20130613miyakawa 私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、社会保障の削減に対する認識についてです。
 安倍政権は、「最後のセーフティーネット」である生活保護基準の引き下げを行いました。これを突破口に、70歳~74歳の窓口負担を1割から2割へ引き上げることや、高額療養費の上限額引き上げ、介護認定で要支援とされた方を保険給付からはずし、年金支給開始年齢を68歳ないし70歳へ先延ばしするなど、社会保障の全分野にわたる予算削減と制度改悪に乗り出そうとしています。そして、これらを一括して改悪する日程などを盛り込んだプログラム法案を、秋の臨時国会に提出するとしています。
 これらは、国民の生存権を保障し、国に社会保障増進の責務を課した憲法25条に背を向けるものです。
 世界人権宣言第22条は、「すべて人は、社会の一員として社会保障を受ける権利を有し…自己の尊厳と自己の人格の自由な発展に欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する」としており、この「宣言」を条約化した国際人権規約をわが国も批准しています。
 政府の社会保障削減政策は、世界人権宣言や、憲法第25条に照らして問題であり、市民の福祉の増進とは、相反するものだと思いますが、いかがか、プログラム法案に対する市長の見解もお示しください。
 質問の第2は、「集団的自衛権の行使」についてです。
 歴代政権が、憲法上できないとしてきた「集団的自衛権」の行使について、安倍政権はこれを可能とする「解釈改憲」に踏み出そうとしています。そのために、憲法解釈を担ってきた内閣法制局長官まで交替させるという、前代未聞のことまではじめました。
 これまで「集団的自衛権」が現実政治の問題になったのは、アメリカのアフガニスタンへの報復戦争やイラク戦争のときでした。
 「集団的自衛権」の行使が認められれば、アメリカの軍事介入や戦争に自衛隊が武力を持って参戦する、つまり日本がアメリカとともに戦争をする国になることは明らかです。
 このような道が、憲法9条を持つ日本が進むべき道でもなければ、世界の平和に貢献する道でもないと考えますが、いかがか、見解を伺います。
 質問の第3は、「秘密保護法案」についてです。
 安倍政権は、「秘密保護法案」の概要を公表し、秋の臨時国会に提出するとしています。概要は、「防衛」「外交」「安全脅威活動」「テロ」の4分野について行政機関の長が「特定秘密」を指定し、漏えいした職員などへ最高で懲役10年の罰則を科すというものです。
 しかも、「特定秘密」に指定されれば、それを国会に提出を求めても非公開にされ、漏らせば「懲役5年」を科すとしています。その内容を所属政党に持ち帰ることも、専門家に意見を聞くこともできなくなります。原発関連の情報は「テロ活動防止」などの名目で「特定秘密」に指定される可能性があります。
 政府が持つ情報を、一方的な判断で「秘密」と指定し、罰則を持って言論を封じる。この「秘密保護法案」は、いまの憲法のもとで許されないと考えますが、市長の見解を伺います。

 次に昨年度決算について質問します。
 質問の第1は、子育て世帯の負担増についてです。
 昨年、児童クラブの早朝・延長利用について、1か月2,000円の有料化を行いました。
 児童クラブの有料化について、市長は、「市民の皆様方からのさまざまな声をお聞きした上で、議会各会派からの申し入れもございましたが、そのことを考慮して考え直し、安くした」と記者会見で述べました。
 しかし、保育料は一方的に10%値上げしました。
 これに反対するとして、7つの保育園の父母会をはじめ16件の議会陳情が提出されました。父母会が行ったアンケート調査で「暮らしが苦しいという家庭が6割、収入が減った家庭が約4割いた」とし、「なぜ、この苦しいときに保育料の値上げなのでしょうか」と訴えていたのであります。
 市長は、昨年度予算の提案説明の際、「日本一子育てしやすい街をめざす」と言いましたが、昨年度、保育料の10%値上げ、延長保育の全面有料化、児童クラブの延長有料化をすすめました。逆に、子育てしにくくなったのではないでしょうか。
 行財政改革推進プランに対するパブリックコメントでは、保育料値上げに対し216人が意見を表明しましたが、そのうち214人が反対しています。
 同様に、延長保育の全面有料化は、寄せられた意見29件がすべて反対であり、児童クラブの延長有料化も57件のすべてが反対です。
 子育て世帯を応援するなら、パブリックコメントや議会陳情にあらわされた子育て世帯の声を尊重して、反対されるようなことはすべきでないと思いますが、いかがか、うかがいます。
 また、子育て世帯への値上げラッシュで、子育ての負担が増していると思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、住宅リフォーム助成についてです。
 住宅エコリフォームの執行は8800万円でした。工事の発注は17億6600万円、経済波及効果は28億円と見込まれます。
 予算額1億円を執行できなかった原因と、今後の対策について、どのようにお考えですか。今後の事業量増加に向けて、工事内容と業者の条件を緩和すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第3は、中小業者の支援についてです。
 中小の商店などがよく使う突出し看板の道路占用料を値上げしました。一方、北電やNTTなどの電柱と地下埋設管の使用料は、2008年度には29億円でしたが、2009年度に12億6,000万円値下げし、2012年度に2億円値上げしたと言っても、差し引き10億円安く抑えています。
 北電やNTTなどの大企業ではなく、中小業者の支援こそ必要だと思いますが、市長のお考えはいかがか、うかがいます。

 次に、石油価格高騰対策について質問します。
 世界情勢や円安の進行もあり、石油価格が高騰し、市民生活も、運輸やクリーニングをはじめ業者の営業にも深刻な影響を及ぼしています。
 また、高齢者は年金が下げられ、食料品価格が上がる中で、灯油代の高騰は二重三重の苦しみとなります。
 本市が「あったか応援資金」を始めた2007年9月10日の価格は79円でしたが、今年9月10日の灯油価格の平均は98円にもなっています。
 まず、高齢者・低所得者をはじめとした市民生活への影響、運輸・クリーニングをはじめとした石油にかかわる中小業者の経営に及ぼす影響について、どのようにとらえているのか、認識をうかがいます。
 さらに、あったか応援資金の再開と、福祉灯油の実施、保育・介護・通所作業所をはじめとした福祉の事業者への支援、さらに石油価格の影響の大きな業者への支援策を策定すべきと考えますが、いかがか、うかがいます。

