私は、市議会で国民健康保険の問題を取り上げ続けています。
 ここ数年で、明らかにした札幌市の国保の二つの「秘密」について書きます。

【秘密一】同じ収入でいると、国保料は上がり続ける

 国保加入者全体の収入は下がり続けています。
 まず、農家戸数の減少です。
 一九九〇年度 二二〇二戸でしたが、二〇一〇年度には九九三戸と半分以下です。
 国保でも社保でもよかった従業員四人以下の事業所は、一九九一年度には四万九一一一か所ありました。その後、従業員が一人でもいれば協会けんぽに移行していきました。
 国保加入者の中で、農家が減り、小規模な事業所の労働者が減ったことは、働いて収入のある国保加入者が減り、高齢者・失業者が多くなったのです。
 一九九二年度の国保加入者の平均収入は二百七十九万円でしたが、二〇一三年度は九十六万円です。
 仮に、二百七十万円の収入の場合、九二年当時で言えば平均以下の収入でしたから、保険料も比較的安かったでしょう。平均国保料十五万円よりも少し安い十四万円くらいかもしれません。
 しかし、二〇一三年になると、国保加入者全体の収入が下がっています。しかし、平均国保料は下げずに据え置いているために矛盾が生じているのです。
 同じ二百七十万円でも、平均よりも相当高い収入ランクということになります。平均国保料の十五万円では済まなくなり、それよりもかなり高額な国保料を請求されることになるのです。
 加入者全体の収入が下がり続けている中で、同じ収入を続けていると、国保料は上がり続けるのです。


  前回、札幌市国保の二つの「秘密」の一つ「同じ収入でいると、国保料は上がり続ける」ことについて書きました。
 今回は、二つ目の「秘密」です。
 まず、国民健康保険会計の仕組みを簡単にお話します。
 国保会計の支出の中心は、医療費(保険分)です。収入は、国保料、国・道からの交付金、札幌市一般会計からの繰入金などです。
 札幌市は、平均国保料は十五万円に据え置いていますから、十五万円掛ける加入世帯数(三十万世帯)で、国民健康保険料の合計が四百五十億になります。

【秘密二】余している繰入金を使えば国保料の引き下げは可能

 一般会計から国保会会計に繰入をしていますが、実は、国保会計で使い切らず、余して、一般会計に戻していたのです。
 二〇〇九年度から連続四年間、八一・六億円、四〇・六億円、二八億円、三九・一億円です。
 この余した繰入金を一般会計に戻さずに、国保料の引き下げに回すべきではないでしょうか。
 札幌市の国民健康保険は、三十万世帯が加入していますから、三十億円あれば、一世帯当たり年間一万円の引き下げが可能です。この四年間を平均すると、年四十七億円余しており、一万円引き下げてもお釣りが出るほどです。
 「札幌市の国保料は高い」と、市長も認めています。それなら、払える国保料にして、市民負担を軽減すべきではないでしょうか。