01 私は、日本共産党を代表して、市政に関わる重要問題について質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、市民の生命と将来に重大な影響を及ぼす安全保障関連法いわゆる戦争法についてです。
 1点目は、国会での強行採決についてです。
 9月19日未明、戦後最悪の違憲立法である安全保障関連法案いわゆる戦争法案が参議院本会議で国民の願いを無視して、自民党・公明党により強行採決されました。
 衆参の安保法制特別委員会では、政府答弁の修正・撤回・謝罪が毎回の審議で繰り返され審議中断は衆参合わせて220回を超えています。
 さらに、首相が法案の立法事実としてあげてきた「邦人輸送の米艦防護」について防衛大臣は「邦人が乗船しているかどうかは絶対的条件ではない」と言い出し「ホルムズ海峡の機雷掃海」に関しても首相自らが「現実の問題として発生することを想定しているものではない」と述べ、集団的自衛権を行使する具体例がことごとく崩れ去りました。
 安全保障関連法は、憲法の平和主義を壊し「海外で戦争する国」への暴走に突き進むものであり、解釈改憲による立憲主義の根底からの破壊で、多くの専門家や国民による異論や批判に耳を傾けず民主主義を否定するものです。
 9月15日の中央公聴会では、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基氏が「10万人を超えるなどの国会前の大規模な集会だけでなく、抗議行動は日本全国2000カ所以上、数千回を超え、延べ130万人以上が街頭で声を上げた…この国の民主主義のあり方、未来について主体的に一人ひとり考え、立ち上がっています」と発言しています。
 しかし、自民公明は、公聴会の正式な議事録もないまま、総括質疑も実施せずに採決を強行しました。アリバイ的に公聴会さえ開けば採決するという姿勢は、国会のルールを破壊し、国民の声を踏みにじるものです。
 こうした一連の政府のやり方は、議会制民主主義を否定するものだと考えますが、市長のご見解を市民の前に明らかにしてください。
 また市長は、先のわが党の代表質問に対して「国会においては慎重かつ十分に審議を尽くしていただきたい」と答弁されましたが、国会で十分に審議が尽くされたとお考えかご見解を伺います。
 2点目は、安全保障関連法が抑止力になるという考え方についてです。
 わが党が暴露した自衛隊の統合幕僚監部の内部資料には「米艦防護の交戦規定」策定、米軍と自衛隊の共同軍事司令部を平時からつくる「軍・軍間の調整所」の設置、法成立を前提とした南スーダンでのPKO活動の拡大などが記されています。国会にも国民にも一度も説明していないことを先取りした米軍の指揮下での自衛隊の暴走は明らかです。
 安倍政権は「法案は日米同盟の抑止力を高め、戦争を未然に防ぐものだ」と繰り返してきました。しかし、衆議院の参考人質疑で元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は「集団的自衛権を行使することは進んで戦争に参加することであり、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与えること…国民を守るというよりは進んで国民を危険にさらす」と指摘しています。
 この内容からも安保関連法は、日本の防衛のためではなく、米軍と一体に海外で武力行使するものであり、抑止力どころか、殺し殺される危険性を拡大するものだと考えますが、市長は安保関連法が抑止力になるとお考えですかお答えください。
 3点目は、安全保障関連法の違憲性についてです。
 6月4日には、衆議院憲法審査会で「過去の政府見解との論理的整合性も法的安定性もない」と憲法学者3氏全員が違憲と表明したのにはじまり、元法制局長官3氏と「法の番人」である最高裁判所の元判事までもが国会で「違憲」であることを表明しました。
 政府が「合憲」の最後の根拠として出した1959年の最高裁砂川判決で「必要な自衛の措置」を認めていることをあげていますが、最高裁の山口繁元長官が「集団的自衛権を意識して判決が書かれたとは考えられない」「立憲主義や法治主義が揺らぐ」「憲法によって権力行使を抑制したり、恣意的な政治から国民を保護することができなくなる」と公然と批判しました。合憲性の根拠は完全に失われたと考えますが、市長は安全保障関連法を違憲だとは思いませんか、ご自身のお考えを市民の前で明確にしてください。
 4点目は「戦争法は廃案に」と立ち上がった国民・市民の世論と運動についてです。
 独裁政治で暴走する安倍自公政権に対して「だれの子どもも殺させない」とのママの会や「戦争したくなくてふるえる」などの若者たちの自発的な呼びかけで始まった行動は、日増しに大きくなり、採決が強行された後も「絶対にあきらめない」と戦後かつてない国民運動に大きく広がっていることは、日本の民主主義にとって大変重要なものだと考えますが、市長はどのように受け止めているのか伺います。
 質問の第2は、原発の再稼働についてです。
 東京電力・福島原発事故から4年半が過ぎました。未だに10万人もの方が、ふるさと福島に帰ることができずに避難生活を強いられています。
 国民の多数は、原発再稼働に一貫して反対しており、最近の世論調査でも6割近くが反対を表明しています。福島原発事故の原因究明さえ行われていません。高いレベルの放射性物質を含む使用済みの核燃料の安全な処理方法も確立されていないにも関わらず、国民多数の民意を踏みにじり、川内原発再稼働を強行し、全国の原発を次々に再稼働させようとしています。
 ひとたび事故が起これば、放射性物質の飛散は立地する自治体にとどまらず、大きな影響を与えることはすでに福島原発事故で明らかになっています。
 市長は、先のわが党代表質問で、泊原発の再稼働について「道民、市民の理解が得られることが重要」と述べるにとどまり、自らの賛否を明らかにしませんでした。
 市民の生命と安全に責任を負う立場にある市長として、泊原発の再稼働を認めるのかどうか、自らの立場を明らかにすべきと考えますがいかがか伺います。
 泊原発の周辺では冬は西風が7割吹くと言われています。万一、泊原発で過酷事故が発生した場合、東方向にある本市に放射性物質が飛散し、被曝することになりかねません。その際、本市は周辺9町村から5万人の避難民を受け入れるといいますが、西風の問題をどのように検討されているのか、また、要配慮者を含む札幌市民の避難計画について、どのように考えているのか伺います。
 質問の第3は、都心アクセス道路についてです。
 第2回定例会に都心アクセス道路の調査費500万円が計上され、現在、「平成27年度創成川通機能強化検討調査業務」として契約候補者を選定するために「公募型企画競争」を行っています。業務の内容として「創成川通の機能強化の検討を行う上で必要と思われる基礎データの整理・分析を行うこと」「創成川通の機能強化の必要性、期待される効果の整理を行う」というものです。
 そして、「整備の形態としては、高架、交差点改良、トンネル等を含む3案以上を想定する」としていますが、これでは都心アクセス道路建設ありきの調査内容であり問題です。そもそも都心アクセス道路の必要性はありません。
 本市が昨年実施した交通量と混雑度の調査で、都心アクセス道路の建設を予定している創成川通の混雑度は0.87と、4段階ある混雑度の中で最低ランクの「混雑度1.0未満」でした。これは「昼間の12時間を通して、道路が混雑することはなく円滑に走行でき、渋滞やそれに伴う極端な遅れはほとんど生じない状態」です。
 これでどうして新たな道路建設が必要なのか、経済界からの強い要請があり行おうとしているのですか伺います。
 しかも、総工費は数百億円とも言われ、そこに市税も投入されます。これこそムダな大型開発、税金の無駄づかいだと考えますがいかがか、都心アクセス道路の建設は止めるべきだと考えますがいかがか伺います。
 質問の第4は、マイナンバー制度についてです。
 税と社会保障の一体改革の名のもと2013年に成立したこの制度は、間もなく番号の通知カードが送付され、利用が始まろうとしています。「行政運営の効率化」「公正な給付と負担の確保」「国民の負担軽減と利便性の向上」を目的と言いますが、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで、住民登録した全ての国民の社会保障や税の個人情報を国が一括管理し、活用するものです。
 当面は就職・退職の時、会社の年末調整や確定申告・児童扶養手当の支給、厚生年金の受給開始申請などの「社会保障」、所得税・住民税の申告などの「税金」、被災者支援などの「災害対策」の3分野での利用となっていますが、それぞれ仕事や暮らしに関わる情報を外部に提供しなければなりません。
 さらに今後、金融機関との連携、健康診断情報や予防接種の履歴等にも適用拡大が図られていきます。また、最近では消費税の軽減分をマイナンバーカードで対応しようという動きもあり、日常的に携帯する必要も出てきました。
 生活のあらゆる分野で個人情報がさらされることになり、市民の間に不安と本当に必要な制度なのかという疑問が広がっています。また、事業者が給与支払いなどのために、社員とその家族の個人情報を管理しなければなりませんが、そのための機器の更新、新たな人員配置、セキュリティー管理などに多大な負担がかかることになります。
 利用範囲が拡大すればするほど情報漏えいの危険性は高まります。諸外国や民間企業でも漏えいで重大な事態がおきています。市長は先のわが党代表質問で「必要な制度」と答弁されていますが、改めて情報漏えいの危険性は全くないとお考えなのか、市民の個人情報は守り切れるとお考えなのか伺います。
 質問の第5は、(仮称)さっぽろ未来創生プランについてです。
 安倍首相は、2014年通常国会を地方創生国会と位置付け、少子高齢化の急速な進展に対処し、人口減少問題の克服と、経済成長力の確保を課題として、「まち・ひと・しごと創生法」を制定しました。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官は、創生法で言う、しごととは「相応の対価が支払われ、安心してやりがいをもって働くことができ、家庭や地域も大事にできる」という意味を持たせるものだと言っています。これに基づき本市は「(仮称)さっぽろ未来創生プラン」を策定しようとしています。
 消費税が8%になり、個人消費が落ちこみ、域内でお金がまわるという経済の基本が壊れています。一方、9月1日に発表された、財務省の「法人企業統計」によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は労働者の賃金に反映されず、前年度からさらに14兆円も増えて、ついに300兆円もため込まれています。
 安倍政権は大企業が利益を増やせば、経済に「好循環」が生まれるとして、法人税減税を進めてきましたが、このトリクルダウンの考え方は、明らかに破たんしています。
 1点目は、経済対策についてです。
 アベノミクスが、非正規労働者を増やし、安定した雇用を壊しながら、大企業の税負担を減らす優遇策を進めていることは、今、国をあげて、人口減少問題を克服し、経済の成長力をつけようとしている方向とは全く逆行していると考えますが認識をお聞かせください。
 2点目は、若年層雇用対策についてです。
 本市が、2015年3月~4月、本市で暮らす25歳~39歳の男女3,136人に行ったアンケートに、結婚しない理由として、男女とも、1番が「結婚後の経済問題」をあげ、男性は2番目に「非正規で雇用が不安定」と答えています。
 まさに国の悪政によって、本市の若者が苦しい生活を強いられている実態があらわれています。
 労働者派遣法の大改悪は、派遣労働期間の制限をなくし、「正社員ゼロ」社会に向わせるものです。
 この改悪は、プランにある安定した雇用を生みだす施策と本市の若者のアンケート結果にも示された願いに逆行するものだと思いますが、いかがですか。また、アンケート結果を生かすためには、不安定な非正規雇用の解決がどうしても必要だと思いますがいかがか伺います。本市が賃金の底上げと雇用の安定を図る実効性のある対策をとるべきと考えますが、市長はどうお考えかお示しください。
 その実現ためには中小企業の活性化が不可欠です。本市の中小・零細企業が元気になる施策を実行すべきです。中小零細企業の安定した経営をつくるため、どのような対策をプランに盛り込むお考えかお答えください。
 3点目は、子育て世帯の経済的負担の軽減についてです。子育て世代への支援は、景気回復・雇用と並んで生産人口を増やすために重要な施策です。
 人間らしく働くルールと賃金の確立、子育てしながら働き続けることへの経済的な支援がプランに反映されるべきです。
 とりわけ少子化を克服するための緊急かつ大胆な施策が必要と考えますが、まず、市長が選挙公約に掲げた、子育て施策を速やかに具体化すべきです。
 子ども医療費の無料化、給付型奨学金の創設、保育料の2子目からの無料化などはプランにどの様に位置付けられ、その具体化はどの様にすすめられていくお考えか伺います。さらに低廉な住居の提供をするなど若者支援を具体化すべきと思いますが、いかがか伺います。

