります。またこのために、税制の抜本改革法におきまして、低所得者に配慮した施策のほか、適正な消費税の転嫁のための対策、さらには経済成長等に向けた施策について検討をすることとされております。今後、その検討内容について充分に注視をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 社会保障制度改革推進法についてでございますが、この法律の目的は安定した財源を確保しつつ、受益と負担の均衡というものがとれた持続可能な社会保障制度の確立をはかるということでございます。また基本的な考え方として、社会保障機能の充実とともに、社会保険料等を納付する者の立場にたって、社会保障負担の増大、これを抑制することなどを規定しているものであります。具体的には、今後設置をされます社会保障制度改革国民会議で議論がされることになっておりますので、その議論の内容を注視したいと考えております。
 原発についてでございますが、一点目の原発に対する抗議行動についてということでございます。昨年の福島第一原発の事故によりまして、原発の危険性ということを目の当たりにし、原発に依存した社会から一刻も早く脱却をしなければならないとの強い思いが、あのような大きな規模の行動となっているものと私も考えております。脱原発依存社会への早期実現に向けて行動していくということが、市長としての私の役割であると考えております。今後とも省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの普及促進など、積極的に取り組んでまいりたいとこのように考えております。泊原発の再稼働につきましては、やはり事故の徹底的な検証が行われ、そのうえで国民全体が納得のできる新たな安全基準というものが設けられ、必要なすべての対策が講じられるまでは再稼働の議論を開始するべきではないと、このことについては北海道高橋知事も再三繰り返して述べられておりますので、私も知事の見解を強く支持するものでございます。
 三点目の、今回の計画停電予告や冬場の電力不足についてでございます。この夏は不測の事態に備えまして、計画停電も準備をされましたけども、市民、事業者の皆さま方の本当に熱心な努力によりまして、泊原子力発電所が停止しても電力不足に陥ることなく乗り切ることができました。この冬に向けましても、これまでの節電の取り組みというものを継続し、また冬の特性をふまえた節電対策を市民、事業者の方皆さま方と連携をして、しっかり進めていくことによりまして、原発が稼働しなくても乗り切っていけるように取り組んでまいりたい、このように思います。
 原発ゼロに対する決意ということでございますが、繰り返しになりますけれども、私たちができることは節電、そして省エネルギーへと、これを推進していくと、それを私たちのライフスタイルに位置付けていくこと、そのことがたいへん重要でございますし、代替エネルギーとしての再生可能エネルギーの普及を促進していくということ、これもまたたいへん重要であることであります。さらには電力会社に対しても、いま多くの地域でも実践されておりますLNGによりますガスコンバインド発電の早期の導入、こういったものも電力会社の努力によってはやく実現していただくこと、こういうことも私どもも申し入れ等をしていきたいと、こんなふうに思いますし、まちづくりの中では私たちの先人は大変素晴らしいことをやってまいりました。四十数年前にエネルギーの有効活用ということ、あるいは煤煙の問題もあったんでしょうけれども、熱供給、そしてエネルギー供給という集中的地域暖房をやっていくと、こういうシステムを私たちの地域に残していただいております。これを発展させていくということ、そしてコージュネシステムというものをほんとうにまちづくりの中にしっかり位置付けて、ネットワーキングもしっかりして、まち全体で省エネそして効率のよいエネルギーの使い方を推進していく、こういうことを積み重ねていくことによりまして、脱原発依存社会への早期の実現ということをめざしていくことができるのではないか。しっかり取り組んでまいりたい、このように思います。
 精神障害者の交通運賃割引についてということでございます、一点目の法の趣旨に照らした精神障害者への交通運賃割引についてでございますが、札幌市といたしましては、精神障害者の運賃割引制度が実施されることが望ましい、とこのように考えておりました。国に対しても運賃割引の実現を強く要望してきたところでございます。