 次に公契約条例について質問します。
 今議会の冒頭で、昨年2月に提案されて以来、継続審議となっていた公契約条例の議案撤回の依頼があり、承認されました。わが党は、かねてより公契約条例の必要性を明らかにし、不十分な点はその都度ただし、早期制定を強く求めてきました。
 議会運営委員会で条例案の撤回が表明された翌日の9月13日、市民約250名が参加する「なんとしても実現!! 公契約条例集会」が開かれ、10万人の賛同署名を集めながら公契約条例を早期に制定させようと決起しています。多くの労働者や市民が公契約条例の一日も早い制定を求めています。その立場から以下5点伺います。
 質問の第1は、今後の条例案の再提出についてです。
 19日の本会議において、市長は「できるだけ早い時期に議会に提案したい」と述べました。市民からも、本市が発注した仕事で働く方たちからも、早く制定してほしいとの声があがっています。一刻も早く提出すべきと考えますが、いつ提出するおつもりなのか、うかがいます。
 また、事業者への理解を得ながらとしていますが、労働条件、賃金等、いささかの後退があってはならないと思うのですが、どう考えていらっしゃるのか、うかがいます。
 前条例案では、工事契約5億円、プラント2億円などとなっていましたが、モデル事業では概ね1億円の工事から行ったわけでありますから、下限額は設けず、すべての公契約を対象に実施しても何ら問題はないと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、業界団体との協議のあり方についてです。
 市長はこの間、業界団体との協議を行ってきましたが、公契約条例制定に向けて業界団体にはどのように理解を求める努力をしてきたのか。業界からはどのような問題点を指摘されたのか、ともに解決すべき課題を見出すことはできたのか、うかがいます。
 撤回に至る経過には業界団体の理解が得られなかったためだとも報道されています。条例を提案した時の決意を一歩も後退させることなく、業界団体に対しても言うべことを、しっかり貫く姿勢で協議を行うべきでありますが、今後どのように業界団体との協議をすすめていくのか、円滑な協議のあり方をどのように考えておられるのか具体的にお答えください。
 質問の第3はモデル事業の結果についてです。
 本市発注の工事で働く労働者の賃金の実態や、公契約条例における報告など事務処理の諸課題の検証を行うため、建築、下水道、橋梁、機械設備、造園など7工種でモデル事業を行いました。
 その結果については先の財政市民委員会でも報告され、異常に低い賃金の例があることが明らかになりました。国の定める標準的賃金である2省単価に対する割合で、80%未満が2割、40%台にしかならない労働者もいることが明らかになっています。本市自らが発注した事業で、標準的な賃金を大幅に下回る実態があるのです。本市が官製ワーキングプアを生み出している現実を、市長はどう認識しているのですか、40%台という賃金を異常な事態とはお考えにならないのかうかがいます。是正の手立てを講じるべき問題ですが、どう対処するのか、うかがいます。
 質問の第4は条例の理念についてです。
 このたび条例案を撤回した理由のひとつに理念を書き加えたいとしています。本市財政局のホームページには、すでに条例の理念として、「公契約に係る適正な労働環境の確保」を中心に据え、対象労働者には「適正な賃金の確保・働きがい」公契約の相手方すなわち受注者、事業者には「業界の魅力向上・人材確保・技術継承」、市民には「市の事業の質の向上・安心して働き、暮らすことのできる地域社会・市民福祉の増進・地域経済の活性化」と書かれています。今後の見直しでこれらが歪められたり削除されたりすることはあってはならないと思うのですが市長はいかがお考えですか。条例制定によってそれらが実現する実効性のあるものにすべきと思うのですが、いかがお考えか、改めて伺います。
 質問の第5は、本市が直接雇用している非常勤及び臨時職員の処遇改善についてです。
 公契約条例を制定した相模原市では、労働報酬下限額を非常勤職員にも適用し、一般職では管理代行などの主事・給食調理員などで836円から885円、事務職員も時給15円の引き上げを実現しています。
 本市でも公契約条例制定にさきがけて、直接雇用の非常勤および臨時職員の賃金引き上げを行うべきだと考えますが、いかがですか伺います。

 次に国民健康保険の問題について質問します。
 質問の第1は、広域化についてです。
 現在、国が検討している広域化は、市町村が国保料を決め、保険料の徴収も行いますが、都道府県が一括して医療機関に支払うようです。
 この広域化がなされた場合、本市において、どのような影響が出ると想定していますか、明らかにしてください。
 本市では、平均国保料は15万円で据え置くという考え方のもとに、それに必要な一般会計からの繰入を実施してきました。広域化したとしても、国保料の値上げはしない、そのために必要な繰り入れを確保するという考え方を変えるべきではないと思いますが、いかがか、うかがいます。
 本市として、広域化は反対だと国に訴えるべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、国保料についてです。
 私ども日本共産党札幌市議団では、市内全戸を対象に市政アンケートを実施しています。現在、アンケートの配布と集計の最中でありますが、9月13日時点で、1,507通の回答がありました。「医療について、ご意見ご要望をうかがいます」という設問に対して、「国民健康保険料の引き下げ」という回答が、839件、55.7%であります。
 2011年度の本市の1世帯当たり平均保険料は、20指定都市中18番目と低いように感じられますが、それは、本市国保加入者の所得が少ないためであります。
 同じ所得での保険料を他都市と比較すると、本市の国保料は高いのではないかと思いますが、いかがか、うかがいます。
 本市国保加入者の平均所得は、1992年度279万円でありましたが、昨年度には95万円と、およそ3分の1に減少しています。加入者全体の収入が減り続けてきたのに、平均保険料は下げずに、同額を維持しております。
 そのため、ある加入者が同じ年収を続けた場合、保険料は毎年高くなっていきます。
 すなわち、年金収入200万円の2人世帯の場合、92年度の国保料は4万7千円でありましたが、昨年度、同じ収入で保険料は12万5千円と比較にならないほど高くなっているのであります。
 平均保険料は上がっていないと言っても、加入者の立場に立てば、同じ収入なのに、保険料は毎年上がるということになるのです。
 ですから、平均保険料を据え置くだけでなく、引き下げに踏み切るべきであります。
 一般会計から保険料軽減対策としての繰り入れですが、2008年度には132億7900万円でした。ところが、昨年度は予算で85億4100万円でした。決算は、46億3400万円の繰り入れで、39億円の不用額を生じています。
 2008年度並みに繰り入れを行った場合、国保料は、1世帯当たり2万3千円の引き下げが可能になります。
 昨年度予算で確保した85億4100万円の繰入を全額実施していたら、1万3千円の保険料引き下げが可能だったことになります。
 さらに、この保険料軽減対策の繰り入れですが、2009年度以来、4年連続で不用額を生じているのです。
 いったん確保した予算でありますから、不用額として全額一般会計に戻すのではなく、市長自身も「本市の国保料は高い」と言われているのですから、国保料引き下げの財源として有効に活用すべきであります。
 ただいま財源があることを明らかに致しました。
 国保料引き下げに踏み出すべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第3は、過酷な保険料の取立てと、資格証明書解除の条件についてです。
 2008年10月30日、厚生労働省保健局国民健康保険課長通知「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」で、資格証明書は「納付相談の機会を確保するために交付しているのであり、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の把握を適切に行」うことを義務付けています。
 ところが、本市において、納付相談を行ったうえで、滞納保険料を分割して支払う金額が、区役所の求める金額より低いこと理由に、資格証明書を解除しない例が起きています。
 2009年第1回定例会の私の代表質問に対して、副市長の答弁は「医療が必要となった資格証明書交付世帯に対しましては、保険料の納付にかかわらず、短期保険者証を交付することなどの対応が、国によって、明確に示された」、さらに「札幌市としても」「医療が必要で、一時払いが困難な場合、保険料の納付にかかわらず短期被保険者証を交付する」と答弁しています。
 あらためてうかがいますが、医療の必要性が生じ、病院窓口での医療費の一時払い、10割全額を払えない方が納付相談に来たとき、資格証明書解除の条件は、滞納保険料の支払方法や金額ではないことを明らかにしてください。
 さらに、資格証明書の方が、区役所に相談に行った際、滞納保険料の分割納付方法・金額を問題にし、医療が必要であるにもかかわらず、資格証明書を解除しない例が起きています。このような対応が区役所の現場で起きていないか、ただちに調査を行うこと、さらに、代表質問で問題指摘がなされたことを、各区役所に周知徹底すべきですが、今後の対処について、具体的に明らかにしてください。

