私は、日本共産党を代表して、市政に関わる重要問題について順次質問いたします。

 最初に市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、首相の改憲発言についてです。
 安倍首相は、憲法9条に自衛隊の存在を明記し、2020年施行を目指すことを表明しました。この発言は、憲法改正の発議権をもつ国会・立法府に対する不当な介入であるとともに、憲法第99条が定める国務大臣や国会議員、公務員などの憲法尊重擁護義務に反する暴挙です。
 昨年9月の定例会で秋元市長は、自民党憲法改正草案への見解を質したわが党の質問に対し、「慎重かつ、十分な国民的議論が必要」と繰り返すのみで、市長自らの見解は明らかにされませんでした。
 市長は、憲法尊重擁護義務を破り、期限まで定めた首相の改憲発言について、どのように受け止められているのか伺います。また、行政府のトップによる立法権への介入であり、三権分立に反するものだと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、JR北海道の「事業見直し」についてです。
 JR北海道が昨年11月、道内全路線の半分以上にあたる10路線13区間、1,237.2kmを、「当社単独での維持が困難」と発表したことに、沿線自治体をはじめ全道に不安が広がっています。
 1点目は、「事業見直し」の影響と鉄道の役割についてです。
 JR北海道による「事業見直し」は、全道の半分以上の路線を、廃止してバス転換にするか、もしくは「上下分離方式」で沿線自治体に財政負担を強いるかなど、いずれも受け入れられるものではありません。
 JRの路線は、住民にとって通学や通院などかけがえのない「生活の足」であり、都市間交通を支える柱です。その廃止は、沿線住民の暮らしと地域経済に深刻な打撃を与え、過疎化をさらにすすめることになります。
 文字通り、地域の存立にかかわる重大問題であり、北海道の現在と将来に深刻な影響を及ぼす問題であると考えますが、この「事業見直し」がすすめられた場合、北海道と地域経済にどのような影響を及ぼすとお考えか、市長の認識を伺います。
 同時に、鉄道網を維持することは、道民の交通権を保障することはもちろん、地方再生と経済観光の振興にとっても不可欠であり、また、中長距離輸送において、鉄道は、環境負荷が小さく、農産物をはじめとする貨物の大量一括輸送に適し、定時性にも優れるなど、広大な北海道にとって、他の交通手段に代えがたい役割をもっていると考えますがいかがか、市長の認識を伺います。
 2点目は、本市への影響についてです。
 現在、総額1兆6,700億円にも及ぶ北海道新幹線の札幌延伸がすすめられています。これによって並行在来線の函館-小樽間、287.8kmは経営分離され、第三セクターか廃線かを迫られていますが、結局、JR北海道が単独で保有するのは、新幹線と輸送密度の高い札幌を中心とするごくわずかの幹線のみです。それ以外を、赤字を理由に切り捨て、沿線自治体に押しつけるなど、北海道の基幹的公共交通機関としての役割を放棄するものであり、看過することはできません。
 JR北海道の「事業見直し」によって、全道を結ぶ動脈ともいうべき鉄道網が失われようとしているときに、巨費を投じる新幹線の札幌延伸が優先されるのは問題です。
「事業見直し」による鉄道網の切り捨てと地方への打撃は、仮に新幹線の札幌延伸が実現したとしても、本市経済と観光振興に重大な影響を与えると考えますが、そのような懸念はないのか市長の見解を伺います。
 3点目は、国の責任と抜本的な支援についてです。
 JR北海道が、今日の危機的事態に陥った最大の責任が国にあることは明らかです。赤字になることははじめからわかっており、そのための経営安定基金は、国の超低金利政策のもとで運用益が半減、経営を大きく圧迫し、今日の事態にいたったのです。しかし、国は、それを知りながら抜本的な手立てを講じず、コストカットと増収をJR北海道に求めるだけでした。
 その結果、安全輸送に欠かせない保守・点検が後回しにされ、2011年、石勝線のトンネル内での特急列車の脱線・炎上などの事故が続発し、線路の検査データ改ざんが行われるなど、深刻な事態を招く結果となりました。
 秋元市長は、記者会見で「さかのぼれば民営化の時の経営安定基金で賄うというスキーム自体が崩れている」「個別の路線の収支ということではなく…オール北海道という視点でやっていきたい」とのべました。
 道都札幌の市長として、JR北海道への財政問題も含めた抜本的な支援策を講じるよう国に求めるべきだと考えますが、いかがですか。また、全道の半分以上の路線を失うことは、道民のくらしとその産業基盤を大きく損ない、本市にも重大な影響を及ぼすことは明らかです。JR北海道に対し、「事業見直し」を白紙に戻すよう求めていく必要があると考えますが、いかがか伺います。そして、これらをオール北海道の声にしていくために、市長が積極的なイニシアチブを発揮すべきだと考えますが、いかがか見解を伺います。

