20131210 私は、日本共産党を代表して、当面する市政の重要問題について順次質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、社会保障制度改革についてです。
 今国会で審議中の「社会保障制度改革プログラム法案」は、第2条で、国が講ずべき「制度改革」の基本を「自助・自立のための環境整備」としています。これは、生活苦にある国民をもっぱら「自助」に追い込むものであり、すべての国民に健康で文化的な生活を営む権利を認め、社会保障の増進を国に義務づけた憲法第25条に反するものです。
 「プログラム法案」について、市長の基本認識をお示しください。
 また、市長は、第3回定例会でのわが党の代表質問に対して、「社会保障制度は、すべての国民が安心して生活をしていける仕組みというものを、国が責任を持って構築していくもの」と答弁しました。「プログラム法案」の考え方は、市長のこの立場とも相反すると思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、生活保護の制度改悪についてです。
 安倍政権が、生活保護を社会保障改悪の最初の標的にし、申請書類の提出義務付けや親族による扶養を事実上強制する法改悪を強行しようとしています。
 日本の生活保護利用率は、国民全体の1・6%で、フランス5・7%、イギリス9・3%、ドイツ9・7%など、他の先進国よりも極めて低い水準です。生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受けている割合をいう捕捉率は、日本は約2割ですが、ドイツは6割、イギリス5割から6割、フランス9割など、日本は圧倒的に低いのが実態です。
 今年5月、国連の社会権規約委員会は、「恥辱のために生活保護の申請が抑制されている」とし、「生活保護の申請を簡素化」すること、「申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとる」こと、「生活保護につきまとう恥辱を解消する」手立てをとるよう日本政府に勧告しました。
 市長は、この国連の勧告をどのように受け止めますか。また、政府が今国会に提出した生活保護法改正案は、生活保護の申請をいっそう困難にさせるもので、国連の勧告に反すると考えますが、いかがか伺います。
 第3に、「秘密保護法案」についてです。
 安倍政権は、今国会で秘密保護法案を強行しようとしています。この法案は、政府の一方的な判断で「秘密」を指定し、国民の目と耳、口をふさぎ、厳罰をもって国民の知る権利、言論・表現の自由を脅かす悪法です。しかも重大なことは、この法案は、アメリカが、その軍事情報を日本に提供する代わりに制定を迫ってきたものであり、日本をアメリカの戦争に本格的に参戦させるためのものだということです。
 法案に反対する世論は急速に広がり、慎重審議を求める国民は8割を超えています。「国民の重要な権利を侵害しかねない」という市長の見解を、市民や各政党、道内選出の国会議員、マスコミ等に訴えるなど、行動をさらに広げるべきだと考えますが、いかがか伺います。
 第4に、来年4月から引き上げが計画されている消費税についてです。
 安倍首相は、消費税を来年4月から8%に引き上げると表明していますが、「この長期の不況下で、いまは行うべきでない」「先送りすべき」という声が上りつづけています。来年4月からの引き上げは行うべきではないと考えますが、見解を伺います。

