20121210 私は日本共産党所属議員を代表して、ただいま議題となっております議案25件中、議案第1号、第5号から第7号、第13号、第18号から第20号、第22号、および第23号の10件に反対、残余の議案15件に賛成の立場で討論を行います。 
 新年度の一般会計予算は、補正予算を加味すると8686億2800万円となり、今年度よりも104億7900万円1.2%の増となっています。このため、一般会計は、この5年間で今年度を除いた4年間、増え続けていることになります。
 また特別会計と企業会計を加えた全会計では、1兆4737億3000万円で、今年度よりも246億100万円1.7%の増となっています。
 歳入についてですが、市税は2701億円で0.5%の増。地方交付税は900億円で8.1%の減。臨時財政対策債は過去最高の645億円と、13.4%の増で、交付税が減った分、臨財債が増えています。
 全会計での市債残高は、1兆7534億6600万円と、10年連続で減少させています。
 議案第1号 一般会計予算に反対する理由の第一は、市営住宅家賃減免制度の見直し、すなわち値上げが含まれているからです。
 家賃減免制度見直しをしないでほしいという議会陳情は187団体から提出され、そのうち、29件が市営住宅団地自治会からのものです。また、アンケートも続々寄せられ、家賃減免制度改悪への怒りがますます高まっています。
 市営住宅入居者の3割が家賃減免を受けており、生活保護基準とほぼ同等かそれを下回る収入で生活しています。今回の「見直し」は、8割、7割減免という、とりわけ所得の低い階層を狙ったものであり、最低生活費をいっそう大きく割り込んで厳しいくらしに追い込むようなやりかたは、とうてい許されるものではありません。
 公営住宅法、憲法第25条の精神に反する家賃減免制度の見直し・値上げは白紙撤回すべきことを改めて申し上げます。
 理由の第二は、その他にも市民負担増があるからです。
 ていねプールの利用料が小中学生と65歳以上の高齢者はこれまで無料だったものが390円徴収されることになります。また、白石区川下公園にあるリラックスプラザ内の浴室利用料の障がい者減免は、これまで全額免除であったものが半額負担の250円徴収されます。
 ていねプールは、子ども達も含め多くの市民から「存続して欲しい。無料のままで使えるようにして欲しい。」との声が寄せられて、リラックスプラザも地元の町内会等から廃止しないで欲しいとの要望が出され、両方とも議会に存続の陳情が提出されていました。
 そもそも2010年に行われた事業仕分けで「廃止」あるいは「廃止を含む見直し」とされていたものが、市民アンケートや利用実態調査等を経て存続との結論に至ったもので、市民に無用の混乱と不安をもたらした責任は大きかったと改めて指摘するものですが、議会議論の過程では、ていねプールは老朽化が進み地盤沈下などにより施設改修に莫大な経費がかかるとの説明を行いました。さらに、リラックスプラザでの障がい者浴室利用料見直しに伴って農試公園およびモエレ沼公園のシャワーブース利用での障がい者免除も議会には何の報告もないまま、局長決裁で半額負担にしたことは遺憾です。
 今回の値上げでの増収見込みは、ていねプールで約890万円、リラックスプラザで約440万円です。一般会計が8500億円を超える本市にあって、本当に必要な値上げなのでしょうか。しかも本市の誇るべき制度である子ども料金無料化を阻害し小中学生や障がいを持った方など社会的弱者から料金を徴収するなどもってのほかです。
 理由の第三は、総事業費22億円の大通交流拠点地下広場整備計画について、大通交流拠点まちづくり推進費9億2500万円が計上されているからです。地下鉄大通駅構内の図書コーナーや証明書発行カウンターなどを新たに壁を堀り込み設置、コンコース内に椅子やテーブルをおいて通行者の滞留空間を整備しようというものですが、現下の厳しい市民生活や、新たな市民負担増を行おうとしていることに鑑み、不急の事業であり、着手すべきではありません。
 理由の第四は、今冬は例年にない厳しい寒さで、市民は、生活に欠かせない暖房費の捻出に苦労しています。灯油価格は1リットル当たり100円を超え、生活保護受給者や低所得者にとっては死活問題となっています。そうした中で、全道136の自治体で福祉灯油やあったか応援資金を復活させて住民の厳しい暮らしを支える努力をしました。ところが本市では、市民から強い要望が出され、わが党も代表質問で求めましたが、これらを実施しませんでした。市民が困っているときに市民にもっとも身近な行政である本市があたたかな手を差し伸べるべきです。