 次に、生活保護行政について質問します。
 本市の保護受給世帯は、今年8月現在で51,980世帯になっています。生活保護世帯が全国的にも増加しているのは、非正規労働者の異常な低賃金や派遣切り、大企業の人減らしなどの雇用環境の悪化、経済状況の他に、国において年金や医療など社会保障制度を連続して改悪していることが大きな要因になっています。
 質問の第1は、8月から実施された生活保護基準の引き下げについてです。
 市内に住むある女性は、子ども2人と母の4人暮らし、「8月から6000円も引き下げられて、何をどう切りつめるのか」と悩んでいます。70才の方は「保護費が1000円引き下げられ、老齢加算もなくなり辛抱してきたのに、これでは生活できません」と途方に暮れています。
 7月にも最低限度の生活だったのに8月にさらに引き下げられたことは、あまりにも苛酷だと思うのですが、いかがか、市長の見解をうかがいます。
 保護世帯の健康で文化的な生活を保障するには、現在の保護費では、困難だと思いますが、いかがお考えか、うかがいます。
 質問の第2は、当事者の不服申し立て審査請求についてです。
 基準の引き下げで生活保護を受給できなくなる世帯も生まれるのですが、また、札幌の場合ほぼ全員が引き下げられます。「もう暮らしていけない」、「我慢できない」など、この引き下げの撤回を求め、行政への不服申し立てを行う「審査請求」運動が広まり、本市でも9月20日現在で907人にのぼります。
 審査請求を行うことは、自らが保護を受けていると明らかにすることであり、大変、勇気のいることです。それでも多くの人が、立ち上がっていることを、どう受け止めていますか、明らかにしてください。
 質問の第3は、受給者以外の市民の暮らしに与える影響についてです。
 生活保護基準の引き下げは、税制、社会保障、福祉制度全般に影響がでて、保護を受給していない市民の暮らしにも影響を与えることになります。
 とり分け影響が心配されているのが、子どもたちの教育を支援する就学援助です。
 生活保護基準の1.1倍とされている就学援助の認定基準も連動して下がることになります。
 引き下げるべきではないと思いますが、今年度、来年度および、それ以後はどのように対応していくのか、伺います。
 また、住民税の非課税基準については、保護基準を勘案して定めています。現在、住民税がゼロの世帯の負担増をどのように見込んでいるのか伺います。
 保育所保育料や市営住宅家賃減免についても、保護基準に連動することが懸念されます。それぞれどのように考えていますか、また全ての本市の事業で、生活保護基準に連動するものは、どのような事業が何項目あるのかお示しください。
 質問の第4は、指導指示に従わない場合の保護の打ち切りについてです。
 様々な理由で就労に至らなかった人で廃止になっている人がいます。知的障害のある方などは、指導指示書を出されても、どうしていいかわからず適切な方法を取ることが出来ないまま廃止になることがあります。生活保護を悪用しているような悪質な事例でなく、知的障害を持っているために、混乱してうまく対応できなかったり、乱暴な言動になってしまうことがあります。1人のケースワーカーが最大で112人もの受給者を担当していることがあります。職員の増員を行い、本人に寄り添った援助が求められているのではないでしょうか。
 指導指示で「就労活動を行いなさい」「就労活動を行ったことを、区役所に報告しなさい」ということが、よくあります。実際に、就労活動を行っていても仕事が決まらない場合など、区役所保護課で何を言われるか不安をいだき、行ったときに担当ケースワーカーがいなければ、ホッとして帰宅し、そのままにしてしまうという例もあります。
 このような場合、就労活動をしていても、「報告がない」ということで、保護廃止になることがあります。
 また、「収入があった場合には報告しなさい」という指導指示を受けていた人が、身内に不幸があり香典を受け取りました。香典は収入認定されないことを知っていたため、報告はしませんでした。すると区役所は「収入認定するものではないが、収入があったのに報告しておらず、指導指示違反」として保護を廃止した例があります。
 この2つの例は、就労活動はしていたこと、香典は収入認定されないものであり、いずれも実害はないのです。単に「報告がない」ということであれば、あらためて報告を求めればよいことであり、最後のセーフティーネットを断ち切るほどのことではありません。
 「報告がない」ということで、機械的に廃止するのではなく、実態の掌握を前提とした対応をすべきと思いますが、いかがか、うかがいます。

 次に保育問題について質問します。
 子ども・子育て支援新制度は、2015年4月からの本格施行をめざし、具体化が進められています。国は各市町村に国の方針にそった計画策定の準備をさせるために2013年度中に様々な基準を示す方向です。
 子どもの保育に格差を持ち込み、保育を市場に委ねるという制度に保育関係者だけでなく、研究者や法曹団体からも反対の声が上がっています。新制度の抱える問題について2点質問します。
 質問の第1は、保育の質の問題についてです。
 市長は、5月21日に行われた定例記者会見で、「待機児童の解消を図るという『待機児童解消加速化プラン』を積極的に活用して加速度的に取り組みを進めていきたい」と言われました。政府が横浜市をモデルにした「待機児童解消加速化プラン」を出したことは、「保育の質が守られるのか」と親たちの中で危惧と不安が広がっています。
 横浜方式は、新制度の先取りとも言えるもので、新設の認可保育所144園中6割近い81園が株式会社設立です。そのうち46園は園庭の面積基準の緩和をうけ、ビルの高層階やマンション内、鉄道の高架下の認可保育所も作られています。さらに人件費比率で、株式会社は社会福祉法人の7割にとどまっていることや、横浜市内の株式会社設立のある認可保育所の収支報告では、研修費が年間2万3100円と平均の1割程度の金額となっている一方で、広報費が82万円も使われていました。保育士の待遇や研修は保育の質を支える上で重要です。利益優先のために人件費や研修費を切り詰める企業は、子ども達に豊かな保育環境を育む保育の質を高めるという考え方ではなく、コストとしか見ていないというのが真相です。
 市長は、利益最優先の企業の参入で保育の質が守られると考えているのですか。本市においては、保育の質を守るために営利企業の進出は抑制すべきと考えますが、いかがか市長のご見解を伺います。
 質問の第2は、待機児童の定義についてです。
 市長は、5月21日の定例記者会見で「国の基準あるいは横浜の基準に合わせると札幌市の待機児童は398人」と述べました
 しかし、児童の兄や姉と別々の保育所になると送り迎えに困るなどの理由から、特定の保育所1か所にだけ入所申し込みをしているために待機児童数から除外されている児童が359人います。さらに、認可保育所に入所を申し込んでいながら入れないために、保育ルームや幼稚園預かり保育、幼稚園保育室に通っている児童61人も、待機児童数から除外されています。入所申し込みをしていても、主に自宅で求職活動をしている世帯の児童215人も待機児童数には含まれていません。
 これらを含めた本当の待機児童数は、4月1日時点で1033人となっています。
 5月20日に「待機児童ゼロ」を宣言した横浜市でも、親が育休延長や求職中の子ども、さらに一時保育や認可外施設の利用者等は待機児童としてカウントしておらず、それらを含めると4月1日時点で1746人の待機児童がいるというのが実態です。待機児童を狭く定義する「横浜マジック」による「待機児童ゼロ宣言」であり、その定義から外れている児童は待機児とカウントされずに放置されていることは問題です。
 わが党は、2009年の第3回定例市議会の代表質問で「今後の待機児童数の公表については隠されてきた待機児童数も明らかにすべきと」求め、市長は、「私は保育を必要とするすべての方に保育を提供したいという気持ちでいます・・・可能な限り努力をしていきたい」と答弁しています。
 4月時点で待機児童は1,033人と申し上げましたが、その他に超過入所の児童数は869人です。
 本市は2014年度までに待機児童をゼロにするとしていますが、先ほど申し上げた入所を希望していながら待機児童数から除外されている、「隠された待機児童」も含めたゼロ宣言なのか市民の前に明らかにしてください。

