02 私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案8件中、議案第1号「札幌市各会計歳入歳出決算認定の件」、議案第17号「札幌市電車乗車料金の一部を改正する条例案」の2件に反対、残余の議案6件及び陳情第237号について賛成の立場で討論を行います。
 昨年度の一般会計決算の歳入は8878億円、歳出は8808億円となり、形式収支は70億円の黒字でした。
 実質収支約39億円となり、財政調整基金に19億5千万円を積みたてました。
 この3年間で、金融資産1億円以上の富裕層は29万6千世帯増えている一方、貯蓄ゼロ世帯が446万増え全世帯の37・4%となり、貧困と格差は一層拡大しています。
 本市においても市民の暮らしは厳しく、子どもの貧困など深刻な課題が広がっています。実質収支の約39億円は、国保料引き下げや子どもの医療費無料化の拡充など、市民の暮らしを直接応援するために使うべきでした。
 議案第1号に反対する理由の第1は、マイナンバーに関連する事業が含まれているからです。2015年度は制度に対応するためのシステム改修費に10億2053万円、個人番号カード交付のための関連決算額は5億8911万円、これらの総額16億964万5000円となるマイナンバーは国家による国民監視と個人情報の漏えいの危険性が、いかなる手を打っても避けることができないことはあきらかであり反対です。
 理由の第2は、都心アクセス道路検討調査費が含まれているからです。創成川通りの混雑度は0.87と4段階ある混雑度の中でも最低ランクであり、国道36号線の豊平3条1丁目、豊平橋付近の混雑度1.93と比べても、混雑度は半分以下です。混雑度が最低ランクであるのに渋滞を理由に新たな高規格道路の建設は不要です。
 都心アクセス機能強化による期待される効果として「石狩湾新港との連携強化」があります。しかし、石狩湾新港に入ってくる貨物は、外国からはLNG液化天然ガス44%、木材チップ42%、石油製品5%などが9割以上を占め、国内からは燃料系の石油製品38%、砂利と砂30%、セメント13%、LPG液化石油ガス12%などで9割以上を占めています。これらの貨物は、都心部に入ってくるものではなく、石狩湾新港との物流による連携強化の根拠にはならないことを指摘しました。
 また「救急搬送時間短縮による救命率の向上」は、震災などの際、迂回可能な一般道を利用するのが基本であること、都心への所要時間が54分かかり「速達性・定時性が確保されていない」というのも、そのデータはわずか1件であることなど、どの根拠も極めて希薄であることを明らかにしました。今後の道路整備については、公共交通の利用を促進させ都心部に入る車を減らすことであり、高規格道路となる都心アクセス強化は中止すべきです。
 理由の第3は、教育委員会が豊滝小学校の統廃合を地域や保護者の合意もなく一方的に進めたからです。
 理由の第4は、保育士の配置基準において、以前から保健師と看護師は、1保育所1人に限り保育士とみなしていたものにさらに准看護師を加えたことで、保育士配置基準の緩和に繋がるからです。
 理由の第5は2015年に始まった子ども子育て支援新制度により、「小規模保育B型C型および家庭的保育事業」において無資格者であっても保育を行えるように規制緩和をし、保育の水準を引き下げたからです。認可保育所の整備・体制は保育の質を落とさず行っていく事が重要であり、無資格者の配置は行うべきではありません
 また、保育所保育料の滞納分について延滞金を新たに課したからです。
 理由の第6は教育委員長と教育長を一本化し、首長が直接任命する新教育長をトップにし、教育行政への首長の介入に道を開いたからです。
 理由の第7は人事評価制度が条例に盛り込まれ、本来尊重するべき職員の自主性・自立性を上から抑え込む仕組みがつくられたことから反対です。
 議案第17号「札幌市電車乗車料金の一部を改正する条例案」は、現在170円の乗車料金を200円へと15%も値上げするものです。
 2015年12月に、電停「西4丁目」と「すすきの」を駅前通りでつなぐループ化が実現しました。秋元市長は本定例会のわが党の代表質問で、市電の役割について「利便性の向上を図ることにより利用を促進することが重要と認識している」と答弁されました。乗車料金値上げは利用の抑制につながりかねず、市長の答弁とは相反します。
 観光客での利用増、周辺の商店との協力など利用促進のため工夫すべきことはまだ多くあり、それらを後回しにし、まず料金値上げというのは、到底納得できません。市民からの陳情も出されており、値上げに対する市民への周知もまったく不十分です。