秋元市長 答弁

 私の政治姿勢についての1点目。安全保障関連法案についてでございますが、うち4点、ご質問ございましたけれども、一括お答えをさせていただきます。
 今回の法案審議につきましては、我が国の安全保障をめぐる国際環境の変化に対応して、憲法の平和主義を踏まえ、時代に合った法制の見直しをおこなうという、国の安全保障のあり方に関わる大きな問題であると認識をしているところであります。ここでは大きく2つの論点、1つは我が国の安全保障というものをどう捉えていくのか。もう1つは憲法上、集団的自衛権というものをどう考えるか、ということであり、世論が大きく分かれる議論となったところであります。国のあり方に関わる大きな問題でありますことから、多くの国民の理解、支持を得ることが何より重要であり、また必要なことだと考えているところであります。
 しかしながら、今回の法案は、長い国会審議の中でも、必ずしも国民の理解が深まり、不安が解消されたと言えない状況の中で採決、可決となったことは残念だと思っているところでございます。また、今回の法案に関しまして、幅広い年齢層の方々が様々な立場から発言をし、報道されておりますけれども、これは多くの国民がこの法案や政治に関心を持たれていることの表れであり、国におきましては今後においても、国民の疑問や不安の声に対し、真摯に説明をおこなっていただきたいと考えているところであります。

 次は、原発の再稼働についてであります。
 1点目の再稼働への立場についてであります。原発は何より安全確保が最優先されるべきものであると考えます。現在、原子力規制委員会において審査中であり、現時点で泊原発の再稼働について言及する状況にはありませんが、今後も審査等の状況を注視してまいりたいと、このように考えてございます。

 2点目の西風の問題と市民の避難計画についてであります。
 この4月に国から示された原子力災害対策指針では、風の影響も考慮した上で、札幌市を含む30キロ圏外の自治体の避難計画について、必要に応じて屋内避難をおこなうことが基本とされているところであります。
 このため、状況に応じて国から適時に指示があるとされておりますことから、周辺町村の避難受け入れも含め、適切に対応できるよう訓練等を通して、今後も国及び道などとの連携を強化してまいりたいと考えてございます。

 次に、都心アクセス道路についてであります。
 都心アクセス道路について3点ご質問ございましたが、一括してお答えをさせていただきます。
 札幌が世界都市としての魅力を創造し続けていくためには、周辺の空港などから都心へのアクセスを強化し、新幹線札幌延伸とも連携をした広域的な交通ネットワークを形成していくことが重要であると考えてございます。
 このことを踏まえ、まずは、混雑している区間も含めた現況の課題などを詳細に把握し、整備形態を想定した上で、都心部と高速道路を結ぶ創成川通のあり方について検討してまいりたいと考えております。

 次に、4点目のマイナンバー制度についてであります。
 マイナンバー制度におきましては、様々なセキュリティ対策が講じられており、札幌市としても研修等の人的対策やシステム面での技術的対策を組み合わせて実施をしているところであります。
 今後も市民の個人情報を守っていくために、必要なセキュリティ対策を講じてまいります。

 次に、(仮称)さっぽろ未来創生プランについてでありますが、1点目の経済対策と2点目の若年層雇用対策につきましては、経済分野で相互に関連をいたしますことから、一括してお答えをさせていただきます。
 国におきましては、経済の活性化を図るため、法人実効税率の引き上げなどが必要と判断したものと認識をしております。景気の現状は、税収が上向き、国内総生産も拡大が続くなど回復基調にあるものと認識をしております。
 一方、地方創生の動きの中で、地方自治体におきましては、地域の実状に応じた総合戦略を策定することが努力義務とされ、札幌市におきましても仮称でありますが、「さっぽろ未来創生プラン」の策定を進めているところでございます。同プランにおきましては、市民アンケート結果を踏まえ、札幌の実状に応じた対策を盛り込んでいくことを考えているところであります。
 具体的には、地元中小企業の活性化を図ることが重要との認識のもと、低利融資など経営基盤を強化する施策や、販路拡大への支援など売上増加に繋がる施策を盛り込み、勤労者の賃金底上げや雇用の安定にも繋げてまいりたいと考えております。
 また、若者が安定した就労ができるように、正社員就職の促進や学生の地元企業への就労支援、就労促進などの施策を盛り込むことを考えておりまして、経済団体とも連携をしながら支援を進めてまいりたいと考えております。