 次は、子どもの貧困対策についてです。
 質問の第1は、急がれる対策についてです。
 市長は、第1回定例会で「子どもが生まれ育った環境によって将来を左右されることのないよう『子どもの貧困対策計画』を作成する」と述べられました。
 昨年度、計画策定の基礎資料とするための実態調査を行い、約9,000世帯から回答を得た「市民アンケート」、保育所・児童相談所など支援する側からの「支援者ヒアリング」、10代・20代の困難を抱えている若者の「座談会」など3つの方法による調査を行い、先日、その結果の報告を受けました。
 その報告の、課税世帯と非課税世帯を比較した部分では、「病院等を受診したほうが良いと思ったが受診させなかった経験があった」と答えた世帯は、非課税世帯のほうが多い傾向が明らかになりました。また、「相談機関や相談員に子育てや生活のことで相談したことがない」と答えた人のうち、区役所や家庭児童相談室・保健師などが行っている相談を「知らなかった」人の割合が非課税世帯のほうがより多く、セーフティネットにつながれない課題も明らかになりました。
 本市も、「非課税世帯の傾向として、心身の健康や周囲との人間関係、学習環境、参加・経験の機会など、さまざまな点で制約や困難が生じていることが見て取れる」と分析しています。
 市長がおっしゃる通り、子どもが生まれ育った環境によって将来を左右されることのないようにするべきです。
 「子どもの貧困対策計画」を今年度中に策定するとしていますが、その前にでも、急いでできることとして、就学援助や無料低額診療など今ある制度の周知と拡充をただちに進めるべきと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、すべての子どもを対象にした施策の実施についてです。
 今日の子どもの貧困は、かつての絶対的貧困と異なり、一見しただけでは、貧困とはわからないため周囲に気づかれにくく、それが対策の遅れにもつながり、事態を悪化させるという問題があります。
 本市においても、こうした「見えない貧困」を可視化し、支援につなげていくための対策の強化が急がれますが、同時に、その「見えづらさ」があるだけに、すべての子どもの健やかな成長を保障する施策の実施が、子どもの貧困対策として極めて重要になっています。
 「給食だけが唯一のまともな食事」という子どもが増え、本市の調査でも、子どもを病院に受診させなかった経験が「あった」と答えた多くが「お金がなかった」ことを理由にしており、深刻な実態が浮き彫りになっています。
 お金の心配をしなくても、すべての子どもたちに温かい食事と必要な医療などを保障することは、未来を担う子どもたちの健やかな成長を育む行政の責務だと考えます。
 そのために、子どもの医療費無償化の拡充と学校給食の無償化、保育料の第2子無料化の年齢制限撤廃を、最優先の財政措置を講じて市長の政治決断で実施すべきだと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第3は、子どもの自己肯定感を育むことの重要性についてです。
 2015年に策定した本市「第2次子どもの権利推進計画」では、「自分のことを好きだと思う子どもの割合」を2019年度には75%に引き上げる目標を立てています。自己肯定感を育むためには、周囲の大人が、子どもが発する意見・言葉や表情・しぐさなどからその思いを受けとめ、その子どもの最善の利益を考慮しこれに応えていくことが重要です。
 昨年の決算特別委員会で本市は、「子どもが意見を表明し、尊重される機会が多いほど自己肯定感が高くなる傾向が見られる」、「思いや気持ちが周囲の大人に受け入れられ、愛情を持ってはぐくまれるという経験や信頼関係は、成長し、自立していく過程の中で自己肯定感の向上につながる大変重要なもの」と答弁されています。
 一方で、保護者の長時間労働、深夜労働などが影響し、子どもと一緒に過ごす時間が取れない、疲れ切ってしまい自宅で静養するのがやっと、など、大人自身が子どもとゆったり向き合う時間を作ることが困難な状況があります。「疲れていて、つい子どもを叱ってしまう」、「子どもの話が『うるさい』と思ってしまう」という親の声はよく耳にします。子どもの思いやしぐさを周囲の大人が受け入れたくても、生活が厳しく身体的・精神的にその余裕が持てない状況があり、また、その傾向は所得が低い世帯に、より強く表れると考えます。
 市長は、子どもたちの自己肯定感を育むうえで、本市としてどのような施策が求められているとお考えか、また、貧困問題を解決することが、自己肯定感を育むことにつながると思いますが、いかがか伺います。

