20161011 私は、日本共産党を代表して、市政に関わる重要問題について順次質問いたします。

 質問に先立ちまして、北海道に甚大な被害をもたらした一連の台風と集中豪雨により、亡くなられた方々とご家族に謹んで哀悼の意を表明するとともに、被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧、復興を祈ってやみません。それでは質問に入ります。

 最初に市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、自民党の憲法改正草案、とくに第9条を中心に市長の認識を伺います。
 安倍首相は、参議院選挙の投票日翌日の記者会見で、憲法改正に向け、「いかにわが党の案をベースにしながら3分の2を構築していくか。これが政治の技術」と発言しました。選挙中は、「争点とすることは必ずしも必要ない」と憲法改正に一切触れず、選挙が終わると態度を豹変させるのは、まさに「だまし討ち」であり、有権者、国民を愚弄するものです。
 安倍首相のこの発言には、“民意とは尊重すべきものではなく操作の対象だ”といわんばかりのおごりがにじみ出ています。実際、ベースにするという自民党の憲法改正草案は、現憲法の基本原理である基本的人権や国民主権をいちじるしく制限することを可能にし、平和主義と立憲主義を覆すなど、近代民主主義の到達点を否定する極めて重大な内容となっています。
 1点目は、憲法9条2項の「戦力の不保持」「交戦権の否認」を削除する問題についてです。
 自民党憲法草案は、憲法9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は認めない」という規定を削除して、「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」としています。第9条は「戦争の放棄」を定めていますが、これを担保しているのは、まさに「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を定めた2項にほかなりません。
 歴代政府は、この2項があるために自衛隊は軍隊ではなく「自衛のための必要最小限の実力組織」とのべてきました。そして、その当然の帰結として、自衛隊による海外での武力行使や集団的自衛権の行使、また武力行使を伴う国連軍への参加について、いずれも「許されない」としてきたのです。
 「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を削除する自民党の憲法草案は、これらの歯止めを取り払い、世界のどこにでも無制限に自衛隊を派兵することを可能にします。
 “国際紛争を解決する手段として、戦争と武力の行使は永久に放棄する”という、日本国憲法の基本原理である「平和主義」を捨て去るようなことは、絶対にあってはならないと考えますがいかがか、市長の見解を伺います。
 2点目は、自民党憲法草案が保持するという「国防軍」の任務についてです。
 自民党憲法草案は、国防軍の保持とあわせ、その任務を列挙しています。そのなかで、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」ができるとしています。「国連」ではなく、あえて「国際的に協調して行われる活動」としているのは、イラク戦争のように国連決議がなくてもアメリカなどが武力行使した場合、自衛隊の派兵を可能にする余地を残したものであることは明らかです。
 米英主導で始まったイラク戦争は、数十万人もの罪のないイラク市民の命を奪い、300万人にも及ぶ難民が生まれました。これが誤った無法な戦争だったことはいまや明白です。イギリスはこの7月、6000ページに及ぶ独立調査委員会の報告書を発表しましたが、イラク戦争は国連安保理決議を得ない戦争であり、「法的根拠は十分にはほど遠い」と指摘し、アメリカとともに無法な戦争に突き進んだ当時のブレア政権を厳しく批判しました。
 この点で、日本政府がアメリカのイラク攻撃にいち早く支持を表明しながら、これが誤った戦争だとわかっても、まともな検証もせず、責任も明らかにしようとしないのは極めて異常です。
 このようなアメリカ追従の政府・自民党が、「国際社会の平和と安全を確保するため」と判断すれば、国連決議がなくても自衛隊を派兵することができる、これほど世界の平和にとって危険なことはありません。
 自衛隊を世界中のどこにでも派兵させるだけでなく、イラク戦争のような無法な戦争にも派兵を可能にするなど、絶対に許してはならないと考えますがいかがか。また、最高法規である憲法に、国連決議によらない軍の派兵も可能と規定することは、日本を国連憲章にもとづく平和秩序の維持に背を向ける国にすることを意味すると考えますが、いかがか市長の見解を伺います。
 3点目は、自民党憲法草案が定める「機密の保持」と「軍法会議」の設置についてです。
 自民党憲法草案の9条の2第4項は、「国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める」として機密保護を明記しています。また、9条の2第5項では、「国防軍に属する軍人その他の公務員が…機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため…国防軍に審判所を置く」と、軍法会議の設置を規定しています。
 軍法会議は、軍人だけでなく「その他の公務員」も対象で、国民にも広げられる可能性は否定できません。さらに、軍人の規律違反や情報漏えいを裁くことになれば、それを捜査する軍の警察、すなわち戦前の「憲兵」の復活も想定されます。
 戦前、軍当局が、機密とされる情報を、偶然「探知」「収集」しただけで、多くの一般市民を逮捕・拘束した歴史を決して忘れてはなりません。
 すでに、行政機関が「特定秘密」に指定すれば、国民に知られたくない情報を隠すことができる特定秘密保護法が施行され、過去3度にわたって世論の批判で廃案となった共謀罪を、安倍自公政権は名前を変えて国会に提出しようとしています。そのうえ憲法に機密保護や軍法会議が規定されるとすれば、国民の知る権利や内心の自由、言論・表現の自由がいちじるしく制限されることは明らかであり、憲法が「侵すことのできない永久の権利」と定める「基本的人権」を侵害するものと考えますがいかがか、見解を伺います。
 4点目は、自民党憲法草案が定める「緊急事態条項」についてです。
 自民党憲法草案98条では、内閣総理大臣は「緊急事態を宣言」することができるとしています。そして、この宣言によって「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とし、「何人も…国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」と定めています。つまり、内閣は、「緊急事態を宣言」すれば、国会の制約をいっさい受けることなく法律と同等の政令を出すことができ、国民はそれに従うしかない。まさに内閣が全権を握る独裁政治のはじまりです。
 そもそも日本国憲法は「緊急事態条項」を認めていません。戦前の大日本帝国憲法のもとで、天皇の緊急勅令によって侵略戦争に反対する世論が弾圧され、戦争政策が押しすすめられた痛苦の教訓から、「緊急事態条項」が否定されたからです。
 終戦直後の憲法制定議会で、当時の憲法担当大臣は、「緊急勅令及び財政上の緊急処分は、行政当局者にとりましては実に調法(重宝)なもの」だが、「国民の意思を…無視しうる制度」であり、「民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」とのべ、「緊急権は必要ない」という結論を下したのです。
 市長は、先の定例会でのわが党代表質問への答弁で、緊急事態条項について、「憲法で規定する必要性やその内容について、慎重かつ十分な国民的議論が必要」とのべましたが、このような歴史に照らしても、独裁政治に道を開き、民主政治の根本を否定する「緊急事態条項」を、憲法に設けてはならないと考えますがいかがか、見解を伺います。
 5点目は、改憲論議と市民世論についてです。
 安倍政権は、この臨時国会で憲法審査会での改憲論議をすすめると表明しています。憲法審査会は、憲法の調査や審査一般を行うのではなく、初めて「憲法改正原案、憲法改正の発議」を審議できると規定された、まさに憲法改正を具体的に進めて行く場です。
 いま述べてきたように、自民党の憲法草案は、9条の平和主義を投げ捨て、無制限の海外派兵を可能にし、軍法会議や緊急事態条項で国民の人権と自由を抑圧することを可能にします。このような自民党憲法草案が、国民的な改憲論議のベースになど、決してなりえないと考えますがいかがか、見解を伺います。
 また、「戦争させない市民の風・北海道」共同代表の上田文雄前市長は、安倍自公政権による安保法制=戦争法の廃止、憲法改悪阻止の一点で、市民と野党の共闘をめざす運動を展開していますが、これをどのように評価しますか、市長の見解を伺います。
 質問の第2は、泊原発の再稼働についてです。
 新聞報道によると、道内の電力消費量は、最も多い1月でも供給予備率は、11.9%~26.2%で推移しており、安定供給に必要とされる8%に2~3倍で十分余裕があることが明らかとなりました。
 道新の7月の全道世論調査では、泊原発が原子力規制委員会の審査基準を満たしても「再稼働すべきでない」が「してもよい」を上回り、2度の値上げがあっても原発への不安は拭えていないことが明らかです。
 また、本市の「市民意識調査結果報告」でも、今後の電源構成における原子力発電について、「不要」が36.4%、「縮小」が26.6%、合わせて63%となっており、61.4%の市民が「事故発生時の被害規模が甚大になる」と不安の声を上げています。
 さらに、9月18日、北電主催の「泊発電所の安全対策等に関する説明会」では、反対意見が相次ぎ、市民の理解が得られたとは、到底言えるものではありませんでした。
 秋元市長は、泊原発の再稼働の是非について態度を明確にする時期だと思いますが、いかがか伺います。