 3点目の子育て世帯の経済的負担の軽減についてでありますが、子育て世帯が安心して子育てをおこなえるよう、子ども医療費の無料化や子育て世帯を対象とした市営住宅の整備などを施策として盛り込み、経済的負担の軽減につなげてまいりたいと、このように考えてございます。

坂本 きょう子議員

 次は保育の問題についてです。
 質問の1は、保育の質の確保についてです。
 今年の4月から始まった子ども・子育て支援新制度は、自治体の公的責任を薄め、保護者と事業者の直接契約へと誘導し、保育事業に民間企業の参入を促すものです。
 本来、保育・教育の理論や子どもの心身の発達に関する専門知識、福祉などの基礎的な知識を身に付けた人材が責任感と意欲をもって、安全で質の高い保育を実現してきたのに、無資格者であっても保育ができるようにしました。
 児童福祉法第24条1項に、保育を必要としている子どもに対して「市町村の責任で保育をおこなう」と明記することで、保育を事業者任せにせずに国と自治体が子どもの保育を受ける権利を守ることを明確にしていますが、現在の賃貸保育施設の中にはオフィス、飲食店などの雑居ビルに入っているところが14か所もあり、その大半が株式会社の経営です。
 自前の園庭が無くても300メートル以内に公園があれば認可され、中には周辺の交通量が多く、イベントが次々に行われている大通公園を園庭代わりに利用したり、騒音がひどいJR高架下につくられた保育所もあります。保育所の施設によって、保育の質に格差が生まれるような保育環境をつくるべきではありません。
 6月24日の文教委員会でのわが党の質問に対し、「保育の仕方に差が出てくることはあろうと思う」と答弁しています。本市がもつ子どもの権利条例第14条には「育ち学ぶ施設が子どもの健やかな成長・発達にとって重要な役割を認識し、子どもの権利の保障に努めなければならない」と記されています。待機児童解消のために保育所増設をすすめていますが、供給量ばかり優先して保育の質に格差がもたらされることがあってはならないと考えますが、どう対処されるのか伺います。
 質問の第2は、保育料についてです。
 新制度の実施に伴い、この9月から保育料を算定する基準が所得税額から住民税額に変更された結果「保育料が1万円以上あがった」「2万円以上高くなった」との声や、2人が保育所を利用しているある多子世帯では、年少扶養控除の廃止で、「3万円も値上げされもう保育所に通わせられない」という悲鳴があがっています。
 また、「収入は何も変わっていないのにどうしてこんなに値上げになるのか」「金額だけが通知され、なぜ値上げになるのか説明もない」と、市の対応が丁寧でないことにも怒りの声が出ています。
 保護者に配布された文書では、保育料の変更について「9月から保育料が変わる場合があるが、極力保育料の階層が変更とならないよう階層の設定を行う」とあり、説明とは全く違う2万円、3万円といった値上げは、若い子育て世帯には、背負いきれない重い負担です。
 本市は、こうした状況を把握しているのか伺います。このように大幅に保育料が値上がりした世帯には特別な支援を講じるべきと考えますがいかがか。また、2012年度に値上げされた保育料10%は、元に戻すべきだと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、保育士の処遇改善についてです。
 全国保育協議会の調査では、保育士の2人に1人が非正規雇用で働いています。また厚生労働省の調査では、保育士の所得は全職種の平均と比べ、月額13万円低いとしています。
 早期離職者が多く、保育士の半数以上が5年未満に離職しています。若い保育士のなかには、今のままでは奨学金が返済できないと、道外へ仕事を求めたり、転職したりするケースも増えています。
 国は2013年から「保育士等処遇改善臨時特例事業」として、運営費とは別に「処遇改善」のための財源措置を実施しましたが、保育士が生活を維持するにはほど遠いのが現状です。保育士の専門性を生かし、より良い保育ができるよう、本市独自の処遇改善策を講ずるべきと考えますがいかがか伺います。

板垣副市長 答弁

 まず、2項目目の保育の問題についてであります。保育の質の確保についてのご質問でございますけれども、保育所の認可に当たりましては、事業主体や施設の所有形態等に関わらず、札幌市児童福祉法施行条例に基づく基準を満たしていることを確認した上で認可しておりまして、保育の質に格差は生じていないと認識しております。
 また、札幌市の条例では、乳児室の面積などで、国の基準を上回って基準を設定するなど、保育の質は確保されているものと認識しております。さらに、認可後におきましても、毎年運営面の監査を実施することで、保育の質の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、保育料についてであります。
 1点目の保育料が上がった世帯の把握と特別な支援についてのご質問でございますけれども、新制度におきまして、世帯によっては、階層が変動し、保育料の増減が生じていることは認識をしております。しかし、この増減につきましては、階層決定基準が、所得税から市町村民税に変わり、世帯構成や税控除、税率の違いなどにより生じたものでありまして、制度上、やむを得ないものと考えております。したがいまして、階層が上がった世帯のみに対する保育料の軽減といった救済措置は難しいものと考えております。なお、保育料の支払いが困難な方につきましては、納付相談など個別にしっかり対応してまいりたいと考えております。

 2点目の保育料の引下げについてであります。平成24年度の保育料の増額については、子育て支援施策の充実を将来にわたり持続していくため、一定のご負担をお願いしたものであります。併せまして、国基準よりも全体で30%程度軽減し、特に低所得世帯と多子世帯の軽減率を高くするといった見直しをおこなっておりまして、保護者の負担軽減に努めているところであります。

 次に、保育士の処遇改善についてでありますけれども、今年度からの子ども・子育て支援新制度の施行に伴いまして、国が定める公定価格において保育士等の賃金改善を図るための処遇改善等加算が設けられたところであります。この加算の適用を受けるためには、今後、事業者が賃金改善に向けた計画書を北海道に提出することになっており、札幌市としては賃金改善が適切に図られるよう事業者に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、更なる処遇改善に関しましては公定価格に拠るところが大きく、国において改善を図るべきものと考えておりますことから、様々な機会を捉えて、国に要望してまいりたいと考えております。