 次は介護問題についてです。
 質問の第1は総合事業についてです。
 本市は今年度から、要支援者の訪問介護と通所介護を介護保険制度本体から、各自治体が実施主体となる総合事業へ移行しました。要支援1,2の認定更新時にケアマネジャーが判断すれば、わずか25項目のチェックリスト判定で総合事業へと移行されることになります。しかし「広報さっぽろ」では「更新の手続きが簡略化される」との説明のみで、総合事業に移行されれば事実上、介護保険本体から外される点の説明はありません。
 この説明により「介護認定の手続きが簡略化され再認定は必要ない」と誤解して伝わる懸念がないのか伺います。
 また総合事業と介護保険制度の違いを市民に正しく理解できるよう説明し、納得したうえでサービスを選択できるようにすることが必要だと考えますが、いかがか伺います。
 さらに今国会で成立した改正介護保険関連法では、要介護認定率を低下させた自治体には交付金を増やし、逆に下げられない自治体には交付金を減らすという議論があります。この「財政的インセンティブ」により、意図的に総合事業へ誘導するなど介護サービス利用の打ち切りが進められることがあってはならないと考えますが、いかがか伺います。
 加えて、先行して総合事業を実施している自治体では、人員の基準緩和により地域ボランティアなどの無資格者がサービスを行えるようにした所もありますが、専門家が高齢者を継続してみることで、症状や心身の変化に気付き、介護計画の見直しや医師による対応につなげることができます。専門性を担保していくことが重要と考えますが、今後どのように対応していくおつもりか伺います。
 質問の第2は介護職員の人材不足と資格取得・研修への助成についてです。
 北海道の保健福祉局によると、2016年度の道内の介護福祉士の養成校20校の定員に対する入学者の充足率は45%であり、今年度は2校が新入生の募集をやめています。厚生労働省の推計では、介護福祉士などの介護職員が8年後には全国で約38万人、道内では約1万2,000人不足するとしています。
 現在、本市においても介護職員の人材不足の課題を抱えていると考えますが、将来さらに不足していくという懸念はないのか伺います。
 2016年度の厚生労働省の調査では、福祉施設介護員の平均月収は、全産業平均月収より約11万円も下回っています。
 また、ケアマネジャーの資格を取得するための試験と研修に6万7,700円の費用がかかります。しかも5年ごとに更新研修が求められ、約5万円の費用がかかることから、継続して働けない原因の1つになっています。介護職員の人材を確保していくために、現在少なくとも23の自治体で一部の研修と更新研修の費用を助成する制度があります。本市においても介護職員の資格取得などにかかる費用の助成を行うべきと考えますがいかがか伺います。

 次は都心アクセス道路についてです。
 昨年行われた都心アクセス道路の整備に対する新聞の調査では、反対が49%、賛成が32%、本市が行った市民アンケート調査でも賛否は拮抗しています。
 こうした結果は、自動車優先、道路偏重の政策と不要不急の道路建設を抜本的に見直して欲しいという市民要望の表れでもあります。
 質問の第1は、最新データに基づく検証についてです。
 昨年12月、国と道、本市との3者による「札幌都心アクセス道路検討会」が発足しました。この検討会では、アクセス道路の構造に関する概略と札幌駅交流拠点まちづくりを踏まえたバスターミナル等との接続検討、市民理解に向けた取り組みを進めるとしています。
 この検討会では、整備形態ごとの総事業費と維持管理費などが明らかにされるのか、また、都心部の自動車交通量の現況と将来見通しについて、その根拠となる最新データに基づく検証が必須であると考えますが、今回の検討会ではどのように検討をすすめていくのか伺います。
 質問の第2は、市民への正確な情報提供についてです。
 昨年、全国最大のバスターミナル「バスタ新宿」が東京に開業しましたが、国土交通省は「バスタ新宿」建設当初、同施設が面している国道20号線、甲州街道の渋滞は緩和されると説明しました。
 しかし、渋滞緩和の根拠となったデータ取得日が休日であったことが後から判明し、その結果「バスタ新宿」建設前には40mの渋滞であったものが、建設後には500mまで渋滞の列が伸び、交通情報や道路上の電光掲示板には渋滞の長さが800mから1kmに達する時もあり、「バスタ新宿」建設前からすると、20倍から25倍にも渋滞の列が伸びるという事態となりました。
 調査を実施した国土交通省・東京国道事務所は、休日分のデータを用いて「渋滞が緩和する」とした理由を「都合が悪かったので平日分のデータは公表しなかった」と説明し、正確な情報を隠蔽した事実を認めました。
 高規格道路や大型施設など、その建設の是非を判断する上では、市民への正確な情報提供はもちろん、都合の悪いデータが隠蔽されることはあってはならないことです。
 市長は、この間の議会で「道路のあり方を議論する際には、当然、これからの人口減少時代に将来に過度な負担を残してはいけないことから、費用対効果、事業のあり方、事業費の組み立てということもしっかりと考えていかなければならない」「市民には丁寧に分かりやすい説明と誤解のないような情報提供をしていくことも心がけていかなければならない」と答弁しています。
 今後は、市民が道路整備の必要性を判断する上で、正確な情報提供がいっそう強く求められますが、どのように対応されるおつもりなのか伺います。
 質問の第3は、道央圏連絡道路についてです。
 一般国道337号線、道央圏連絡道路は、千歳から長沼、南幌、札幌北部、石狩湾新港などを経由して小樽市に至る延長約80㎞の地域高規格道路です。
 1980年から建設工事が始まり、2019年の完成を目指し、現在、泉郷道路8.2㎞、長沼南幌道路14.6㎞、中樹林道路7.3㎞の工事が行われているところです。これまでの総事業費は3,029億円です。
 この道央圏連絡道路の沿線には空港・港湾・工業団地が集積しており、全線開通した場合には、新千歳空港、石狩湾新港、苫小牧港などからの農水産物の輸送の速達性向上や定時制確保による円滑な物流の効率化が図られると言われています。また、国土交通省は5月19日、農水産物の輸出を促進するための基盤整備事業の国内第1号として、石狩湾新港や苫小牧港、根室、紋別、枝幸、増毛の6港を一括で認定しました。
 国は、この新たな事業により2025年の石狩湾新港などからの農水産物などの輸出額を2014年比の2倍に増やすとしており、物流の動脈として道央圏連絡道路の活用がいっそう見込まれているところです。
 本市は、都心アクセス道路で期待される効果として、石狩湾新港などとの物流強化を図ることを一つの目的にしていますが、道央圏連絡道路との関係で、どのような物資が都心部に入ってくることを見込んでいるのか、物流の効率化という点では、不要の公共工事となる懸念はないのか、認識について伺います。
 また、道央圏連絡道路は物流の効率化のみならず、札幌市を中心に放射線状に伸びる一般国道とも連結されることで、札幌都心部の渋滞緩和、時間短縮等の高い効果も期待されていますが、本市は道央圏連絡道路の役割と本市への効果をどのように認識されているのか伺います。