 理由の第五は、東雁来に「子育て支援型」市営住宅を新年度から順次建築を開始する計画があるからです。「子育て支援型」と言いながら、子どもが中学校を卒業したら市営住宅から退去する期限付であることは問題です。本市の市営住宅は全体として不足しており、市営住宅に住んでいる人が他の市営住宅への住み替えを希望しても、昨年度実績で住み替え率は20.3%しかありません。こうした中で、期限が来たら退去させるしくみを新たに設ければ、本市と住民とのトラブルの種をつくることとなってしまいます。
 子育て支援のための市営住宅を整備するのであれば、同じ敷地で3棟120戸すべてを子育て専用の同じ間取りにするのではなく、市内のあちこちに点在させ、同じ棟に、高齢者、子育て世代など多様な世帯が入居できるような形で整備すべきです。
 議案第5号 国民健康保険会計予算についてです。
 1992年度の国保加入者平均所得は279万円でしたが、2012年度は95万円と、3分の1に減っているときに、平均保険料も比例して引き下げるのではなく据え置くことは、事実上の値上げとなります。国保料が高くて支払いたくても支払えない滞納世帯が2011年度5万2444世帯と加入世帯の18%にもなっており、高すぎる国保料を引き下げることが求められています。委員会の答弁では「国保加入者の負担感は非常に強い」「同じ所得で比較した場合、国保料は政令都市でも高い方だ」という認識をお示しになりました。国保会計が黒字に転じており、予算上確保できた一般会計から国保会計への繰り入れ金を使い切らず、年度末に一般会計に戻すことを3年連続で行っていますが、これは国保料の引き下げに活用すべきであり、本議案には反対します。
 議案第6号 後期高齢者医療会計予算は、75歳という年齢で受けられる医療を差別するものであることから反対です。
 議案第7号 介護保険会計予算についてです。今年度の条例改正により、介護保険サービス事業者への新規及び更新の手数料負担が生じました。法人によっては、更新だけで6年間で30万円から60万円も負担することとなり、昨年4月からの介護報酬改定によって経営が厳しくなっている介護事業所に、さらに追い打ちをかけることとなるため、反対します。
 議案第18号 職員定数条例案についてです。
 職員費は、過去最高だった1999年に比べ、296億円減額となる901億9700万円です。退職手当は国にならって一人あたりの支給額を減らし5億円の減額となる一方、退職者の増加で11億円増えています。給与は支給額の削減で1億1000万円減額、職員数を減らすことにより6億1000万円の削減、さらに年齢の高い職員が退職し若い職員を採用したことと、教員の給与減額分を合わせ10億9500万円の減額です。
 職員に給与の減額や定数削減を押し付けることで、人件費を減額させています。これ以上の賃金削減は、職員と家族の暮らしを厳しくするだけでなく、地域経済を冷え込ませる負のスパイラルとなるものです
 特に、市立幼稚園での25名減は、各区1幼稚園とするために西区ふくいの・手稲区いなずみ・北区太平みなみ幼稚園を廃園するものであり、学校用務員業務の効率化での36名は10学級以上の学校では本来2名配置だったものが1名のみの配置になり、学校給食業務の一部委託化で28名の減員は調理委託を7校拡大するもので問題です。市民10万人あたりの一般行政職員は374,4人と政令指定都市20市中最少であり、20都市の平均462,2人を大きく下回っています。本市職員の労働環境を守り、市民サービスの低下を招かないためには職員の定数は削減すべきではありません。
 関連して、議案第13号 高速電車事業会計予算は、地下鉄南北線のワンマン化に伴い50名もの人員削減を行うもので、最優先で確保すべき安全性よりも、経費削減のための人減らしを優先したものであり、反対です。
 議案第19号 職員退職手当条例案についてですが、昨年11月に国家公務員退職手当削減の法改定を行い、国家公務員に準じて本市の退職手当を新年度から3年間で400万円削減するものです。衆議院解散の当日一日のみの審議で、議案の提案理由説明、質疑、採決、さらにその日のうちに参議院の採決までなされたもので、国会においても十分な議論がなされずに強行採決されたという問題をまず申し上げなければなりません。
 本市職員の給与はこの14年間でマイナス改定、合計100万円以上も引き下げられています。組合のユース部の独自アンケートでは、生活して行くには給与が足りないという若手職員が52%もいるとされています。400万円といえば若手職員の1年分の給与に相当するものです。それがそっくり削減されることは容認しがたいものです。退職金で住宅ローンの完済をしようという職員、車などの少し大きな買い物をしようという職員など退職後の人生設計にも狂いが生じるのではないでしょうか。民間の給与が地方公務員に準拠する場合もあり、今回の退職金引き下げは民間に与える影響も大きいものです。地元経済に負の連鎖をもたらすものであり、賛成出来ません。