坂本 きょう子議員

 次は、社会的弱者への支援策についてです。
 質問の第1は子どもの貧困についてです。
 日本のひとり親家庭の貧困率は54.6%とOECDに加盟している34カ国で最低です。本市のひとり親家庭は2000年からの10年間で3,464世帯増加し18,927世帯に、そのうち母子世帯が17,327世帯と大きく割合を占めており、さらに生活保護世帯が3割となっています。
 就学援助制度の確定数も、この10年で1,817人増え、23,100人となり、本市の子どもの貧困は、母子世帯のなかに大きく広がっています。
 子どもの貧困対策として、①食の保障②学習権の保障③高校だけでなく大学等への進学保障④親の就労支援や労働環境の整備への対策の必要性は言うまでもありませんが、ひとり親家庭、とりわけ母子世帯への支援は、待ったなしの状況です。
 先のわが党の代表質問で本市の子どもの貧困対策計画について「全庁をあげて取り組む考え」と「関係する方々のご意見を十分にお聞きして鋭意検討」する旨の答弁がありました。
 本市の子どもの貧困対策はいつからどのように取り組むおつもりか進捗状況もあわせて具体的にお示し下さい。また、早急に求められているひとり親家庭とりわけ母子世帯への支援をどのように盛り込もうとしているのか伺います。
 質問の第2は、子どもの医療費無料化の拡充についてです。
 医療費無料化の拡充が全国的に進み、「外来での医療費無料化を小学校就学前まで」としているのは政令市の中で本市を含め5都市のみとなっています。他の政令市が中学卒業までの無料化へと踏み出している中、本市の取り組みは大変遅れています。
 市民団体が中学卒業までの無料化の拡充を求めて市長に要望書を提出し「1人がインフルエンザになると必ず兄弟でかかり医療費が1万円を超えて負担が大きい」「子どもが部活動などで怪我をすると、また病院代がかかると、つい叱ってしまい心が痛む」などの切実な声を寄せています。
 先の代表質問で本市は「実施手法や実施時期も含めまして、今後しっかり検討してまいりたい」と答弁されています。今後、どのような内容で、いつまでに実施するのか、具体的にお答えください。
 質問の第3は、国保料の軽減についてです。
 この間、滞納世帯への処分強化がすすみ、差し押さえ件数が増えています。2009年度389件だったものが2014年度は1,670件と4倍近くにもなっています。
 今年度からの3か年の中期収納対策基本方針では「現年分の年度内完納の徹底」を重点項目に掲げ、さらに収納の強化に動いています。
 一律機械的に現年度完納を求めるのではなく、滞納者の生活実態に応じた分割納付や丁寧な窓口での対応・相談をすべきです。根本は、払いたくても払えないほど高すぎる国保料が問題です。
 2014年度は一般会計からの当初繰り入れ金、約12億円を戻しています。これを活用すれば一世帯あたり平均4,000円程度、年間保険料を引き下げることが可能です。
 年金生活者はもとより、ワーキングプアと言われる年収200万円でみると、協会けんぽでは101,400円の保険料が国保で174,400円と国保料が異常に高い状況です。
 不安定雇用なのにこれだけ高い国保料が払えるでしょうか。せめて協会けんぽ並みに国保料を引き下げるべきと考えます。
 1点目は、国保制度での「境界層措置」の導入についてです。
 保険料を払うと収入が生活保護基準以下に落ち込んでしまう世帯に対して、介護保険制度では「境界層措置」がありますが、国保にはありません。本市の場合、夫が給与収入で350万円、妻・子ども2人の4人世帯では、441,540円の年間国保料を払うと2,784,860円と生活保護最低生活費の2,987,350円を下回ります。
 国保料の支払いにより生活保護水準を下回る世帯に対しての保険料軽減を本市独自で行うべきと考えますがいかがか。また、国に対して国保制度に「境界層措置」の仕組みをつくるよう求めるべきと考えますがご見解を伺います。
 2点目は、多子世帯への保険料軽減についてです。
 保険料の算定には、所得割・平等割、および世帯人数に応じてかかる均等割があります。所得が同じでも世帯人数、すなわち子どもなどの扶養家族が多くなれば保険料が高くなる仕組みです。
 40代夫婦、子ども2人の4人世帯の保険料は、給与収入300万円で年額358,870円です。さらに子どもが3人になると保険料は376,630円。子どもが増えていくほど保険料が高くなり、収入の1割以上を保険料支払いに充てることになります。頑張っている子育て世帯の保険料負担を軽減して、子育てしやすい環境をつくるべきではないですか。多子世帯への保険料軽減をすすめるおつもりはないのか、お考えを伺います。
 質問の第4は、冬期間の暖房用燃料費の購入支援についてです。年金は下がりつづけ、物価高、消費税の増税、医療・介護の負担が増えて市民の生活は大変です。
 本市の平均所得は289万円と政令市で下から2番目に低い状況です。生活費はギリギリで「生きていくのが精いっぱい」「具合が悪くても病院にも行けない」「1日2食で我慢している」など、生命を削りながら生活している状況で、厳冬期に凍死者を出しかねないと懸念されます。
 今冬から早急に暖房用燃料費への支援を行うべきと考えますがいかが伺います。
 質問の第5は、精神障がい者の交通運賃割引制度についてです。
 本市では、精神障がいの方のみ交通運賃割引の対象から除外されているため、3障がい一元化は未だに実現されていません。そのため、精神障がいの当事者のみなさんは長い間、差別感を強く抱いています。
 先の定例会のわが党代表質問では「本市の決断で対応可能な地下鉄・市電への先行実施をすべきではないのか」という質問に対して「しっかり検討し判断してまいりたい」と答弁されています。
 いつまでも「鋭意検討する」では、障がい当時者のみなさんに希望は見えません。障がいのある方が健常者と同じく社会参加を広げ、差別の解消を進めるために、3障がい一元化を早急に実現すべきです。
 民間バス事業者が精神障がいの方への運賃割引へと踏み出すきっかけとなるように、まず本市が先行して地下鉄・市電へ精神障がい者への交通運賃割引制度の適用を決断すべきと考えますが、いかがか伺います。

板垣副市長 答弁

 まず、子どもの貧困についてでありますが、1点目の子どもの貧困対策への取組と進捗状況についてであります。
 これまでも、児童養護施設の子ども達への学習の支援や、ひとり親家庭への就労支援等、様々な分野における取組を通じて、子どもの貧困への対策を進めてきたところであります。こうした従来の施策のみならず、貧困の世代間連鎖の解消も考慮した多様な取組がより一層重要と考えており、まずはしっかりと現状の把握を努め、計画策定を検討するとともに、並行しましてできる取組から進めてまいりたいという風に考えております。

 2点目の母子世帯への支援についてでありますが、子どもの貧困対策につきましては、今後、計画の検討において、母子世帯はもとより、様々な状況の子どもや家庭を対象として、教育、生活等、幅広い分野を総合的に支援するという視点で取り組んでまいりたいという風に考えております。

 医療費無料化の拡充についてでありますけれども、各政令市における子ども医療費助成の実施内容は、都道府県の補助基準によるところが大きいものでありますが、札幌市では、これまでも北海道の基準を上回る助成を実施してきたところであります。
 無料化のさらなる拡大につきましては、子育て支援の強化策の1つとしても必要性が高いという認識のもと、財源なども勘案しながら、内容や時期につきまして、現在、検討しているところであります。

 国民健康保険料の軽減についてでありますが、1点目の国保世帯での「境界層措置」の導入についてであります。
 国保は、低所得者の加入が多いなどの構造的な問題がありますため、低所得層に対して保険料の軽減制度を設けるなど、介護保険とは基本的に仕組みが異なっているものと認識しております。
 一方、今年5月の参議院の厚生労働委員会におきまして、「国保への境界層措置の適用について検討していく」という厚生労働大臣が答弁がございましたことから、札幌市としても国の動向を見守ってまいりたいと考えております。

 2点目の多子世帯への保険料軽減についてでありますが、今年2月の「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」におきまして、「子どもに係る均等割保険料の軽減」という地方提案がなされ、現在、議論がおこなわれているところであります。
 更に、平成30年度からの国保運営の都道府県化に向けまして、北海道が道内の統一的な運営方針を策定することとなっており、札幌市としては、このような国や北海道の動きを注視してまいりたいと考えております。

 4つ目の冬期間の暖房用燃料費の購入支援についてでありますけれども、これまでもお答弁申し上げてきましたとおり、その実施には多額の経費を要する一方で、支援を受けられる側にとりましては、冬期間の暖房費の一部にすぎず、施策としての実効性が高いとは言えないことから実施は考えていないところでございます。

 次に、精神障がい者の交通費運賃割引制度についてであります。
 障害者基本法の理念により、3障がい同一の考えのもと、精神障がいの方にも運賃の割引を実施することが望ましいものという風に考えており、バスと地下鉄・路面電車の3事業が歩調を合わせることが基本であると認識しております。
 地下鉄・路面電車が先行して運賃割引を行う場合、減収による経営に及ぼす影響やバス事業とは異なる取扱いによる利用者の利便性の確保などの課題があるため、引き続き、関係者で連携・調整を図りながら、しっかり検討を進め、判断してまいりたいと考えております。

