20130613ogata 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案7件中、議案第1号「札幌市各会計歳入歳出決算認定の件」、議案第3号「中央卸売市場事業会計決算認定の件」の2件に反対、残余の議案5件に賛成の立場で討論を行います。
 2012年度の一般会計決算額は、地域経済対策や道路除雪費など314億円の補正を含め、前年度比1.5%増の8982億円の予算が組まれた中で、歳入8442億2978万円、歳出8371億1914万円となりました。前年度に比較し歳入では84億546万円、歳出では126億2019万円それぞれ増加しており、増加率は、歳入では1.0%、歳出では1.5%となりました。
 市債発行額は810億円と前年度より15億円増え、全会計の市債残高は9年連続減少し、1兆7440億円となっています。
 国において、来年4月からの消費税増税や社会保障の切り捨てが計画されている中で、本市は市民福祉を増進させる防波堤として、役割を果たさなくてはなりません。
 議案第1号「各会計決算」に反対する理由の第一は、利用料や手数料など市民負担増がいっそう進められたからです。
 保育料は、一律10%の値上げが行われ、延長保育料は、免除されていた生活保護世帯と非課税世帯の人が、有料化されました。児童クラブの延長保育の有料化は、6時から7時まで延長することで2000円かかることから、当初の見込児童数より登録児童が少ない状態となっています。
 行財政改革推進プランのパブリックコメントでは、「延長保育利用料」については「今までどおり無料にしてほしい」という意見が29件中29件、「児童クラブ利用料」について「無料をつらぬいてほしい」などの意見が57件中57件、「保育所保育料」では「これ以上の負担増はやめてほしい」という意見が216件中214件寄せられ、16件もの反対陳情が出されました。これだけ負担増は困るという意見が寄せられていたにもかかわらず、本市は負担増を強行しました。非正規雇用の広がりや賃金カットなどによって市民所得は減っている上に、子ども手当の削減、年少扶養控除の廃止など、子育て世帯の負担は重くなるばかりです。「日本一子育てしやすい街」にすると言いながら、このような子育て支援に逆行する政策をすすめたことは容認できません。
 児童養護施設や母子生活支援施設の入所者負担金を引き上げました。さらに、事業系ごみ処分手数料、し尿処理等手数料を20円から80円値上げし、市民や中小業者の負担が増えました。定山渓自然の村使用料は、コテージを3600円から4700円に、日帰り利用料を1200円から1600円に値上げしました。札幌シニア大学受講料の12000円から16000円へ引き上げ、建築確認申請時の手数料の1000円ないし24万1000円への値上げ、夜間急病センターの文書手数料も値上げするなど、市民のくらしが厳しいときにいっそうの負担を強いたことは容認できません。
 理由の第二は、本市職員が減らされているからです。
 公立保育園の廃園、学校用務員や調理員を削減するなど、本市職員を35人減らしことは問題です。
 理由の第三は、基金の活用が不十分だからです。
 昨年度末の本市の基金残高は 21 種類で 2867 億円でした。市は財政難を理由に、値上げなどの市民負担を求めますが、基金の生きた活用でこれを防ぐことができます。まちづくり推進基金や土地開発基金の有効活用のほか、15 年も取り崩しのない「地下高速鉄道基金」や積み立て過ぎの「霊園基金」の27 億円についても、活用方法を再検討すべきです。
 理由の第四は、国民健康保険会計です。
 予算で見込んだ保険料軽減対策分の繰り入れ金85億4100万円に対し、決算額46億3400万円であり、不用額が39億円となりました。これを保険料の引き下げに回すと、一世帯あたり1万3000円の引き下げになります。繰り入れを予算通り確保し、払いたくても払えない高すぎる国保料を引き下げるべきです。4年連続して発生している不用額は、一般会計へ戻すのではなく、国保料の引き下げの財源に活用すべきことを申し上げます。
 また、滞納が続くと保険証を取り上げられ、資格証明書が発行されることになりますが、今年5月現在で9739世帯に交付されています。資格証明書では、病院の窓口でいったん10割を支払わなければならないため、受診抑制がおこり、手遅れ死を招くこともあります。資格証明書の交付は、資力がありながら故意に支払わない悪質滞納者に限り、それ以外は保険証を交付すべきです。