 次は創成川通機能強化(都心アクセス道路)についてです。
 質問の第1は、新たな道路整備の進め方についてです。
 自動車優先、高規格道路の整備偏重の交通施策は、地域公共交通の衰退と環境汚染などの弊害をもたらし続けてきました。今後は、トラックや航空機による貨物輸送を鉄道や船舶にきりかえ、自家用車から公共交通機関の利用を促進するなど、輸送、交通手段の転換、すなわちモーダルシフトの推進により、自動車優先社会から人と環境にやさしい社会に転換を図る道路整備の進め方が求められていると思いますが、市長の認識を伺います。また、創成川通機能強化は、モーダルシフトを促進する整備を優先する考え方にたって行うべきと思いますがいかがか。さらに本市は、都市計画道路の整備率が政令指定都市の中でも最も高い水準であることから、今後は市民と利用者の要望を踏まえた道路整備が求められていると思いますが、認識を伺います。
 質問の第2は、都心部の渋滞を解消させる対策についてです。
 国は道路整備を進める主な理由として渋滞の解消を図るとしてきました。しかしその結果、各地の都心部では渋滞の解消どころか更に渋滞は悪化するいわゆるイタチごっこが繰り返され、自動車から排出されるCO2も倍増するなど、自動車が原因となる環境問題や渋滞は悪化の一途をたどってきました。
 創成川通の混雑度は0.87と、4段階ある混雑度の中で最低ランクであり、国道36号線の豊平3条1丁目、豊平橋付近の混雑度1.93と比べても混雑度は半分以下です。混雑度が最低ランクであるのに渋滞を理由に新たな高規格道路の建設を進めるのは論外ですが、都心部の渋滞を解消させる対策として、パークアンドライドの推進など、都心部に入る自動車の台数そのものを減らす政策こそ必要だと思いますが、いかがか伺います。また、市長の考えている創成川通機能強化は、都心部に流入する自動車の台数をどのようにお考えなのか、都心部に自動車が増え、更なる渋滞に拍車をかける懸念は無いのか伺います。
 質問の第3は、今後のインフラ整備の考え方についてです。
 2012年に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故は、道路、橋、トンネル、水道管といったインフラの点検、維持修繕、更新など、老朽化対策が喫緊の課題であることを浮き彫りにしました。
 都心アクセス道路の整備には、約4キロの区間を全て地下道で整備した場合、数百億円から1千億円台の巨額の事業費がかかると言われ、さらに、建設後には道路の維持更新費用も発生することになります。
 本市では高度経済成長期に数多く建設された多くのインフラが寿命を迎えつつあるもとで、今後は、新規の高規格道路などの大型開発事業を抑制し、既存のインフラの維持、更新など老朽化対策は待った無しの課題であると思いますが認識を伺います。創成川通機能強化は、膨張するインフラの維持、更新事業費が増加するもとで、将来にわたり負の遺産となることがあってはならないと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第4は、地域住民の意見と市民世論を尊重した対応についてです。
 8月10日、市長は国土交通省を訪ね、創成川通のアクセス機能強化を求める旨の意見書を大臣に直接手渡しました。しかし、その直前に報道された新聞の調査結果によると、創成川通への都心アクセス道路の整備に「反対」という意見が49%と「賛成」の32%を17%上回る結果が出ています。反対する主な理由として「10分程度の時間短縮に多額の費用を投じてまで道路を造る必要はない」新たな道路より「保育所を先に造って」など、多額の事業費を疑問視する声と、不要不急の道路建設より、暮らしや福祉に関わる事業を優先して欲しいというものでした。
 創成川通機能強化の整備形態は、近隣住民の意見と市民世論を尊重し、市民合意なしに決定すべきではないと思いますが、市長の考え方を伺います。