 次に、教員の再任用について質問します。
 本市の場合、60歳の定年を迎えた市職員は、再任用で雇用される制度があります。
 民間においても、60歳以後は、嘱託などで雇用を継続することが、広がってきました。
 今年から厚生年金の報酬比例部分の支給年齢引き上げがはじまり、無年金者が発生します。
 教育公務員の再任用についてですが、少子化で学校も学級も減る、教員定数が減っていく中で、再任用職場を探さなくてはなりません。しかも、教員の年齢バランスにも考慮しなくてはなりません。
 そこで、質問ですが、本市教育委員会は、退職予定の教員全員の、再任用についての要望を把握しているのですか、また、希望者が再任用されるよう対応すべきと思いますが、現状と、今後の見通しについてうかがいます。

 次に、児童心療センターと発達医療センターについて質問します。
 質問の第1は、寄附講座についてです。
 7月12日、札幌市精神保健福祉審議会児童精神科医療検討部会より上田市長に「緊急提言書」が提出されました。「全ての答申と一体化して提案されるべきであるが(略)前倒しの緊急提言となった」と、本市の寄附による児童精神医学講座の大学設置を求めています。
 児童精神科の医師は全国的に不足しており、この緊急の要請に本市が積極的にこたえるべきと考えますが、いかが対処されるお考えか、方針をうかがいます。
 質問の第2は、来年4月からの児童心療センターの医療体制についてです。
 今年度は医師が3名しか確保できなかったため、外来は再来のみで新規患者の受け付けは中止されたままです。本市が市内の児童精神科関係医療機関に対して行った「子どもの心および発達障がいの診療に関するアンケート調査」では、多くの医療機関が本市児童心療センターに対して「入院の受け入れを十分に行ってほしい」など入院機能の充実を求めていますが、現在の児童心療センターへの入院患者は、小児病棟で9名、のぞみ学園で6名の計15名です。 
 当面の児童心療センターの医師の確保が引き続き必要です。どのように確保されるお考えか、少なくとも、診療縮小前に戻すよう最大限の努力を図るべきだと思いますがどのような構えでおられるのか、うかがいます。
 質問の第3は、発達医療センター移転とサテライト機能についてです。
 発達医療センターは、来年5月から平岸の新複合施設に移転する計画で、現在の利用者には「利用機会を確保できる方策を検討している」とのことでした。
 4歳の児童を発達医療センターに通院させている家族から、「歩けなかった子が歩けるようになりました。しかし、平岸では遠くて通えません。美香保整肢園は午後3時からの受け付けで、上の子が小学校から帰ってくるので通えません」という声が寄せられました。
 豊平区平岸と東区美香保整肢園の2か所だけでは不十分です。市立札幌病院の中に発達医療センターのサテライト機能を作るなどの手立てを講じるべき考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第4は、医療・福祉・教育を連携させる人材養成についてです。
 厚生労働省では、「子どもの心の診療ネットワーク事業」を2分の1補助で行っていますが、その対象は都道府県となっており、北海道のいっそうの子どもの心に対する支援策が期待されるところです。
 三重県では、県立こども心療センターあすなろ学園がこのネットワーク事業の実施病院となっています。医師の研修システムづくり、研修医の受け入れのほか、三重県下の保育士・保健師・教員などをアドバイザーとして養成するための実地研修などを行っているとお聞きしています。1年間の研修を受けた人が、もとの職場にもどり、現場での療育プログラムを作る中心的役割を果たす人材となるような養成をしているとのことです。
 今後、三重県でのとりくみにも学び、障がい児支援を強化すべきです。
 とくに、医療と福祉・教育が、カンファレンスを行うなど情報を共有し、連携を強めることが必要だと考えますが、いかがですか。そのための人材育成や、北海道との連携強化をすすめるべきと考えますが、いかがか、うかがいます。

 最後に、北5条西8丁目地区、伊藤義郎邸の緑地の保全について質問します。
 第1回定例会の予算特別委員会で、理事者は、わが党の質問に「土地所有者も、貴重な緑地と認識しており保全していきたい。有効活用との両立について、相談している。都心のまとまった樹林地であり、サクシュコトニ川の水源のメムがある。自然環境や歴史的、文化的な価値を評価する必要がある」と答弁しております。
 本市は、5月14日から、植物・メム・立木などの調査を行ったそうであります。
 私ども市議団としても、7月31日に、伊藤組役員の方の案内で現地調査を行いました。
 ハルニレやケヤキなどの大木が多数あり、メムは地下水位が下がったために湧出してはおりませんが、池として保全されておりました。メム周囲の地形は、小さな崖とも言える高低差があり、扇状地先端部分で開拓以前の地形を残している唯一の場所ではないかと思っています。
 本市の調査結果で、どのような評価をしているのか、明らかにしてください。
 また、植物園、伊藤邸、偕楽園と続く、貴重な緑の回廊をなす場所として、本市が購入して保全すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございます。

 

