私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております、議案7件中、議案第1号、第2号、第5号、第7号の4件に反対、残余の議案3件に賛成の立場で、討論を行います。
 一般会計決算の歳入は、9,885億2,600万円、歳出は9,810億7,000万円でした。
 歳入から歳出を引いた形式収支は74億5,600万円、翌年度への繰り越し財源、29億8,000万円を引いた決算剰余金は44億7,600万円となりました。
 剰余金については、北海道胆振東部地震で被災された方々への復興支援や、20政令市中、最も低い本市の市民所得の現状を踏まえた、社会保障や子育て等の負担軽減に資する施策に使うべきでした。

 議案第1号「各会計、歳入歳出決算認定の件」に反対する理由の第1は、市民文化局や保健福祉局などの事業に、マイナンバー関連費3億7,354万8,000円が含まれているからです。
 マイナンバー制度は、市民の個人情報の流出を完全に防ぐ手だてはなく、危険です。また、保守管理や維持、セキュリティ対策などに、今後も莫大な費用をかけ続けることになるため、やめるべきです。
 理由の第2は、創成川通、機能強化検討調査費1,054万1,864円が含まれているからです。
 国の計画段階評価(北海道地方小委員会)が2018年7月に開かれ、同年10月~11月にかけて、国が5万人のアンケート調査を実施しました。
 間もなく1年が経過しますが、その調査結果はいまだ公表されていません。地域住民はもちろん、周辺自治体にも依頼したものであり、その調査結果に基づき十分時間をかけた議論が必要です。本市は国に対し、早急な公表を求めるべきです。
 また、豊平川の特徴は、大都市の都心部を流れる河川としては、例を見ない急流河川であることです。
 したがって、増水時の激流による破壊力は計り知れず、氾濫の危険性が極めて高いと言われています。そのため、北海道開発局も「豊平川氾濫シミュレーション」のDVDを作成し、豊平川の特徴とその危険性を周知しているのです。
 近年、地球温暖化に伴う経験のない集中豪雨、勢力の強い台風が増加し、各地で甚大な被害が続いています。
 都心アクセス道路の検討をすすめる北海道地方小委員会の委員には、気象防災キャスターが任命されており、気象・防災の専門家の意見は、いっそう重要です。
 本市の役割として、豊平川の特殊性を国や道に対して、積極的に情報を提供し、地方小委員会での議論を働きかけるべきです。

 理由の第3は、札幌市ICT活用戦略事業費5,027万6,075円、地下空間におけるICT活用実証実験事業費3,632万8,496円が、含まれているからです。
 ICTの官民による活用を促進するために、行政が持つ情報や、実証実験で得られたデータ等を収集し、連携する共通基盤の構築をしようとするものです。
 ビックデータに一括することは、情報漏洩の危険も増すことになり、個人情報の流出の可能性と、その悪用が懸念されるため、反対です。

 理由の第4は、札幌市職員定数条例が改正され、職員定数が減らされたからです。
 教育現場では、用務員を32名減らし、学校業務員を20名、さらに学校給食の委託化で9名減らしました。
 福祉現場では、執行体制見直しにより、生活保護業務で12名減、国民健康保険業務で3名減を行いました。医療や福祉分野の業務と役割は、ますます重要となる中で、その仕事に携わる職員は、減らすべきではありません。

 理由の第5は、新さっぽろ駅周辺地区まちづくり推進費9,380万5,013円が、含まれているからです。
 この推進費は、副都心団地7号線の拡幅に向けて、JR北海道の擁壁新設工事に関わる、調査設計の委託費や、道路の拡幅に伴う、用地買収に向けた確定測量にかかる費用などです。
 この地区は、新さっぽろ駅に隣接した利便性の高い市有地であり、売却すべきではありませんでした。しかも、売却にあたり市民への情報提供と、説明は極めて不十分でした。
 理由の第6は、「広域行政推進費」として、連携中枢都市圏構想を促進するためのものだからです。
 連携中枢都市圏構想とは、国が、人口減少・少子高齢化を理由に、都市部周辺自治体の、公共施設・行政サービスの拠点を「集約化」するものです。
 公共施設、サービスなどを統廃合、集約化すれば、周辺自治体の住民サービスは大幅に後退し、地方衰退を加速させる懸念があり、認められません。