 次に、教育の諸問題について質問します。
 質問の第1は、少人数学級の拡充についてです。
 2016年7月に文科省がまとめた「次世代の学校指導体制の在り方について」では、「教職員定数の充実」が必要不可欠として、「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」を策定する考えを示しました。「義務標準法の改正」など抜本的な教職員定数の充実が必要であること、また少人数教育の推進は、「重要な政策課題」との提言も出されているところです。
 まず、本市が国に対し、少人数学級を全学年に実施すること、教職員の定数増を図ることを、引き続き強く求めるべきだと考えますが、いかがか伺います。
 同時に、国の措置を待たず、本市独自の財政を使って少人数学級拡大を進めることも喫緊の課題です。
 新潟県や鳥取県などで全学年への35人学級が進んでいますが、県費移譲がスタートした今年度、政令市である千葉市でも、35人と38人学級を全学年で実施する決断をしました。各地方自治体が少人数学級のさらなる拡大に踏み出すことが、財務省を動かし、文科省の政策を後押しすることにつながります。
 2015年の第3回定例会のわが党の代表質問で、少人数学級の全学年への拡大について教育長は「望ましい」と答弁されています。文科省の動きも受け、全学年への実施に向けてさらに一歩踏み出すことについて、現在のお考えを伺います。
 質問の第2は、「次期学習指導要領」における小学校の授業時間数の増加についてです。
 国は、9年ぶりとなる学習指導要領の全面的な改訂を行いました。小学校については、来年度と再来年度移行期間と定め、2020年度から本格スタートさせるものとなっています。
 今回の「改訂」では、小学校3年生・4年生に外国語活動を導入し、5年生・6年生では現行の外国語活動から「外国語科」に変更し、英語授業が行われることとなります。
 これにより、小学校3年生の総授業時間数は945時間から980時間へ、小学校4年生から6年生はそれぞれ980時間から1015時間へと35時間も増えることになります。
 すでに、「次期学習指導要領に伴う授業時間増に備える」として、1時限目から5時限目まで「休み時間まったくなしの午前中5時間授業」を始めた小学校も、福岡県・東京都などで出てきています。休憩する時間もトイレに行く時間も取れない時間割では、子どもたちの楽しい学校生活が奪われてしまいます。
 35時間もの授業時間数が増えることは、教師と子どもたちとが向き合う教育環境に支障をきたすことになりかねないと考えますが、本市の認識はいかがか、懸念をお持ちではないのか、伺います。
 質問の第3は、教員の採用についてです。
 本市は「正規教員として優秀な人材を一人でも多く採用していく」との観点で、4月1日に採用するA採用と4月1日以降に採用するB採用という2段階登録制度を今年度から実施し、A採用290名、B採用28名としました。しかし、4月1日の時点で297名を採用することとなり、今後発生する長期休暇などに備えるはずのB採用枠を消化する事態となりました。
 実際の教員定数は学級編制を組んで初めて確定するものですが、A採用の枠すべてを使っても不足する事態は、採用の見通しに甘さがあったと言わざるを得ないと考えますが、いかがか伺います。
 そのことが影響して教員の定数が不足し、5月1日現在、「定数欠」による期限付き教員が396名となりました。昨年度が401名、一昨年度が417名、10年前の2007年度は386名と、毎年ほぼ400名という定数欠の期限付き教員の数はほとんど変わっていません。わが党は10年以上前から議会でこの問題を取り上げ、本市は「正規教員の採用を相当数増やすなどして、期限付き教員の減少に向けて可能な限り取り組む」などの答弁をしてきましたが、一向にこの傾向は変わっていないのです。
 こうした事態をどのように受け止めているのか、今後いっそう採用枠を拡大するなど工夫を要すると考えますがいかがか。期限付き教員を減らし、新規採用教員を増やすべきと考えますが、どのように対処されるのか伺います。

