20161007 私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案第13号「札幌市税条例の一部を改正する条例案」、議案第14号「札幌市印鑑条例の一部を改正する条例案」の2件に反対、残余の議案に賛成の立場で討論を行います。
 まず、議案第13号についてです。
 今回の条例改正案は、2017年1月で終了する法人市民税法人税割超過課税率の、適用期間を2022年まで延長しようとするものです。この超過課税は、資本金1億円を超える法人、または法人税額 年1000万円を超える黒字の法人に適用され、本市で対象となるのは2015年度で6897あります。
 市民のくらしは厳しく、介護保険料や利用料、国民健康保険料などの支払いに困りサービスの利用縮小、病気の重篤化など、深刻なケースが後を絶たず、社会保障の市民負担の軽減策をとることが待ったなしの状況です。税は応能負担の原則に立って徴収すべきであり、黒字で体力のある法人などに対し、法人市民税の制限税率12.1%への引き上げは十分可能です。
 恒常的な市税収入となる法人市民税を12.1%まで引き上げることで、1年間で2億9000万円、5年間で14億5000万円の新たな市税収入増が図られ、市民の福祉増進に使うことができます。
 よって、それを実行しない条例改正案には反対します。
 次に、議案第14号についてです。
 本市に住民登録があり、有効なマイナンバーカードに搭載される電子証明書を保有している市民が、コンビニエンスストアで「印鑑証明書」を発行できることを目的に条例改正を行おうとしていますが、どのような対策をとろうとも個人情報の漏えいを防ぐ方法はなく、また、システム改修など際限なく税金を投入することとなるのがマイナンバー制度です。
 今回の条例改正は、個人情報漏えいを引き起こす要因を増やし危険性がいっそう増すことから、議案に反対です。
 次に、議案第8号「一般会計補正予算」についてです。
 本議案の中で、「保育士就学資金等貸付事業費」として、18億1600万円の補正予算が組まれました。これは、保育士の人材確保及び就業継続支援に資するため、一定条件を満たせば返済を免除するしくみを導入するための国の予算措置に伴うものです。
 1点目は、保育養成校の学生に対して授業料を貸与し、保育士として就労し5年以上勤務した場合に返済を免除する保育士就学資金貸付事業と、未就学児を持つ潜在保育士に対する保育料の一部貸付事業についてです。
 保育士として就労後、家庭の事情や健康上の事情など、さまざまな「当初では予期できない変更」が生じることがあります。したがって、国が想定する返済免除の就業期限を満たさなくても、やむを得ず退職しなければならない事情が発生する可能性があります。こうした細部の条件について本市は「今後検討を行う」とのことでしたが、この事業を活用した保育士が、どのような場面でも不利益になることはあってはなりません。その点を十分に留意されることを求めます。
 2点目は、保育補助者雇いあげ費貸付事業についてです。
 この事業は、保育士資格のない資格取得を目指す保育補助者の人件費相当分を事業者に貸与し、3年以内に資格が取れた場合、返済が免除となるものです。
 その保育補助者の仕事内容について、本市は「子どもに関わらない仕事をしてもらう」と答弁されました。しかし、人と人とが深く関わりあう保育現場で無資格者と有資格者との仕事上のすみわけが本当にできるのか非常に疑問だと言わざるを得ません。北海道では、保育士の一部に無資格者を入れることができるしくみが導入され、本市の保育現場から「札幌市でも無資格者を導入するのか」という懸念の声が寄せられています。今回の事業が、保育従事者の無資格者導入につながることがあってはならないことを指摘しておきます。
 いずれの事業も、不足する保育士の保育士就労を支援する目的の事業ですが、これですべて解決するとは到底思えません。低賃金、不安定など保育士が求める処遇の抜本的改善が求められていること、当面、本市が独自で支援する策を講ずるべきことを改めて申し述べます。
 次に、議案第18号から第23号の、県費負担教職員の給与負担等の北海道からの移譲に伴う関係条例6件についてです。
 本市の小・中学校教育職員の費用について、北海道から本市へと給与負担等の権限が移譲されることに伴う給与、勤務条件、諸手当など6件の条例案が示されました。
 北海道の条例が適用・準用されていたものが、本市へ権限移譲し、本市職員の給与・勤務条件等にあわせることによって、特別休暇では、生理休暇が3日から2日へ、子どもの看護休暇の取得が15日間から10日間に短縮されるなど、勤務条件が厳しくなった部分があることは問題です。これを機に、北海道より低くなっている本市職員の勤務条件等について、引き上げるべきです。
 今後、県費移譲に伴う職員配置や学級定数などの条例や基準制定が行われることとなっており、教育職員のさまざまな労働環境の改善に努め、負担軽減を図るよう求めます。

 以上で私の討論を終わります。