札幌市議会第3回定例会(9月20日開会)が10月31日に閉会しました。安倍政権による突然の衆議院解散で、まさに議会のまっただ中での選挙戦となり、市議団は、「議会も選挙も両方成功させるために全力をつくそう」と意思統一して臨みました。

 7月7日、国連会議で核兵器を違法とする核兵器禁止条約が加盟国の約3分の2、122カ国の賛成で採択されるという画期的な出来事がおこりました。一方、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験の強行など、米朝の軍事的緊張が危険水域に及ぶという事態をうけ、伊藤りち子団長が代表質問にたち、秋元市長の政治姿勢をただしました。

核兵器禁止条約批准の呼びかけを

 伊藤団長は、「対話」を否定する安倍首相を厳しく批判し、「万一、核兵器が使用されればその被害は壊滅的で、おびただしい犠牲をもたらす」「市民の安全に責任を負う市長として、政府に対し、米朝の直接対話をよびかけるよう働きかけるべき」とただしました。
 これに対し、市長は「国に対し国際社会と連携をはかり、対応するよう求めたい」というだけで、対話をよびかけるとは言いませんでした。
 さらに、核兵器禁止条約について、「核抑止力」論を否定するなどその画期的な意義を強調し、「唯一の戦争被爆国である日本がこれを批准し、核兵器廃絶を世界によびかけていくことは、北朝鮮に核開発の中止を迫るうえでも最も道理ある立場にたつことになる」「核兵器禁止条約を批准するよう政府に働きかけていくべき」と追求しました。
 市長は「この条約を実効性あるものにしていくには、核保有国を含むすべての国が参加することが重要」と、質問には答えませんでした。

ムダな大型開発は中止

 また、「ムダな大型開発は止めよ」と、くり返し取り上げてきた「都心アクセス道路」についても質問。
 気候変動に伴う異常気象のもと、全国で豪雨が多発しています。北海道開発局が作成した「豊平川洪水氾濫シュミレーション」によると、観測史上最高となる総雨量310ミリの雨が降った場合、39分後には豊平川の水位がピークとなり堤防が決壊し、その30分後には創成川通のアンダーパスが水没するとしています。
 代表質問では、この問題を指摘し、「そこに1000億円もかけ地下構造の道路を整備しようというのは大雨が頻発する時代に逆行している」とただしました。
 副市長は「道路構造については現時点では決まっていない」「降雨はもとより降雪など様々な観点から検討していく」と逃げの答弁に終始しました。

国保等市民のくらしを守る施策こそ

 来年度から都道府県化される国民健康保険の問題を取り上げました。
 国保財政を都道府県に一括管理させることで、医療費の抑制や行き過ぎた保険料の取り立て、保険料軽減のための一般会計からの繰り入れ廃止や削減が市町村で競わされていくことが懸念されます。高すぎる国保料の引き下げは切実な声であり、市の国保運営協議会でも「保険料が大きく変動した場合……保険料軽減対策のための法定外繰り入れを検討する」と述べていると指摘し、「市独自の判断で法定外繰り入れを行うのか」、また、「道の仮算定にもとづく本市の保険料は、今年度と比べどのようになるのか」とただしました。
 市は、「保険料が大きく変動したときは、低減のための繰り入れを行う考え」であり、また、「1世帯平均の年間保険料は、現行よりも7千円下がる」ことを明らかにしました。
 市民からの要望の強い除雪パートナーシップ制度についてただしました。
 毎年上がりつづける費用負担、町内会費の8割をこの除雪費用に充てざるを得ないなど「負担も限界」との声が寄せられています。市は、「費用を支援している」といいますが、支援ではなく市の責任で行うべきです。必要な経費は10億円程度であり「市が全額負担して生活道路の除排雪を行うべき」とただしました。
 「子どもの貧困対策計画」づくりについて取り上げました。
 市の子どもの貧困調査で、過去1年間に子どもでは2割、保護者で4割が“経済的な理由で受診できなかった”と回答しています。「子どもの貧困対策は待ったなしの課題」「市長公約でもある子ども医療費無償化の拡充や学校給食費無償化、就学援助の拡充も明確にすべき」とただしました。
 市は「取り組むべき事業や施策をしっかり計画の中に位置づけていく」とのべました。
 共産党などが提出した「米朝の直接対話を通じた北朝鮮の核・ミサイル問題の解決促進を求める意見書」「核兵器禁止条約に加盟するよう求める意見書」が自民、公明、維新の反対で否決される一方、「誰もが安心できる在宅療養が可能となる訪問看護の実現を求める意見書」は、全会派の賛成で採択されました。

(増川勝司 日本共産党札幌市議団事務局)