 最後は、将来を見据えたまちづくりについてです。
 本市は2016年、近い将来訪れるであろう人口減少下においても持続可能な都市づくりを進めるため、20年後の将来を見据えた都市づくり指針として「第2次札幌市都市計画マスタープラン」を策定しました。
 2014年に行った、都市計画マスタープラン見直しのためのアンケートでは、市民が居住環境に求めることは、買物や通院、公共交通の充実など「生活の利便性」が最も多く、回答者の約8割が「現在住んでいる地域に住み続けたい」と答えています。
 質問の第1は、新興住宅地における安全性・生活環境についてです。
 宅地開発が行われ、住民が増えていく過程で、様々な課題がうまれます。
 例えば、毎日の生活でゴミがでるけれども、ゴミステーションがない。子どもが通学する道路に横断歩道がない。交差点に一時停止の標識がないため事故が多いなど、住み始めた住民にとっては、放置できない問題です。
 子育て世帯は、子どもたちが横断歩道や一時停止のない道路を、歩いて学校へ通うのですから、とても心配です。地域にとっては重大な問題なのです。
 本市には、町内会からの要望を受け、支援する窓口はありますが、若い世代は、町内会活動の経験がない場合が多いのに、町内会づくりから始め、町内会として要望を出さなければなりません。急いで何とかしたいと思っても、どこに相談していいのかわからないのです。
 新興住宅地での安全性・生活環境の課題を、本市が早急に解決するしくみをつくる必要があると思いますがいかがか伺います。
 質問の第2は、公共交通の役割についてです。
 本市のマスタープランの一部である、立地適正化計画では、今後、地下鉄やJRに近い地域を基本に、共同住宅などを駅周辺に誘導する区域を設けると同時に、開発時期の古い郊外住宅については、今後も生活・交通利便性を確保しつつ郊外での暮らしを支える課題解決を図るとしています。
 国も、交通空白・不便地域の解消を図るため、コミュニティバスの導入についてガイドラインを作成しているように、住み続けたい、住み続けられる地域であるためには、公共交通が果たす役割はきわめて大きなものがあります。
 本市には、交通不便地域が多数存在しています。
 南区藤野では、じょうてつバスが循環バス「ふじのーる」を運行しており、買物や通院に乗り換えなしで移動できるため、住民から喜ばれています。
 とりわけ、郊外地域において、誰もが安心して暮らせる街づくりには、本市が積極的に住民の要望を聞くことと同時に、バス会社と連携するなど、市民の足を確保することが求められると思いますがいかがか伺います。
 東区では、東雁来地域西側の拠点となってきた三角点通りから、1996年に区画整理事業が始まった「東雁来ウエルピアひかりの」までの札苗地域があります。
 「ウエルピアひかりの」は、事業前450人だった人口が、2015年には5,000人を超えており、30代半ばの子育て世代、働き盛りの世代が、多く移り住んでいます。
 都心に向かうバスがあり、通勤に利用されていますが便数は不十分です。帰宅のバスは最終が札幌駅発20時台に1本あるのみで、残業をすれば最終バスに間に合わないという状況です。
 公共交通で帰宅しようとすれば、地下鉄に乗り、三角点通りを通過するバスに乗り換え、その先、徒歩で帰宅するしかありません。
 地域住民から、三角点通りにでるバスがほしいとの声があがっています。
 コミュニティバスが地域を循環すると、若い世代は通勤に、周辺に暮らす高齢者など住民は、三角点通りまで出ると、買い物ができ、病院、金融機関、まちづくりセンターがあり、地下鉄に向かうバスもあります。車に頼らない生活が可能となります。
 コミュニティバス、もしくは既存のバス路線で三角点通りを経由するコースの増便など、必要だと思いますがいかがか伺います。そうした対応が、本市がめざす、誰もが住み続けられるまちづくりの柱として、必要だと思いますがいかがか伺います。

