私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案25件中、議案第1号、議案第5号から第7号、議案第12号から第14号、議案第16号、議案第20号、及び議案第21号の10件に反対、残余の議案15件に賛成の立場から討論を行います。
 新年度の予算規模は、一般会計で9,965億円、対前年度比6.4%増となっています。増加の要因は、県費負担教職員の権限移譲分758億円の影響で、この分を除けば、対前年度比1.7%減となります。その他、特別会計、企業会計を合わせた全会計予算規模は、対前年度比3.3%増の1兆6,532億円です。
 札幌冬季五輪や新幹線の札幌駅延伸を見据えた都心部の急速な再開発の推進、MICEや高速道路とのアクセス機能強化、道外企業の誘致促進など、内需の拡大よりも外需呼び込み型のまちづくりと産業政策が強く打ち出されています。
 一方、子育て世帯の切実な願いである保育所の整備は、昨年10月の段階ですでに1,599人にのぼっている待機児童の解消にはほど遠く、特別養護老人ホームの整備も、240人分にとどまっています。また、高すぎる国保料の引き下げに背を向けるなど、くらしや福祉を支える施策は充分とは言えない予算になっています。
 本市の「就業構造基本調査」によると世帯別の収入は、300万円未満は41.8%、200万円未満は24.7%を占めるなど、低賃金構造の抜本的な転換が求められていますが、現在、本市が計画している都心部とその周辺での5か所の民間再開発事業は、建設中のものも含め、約400億円の補助金を支出しようとするものです。大手建設会社などの支援にはなっても、その経済効果が市民の懐を直接あたためることになるのかは疑問です。市民の願いに応える福祉施策をすすめること、可処分所得の引き上げ、個人消費を底上げすることを優先すべきです。
 議案第1号に反対する理由の第1は、マイナンバー制度に関連する予算が4億5,829万円盛り込まれているからです。
 わが党は、国家による国民監視と個人情報の漏えいの危険性を指摘してきました。本市が「情報漏えいのないよう十分な対策をとる」といくら言っても、情報を盗み取ろうとする者とのいたちごっこで、完全に安全な対策など不可能です。また、システム改修など際限なく税金を投入することとなるマイナンバー制度は今からでも中止するべきであり認められません。
 反対する理由の第2は、創成川通り機能強化検討費500万円が計上されているからです。
 都心アクセス道路は、すべて地下構造で整備した場合には1,000億円規模の事業費がかかると言われています。市民にとって不要不急の無駄な大型公共工事すなわち「負の遺産」となることは問題です。都心アクセス道路が計画されている創成川通の機能強化は、右折ラインなど交差点改良を中心とした道路整備と冬の除排雪強化策で進めるべきです。
 議案第5号国民健康保険会計予算に反対する理由は、高すぎる国保料の引き下げは行なわず、資格証明書の発行や、差し押さえ強化がすすめられているからです。
 本市は、国保料の負担が重いことを認めており、国保制度の構造上の問題を抱えたまま、国保料を引き下げるには、「一般会計からの繰り入れを増やすしかない」と答弁しています。「国保料の引き下げを求める陳情」は、3万6,571筆の署名とともに提出されました。市民のこの声に応え、一般会計からの繰り入れを増やし、保険料の引き下げを決断すべきです。
 議案第6号後期高齢者医療会計予算は、75歳という年齢で医療を差別するものであり、新年度からは、低所得者に対する保険料の軽減特例措置が所得割では5割軽減から2割軽減への縮小をすすめるため、反対です。
 議案第7号介護保険会計予算に反対する理由は、利用者へのサービスの質の低下につながるものだからです。
 介護事業所は、利用者一人ひとりを尊重したメニューを作り、サービスを提供しており、国はそうした柔軟性を認めていましたが、来年度からの介護予防・日常生活支援総合事業への移行により、その基本を崩し月額報酬から回数単位にしたため、さらに介護報酬は下がり、職員の過重労働がすすみ介護離職を増加させます。すでに本市では人材不足による事業所廃止が増えており、利用者のサービス維持と事業所の経営が成り立つ予算にすべきです。
 議案第12号軌道事業会計予算は、路面電車の運賃改定を行い、大人の普通運賃を現行170円から200円に値上げする市民負担増となるため、反対です。
 議案第13号 高速電車事業会計予算に反対する理由は、東豊線の可動式ホーム柵設置に伴うワンマン化で46人の人員削減が含まれているからです。
 議案第14号水道事業会計予算は、中部料金課のサービス管理係の統合や、委託化などで、職員定数が削減されるものであることから反対です。
 議案第16号職員定数条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、事務・業務の改廃等に伴い、学校給食調理業務での20人の減など職員定数の削減が含まれているからです。
 議案第20号住宅資金融資条例を廃止する条例案についてです。