 次に、公契約と官製ワーキングプアの問題について質問します。
 第3回定例会で条例案が、否決されました。しかし、低賃金の問題が解決した訳では、ありません。
 質問の第1は、本市発注の工事・業務における労働者の賃金に対する認識についてです。
 清掃労働者の賃金は、最低賃金にぴったり張り付いています。
 現在、最低賃金は時給734円ですから、1日8時間フルタイム、21日間働いたとすれば、1か月の賃金は12万3,312円です。
 20歳から40歳の働く人で家賃が3万6,000円の場合の生活保護基準は、4月から10月で13万1,520円、11月から3月は15万5,610円になり、最低賃金では生活保護基準以下となります。
 市長は、本市発注の仕事で働く人が、官製ワーキングプアであり、最低生活費以下の人が多数いることについて、どのようにお考えですか、見解をお示しください。
 また、条例案が否決されたのは、本市発注の仕事で働く労働者の賃金が上がって条例の必要性がなくなったからではありません。
 条例案否決後も、低賃金・ワーキングプアは一向に解消されていないと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、条例が制定されていなくても、本市としてできることについてです。
 その1点目は、市長が、受注企業への賃金引き上げ要請を行うことについてです。
 道議会では、10月、わが党の質問に対して、総務課長が「最低賃金以上の賃金を払うことはもとより、職務内容や能力・経験等も勘案し、適正な賃金が支払われるよう、配慮すべき」と答弁しました。
 また、安倍首相は、今年2月、経済3団体との会談で賃金を引き上げるよう要請し、9月の官邸での「政労使協議」でも賃上げを要請しました。
 本市においても、工事・業務等を受注した企業に対して、賃金を引き上げて適正な額を支払うよう、市長から要請すべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 2点目は、賃金引き上げを誘導する入札方法についてです。
 東京都日野市や府中市では、総合評価方式の入札で、2省単価の80%以上の労務単価で、評価点が加わるようにしています。
 本市では、総合評価方式が実施されているといっても、一般競争入札の数十分の一でしか行われておりません。
 賃金を評価点に加えた総合評価方式を増やすことで、賃上げへのインセンティブを働かせるべきだと思いますが、いかがか、うかがいます。
 3点目は、賃金調査についてです。
 昨年と今年、清掃・警備・運転監視を対象に、任意の賃金調査を行いました。
 今後は、回答を義務付けるとともに、調査の対象範囲を拡大すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第3は、公契約条例の再々提出についてです。
 市長の残された任期が、1年半近くあります。
 官製ワーキングプアが深刻であることや、賃上げによって、内需が高まり、地域経済が活性化することなど、引き続き世論の喚起に努めること、また、経済団体との交流と相互理解を深め、条例案提出の時期を見定めるべきと考えますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第4は、指定管理者におけるワーキングプアの問題です。
 指定管理者制度では、4年ごとに公募を行なう事で、業務の低価格競争が繰り返されます。入札次第で撤退せざるを得ないこともあり、その場合には、雇用調整することを、あらかじめ見込んでいるため、非正規雇用が増えるのは、指定管理者制度の構造的問題です。
 さらに、指定管理者が、清掃や警備業務を年度ごとに入札して再委託する場合、落札者が入れ代っても、現場で働いている労働者は同じ人が同じ作業をしていることも多いようです。
 その場合、仕事内容は継続しているのですが、使用者が入れ代わるため、何年働いていても勤続年数は1年目ということになります。
 毎年、4月に業務が開始され、10月までの6か月間は、年次有給休暇が発生しません。土日に勤務がある場合には、子どもの運動会にも行けず、夏休み・盆休みも取れないのです。
 そして、毎年、新人ですから、昇給もされないのです。
 市長は、このような実態を改善する必要があるとはお考えにならないのか、どう対処するおつもりか、うかがいます。
 さらに、指定管理者の公募と、再委託が、官製ワーキングプアの温床となっていることについて、市長の見解をうかがいます。
 民間委託、アウトソーシングなどと言って、自治体リストラを進めてきたこと、構造改革路線・小さな政府論からの決別が必要だと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第5は、本市の非正規職員についてです。
 1点目は、賃金の問題です。
 本市の正規職員数は、教育と企業会計を除いて10,276人に対して、非正規公務員は2,132人で、17.2%を占めています。
 本市における、臨時職員の日給は6,600円から看護師でも9,000円程度、非常勤職員は月給で15万円から23万円程度と低く抑えられています。
 市長の決断で、臨時・非常勤職員の賃上げを実施して、民間に範を示すべきです。
 まず、同様の職種における正規職員との賃金格差はどうなっているのか、お示しください。
 また、臨時・非常勤職員の賃上げについて、どうお考えか、お示しください。
 2点目は、雇用形態の問題です。
 非常勤職員は週29時間以内の勤務で、1年ごとに雇用契約を更新し、短い場合は3年まで、長い場合は年数の期限はなく65歳になるまで雇用されることがあります。
 臨時職員の場合は、半年以内と期限が定められ、契約終了後、半年経過すると繰り返し雇用が可能です。
 過去5年間で、半年ごとの雇用を5回繰り返している方が、本市に22人いることが、このたび判明いたしました。
 本来継続した業務であっても、半年ずつ人を交替させて、昇給のない臨時職員として雇用しているということはないのでしょうか。
 あらためて、業務の実態を調査したうえで、非常勤職員や臨時職員を正規職員として雇用すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。