 次は保育についてです。
 質問の第1は待機児童数の認識についてです。
 本市の待機児童について、市長の提案説明では「増加する保育ニーズに対応するため、保育定員の拡大に努めてきたところ、いわゆる国定義による待機児童数は、今年4月には8人まで減少いたしました。引き続き『待機児童ゼロ』を目指して行くと共に、保育を望む保護者が、『安心して必要なサービスを受けられるように取り組みをすすめたい』」と報告されました。しかし、「兄弟同じ保育園に入りたい」などの理由で保育所に入所していない国定義以外の待機児童を含めると、本市のいわゆる「隠された待機児童」は816人であり、昨年と比べ82人増えています。市長は、質の向上も図っていきたいとおっしゃっていますが、市内の認可保育所には、自前の園庭やホールも無く、JR高架下や雑居ビルの1室に作られる保育施設が増えています。子どもが思い切って体を使って遊べないなど、子どもの発達や親の願いに充分応えるものになっていないのは問題です。子どもの健やかな成長と発達を保障できる、就学前まで預けることができる認可保育所を整備していく事が必要と考えますがいかがか。また国定義以外を含めた待機児童816人については、いつまでに解消していく計画なのかを伺います。
 質問の第2は、来年度からの第2子目の保育料無料化についてです。国は今年度の基準改正により、多子軽減にかかる年齢制限を撤廃し、生計を一にしていれば最年長の子どもから1人目と数え、2人目は半額、3人目以降は無料とし、本市も同じ扱いとしております。しかし、その対象は年収約360万円未満の世帯と限定しており、十分なものではありません。兵庫県明石市の市長は、「明石の子は社会全体で育て、コストは社会が負担するもの。問題は予算の優先順位」と述べ、今年9月から第1子の年齢や保護者の所得に関わらず、第2子以降の保育料無料化を実施しております。
 本市は、来年度から3歳未満児の第2子目の保育料を無料化することを予定していますが、これについては、多子軽減にかかる第1子の年齢制限を所得に関係なく撤廃して実施すべきと考えますが、いかがか伺います。

 次は、教育について質問します。
 質問の第1は、夜間中学校についてです。
 夜間中学校は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった方、また不登校や在日外国人など、様々な理由で、必要な教育を受けることができなかった方々にとって、かけがえのない義務教育の場となっています。
 「公立夜間中学校」は各都道府県に1校以上配置するという文部科学省の方針のもと、本市教育委員会は、北海道教育委員会と連携して「中学校夜間学級の充実・改善等への取組事業」として実態調査、設置にあたっての課題などの調査を行い、今年3月に成果報告書をまとめました。「1日も早く公立夜間中学校を開設してほしい」というのが、現在自主夜間中学に通っている生徒、関係者の切実な願いです。
 1点目は、夜間中学校の環境整備についてです。
 札幌遠友塾自主夜間中学は、2009年から札幌市立向陵中学校の教室を利用しています。通っている方の中には、90代の高齢な方、障がいのある方もいます。車いすで通っている方は、校舎にエレベーターがないために、スタッフが数人がかりで車いすを持ち上げて、階段を移動しています。しかし、こうしたスタッフの援助に遠慮をし、学びたいという気持ちがあっても受講をあきらめる方もいます。
 本市は、学校の増改築の際同時にバリアフリー化もおこなっていますが、こうした事態を一刻も早く解消するために、夜間中学のある向陵中学校にはエレベーターの設置などを優先して整備すべきと思いますが、いかがか伺います。
 2点目は、「公立夜間中学校」を設置するにあたってです。
 現在、自主夜間中学に通っている方々の中には、義務教育未修了者だけではなく、もう一度学び直す場を求め、学ぶことに生きがいを感じて通っている方も多く、様々な事情から5~6年かけて通っている方もいます。
 本市が「公立夜間中学校」を設置するにあたっては、現在の自主夜間中学の良さを生かし、夜間中学に通いたいという方々の声を十分に反映させたものにしていくことが大切だと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、外国語指導助手=ALTについてです。
 1点目はALTの役割についてです。
 ALTは、生きた外国語に触れる機会を増やすため、学校の授業で日本人教員を補助するために外国語指導助手=ALTの活用が文部科学省によってすすめられ、国からの交付税措置がある外国青年招致事業=JETと、国の交付税措置によらないいわゆるNON-JETのALTによって全国で取り組まれています。
 本市では、JETによるALT35名を含む100名を市内すべての小・中学校、高校等に配置しています。
 英語を母国語とする人たちの発音を直接聞くなどの英語教育や国際理解、文化交流など、本市の子どもたちの教育にとって、ALTは重要な役割を果たしていると思いますが、本市は教育現場におけるALTの役割をどのようにお考えになっているのか、伺います。
 2点目は業務委託の問題についてです
 本市では、NON-JETのALTを業務委託で契約しています。しかし、委託契約であるため、校長や担当教員がALTに直接相談、指導することは違法となり、担当教員と互いに協力して授業をすすめるティームティーチングが機能しません。委託契約のALTは本市直接雇用のJETのALTとくらべ給与は大幅に低く、夏休みなどの長期休暇中の賃金が支払われず、社会保険にも加入していません。しかも、委託契約は毎年更新のため、極めて不安定な雇用となっています。
 このような官製ワーキングプアを生み出していることは問題だと思いますが、本市はいかがお考えか。大阪市、京都市では直接雇用に切り替えており、本市も直接雇用にすべきと考えますが、いかがか伺います。