 以上で私の質問のすべてを終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で6項目にわたりご質問いただきました。私からは1項目めの政治姿勢に関するご質問、2項目めの子どもの貧困対策について、お答えをさせていただきます。その余のご質問に関する答弁は、担当の吉岡副市長、岸副市長、長岡教育長の方からご答弁させていただきます。
 政治姿勢についてのご質問のうち、首相の改憲発言についてでありますが、国の最高法規であります憲法のあり方につきましては、様々な意見があり今後とも憲法審査会を含めた国会において議論を深めていくものと認識をしております。また、憲法改正に関しましてはその必要性や内容について、国民の理解を得ることが欠かせない事であり、これまでもお答えをしておりますけれども、慎重かつ十分な国民的議論が必要であると考えているところであります。
 2点目のJR北海道の事業見直しについてであります。都市間距離が長く、広域分散型の北海道におきましては、鉄道の他、バス、航空機などそれぞれの公共交通機関の特性を生かしながら相互に補完していく事が重要であると考えております。そのなかでも鉄道は大量かつ長距離移動の速達性に優れており、道内の経済・観光・生活を支える上で重要な交通機関であると認識しているところであります。このことからJR北海道の事業見直しによる路線の廃止は、の移動や物流手段の変更につながり様々な面において影響がでる可能性があり、札幌には道内各地から人と物が集積をしている観点から代替手段のあり方によっては、札幌市の経済と観光にも影響がでる可能性があるとものと考えているところであります。したがいまして、事業見直し路線の沿線自治体だけの問題としてではなく、北海道全体の交通ネットワークのあり方の問題としてとらえ、私も一員であります北海道市長会として議論をし、JR北海道に対して北海道の鉄道路線網の維持、確保などを求める要請を行っておりますほか、国に対して財政支援を含めた対応を要請しているところであります。今後とも北海道全体の問題として引き続き取り組んでまいります。
 2項目の子どもの貧困対策についてお答えをいたします。
 1点目の急がれる対策と2点目のすべての子どもを対象にした施策の実施についてであります。
 これまでも児童養護施設等入所児童への進学や就労の支援、生活保護受給世帯等への学習支援など子どもの貧困対策として実施可能な施策につきましては計画の策定を待たずに取り組んでまいりました。また、実態調査の結果からは困難を抱える世帯ほど、必要な政策等の情報を得られていない傾向にあることが確認されたところであり、制度や施策の周知にはこれまでも力を入れてきたところでありますけれども、必要な情報を確実に届けられるよう、より効果的な方法について検討してまいりたいと考えております。今後とも乳幼児期からの切れ目のない支援の実現にむけて全庁あげて実効性のある施策の推進に取り組む所存であります。
 次に子どもの自己肯定感を育むことの重要性についてです。
 自己肯定感は、子どもの健やかな成長や将来の自立に深く関係する重要なものと考えますが、その向上のためには子どもを安心して産み育てられる環境の整備から子供の主体的な参加や成長を促す取り組みの充実にいたるまで幅広い施策の展開が必要と認識をしているところでありまして、中でもいじめ、虐待の防止や子供の貧困対策など子どもの安心と生活を守る取り組みは自己肯定感の向上にもかかわる重要な施策と考えているところであります。
 私からは以上です。

吉岡副市長 答弁

 私からは4項目の都心アクセス道路についてお答えいたします。
 最新データに基づく検証についてでございます。
 国、道、及び札幌市からなる検討会では、今後、構造の概略などについて検討を進める予定であり、その進捗に応じて概算の事業費なども適宜お示ししてまいります。また、構造の概略検討にあたりましては、現況の交通量や将来の推計交通量などを踏まえながら進めてまいります。
 つぎに、市民への正確な情報提供についてでございます。
 市民の皆様には検討会の進捗に応じて適宜情報提供を行い、十分な理解を得られるよう進めてまいりたいと考えているところです。具体的な情報提供の内容やその手法につきましては、国や道などの関係機関と連携しながら十分に議論を重ね、市民の皆様をはじめ広く道路利用者の皆様に対しまして的確なわかりやすい情報を発信するよう努めてまいります。
 つぎに道央圏連絡道路についてです。
 道央都市圏の都市交通マスタープランでは、道央圏連絡道路は、外郭の都市を相互に結ぶ連携道路として、創成川通りは、都心部と石狩方面を結ぶ放射道路として、それぞれ骨格道路網に位置づけられているところでございます。
 道央圏連絡道路は、札幌市を中心として道央圏の周辺市町間を横断的に結ぶ交通体系を形成することによりまして、札幌市内へ流入する通過交通の抑制をはかるとともに、物流の効率化や地域の連携を促進するものでございます。一方、創成川通りは商業施設や宿泊施設などが集積する都心へアクセスし、都市活動を支える多様な物流も担う重要な道路でありますことから、その機能強化は必要な取り組みと考えているところであります。
 私からは以上です。