坂本 きょう子議員

 次は、生活保護制度についてです。
 生活保護は、国民の生存権を守る最後の砦であり、保護費の水準は、国民生活の最低基準を具体化したものとされています。ですから保護基準の引き下げは、憲法が保障した人権を国民から奪い取るものです。
 生活保護基準を下回る困窮世帯には、あらゆる支援の拡充や貧困の打開にこそ国を挙げて取り組むのが政治の責任です。そうした事態を放置し、逆に、保護受給世帯の生活水準を落とそうとするのは本末転倒です。
 また、就学援助、最低賃金など、他の制度の基準にも連動することから、その引き下げは、生活に困窮する国民の暮らしを支える制度への全面的な縮小に直結し、許しがたいものです。
 質問の第1は、本市での引き下げの影響と対策についてです。
 1点目は、生活扶助費についてです。
 2013年から3年連続で食費・水光熱費にあたる生活扶助費は総額740億円もの引き下げが強行されました。これは戦後最悪の大改悪となるものです。
 今回、国の基準改訂によって、切り下げとなった本市の受給世帯数とその割合、打ち切りとなった世帯数、および保護費の削減総額を明らかにしてください。
 また、保護世帯のくらし全般に対する調査を行い、本市として扶助費削減の影響を把握する必要があると思いますが、そうしたおつもりはないのかどうか伺います。
 2点目は、住宅扶助費についてです。
 2人世帯で月額3,000円削減されました。
 本市では、住み慣れたアパートから家賃の安いアパートへの転居や家主との家賃値下げ交渉を迫るなど、とりわけ高齢者や母子家庭への保護受給者の住まいの安心を揺るがす事態が生まれています。
 このような対応はすべきでなく、受給者の権利と利益を最優先とした対応をすべきですが、今後、どのように対処されていくのか伺います。
 また、厚生労働省は、通勤・通学や通院などに支障がある場合は、それまでのアパートに削減前の家賃で住み続けることができるなどの経過措置をとるよう自治体に通知しています。全ての保護課職員に周知徹底を図るべきだと思いますが、いかがか伺います。
 3点目は、冬季加算の引き下げについてです。
 生活扶助費、住宅扶助費の削減に加え、冬季加算が変更され、支給期間を2か月延長する一方で総額は減らされるものです。
 2人世帯では、1か月最大4割の引き下げとなります。4人世帯では、実に、1か月5割もの大幅な引き下げとなり、家族が多いほど削減率は高くなります。
 保護費全体が連続して削減されている中、10月からの冬季加算の大幅な引き下げは、厳冬期における保護受給者の健康と生命を脅かすものだと思いますが、本市の認識について伺います。
 また、疾病・障がい・要介護などにより、常時、暖房が必要などの特別な事情がある場合には、引き下げはせず、受給者の実態にあった配慮をすることになっています。
 受給者に対して、こうした内容を丁寧に知らせていくべきだと考えますが、具体的にどのように対処されるおつもりなのか伺います。
 質問の第2は、低すぎる捕捉率の改善についてです。
 この間、生活保護制度へのバッシングが続いています。不正受給は当然なくさなければなりませんが、生活困窮者が窓口に相談に行くことまでも萎縮させてしまうのは問題です。
 生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数の割合を示す捕捉率を見ると、ドイツ6割、スウェーデン8割、フランス9割に対し、日本はわずか2割程度にすぎません。残りの8割が制度から漏れており、貧困問題をいっそう深刻にしています。
 2013年、国連は生活保護の申請が抑制されている日本の現状について懸念を表明し「申請の簡素化」「申請者の尊厳を確保するための措置」「生活保護につきまとう恥辱の解消」など、必要な手立てをとるよう日本政府に勧告しました。まさに日本の水際作戦が世界から見て異常に写っていることの表れです。
 本市は低すぎる捕捉率をどうお考えか認識を伺います。
 その改善は、本市の貧困対策の重要な柱と位置づけ、必要な市民が制度から漏れることのないよう親切で分かり易い対応がいっそう求められていると思います。本市として必要な具体策をどのようにお考えか伺います。

板垣副市長 答弁

 生活保護基準は、国が責任を持って決めるべきものでありまして、平成25年8月から今年の4月にかけて、激変緩和策として段階的におこなわれた見直しにつきましても、客観的な指標により合理的になされたものと認識しております。生活保護費の支給額の変更や廃止等につきましては、様々な要因が複雑に影響しますことから、基準改定の影響のみを把握することはできないものと考えております。
 また、引下げの影響を把握するための調査についてでありますが、生活保護の基準は国の責任において決められるものでありますことから、現状において、札幌市が独自に調査をする予定はございません。

 2点目の住宅扶助費についてであります。世帯の状況から必要である場合は、経過措置を適用して、引下げ前の基準を適用の上、引続き居住を認めるなど適切に運用しているところであり、各区の保護課に対しましても、必要な手続き等について遺漏がないよう周知徹底を図っているところであります。

 3点目の冬季加算の引下げについてであります。
 冬季加算の見直しにつきましては、客観的な検証に基づいて、健康で文化的な最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮されたものであると認識しております。見直しの内容につきましては、生活保護を受給している全世帯に対し、お知らせ文を送付し、周知をおこなったところであります。
 ご指摘の常時在宅せざるを得ない状況にある方々に対しましては、厚生労働省からの通知に基づき、特別基準の設定をおこない対応しているところでありまして、この特別基準の設定に際しましては、ケースワーカーの訪問調査などを踏まえ、職権による認定をおこなうこととしております。

 次に、低すぎる捕捉率の改善についてでありますけれども、日本における捕捉率については、所得や資産の把握について難しい面があり、正確な推計は困難であると認識しておりますが、いずれにいたしましても、生活保護は最後のセーフティーネットとして、必要とする方に対してはしっかりと適用してまいりたいと考えております。
 生活保護制度につきましては、さまざまな情報を通じて周知が進んできていると考えられますが、札幌市におきましてもホームページでの情報提供など周知に努めてきたところであります。加えて、平成27年度からは、生活困窮者自立支援制度の相談窓口であります札幌市生活就労支援センター「ステップ」や、札幌市ホームレス相談支援センター「ジョイン」を開設し、生活困窮者全般の支援を行う中で、生活保護に関する情報提供や申請の支援等をおこなっているところであります。

坂本 きょう子議員

 次は、高齢者施策についてです。
 質問の第1は、介護保険についてです。
 介護保険制度がスタートして15年、改定のたびに保険料負担は重くなり、一方で必要な介護支援が受けられないという「保険あって介護なし」の実態が広がり、深刻化しています。
 1点目は、「介護取り上げ」についてです。
 特養ホームなどの施設入所者やショートステイを利用する方のほとんどが、低年金で非課税世帯です。ところが老後のためにコツコツ貯めた蓄えが一定以上の金額になると、資産と見なされ、補足給付の対象外になり、食費や部屋代の自己負担が重くなります。
 ある入所者からは「月51,300円の利用料が115,500円になり、とても年金の収入だけでは払いきれない」と言われました。まれなケースではありません。何年も待って、やっと特養ホームに入れることになったのに、費用が2倍になると言われ、入所を辞めた方もいます。
 2014年12月末で、要介護度1・2の待機者数は、2,597人もいましたが特養ホーム入所対象から原則外され入所できなくなりました。
 要介護度1・2であっても、家族支援が受けられない、低所得のために、サービス付き高齢者向け住宅などには入居できない方々が多くいます。
 本市は、これら高齢者の実態をどのように把握していますか。また、特例入所できた方は、何人いるのか、お伺いします。特養ホームにも入れない、必要なサービスを受けられない高齢者が「介護難民」「介護漂流」さらに「孤立死」につながることは容易に想像できます。
 補足給付の対象から外れた高齢者と特養入所の対象外となった要介護度1・2の方が必要なサービスから漏れるこがあってはなりません。本市として、どのように対処されるおつもりなのか伺います。本人はもとより、家族に対する相談窓口の体制強化をしていくべきだと思いますが、いかがか伺います。
 2点目は、介護報酬引き下げの影響についてです。
 先のわが党の代表質問で「介護報酬の引き下げによって閉所する施設が増える」「人材不足がもっと深刻になる」と指摘しました。4月~8月までの間「経営不振」を理由に廃止した事業所数は、昨年同時期に比べ、約2倍になっています。
 また、市内の介護事業所には、経営困難を見込んで、売却を促すチラシが入るようになっています。このような実態から、報酬引き下げによる影響が出てきていることは明らかだと思いますが、いかがか認識を伺います。
 「ワタミ」のように、他業種から参入し、経営不振だからと言って、介護事業から撤退することは許されません。国に先駆けて、事業所経営の実態把握に努めることが必要だと考えますが、いかがか。
 また、改めて、介護報酬の再改定を早急に行うよう国に対して、強く要請していくべきですが、いかが対処なさるのか伺います。
 3点目は、保険料の負担軽減についてです。
 制度スタート当初、3,141円だった保険料は、現在5,000円を超えました。物価の高騰、年金の引き下げで、低所得者の3割が預金ゼロという状態です。
 一般会計からの繰り入れを行い、保険料を軽減すべきと考えますが、いかがか。道内自治体の中には、一般会計から「介護給付費準備基金」に繰り入れ、保険料の負担軽減に活用しています。本市も一般会計からの繰り入れを計画的に行い、3年ごとの見直しの際の負担軽減のための財源にしていくべきだと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、服薬支援についてです。
 高齢化と認知症の増加に伴い、地域では高齢者への服薬支援の課題があります。高齢者世帯では、毎回服薬を見守る家族がいません。内科、耳鼻科、整形外科など、複数の科を受診し、薬を処方されても、服薬の仕方や、服薬の確認ができない場合があります。せっかく定期的に病院を受診し、薬を処方されても、正しく服薬できず、病気の治療につながらないケースが出てきています。
 薬局では、「お薬カレンダー」を勧めたり、独自の努力を行っています。また、在宅介護のヘルパーは各々の工夫で薬の服用確認をするなどの支援を行っています。
 本市が、高齢者の服薬の実態をどのように把握しているのか伺います。これから超高齢社会を迎え、服薬支援はますます重要になっていくと思いますが、本市として、今後どのように進めていくのか。
 この問題は、医療、福祉など様々な分野にまたがっています。本市が連携の体制づくりをすすめるべきと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、インフルエンザ予防接種についてです。
 国の方針で、今年度からインフルエンザワクチンの規格が変更されることに伴い、価格が1.5倍になり、接種料金の値上げが予定されています。
 これまで65歳以上の高齢者に対しては助成を行い、自己負担が1,000円でしたが、値上げにより、接種率の低下につながる懸念があります。
 重篤化し、命にかかわるおそれのある高齢者に対しては、今まで通り自己負担1,000円で接種できるようにすべきだと思いますが、いかがか伺います。