 次は貧困問題についてです。
 厚生労働省が2014年にまとめた「国民生活基礎調査」によると、「相対的貧困率」は16.1%、18歳未満の子どもを対象にした「子どもの貧困率」も16.3%と、ともに過去最悪を更新しました。これは、実に人口の約6人に1人が貧困層であるということです。
 質問の第1は国民健康保険制度についてです。
 1点目は、高すぎる国保料についてです。
 本市全体の約3割の世帯が加入する国民健康保険は、60歳以上の高齢者が半分を占めています。
 例えば、2人世帯で年収200万円の場合の保険料が2000年には11万2,650円だったものが、2011年には、同じ収入で19万8,540円と8万5,890円も高くなっています。また年金200万円で2人世帯の場合の保険料は、1992年には4万7,020円だったものが、2013年では12万4,000円と、所得は変わらないのに国保料が毎年上がり続けている世帯がいます。
 こうしたもとで、病気をかかえても病院の受診を我慢する手遅れ死が起きています。ある69歳の男性は体調を崩し仕事を退職せざるを得なくなり、妻と娘のパート収入月19万円で生活していましたが、国保料を払えずに資格証を発行されていたため、病院代も支払えず、受診したときにはがんの多発転移が見つかり、1か月も経たずに亡くなりました。
 このように保険料が払えずに命を失う、いわゆる手遅れ死が起こっている事態をどのように受け止めているのか伺います。
 2点目は、国保料の引き下げについてです。
 本市は、平均保険料を据え置くために一般会計から47億1千万円の繰り入れを行いました。国は、昨年度から低所得者への保険料負担軽減措置の拡充などのために財政支援を拡充し、本市には44億円が配分されました。
 国からの支援金44億円を加入世帯数で割れば、1世帯当たり約1万5千円の引き下げが可能です。平均保険料の据え置きではなく、誰もが支払い可能な保険料に引き下げることが必要と考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は最低賃金と生活保護基準についてです。
 2015年度決算の上場企業で1億円以上の報酬を得た役員が過去最高の532人にのぼり、うち19人が5億円以上の報酬です。大企業が高収益をあげ、法外な役員報酬が増える一方、労働者の実質賃金は5年連続で下がり、貧困と格差がますます広がっています。
 北海道労働組合総連合が行った「北海道最低生計費資産調査」によると、10代から30代の実際に1人暮らしをしている若者のデータ=201人分を分析した結果、札幌市内で若者が普通の生活をおくるためには、税と社会保険料込みで月額約22万円、年額に換算すると約270万円が必要であるという結果が報告されました。
 これによると、25平米の1DKのアパートに3万4000円の家賃で住み、通勤は地下鉄を利用し、大型家電は量販店で最も安いものでそろえ、食費は月3万円から4万円、週に一度2000円程度の映画やショッピングなどささやかな余暇を楽しむのに、最低必要なのが年額270万円なのです。しかし、北海道の最低賃金764円では、所定内労働時間で1か月約11万円、年額132万円にしかならず、最低賃金は1500円以上でなければ、年額270万円には到達しないということが明らかになりました。
 民間給与実態統計調査によれば2014年に民間企業で働く労働者のうち、年収200万円以下のワーキングプアは1,139万2,000人であり、9年連続で、年収200万円以下の層が1,000万人を超えているのが実態です。
 一方で国はこの間、最後のセーフティーネットである生活保護制度の生活扶助費を約10%削減し、さらに住宅扶助費と冬期加算まで引き下げてきました。
 生活保護基準の引き下げと、労働者が暮らせる賃金とならないことが貧困と格差を拡大させた大きな要因であると思いますが、市長はどう認識されているのか伺います。
 質問の第3は就学援助制度についてです。
 1点目は就学援助基準額についてです。
 就学援助制度の対象は、生活保護制度に準じて支援が必要な「準要保護世帯」であり、本市でも毎年2万人以上が学用品や給食費などの必要な支援を受けています。
 この就学援助制度は、生活保護基準に連動して基準が引き下げられる可能性があり、本市は、来年度行われる札幌市就学援助審議会で、基準額の検討をすることとしています。しかし就学援助基準額の引き下げは経済的困難を抱える準要保護世帯のくらしの悪化にいっそう拍車をかけることにつながると考えますが、そのような懸念はないのか伺います。
 2点目は入学準備金の支給についてです。
 ある小学6年生の子どもをもつお母さんは、「中学の制服、ジャージ、ポロシャツ、Tシャツを買って5万9790円。これからカバン、外靴、上靴も買わなければいけない。」「義務教育なのにお金がかかり苦しい」と実情を話してくれました。中学校の入学には学校指定の物をそろえなければならず、節約にも限度があります。
 わが党は、現在6月にならないと支給されない入学準備金を、入学前に支給するよう本市議会でくりかえし求めてきました。今年5月の国会でのわが党の質問に対して、文部科学省の中等教育局長は「児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮するよう通知している」と答弁しており、本市にも、2015年8月に通知が届いています。
 入学準備金は、文科省がいう「援助を必要とする時期」に支給すべきと思いますがいかがか、本市は文科省の通知をどうとらえているのか、認識を伺います。
 質問の第4は子ども食堂についてです。
 「1日の唯一の食事が給食だけ」「親が仕事のため1人で食事をする」そんな子どもたちに対して、美味しい食事と地域とのつながりを提供する「子ども食堂」の試みが、全国で広がっています。
 「子ども食堂」では「子どもたちに食事を提供するだけではなく、一緒に調理をし、料理の楽しさも多くの子どもたちに伝えていきたい」と食育の観点をもったところもあり、多様に重要な取り組みを実施しています。こうした中、子ども食堂に対する自治体支援が全国で広がっています。
 本市の子ども食堂は圧倒的にボランティアに支えられていることから、本市として実態調査を行い、それぞれの子ども食堂がどんな支援を必要としているのかを明らかにしていくことが必要であると思いますが、そうした計画をお持ちなのか伺います。