 二点目の、市内バスの利用者に対する運賃割引制度の早期実現の要望についてでございますが、札幌市では民間バス事業者に対しまして、これまでも機会あるごとに運賃割引制度の早期実現実施について要望を行っているところでありますが、今年の8月の標準運賃約款の改正を機に、あらためて要望を行ったところでございます。
 三点目の交通局の対応についてでございますが、このたび改訂されました約款は、バス事業に関するものではございますが、約款改訂の趣旨でございます三障害同一の考え方に基づきまして、地下鉄、市電への障害者への運賃割引制度の導入が望ましいと、このように考えております。一方、札幌市においては、バスと地下鉄、市電、この三事業が一体となって公共交通ネットワークを形成しておりますことから、利用者に混乱をきたさないように、各事業が歩調を合わせて運賃割引を行うことが重要だと考えているところでございます。
 その他のご質問につきましては、担当の副市長から答弁をさせていただきます。

渡部副市長 答弁

 私からは、高齢者の暮らしやすいまちづくり、孤立死と生活保護の問題、保育問題、この三点についてお答えをいたします。
 まず、高齢者の暮らしやすいまちづくりについてでございます。
 一点目の地域包括ケアシステムについての考え方についてでございますが、札幌市では介護や生活支援が必要であっても、高齢者が安心して地域で暮らしていけるよう、区と地域包括支援センターを核とした地域のネットワーク構築を進めておりまして、来年度はさらに地域包括支援センターの、現在21か所ですけれども、27か所に増設し支援体制を強化する予定でございます。高齢者のさまざまな生活ニーズに対応していくためには、介護保険をはじめとした公的サービスはもとより、一人ひとりの生活に寄り添ったきめ細やかな住民相互の支え合いもまた重要でございます。今後とも札幌市といたしましては、介護や医療の関係者、住民等と共同いたしまして、地域包括ケアの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 二点目の、介護の在宅支援のあり方についてでございますが、今回、時間区分の見直しがおこなわれた訪問介護の生活援助につきましては、利用者の立場に立って個々の生活状況に応じたきめ細やかなサービスが受けられますよう、適切なケアマネジメントが実施されなければならないものと考えております。札幌市のこれまでの調査では、利用者の意向等をふまえずにあらたな時間区分に機械的に合わせていった事例はわずかでございまして、これらに対してはきちんと指導をおこない、是正をはかってきたところでございます。今後とも適切に指導を続けてまいりたいと考えております。
 三点目の高齢者住宅制約、とりわけサービス付き高齢者住宅についてでございますが、一点目の関係部局との連携についてでございます。関係部局間では、事業者との事前相談や指導の内容、登録情報などを共有いたしまして、必要な協議、調整をするなどの連携を今までもはかってきたところでございます。今後とも関係法令に基づく指導はもとより、関係部局間で指導を十分におこなうなど連携を強め、居住の安全が確保されるよう、事業者を指導してまいりたいと考えております。同じことなんですが二点目の、介護事業者に対する介護指導強化についてですけれども、介護事業者に対しましても適宜、実施指導をしているところでありますが、サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対しても、サービスの利用状況を確認するなど、現況の把握をおこなっているところでございます。引き続き、あらゆる機会を利用しまして、介護事業者への指導をおこない、利用者に対するサービスの質の確保と向上をはかってまいりたいと、そのように考えております。
 四点目の、特別養護老人ホームの整備についてでございます。今年度スタートいたしました高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画においては、介護保険料等への考慮をしながらも、緊急度の高い方に配慮いたしまして、平成24年度から26年度まで毎年240人分、3年間で720人分の整備の計画をしていまして、これをまず着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、買い物難民についてでございます。
 一点目の小規模小売店の閉店に伴う行政の対処についてでございます。予想されます人口減少、超高齢化社会を迎えるにあたりまして、今後とも市民の日常生活を支える機能をいかに維持していくかが大きな課題であると認識しております。そのためにはいわゆる地域力の向上をはかる取り組みが求められると、そのように考えております。ご質問にあった二つの地域では、地元町内会のはたらきかけで買い物のための巡回バスの運行や民間宅配サービス等を行うなど、まさしく地域が中心になってしっかりと課題改善のために取り組んでいるところでございます。こうした取り組みが同じ課題を抱える地域でも促進されるよう、札幌市としても支援してまいりたいと思っております。