 議案第20号 若者支援施設条例案についてですが、中央区北8条西24丁目にあったレッツ円山が2010年4月に若者支援総合センターとなり、この4月南1条東2丁目の大通バスセンタービルに移転するものです。レッツ円山にあった、ダンスや演劇ができる100平米の講堂、茶道ができる25平米の和室、音の出せる音楽室が、わずか5つの活動室へと、施設が大幅に縮小となります。若者の文化活動やスポーツ交流の場が減らされることになることから、この議案には反対します。
 議案第22号 普通河川管理条例及び札幌市流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例案についてです。ほくでんやNTTなど大企業が電柱・電話柱として占用するために本市に納める料金は、値下げではなくその財源を市民福祉に活用すべきであり、反対です。
 議案第23号 札幌市立学校設置条例案についてです。札幌開成高等学校を改編し、新たな中高一貫教育を行う市立札幌開成中等教育学校を設置、2015年度の開校を目指すものですが、私ども日本共産党は、この間の議論で6年間、高校受験のストレスなく勉強や部活、興味・関心のあることに意欲的に取り組めるのは良いことだとしつつも、多くの懸念を表明してきました。その最大の問題は受験競争の低年齢化です。全国の中高一貫校においてエリート指向の受験競争の激化、低年齢化が起きています。本市教育委員会は、「学力検査は行わず、適正検査、作文、面接、調査書、抽選など複数の方法の中から選択のうえ、適切に組み合わせて実施する。受験競争の低年齢化を招かないよう十分に留意する」としていますが、未だ適正検査の内容や具体的な入学者決定方法を明らかにしていません。
 適性検査で測るとされている思考力、判断力、表現力について、中教審作業部会資料では、「『学力検査』そのものではないか。」「実際に、受験産業において公立の中高一貫教育校の『適正検査』への対策が講じられ、それに取り組んでいる児童がおり、問題である」とされています。
 また義務教育である中学校課程でも、実験や校外学習などが行われますが、教材費などの保護者負担が増し、本来無償で行われるはずの義務教育に過大な負担を求めることは許されません。
 さらに、6年間のカリキュラムが明確に提示されておらず、どのような学校をつくりたいのか、どのような学習をどのような環境で行いたいのか、現時点で議会に明らかにされていません。教員など学校関係者は強い懸念をもっており、当事者の理解や納得は得られていません。今回は設置条例とはいえ、本市が中高一貫校を設置することは初めてであり、中高一貫校の内容を十分に議会に示したうえで、設置条例を提案すべきです。内容も十分明らかでない提案に、私どもは賛成することは出来ません。これに関わる予算案も同様です。
 次に、歳出についてですが、建設事業費は、2010年度以来増加に転じ、新年度一般会計で898億円、全会計では1311億円と5.8%の増加となっています。
 他会計繰り出し金のうち、国保会計への繰り出しは、後期高齢者医療制度開始以後、過去最高だった2008年の261億円に比べ、31億円減額の230億円へと減少しています。
 代表質問ならびに予算特別委員会で取りあげた諸課題について局別に申し上げます。
 まず危機管理対策室です。
 避難所運営研修についてすでに地域では連合町内会、単位町内会などが工夫して取り組んでいることから、実態把握をし、必要な援助をすべきです。
 市長政策室です。
 指定管理者制度の問題点を指摘しました。4年間という期限の中で不安定雇用が常態化し、管理者も長期的視点で事業計画が立てられない実態にあることを明らかにしました。公募・非公募のあり方、指定期間の延長など総合的・抜本的改善を求めます。また、再委託先の雇用実態調査を行うためにも早期の公契約条例が必要です。
 総務局です。
 自殺対策として打ち出されたゲートキーパーですが、貧困と格差が拡大する中、市民の暮らしはより一層厳しいものになっています。新採用職員の約90%が市民と直接関わる福祉や税の現場に配置されることから、経済的困難を抱える人と向き合い、生きる手助けの実感を学ぶことは重要です。新採用時研修にゲートキーパー的視点を取り入れるべきと考えます。
 市民まちづくり局です。
 第3次男女共同参画さっぽろプラン素案の重点項目に女性の社会参加が位置づけられました。しかし、その阻害要因として「男性は仕事、女性は育児」との固定観念があります。本市が率先して審議会への女性登用や幹部職員研修を行い、市職員への啓発に努めていただくことを求めます。