 次は、介護保険についてです。
 質問の第1は、新総合事業についてです。
 1点目は、事業所への影響と対策についてです。
 介護保険法は2000年に「要介護者の家族を介護負担と、それにかかる費用負担から解放し、社会全体の労働力と財源で介護する」などをねらいとし、介護の社会化を実現するためスタートしました。 
 しかし実態は「介護保険料はどんどん上がり生活が苦しい」「介護の利用料まで、とても払えないので必要なサービスをがまんして家族で介護している」このような声がたくさん寄せられています。
 これはまさに、国が介護保険制度の見直しをするたびに保険料や利用者負担が増え、使えるサービスも狭められ「保険あって介護なし」どころか、国家的詐欺と言わざるを得ません。
 具体的には、特別養護老人ホームの入所基準を要介護3以上に縮小し、基本的に要介護1と2は入所できないこととし、特養の待機者から外しました。
 介護保険施設などを利用する低所得者に、食事代や居住費を軽減していた「補足給付」の条件を縮小したため、利用者の入所負担が2倍以上に増えた方もおり、せっかく入居が決ったのに負担が重くなるため、入居を辞退することも起こっています。
 市の調査によりますと、昨年実施された介護報酬の改定で、「経営不振」による事業所の廃止は、前年比で23件から37件に増加し、なかでも家族の介護負担の軽減や、重度化を予防するうえで大きな役割を果たしている通所介護事業所の廃止は3件から18件へと6倍に増加し、かつてない規模で市民から介護サービスを奪う事態となっています。 
 わが党は第2回定例会の代表質問で、新総合事業に対する本市の認識について質しました。答弁は、「本人や家族の状況や意向を確認したうえで、必要なサービスを決定するものであり、従来と変わるものではない」とのことでした。
 しかし本市の新総合事業計画案では、介護事業所の報酬が大きく減収になることがわかりました。
 例えば、本市の計画案に基づいた、ある事業所の試算によると、通所型サービスの時間短縮型、いわゆる2時間程度から4時間未満の半日ディサービスの場合、年間210万円以上の減収となります。その結果、軽度者のサービスは縮小・撤退され事業所廃止に拍車をかける悪循環となり、介護保険を作った当初の目的からも外れてしまいます。
 新総合事業における本市の計画案によって、介護事業所のさらなる廃止となる懸念はないのか、介護や予防を必要としている人から保険給付をとりあげ、軽度者のサービス削減になることは問題だと思いますがいかがか伺います。
 さらに新総合事業で、このような矛盾が起こること自体、設計上の問題だと思いますがいかがか、認識を伺います。
 2点目は、財政措置についてです。
 国は「事業開始前年の給付実績に後期高齢者の伸びを乗じた額」という上限枠を決めていますが、本市は「必要なサービス量を維持しながら、上限を超えないよう事業の適切な運営と介護予防に取り組む」としています。
 しかしこれでは、利用者の負担を増やしサービスを削るか、あるいは事業者の報酬を下げるかの選択とならざるを得ません。
 本市の計画案でしめされた財源の中で、現行相当の必要な介護ができるとお考えか、認識を伺います。本市がかかげる現行相当のサービスを維持するためには、本市独自の制度として報酬単価の上乗せなどの予算措置を行ない、利用者へのサービスの維持とともに、介護事業者の経営が成り立つ報酬に見直すべきと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、介護離職についてです。
 2006年京都で、介護離職した息子が、収入が途絶えて介護費用や家賃も払えず生活保護申請も断られ、認知症の母と心中を図る事件が起きました。裁判官は「裁かれているのは日本の介護制度や行政だ」と言いました。こうした事例は決して特別な人だけに起きているのではありません。
 厚生労働省の調査では、介護のため仕事を辞める介護離職者は年間10万人を超えています。
 安倍政権は一億総活躍社会の実現を目指すとし「介護離職ゼロ」政策を打ち出していますが、厚労省の社会保障審議会介護保険部会は、2018年度から要介護1・2利用者までも通所介護サービスなどを地域支援制度に移行し、さらに要支援1・2と要介護1・2に対する生活援助、福祉用具の貸与や購入、住宅改修は原則自己負担とする制度見直しを検討しています。これでは介護離職ゼロに逆行するものです。
 本市では、全ての介護認定者の73%が要支援1・2と要介護1・2の方々です。2015年度に介護保険の住宅改修を利用している人のうち要介護2以下の人は83%、福祉用具貸与の利用件数は67%となり、制度の見直しが行われた場合、本市で住宅改修や福祉用具貸与のサービスを利用している人への影響は甚大であることは明らかです。在宅での暮らしを支えるサービスを奪い、結局は働く家族が仕事を辞めて介護せざるを得ない状況を拡大することになると思いますがいかがか。本市として生活援助、福祉用具の貸与、住宅改修の原則自己負担導入の制度見直しを行なわないよう、国に申し入れるべきだと思いますが、いかがか伺います。

 最後に、中央区の諸課題について質問します。
 質問の第1は、桑園地域およびその周辺の学校と児童会館についてです。
 1点目は、この地域の人口増加への認識についてです。
 桑園地域は、JR桑園駅を中心にして、市立札幌病院や中央卸売市場、大規模商業施設があり、かつて旧国鉄が保有していた土地の売却や、民間の福利厚生施設の解体などで急速にマンション建設が進み、人口が増えています。
 桑園小学校は、2010年に改築工事を終え、新しい校舎になりましたが、その後も児童数が急速に増え続け、今年度、さらに4クラス分を増築する予定となるほどです。子どもたちの放課後の遊び場となる桑園児童会館は、今年4月時点で225名となり、市内最大の登録児童数という過密化が起きています。
 中央区の桑園地域は、世帯数や児童数に対して、児童会館や中学校など子どもが遊び学ぶ施設が圧倒的に不足していると考えますが、本市はどのように認識されているのか伺います。
 2点目は桑園児童会館についてです。
 現在の児童会館は、桑園地域の町内会館、本市のまちづくりセンター、そして児童会館と3つの機能を一つの施設に集約していることに加え、人口が増えているために、放課後や長期休みは特に、子どもたちであふれかえる狭い児童会館となっています。
 こうした状況から、桑園地域の新たな児童会館が必要だと考えます。桑園連合町内会や中央区民の要求を実現する連絡会など地域住民からの要望も出されており、こうした住民の願いに応えるべきだと考えますが、いかがか伺います。
 3点目は中学校についてです。
 桑園地域には中学校がなく、小学校卒業後、多くの生徒は西区にある陵北中学校に通い、エリアによっては向陵中学校、中央中学校に通うことになります。いずれも通学距離が長いこと、向陵中学校はすでに1学年9クラスにも及ぶマンモス校となっていること、中央中学校も創成東地区としてまちづくりが進むエリアであり生徒数は1.4倍になる見通しであることなど課題が山積しています。地域住民から「桑園中学校が欲しい」という要望が出されていますが、どのように受け止めておられるのか、また必要性の認識についてもあわせて伺います。
 質問の第2は、市電についてです。
 1点目は環境首都さっぽろを作る上での市電の役割についてです。
 異常気象や生態系の破壊など地球環境の温暖化が深刻化しています。本市の「温暖化対策推進計画」では、温室効果ガスを2030年までに1990年比で25%削減することを目標に掲げ、具体的な取り組みの柱の1つに「公共交通の利用促進」を据えて、環境にやさしい交通体系が確立している社会を目指す、としています。
 市電はバリアフリーで、排気ガスを出さない、地下鉄と比べ建設コストを低く抑えられる、人と環境にやさしい乗り物です。例えば、地下鉄真駒内駅や福住駅など終着駅から先を市電で整備するなど、これからのまちづくりにふさわしい公共交通機関として市電の果たす役割は大きいと考えます。
 本市の総合交通計画、温暖化対策推進計画の前倒しによる環境首都札幌の早期実現が求められていると思いますが、いかがか。その際の市電の果たす役割は重要だと思いますが、どのようにお考えか伺います。
 2点目は、都心部のまちづくりと市電の延伸の具体化についてです。
 本市は、「路面電車活用計画 ループ化編」で、JR札幌駅、苗穂駅、桑園駅の3つを「延伸の検討を行う地域」としています。JR苗穂駅は、現在より400メートル札幌駅寄りに移転する計画が作られています。また、北4東6地区には新しく中央体育館が建設される予定で、本市がまちづくりを進める重点的な場所のひとつ「創成イースト北エリア」がまさにいま動き出しています。こうした時に交通インフラとして市電の延伸計画を具体化し、整備を進めなければならないと考えます。
 また、1日平均約8万人が利用する札幌の玄関口「JR札幌駅」を、市電でつなぐことは、多くの市民や観光客に利用してもらう最大の要となります。
 これら検討となっている3方面への延伸は、秋元市長のもとで、いつごろまでに具体化するお考えか。まちづくりと一体となった具体化が、公共交通の利用促進と利便性確保のために必要だと思いますが、その見通しについて伺います。