 二点目のバス路線の維持、拡充についてでございます。札幌市ではバス路線を安定的に維持していくための補助制度を設けておりまして、不採算路線の廃止によって、買い物や通院などの市民生活におおきな影響が出ることがないよう引き続き配慮するとともに、利用促進に向けた取り組み等により、必要なバス路線を確実に維持してまいりたいと考えております。ノンステップバスの業者につきましては、平成10年度から事業者への補助を順次おこなっているところであります。今後とも事業者の意向を勘案しながら導入に向けた支援をおこなってまいりたいと考えております。
 次に、孤立死と生活保護の問題についてでございます。
 一点目の、7月に起こった西区での59歳の男性の孤立死についてであります。従来から、国保や水道などの部署におきましては、できる限り滞納者と直接会えるように努力しておりまして、面談の中で生活に困窮している状況が確認された場合には、保護課の相談を促すなどの対応をしております。今後ともこのような対応につきまして再度、職員への周知をはかりたい、そのように考えております。さらには、さまざまな事例の孤独死が発生していることをふまえまして、水道局においては10月から6カ所の料金窓口に生活保護相談のチラシを置くとともに、未納整理の訪問時に生活に困窮している旨を申し出た方に対しても、チラシを手渡しすることとしています。
 二点目の生活保護の申請についてでございます。生活保護の申請についてまとめてお答えをいたします。生活保護の申請につきましては、今年度から「誰でも申請できる」旨を記載しました「生活保護のしおり」を各区の保護課窓口に常備しておりまして、申請権の周知徹底をはかっているところであります。生活保護の相談があった場合の対応につきましては、国の実施要領に基づき、相談者の状況を把握した上で、他の制度を活用等について適切な助言をおこなうとともに、生活保護制度とその仕組みについて十分な説明をおこない、保護申請の意思を確認することとしています。相談者が保護申請の意思を示した場合は、すみやかに申請書を交付しまして、申請手続きについて適切に助言をしているところであります。さらに申請書をお持ちになって1ヵ月間連絡がない場合には、こちらからはたらきかけるということをおこなっております。このようなことを徹底しておこなっておりまして、厚生労働省の監査や札幌市の内部監査でも、申請権の侵害に該当する行為は確認されておりません。
 次に、保護の職権廃止についてでございます。豊平区における廃止の事案と母子世帯における高校生の教育費の返還の事案についてまとめてお答えをいたします。保護の廃止につきましては、保護受給者へ対し口頭での指導をおこなっても改善が見られない場合に、文書指導、さらには期限を区切った文書指導をおこないまして、それでも是正・改善が見られない場合に、弁明の機会を付与して、職権により停止、または廃止することとしております。
 次に高校生の教育費についてでありますけれども、高校生の就学に要する費用は、生業扶助により、現に就学している期間について教材代や学用品購入のための費用などを支給しております。高校を中退した場合には、それ以降の生業扶助は支給しないということになっております。
 四点目の孤立死と保護の問題でございますが、生活保護受給者に限らず、孤立死につきましては区役所、市役所、または隣人など誰に対してもよろしいので、異常事態を発信することができる、それを適切に受け取ることができれば、抜本的な解決につながるのではないかと考えております。また地域では、民生委員、児童委員や福祉のまち推進支援センターのボランティアなどが、高齢者等を対象にした見回り活動をおこなっております。このような取り組みなどを充実させることによりまして、可能な限り孤独死、孤立死を防いでまいりたいと考えております。