 議案第2号「病院事業会計認定の件」に反対する理由は、2017年12月からの8階東病棟休止に伴い、看護師を1名減らし、また給食業務の全面委託化に伴い、職員を2名減らしたからです。

 議案第5号「高速電車事業会計決算認定の件」に反対する理由は、地下鉄東豊線ワンマン化に伴う、高速電車車掌を2名削減したからです。

 議案第7号「下水道事業会計 余剰金処分及び、決算認定の件」に反対する理由は、東部、定山渓、厚別の水再生プラザの、総括管理業務を民間委託するための、1億2,055万2千円の、債務負担行為を行ったためです。この委託化に伴い、13名の人員定数削減も行いました。民間に委託すれば、本市職員の技術力の維持・向上や、人材育成が困難になることから、反対です。

 次に、代表質問並びに決算特別委員会で取り上げた諸課題について、局別に申し述べます。

 総務局です。
 会計年度任用職員制度についてです。
 国の法改正により、新たに会計年度、任用職員制度が新設されました。
 任用期間を一会計年度内、最長1年と明記したことは、行政による雇い止めを可能としていくものです。本市は、3年の任用更新を可能としましたが、更新されない場合もあることが,明らかになりました。
 本市の判断でできる、任用期間や昇給などの労働環境の整備は独自に検討し、改善すべきです。

 職員人事についてです。
 本市の福祉職場における職員の専門性は、重要な課題となっており、代表質問で取り上げました。
 高齢化の進展に伴い、生活保護世帯における、高齢者の割合が増えており、保護課ケースワーカーの8割以上を20代、30代の若い職員が占めている問題や、児童相談所における児童福祉司の経験年数が、1.59年と極めて経験の浅い職場集団である問題を指摘しました。
 本市は、「専門性を重視した人事配置を行うことも重要」とし、「特定の分野の中での人事異動についても考慮」することに努めたいと答弁されました。
 委員会では、新採用職員の約75%が各区の保健福祉部への配置となっており、45%が保護課へ配置されていることを明らかにしました。
 本市は、「専門性の高い人材育成は重要」と答え、育成について、「過去に経験のある所への、中堅・ベテランの割合を高くすることは効果的」と答弁されました。
 専門性を要する職場は、4年~6年という画一的な配置ではなく、十分な考慮を求めます。

 まちづくり政策局です。
 北海道新幹線札幌延伸についてです。
 JR北海道によりますと、北海道新幹線の2017年度、乗車率は26%であり、2018年度全線区の営業損益は、550億円、5年連続の赤字です。
 JR北海道は、赤字を理由に地方路線を切り捨て、10月からは札幌市内の乗車料金が、最大3割以上も値上げされました。
 北海道が試算した経済効果について質したところ、「札幌まで延伸されてこそ、効果は発揮される。効果予測は妥当」と答弁されていますが、新青森・新函館北斗間開業から3年、見通しを超える巨額の赤字は検証されないまま、札幌延伸工事が進んでいることに、市民から疑問の声が上がっています。経済効果の過大な見通しをあらため、本市独自の検証が必要と申し上げます。
 札樽トンネル工事による、掘削土のうち5割は、ヒ素や鉛を含む要対策土と言われています。要対策土は、受入地の問題や、将来にわたる課題が山積みであり、札幌だけでは解決できない問題です。「市民の安全安心の確保が大前提であり、住民の皆様のご理解なくしては進めることはできないと認識している」との答弁を堅持すること、あわせて国に対し、住民の納得がないまま工事をすすめることのないよう、申し入れるべきです。