上田市長 答弁

 11項目ご質問がございましたので、私からは政治姿勢と、昨年度の決算についてお答えをさせていただきます。その余は担当の副市長、並びに教育長からも答弁をさせていただきます。
 私の政治姿勢についてお尋ねでございまして、まず社会保障の削減についての認識についてという項目で、社会保障改革及びプログラム法案についてご質問でございますので、ここで一括してお答えをさせていただきます。
 社会保障制度は、すべての国民が安心して生活をしていける仕組みというものを、国が責任を持って構築していくものと認識をしております。社会保障制度改革の国民会議の報告書を踏まえまして、先に閣議決定されました「社会保障制度改革の推進に関する骨子」というものは、少子化対策、あるいは医療、介護、年金の各分野について、消費税率の引き上げを前提に、給付と負担の見直し策というものを網羅したものでございます。
 私といたしましては、これによって能力に応じた負担の仕組みというものを、整備をすると同時に、社会保障がそれを必要としております人たちに、しっかりと給付されるような改革が行われるように期待をしている、ということでございます。個別の具体的な制度は、今後の検討にゆだねられるところでありますが、いずれにいたしましても、私たちが納める税金というものが、国民みんなが、安心して生活するために使われるように、引き続き国に対して必要な働きかけを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
 私の政治姿勢の中の、集団的自衛権の行使について、ということでございます。集団的自衛権の行使を認めるための憲法解釈の見直し、ということでございますが、現在、首相の私的な諮問機関におきまして、検討されているところでございます。この点につきましては、さまざまな立場から議論がされていることは、ご承知のとおりでございます。これまで、繰り返しお答えをしておりますが、憲法第9条というものが、国の平和主義の実現のために果たしてきた役割というものを考えますと、その解釈の見直しというのは非常に慎重にしなければならない、かつこれまでの日本政府の見解というもの、あるいは、歴史的な国民の理解といったものを考えます時に、憲法の9条というものが、1項で戦争放棄、2項で戦力の不保持、そして交戦権を認めない、という徹底した平和主義をとっている構造になっておりまして、その中で、国民の、憲法の中にございます、前文で規定をしている平和的な生存権、あるいは憲法13条の国民の幸福追求権、自由だとか、生命を保持する権利は、国政上、最大限の尊重をしなければならないという規定に照らしまして、直接、国が攻撃をされ国民が攻撃をされる、そのような場合に限って、国は何かをしなければならない、そんな意味から個別的自衛権というものが例外的に認められた、そしてそのように運用してきたのが、これまでの政府の考え方で、また、多くの国民がそれを支持してきたんだと、このように思います。このような憲法の9条、並びに9条の1項、2項、合わせて憲法全体の平和主義の考え方から言いまして、集団的自衛権というのは、憲法9条の解釈を超える、限界を超えた解釈ではないかと、私はそのように考えております。そのような意味において、今後議論されるときにはですね、しっかりとした歴史的な日本の立場というものを選択するべく、多くの市民の皆さん方に議論に参加をしていただきたい、このように考えているところでございます。
 秘密保護法案に対する見解でございますが、国民主権というものを基本原則といたします憲法のもとにありまして、国民の知る権利というものは、健全な民主主義の根幹となる、きわめて重要な権利だと私は考えております。概要が公表されました、いわゆる秘密保護法案に関しましては、「国民の知る権利」や、あるいはその権利に奉仕をいたします、取材をするメディアの「取材の自由」、そして「報道の自由」、この保障と、国家の安全保障に関する秘密の保全の両者について、どのように調整をしていくのかという、根本的な問題でございます。しかし、ここにかなりの問題があるということは、さまざまな団体、例えば日本弁護士連合会や新聞協会などから問題提起がされているところでございまして、その「特定秘密」の範囲はあいまいで、恣意的な指定だとか、あるいは、国民に必要な情報の秘匿のおそれがあるだとか、あるいは「特定秘密」の漏えいの教唆罪というものが設けられておりますことで、通常の取材活動にも罪を問われかねない、というようなことが日弁連、あるいは新聞協会等から指摘をされているわけであります。このような指摘というのが、ひとたびその運用を誤れば、国民の重要な権利利益というものを侵害するおそれが無しとは言えない、非常に危ない、というご指摘でもございました。私も、そのような意味から、丁寧な国民的議論と併せて、国会でも慎重な審議をしていただきたい、こんなふうに希望をしているところでございます。
 2点目の、平成24年度決算につきまして、お答えをさせていただきます。
 子育て世代の負担増についてということでご質問でございますが、子育て世代を取り巻くきびしい社会経済情勢というものは、十分に認識をしているところでございますが、パブリックコメントの結果等、子育て世代の声につきましては、真摯に受け止めなければならないものと、このように思っております。しかしながら、財政状況というものが依然としてきびしい中にありまして、保育施策をはじめとして、さまざまな子育て支援施策というものを積極的に進めておりまして、これらの制度を持続可能なものとするためには、子育て世代の皆さま方にも、一定のご負担のお願いをしたところでございます。
 住宅リフォーム助成につきまして、住宅エコリフォーム助成の執行額が8,839万円にとどまった原因は、賃貸住宅の改修に伴う申請というものが、国の同種の補助に集中をした結果、当初の見込みを下回ったことによるものでございます。また、今年度の申請では、既に予算を上回る申請が寄せられておりますことから、工事内容と業者条件の緩和については、そこの必要性については今のところ考えていない、ということでございます。
 中小業者の支援についてということでございますが、札幌市の、市の道路占有料につきましては、札幌市内の国道の道路占有料との均衡を図っているものでございます。市内企業のほとんどは中小企業で占められておりまして、中小企業支援というのはきわめて重要な課題であると、このように私も考えております。このために、中小企業の振興や支援に関する基本理念を定めました、中小企業振興条例を平成20年度4月に施行いたしまして、この考え方に基づきまして、札幌市産業振興ビジョンや新まちづくり計画などに、さまざまな中小企業支援策を盛り込み、これらの施策を着実に進めているところでございます。そのような意味において、札幌市政を執行していきたい、このような決意をあらためて表明させていただきたいと存じます。以上でございます。

生島副市長 答弁

 私からは、11番目にございました、北5条西8丁目地区の緑地保全についてお答えをいたします。
 まず、調査結果の評価についてでございます。北5西8地区には、札幌周辺の典型的な在来植物が比較的良好に残されていることや、メムは枯渇はしているものの、メム周辺特有の起伏ある地形が残されていること等が、確認をされたところでございます。有識者の皆さんからは、札幌市の中心部に残された貴重な緑地として、高く評価をされておりまして、札幌市としましても、可能な限り地区内の自然が保全されるべき場所であると認識しております。
 次に保全方法についてでありますが、北5西8地区は民有地でございますため、土地所有者のご意向を尊重しなければなりませんが、このたび所有者からございました相談の内容は、樹木等の保全と、土地の有効活用の両立を目的としたものでございますことから、今後、可能な限り、地区内の自然が保全される方法を検討していただくように、求めてまいりたいと考えております。以上であります。

秋元副市長 答弁

 私からは、4項目目の公契約条例についてお答えをいたします。
 1点目の、条例案の再提出についてであります。条例案の提出時期と内容についてでありますけれども、条例の修正案につきましては、関係業界からこれまでのご意見なども踏まえ、先の条例案に盛り込むことが適当と考えられる条項の追加を基本として検討しているところであり、できるだけ早期に再提案してまいりたいと考えております。
 条例の対象工事についてでありますが、条例の実効性の確保を図る観点から、先の条例案と同様に大規模工事をまずは対象にすることを考えているところであります。
 2点目の、業界団体との協議のあり方についてであります。関係業界団体とは、協議の場などにおいて、幅広く公契約条例に関して意見交換させていただき、条例に対する理解が得られるよう努めてきたところであります。それらの協議において、条例案に基本理念や企業経営の視点がない、などのご指摘をいただき、先の条例案にそれらの点を盛り込むことが適当と考え、条例案を撤回したところであります。今後とも、関係業界に対し、条例に対する理解が得られるよう、説明に努めてまいりたいと考えております。
 3点目の、モデル事業の結果についてであります。モデル事業では、作業報酬台帳の提出に係る事務作業の諸課題の検証と併せて賃金状況を確認をし、分布割合、これも把握をできたところでございますが、作業報酬下限額を設けておりませんので、労働者の賃金についての調査や評価を行うことには限界があるものと考えております。近く、条例案の再提案を予定をしているところであり、このような実態を踏まえた議論を行ってまいりたいと考えております。
 4点目の、条例の理念についてでございます。見直し後の条例案につきましては、公契約に係る費用が税金で賄われていることを踏まえ、公契約に係る基本理念や施策を明らかにすることにより、誰もが安心して働き、暮らすことができる地域社会の実現、及び市民の福祉の増進に寄与するものとなるよう検討しているところでございます。
 5点目の、札幌市の非常勤及び臨時職員の賃金引き上げについてであります。札幌市の非常勤職員の報酬及び臨時職員の賃金は、その職務の内容、正規職員給与との均衡、民間給与の状況などを総合的に勘案し設定をしているところであり、現在の水準は適正なものと認識をしているところであります。今後とも、公契約条例の議論経過などを踏まえるとともに、適正な水準の維持に努めてまいりたいと考えております。私からは以上です。