板垣副市長 答弁

 まず、介護保険についてでございますけれども、1点目の補足給付等の制度改正についてでありますが、今回の介護保険制度改正によります居住費等の費用負担や、特別養護老人ホームの入所対象者の見直しにより、相当数の方が負担増になったことや、対象から外れたことについては認識をしております。
 なお、今年6月末現在におきまして、市内の特別養護老人ホームにおける特例入所者は1名という風になっております。高齢者が置かれております生活状況は、人によって様々であり、これまでも、区役所や地域包括支援センターを相談窓口として、適切なサービスに繋げてきたところであります。
 今後も、介護を必要とされる方が適切なサービスを受けられるよう、引き続き、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 2点目の介護報酬引き下げの影響についてであります。
 廃止した介護保険サービス事業所が、その廃止理由に挙げております経営不振にはさまざまな要因がありまして、今回の介護報酬改定が直接影響を与えているかは判断することが困難であると考えております。
 介護報酬改定後の事業所の経営実態を捉えるには、ある程度の期間が必要でありますことから、来年度に実施を検討しております次期介護保険事業計画策定に向けた各種調査の際に、事業所の運営状況についても把握に努めてまいりたいと考えております。
 一方、国に対しましては、今年6月に北海道市長会を通じまして、介護報酬改定の影響について、十分に検証することなどを要請したところであります。

 3点目の保険料の負担軽減についてでありますが、今年度から、低所得者の方に対します保険料軽減策として、介護給付費の5割とは別枠で公費を投入する仕組みが設けられたところでありますことから、本市では第1段階の保険料について、政令で定める最大限の軽減をおこなったところであります。
 この軽減につきましては、平成29年4月に、対象者や軽減幅を拡大することが、政府の基本方針として決定されております。一般会計からの繰り入れにより独自に保険料を軽減することは、介護保険制度が、保険料、国・都道府県・市町村による公費、利用者負担により運営するという、給付と負担の関係が明確な社会保険制度でありますことから、適切ではないものと考えております。

 次に、服薬支援についてであります。
 1点目の高齢者の服薬の実態把握についてでありますが、平成26年の要介護認定者意向調査結果によれば、訪問介護を利用している方のうち「服薬の介助」を受けている方の割合は、要介護者全体で15.1%でありました。
 介護度別にみますと、要介護1では8.1%、要介護5では26.9%と、介護度が重くなるほど「服薬の介助」を受けている方の割合が高くなるという実態でありました。

 2点目の本市の今後の進め方と、3点目の医療、福祉などの連携体制づくりについては、一括してお答えいたします。
 服薬管理は病気の治療の一環でありますことから、本来は医療の専門職が取り組むものと認識しております。しかしながら、医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者の増大に伴いまして、在宅における適切な服薬支援には、関係者の連携が益々重要となると思っております。
 今後は、生活支援を担う介護職と、主治医や薬剤師などの医療職が、日常的に患者の情報を共有できるような体制づくりに向けて、医療と介護の連携を推進してまいりたいと考えております。

 次に、インフルエンザ予防接種についてでありますけれども、高齢者のインフルエンザや肺炎球菌感染症の予防接種におきまして、札幌市では、予防接種法に基づき徴収できる実費のうち、ワクチン相当額を自己負担していただいております。
 このたび、自己負担額を1,400円に改定いたしますが、これは、ワクチンの改良に伴う価格改定を受けたものでありまして、ご理解をいただけるよう、丁寧に周知や説明をおこなってまいりたいという風に考えております。

坂本 きょう子議員

 最後に、教育問題についてです。
 質問の第1は、少人数学級の推進についてです。
 学校では、学級崩壊や授業中の立ち歩き、いじめなどさまざまな教育困難が広がっており、手厚いケアが必要な子どもも増えています。
 そうしたなか、少人数学級は国民の切実な要求になっており、2010年に出された「中教審初等中等教育分科会 提言」では、「40人という学級規模では学級経営が困難となっている」と述べられています。
 また、日本PTA全国協議会、全国レベルの校長会や教頭会、教職員組合などが少人数学級の実現を求めています。
 さらに、2015年2月の衆議院予算委員会でわが党の質問に対して首相が「35人学級の実現に向けて努力をしていきたい」と答弁したことは、注目すべき変化です。
 過去10年間本市で行われた「少人数学級に関する意識調査」では、生活面、学習面のすべての項目で「向上した」「やや向上した」の数値が高い割合を占めています。「個々の児童生徒への目配りがきめ細かくできるため、小さなつまずきや変化にすぐに対応できるようになった」「児童生徒と教師間のコミュニケーションがとりやすい」など、少人数学級の効果と、全学年への拡大を望む声が学校長からあげられています。
 学校現場でのさまざまな困難を解決し、教員と子どもたちがいっそう心を通わせる環境を作るために、子どもの権利条例をもつ本市として、35人以下学級の拡大に踏み出すことが重要だと思いますが、いかがお考えか伺います。
 質問の第2は、多忙な教員の労働実態についてです。
 本市教育委員会が今年2月に実施した「教員の勤務実態調査」では、小・中学校ともに時間外勤務と持ち帰り業務を合わせた平均時間は、月約67時間で、過労死の危険性が高いと言われる月80時間に近づいています。
 また、90日を超える休職者のうち、精神疾患によるものが72%と、全国平均60%を上回る事態が続いています。
 学校の教育力の向上のためには、教員が子どもと十分ふれ合いながら、きめ細かな指導を行う時間をより多く確保することが何よりも大切です。
 深刻な教員の労働実態の改善のためには、教員配置を大幅に増やすことが求められていると思います。定数に組み込まれる、期限付き・臨時・再任用教員は「定数外」とし、教員配置を増やすべきと考えますがいかがか。抜本的な定数増を国に求めるなど具体的な改善策が必要だと思いますが、いかがか。教員の健康管理や勤務実態の改善をすすめる施策が必要だと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、学校統廃合についてです。
 本市は「学校規模の適正化に関する基本方針」を2007年に策定し「12学級未満となることが見込まれる小学校」と「6学級未満となることが見込まれる中学校」を対象に「適正規模」と称した学校統廃合を進めています。
 一方「札幌市まちづくり戦略ビジョン」では、少子化に歯止めをかけることとあわせて、安心して子どもを生み育てられるよう「社会全体で育成・支援するまちづくり」「歩いてくらせるまちづくり」をうたっています。地域まちづくりの中心的役割を担うひとつが学校であり、その存在と役割は重要です。
 まちづくりを進めるためにも、子育てしやすい環境を進めるうえでも、学校の「適正規模」についての考え方をあらためて考え直すべきだと思いますが、いかがか。安易な統廃合はやめ、まちづくりにおける学校の役割を全庁的に検討する必要があると思いますが、いかがか伺います。
 質問の第4は、全国学力テストについてです。
 2007年から、本市教育委員会は、調査結果について各教科ごとに文書で示していましたが、昨年は数値を入れないグラフでも示すようになりました。今年は、数値も入れて公表することを教育委員会は決めています。
 全国学力テストは、子どもの学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の課題を検証、改善するために行われるものです。教育活動の一側面でしかない調査結果の正答率数値を公表すれば、数値が独り歩きをし、他都市より点数が高い・低い、という成績重視の競争原理の中に学校現場が組み込まれてしまいかねません。数値の公表はやめるべきです。
 本市教育委員会は、数値の公表によって本市の子どもたちが過度な競争に組み込まれてしまうとお考えにならなかったのですか。ましてや、学校ごとの数値の公表に道筋をつけることなどあってはならないと考えますが、いかがか伺います。