 今回の値上げは、人と環境にやさしい市電の発展・延長に水を差すものであり、反対です。
 よって陳情第237号は採択すべきです。

 次に、代表質問並びに各委員会で取り上げた諸課題について局別に申し述べます。
 危機管理対策室です。
 泊原発の再稼働についてです。
 道内の電力消費量は、最も多い1月でも供給予備率は11.9%~26.2%で推移しており、安定供給に必要とされる8%の2~3倍で十分余裕があることが明らかとなりました。また、7月の道新世論調査では、泊原発が原子力規制委員会の審査基準を満たしても「再稼働するべきではない」が「してもよい」を上回り、原発再稼働に反対する世論は広がっています。
 地域防災計画 原子力災害対策編では、事故が起こった場合、本市は泊原発周辺の9町村からの避難者を受け入れ、その総数約5万7000人が、車やバス約1万9000台で本市に入ってくる計画となっていますが、冬場の暴風雪、本市への放射性物質の拡散で屋内退避となった場合など、市民と避難者が安全に避難できるとはとうてい考えられません。泊原子力発電所は再稼働させないことが最も有効な防災対策です。
 避難情報の連絡体制の強化と避難準備情報についてです。8月後半から道内を襲った台風で被害を受けた高齢者、障害者の施設18の内13施設が水防法に基づく浸水想定区域外でした。区域外への避難準備情報の周知を強化するべきです。
 まちづくり政策局です
 新さっぽろ駅周辺地区まちづくり計画は、下野幌市営住宅の建て替えによる余剰地の売却が含まれています。
 5.6ヘクタールにも及ぶ大規模で、利便性の高い市有地は市民の大切な財産です。これまでの市民に対する情報提供・説明は極めて不十分であり、圧倒的な地域住民は売却の事実を知りません。市民不在で売却することはあってはならないと申し上げます。
 財政局です
 市税の納付相談についてです。2015年の市税の滞納者は60,157人、差し押さえは10,156件であり、市民の暮らしはいぜん厳しいままです。この4月から納税者が申請することができる「換価の猶予」の周知とあわせ、相談者には丁寧に対応し、無理な納付計画の押し付けにならないようにするべきです。
 建設労働者の賃上げについてです。
 国は、建設現場で働く労働者の賃金に相当する設計労務単価を2012年以降の4年間で、34.7%引き上げました。
 本市が実施している元請・下請け調査は、設計労務単価に見合った賃金が支払われているかどうか判断できるものではありません。北海道では「下請状況等調査」を実施し、労働者の積算賃金が設計労務単価を1円でも下回った場合、「適切な賃金の確保」を元請企業に要請しています。本市は「北海道などの事例も参考にしながら労働環境の向上に資する取り組みを検討していきたい」と答弁しました。本市発注の工事において、下請けの末端に至るまで設計労務単価に見合う賃金の引き上げを行うべきです。
 市民文化局です
 平和都市宣言普及啓発事業について質問しました。
 来年は平和都市宣言25周年を迎えます。戦争跡地などを視察し、被爆者の話を直接聞く平和訪問団の体験は子どもたちの心の財産となります。訪問団の参加者を広げることや、   平和都市宣言を、地下鉄車内やコンコースなど、身近な場所に掲示するなど、市民や観光客に向けて積極的にアピールするため、予算をさらに確保して取り組むべきです。
 保健福祉局です
 国民健康保険制度についてです。所得は変わらないのに、国保料が毎年上がり続ける世帯があります。こうしたもとで、病気を抱えても病院の受診を我慢し、病気が重篤化するなど深刻な事態がおきています。
 国からの保険者支援分44億円は、保険料引き下げに使うべきでした。
 介護保険新総合事業について質しました
 国が自治体に義務付けた新総合事業では介護保険の基本を崩し、本市の計画案では介護事業所の報酬が下がることから、さらなる事業所の廃止につながる懸念があり反対です。「2018年の次期策定にあたっては、人員や設備の基準緩和の必要性を考えている」との答弁でしたが、人員配置の緩和を行えば、介護報酬がさがり職員の処遇改善にも逆行します。継続して専門のサービスで機能訓練をすることで利用者の介護度を維持している事業所が多く、専門サービスを提供することの重要性は明らかです。本市は独自の報酬単価の上乗せや加算を行い、利用者へのサービス維持と事業所の経営が成り立つ新総合事業にすべきと求めます。
 子ども未来局です
 民間学童保育の支援についてです。
 会計事務負担軽減のためのパソコン導入は今年度限定の国の事業であり、来年2月の運営費の支給に合わせて早急に取り組むべきです。