 「札幌市住宅エコリフォーム補助制度」に新たに住宅の外側のバリアフリーやトイレの増設なども対象に加えた、とのことでした。しかし住宅資金融資条例で認められていた、台所や洗面所の高さなどの改修は、対象にならないこと、また、利用者がまだいることから廃止すべきではありません。
 議案第21号札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、地元住民から懸念する声があるからです。小・中学校は地域の核であり、学校統廃合はまちづくりの課題と合わせて検討するべきです。
 次は、代表質問並びに予算特別委員会で取り上げた諸課題について申し述べます。
 代表質問で職員の不正・不祥事問題について質しました。
 麻生球場の官製談合、円山動物園の指名競争入札にかかる不正、煙突アスベストの虚偽報告のみならず、わいせつ事件や暴力事件、飲酒運転など度重なる不正・不祥事が繰り返される中で、特別職の給与減額の条例案が提案されました。その直後に「職員の時間外勤務手当の不正受給」が発覚し、28日にも「職員による親睦会費の窃盗事案」が明らかになるなど、市民の信頼を損なう深刻な事態です。
 市長自ら各部局に出向いて、随時職員と直接コミュニケーションをとることや「市民福祉の向上を図る」自治体職員として誇りをもって働ける環境改善を求めます。
 まちづくり政策局です。
 地下空間におけるICT活用実証実験事業についてです。
 地下歩行空間での顔認証実験について、「個人情報が流出するのではないか」という市民の不安が広がり、カメラ型センサーでの顔認証は行わないことにしましたが、人感センサーやビーコンなどの実証実験は行うというものです。情報漏えい対策も万全とはいえず、市民の不安はぬぐえません。個人情報を最も守らなければならない行政が国家戦略の旗振り役となって率先して進めるべきではないことを強く指摘しておきます。
 次は、財政局です。
 臨時財政対策債についてです。
 新年度一般会計予算の市債残高1,185億円のうち臨時財政対策債は600億円を占めています。2001年のスタート時当初は、99億6,600万円だったものが毎年膨らみ続けていることから100%返済されるのか疑問です。
 本市は、「国から交付税措置される」と答弁しましたが、赤字国債の発行など国家財政も不安定です。実質賃金の低下などアベノミクスの破たんは明らかであり、地方交付税の法定率のさらなる引き上げと臨財債の速やかな廃止を引き続き国に要請されるよう求めます。
 市税の滞納世帯が増えている実態についてです。
 2016年の市税事務所での相談件数は来庁と電話を含め18万9,362件にも上ります。税金が払えない方々は、国保料や公共料金など複数の滞納を抱えていることが考えられることから、関係部局につなげていくことや職員の研修を行うことが必要であると求めました。
 本市は、生活支援の研修としてゲートキーパー研修を約30名の新入職員に実施したとのことですが引き続き、他部局との連携を強め、支払い困難な市民の声をしっかりと受け止める対策を講じるべきです。
 特別徴収額の決定通知書へのマイナンバー記載についてです。
 民間企業の9割は中小企業であり、規模の小さい事業者が十分なセキュリティ対策を施すのは至難の業です。本市は2,200万円をかけて簡易書留で郵送するとしていますが、東京では情報漏えいのリスクがあり、また郵送費が増大することからマイナンバーを記載しない、もしくは一部記載しない自治体が30もあります。市民の情報を守る立場で業務を行うべきと申し上げます。
 次は、市民文化局です。
 パートナーシップ制度導入の報道を受けて、市民から1,000件の賛成意見と151件の反対意見が寄せられました。「結婚制度の問題ではないか」、「少子化を招く」などの市民意見について本市は、「権利や義務が生じるものではない」、「制度導入は少子化に影響を与えるものではない」と答弁しました。本市はパートナーシップ制度について新年度4月1日から実施する予定だったものを6月1日に先延ばししました。当事者の声にこたえ1日も早くスタートさせるべきです。
 次は、スポーツ局です。
 10年計画の「札幌市スポーツ推進計画」は、中間年にあたる来年度、内容の見直しが行われます。市民のウィンタースポーツ実施率は低迷しており、実態調査においても、「道具が高い」、「時間がない」ことが、ウィンタースポーツをしていない大きな理由となっています。これらの声を計画に生かし、各部局と連携しながら、市民が無理なく適切な費用で楽しめる条件を整備することを求めます。
 次は、保健福祉局です。
 生活困窮者自立支援事業についてです。
 本市のホームレス相談自立支援センターへの相談件数は2015年からの累計で1,479件にのぼり、超過入所となるセンターもあります。「ホームレスの自立に関する特別措置法」は、今年8月までの時限立法ですが、継続できるよう、また全額国費で行うよう国に求めるべきです。
 さらに、委託費では、家賃や人件費に充てる費用は不十分で、職員の残業が常態化しているセンターがあります。本市として、実態を調査し、委託費の内容改善が必要です。
 高齢者への外出支援についてです。
 「敬老パス」は健康の維持・増進や社会参加の機会を保障するために大きな役割を担っています。高齢者はタクシーを利用する機会が増えている実態から、「敬老パス」でタクシー利用ができるようにするなど、支援策を講じるべきです。