 以上で、私の質問のすべてを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

長岡教育長  答弁

 1点目の少人数学級の推進についてでございます。児童生徒に対してきめ細かな指導をおこなうため、現在導入されております小学校第1、第2学年及び、中学校第1学年に加え、全学年への少人数学級の拡充が望ましいものと認識してございます。しかしながら、必要となる教員については、長期的かつ安定的な確保が必要になりますことから、国において措置されるべきものと考えております。

 2点目の多忙な教員の労働実態についてでございます。
 1点目の教員定数の増について。教員の定数やその財源につきましては、国において措置されるべきものと考えておりまして、今後も様々な機会を通じて国に要望してまいりたいと考えております。

 2点目の教員の健康管理や勤務実態の改善についてですが、今回の調査結果によりますと、教員の勤務実態は各学校に導入しております校務支援システムによる事務の効率化やスクールカウンセラーの活用等により一定の改善は図られてきているものと考えているところでございます。
 しかしながら今後とも、運動部活動の特別外部指導者を導入する等、勤務負担の軽減に向け、さらに取組を進めてまいりたいと考えております。

 3点目の学校統廃合についてでございます。
 教育委員会といたしましては、一定の学校規模を確保し子ども達ちに良好な教育環境を提供することは、何より重要であると認識してございまして、今後とも学校規模適正化の取組は進めてまいります。
 学校の適正規模につきましては、子ども達の社会性や協調性を育むといった観点から、議会での議論や様々な市民の方々の意見も踏まえまして策定したものでございます。なお、取組を進めるに当たっては、まちづくりと一体で検討することは必要であると認識してございます。

 4点目の全国学力・学習状況調査についてでございます。
 教育委員会では、これまで、調査結果を適切に活用し教育活動等の改善を図ってきたところであり、結果公表に当たりましても、影響等に十分配慮し、様々な方法で工夫をしてまいりました。
 今般、市全体の平均正答率の数値を公表しても、都市間の序列化や過度な競争を招かないと判断し、市民や保護者に、より分かりやすく説明をするといった観点から、数値を公表することとしたものでございます。
 なお、学校ごとの平均正答率の数値につきましては、市内202校の小学校と、97校の中学校の順位付けが生じることなどの懸念があることから、引き続き公表しないこととしたところでございます。

坂本 きょう子議員 再質問

 答弁をいただきましたけれども、とても残念ですね。1つ1つの質問に丁寧にまず答えていただいていないという風に思えますよ。あの、なんでもかんでもまとめて答えればいいということではありませんからね。やっぱりそこが、民間出身ではないお役所からの発想なのかなと、改めて思いますけれども。
 まず申し上げておきたいのが、これは市長にも、それから教育長にも申し上げておきたいと思いますけれども、根本が国の制度に関わることなので、市としては、あるいは教育委員会としては対応できないのだというような答弁は、あってはならないという風に思います。国の制度がありながら、自治体がどうやってそこに住む住民の、あるいは児童生徒のためになる施策を実現させていくのか。もちろん財政という言葉もありました。財源の問題はあります。けれども、いかにそこの要求を汲みとって、そしてきちんと子ども達、市民の生活、教育、福祉を支えていくのか。ここに立たない限り、自治体としての役割はなんなのかということが、まったく明確じゃないじゃないですか。そのことをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 第2回定例会に引き続いて、市長に対しての政治姿勢、いくつかを伺ったわけです。原発の問題についてですけれども、泊原発について、市長のお考えがどうなのかということを伺いましたけれども、今回も言及する立場にはないということで、自らのお立場を表明されませんでした。私は泊原発、もう来年にも稼働しようかという風に電力会社が動いている。そういう中にあって、市民に対してですね、泊原発の再稼働ありやなしや。そのことについて、市長が意見を表明するということは大切なことだと思っています。市民に対して不誠実だと言わざるをえない。
 原発の問題については、これからも私達取り上げてまいりますけれども、原発再稼動反対という、私達は市民の声を大切にしていきたい。代表質問でも申し上げましたけれども、福島原発の事故の原因すら究明されていない中での再稼働など有り得ないという風に思っておりますので、その点をあえてお話をしておきます。

 また都心アクセス道路についてですけれども、いろいろなことについて調査をするんだというご答弁がありましたけれども、私が質問で言ったのは、混雑はしていないのだから、混雑の調査はする必要はないのではないか。そういう風に言いました。混雑していないんですよね。だったら建設、必要ないんじゃないですか?道路の交通網整備をすると、アクセスの整備をするといったって、現状混雑していないんですから、アクセス道路の調査は必要ない。建設は、まして必要ないということを改めて申し上げます。

 マイナンバーについては、いよいよ番号通知カードが交付をされます。札幌市は11月に、それぞれのお宅に届く時期がずれ込むという報道がありましたけれども、それでもなお、1%から2%の世帯に対しては、住民票どおりの所にその方が住んでいらっしゃらないので、届かないという状況があるわけです。もう、制度が始まる以前から、マイナンバー制度から漏れてしまう人がいるということ。
 そして、質問でもお聞きしました。個人情報の漏洩の危険性は、まったくないのか。そのことにはお答えにはならずに、必要なセキュリティ対策はおこなっていくということで、これはまさに、漏れる危険があるから、市民の個人情報を守りきれると言い切れないから、必要なセキュリティ対策をおこなっていくということですね。そのために際限なくお金がかかっていくと。市民の税金が使われ、そして情報漏洩の危険が防げない。こういう状況が想定をされるわけです。私ども日本共産党としては、この制度の延期あるいは中止ということは、国会でも求めておりますし、札幌市に対しても改めてこの点については求めておきたいと思います。

 そして、未来創生プランについて市長に質問をいたしました。市長の選挙公約として掲げられていることについては、早急におこなうべきだと質問をいたしました。どのような内容で、いつから始めていくのか。具体的に答弁をお願いしましたけれども、名言はされませんでした。
 子どもの医療費の問題と、若者に対する住宅支援については検討していくということでしたけれども、市長が選挙を通じて公約をした内容です。
 あえてここで3点、それから住宅政策含めて4点あげているわけですけれども、市長の口から、この公約をいつ、どのような形で実現をしていくのか。議会と、それから今日傍聴に来ている市民の皆さん、あるいはテレビ、インターネットなどでこれを見ている市民の皆さんの前に、市長の責任として、これはきっぱりと明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。お答えをいただきたいと思います。

 それから残りの分については、全部担当副市長である板垣副市長のほうからご答弁がありました。私は今回、共産党市議団として8人全員の力でもってですね、福祉に関わる様々な角度から代表質問を作り上げてまいりました。それが全部、担当だからといって、副市長の答弁になってしまうというところに私やっぱりね、福祉に対する市長の冷たい姿勢っていうのが現れているという風に思います。