 

秋元市長 答弁

 全部で7項目ご質問をいただきました。私からは1項目目の市長の政治姿勢についてお答えをさせていただきます。その他のご質問につきましては、担当の副市長並びに教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 1項目目の私の政治姿勢についての1点目、自民党の憲法改正草案についてのご質問でございます。争いのない平和な世界を築いていくということは、何より大切なことであり、また基本的人権が尊重されなければならないということも、当然のことであると考えております。ご質問にありました、国際平和における日本の役割や自衛隊の位置付け、いわゆる緊急事態条項等を含め、憲法の在り方については、様々な意見があり、前市長の活動もそのような意見表明の1つと認識をしているところでございます。いずれにいたしましても、憲法の改正に関しましては、その必要性や内容について、慎重かつ十分な国民的議論が必要であると考えております。
 2点目の泊原発の再稼働についてであります。7月に実施をいたしました市民意識調査の結果から、将来的には原子力発電に頼らないという、札幌市が進めているエネルギービジョンの考え方、これと一致をしているということと、また、原発再稼働に関しまして、市民に対する説明が不足していると感じている、そういうご意見が多かったということが明らかになったところであります。先日、北海道電力による説明会が札幌でおこなわれたところでありますけれども、これですべてということではなく、引き続き、市民・道民に丁寧な説明がおこなわれ、その理解が深まるということが重要であると考えております。
 私からは以上であります。

板垣副市長 答弁

 私からは、大きな3項目目、保育について、5項目目、貧困問題のうち、1つ目の国民健康保険制度について、2つ目の最低賃金と生活保護基準について、4つ目の子ども食堂について、大きな6項目目、介護保険について、大きな7項目目、中央区の諸課題のうち、1つ目の桑園地域及びその周辺の学校と児童会館についてのうち、1点目の人口増加の認識について、2点目の桑園児童会館について、そして、2つ目の市電についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず大きな3つ目の保育についてでございます。まず、待機児童数の認識についてということでございますけれども、保育サービスの供給につきましては、新・さっぽろ子ども未来プランに基づきまして、認可保育所や小規模保育事業所の整備に加え、幼稚園の一時預かり等の様々な手法によりまして、保護者のニーズにきめ細やかに応えてきたところでございます。今年度の国定義以外も含む待機児童につきましては、この度の補正予算を含めた施設整備による定員拡大でありますとか、保育コーディネーターによる保護者への積極的な働きかけに加えまして、兄弟同園入所に向けた改善策の検討等、多様な施策を講じながら、早期の解消に努めてまいりたいという風に考えております。
 次に、第2子目の保育料の無料化についてでありますけれども、札幌市における第2子以降の保育料無料化は、まずは比較的保育料が高い3歳未満を対象といたしまして、来年度から札幌市が独自に実施する予定のものでございます。その前提となる子の順の考え方につきましては、制度の基礎的な部分であり、これに関わる所得制限の撤廃につきましては、地方自治体間に差が出ないよう、国の責任において対応すべきものであると考えておりまして、今後も引き続き、様々な機会を通じまして国に対して要望してまいりたいと考えております。
 次に大きな5項目目、貧困問題についてであります。
 まず1つ目の国民健康保険制度についてであります。1点目の手遅れ死についてでありますが、医療保険制度においては、誰もが必要な時に安心して医療機関を受診できることが最も重要なことであると認識をしております。このため、資格証明書を交付しております世帯から、当該世帯に属する被保険者が医療を必要とし、医療費の一時払いが困難である旨の申し出があった場合には、速やかに受診できるよう保険証を交付するような、柔軟な対応をおこなっておりまして、受診抑制につながっているとは考えておりません。
 2点目の保険料の引き下げについてでありますけれども、国民健康保険制度は加入者にかかる医療費を所得等に応じて負担していただくのが基本的な原則ではありますが、加入世帯の負担に配慮いたしまして、医療分及び支援金分の1世帯あたりの平均保険料を据え置いているところでございます。
 国からの保険者支援分につきましては、今回の拡充分も含めまして、全額を保険料の軽減に充てており、それでもなお不足する分につきまして、一般会計からの繰入により対応しているところでございます。このように、1世帯あたりの平均保険料を据え置く取り組みは、加入者の負担を軽減するための、現状考えられる最大限の取り組みであると考えております。
 次に2つ目の、最低賃金と生活保護基準についてであります。生活保護基準の見直しにつきましては、社会保障審議会生活保護基準部会における検証結果を踏まえまして、最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮し、国が責任をもって決定したものであります。また、賃金につきましては、国において最低賃金の大幅な引き上げを含め、勤労者所得の向上を目指しているところであり、本市といたしましても、安定した生活が可能な水準となることが重要であると考えております。いずれにいたしましても、ご質問にありました貧困や格差の拡大につきましては、非正規社員の増加と言った雇用形態の変化や、収入が年金に限られる高齢者世帯の増加など、様々な要因が複雑に関係しているものと認識しております。
 次に4つ目の子ども食堂についてであります。子ども食堂の取り組みは、地域の見守りや子どもの健康・社会生活面での成長・発達支援といった観点から、大変意義あるものだと考えております。現在、市内では20か所程度が開設されており、その運営状況に関するアンケート調査に着手したところでありますが、今後も実態の把握を進めてまいりたいと考えております。
 次、大きな6項目目、介護保険についてであります。まず1つ目の新総合事業についてであります。
 1点目の介護事業所や利用者への影響についてでありますけれども、現行のデイサービス事業は、1日型も半日型も報酬単価は同じであるため、半日型は1日型の2倍の報酬を得ることが可能な制度でありました。これまで、1日型のサービスを提供していた事業所の経営が成り立っていたことを踏まえ、更に新総合事業の導入にあたりましては、札幌市では激変緩和措置を設けたことにより、ただちに事業所の経営が成り立たなくなるものとは考えておりません。なお、この他のサービスにつきましては、これまで同様の利用時間と利用回数であれば、事業所の経営に支障が生じるものではないと認識をしております。
 2点目の制度上の課題についてでありますけれども、介護保険は従来から持続可能な社会保険制度となるよう、介護サービスの給付と負担のバランスを考慮しながら、通常3年毎にサービス内容や報酬を見直してきており、新総合事業への移行もこうした考えに基づいたものであると認識しております。
 次に2つ目の財政措置についてであります。現行相当のサービス維持についてと、サービス維持のための予算措置についてでありますけれども、新総合事業の導入は、今後、急増する高齢者に対応しまして、専門的サービスを重度者に重点化するためのものであり、その運営にあたりましては介護予防をより一層推進して、元気な方を増やすことが重要だと考えております。その上で、報酬設定など、事業所への影響にできる限り配慮することで、事業開始後も現行相当のサービスが必要な方には引き続き提供できるものと認識しております。今後、札幌市といたしましては、新総合事業の趣旨を踏まえ、要支援者のニーズに応じた多様な担い手の確保や、事業所に配慮いたしました基準緩和について検討するなど、事業の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
 3つ目の介護離職についてであります。
 1点目の在宅での暮らしを支えるサービスに対する認識についてでありますが、国におきましては、軽度者に対する生活援助サービスや、福祉用具・住宅改修が、介護者の負担軽減等の役割を果たしていることを考慮した上で、利用者負担の在り方などについて議論しているところでございます。札幌市といたしましては、サービスの利用状況や介護離職者の現状を踏まえまして、介護を必要とする方が引き続き必要なサービスを利用できる制度改正とすべきものだと認識をしております。
 2点目の、国への申し入れについてでありますけれども、今般の制度見直しにつきましては、被保険者や介護者となる家族の生活に混乱をきたすことがないよう、これまでも他の政令指定都市と連携いたしまして、国に要望してきたところであり、今後も国における検討状況を注視しつつ、必要に応じ要望してまいりたいと考えております。
 最後に7項目目、中央区の諸課題についてであります。
 まず、桑園地域及びその周辺の学校と児童会館についてであります。そのうち1点目の人口増加への認識と、2点目の新たな児童会館についてでありますけれども、都心部への回帰現象により人口が増加しております中央区の中でも、桑園地域は人口増の著しい地域でありまして、児童数も増加傾向にあることは認識をしております。桑園児童会館につきましても、過密化が進んでおりますことから、その解消に向け対応策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、2つ目の市電についてであります。環境都市さっぽろを作る上での市電の役割と、都心部のまちづくりと市電の延伸の具体化について、というご質問でございますけれども、札幌市では「環境首都・札幌」を目指しまして、様々な取り組みを着実に進めているところであり、環境に優しい市電におきましては、利便性の向上を図ることにより利用を促進することが重要だと認識をしております。延伸の検討にあたりましては、まちづくりや交通環境のみならず、経営に与える影響も踏まえながら進めていく必要があると認識しておりまして、まずは昨年開業いたしましたループ化の効果について、しっかり検証してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私から2項目目、創成川通機能強化、都心アクセス道路についてお答えいたします。4つの視点からお尋ねがございましたが、相互に関連いたしますので、一括してお答えいたします。
 札幌市では超高齢社会の到来や、人口減少を見据え、今後の都市交通の在り方として、公共交通を軸とした交通体系を確立していくとともに、公共交通とバランスのとれた自動車交通の実現を目指し、都市として必要な道路整備をおこなっていくことが重要と考えております。
 創成川通につきましては、骨格道路網のうち都心部と地域拠点や周辺都市とを結ぶ道路として位置付けているところでございます。広域交通を受け持つこの道路の機能強化を図ることで、都心部への流入増加を予測しているものの、一方で周辺道路の混雑を緩和し、都心部を含めた中心区域の円滑な自動車交通の確保、ひいてはバスなどの公共交通の円滑な運行にも寄与するものと考えているところでございます。
 創成川通の機能強化にあたりましては、将来的な維持管理についても考慮した上で検討を進めるとともに、市民の皆様に対しましては適宜、検討の段階に合わせ、広く丁寧に情報発信し、ご意見をいただきながら進めてまいります。
 私からは以上でございます。