 介護士の処遇改善加算についてです。
 本市では、251の介護事業所が、最低の処遇改善加算すら受けていません。処遇改善を受けていない理由に、事務作業が煩雑であることが挙げられており、本市は、本来もらえる人に処遇改善がいきわたるように援助すべきです。合わせて、処遇改善加算は、介護職員しか対象にならず、介護現場で働く人すべてが処遇改善されるよう国に働きかけるべきです。
 国民健康保険の資格証明書についてです。
 本市は、資格証明書発行の目的は、「折衝機会を得るため」としていますが、資格証を発行し折衝をした数は集計していませんでした。資格証を発行したら、逆に接触できなくなったため資格証は「悪質な場合のみに発行する」とした自治体もあります。資格証明書の発行はやめるべきと申し上げます。
 次は、子ども未来局です。
 待機児童の解消についてです。
 昨年10月の待機児童数は、1,599人でした。この中には、「兄弟同じ保育所」「家の近くの保育所」など、特定保育所のみ希望し、入所していないなど、国定義以外の待機児童数848人も含まれています。家の近くや兄弟2人で一緒の保育所に入りたいのは、当然の願いであり、その解決のためにも、待機児童対策は0歳から就学前まで継続して保育できる認可保育所の増設で迅速に進めるべきです。
 子どもの貧困対策についてです。
 昨年、本市が行った子どもの貧困対策計画策定のための実態調査の中間報告が発表されました。本市の2歳から高校2年生までの子を持つ世帯の6割が「家計が厳しい」と回答し、「過去1年間に子どもの受診をさせなかった」との回答が1,068人、18.3%との結果でした。「生活が厳しい」と答えた世帯などに今ある制度が届くように対策を検討すべきです。
 すべての子どもを対象にした施策は、必ず貧困世帯の支援になることから、今後も追跡調査を実施していくことと、子どもの施策にかかわる各局との連携が重要です。
 次は、経済観光局です。
 障がい者や高齢者に配慮した観光振興をすすめるとともに、障がい者団体などが本市で大規模会議を開催する際、主催者や利用者の意見を経済観光局として積極的に把握し、課題解決を図るよう求めます。
 次は、環境局です。
 アスベスト問題についてです。
 レベル1の「吹付けアスベスト」がむき出しになっている「未措置」の施設は、早急に対応すべきです。また、建物内部の梁など「封じ込め・囲い込み」がなされている吹付アスベストは、直接アスベストを見る点検ではないことが明らかになりました。これでは、アスベストの劣化を確認できず、異常があった時には飛散しているということになりかねません。専門家による点検を行うべきです。
 老朽化した箱型ごみステーション機材についてです。
 箱型ごみステーションへの助成制度ができて間もなく8年が経ち、経年劣化や雪などで破損していることなどから修繕・更新が必要な箱型ごみステーションが今後増えていきます。修繕・更新が必要な機材については、ごみパト隊が積極的に助成制度の活用を図り解決していくために力を尽くしていくことを求めます。
 次は、建設局です。
 除排雪体制の強化についてです。
 本市は、除排雪体制を確保するため、通年事業をしていますが、夏場の仕事は、全体の15%程度で、約200社ある除排雪事業者の中には、仕事が回ってこない事業者もいると考えられます。除排雪体制の強化と夏場の生活道路整備予算を増やすなどし、事業者の仕事を増やしていくべきです。
 次は、都市局です。
 市営住宅の空き家と修繕について質しました。
 「空き家が発生した場合は、速やかに修繕を実施し、募集に出している」、「一般空き戸数が増えているのは、積み残しによるもの」とのことでした。次年度は、修繕費を約5億円増やす予算になっていますが、単年に終わらせず、継続して速やかな修繕をすすめるよう求めます。
 次は、交通局です。
 精神障がい者の運賃割引制度についてです。
 市長も交通局も「精神障がい3級の運賃割引は望ましい」と答弁しながら、未だに実現していません。精神3級で運賃半額割引をした場合、新たな費用負担は1億2千万円だということが明らかになりました。地下鉄は黒字決算が続いており、企業債も順調に減っています。これ以上先送りせず、市営交通で先行実施することを求めます。
 最後に、教育委員会です。
 就学援助制度入学準備金を小学生についても実施するべきですが、本市は、小学生の場合、入学前の転居や書類の受け渡しなどに課題があることを理由に実施する見通しについて明らかにしていません。就学援助の入学準備金を支給した後、転居する世帯については、事前説明で解決することができるため、1日も早く実施する方向で準備を進めていくべきです。
 就学援助制度は、経済的困難を抱える子ども達に義務教育を保障する命綱であり、生活保護基準の引き下げに就学援助制度を連動させるべきではありません。
 学校給食費無償化について質しました。
 子どもの貧困を解決することは急がれる課題です。町田副市長は「子どもの貧困は非常に大きな問題。どのようなものを実施していくか、今後検討していきたい」と明確に答弁されました。すべての子ども達が対象となる学校給食の無償化が全国で広がっており、本市も実施する方向で検討することを求めます。

 以上で、私の討論を終わります。