 旧白石区役所跡地の活用についてです。
 この跡地は、約1万8000平方メートルの広さで、交通アクセスも良い場所であり、地元の団体等から、白石区の若者活動センターを跡地につくってほしい、という要望も出ています。
 市の東側には子ども支援の施設がないことからも、本市が設置を検討している第2児童相談所とともに、子どもから若者までの支援と、市民が交流できる複合施設をつくる提案をしました。
 市長は答弁で「様々な視点から、利活用に向けた検討を引き続き進めている」と言っていますが、民間への売却ではなく、市民のため活用すべきです。

 財政局です。
 公契約のあり方についてです。
 本市は、公契約のうち、施設清掃などの役務契約では、業務従事者への、支給賃金状況報告を、義務付けていますが、工事契約では報告義務がありません。
 北海道は建設工事に従事している労働者が、受け取るべき賃金として定められた「公共工事設計労務単価」を基準に実態調査し、下回っている場合には、改善要請しています。同様の実態調査を本市もすべきです。
 清掃業務での総合評価落札方式における、支給賃金の評価項目について、今年度より下限額がより高い提案が評価されるよう見直したとのことでしたが、入札全体の11.6%に過ぎません。
 建物清掃業務従事者へ、実際に支給されている賃金が5年以上にわたって、国が定めた労務単価より下回っている実態があり、公契約で働くすべての労働者が受け取るべき賃金が支給されるよう、早急に入札契約制度の改善を図るべきです。

 保健福祉局です。
 介護保険についてです。
 介護人材不足は全国的な問題で、また全産業平均より8万円も低い賃金で、改善への要求も切実です。本市も介護人材確保は、「良質な介護サービスを,安定的に提供していく上で、重要な課題である」と認識していることから、本市独自の支援策に取組むべきです。また、経済的理由で必要な介護保険サービスを受けられない人は、なくすべきです。

 国保における一部負担金減免制度についてです。
 厚労省が2010年9月13日に、各都道府県に出した通知に基づくQ&Aでは、「滞納の有無にかかわらず、一部負担金減免を行っていただきたい」と記載されています。
 「保険料を滞納していると、一部負担金減免制度は利用できない」とする本市の要綱は問題です。高すぎる国保料のもとで、医療費の支払いが困難になった市民に滞納があっても、一部負担金減免制度を利用できるよう、要綱を改めるべきです。

 在宅ガン患者支援についてです。
 全国では在宅がん患者支援として、医療用ウィッグなどへの費用助成を実施しています。また、介護保険を使えない40歳未満の方に、在宅療養の際の住宅改修、介護用ベッドのレンタルや、購入補助などが行われています。
 本市でも、在宅ガン患者支援への独自の助成制度を検討すべきです。

 子ども未来局です。
 民間学童保育所についてです。
 児童が10人未満となると市の助成が打ち切られ、再登録ができない問題を取り上げました。「検討していきたい」、との答弁でしたので、早急な実現を求めます。
 また、低所得世帯等が経済的理由で選択できないということがないよう、利用料のさらなる軽減と、国の助成事業を活用した民間学童保育所の耐震化を求めます。

 幼保無償化の、保育所副食費についてです。
 10月からの保育料無償化で、給食副食費が以前の保育料よりも増える「逆転現象」が起きる世帯は、本市では26世帯あることがわかりました。実費徴収に関わり、保育士への事務負担が増えることを指摘し、他自治体では全額や一部助成をしていること、本市では6億円ほどで3歳以上の副食費助成ができることから、子育て支援として負担軽減を実施すべきです。

 児童相談所についてです。
 児童福祉司の平均経験年数が、1.59年とのことから、経験を積み高い専門性を有する機関とするためにも、人事異動年数を考慮し、年齢や経験などバランスが必要です。また、事案を検討し決定をしていくのは管理職であることから、課長など管理職も専門性が求められます。
 答弁では「人事異動について考慮する、専門性を育む重要性を認識している」とのことでした。また、医師の配置についても、現在「子ども発達支援総合センターちくたく」との兼務であり、専任で配置することが必要です。
 子どもたちの命と権利を守るためにも、児童相談所の体制、増員、専門性を高めるため必要な予算措置をとるべきです。