 次に、ケースワーカーの研修についてまとめてお答えをいたします。ケースワーカーにつきましては、近年の被保護世帯数の増加にともないまして、平成22年度は32人、平成23年度は43人、平成24年度は50人、と増員をはかってきたところでございます。今後も被保護世帯数を見きわめながら、職員の配置をおこなってまいりたいと考えております。新任ケースワーカーに対しましては、移動直後に研修をおこなうとともに、約三カ月後に反復研修を実施し、それぞれ対象者全員が受講をしております。その他、すべてのケースワーカーを対象に、専門的な知識を習得するための科目研修、福祉教養研修、医学研修などを実施しております。また各区におきましては、研修推進委員を中心にそれぞれ独自の研修を実施しておるところでございます。なお職員を配置する際には、経験年数、年齢等、職場内のバランスを考慮して、適切に配置してまいりたいと考えております。また、福祉の専門性を有する職員につきましては、各福祉職場でのニーズが高まっておりますことから、状況を見きわめながら必要な配置をおこなっていくつもりでございます。
 次に保育問題についてでございます。一点目の「子ども・子育て新システム」についてであります。子ども・子育て支援関連三法の理念は、札幌市が掲げる「子どもの権利が尊重され、子どもの輝きがすべての市民を結ぶまち」づくりと方向性が一致しているものと認識しております。今後、国から示される指針などを受け、的確に対応してまいりたいと考えております。
 さっぽろ保育ルームについてでございます。認可外保育施設における保育の質の向上をはかるため、設備と運営に関しましては、認可保育所の国基準と同一、または認可外保育施設指導監督基準より、高く定めておるところでございます。認可保育園事業につきましては、従来通り指導・助言をおこなってまいります。
 三点目の保育ママについてであります。代替保育ママにつきましては、専門的な知識を有する保健師や幼稚園教諭などに、研修の受講も義務づけておりますことから、安心・安全な保育環境を確保できると、そのように考えております。
 次に待機児童解消についてであります。札幌市といたしましては、待機児童が依然として増加傾向を示していることを、重く受け止めておりまして、今後も保育事情に柔軟に対応しながら、前倒しを含めまして、保育所整備を積極的にすすめ、待機児童の解消をめざしてまいりたい、そのように考えております。以上でございます。

秋元副市長 答弁

 私からは市営住宅の問題についてと、経済雇用問題についてお答えをいたします。
 はじめに「市営住宅の問題について」の一点目、市営住宅家賃減免についてということでございますが、低所得者への負担増というご質問でございます。市営住宅の家賃につきましては、公営住宅法に基づき、政令でその所得に応じ、民間の賃貸住宅と比べて低廉な家賃と決められているものでございます。ご質問にございます減免制度は、札幌市が独自にさらにここから減免をしているものでございまして、札幌市が他の政令市と比べて、財政基盤が極めて脆弱な中にありましても、低所得者の方々に配慮しながら、減免制度そのものは今後も継続をすることとしております。
 先般、住まいの協議会により、現在の家賃の減免率は、減免を受けていない他の入居者の負担率と比べて著しく低くなっており、収入に応じた負担率とは言い難く見直しが必要、との答申をいただいところでございます。今後制度を見直すにあたっては、低所得者にありましても、その収入に応じた適正な負担率となるよう検討していきたいと考えているところでございます。
 二点目の入居者と入居していない市民の公平感の公平性の確保ということでございますが、先ほども申しましたように市営住宅の家賃そのものは、低所得者に対し一定の配慮がなされております。その家賃をさらに低廉にする減免制度におきましては、その財源は入居していない市民を含めた市民全体の負担、いわゆる一般財源を充てているものでございますので、公平性の確保の観点は重要と考えているところでございます。住まいの協議会の中でもそのようなご議論をいただいたということでございます。
 三点目の家賃と修繕費の関係でございます。市営住宅使用料収入につきましては、そのほとんどを市営住宅の建設債償還費、あるいは管理費に充てられておりまして、修繕の財源にまで充てきれていない状況にございます。現状につきましては、修繕費については一般財源でまかなっているところでございます。市の財政状況全般から申し上げた場合、今後、社会保障費用の増大でありますとか、市営住宅を含めました社会基盤の維持、修繕、管理、こういった費用がさらに増大をしていくということが見込まれておりまして、これらの費用を確保するための一定の見直しはやむを得ないと考えているところでございます。
 四点目の当事者の合意についてでございます。現在、入居者を対象としたアンケート調査を実施をしてございまして、入居者の意見の聴取につとめているところであります。今後、結果も見ながら見直しをすすめてまいりたいと考えております。