岸副市長 答弁

 私からはご質問の3項目めの介護問題について、6項目めの将来を見据えたまちづくりについての2点にお答えいたします。
 介護問題について、1点目の総合事業でありますが、市民への説明については更新手続きにおいてチェックリストによる確認とするか、要支援認定を受けるかはご本人の選択によるものでありまして、利用者が制度の内容を十分に理解した上でサービスが選択できるよう丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
 つぎに、財政的インセンティブにつきましてはまだ詳細が決まっておりませんので本市といたしましては、国の動向を注視するとともに適正なサービスが引き続き利用できるよう国に要望してまいる考えであります。
 つぎに、専門性の担保についてですが、今後は専門職によるサービスに加え、利用者のニーズに応じた多様な担い手等の活用を含め柔軟な制度設計について十分検討してまいりたいと考えております。
 2点目の介護職員の人材不足と資格取得、研修への助成についてであります。
 介護職員の人材不足についてでありますが、平成28年度に実証しました介護保険サービス提供事業者調査で常勤職員が計画通り採用できていないと回答した事業所が、前回調査に比べて増加をしておりまして、将来的な介護人材の不足が重要な課題と認識をしております。
 つぎに、資格取得などにかかる費用の助成についてですが、介護人材の確保については、資格の有無を問わず多様な人材を集めていく取り組みが重要と考えておりまして、関係団体の意見なども踏まえ、効果的な方策の検討をしてまいりたいと考えております。
 つぎに、6項目めの将来を見据えたまちづくりについてです。
 1点目の新興住宅地における安全性、生活環境についてです。
 新興住宅地では、住民が増えていく過程におきまして日常生活全般に渡り、複雑かつ多様な課題が数多く生じており、特に町内会等の組織化が進まない地域では課題の解決に苦与することが多く見られるところであります。札幌市としては、こうした課題の解決にあたり、今後も、区やまちづくりセンター等が中心となって、きめ細かく地域の情報収集や状況把握に努め、必要に応じて関係機関と連携しながら町内会等の組織化への支援も含め、適時適切に対応してまいりたいと考えております。
 2点目の公共交通の役割についてであります。
 郊外地域における市民の足の確保でございますが、路線バスは、買い物や通院等の際に地域の足として重要な役割を果たしているものと認識しております。このため不採算路線の廃止等により市民生活に大きな影響が出ることのないよう地域の状況を把握するとともに、赤字バス路線に対する補助等を実施いたしまして、市内路線バス事業所と連携をはかりながら市民の足の確保に努めているところであります。

長岡教育長 答弁

 5項目め教育の諸問題についてお答え申し上げます。
 1点目の少人数学級の拡充について、国への要請と少人数学級の拡充についてでございます。
 少人数学級については児童生徒に対してきめ細かな指導を行ううえで有効であると認識いたしております。しかしながら義務教育の一定水準の確保は国が保障すべきものであり、少人数学級の拡充について、引き続き様々な機会を通じて国に要望してまいりたいと考えております。
 2点目の次期学習指導要領における小学校の授業時間数の増加についてでございます。
 学習指導要領は、学校教育法等に基づき教育の内容及び方法についての基準を定めたものであり、各学校はこれに沿って教育課程を編成し実施するものであります。
 次期学習指導要領における小学校の総事業時数の増加については、今後、移行期間の対応も含め文部科学省から通知される予定であり、その内容をふまえ適切に対応してまいりたいと考えております。
 3点目の教員の採用について、採用の見通しと期限付き教員についてです。
 教員の採用数は、前年度の早い段階に翌年4月の児童生徒や退職者の推計などをもとに決定しております。一方、学校において必要な教員数は4月の児童生徒数が決まることで初めて確定することから、すべてに正規教員を配置することは困難であり、一定程度の期限付き教員が必要となるものでございます。しかしながら安定継続した学校運営のためには、正規教員を一人でも多く配置することが重要と認識しており、これまでも新たな登録制度を導入するなど正規教員の確保に取り組んできたところでございます。今後も中長期的な視点に立ち、これまで以上に計画的な正規教員の採用に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