 経済観光局です。
 コミュニティ型建設業創出事業についてです。
 地元中小建設業の支援策であるこの事業は、市民からもよろこばれており、本市も「多くの市民や企業に知っていただくことが重要」であると、答弁されています。
 「広報さっぽろ」のリニューアルによって、コーディネート事務局が主催する「セミナー・相談会」が掲載されなくなり、参加者が激減し、中止せざるを得なくなる事態をうんでいます。本市がかかわっている事業であり、今後も広報さっぽろへの掲載を求めます。

 観光・宿泊税についてです。
 市民が宿泊した場合や、観光目的ではない場合はどうするのか等、様々な課題があることが明らかになりました。税を徴収することは非常に重たいことであり、実施しないということも判断のひとつであります。

 環境局です。
 地球温暖化防止と再生可能エネルギーの取り組みについてです。
 本市は、CO2排出量を1990年比で2030年に25%、2050年には80%削減する目標を掲げています。  
 住宅エコリフォーム助成制度や、札幌エネルギーエコプロジェクトの補助制度の予算を増やし、市民への周知と利用拡大をすすめ、CO2削減効果の高い公共施設の改築を行い、目標を上回る取り組みを早急に進めるべきです。

 建設局です。
 地域が望む除排雪についてです。
 パートナーシップ排雪制度に対し、複数の町内会から地域負担の見直し等の要望書が提出されています。本市は負担軽減策として、本制度の実証実験を行っていますが、それは道路に雪を多く残すといった方法であり、災害時や高齢者の外出抑制、介護送迎者の事故・トラブルなどの懸念があり問題です。また、苦情の多い間口処理など、市民の期待に応えるため予算を拡大することを求めます。

 通学路の安全についてです。
 2012年の調査では、95校から237か所の危険個所が確認されたにもかかわらず、対応策の多くが「児童への指導」で済まされており、きわめて不十分でした。
 交通事故から子どもたちを守るためには、信号や安全柵など、物理的手段が必要です。本市独自で予算措置を行い、国へも交通安全の補助事業費を増やすよう、要望することを求めます。

 都市局です。
 民間建築アスベストについてです。
 今年3月時点で、吹き付けアスベストがあるとわかっていながら対策されていないところが138棟あり、アスベストの危険性や除去等の必要性、補助の活用を伝えるため、直接訪問すべきです。また、無料の調査診断とアスベスト除去等補助金の制度を、国が来年度末を期限にしていることに対し、継続するよう国に要望していくことを求めます。

 交通局です。
 南北線さっぽろ駅改良事業についてです。
 地下鉄南北線札幌駅は市内で一番の混雑駅で、開設当時の乗車数見込みから、現在は1.4倍に増加しております。真駒内方面の路線は、今後も観光客やビジネス客での利用が増えると思われ、可能な限り大きなホームにしておく必要があります。
 また、南北線さっぽろ駅に次いで、ラッシュ時の混雑度が高い東西線大通駅も、本市の将来人口推計や観光客の移動の増加もあることから、島式から相対式ホームへ改良することを検討すべきです。

 最後に、教育委員会です。
 就学援助制度についてです。
 対象費目について、国が今年3月、卒業アルバムと卒業記念写真の購入費を追加するとしたことから、本市も支給すべきと求めました。本市の試算で、小学校中学校の卒業アルバムと写真にかかる費用は4,000万円です。子どもへの支援は早急に実施すべきです。

 高等学校生徒通学費助成制度についてです。
 昨年度から始まったこの制度は、定期代で月1万3千円を超えた半額を、助成するものです。
 高校生の通学費は、月6千円~7千円台が一番多く、その2倍である基準を引き下げ、受けられる学生を増やすべきと求めました。また、学区外への拡大と、助成の割合も増やすべきです。

 ALTについてです。
 ALT、外国語指導助手は、今年度、請負契約から派遣契約へ変わりましたが、待遇面を見ると、3月4月は収入が9万円以下になるなど、JETとNON-JETで格差があります。待遇を改善し、優秀な人材を確保するために、直接雇用をすすめるべきです。
 以上で、私の討論を終わります。