 二つめの、東日本大震災の被災者の家賃についてでございます。避難者にかかる市営住宅の入居の継続、家賃の減免につきましては、今後入居されている世帯の方々のご意向でありますとか、道営住宅とか、他の公営住宅の状況などを考慮いたしまして、判断をしてまいりたいと考えてございます。
 次に経済雇用問題についてでございます。
 一点目の新産業創出事業についてのうち、一点目の脱原発・自然エネルギーへの本格導入と新産業創出の関係についてでございます。原発に依存しない社会をつくるためには、これまで以上に大幅な再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進等が不可欠であり、それらを支えるさまざまな分野での技術開発や普及などを通じて、あらたな産業創出の可能性があると認識をしているところでございます。
 二点目の企業が参加できる自然エネルギーを活用した産業の仕組みづくりについてでございますが、今年度は、今後の成長が期待できる環境産業の創出・育成に向けた事業を開始しておりまして、高気密・高断熱住宅に対応した暖房機器の開発や、寒冷地仕様の電気自動車関連技術、都市廃熱を活用した融雪システム開発など、基礎研究の実用化に向けた支援をおこなっているところでございます。特に今後は、省エネに加え創エネルギー、エネルギーをつくる、この推進が重要と考えておりまして、先日姉妹都市40周年記念を迎えたミュンヘン市への訪問団からも、地元企業が工夫を凝らして発電事業に取り組んでいるといった報告を受けているところでございます。札幌市でもこうした分野で企業が技術力を発揮できるよう支援をするとともに、省エネにより経営効率を高めるための支援についても検討してまいりたい、と考えてございます。
 二つめの商店街支援への強化についてでございます。今年度の空き店活用への事業の募集にあたりましては、広報さっぽろの活用や、各種企業セミナーの参加者へのPRなど、事業の周知に力を入れているところでございます。これまで2回の募集を終えた段階で、7件の申請があり、3件の補助決定をしているところでございます。現在、3回目の募集をおこなっているところでございますけれども、今後も積極的な活用を促すためのさらなる周知をはかってまいりたいと考えてございます。
 三点目の雇用の問題についてのうち、一点目の新卒、若者就職支援についてでございます。ジョブスタートプログラムは、国からの全額補助事業であります緊急雇用創出事業の一つとして、平成22年度から実施をしているところでございまして、平成24年度までの三年間の総事業費は約15億円になってございます。国の財源手当がない中で、給与を支給しながら支援をするという事業を、札幌市単独で継続することは財政的に難しいと考えておりますが、平成25年度におきましては、引き続き実施ができるよう現在確保に向けて北海道とも調整をしているところでございます。
 二点目の企業向け若年層雇用安定助成金についてでございます。昨年度の実績をふまえ、雇用意欲のある事業主に多く活用してもらうために、今年度から広報誌への掲載やチラシ配架だけではなく、事業主へ直接働きかけを実施いたしましたほか、支給人数の上限を1社あたり2名から10名に変更したところでございます。申請にあたりましては、求人方法の用件の緩和をするとともに、卒業証明書の提出も不要とするなど、手続きを簡略化・簡素化したところもありまして、今後とも利用しやすい制度となるよう改善につとめてまいりたいと考えてございます。以上であります。

坂本 きょう子議員 再質問

 原発の問題についてですけれども、毎週金曜日、道庁北門前で本当にいろんな方が集まって抗議集会をおこなっています。ぜひ、上田市長、参加してください。ぜひそこでスピーチをやっていただきたいと思います。脱原発依存の社会に向けて、市長の役割はたいへん大きいものと考えて、エネルギー政策の話しもされていましたけれども、ここで話したことを、道庁北門前に行って話していただきたい。こう思います。ぜひ参加をお願いいたします。
 それで再質問ですけれども、市営住宅の問題と生活保護の問題についてうかがいたいと思います。