 次に子どもにかかわる課題について質問します。
 質問の第1は子どもの権利についてです。
 その1点目は自己肯定感を育む環境についてです。
 2010年、国連子どもの権利委員会は、「子どもの情緒的幸福度の低さ」を日本政府に勧告しました。
 本市では、2010年「子どもに関する実態・意識調査」で「自分のことを好きだと思わない・あまりそう思わない」と答えた子どもが45.1%という結果になりました。
 こうした子どもたちをどのように支え、ありのままでいいことを大人社会が示すのか。ここに焦点をあてた行政の具体的な政策が必要です。それは、「自分を好きになりましょう」という宣伝や啓発で生まれるようなものではなく、大人が子どもを受容し安心して過ごす経験を積み重ねる中でしか生まれてこないものです。強制されず、比較されず、排除されず、否定されずに、生き生きと自分の欲求を表しながら大人とかかわる時間を、どのように保育所・幼稚園・学校の中でつくるのかが問われています。
 「過度に競争的な教育制度が子どもの身体的及び精神的健康に否定的な影響を与えている」と国連子どもの権利委員会から再三の勧告を受けている日本の教育システムも問題です。
 自己肯定感をもてる子どもをはぐくむ教育実践、教育環境について、どうお考えですか。また、本市においてどう実践していくのかうかがいます。
 2点目は、子どもが生まれながらにしてもつ固有の権利についてです。
 出生直後の新生児が泣いて母乳をほしがり、それに応えてミルクを与えることは、単に食事や栄養を与えるということだけではなく、あなたの欲求が聞こえていますよ、と大人が反応していることを子どもに伝えるものです。幼児が「これはなあに?」と問いかけると大人が受け止めてこたえる。この積み重ねが、信頼や安心という人間関係の土台を作ります。
 子どもが生まれながらにしてもつ権利を保障するため、本市の保育所、幼稚園、小中学校など子どもに関する施設において、子どもと向き合うための十分な職員の配置を行うこと、子どもの発達や成長について職員が集団的に議論する時間を保障し、職員自らが日々の研鑽をつむことが求められていますが子どもに関する施設における職員の働く環境との関係について、どのようにあるべきとお考えか、うかがいます。
 3点目は子どもの「さびしさ・自己肯定感をもてない」背景の調査についてです。
 2007年にユニセフが行った調査で、「さびしい」と答えた子どもがOECD諸国平均7%に対して、日本の子どもは30%となっています。
 その子の抱えているさびしさはどこにあるのか、その子の意識だけではなく、健康・友だち・家族など全体をとらえることが必要です。
 子どもの権利条例に基づく取り組みを検証するための調査として、子どもの生活全体をつかむ、クオリティ オブ ライフ 生活の質を意味するQOL調査をするなど、子どもの内面をつかむための踏み込んだ調査を行うべき考えますがいかがかですか。
 質問の第2は、児童クラブと学童保育についてです。
 その1点目は、児童クラブの過大規模化の問題についてです。
 本市の179の児童クラブ・ミニ児童クラブでは、8割が、国が示している「おおむね40名程度」を超え、過大規模になっています。決算特別委員会では「生活の場として機能が十分果たせていない」という認識を示しながら、実際は、過大規模の解決を後回しにしています。
 生活の場である以上、毎日を過ごす子どもたちの環境整備は早急に進めなければならず、過大規模の児童クラブの解消を急ぐべきだと思いますがいかがか、また本市としては、何名が適正規模とお考えか、あわせてお答えください。
 児童クラブが過大規模になっているために、民間共同学童保育所を新たに作ったところも生まれています。ところが本市は、児童クラブができたあとから作った民間学童保育所への補助金は出さない、という対応をしています。
 過大規模の解消が求められていることにも照らし、一つの小学校区に一つの児童クラブや民間学童保育所しか認めないとする考え方をあらため、複数の児童クラブや民間学童保育所を整備する、という方針を持つべきだと考えますがいかがかうかがいます。
 2点目は10人に満たない小規模学童保育についてです。
 2012年6月、厚生労働省は国庫補助対象とならない小規模学童保育所で市町村が実施している事業に対して特別交付税を出す旨の事務連絡を発し、すべての都道府県に交付されています。本市においても10人未満で運営している民間学童保育所があり、本市も単独事業として助成金が出せるようにすべきだと考えますが、いかがかうかがいます。
 3点目は、民間学童保育所の指導員の処遇についてです。
 指導員の勤務は、平日8時間、長期休みや学校休業日は9.5時間以上となっていることを、札幌市学童保育連絡協議会が明らかにしています。国庫補助は、指導員の人件費を「6時間勤務の非常勤」として計算しており、勤務実態に見合っていません。本市の児童会館職員の勤務については6時間から7時間45分に見積もった次年度予算を検討しているとお聞きしています。学童保育指導員についても、同様の考え方にたつべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 4点目は、障がい児加算についてです。
 障がい児加算は、一人受け入れた場合に加算されるものですが、2人以上受け入れても、増額されません。障がい児の数に比例して加算額を増やすように改善すべきと思いますがいかがかうかがいます。
 質問の第3は、保育所待機児童の解消についてです。
 第3回定例会において、「2014年度末に、保育サービスを必要とするすべての児童に、必要なサービスを提供できるように環境整備をすすめてまいりたい」と、答弁されました。それは、横浜市のような待機児童のカウントの仕方ではなく、入所申し込みをしていれば、それが1か所だけであっても、預かり保育の人も含めて待機児童と数え、そのすべてを2014年度末には解消するという考え方だと理解してよろしいのか、あらためて、うかがいます。
 質問の第4は、発達医療センターについてです。
 発達医療センターは2014年、5月に豊平区に開設する障害児・者医療複合施設に移転します。保護者、職員から「遠くて通えない」など不安の声があがり、みかほ整肢園でも訓練を受けられる体制を取ることにしました。しかし、利用者アンケートの結果、西区、手稲区方面で少なくとも9人が通えないとしています。
 すべての子が、1人1人の状況やニーズに合わせ、必ず受けられるように、現在の発達医療センターでも引き続き訓練や療育を行うべきでないですか、どのように検討されているのか伺います。

 次に入院助産制度について質問します。
 所得が少ないために出産費用の準備が大変な場合、市が、費用を病院等に支払う助産制度がありますが、本市で指定している助産施設は、3か所ですが、そのほとんどを2カ所で実施しているというのが現状です。
 質問の第1は、貧困が進む中で入院助産制度の果たしている役割についてです。
 産婦人科の病院で出産する人を対象に行った調査によりますと、1997年度と2011年度を比較すると、入院助産制度の利用者は、17.4%から31.8%と2倍近く増えています。また、未婚で出産した人は13.7%から30.8%、生活保護を受給している人の利用は、7.5%から25.6%、夫が無職の人が9%から13%となっています。
 妊産婦における貧困と、出産時の家庭や社会的環境の困難さが年々深刻になっており、入院助産制度の果たす役割はますます重要になっていると思いますが、いかがか、市長の認識を伺います。
 質問の第2は、出産後の育児支援の必要性についてです。先ほど申し上げた調査では、精神疾患を持つ人は1997年度2.4%が2011年度6.5%、育児困難は、3件から12件となっており、出産後の育児などに関する支援がますます重要となっています。また、貧困やひとり親家庭が増えていることから、収入が少ない、働き続けられるかなどの経済的な悩みも多く、不安を相談する人がいないことなど、育児ノイローゼや虐待につながることが危惧され、産後のフォローが重要になっています。
 この点についての市長のご見解を伺います。
 質問の第3は、助成額についてです。
 現在、助成額は、入院5日で38万2750円です。一般的な出産では入院5日で平均41万4830円ですから、3万2080円不足です。
 出産のときに処置が必要なこともあり、その場合には、さらに差が広がります。
 助産制度における助成額と、実際の出産費用とに差があることを認識しておられるのか、うかがいます。
 質問の第4は、市立病院での実施についてです。
 現在、市立病院では入院助産制度に取り組んでいません。
 低所得でも安心して出産できるようにすることは、本来公立病院が担う役割ではないでしょうか。しかも、実際の出産費用よりも助成額が少なく、実施すれば、助産施設が赤字となる構造であり、産後フォローも無報酬です。民間よりも、公立が実施すべきと思うのですが、いかがか、うかがいます。

