日本弁護士連合会(日弁連)は、2011年4月14日に「公契約法・公契約条例の制定を求める意見書」を公表しました。「公契約に基づく現場労働者には低賃金が押し付けられている」として、公契約法、公契約条例の制定を促進するよう呼びかけたのです。

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 日弁連貧困問題対策本部委員の渡辺達生弁護士は「普通に働けば普通に暮らせる。そのための規制の在り方が公契約条例だと思います」と話します。
 渡辺弁護士は「官製ワーキングプアは働く人だけの問題ではありません。労働環境の悪化は品質(サービス)の低下につながります。これでは技術が継承されません。働く人がいなくなれば事業が成り立だなくなります」と指摘。「公契約条例で全てが解決するわけではありませんが、負のスパイラル(悪循環)を止めないと今の日本は変わりません。ワーキングプアが広がる『ルールなき資本主義』の中で、有効な手段が公契約条例ではないでしょうか」と語ります。
 2月8日に「札幌市公契約条例の制定を求める会」(代表・伊藤誠一弁護士)が、反貧困ネット北海道、札幌地区労連、連合札幌地区連合会など7団体で結成され、札幌市に「自治体の責務を果たす公契約条例の制定を」と要請しました。札幌北区革新懇は条例の早期制定を求め、札幌市議会に陳情しました。
 一方、議会では慎重論を展開する会派が、先行実施している各市での条例制定による効果を「数値で示せ」と市側に迫っています。

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 札幌地区労連の木村俊二事務局長は「公契約条例は実施されたばかり。野田市などでの成果が伝わるのはこれからです。しかし、最も劣悪な賃金の人たちが救われたのは事実です。条例が万能ではありませんが、官製ワーキングプアをなくすための、大きな一歩になるでしょう。どこの議会でも全会一致で成立しています。労働者だけでなく、中小企業にとっても有効な制度です」と語りました。
 全国で最初に公契約条例を制定した千葉県野田市では、条例制定で増えた支出は890万円ほどで、予算に占める割合は0.2%です。
 日本共産党の井上ひさ子札幌市議は2月29日の予算特別委員会で、「給料が安くて安定した生活ができない、結婚できない、子どもが作れない」という札幌市の労働者の実態を述べ、「条例制定で公正なルールができれば、悪質な業者は排除され、労働者の待遇改善になります。民問にも良い影響を与えます」と条例制定の効果をあげ、「条例への疑問や懸念を表明している業界へ市長自ら出向いて、積極的に議論を進めるべきです」とワーキングプア根絶の第一歩につながる公契約条例の制定を強く求めました。