 理由の第五は、介護保険会計です。
 昨年度は3年に1度の保険料見直しが行われ、第一段階から旧第7段階まですべての所得層で、3157円ないし2万5016円の保険料の値上げが行われたことは容認できません。また、年金が1か月1万5000円に満たない低所得者で、お金がないために保険料を支払えず、介護サービスを必要とするときにサービスが受けられない「給付制限」者が市内に189人います。このような過酷な制限を設けることは改めるべきことを申し上げます。
 理由の第六は、後期高齢者医療会計です。
 年金収入250万の方で1万300円、400万の方で1万4700円など、すべての加入者が300円ないし1万3900円の保険料値上げが国によって強行されました。75歳という年齢で医療を差別したうえに、負担を増やしたことは容認できません。
 理由の第七は、東雁来の「子育て支援型」の市営住宅です。
 決算にはその用地取得、地質調査および実施設計費12億6011万9704円が含まれています。「子育て支援型」と言いながら、子どもが中学校を卒業したら市営住宅から退去させる期限付であることは、本市と住民とのトラブルの種をつくることとなり問題です。子育て支援のための市営住宅を整備するのであれば、強制退去は行わないこと、市内のあちこちに点在させ、同じ棟に、高齢者、子育て世代など多様な世帯が入居できるような形で整備すべきです。
 理由の第八は、道路占用使用料が値上げとなっているからです。
 突き出し看板が1級地、1平米、9800円から1万6800円に、その他の看板では、1級地、1平米、1万4000円から2万4000円への値上げとなりました。これらの看板を設置している多くが中小の商店です。経済が悪化している時に、中小零細企業に負担を強いるべきではありません。一方、北電、NTTなど大企業向けの電柱の占用料は、低く抑えられたままです。北電の電柱使用料は1600円から1800円に、NTTは950円から1000円に、総額で1億8400万円引き上げましたが、2009年には年間13億円も引き下げたのですから、差し引き11億円以上安くなっているのです。それを元にもどせば、商店等の看板の占用料を引き上げる必要はありません。
 議案第3号「中央卸売市場会計決算」に反対する理由は、中央卸売市場の使用料です。
 卸・仲卸業者が支払う使用料を改定し、売上高割使用料を引き下げる一方で、面積割高使用料を引き上げました。これは、売上げが下がっても市場の使用料はさほど下がらず、経費が固定化する傾向が強められることになります。市場の昨年度の年間取扱額は一昨年度より0.4%しか伸びていません。そのような中で卸売業者に固定した経費を引き上げたことは認められません。
 次に代表質問ならびに決算特別委員会で取りあげた課題について局別に申し上げます。
 まず、危機管理対策室です。
 応急備蓄物資について質しました。基幹避難所への配備を早急に進めていくべきです。また、高齢者や障がい者など、歩くことが大変な方々が基幹避難所まで行けずに地域避難所へ避難した時に、備蓄物資がなくて凍死することが起こらないように、地域避難所についても備蓄物資を配備することを強く求めます。
 市長政策室です。
 非正規雇用が大きな比重を占める本市指定管理者の雇用の問題を取り上げました。職場の実態も調査し、本市として正規雇用を拡大していく方向で指定管理者に働きかけるべきことを指摘しておきます。
 市民まちづくり局です。
 長年放置された空き家は、倒壊やごみの不法投棄、害虫の発生、雑草の繁茂など様々な問題が発生しています。
 道内でも滝川市などが不適切管理空き家に対して”勧告、命令、代執行できる”と条例に定めていますが、行政代執行については段階を踏んで慎重に取り扱う必要があります。
 本市が仲介的役割を果たすなど、建物撤去と土地の利活用を一体的にすすめる方法を検討すべきです。
 市電の延伸について質しました。人と環境にやさしい市電を街づくりにいかす、公共交通機関の利便性を向上させることで経済の活性化につなげるという立場で、市電の早期延伸の実現のために、JR札幌駅・桑園・苗穂の3方向の延伸についてスケジュールを明らかにしてすすめるべきです。
 区民センターの集会室をつぶして、区役所の会議室にしたことは問題ですが、区役所の会議室の利用については、夜間、休日の開放など、市民利用を最優先に、市有施設の有効活用をすすめるべきです。