井上副市長 答弁

 私からは3番目・石油価格高騰対策について、5番目・国民健康保険の問題について、6番目・生活保護行政について、7番目・保育問題について、8番目・学童保育について、10番目・児童心療センターと発達医療センターについて、答弁させていただきます。
 まず3番目の石油価格高騰対策についてあります。最近の灯油などの石油製品の価格は、おおむね安定的に推移している状況であると認識をしておりますが、今後、急激に価格が高騰するようなことがあれば、特に、低所得者にとってはきびしい生活を強いられるようなことにもなりかねない、と心配しているところであります。石油価格の高騰は、広く国民生活に影響を及ぼしますことから、その対策については、まずは国において取り組むべき課題と認識をしております。市としては、今後、国や元売り事業者に対しまして、石油価格の安定に向けて要請を行うほか、エネルギー資源節約のアイデアの提示や、昨年に引き続きウォームシェアの取り組みを推進してまいりたいと考えております。なお、一時的な経済困窮の際には、社会福祉協議会が実施をいたします生活福祉資金などをご活用いただくほか、きびしい経営環境におかれている中小企業者向けには、景気対策支援資金などの貸付制度が用意されているので、状況に応じてご活用いただければと考えております。
 次に5番目の、国民健康保険の問題についてお答えをいたします。
 まず、国保の都道府県化についてでありますが、1点目の都道府県化の影響、及び2点目の保険料の軽減について一括してお答えをいたします。国民健康保険の保険者の都道府県への移行後における、市町村との役割分担や、保険料のあり方など、具体的な制度につきましては、今後、地方と十分に協議を行い、検討することとされております。このことから、札幌市への影響も含め、国や北海道の動向を注視するとともに、必要な働きかけを行ってまいりたい、と思っております。
 3点目の、都道府県化に対する評価についてであります。札幌市では、これまで国民皆保険制度を、安定的で持続可能な制度とするために、被用者保険も含めた医療保険制度の一本化を早期に実現に実現するよう、他市町村とも連携して国へ要望してまいりました。したがって、今回の都道府県化については、すべての医療保険制度の一本化に向けた第一歩として評価をしております。
 次に、保険料についての1点目、他都市へとの比較についてでありますが、平成25年度の保険料について、お話のあった年金収入200万円の2人世帯で比較いたしますと、同じ賦課方式を採用する17政令市中、高い方から10番目となります。また、札幌市の国民健康保険加入世帯の4割近くを占める、所得が33万円以下のいわゆる7割軽減世帯の保険料については、17市中、14番目となります。
 2点目の、保険料の引き下げについてでありますが、保険料軽減のための一般会計からの繰入は、一世帯当たりの平均保険料を据え置くことをねらいとして行っているものでありまして、平成24年度予算においては、医療費や国庫支出金などの見通しから、85億円余りが必要と見込んだものであります。平成24年度決算においては、医療費が見込みを下回ったことによりまして、繰入金に不用額が生じておりますが、この不用額を活用してさらに保険料を引き下げることは、一般会計に与える影響など、札幌市全体の財政のバランスや、国民健康保険に加入していない市民との負担の公平性などに鑑みますと、難しいものと考えております。
 次に、資格証明書の解除についての1点目、資格証明書の解除要件についてでありますが、資格証明書を交付している世帯主から、医療を受ける必要が生じ、医療費の一時払いが困難であるとの申し出があった場合には、生活状況などの確認をしたうえで、緊急的な対応として、保険料の納付に関わらず保険証を交付しているところであります。
 2点目の、実態調査及び周知徹底についてでありますが、各区役所におきましては、法に則った適正な事務を行っておりますが、会議や研修の場などを通じて、さらに徹底が図られますよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
 6番目の、生活保護行政についてであります。
 まず、生活保護基準の引き下げについてでありますが、生活保護基準につきましては、6月に行われた第2回札幌市議会定例会でお答えした通り、国が責任を持って決めるべきものであり、今回の見直しについても、国が客観的な指標により、合理的に行ったものと認識をしております。さらに、見直し時期や内容につきましては、今年度予算の国会審議において、さまざまな意見や主張が交わされ、十分な議論がなされたうえで決定したものだと考えております。また、今回の見直しは、激変緩和措置として、増減幅は10%を限度とし、また、3年間かけて段階的に実施するなど、保護世帯の生活にも配慮されているものと考えております。
 次に、当事者の不服申し立て審査請求についてでありますが、生活保護の決定に不服がある場合、60日以内に北海道知事に対して審査請求可能である旨、行政不服審査法第14条に規定されております。決定通知書に審査請求可能である旨も教示しているところでありますので、今回の審査請求につきましても、法に定められた権利を適正に行使したものだと認識しております。
 次に、受給者以外の市民の暮らしに与える影響についてでありますが、1点目、就学援助の今後の対応について、札幌市では、前年の4月1日現在の生活保護基準額に基づき、就学援助を受給できる世帯所得の限度額を算出しております。したがって、今回の生活保護基準額引き下げの影響が及ぶのは、平成27年度からでありまして、教育委員会では、就学援助の認定基準について、札幌市就学援助審議会における調査・審議を経る必要があると考えており、年度内を目途に諮問する予定、と聞いております。
 2点目の、住民税の非課税基準についてでありますが、生活扶助見直しに伴います個人住民税の非課税限度額については、平成26年度以降の税制改正において対応することとされておりますが、その内容は現時点で示されておりませんので、具体的に負担増を見込むことは困難であります。
 3点目の、保育所保険料や、市営住宅家賃減免についてでありますが、保育所保育料の減免につきましては、改正前の生活保護基準により、判断することとしております。市営住宅の家賃減免基準は、生活保護基準も参考にしておりますが、今年4月に改定したばかりでありまして、当面引き下げることは考えておりません。
 4点目の、影響の範囲についてでありますが、札幌市の事業のうち、生活保護基準に連動するものは、就学援助をはじめ、介護保険料や国民健康保険料など、全64項目となっております。
 次に、指導指示に従わない場合の保護の打ち切りについてでありますが、指導指示に従わない場合の保護の打ち切り、いわゆる保護の職権停廃止につきましては、法第27条による口頭での指導、文書による指示を経て、弁明の機会を付与したうえで処分するよう、厚生労働省社会・援護局長通知で規定されております。区保護課では、機械的・画一的に処分を行うのではなく、この通知に則り、実態等を把握のうえ慎重に行っているところであります。特に、職権停止につきましては、生活保護受給者にとって、もっとも重い処分となりますので、その適用につきましては、事例研修等で具体的に示し、周知徹底を図っております。今後とも、職権停止を行う際は、十分調査を行い、実態等を把握したうえで、慎重に判断するよう周知してまいります。
 次に、7番目、保育の問題についてお答えをいたします。
 保育の質の問題についてでありますが、企業が設置する認可保育所についても、社会福祉法人と同様の施設及び運営の基準に基づいて運営をされておりまして、保育の質は確保できるものと認識をしております。札幌市においては、これまでも、企業による設置を可能としており、今後も認可にあたっては、企業の経営状況や、保育事業者としての適性などについて十分な審査を行っていくとともに、開設後は、運営面でも適切に指導を行ってまいります。
 次に、待機指導の定義についてでありますが、札幌市としては、2014年度までに、まずは、国定義の待機児童数398人について、最優先に解消していくべきものと考えておりますが、保育を望むすべての保護者が、安心して必要なサービスを受けられるよう、保育環境の整備に努めていく所存であります。
 次に、学童保育についてお答えをいたします。
 まず、児童クラブの定員についてでありますが、札幌市では、希望するすべての児童が児童クラブを利用できるようにという観点から、定員を設けておりません。定員を含めた放課後児童クラブの基準については、その水準が厚生労働省令で示されることとなっているため、国の動向を引き続き注視してまいります。
 次に、指導員の処遇の問題についてでありますが、民間児童育成会に対する助成金につきましては、年々増額する国の補助基準に対応して助成を充実しているほか、家賃補助などの札幌市独自の助成項目も設け、配慮しているところであります。
 次に、学童保育指導員の資格についてでありますが、指導員には、遊びの指導や子どもの発達に応じた支援ができる専門性が必要であると考えております。指導員の資格につきましては、経過措置も含めまして、国で検討されていることから、これらについても引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、小規模学童保育についてでありますが、放課後児童クラブ利用者数が年々増加する中、助成する団体規模の最低ラインとしては、国と同様、10人というのは妥当なものと認識をしております。
 次に10番目、児童心療センターと発達医療センターについてお答えいたします。
 まず、寄附講座についてであります。寄附講座につきましては、札幌市としても市内の児童精神科医療体制の維持及びさらなる充実のために、有効な施策であると考えているところであります。そこで、児童精神科に関する研究について、歴史と実績があり、日本各地で出身の児童精神科医が活躍しております北海道大学に対しまして、来年度当初からの寄附講座設置を要請したいと考えております。
 次に、来年4月からの児童心療センターの医療体制についてであります。これまでも札幌市としては、ホームページによる公募だけではなく、医師同士のネットワークを活用するなど、さまざまなルートを通じまして、医師の確保に努めてきたところであります。しかしながら、児童精神科医師は全国でも200人程度と、極めて少なく、現時点でも確保の見通しは、残念ながら立っておりません。今後も、札幌市としては、北海道をはじめ、児童精神科関係機関等への更なる協力を依頼するなど、いっそう手を尽くして医師確保に努めていく所存であります。
 次に、発達医療センター移転とサテライト機能についてでありますが、発達医療センター移転に際しては、訓練の機会を確保する観点から、みかほ整肢園でも訓練を受けられる体制を作ることとしておりますが、利用者説明会およびアンケートで、平岸の複合施設及びみかほ整肢園のいずれにも通院が難しい、という声が寄せられたことにつきましては、十分に認識をしているところであります。発達医療センターは、障がいのある子どもとその親にとって重要な施設でありますので、利用者の皆さまの意見を踏まえ、訓練の機会が失われないような方策について、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、医療・福祉・教育を連携させる人材養成についてでありますが、児童心療センターにおいても、病院局からの移管を契機に、昨年度より、市独自の施策として、人材育成のための研修を開始しているところでありますが、今後は、北海道を含め、福祉・教育に係る関係機関との連携を密にして、障がいのある児童に対する支援の更なる充実を図ってまいりたいと考えております。以上です。