 子どもの権利について質しました。
 本市の「子どもの権利条例」は、子ども期を生き生きと過ごし、自立した社会性のある大人に成長・発達するために欠かすことのできない、誰もが生まれながらにして持っている権利として2009年に施行されました。子どもが自分の意見を表明する機会を保障されること、周囲の大人がそれを受け止め応答する関係を築くことは、自己肯定感を育むために重要です。本市は「尊重される機会が多いほど自己肯定感が上がる」との認識を示しました。
 本市のあらゆる施策を「子どもの権利保障がなされる環境なのか」という視点で見つめなおすこと、「子どもに関する実態・意識調査」を毎年実施することを求めます。
 経済観光局です
 高齢化社会における、中小零細企業の事業承継を含めた支援について質しました。
 事業を継続させたいという思いをもちながら、後継者が不在のため廃業する経営者がいる一方、高額な初期投資が必要なため起業を目指す若者が断念せざるを得ない状況があります。本市が両者の条件や希望をかみ合わせた支援を行うことで、高齢化が進む中で地域づくりの視点から商店街の活性化や地域社会に貢献する新たな取り組みに挑戦すべきであると申し上げます。
 建設局です
 橋梁や道路などの維持管理について質しました。道路の補修計画は、年間9億円の予算で、1年でわずか15㌔から20㌔の舗装補修を行うにとどまっています。さらに本市でもかつて経験したことのない集中豪雨が発生しており、とりわけ都心部では地下に道路をつくることは慎重であるべきです。本市は今後、巨額を投じた高規格道路の建設ではなく耐震化や集中豪雨への対策を充実すべきと求めました。
 都市局です
 市営住宅は何回応募しても入れない入居待ちしている人がたくさんいるなど、市民にとって市営住宅の建設は切実な要求です。
 ところが市営住宅は2000年からの建て替え事業の中で、実に97棟1264戸と大幅に戸数が減らされているという実態が明らかになりました。
 今後、市営住宅の建て替えでは戸数を減らさず、この間減らしてきた戸数は元に戻すべきです。

 教育委員会です
 就学援助の入学準備金の支給時期について質問しました。
 わが党はこれまで入学準備金の支給は入学前に支給するべきと求めてきました。国からは「支給が必要な時期に速やかに支給するよう配慮すること」という通知がきています。
 副市長は「入学準備金は入学前に支給することが好ましい、教育委員会と財政局も含めて早く支給することについて、どういう形でできるか早急に検討する」と答弁しました。
 来年度の就学援助審議会を待たずに、来年からの入学前支給を求めます。
 外国語指導助手ALTの処遇改善について質しました。
 業務委託という働き方は、委託先から仕事を指示されることは偽装請負となるため、特に教育の場にはふさわしくありません。本市のALTは、業務委託であるため、授業では担当教諭と自由に話すことができず、ティームティーチングが機能しません。また、業務委託契約のALTは本市直接契約のJETのALTと比べ給与が低く処遇も劣悪です。
 さいたまや、大阪市教育委員会では直接雇用しており、「ALTと担当教員が直接なんでも話し合って授業を進めることができる」「日常的に子どもたちと接する時間がとれ、子どもの英会話力が上がった」と話しています。
 子どもたちにより良い授業を進めるために、本市も直接雇用に踏み出すべきと強く求めます。
 向陵中学校について質問しました
 1969年に建てられた向陵中学校は、現在909名が通う市内で最も多いマンモス校となっており、今後さらに生徒数が増える見通しだと答弁されました。また、向陵中学校は「自主夜間中学・遠友塾」の授業を行う学校として施設を共有していますが、学校施設にエレベーターがなく、男性スタッフが車いすごと階段を持ち上げて移動しています。それにより遠慮して受講をあきらめる方がいます。学校の狭隘化の解決とエレベーター設置のために向陵中学校を早急に改築することを求めます。
 最後に選挙管理委員会です
 今年7月の参議院選挙では、2013年の参議院選挙に比べ期日前投票所が全国で498ヵ所増の5229ヵ所になり、期日前投票利用者も全有権者の15%と過去最多となりました。また大学などの校内で開設された投票所も、前回の5ヵ所から98ヵ所へと大幅に増えました。
 本市においても学生や若者の政治参加の意識を高めるため、大学での期日前投票所を開設すること、また利便性向上のために、地区センターを利用した第2、期日前投票所も増設するべきことを求めます。

 以上で私の討論を終わります。