 最後に、景気対策について質問します。
 本市が12月2日に発行した「札幌経済の動き」によれば、大型小売店販売額、新車登録台数、新設住宅着工戸数のいずれも昨年同時期をわずかに上回っています。
 しかし、円安と原油高による燃油高騰が、市民生活と中小企業の経営を圧迫しています。
 質問の第1は、石油価格高騰対策についてです。
 第一生命経済研究所の調査によれば、原油価格の10%上昇が経常利益にもたらす影響は、大企業がマイナス0.8%なのに対して、中小企業はマイナス4%と5倍にもなっています。
 石油の高騰分を価格に転嫁することができれば、企業経営は成り立ちますが、末端の消費者がすべて負担することになります。
 石油価格高騰が、中小業者や福祉施設、市民にどう影響を及ぼしているのか、調査し、ただちに対策をとる必要があると思いますが、いかがか具体的にお答えください。
 石油価格の高騰とあわせ、売り上げの減少、収益性の悪化などで、この年末に資金ショートし、倒産する中小企業が増えるのではないかと懸念されます。
 セーフティネット融資で、原油高騰対策融資もありますが、仕入れ価格が前年の20%を超えていることなど、ハードルの高いものとなっています。緊急に、使いやすく、迅速に実行される新たな融資制度も必要と考えますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第2は、雇用対策についてです。
 札幌圏の有効求人倍率は、上がってきましたが、0.74倍で、求職者46,349人に対して、求人数は34,203人で、差し引き12,146人は職に就けない計算になります。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、今年9月の現金給与総額は264,447円で、前年同時期比でマイナス0.2%、2010年を100とすると83.5まで落ち込んでいるのです。
 輸出だのみの経済よりも、内需を高め、経済の地域循環を活性化させることで、足腰の強い経済にすることができるのではないでしょうか。そのためには、個人消費を高めることが必要です。
 そこで、本市の経済対策の考え方として、雇用対策を柱に据えることが重要だと思いますが、いかがか、ご見解をうかがいます。
 具体的には、失業率を下げること、正規雇用を増やすこと、賃上げを行うことなど、指標を設けて追求すべきと考えますが、いかがか、うかがいます。
 また、新規高卒内定率ですが、来年3月末には何%に到達させようとお考えですか、今年3月の全国の内定率97.6%を超えるように取り組むべきではないかと思いますが、いかがか、うかがいます。
 質問の第3は、新産業と住宅リフォームについてです。
 9月16日に、関西電力大飯原発が停止して以来、日本中すべての原発が稼働していない状態が続ていますが、電力不足にはなっていません。
 しかし、余力のある安定的な電力供給体制が求められております。
 企業の自社用の発電の買い上げや、太陽光・風力発電の能力がフルに発揮できるよう買い上げることも必要です。
 本市としても、再生可能エネルギーの開発や産業化、あるいは大量に電力を消費する事業所の節電やピークカットのための取り組みを拡充すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
 また、住宅リフォームと省電力化を合わせて進めるよう、リフォーム助成制度を拡充すべきと思いますが、いかがですか。現行の制度の補助枠の拡大と、補助要件の緩和をするお考えはないのか、うかがいます。
 質問の第4は、来年4月以後の景気対策についてです。
 住宅の建設・販売をはじめ、消費税増税前の駆け込み需要によって、売り上げが増えている傾向があります。
 4月以後は、その反動で、売り上げが落ち込むことが指摘されています。
 国の責任で、4月以降の景気対策を今から打つ必要がありますが、本市としても手をこまねいているわけにはいきません。どういう見通しで、どういう対策を取ろうとしているのか、うかがいます。
 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