 まず生活保護の問題についてですが、申請権は侵害していない、という答弁がありました。申請書類のことについても、しおりが保護課の窓口に置いてあるんだ、と。申請の意思が示されれば申請書は渡す、だからここも侵害をしていることにはならない、というお話しでした。白石区で起きた姉妹の孤立死事件、この事件では明らかに申請権の侵害があったというふうに私たちは認識をしております。調査団も全国から入りましたけれども、申請権の侵害があったという結論だったと私は理解をしております。そういう意味では、三回、窓口に足をはこんで、なおかつこういういたましい亡くなり方をしなければならなかった。私は行政の大きな問題が、やはりあると思います。現実を直視して、この事件からどう教訓を学び取って、そして反省すべき点はしっかり反省をして、改善をしていくのか。こういう立場に立つことが決定的に重要だと思うのですけれども、今の対応で十分なんです、と。やっているんです、と。こういうことでは私、第二、第三の同じ事件が、問題が繰り返されるというふうに思います。あらためてこの申請権の問題について認識をうかがいたいと思います。
 それから、豊平区の事例を引いて、保護の廃止の問題の指摘をしました。指導指示には、就労活動をするということ、それから週に1回その活動の内容を報告すること、こういうふうに言われていました。代表質問でも言いましたけれども、月に10回ハローワークに行って2回ケースワーカーのところに足をはこんでいる、けれどもたまたまそのケースワーカーさんは出かけていて会えなかった。こういう中で、答弁では、口頭でまず言う、文書を出す、今度は期限付きの文書を出す、弁明の機会を与える、こういう順序だということでしたけれども、結局2回会えなかったというだけで、就労活動はしていない、こういう認識ですよ。報告がされていないからということで、生活保護を一方的に打ち切る。はたして就労活動はしていなかったのか、本当に報告には来ていなかったのか、できる状態にあったのかなかったのか、こういう確認というのは、ケースワーカーとして当然やるべき仕事だったというふうに思います。報告ができない状況にある、何か事情があったのかもしれません。このことについて、きちんと目配りをする、気配りをしていくというのが大事なんじゃないですか。とりわけ生活保護というのは、最後のセーフティネットというふうに言われているわけですから、ここの網の目からさえこぼれ落ちてしまったら、もう生きていく術はすべて奪われる。社会保障制度では守ることはできないということになってしまうわけですから、私はやはり乱暴なやり方だったというふうに思います。氷山の一角だと思うんですよ、この方のケースというのは。あらためて、全体的にこういうケースがあったのかなかったのか、ケースワーカーの対応が妥当だったのかどうだったのか、こういう検証をおこなうべきだというふうに思いますけれども、この点についてもいかがなのかうかがいます。
 それから市営住宅の問題についてです。「不公平感」という質問をいたしました。受益と負担の公平性、行政サービスを受けているものと受けていないものとの公平性、そして、世代間の公平性、「公平性」という言葉の一方には「不公平感がある」、ということですよ。行政の側から一方的に公平ということを言われていても、市民の中に不公平感はあるのかないのかという、ここの問題が決定的ではないかというふうに思います。住まいの協議会の答申を取り上げて、不公平を是正するために、と。独自の低減制度、軽減率、これは政令指定都市並みにして、そして収入に応じた家賃を納めてもらうんだ、という言い方でした。であるならば、当初、行政側が言っていた「不公平感」、これはいったいどこにあるのでしょうか。「不公平感がある」から住まいの協議会に諮問したんですよね。そのことに対して答申が返ってきた。だからそれを具体化するために、いま原局としては計画を立てている、こういう状況にあるわけですよね。不公平感がない、市が値上げに結びつけるために市営住宅に入った人、入らなかった人、こういう区別を勝手につけて、そして入った人は安くてたいした助かっている、それでもこっちでは抽選にはずれて高い民間アパートに入っていなければならない人がいる、だから不公平だ。そういうふうに言うんですか。だったら市営住宅つくればいいじゃないですか。(「そうだ」の声)民間のアパートを借り上げて家賃の補給してあげればいいじゃないですか。それこそが、いまの収入に見合った人たち、住宅に困窮している人に対してやってあげる住宅政策、札幌市の根幹がそこにあるんじゃないですか。私どもは、不公平感というものが、そもそもないというふうに思っています。市営住宅の減免制度を見直すために市が勝手に作り出したものだ、そういうふうに思いますけれども、根拠があってこの不公平感という言葉を使っているんですか。この点についてお聞かせいただきたいと思います。

渡部副市長 答弁

