質問する坂本市議=18日、 札幌市議会

質問する坂本市議=18日、
札幌市議会

 札幌市の秋元克広市長は18日の札幌市議会本会議で、2010年に札幌ドームでプロ野球観戦中にファウルボールを目に受けて失明した女性が、日本ハム球団や札幌市に損害賠償を求めていた裁判について、専決処分で控訴したことを報告し、市議会の承認を求めました。日本共産党は控訴に反対しました。
 札幌地裁(長谷川恭弘裁判長)は3月26日の判決で、札幌ドームの安全設備に問題があったとする原告の訴えを認め、球団や設置者の市などに約4200万円の損害賠償の支払いを命じています。
 同日の経済委員会で市の担当者は、控訴理由を「札幌ドームはプロ野球の球場として通常備えるべき安全性を有しており、市に瑕疵(かし)はない」「判決は、観客に対して相応の注意義務を求めておらず、プロ野球球場の安全性の判断について公平性を欠いている」と説明しました。
 質疑で、札幌ドームでは、臨場感を出すためとして球団の求めに応じ内野席にあった防球ネット(2.1㍍)を9年前から取り外していること、今回のファウルボールは時速130㌔、打ってからわずか2秒で女性の顔を直撃していることが明らかになりました。
 女性が事故のあと提訴するまでの2年間の市の対応や、和解の可能性をただした日本共産党の坂本恭子市議は、巨人戦だけは防球ネットを取りつけて試合を行っている事実も指摘し、「家族連れや高齢者など、多くの市民にプロ野球を楽しんでもらうためにも、安全に観戦できるような対策が必要」と主張。市に対し、安全設備の見直しは当然で重大な後遺障害を負った女性に対して賠償に応じ和解するように求めました。