代表質問・論戦・意見書 等

日本共産党札幌市議団

札幌市第3回定例議会・本会議

所得税法意見書提案説明
(09年11月06日 本会議)

宮川   潤 議員

 私は、改革維新の会ならびに日本共産党を代表して、意見書案第8号、所得税法第56条の廃止を求める意見書の提案説明を行ないます。

 日本の経済と産業を支えている主力が自営業を含む中小企業であり、国は中小企業対策を抜本的に強化すべきであります。
 ところが、世界的な不況と、弱肉強食の構造改革路線、この二重の苦しみのもとにおかれている日本の中小業者、とりわけ自営業者は絶えず廃業の危機のなかで必死に頑張っていますが、下請けいじめなど経営的な大変さに加え、社会的・制度的にも差別的とも言える困難ななかにおかれています。
 たとえば、自営業者の多くが加入している国民健康保険は、傷病手当が無いため、働き手が病気になると、たちまち収入がたたれてしまいます。また、サラリーマンのような有給休暇や介護休暇も無く、女性の産前産後の休暇も取れないのが実態です。
 所得税法第56条の問題の1点目は、日本国憲法に違反しているということです。憲法第14条、法の下の平等、第24条、両性の平等、第29条、財産権に違反しています。
 1949年にシャウプ勧告が出され、戦前の家父長制の税制から、個人単位の課税に切り替わりました。しかし、このとき所得税法56条だけが取り残されたのであります。
 この法律は、配偶者や家族が事業に従事した際、その人件費については必要経費に算入しない、つまり、国は、家族従業者が働いてもその労働の対価を税制上認めないということです。
 これは、労働した事実を認めないということであり、働いた人の人権を認めないということであります。
 旧憲法における家父長制の下で、女性や子どもなど社会的弱者の人権が踏みにじられてきた歴史の残渣が所得税法56条であります。
 第2点目は、日本が1985年に批准した女性差別撤廃条約に違反している問題です。
 この条約は、「女性に対する差別となる既存の法律等を修正又は廃止するための措置をとること」と義務付けています。
 自営業の家族従業者の8割が女性であることから、この問題は税制の問題であると同時に、女性の権利の問題でもあります。ですから、多くの女性団体が、この法律の問題を指摘しています。全国女性税理士連盟は「戦後、伝統的な家族制度が残る中…制定されたもので…こんにち、女性の社会進出は社会の要請であり…社会が大きく変貌する中、同一生計であるというだけで、親族に支払う対価の経費性を一切認めない本規定は、もはや多様な経済実態にそぐわないものとなっており、課税上、新たな不公平を生じる」と、第56条の廃止を要望しています。
 第3点目は、自営業者の所得を厳しく抑制している問題です。
 事業主所得からの控除は、配偶者で86万円、その他の親族の場合で50万円までです。
 2004年に本市が発表した「自営業者の家族従業者等実態調査報告書」によれば、営業日における家族従業者の平均労働時間が6.8時間であり、休業日でも労働時間が発生しており0.9時間なっていますから、それらを合わせ年間労働時間は2175時間と推定できます。配偶者所得控除の86万円を配偶者の賃金だとすると、時給換算でわずか395円であります。息子など配偶者以外の場合だと時給230円にしかなりません。国による低賃金の押し付けであり、ただちに改善すべきであります。
 第4点目は、国際的にも、このような法律は異常だということです。
 主要国について調べたところ、日本のように家族従業者の賃金を認めていない国は見当たりませんでした。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、韓国など、家族従業者の賃金は必要経費として認められています。
 世界の流れからも、日本だけが、いつまでも家族従業者の賃金を認めないでいるわけにはいきません。
 5点目は、青色申告との関係でも、白色申告で、家族の人件費を認めてなんら問題ないことです。
 かつて、実際には働いていない家族が働いたことにして所得を分散させることで、税金から逃れようとすることを防ぐために、家族従業者の人件費を必要経費と認めないこととした経緯があるようです。その56条の例外規定として記帳を義務化した青色申告制度を作り、そこに誘導するために、青色の場合は家族従業者の人件費を必要経費と認め、税金を軽減させる措置としたのであります。しかし、青色であれ白色であれ、脱税を摘発するのであれば、税務署員が現場に行って調査しなければわからないことであり、帳簿があるかないかが決定的ではありません。しかも、1984年から白色の場合も記帳と資料保存が義務化しており、青色申告と白色申告との税制上の区別に理由はなくなっています。
 日本共産党は、国会で廃止を強く求めています。また、4月の参議院財政金融委員会で、民主党峰崎直樹議員は「白色も実は記帳しなければならないので、税務当局が言っていた根拠がなくなったのではないかという、指摘は説得的だ。配偶者の労働の対価をどうはかったらいいか、しっかり議論しなければならない」と問題があることを認めています。

 わが国の経済の主役である中小企業を支えるためにも、労働の対価という当然の人権を認めるためにも、所得税法第56条の廃止を求める意見書につきまして、議員各位の賛同をお願いいたしまして、提案説明といたします。よろしくお願いいたします。