上田市長 答弁

 私からは、政治姿勢についてお答えをさせていただきます。その余は担当副市長、教育長からも答弁をさせていただきますので、よろしくお聞き取りください。
 政治姿勢の1点目でございます。社会保障制度についてのお尋ねについて、まずは社会保障制度改革について、一括してお答えをさせていただきます。社会保障制度は、すべての国民が安心して生活をしていける、そんな仕組みを国が責任を持って構築をしていくべきものというふうに考えております。プログラム法案は「自助・共助・公助」というものを、もっとも適切に組み合わせ、社会保障を必要とする人にはそれがしっかり行き届く、というような仕組みを基本にいたしまして、持続可能な制度を実現するというふうにした改革推進法の考え方に則ったもの、というふうに認識をいたしているところでございます。
 この法案の規定を受けて、国民健康保険や、あるいは介護保険料の保険料に係わる低所得者の負担軽減だとか、あるいは難病等の医療助成の拡大など、少子化、医療、介護、年金の各分野で、必要な措置が講じられることになる、というふうに考えるものでございます。個別の具体的な制度は、国と地方の協議の場等で検討されるところでございまして、受益と負担の均衡がとれた、持続可能な社会保障制度の確立に向けまして、引き続き国に対して必要なはたらきかけをしていく所存でございます。
 生活保護法の改正につきまして、お尋ねでございます。生活保護制度は、憲法第25条の生存権を保障する最後のセーフティネットでありますことから、国連の社会権規約委員会の勧告につきましては、当然の内容である、このように認識をいたしております。また、生活保護法の改正案は、社会保障審議会の特別部会におけるさまざまな意見をふまえて作成されたものでございまして、保護申請をいっそう困難にさせるものとは考えてはおりません。現在、改正法案は国会におきまして、勧告の趣旨をふまえた審議がなされておりまして、札幌市といたしましても、審議の動向を注視することとともに、今後とも国の示します実施要綱に則りまして、適切な保護の実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、秘密保護法案についてお尋ねでございます。この法案につきましては、現在参議院でたいへん重要な時点になっていますけれども、この秘密保護法というものは、憲法21条が健全な民主主義を保障するために、大日本帝国、明治憲法の第29条に、法律の範囲内で、いわゆる法律の留保の下でしか認められていなかった国民、当時臣民と言いましたけれども、その言論の自由、これを改めて、あたらしい憲法の下では、この制限を設けずに、まったき自由、この表現の自由を保障するということになったものでございまして、民主主義のまさに根幹に係わる重要な問題だというふうに認識をいたしております。
 表現の自由の保障というのは、知る自由が前提でございまして、表現をするのにも情報が無ければ思考を展開することができない、したがって表現もできない、ということでありますので、憲法21条というのはまさに「表現の自由の保障」と書いてありますけれども、「知る自由」をまさに前提にし、それを内包するものでございます。「知る自由」を実現するためには、必要不可欠な社会的制度として、報道機関の取材の自由というものが保障されなければなりません。そしてその取材の自由が保障されて、その取材に基づいて、報道をされる、それを知る、こういう連鎖がしっかり保障されなければならないと思っているわけであります。これを法律によって制限することができない、というのが日本国憲法21条の考え方だというふうに思います。しかし、この保護法案というのは、特定秘密というふうに言っておりますけれども、この、法的に、これを制限する、というものでございまして、さらには、法的に制限をするばかりか、法的に制限されたことによって事実上ですね、大きな取材をする自由だとか、あるいは表現をする、知る自由というものを抑制し、あるいは制限をしていくというふうな萎縮効果といったものが心配をされるということが、さまざまな識者によって指摘をされているところでございます。
 また、「特定秘密」という名前は付いておりますけれども、秘密というのは、その概念自体に不確定要素といいますか、そして、検証不可能性というものを内包している概念でございます。いくら「特定」と言っても、これは、なかなか、何が特定なのか分からないというところで、あるいはそれを検証できないという意味合いにおいて、きわめて広範囲なものになるということが、おそれとしてあるわけでございます。国民の生存をはじめ、さまざまな自由、利益といったものを左右する情報が、いわゆるブラックボックスの中に入ってしまうと、いうようなことになることは、私たちが築いてきた民主主義には抵触するものではないかというふうに私は考えますし、ある意味で憲法21条に抵触をするおそれのある法案だと思っております。
 そんな意味で、この法案はさまざまな団体が危惧を表明しており、各種の世論調査でも多くの反対の声が上がっておりますことから、今、この時点で、国会でかなりの議論がされていると思いますが、良識の府であります参議院での、慎重な審議を強く私は望むものでございます。私は、この見解は前回の定例市議会でも答弁をさせていただきましたし、また先週の定例記者会見においてもそのお答えをしているところでございます。今後も、機会を捉えて私の考えを申し上げてまいりたいと考えているところでございます。
 消費税の引き上げについてのお尋ねでございますが、消費税につきましては、さまざまな議論を経て昨年8月に成立をいたしました、いわゆる税制抜本改革法の付則の規定に基づきまして、経済成長率や物価動向等をふまえた経済状況や、あるいは持続的な経済成長に向けた取り組み等について、総合的に勘案した検討をおこなった結果、内閣におきまして、平成26年4月1日から消費税および地方消費税の税率を8%に引き上げるということを確認したものでありまして、この決定は尊重すべきものだと、このように考えているところでございます。私からは以上でございます。