長岡教育長 答弁

 私からは4項目目、教育について、5項目目、貧困問題のうち、3点目、就学援助制度について、7項目目、中央区の諸課題についてのうち、1点目、桑園地域及びその周辺の学校と児童会館についての3点目の中学校の新設についてお答えさせていただきます。
 まず4項目目、教育についてでございます。
 まず、夜間中学についてでございます。
 1点目の、夜間中学の環境整備についてでございますが、学校施設のエレベーターの設置につきましては、バリアフリーの観点から、増改築の際に整備しており、向陵中学校においても同様に検討してまいりたいと考えております。
 2点目の公立夜間中学校の設置についてでございます。現在、国において法令の審議がおこなわれているところでございまして、法令施行後、授業内容や入学要件等を示すことになりますが、夜間中学で学びたい方々の声をお聞きすることも大切なことだと認識しております。
 次に、外国語指導助手(ALT)についてでございます。
 1点目のALTの役割についてでございますが、ALTは子ども達が英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度や能力を身に付けるとともに、外国の文化について理解を深めるなどの役割を果たしていると認識しております。
 2点目の業務委託の問題についてでございます。業務委託の場合は、経験者や研修を積んだ優秀な人材が多く、また急な帰国や退職などの際には、代わりのALTが対応できるなど、子ども達にとって効果的で安定的な指導をおこなうことができる利点がございます。労働条件につきましては、雇用主との労働契約によるものでございますが、教育委員会といたしましても、雇用の安定化につながるよう、契約方法等について工夫をしてまいります。なお、ALTの雇用形態につきましては、優秀な人材や授業における指導水準を確保するなどの観点を踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 5項目目、貧困問題についてのうち3点目、就学援助制度についてでございます。
 1点目の就学援助基準額についてでございますが、本市においては生活保護費の引き下げが子どもの学習環境に影響を及ぼさないよう、昨年度より就学援助の基準額を従前のまま維持しているところでございます。今後の就学援助の基準額につきましては、来年度開催する就学援助審議会において、社会経済情勢や財政状況などを踏まえ、検討をおこなう予定であり、その検討結果をもとに慎重に判断してまいりたいと考えております。
 2点目の入学準備金の支給についてでございます。就学援助費を必要とする時期に、速やかに支給することについては、十分配慮する必要があるものと認識しております。しかしながら、入学準備金の支給時期を早めることについては、例えば支給後、他市町村に転出した場合、返還手続きに課題もあることなどから、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 7項目目、中央区の諸課題について。
 1点目の桑園地域及びその周辺の学校と児童会館についてのうち、中学校の新設についてでございます。教育委員会といたしましても、桑園地域の児童生徒数が増加傾向にあることは認識しておりますが、当面の推計では既存の中学校で受け入れが可能であると考えております。今後も児童生徒数の推移は、注視してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