太田秀子議員 再質問

 再質問に入る前に、改憲の問題についての答弁に一言申し上げたいと思います。
 昨年9月の議会でも、市長は国民的議論が必要だと自らの見解を明らかにされませんでしたけれども、今回も同じ答弁でした。しかし、事態は昨年よりもずっと進んでいるのです。自衛隊制服組トップの河野統合幕僚長が、首相が自衛隊の存在理由を憲法9条に書き込むという会見に対して、自衛官として非常にありがたいと思うと発言してとても大きな問題になっております。これは過去に軍部の暴走が招いた戦前の深刻な歴史をみない発言です。この憲法尊重擁護義務違反は大変なことです。このような時に、市長自ら声を上げていくことが必要だと思います。
 それでは再質問に入ります。介護問題と子どもの貧困についての2点質問いたします。
 介護問題についてです。専門職に加えて資格のある方、ない方も含めて人材の確保をしたいと答弁されましたが、必要な人に専門性が行き渡ることが大事であり、総合事業がはじまり、利用者と家族が今までと同じサービスが受けられるのか、専門性が担保されるのか心配しております。
 私は母の介護を経験しており、母は身の周りの事や家事など、だんだん困難になって参りました。料理をすることが好きでしたので掃除や買い物などの介護サービスを受けて、何とか台所に立つことが出来ました。私たち家族は、本人の意向を優先して何でもやってあげたいと頑張るのですが体調の変化はなかなかわからないので、かえって本人が疲れてしまうという事がありました。しかし、ヘルパーさんが家事援助をしながら、この薬は飲みづらそうだとか、そろそろ酸素が必要ではないかとか、母の些細な変化を見逃さず医療につないでくれました。専門性をもって介護する大事さを実感して、母らしい生活を維持することが出来ました。家事援助がボランティアに移行されますけれども、事業者の意見を聞きながら介護の専門性を担保することが重要だと思いますけれども改めて認識を伺います。
 また、サービスを受けている人に現行サービスを継続することは、本人や家族にとって大切だと思いますがいかがか伺います。
 2点目は子どもの貧困についてです。調査で支援策の情報が届いていないところに届けていく、そのような検討をしていくなど答弁がありました。
 本市がおこなった調査で、6割の世帯が家計が苦しいと答えています。私は先ほどの質問では調査結果の数字には触れませんでしたけれども、この設問に回答している約5800人中、1074人が病院を受診した方が良いと思ったが受診させなかった経験があると答えています。そのうち30%近くが、お金がなかった、保険証がなかった事を理由にあげております。家族が必要とする食料が買えなかったことがよくあった、時々あった、まれにあったと答えている方が999人です。冬に暖房が使えなかった事があったと答えた方は474人です。
 調査は課税世帯と非課税世帯を比較したものが多いですけど、今、お話しした設問に対し、あったと答えている中に少なくない数に課税世帯も含まれているのです。この結果は貧困と隣り合わせで、不安を抱えている世帯が多く広がっていることだと思うのです。ですから貧困対策は、貧困に陥った人をどうするかという視点では狭くなります。貧困に陥らないようにするための施策が急がれるのです。
 例えば、就学援助制度を受けられる世帯を増やすなど今ある制度の拡充や子どもの医療費無料化は1学年4億円でできますし、小中学校の給食費無償化は70億円弱でできます。これらの施策は可処分所得を増やす、つまり世帯が消費に使えるお金を増やすことになります。今年の冬は暖房が使えず震える子どもがいないように、お金の心配をせず病院に行けるように財政措置を講じて最優先で実施して欲しいのです。
 もう一度伺いますが、子どもの貧困対策計画待ちにならず、今ある制度の拡充など、財政局をはじめ各部局と連携して、最優先の課題として施策を講じる必要があると思いますがいかがか伺います。

秋元市長 答弁

 2点にわたり再質問いただきました。
 私からは子どもの貧困の問題についてお答えいたします。
 子どもの貧困の問題に対する調査を初めて札幌市がおこないました。回答をいただいた調査結果の中から見えてくる課題は様々な観点が必要になってまいります。そういう意味では調査結果に基づく課題をしっかりと検討したうえで、今年度中に作成をする計画の中でしっかりと議論をしていきたいと考えております。

岸副市長 答弁

 私からは介護問題に関する再質問にお答えいたします。
 専門職によるサービスの提供についてのお尋ねかと思います。
 私どもといたしましては、要支援者に対するサービスの提供にあたっては、総合事業に移行した後も本人の心身の状況や生活状況に即したものであることが重要と認識しております。
 身体介護や健康面の観察を要する方など、専門職によるサービスが必要な方には適切なサービスが提供できるようにしてまいりたいと考えております。以上です。

太田秀子議員

 私は今日の代表質問で、どの分野でも市民の実態に合った、市民の要望に応えた市政をして欲しいと求めました。市長の役割として、市民から切実に求められているものと思います。市民のくらしの中で最も困難なところを優先し、急いで財政措置すべきと求めて私からの質問を終わります。