秋元副市長 答弁

 私からは2項目目の公契約と官製ワーキングプアの問題について、そして5項目目の景気対策についての2項目についてお答えを申し上げます。
 まず、2項目目の公契約と官製ワーキングプアの問題についてお答えをいたします。まず、本市発注の工事・業務における労働者の賃金に対する認識についてであります。公契約条例案は、公契約で働く労働者の賃金改善など、適正な労働環境確保を通じ、税金の地域内循環により、地域経済活性化をはかることを目的に提案したものでございます。この間の議論を通じて、業界をはじめ、多くの皆さまも、条例の趣旨についてはご理解をいただいたものと考えているところであります。市内の経済指標には、一部持ちなおしの動きはありますものの、公契約で働く労働者の賃金をはじめとする雇用環境は、依然としてきびしい状況にあり、市発注業務の賃金調査の結果からも、特に清掃業務においては、低賃金の労働者が多いということを認識しているところでございます。税金を原資とした、公契約ではたらく労働者の低賃金の改善をはじめ、適正な労働環境確保をはかっていくことは、喫緊の課題であると考えており、条例がない中におきましても、発注者である市として可能な方策について取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、条例が制定されなくても、市としてできること、ということでございます。
 企業に対する要請、入札方法の活用、賃金調査の3点につきましては、関連いたしますので一括してお答えをさせていただきます。まず、企業に対しての適正な賃金支払い要請についてであります。これまでも、業界団体や受注企業に対して要請をしてきたところでありますけれども、あらためて、工事関係約800社、および清掃業務、警備業務関係約300社に対し、市の発注が労務単価に基づく適正な積算と、最低制限価格制度を付している趣旨などをふまえた労働者の賃金改善について、要請をおこなうこととしたい、と考えております。また、労働者の賃金実態をはじめとする労働環境調査につきましては、条例対象としていた工事や清掃・警備業務にとどまらず、対象範囲の拡大や回答の義務化なども含めて検討しており、賃金実態に応じた改善要請や調査結果の公表をおこなうことにより実効性が上がるようつとめてまいりたいと考えております。
 最後に、総合評価方式を活用して、適正な賃金支払いなど、労働環境確保をはかることにつきましては、有効な方策のひとつと考えており、評価項目、配点、方法等の検討を含め、可能なものから実施してまいりたい、このように考えております。
 次に、公契約条例の再々提出についてでありますけれども、これまでお答えいたしましたとおり、公契約条例がない中にありましても、公契約の下ではたらく労働者の賃金の改善など、適正な労働環境の確保をはかっていくためのあらゆる方策について、業界とも協議をしながら取り組むことを考えており、まずはそれらの状況を見きわめてまいりたい、このように考えてございます。
 次に、指定管理者におけるワーキングプアの問題についてであります。今回の一斉更新におきましては、新たに公募施設における管理運営の継続性を高める取り組みをおこないましたことで、現在の指定管理者が引き続き選定された施設もあり、雇用の安定化の効果も期待をしているところであります。また、指定管理者の選定におきましては、雇用継続の提案を求め、それを評価いたしましたほか、新たに雇用関係項目の配点割合を高めるとともに、従前から、指定管理者に雇用される労働者の賃金や、労働関係法令の順守の調査も実施をしてきたところであります。今後は、これまでの取り組みの効果を検証しながら、指定管理者の募集、選定、管理、運営評価など、幅広い観点から制度の検討をおこないたいと考えております。清掃や警備などの業務の再委託につきましては、事業者に協力を求めながら実態を把握しつつ、対応を検討し、可能なものから取り組んでまいりたいと考えております。また、民間委託、アウトソーシングなどについてでありますけれども、社会経済情勢の変化や、多様化する住民ニーズに対応した的確な市民サービスを提供していくためには、今後も、民間事業者が有する技術や創意工夫を、幅広く活用をしていくことが必要であると認識をしております。
 次に、本市の非正規職員についてでございます。1点目の賃金についてでありますけれども、本市の臨時職員の賃金および非常勤職員の報酬は、その職務と責任、正規職員給与との均衡、民間給与の状況などを総合的に勘案し設定をしているところでございます。具体的には、臨時職員については、札幌市の正規職員の高卒初任給と同程度、もしくはそれを上回る水準となっており、非常勤職員はそれに専門性を加味した水準となっているところであります。今後とも適正な水準の維持に努めてまいりたいと考えております。
 2点目の、雇用形態についてでありますけれども、臨時職員は、臨時的、季節的な業務等の補助として、また、非常勤職員は専門的かつ短時間の業務に従事するために任用しており、正規職員とは職責や勤務形態が基本的に異なるものでございます。今後ともそれぞれの役割をふまえ、適切な任用をおこなってまいりたいと考えております。
 次に、5項目目の景気対策についてお答えをいたします。
 まず石油価格高騰対策についてでございます。1点目の、中小業者や福祉施設、市民への影響についてでありますが、石油製品の価格は昨年同時期に比べ高値になっておりますが、極端な高騰にはなっていないものと認識をしております。石油価格の高騰は、広く国民生活に影響を及ぼしますことから、その対策につきましてはまずは国において取り組むべき課題と考えているところでございます。札幌市といたしましては、本格的な需要期を迎えるにあたり、国や石油元売事業者に対し、価格安定等の要請をおこなったところでございます。札幌中小企業支援センターや、消費者センター等の相談窓口には、これまでのところ、石油価格に関する相談は寄せられておりませんが、引き続きその動向の把握につとめるとともに、ウォームシェアをはじめとするエネルギー資源節約の取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。
 2点目の、新たな融資制度についてでございます。いわゆるセーフティネット融資である景気対策支援資金は、国の指定業種で最低3カ月間の売上高が前年比で5%以上減少した場合にも利用できるものでございまして、石油価格の影響を受けやすいクリーニング業、運送業などは、経営状況の悪化している業種として国に指定されておりますことから、この資金を活用いただけるものと考えております。
 次に、雇用対策についてであります。雇用対策は重要な施策でありますことから、札幌市まちづくり戦略ビジョンや、第3次札幌新まちづくり計画にも掲げ、さまざまな取り組みをおこなってきているところでございます。失業率や賃上げ等につきましては、世界的な景気動向や、国の経済対策の影響を大きく受けますことから、一自治体での指標の設定は困難であると考えておりますが、札幌市が取り組む各種施策については、事業ごとに指標を設け、検証しながら進めているところでございます。
 新規高卒者の内定率につきましては、同様に目標値の設定は難しいと考えておりますが、就職を希望する高校生がひとりでも多く就職に結びつくよう、業界団体への求人要請や、就職面接会の共催等、北海道労働局等と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。  
 次に、新産業と住宅リフォームについてでございます。
 1点目の、再生可能なエネルギーの開発や産業化、事業所向け省エネの取り組みの拡充についてでございますが、今年度から、効率の高い太陽光発電や、低コスト型の地中熱ヒートポンプなどの再生可能エネルギーに関連する新技術、新製品開発に取り組む市内企業を支援をしているところであります。また、ものづくり産業が集積をしている工業団地において、効率的な電力使用を推進できるよう、今年度から団地単位でスマートメータ等を活用し、ピークカットや省エネを推進、継続させるための仕組みづくりや、意識醸成に取り組んでいるところでございます。今後は、こうした先行事例をふまえながら、他の工業団地への導入拡大についても検討してまいりたいと考えております。
 2点目の、住宅エコリフォームと省電力化についてでございます。省電力化につきましては、市全体で多様な施策により推進をしているところでありまして、住宅エコリフォーム事業もそのひとつであると考えております。住宅エコリフォーム補助事業は、年々申請数が増加をし、市民の皆さまにも広く浸透してきておりますことから、補助要件の緩和など、制度の見直しについては考えてはございません。平成26年度の住宅エコリフォームの補助枠につきましては、これまでの申請状況等をふまえ、適正な規模となるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、来年4月以降の景気対策についてでございます。消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減を緩和するために、先ほどもお答えをいたしましたように、簡素な給付措置を含めた国の新たな経済対策の状況もふまえながら、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。私からは以上であります。