 平和事業の平和訪問団は、広島・長崎とともに、今後引き続き沖縄も進めていくべきです。さらに、道内や市内の戦跡や歴史など、たくさんの市民や子ども達が平和について学べる環境を整備し、拡充していくべきであることを求めておきます。
 財政局です。
 市税の滞納・差し押さえ問題を質しました。
 病気があるのに生命保険を差し押さえる、子どものためにかけている学資保険を差し押さえるなど、過酷な取り立てが起きています。滞納者の生活がどうなっているのかをよく聞き、その生活再建を援助する視点をもち、配慮ある対応をすべきことを申し上げます。
 保健福祉局です。
 生活保護行政について、生活保護基準が引き下げられたことに対して、その撤回を求め行政への不服審査申し立てが全国で起きています。本市でも907名にのぼっており、その受け止めについて代表質問でも決算特別委員会でも質問しましたが、「法に定められた権利を行使したもの」と、機械的な答弁を繰り返しただけでした。生活保護受給者のくらしが厳しいことに少しの心を寄せる言葉もなく、福祉の心があるのか疑問をもたざるをえません。さらに、灯油価格が1リットルあたり2007年9月では79円でしたが、今年9月では98円と大幅に値上がりしているのに、福祉灯油を実施しないことは問題です。
 介護保険制度から要支援をはずし、要介護1、2の人を特別養護老人ホームから追い出すしくみづくりを政府が進めています。本市の特養入所の待機者は6681人で、そのうち、要介護1、2の方は2892人と43%を超えていますが、これらの方は、施設入所が必要にもかかわらず特養に入れないこととなります。来年の実施をめざし議論されている介護保険法の改悪はやめるよう、国に強く要望すべきです。
 児童心療センターは、道内唯一の入院機能をもつ子どもの心の病院として存続し拡充すべきことを求めました。児童精神科医療検討部会審議会での議論でも入院病棟の廃止の意見はありませんでした。全道の中心的な子どもの心の病院として、医療・教育・福祉が密接に連携するしくみを他都市の先進的なとりくみも大いに参考にしながら進めていくことを求めます。
 子ども未来局です。
 本市の4月1日時点での待機児童は、1033人います。
 横浜市は待機児童をゼロにしたと言っていますが、1カ所の保育所にしか申し込みをしていない児童等を待機児童から除外して少なく数えています。このカウントの仕方で行くと本市の待機児童は398人になることから、本市の待機児童の解消について、どちらなのかを質したところ、「2014年度までに保育を必要とするすべての人に保育を提供する」と待機児童の解消について明言しました。確実に実行するよう求めます。
 児童クラブの定員の規模について、厚生労働省は、「40人程度が望ましい」としています。しかし、本市の児童クラブは、100人を超える児童クラブが8割近くにもなっており、問題です。また、民間学童保育所がある地域に、あとから児童クラブを開設した場合には、民間学童保育には、それまでどおり補助金が出されますが、先に児童クラブがあって、後から民間学童保育所ができた場合には、補助金は出ません。こうした矛盾したやり方は改め、助成すべきこと強く申し上げます。
 発達医療センターの移転によって、障がいのある子どもの訓練機会が失われることのないように求めます。移転先の平岸にも、みかほ整肢園にも通えない方が西区・手稲区方面で9人もいます。訓練に通えないという利用者が一人も出ないように利用者の声をよく聞いて対応すべきことを求めます。
 環境局です。
 原発に依存しない社会構築と温暖化対策のため、再生可能エネルギーとして、市内の端材・木材と農業残渣物のペレット化について取り上げました。理事者は、「ペレット燃料の地産地消は地域経済の振興という面からも有用であり実態調査が必要。また、稲わら、麦わら、玉ねぎの皮についても実際に燃料利用されている事例もあり、調査・研究が、それぞれ今後必要である。肥料や土壌改良材として再資源化の可能性も含め、焼却灰の有効活用を検討していきたい」と答弁しました。今後、木質バイオマスの利活用についてしっかりとすすめていくよう求めておきます。
 公園トイレは、お年寄り、子ども、障がい者など誰もが利用するため、増設とバリアフリー化の促進をすすめるべきです。
 経済局です。