 北1西1街区での再開発事業については、150メートル26階層の規模を想定していることが明らかになりました。過大な保留床を抱えることにならない様にすることを重ねて求めます。また、多目的ホールは、2300人を収容規模として4階に配置するとのことでした。公演が終わったあと2300人が一挙にホールから出てくることや、災害などの緊急時に来場者がいっせいに移動しなければならない事態にそなえ、ワンフロアでも下げることを強く求めます。
 財政局です。
 新年度末の21基金の残高見込みは2845億円にも上り、そのうち、財政調整基金101億円と土地開発基金400億円は一般財源として活用できるものです。市民生活や福祉に資する様々な事業に有効に活用すべきです。
 保健福祉局です。
 自閉症児など強度行動障がいをもつ子どもを診る児童心療センターは、道内唯一の入院機能を有し、医療・教育・保育などの支援を子どもと家族へ総合的に行う中枢機能として、大きな役割を果たしてきたことを明らかにしました。症状の激しい緊急時から、自宅や施設で生活を送れるようになるまでの回復のプロセスに、入院機能はなくてはならないものです。公的病院だからこそできる入院機能を維持するよう強く求めます。
 子ども未来局です。
 児童虐待問題について取りあげました。児童相談所の機能強化・体制の充実、さらに地域連携での人的配置は専門性のある方を大幅に増やすことを求めます。
 学童保育は、国の法改定により本市独自の子ども子育て会議を設置し基本計画の策定、条例化が進められますが、共同学童保育所の運営に関わるメンバーを会議に加え、現場の声を十分に反映させることが重要です。
 保育所の待機児童解消は認可保育所の新増設で行うこと、合わせて超過入所の早急な改善を求めます。
 環境局です。
 北5西8地区でメム跡や地下水脈、樹林等の調査が行われますが、歴史的・文化的価値が高い土地であり、「エルムゾーンを守る」市民運動もあることから、安易な都市計画変更を前提とせずに、本市が貴重なみどりを市民の財産として保全すべきと考えます。
 経済局です。
 「札幌型新エネルギー産業開発支援事業」は、発電に特化したエネルギー創出を研究段階から支援するものです。地元企業を育てる視点で、研究から事業の軌道にのるまでを支援すること、規模の小さな研究も含め幅広い支援を強化することを求めます。
 観光文化局です。
 北1西1に作られる複合施設内の多目的ホールは、市民の文化を育てる施設としてその機能を発揮させるように位置付けるべきです。自主事業を充実させること、そのためにプロデューサーを配置することが要となります。今後にむけ、市民や関係者の声を取り入れ市民とともに作り上げていくべきです。
 南区の公的温水プールとして位置付けている北海道所有の「真駒内青少年会館」が本年1月31日で閉鎖となり売却が決定しています。北海道がプロポーザル方式で決定した民間事業者に対し、本市が「公的温水プールと位置付ける前提で協議中」と答弁されました。小中学生無料、高校生280円、大人580円となっている現在の利用料金を維持するようはたらきかけるべきです。
 都市局です。
 空き家が老朽化して廃屋になる問題について取り上げました。廃屋になれば、倒壊・破損の危険、雑草が伸びるなどの景観上の問題、放火の心配などが生じることとなります。本市が人口減少に転じたとき、こうした空き家問題が多発しいっそう深刻になることから、実効性ある条例化などを検討すべきです。
 交通局です。
 市電事業を、運行などのソフト面は民間が、車両などのハード面は本市交通局が行う上下分離について質しました。運転技術の継承や人材育成、責任ある運営を行うためには、本市交通局が直営で維持することが最も適切です。今後の議論にあたっては「直営の維持は困難」と決めつけず、公的福祉の一環として公共交通をいかに充実させるかを中心に据えるよう求めます。
 消防局です。
 消防庁舎の建て替え計画について24時間365日使用される施設の特性から、市有施設一般で目安となる築60年より短く50年を目途としていますが、市民の生命、財産を守る使命を有しているので、さらに前倒しで改修計画を持つべきです。
 最後に教育委員会です。
 生徒の自殺に関する検討委員会の報告が出されました。この報告をすべての学校現場に届けきり教員の議論が必要です。校内研修はすべてで行われたとのことですが、どんなサインも見逃さず、的確に対応することが重要です。そのためにも仕事量が多く忙しい教員の定数増を図り、職場環境を改善し、期限付き教員も解消するよう求めるものです。
 以上で私の討論を終わります。