町田教育長 答弁

 私から、教員の再任用についてお答え申し上げます。
 まず、定年退職予定の教員の再任用の要望につきましては、教育委員会で事前に調査しており、すべて把握しているところでございます。
 次に、教員の再任用の現状及び今後の見通しについてでございますが、現状としては、再任用を希望する教員は、すべて再任用しております。今後も、再任用を希望する教員につきましては、原則すべて再任用するとともに、年齢バランスを考慮した配置に努めてまいります。以上でございます。

宮川 じゅん議員 再質問

 まず公契約についてですけれども、業界団体・経済界との関係がいろいろあるにせよ、問題の根本は、札幌市に官製ワーキングプアがある、ということですから、必要性は何ら変わっていない、ということであります。今、答弁の中で、「近く再提案を予定している」とおっしゃいましたよね。検討、じゃなくて「予定している」という答弁でありましたから、これは一刻も早く、今定例会中にも出すべきだということを申し上げておきたいと思います。この点については申し上げるだけにしておきます。
 待機児童対策について、質問をいたします。
 国定義の待機児童398人といっても、本当は1033人いるんだ、ということを申し上げました。1カ所だけしか希望していない人の数が除かれているなどという問題であります。児童福祉法で、かつて措置制度をやめたときに、私どもは措置制度は必要だと訴えましたけれども、措置制度をやめるというときに国が言ったのは、「保護者が選択できるようにしたい」と、こう言ったんですよ。ですから、どうしてもこの保育所に行きたい、子どもを行かせたいと、親がそう思うのは当然のことですし、国も選択を認めるようにしたいということとは何ら矛盾しない、と私は思います。しかしそれなのに、国の待機児童のカウント方式は、1カ所だけ希望している人は除くと。私は、国の言っていることが矛盾していると思います。それで、これらも含めてですね、待機児童の解消をしっかりやっていくべきだと思いますけれども、答弁を伺ったところ、待機児童の解消については、2段階なのかな、というふうに聞こえました。確認したいと思います。まず第1が、国定義の398人を最優先、そして保育を望むすべての人、とこういうふうに2段階に聞こえました。来年度解消するのは、国定義の398人だけということなんでしょうか。それとも、保育を望むすべての人、ということなんでしょうか。もし、両方ではなくて、来年度は国定義だけだ、ということであれば、それでは、保育を望むすべての人の待機児童解消はいつというふうにお考えになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、国民健康保険の保険料についてであります。
 どうも、ただいまの答弁を伺ったところですね、他の政令指定都市と比べても、高くないかのような答弁に聞こえておりましたけれども、今年の予算特別委員会で、私がこのことを取り上げたときの答弁と、齟齬を感じます。この時の、保険医療部長の答弁はこうであります。「同じ所得で比較した場合、保険料は指定都市の中でも高い方にランクされております。具体的に、札幌市と同じ賦課方式を採用しております12政令都市において、例えば給与収入2人世帯で、平成23年度保険料で、年収で350万円を超える世帯の保険料については、12市の中で最も高い保険料だ」と。もちろん収入によってランクが違いますし、保険料も変わってくるので、収入によっては順番が違うということはあるんですけれども、保険料は指定都市の中でも高い方にランクされております、というのが総体的な評価だと思います。そこで、どうも先ほどの答弁と違うというふうに思うんですけれども、あらためて伺いたいと思いますけれども、同じ賦課方式、同じ所得の方で、高い方だという認識を、市長はお持ちなんですか、というのをまず聞きたいと思います。
 それから、予算化された繰入、繰り入れについて毎年予算で決めておりますけれども、不用額が生じていると。不用額については、これを戻さないということについては、札幌市全体の財政バランスや、国保でない市民との公平性に鑑みて難しい、というような、公平性に問題があるかのような答弁でありました。私は、国保会計に繰り入れるということを市長自身が提案して議会がそれを可決しているわけですから、そうやって予算化しているものですから、一般会計に戻さないと財政のバランスが悪くなるということはないと思います。国保でない市民との公平性に問題が生じるということは、ないと思います。もし、財政バランスが取れなくなる、どうしても一般会計に戻さなければ財政バランスが悪くなるということであれば、当初提案した予算や、議会が可決した繰り入れについては、バランスが悪いものだ、ということになってしまいますよ。そうではないでしょう。だから、一般会計に戻さないっていうのは、私は理屈としておかしいと思うんですよ。いいですか、予算通り繰り入れを行うということは、予算をきちんと執行することであって、当たり前で正常なことだと思いますけれども、そうはお考えになりませんか、伺いたいと思います。
 次にですね、生活保護の問題についてです。生活保護の基準が引き下げられたことについて、「国が、客観的な指標で合理的に行った」という答弁がありました。つまり、客観的指標というのは、物価が下がったということを言っているんだと思うんですよね。物価が下がったものは確かにパソコンですとか、家電は下がったんですよ、大きく。そこの下げ幅が大きいので、物価全体を見たときに下がったように見えるんですけれども、ものによって違うんですよ。生活保護世帯でも必要としている、灯油や食料品といった生活必需品は、物価が上がっていますよ。ですから、そこで物価が下がった、全体像が下がった、パソコン・家電によって引き下げられたから下げていいんだっていうのは、私は合理的でないと思います。ただ単に、物価などをもってね、客観的指標がどうなのかというその観点だけで、引き下げるという考え方そのものが、私はあらためる必要があると思います。つまり、当事者の声を聞くっていうことが必要だからですよ。かつて、事業仕分けで、ていねプール廃止、駒岡の保養施設廃止、川下公園リラックスプラザ廃止、というのを出した時に、市民や利用者から猛反対が出ました。これは、利用者の声を聞かなかったからですよ。900人の市民が不服審査請求を行っています、生活保護の問題で。異例じゃないですか。こんなことは今までないですよ。不服審査を行うために、自分は生活保護を受けているんです、ってことを言わなければならないんですからね、たいへんな勇気だと思いますよ。今の答弁で、当事者が不服審査請求をやったことについて、こういうふうにおっしゃいました。「法に定められた権利だ」。そりゃそうですよ。法に定められたってことはみんな知っているんです。要は、審査請求に立ち上がった人たちの想いを、行政として受け止めるべきじゃないのかってことなんですよ。どう受け止めていらっしゃるんでしょうか。そこのところを、お聞かせください。
 最後に、職権廃止についてであります。職権廃止については、十分調査して実態を把握するというようなご答弁がございました。私、先ほど職権廃止された2人の例を申し上げました。1人は、就労活動していたんだけれども報告がなかったので、廃止されたっていう人です。もう1人は、収入認定しない香典をもらったっていう報告がない、って言って廃止されたんですよ。報告がない、っていうことで廃止されるんです。実態把握と報告、報告がないっていうことです。実態把握すべきですよ、やっぱり。報告がないということをもって廃止する、こういうやり方こそ機械的・画一的なのではないですか。こういうやり方を、あらためる必要があると思いますが、いかがですか。

