01 私は日本共産党を代表して、ただいま市長から上程されました議案4件中 議案第9号 監査委員選任に関する件に反対、残余の議案には賛成の立場で討論を行います。
 まず、議案第8号 教育長の任命に関する件についてです。今回の人事は、現在、教育長である町田隆敏氏の辞職、すなわち副市長への就任に伴い、その後任者として長岡豊彦氏を新教育長に任命しようとするものです。
 同時に新たに施行された国の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定の下で初めての任命となります。
 この法改正は、地方自治体の教育政策の方針となる大綱を首長が決め、その首長の意見をより反映させるために教育委員長を廃止し、首長が任命する新教育長をトップにすえるというものです。
 これは、教育委員会の独立性を奪い、国や首長が教育内容に介入する仕組みづくりであり、憲法が保障する教育の自由と自主性を侵害する懸念があります。よって、国の法改正による新たな制度は到底容認できるものではありません。
 まさに今、安倍首相の自公政権によって憲法が骨抜きにされ、海外で戦争できる国づくりが、力づくで進められようとしている下で、侵略戦争を美化し、歴史を偽る愛国心教育を狙う教科書の押し付けが強まっています。これ以上の教育現場への政治介入は、断じて許されないものです。
 先ほど市長からの提案説明の中で長岡氏は、国の新たな法改正の下でも、教育の自主性を尊重するとともに、教育委員会の審議の活性化や透明性の確保に努め、中立かつ公正な教育行政の発展に力を尽くす旨の抱負が示されました。これは重要な視点であり、本市の教育行政として今後も継続、発展されるべきものです。
 そもそも教育は、子どもの成長・発達のための文化的な営みであり、教員と子どもとの人間的なふれあいを通じて行われるものです。
 そこには、自由や自主性が不可欠です。だからこそ、戦前の教訓も踏まえ、憲法のもとで政治権力による教育内容への介入・支配は厳しく戒められてきたのです。
 私ども日本共産党は、教育長はじめ、教育委員のみなさんが、引き続き、憲法と教育基本法、子どもの権利条約の精神に立って、地域住民や学校現場の多様な教育要求を施策に反映させるべく、自由闊達な議論を保障すること。政治的に中立かつ公正な教育行政と教育の自主性を重んじること。この点を改めて市長、教育長に求めるとともに、あえて、本人事案件には反対せず、今後の教育委員会の動向に注視をしていくものです。
 次に、議案第9号 監査委員選任に関する件についてです。私ども日本共産党は、市長が提案した自民党 宮村素子議員及び公明党 涌井国夫議員が人物として問題があるという理由で反対するものではありません。
 市長の人選の仕方、すなわち第1会派である自民党と第3会派である公明党からの選出の仕方に問題があるため、この議案に反対するものです。
 議長、副議長、監査委員の議会三役の選出にあたり、全国の少なくない議会でトラブルになっています。その多くは、大会派の横暴でポストの独占が行われるためです。大会派が監査委員を内定し、その意向に沿って首長が提案していることが多いようです。
 さて、本市における議会選出監査委員ですが、かつては第1会派から議長、第2会派から副議長、そして第3及び第4会派から監査委員を選出する憲政の常道にかなった選出の仕方でした。しかし1993年、保守系の第4会派が第1会派の自民党と統一し、私ども日本共産党が第4会派となったときから、第4会派には監査委員を渡さず、第1会派が議長と監査委員、この二つのポストを独占するようになったのです。そして、このやり方は民主党にも引き継がれ、民主党が第1会派のとき、自民党と同様に議長と監査委員のポストを独占しました。
 地方自治は民主主義の学校と言われます。その議会は、当然ながら民主主義が徹底されなければなりません。数の力による横暴を排除し、公正かつ公平な議論のもと、少数意見を尊重する住民の意見を反映した議会にしなければなりません。市民の誰から見ても公正で民主的であり、いっそう信頼される議会にするため、互いに努力し、見直すべきはしっかり見直そうと、私はこの場から議会各会派と市長に呼びかけるものであります。
 どの政党や政治勢力が第4会派になっても、それが市民の負託の結果によるものであるなら、市民と選挙の結果を信頼し、尊重して監査委員にすべきであります。今回はじめて当選された新人議員の皆さん、そして先輩議員の皆さん、我々札幌市議会議員が、どこの会派に所属していたとしても、その一人一人が党利党略を排除し、民主主義を徹底することに真剣であることをこの議会で明らかにしようではありませんか。改めて、大会派がポストの独占をしないこと、市長は、与党や大会派におもねることなく、すべての議員、会派と公平に向き合うことを求めるものであります。
 以上の理由により、監査委員は第3及び第4会派から選出すべきであり、議案第9号には反対します。以上で私の討論を終わります。