 まず、生活保護の申請についてでございます。ご指摘のとおり、白石区のあの事件を受けまして、生活保護のしおりを改訂いたしまして、誰もが申請できるというようなことを大きく明記した上で、来所された方が自由に持ち帰りできるように、各区の保護課に配置することにしたものでございます。白石区の案件につきまして、やはりわれわれとしてもいたましく受け止めておりますし、この辺のところを改善したというふうに考えております。また相談者が保護申請の意思を示された場合には、必ず申請書を交付し、申請手続きについて適切に助言をしているところでございます。
 次に保護の職権廃止についてでございますけれど、これもくり返しになりますけれども、職権廃止の手続きにつきましては生活保護法に定められておりまして、実施機関では法にのっとって適正に廃止処分をおこなっている、ということになっております。生活保護の停止が適正かどうかは、それまでどのような援助をおこなっていたのか等、各実施機関がそれまでの状況に応じて全体的な流れの中で判断しているものでございまして、断片的な事象のみを取り上げて評価を下すことは適切ではないと、そのように考えております。個別の案件についてはさらに言えば、個人情報の観点から、これ以上はご説明申し上げることはできません。以上でございます。

秋元副市長 答弁

 市営住宅の関係でございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたように、公営住宅の家賃そのものが、所得に応じてと言いますか、低廉に設定をされているところでありまして、そこからさらに独自の減免をおこなってきたということであります。
 この減免額というのが平成22年度において約14億になって、一般財源からこれを出していることで、一般財源全体の圧迫をしてきているということを申し上げました。で、不公平感があるなしということよりは、公平性の確保ということが観点として必要だということを申し上げて、ということでございます。以上でございます。

坂本 きょう子議員

 生活保護の問題についてですけれども、しおりを自由に持ち帰られるというふうにおっしゃいましたけれども、実際に現場のところに通知が下りていくまでにかなりの時間がかかっていますね。やっと、しおりが表に置かれるようになったということです。いろんなことにスピード感をもってとか、そういうふうにことあるごとにおっしゃっていますけれども、ことに生活保護、福祉の問題に関してのスピード感はなさすぎですね。そして現状の把握をする、きちんと自らをかえりみて、正すべきところは正すということがしっかりやられていない。このことはあらためて申し上げたいと思います。とりわけ生活保護はいまだって、相談ですね、申請じゃないと、たくさん帰されているんですよ。たいへんな思いをして、やっと生活保護の窓口に行っている、そういう市民に対して親身になって、本当に心を寄り添わせて、そういう保護行政をやっていただきたいと思いますし、現に私たちは、実態をみなさんに明らかにしながら対応を求めていきたいと思います。
 先ほど「個人情報だからこれ以上は言えない」と副市長はおっしゃったけれども、私も、「氷山の一角だと思いますよ」と言いました。私たちの目にも届いていないいろんな事例がさまざまあると思う。そのことをとって「個人情報だから言えない」ということにはなりませんよ。一つ一つ検証して、教訓化していく、このことをしっかりやっていただきたい。二度とこのような職権乱用とも思われるような、あるいは手続き上おかしいと思われるような、こういう状況はつくらないでいただきたいというふうに思います。
 それから市営住宅についてですけれども、不公平感というよりは公平性の確保ということだ、とおっしゃいました。国語的にどう違うんですかね。答弁は求めないからいいです。公平性を確保するっていうことは、不公平だと思っている人が少なからずいるっていうことだからそういう言葉が出てくるっていうことだと思いますよ。受益と負担の公平性、サービスを受けているものと受けていないものの公平性、いろんな「公平性」という言葉を使ってそれで積み上げたって、砂上の楼閣ですからね。崩れ落ちていくんですよ。
 行財政改革推進プランもそうです。反対の声が多かったのに、結局保育料の値上げだって延長保育だって有料化はどんどんされてきている。私は、市民の声にしっかり耳を傾けてもらいたいと思います。低所得者、若い世代、本当に子育てするのに大変な思いをしている。そしていま高齢者に対しても弱いものいじめの政治、これを国と一緒になって札幌市政がやっていくのか。ここが問われていますよ。
 上田市長は先ほど社会保障の問題で(議長より「坂本議員簡潔にお願いいたします」の声)受益者負担の問題、持続可能な制度とするためにこれは必要なものかもしれないというふうに言っていましたけれども、そっくりそのまま、その言葉を上田市長にお返しをして、私の質問を終わりたいと思います。