井上副市長 答弁

 まず、最初の再質問、保育問題についてでございます。ご質問の趣旨は、いわゆるその、国定義の人数の部分と、それから国定義ではない部分も含めた、保育に困っている人たちとの2段階でやるのか、というふうにお聞きしましたけれども、まず当面の目標としてはですね、国定義の部分についての対応をしっかりとやってまいりたいということがひとつございますが、それと含めましてですね、当然のことながら、お困りになっている皆さんについてはですね、なるべく多く対応してまいりたいというのが基本的なスタンスでございます。
 それから、次に国保の保険料の問題でございます。保険料につきまして、安いことを言ったのではないかという質問をおっしゃいましたけれども、保険料の他都市との比較でございますけれども、政令市の中でも順位といいますのは、所得段階ごとに異なっておりまして、議員からお話のありました年金収入200万円の2人世帯と、加入世帯の4割近くを占める所得が33万以下のものについては先ほどお答えをいたしました。で、先ほどお答えしましたように、33万円以下につきましては17指定都市中14位でございますけれども、はい、所得が33万以下の世帯につきましては17政令市中14番目となっておりますが、所得が低い層の順位が低くなる一方で、例えば、給与収入が250万円から550万円までの2人世帯につきましては、17政令市中高い方から4番目でございます。また、この給与収入250万円から550万円までの2人世帯につきましては、平成23年度で見ますと比較可能な12政令市中、1番または2番となっております。こういったことから、平成24年度により賦課割合の見直しを行ったところでありまして、いわゆる中間層の負担軽減を図っております。このように、各政令市間では所得段階に応じまして、高いところと低いところがありまして、一律的な比較は難しいものと、このように考えております。
 それから、不用額の繰り入れの問題についてでございますけれども、不用額の繰り入れはですね、基本的に先ほど申し上げましたように、保険料を上げないために繰り入れをしてございます。これは、予算の当初より見積もりを行っておりますが、しかし、国民健康保険会計予算の約7割を占めます医療費、これは約1,400億円でございますけれども、これにつきましては、特定の疾病の流行や、加入者の受診行動に大きく影響されるものでございまして、そのことをなるべくきちんと精査して予算に組み込んではおりますが、若干の差が生じることはやむを得ないものと考えております。基本的に、当初の予算の考え方通りに、不用額が生じた場合につきましては、一般会計に戻すのが正しいのではないかというふうに考えております。
 それから、生活保護基準の引き下げの部分ですけれども、今回の引き下げの関係をどう考えているのかと、それから審査請求があったことについてどう考えているのか、というお尋ねでございます。それで、生活保護基準の引き下げについてでございますけれども、第2回定例市議会でもお答えをしました通り、社会保障審議会の生活保護基準部会において、5年ごとに見直しがされております。今回は年齢別、世帯別、世帯人員別、地域別に基準額と消費実態の乖離を詳細に分析をし、その検証を踏まえた見直しでございます。さらに、前回見直しのあった平成20年度以降、デフレ傾向が続いているにも係わらず、平成20年度以降基準額が据え置かれていたことから、この間の客観的な経済指標である物価動向を勘案したものとなっております。生活保護の基準につきましては、国が責任をもって決めるべきものでありまして、今回の見直しにつきましても、以上のとおり国が客観的な指標によって行ったものと考えてございます。
 それから、職権の廃止でございますが、これにつきましては、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げました通り、法律上の手続きに加えまして、個々の事情を総合的に勘案するため、保護課全体でケース診断会議にはかり、慎重に意思決定して行っているところでありまして、このことにつきましては、これまで研修等で周知をしてきたところでございますけれども、今後とも機会あるごとに周知徹底をはかってまいりたいと考えております。以上でございます。

宮川 じゅん議員 再々質問

 まずですね、国保料、国保についての繰り入れの関係の質問ですけれども、予算で決めているのがね、繰入額を決めているのであって、考え方として、同じ国保料を維持するためにという、必要な額を繰り入れるってことを議決しているんじゃあないんですよ。ですから、繰り入れを予算化したら、その通り執行することが当たり前なんじゃないですか、っていう質問をしたんですよ。おかしいことではないでしょう。それも、私、たまたま1年だけ、1回だけ不用額が生じたっていうんであれば、ここで引き下げてしまったら次の年大変になるんじゃないだろうか、っていうようなことを懸念することはあると思いますよ。4年、続いているんですよ。もうやるべきじゃないですか。これについてはですね、きちんと、予算通り繰り入れることはおかしいことではないんだと思うのですが、それについてどう思うのか、ということを答えていただきたいと思います。市長ぜひお願いしたいと思います。
 それから、生活保護基準については、物価動向を見て国が決めたんだということを今、答弁されました。わかっているんです、最初から。物価が下がったためでしょう、って。言っているんですよ。で、下がったのは、パソコンや家電などの物価が下がったために全体を引き下げたんじゃないですか、って言っているんですよ。そして、灯油や食料品などの生活必需品は逆に上がっているから、そこを考えると合理的とは言えないんじゃあないですか、という質問なんですよ。だから、国が責任をもって決めることとはいえ、こういう物価の中身を見たときには合理的とは言えないんじゃないかと思うんですよ。それから、市長、ぜひ答えてほしいんです。先ほどもね、質問したことで答えていただけなかったことなんですけれども、当事者が、不服審査請求で立ち上がっています。札幌市の市民だけで900人も、立ち上がっています。こんなことは、今までに例のないことです。この人たちの思いを受け止めてほしいんだけれども、どう受け止めてますか、っていうことを聞きたいんですよ。ね。先ほどもそう言ったんですけれども、ご答弁ないんで、市長の思いをですね、しっかりと示していただきたいと思います。お願いします。

井上副市長 答弁

 まず国保の、国民健康保険会計の繰り入れの関係でございますけれども、確かに議員指摘の通り、4年間、4年連続で剰余が生じているという状況でございます。ただし、これにつきましては、先ほどもお答えいたしました通り、さまざま、例えば国調整交付金でありますとか、療養費の給付の負担金でありますとか、さまざま要素がございまして、それが毎年、たいへん慎重には見積もっておりますが変化するので、剰余が生じている、という状況だということでございます。
 それから、生活保護の関係でございます。何回も同じ答弁で申し訳ございませんけれども、生活保護基準につきましては、国が責任をもって決めるべきものでありまして、今年度予算におきましても、国会で十分な議論を各会派がなされた上で成立したものでありますので、合理的なものと考えております。以上でございます。