小形 かおり議員 再質問

 再質問させていただきたいと思いますが、再質問する前に、市長の政治姿勢に対する答弁ですね。自民党の改憲草案について、十分、慎重に国会において議論されるべきものというお答えをされております。しかし、7月に参議院選挙がありましたけれども、安倍首相はこの選挙では、憲法の改正については一切語っていないんです。そして選挙が終わると態度を豹変させ、改憲論議を加速するんだと、まさに国民を欺くものだと思います。そして、現憲法に刻まれている近代民主主義の基本的な原則を投げ捨てて、戦前にまで時代を逆戻りさせるものであって、およそ憲法などと呼べるような中身ではないと思うんです。しかも、イラク戦争のような国連の決議によらない無法な戦争にまで自衛隊の派兵を可能にする。このようなことは、断じて許されるものじゃないと思うんです。
 結局、市長はこうしたことについて、自らの見解は明らかにされなかった。国において十分に議論されるべきだということに留まっていて、私は、その点が極めて残念だと思うのです。
 安倍首相は今の臨時国会で、自民党の改憲案をベースにして、改憲を発議できる憲法審査会で議論を進めると言っているわけです。憲法の大改悪を許していいのか、そのことがまさに問われている。主権者は、国民1人1人であり、首相は憲法に最も縛られなければならない、その首相が憲法を変えると言い出したという、そういう大事な問題であるという点から言って、市長の国において十分にやってくださいっていうような答弁は、非常に私は残念だということを強く指摘しておきたいと思います。
 それで、再質問は2つのことについて伺いたいと思います。
 1つ目は、ALTの問題。2つ目は、桑園児童会館について伺いたいと思います。
 ALTのことであります。最初の1点目の質問、つまり教育現場で子ども達がコミュニケーションをとったり、外国文化を理解するのに必要な役割を果たしている、ALTはそういう役割を果たしているとお答えになったと思っておりますけれども、2点目で雇用のことを聞いたら、雇用主との契約なんだとお答え方をされたと思います。
 委託契約をしようと選んでいるのは、本市、教育委員会ですよね、そのことをまったく無視して、雇用主との契約の問題だ、では済まされない。私は、これは官製ワーキングプアを生み出しているのではないですか、という質問をしたわけなんです。上田前札幌市長のもとで、公契約条例を制定しようと奔走された秋元現市長サイドから、官製ワーキングプアのことについて触れない、そういう答弁でいいのか。確かに業者の問題もあるでしょうが、そもそもは本市に責任があるということを認めるべきだと思います。
 そして、この教育現場では、ALTと現場の教師が話し合うことができない、指導してはいけないんですよ、委託契約ですから。委託契約というのは、受けた業者がそこに働く従業員に対しては指示できるけれども、ALTが働いている学校現場では、学校長や担当教員はALTに指揮命令をしてはいけないとなるわけですよ、それをすると偽装請負になりますから。話し合いなしで、それで実際教育が成り立つのかということが問われているのですよ。学校の現場の先生方も非常に苦労されていると思いますし、ALTの方々も大変苦労されていると思います。子ども達も困っていることが実際に起きているのです。
 先ほどの答弁では、優秀な人材や指導水準の確保の観点が必要だとおっしゃいましたけど、業務委託で優秀な人材が確保できるとお思いなのでしょうか。私は、優秀な人材を集めようと思ったら、まず安定した雇用と安心した生活ができるだけの賃金を保証する。そのことなしには、優秀な人材は確保できないと思います。
 1年契約で、次年度の契約があるかどうか分からないでいるALTの方。毎年毎年、来年本当に契約されるのかということが、不安なんじゃないですか。現に、この春に札幌市で起きた、委託先がALTの人数を期限までに確保できずに委託解除になったのは、このようなことが影響していると思われます。ですので、私は、委託契約が問題だということを今回の事態は浮き彫りにしたと思っております。このことを解決していくには、委託先の業者にだけ話を聞くのでは解決できないと思います。実際の学校の現場で、教員やあるいは校長先生、そして当事者であるALTの方々が、何に、どのように困っているのか。また、ALTがどんな思いで授業を進めているのかを直接話を聞くなどして実態把握をすべきだと思いますが、そういうお考えはないか、伺いたいと思います。
 2点目は、桑園児童会館についてです。先ほどのご答弁で、桑園地域への新たな児童会館については、対応策を検討したいというご答弁だったと思います。
 そこで伺いますが、具体的にはどの辺に建てるのか、いつ頃の予定か、さらにその見通しを伺いたいと思います。
 以上2点です。

長岡教育長 答弁

 教育についての、外国語指導助手(ALT)についてのご質問、再質問でございます。
 業務委託につきましても、事前に教育内容について学校側と、それから派遣側が十分に事前に打ち合わせをおこなっておりまして、特に最近では密接な連携ができているところでございまして、現場が困っているというようなことを伺ったことはございませんし、また私もその授業を視察しておりますけれども、非常に連携がうまくいった適切な授業をおこなわれている、と考えております。
 もとより、子ども達にとってより良い授業内容になるため、児童・生徒への調査聞き取りはもちろんのこと、学校からの報告もいただいておりますし、また、担当教諭との直接対話などを通して実態把握にも努めているところでございます。
 契約形態につきましては、引き続き調査研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

板垣副市長 答弁

 桑園児童会館の過密化の問題でございますけれども、現在中央区も交えまして、地域の皆様とその課題解決の方策について、ご相談を始めたところでございまして、今後地域の皆様の意向を十分踏まえた上で、対応策を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

小形 かおり議員

 ALTについて、いま教育長から、現場でそういう困っているという声は聞いたことはないと、そうでしょうね。実際にALTの方からお話聞きましたか、委託業者とは話をしたでしょうけれども、実際に教壇に立つのはALTの先生ご自身ですよ。困っているということすら言えない状態なんじゃないでしょうか。私達は、そういう話をしては駄目だと言われている、ということも漏れ聞いております。だから、困っているということすら言えないということが起きていることを、ちゃんと踏まえるべきだと思うんです。もちろん、校長先生、学校の教員の先生方からお話を聞いて、すでにされているということですけれども、それだけではなく、ALTに何が起きているのかということを、直接現場に関わっている人達から、業者ではなく、当事者の方からきちんと聞いて、この問題について解決を図るべきことを求めまして、質問を終わりたいと思います。