 保育の問題については、質の格差はないとおっしゃいました。けれども代表質問でも申し上げました。それから文教委員会でも、この問題を取り上げました。保育の仕方の差があろうと思うと、部長が現に答弁をしている。そして園庭がない保育所、そして振動と騒音の中にさらされているJR高架下の保育所。伸び伸びと園庭で遊べる子ども達と、保育の質に差がないと言い切れるんですか。市長の口から私はこの答弁いただきたいと思う。

 それから保育料についてですけれども、所得税ベースから住民税ベースに変わったということ。これも新制度に関わって、国の導入した制度であるからやむを得ないとおっしゃいました。救済措置もしないと言いました。
 私ね、あの、保護者から1万円上がっちゃったんですと、2万円上がったんですと、本当に切実な声を聞いていますよ。まったく働いているお金、 全部保育料につぎこまなければならない。なんのために働いているか分からなくなってしまう。生活が苦しいから、子ども達に豊かな学びと成長を保障したいから、ご夫婦が共働きをして、そして保育所に子どもを預けて、お仕事をしながら子育てを両立しているんですよ。そこに対して、国の制度だから救済措置はしないというようなことは、あってはならないと思います。個別に対応するとは言いながら、救済措置はしないと言い切る市の姿勢、まったく問題だと思います。改めて、保護者の声に寄り添ってしっかりと対応していくというご答弁をいただきたいと思います。

 介護の問題では特例入所について質問をいたしました。昨年12月末現在で、2,597人の方が特養ホームに入れない状況に、この7月からなっている。もっとその数が増えているはずです。ところが特例入所をしている方は、わずか1名だというご答弁じゃないですか。どういうことですか。
 特例入所というのは、認知症があったり、知的・精神障がいがあって、在宅介護ができないという状況で、あるいは単身世帯で誰も在宅で見守る人がいないから施設入所をしたいという方です。特養ホームに申し込み、待機をしているという方は、大半が低所得、低年金の方達です。こういうところにしっかりと手を差し伸べないで、何が福祉なんだ。そういう風に思いますよ。残された2,57人の方、もっとそれ以上の方達、しっかりと捕捉をして、必要な介護サービスに繋げるように対応していく。副市長はそう答弁されたけれども、お1人お1人についてしっかりと調査をして、必要なサービスに繋げていくべきだ。そのご覚悟を市長の声から、市長から直接お話をいただきたいと思います。

 とりわけ生活保護の問題です。客観的な指標により、今回の基準引き下げは合理的なものだったというご答弁がございました。本当にそうでしょうか。これ以上切り下げられたら、生活がしていけない。こういう方達がたくさんいらっしゃる。そういう現実から目を背けているんじゃないですか。まったく許すことはできない。
 冬季加算については4割5割の燃料代が削減されるということを、質問の中で申し上げました。それなのに、健康で文化的な生活ができる。これに支障がなく配慮されているというご答弁がありました。どれだけ大変な思いをしているのか。生活困窮者、生活保護を受給している世帯。捕捉率が低すぎるという問題もあげてきましたけれども、そのことについて、真摯に向き合って誠実な答弁をすべきではないですか。

 今、札幌市、全国で新人間裁判というものがおこなわれています。生活保護の基準が切り下げられて、人間らしく生きることができないということで、裁判が起こされているんです。そういうことについて、きちんと目を向けていますか。耳を傾けていますか。その上でのご答弁なんですか。しっかりと市民の皆さんの実態を見ながら、具体的な施策を打っていっていただきたい。代表質問に対して真摯に答えていないということも申し上げながら、市長に私は答弁をぜひしていただきたいと思います。

秋元市長 答弁

 段々のご質問があったようでございますが、私の公約の中でお話をして市民にお約束をさせていただいたことがら、昨日の代表質問でのご答弁もさせていただきました。ご質問にも答弁させていただきましたが、今、中期計画を作成中でありまして、そこに財源も含めてこの4年間で実施をしていく、公約で掲げたものについても、これを全て盛り込む前提で作業を進めております。財源の問題もございます、そういった財源調整も含めて、今、最終調整をさせていただいているところであり、素案について、間もなくお示しをさせていただきます。これは議会、市民にもお示しをさせていただいて、それに対するご意見を様々頂戴して、これは限られた財源の中で、どこにどういう風に重点化をして、物事を進めていくのか。様々な議論があろうと思います。これをしっかり皆さん方とご議論させていただきたいという風に思っております。
 その他、様々な福祉の問題。それぞれお1人お1人の生活に向き合っていく。これは本当に重要なことだと思います。しかしながら一方で、制度というものがあり、国の財源、こういったものに繋がっているものであります。先ほど、国の制度について、それを超えて自治体が独自で考える。それを、制度を考えるのが自治体の役割だとお話がございました。それはそのとおりだと思います。しかし、市の独自の財源にも限りもあります。そのことをしっかり、ご議論をさせていただいていかなければならないわけであります。そういった意味で、この中期計画の中身、そういったものも含めて皆様方とご議論をさせていただければと思っております。

板垣副市長 答弁

 保育に関しての2点の再質問ございましたけれども、まず質の確保についてでございます。札幌市内それぞれの保育所におきましては、地域の実状ですとか、施設の特徴など生かしまして、それぞれ特色のある保育を実施しておりまして、保育の仕方については様々だと、差はあるものと思っておりますけれどもそれは格差ではなくて、保育の仕方について差があるものという風に考えております。一方で条例で定められております設備や運営面の基準を満たした上で保育をおこなっているという面では、保育の質には格差は生じていないもの、と認識をしております。
 それと保育料の問題でございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたように、今回の制度改正は、改正基準が所得税から住民税に変わったことによりまして、保育料が減額になった方もいる一方で、残念ながら増額になってしまった世帯もあるということで認識しております。お叱りになられるかもしれませんけれども、国の定めた制度の施行によるものでございまして、やむを得ないものと考えております。市としましては、保育料の支払いが困難な方については、納付相談など、個別に丁寧に対応させていただきたいという風に考えております。

 次に生活保護制度についてでございます。確かに委員ご指摘のとおり、生活保護につきまして、今回の施策につきましてですね、生活のあり方を変えなければならない世帯があるということは認識しておりますけれども、あくまでも国の制度によるものということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

 最後に特例入所の問題でございますけれども、先ほど1名の方が特例入所いるとご答弁申し上げましたが、その他につきましても、ご相談をさせていただく中で、対応できる部分については対応させていただきたいという風に考えております。

坂本 きょう子議員

 中期計画の中身というお話はもちろん存じあげておりますけれども、私はとりわけ、市長の選挙公約ですから、それは本代表質問の中でぜひ明らかにしていただきたかった、ということでございます。全てを盛り込んでいくということでしたので、決算特別委員会の中で、あるいは他の委員会の中で改めて議論がされていこうかと思います。
 財源の問題を市長はおっしゃいました。どこに財源を付けていくのかということは、もちろん大事なことです。限られたお金ですからね。ただしそれは、市民が納めている税金ですから、市民それから企業も含めてですけれども、そこにしっかりと還元をされていく。企業というのは企業本体だけではなくて、そこに働いている方達に還元をされていくということであります。都心アクセス道路については、今回は調査費500万円と2定で議会の承認もあり、今度は具体的な調査に入っていくというわけですけれども。じゃあ都心アクセス道路、総合的な交通網の整備ということを市長はおっしゃいました。世界都市としての札幌の魅力を作るために必要なものだという風に言いましたけれども、副市長今ね、答弁もありましたけれども、福祉を大切にすることができない都市が、世界都市などと標榜できるのかっていうことですよ。1人1人の市民が大切にされない。道路作ったって、飛行機飛ばしたって、新幹線来たって、そこに住んでる人間が人間らしく生きられない、働くことができない街なんて、世界都市なんて言えないですよ。そのことをしっかりと市長は、そして副市長達も、肝に銘じていただきたい。
 これからしっかりと、決算特別委員会でこのことについても議論をさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。

日本共産党札幌市議団事務局編集