井上副市長 答弁

 私から、質問の3番目、子どもに係わる課題についての、自己肯定感を育む環境以外の項目と、質問の4番目、入院助産制度についてお答えをしたいと思います。     
 まず、子どもの権利についての2点目、子どもが生まれながらにして持つ固有の権利についてでありますが、こうした権利を尊重するためには、限られた人的資源の中で、適正な職員配置に努めるなど、子どもに関する施設における職員のはたらく環境の充実が重要であると認識をしております。
 子どもの権利についての3点目、子どもの権利条例に基づく取り組みを検証するための調査についてでありますが、平成27年度からの次期、子どもの権利に関する推進計画の策定の基礎資料とするため、大人、子ども、それぞれ5000人を対象とした、「子どもに関する実態・意識調査」を今年度中に実施する予定であります。この調査では、子どもの意識はもちろんのこと、友達や家族との人間関係、生活実態等に関する質問を設けており、その結果を分析して今後の取り組みに生かしてまいりたいと考えております。
 次に、児童クラブと学童保育についての1点目、児童クラブの過大規模化についてであります。
 児童クラブの適正規模につきましては、今ある、国のガイドラインが適性と考えております。が、札幌市では、希望するすべての児童が児童クラブを利用できるよう、定員を設けておりません。児童クラブが大規模化していることは、課題として認識をしており、指導員を追加配置することなどによりまして、対応しております。また、一小学校区、一放課後児童クラブの考え方についても、大規模化する児童クラブに対応するため、検討する必要があると認識をしております。
 2点目の、10人に満たない小規模の学童保育についてでありますが、助成する団体の最低規模としては、国が補助対象としている10人という基準が妥当なものと認識をしております。
 3点目の、民間学童保育所の指導員の処遇についてであります。指導員の勤務時間につきましては、民間学童保育所ごとで開設時間が異なりますことから、国が定める長時間開設への加算というかたちで対応しているところであります。なお、指導員の処遇につきましては、現在、国において検討されていることから、その動向を注視してまいります。
 4点目の、障がい児加算についてであります。障がい児の受け入れ人数に応じた助成につきましては、現在、国の補助基準にありませんが、札幌市としても、障がいのある子どもへの対応の充実は必要であると認識をしておりまして、今後も引き続き、国にはたらきかけてまいりたいと考えております。
 次に、保育所待機児童の解消についてであります。国定義以外の待機児童を含め、2014年度末までに、保育サービスを必要とするすべての児童に、必要な保育サービスを提供できるよう、保育環境の整備につとめてまいります。
 次に発達医療センターについてであります。発達医療センター移転に際しては、訓練の機会を確保する必要があることについて、十分に認識をしております。発達医療センターは、障がいのある子どもとその親にとって、重要な施設でありますので、利用者の意見をふまえ、移転に伴い訓練の機会が失われないよう、訓練場所等について鋭意検討をすすめているところでございます。
 入院助産制度についてお答えをいたします。
 まず、入院助産制度の役割についてであります。入院助産制度を実施している助産施設は、経済的理由により入院助産を受けることができない妊産婦を対象としている施設であり、妊産婦に対して、安全で衛生的な出産を保障するとともに、胎児が無事に産まれてくることを確保し、ひいては、児童の健全な育成をはかるためのたいへん重要な施設であると認識をしております。
 次に、出産後の育児支援の必要性についてであります。札幌市では、妊娠期から18歳まで、切れ目のない母子保健事業を実施しており、特に出産後早期からの育児支援は、たいへん需要であると認識をしております。そのため、母子健康手帳交付時の面接相談や、産科医療機関等との連携により、妊娠中から支援の必要な妊婦を早期に把握し、継続支援をおこなうほか、生後4カ月までの乳児のいる全家庭を訪問する中で、母親の精神的な状況も把握しながら、必要な支援をおこなっております。さらに、医療機関が把握した、支援を必要とする親子の情報をもとに、退院直後からの育児支援体制を構築し、育児不安の軽減や、児童虐待の未然防止に取り組んでおります。今後も切れ目のない支援体制の充実をはかるとともに、札幌医療規約に掲げられている保健医療に関する相談、連携体制の充実に取り組み、安心して子どもを産み育てられる社会環境の整備を目指してまいります。
 次に、助産制度についてであります。助産施設の運営費は、国が定めた基準単価を設定しており、実際の出産費用とは差がありますことから、札幌市においてその一部を市単費で補助しております。助産の実施を円滑にすすめるため、単価引き上げや、新たな加算制度の創設について、引き続き、他の政令指定都市とあわせて国へ要望してまいります。
 次に、市立病院での入院助産制度の実施についてであります。市立札幌病院には、道央圏唯一の総合周産期母子医療センターとして、北海道から指定を受け、市内外から切迫流早産、多胎妊娠などの、ハイリスク妊婦の受け入れをおこなっております。これら母胎緊急搬送受け入れ用の病床を安定維持する必要があることから、分娩の月間予約数を制限しております。このような状況から、助産施設としての病床を確保することにより、道央圏におけるハイリスク分娩等の母胎緊急受け入れを、安定的におこなうことができなくなるおそれがあります。したがって、総合周産期母子医療センターとして、市立札幌病院に与えられている使命をまっとうするためには、現状においては入院助産制度への取り組みは難しいと考えております。以上です。

