私は、日本共産党を代表し、議案第3号「訴えの提起の件(議員除名処分取消等請求事件の判決に対する控訴)」に、反対の立場で討論を行います。
 本議案は、松浦氏の除名処分取消を求める裁判で、6月22日に札幌地裁より「除名は違法」との判決が出され、これに付随する議員報酬及び期末手当の支払いに係る部分について 札幌高等裁判所に控訴するものであり、本市議会の判断に起因するものです。
 昨年6月21日、本市議会において、本人を除く67名による記名投票で採決を行い、「除名が妥当」とする決定を賛成56、反対11で可決しました。
 私ども日本共産党は、懲罰を科すべきだと考えるものの、懲罰内容を最も重い「除名」とすることには反対いたしました。
 投票前の本会議討論で、除名処分とした会派から「弁明や謝罪は、場当たり的であり信用できない」等が述べられましたが、「場当たり的かどうかなど、心の中まで測ることは不可能」であり、議会の裁量の範囲を超えるものであること。また、懲罰特別委員会の審議は「5月13日の議場で起きたこと」が、判断の対象であることを述べ、議会を混乱させたことについて、明確に陳謝した事実を受け入れるべきであること。さらに、司法は「除名によって、議員の資格をはく奪することは、他の処分と違って必要な限度を超えていないか、特別に慎重な対応」を求めていることなどから、客観的事実に基づいて判断されるよう、議員のみなさんに訴えました。
 このたびの地裁の判決では、「予定された議事はすべて行われ、結果として、流会する事態には至らず、市民生活への重大な影響は具体的に生じていない」、「臨時議長解任後、約30分間議長席に居続けた点も、その間に議長を選任できており、結果として、重大な影響は生じなかった」、「臨時議長として正常に議事を進行しなかったことを超えて、臨時議長解職前に議長席を退かなかった点を捉えて、原告の言動が殊更に悪質であると評価することは相当でない」、「ワイドショー等で放送されて札幌市議会の品位を貶めた、原告の弁明や謝罪が信用できない、土下座もパフォーマンスである、との指摘は、本件一連の言動そのものの悪質性を示す事情とは言い難い」としました。
 その上で、「議員としての身分を喪失させるべき程度にまで悪質性の高い懲罰事由であるということはできず」、「除名の懲罰を科すことは重きに失すると評価することとなる。したがって、本件除名処分は、社会通念上著しく相当性を欠き、議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものであって、違法である。」としたのです。これは、本市議会における懲罰のあり方を鋭く問うものです。
 議員の資格をはく奪し、選挙で市民が託した1票をも否定する「除名」とは、いかに慎重でなければならないかを、あらためて確認した司法の判断を重く受け止めるならば、控訴すべきではありません。よって議案第3号は反対です。
 以上で、私の討論を終わります。