 本市の企業立地促進補助金事業にかかわって、コールセンターの雇用の実態をただしました。2000年度からのコールセンター誘致で、この13年間で約12億円の補助金を出しながら2万6,700人の常用雇用のうち正社員の割りあいがわずか8%であるのは異常です。市長も「人件費が安いというのは聞き捨てならない」と答弁されました。企業誘致にあたっては、正社員雇用や適正な賃金と労働条件に配慮するよう働きかけるべきであり、現在コールセンターに不安定な勤務をしている労働者が正社員を希望すれば叶うよう企業に積極的に求めていくべきです。
 コミュニティ型建設業創出事業は、利用者アンケートで97%の方が「満足」と答える市民に喜ばれるものになっています。次年度を最後にコーディネート事務局への補助金がなくなりますが、その後も本市の積極的な支援と日常的なかかわりが必要です。広報さっぽろへの掲載やセミナー開催にとどまらず、商店街やまちづくりの支援策として地域に根付いた事業を続けるよう求めます。
 観光文化局です。
 北1西1のホールの運営は、プロデューサー機能、アートセンターの充実が要になります。施設設計を行ってからではなく、設計の段階から演奏家や演出家の意見を反映させたホールとすることを求めます。また、2300人の来場者がいっせいに会場から出るときの動線については、安全に移動できるよう、階段幅・エレベーターやエスカレーターの容量・台数を検討されるよう求めます。
 オータムフェストは2008年から数えて今年で6回目となりますが、来場者数が165万人となり収益重視の集客イベントの側面が強くなっているのではないでしょうか。もともとの主旨である道内市町村の振興や道内食材の魅力を広げる目的を明確に位置付け、産地表示なども行うべきです。また、丁目ごとの「会場管理者」に出店ルールや審査など任せるのではなく出店基準などを明確化し、参加店の質を低下させないことが重要です。市民に親しまれ、定着するイベントとなるよう、本市の関与や責任を明確化すべきです。
 建設局です。
 札幌北口駐車場の業務を委託された会社での異常な労働実態を明らかにしました。雇用関係にあった6年間、1回も法律にもとづく週1日の休日は取れず、15時間勤務で休憩が1時間のみ、日給も7000円のままとなっていたのです。仮眠時間は指揮命令下にあり、拘束時間に含められます。あってはならない実態です。建設局長ならびに市長は「法令遵守のため、同様のことがないように調査したい」旨、答弁しましたが、真摯に受け止め迅速な対応をすべきです。このような事態を放置すべきではありません。
 地下鉄など駅周辺の自転車駐輪場は、都心部や都心に近い駅ほど用地確保ができておらず、整備率が著しく低くなっています。歩道上の駐輪場は歩行者の通行に支障をきたしているところも多く、地下鉄西11丁目駅や東札幌駅などは機械式の地下駐輪場を検討すべきです。
 都市局です。
 高齢者に対する住宅政策をただしました。高齢化がすすみ、高齢単身者は増加しています。一軒家からの転居を考えている高齢者にとって低廉な家賃で入居できる市営住宅は応募倍率が高く、なかなか入ることができません。まず本市直営で市営住宅を整備すべきと申し上げておきます。民間共同住宅については良好な住環境を保っているかどうかの実態調査をし、高齢者に配慮した居住環境を整えるべきです。とりわけ福祉的支援が必要な高齢者が入居するサービス付き高齢者住宅は保健福祉局との連携強化を求めます。
 2011年に実施した「分譲マンション管理実態調査」で本市における築25年を過ぎたマンションは827件となっています。大規模修繕の見通しがもてないマンションもあり、建て替えは現実の問題に迫っていることを認識し、老朽化するマンションへの支援策について検討するよう求めます。
 交通局です。
 市電は、マイカーよりも速く移動できるスムーズな運行が求められています。南一条線で実施している優先信号をすべての路線に導入することと合わせ、南一条線においては車の右折による市電との接触事故が多いことから、マイカーの右折禁止を検討するよう求めます。
 さいごに教育委員会です。
 市内の中学校の特別支援学級などを卒業したあと、高等養護学校へ進学する子どもたちの4割が、間口がないために市外の高等養護学校に通うことを余儀なくされていることを指摘しました。高等養護学校の2017年の開校の方向を示しましたが、道教委との協議が整わないといって先送りしてはなりません。札幌市の南部に確実に開校するよう強く求めます。
 以上で私の討論を終わります。