町田教育長 答弁

 私から、3項目目の子どもにかかわる課題について、子どもの権利、1点目の自己肯定感を育む環境についてお答えを申し上げます。
 自己肯定感は、子どもが安心して自己を発揮できる環境の中で、子ども同士がお互いに理解し、尊重し合う取り組みを通して育まれるものと認識しております。札幌市の教育実践といたしまして、ピア・サポートなど、子ども同士が助け合い、支え合う活動や、自分の夢を描き、その実現に向けた意欲を育む進路探求学習等の取り組みの充実につとめてまいりたいと考えております。以上でございます。

小形 かおり議員 再質問

 再質問したいと思います。まず、市長が秘密保護法について、憲法第21条も例に挙げて、今あたっていただいたと思います。機会を捉えてとおっしゃいましたけれども、もう今日、強行採決するか、明日かという、非常に緊迫した状況でございます。今日の夕方6時半からは大通公園の西4丁目で、大きな秘密保護法反対の市民的な集会もあるというふうに聞いておりますので、ぜひこうしたものに積極的に参加をしていただいて、広く市民の皆さん、そして民主主義は、これはたいへんに危ぶまれるものだと思っている方にアピールしていただきたいということを求めておきたいと思います。ご一緒にがんばりましょう。
 そして、質問の方ですけれども、まず学童保育についてです。今、ご答弁をいただきました。児童クラブがあるところに後から民間学童保育所が作られた場合、現在は助成金を出す対象としていない、ということですけれども、先ほどのご答弁の中では、今後はひとつの校区に複数の児童クラブ等を配置していくことを検討する必要があるというふうに副市長、お答えになったと思いますけれども、私は、ぜひそれは検討を進めていただきたい、そして、そうであれば、現在南白石小学校区ですでに、児童クラブのある後に民間学童保育所を作って、20名近い子どもさんが通っておられますが、助成金が出されていないという実情ですから、こうしたところに急いで助成金を出して支援するべきだと思いますが、いかがか、ここを聞きたいと思います。
 それから、2点目は、入院助産制度でございます。入院助産制度について、早期な支援は大切だ、と。経済的な理由で出産がたいへんな家庭に支援をするものだというふうに認識をしておられるということでございましたけれども、そして、その差額が3万2千80円不足だと私、申し上げました。私、本来はやはり公立病院が、こうした貧困を抱える家庭のお母さんの出産を、経済的な意味で、あるいは心も支えるという意味でね、私は公立病院がやるべきだというふうに思っておりますが、それを実施しないで、さらには、市の助成も増やさずに、民間での3万円ちょっとの差額については負担をさせたままというのは、考え方がおかしいんじゃないかな、と思うんです。民間病院に、やればやるほどこれ、赤字になるわけですよね。産後ケアをやればその分はまったくの無報酬なわけですよね。そういうふうにして、民間病院に赤字を押しつけておいたままというのは、いかがなものかというふうに思うんです。ですから、まず自らが、本市としてどういうふうに支えるのかというふうに考えたときには、やはり市立病院でやるか、あるいは赤字でたいへんな病院に対して、せめて差額が生まれないように補助するというふうな考えに立つべきだと思いますが、そこがいかがか伺いたいと思います。

井上副市長 答弁

 再質問の最初の、児童クラブの過大規模化の問題でございます。これにつきましては、先ほどご答弁を申し上げましたように、今後の検討というふうにお伝えをしておりますけれども、まずひとつはですね、今年度内に国から、放課後児童クラブの基準が示されます。それに対応するために、今後開催する子ども子育て会議、これを今年設けておりますけれども、この子ども子育て会議におきまして、一小学校区、一放課後児童クラブという、この、今ご質問のあった見方、それから大規模化の対応の方も含めまして、具体的に検討してまいりたいと、このように考えております。
 それから、入院助産制度の問題でございます。先ほども答弁させていただきましたように、市立病院、確かに市立病院でございますけれども、非常に大規模な病院でございまして、現在の医療、病院の構造といいますか、体制の中で、やはり大きな病床を持つ病院、複合病院としての、さまざまな地域に対する貢献の役割を担っているということで、現在の施設規模等の中ではですね、この分の病床を設けるのはなかなか難しい状況であろうというふうに思っております。
 それから、単費補助の問題についてでありますけれども、原則はですね、これは全国の問題でありますから、基本的には国が、その分の差額につきまして対応していくというのが、本来あるべきだろうというふうに思っております。で、ただ先ほどご指摘がありましたように、差がございます。その点に関しましては、札幌市での単費での補助を現在しておりますが、その基準等については、他の都市と比べましてですね、それほど劣ってはいないというふうには思っておりますが、今後、他都市のさらに状況やですね、国の動向もふまえまして、慎重に判断してまいりたいというふうに思っております。

小形 かおり議員

 入院助産制度のことで、市立病院でやれればいいんだけど、それは困難なんだというふうに、その気持ちであれば、やはり民間病院がやっていることに対して、やっていただいて助かっているという気持ちを込めて、せめて赤字が出ないように、それは確かにおっしゃるように、国が本来出すべきだと私も思います。それには時間がかかると思います。その間でも、実際やっている機関はたった実質2つの病院しかないんですから、そこに対して赤字の出ないような、市の単費をあげるというのは、これは他都市とは比べている場合ではなくて、助産施設として役割を十分果たしてもらうという意味で、これは、国が増やさない以上は市が補填していくという考え方に立つべきだということを求めて、質問を終わりとします。