第1回定例札幌市議会が終わりました。森友学園の公文書改ざん事件や自衛隊の文書隠ぺい問題に対する国民、市民の怒りが高まるなか、3月29日の議会最終日、「財務省公文書書き換え問題について真相究明を求める決議」が全会一致で可決されました。
 「公文書改ざん」の言葉が「公文書書き換え」になりましたが、自民党を含む全会派が提出会派となったことは真相究明を求める力となるものです。また、共産党が提案した「高齢者や生活困窮者の安全な居住環境へ向けた改善を求める意見書」が、全会派の賛成で可決したことも大きな成果でした。

住宅施策の貧困のあらわれ

 共産党市議団は、11人の尊い命が奪われた東区「そしあるハイム」の火災現場を翌朝視察し、市長へ緊急要望を行うとともに、高橋千鶴子衆議、紙智子参議、畠山和也前衆議らとも連携して、市当局や生活困窮者を支援するNPOなどから聞き取りを行ないました。
 この問題について、代表質問にたった村上議員は、厚労省の有料老人ホーム届出状況調査(16年)で、届け出済み施設よりも未届け施設が多かったのは全国でも札幌市だけで(届け出済み165に対し未届け231施設)、また、社会福祉法人などの法的位置づけのない施設に関する実態調査(15年厚労省)では、札幌市が195施設と全国最多であることを指摘。今回の事態は、生活に困窮した高齢者が市営住宅にも特別養護老人ホームにも入れないなど、まさに「住宅施策の貧困のあらわれ」であり、「こうした痛ましい事故をなくすためには、公的支援策を抜本的に拡充していく決断が必要」とただしました。

市民の生活充実の予算こそ

 18年度予算案は、一般会計で前年度比1・5%増の1兆116億円と、市政史上初めて1兆円を突破しました。
 市長は、予算規模が拡大した主な要因を、自らのまちづくり方針となる「アクションプラン」に掲げた施策の実現とともに、とりわけ待機児童解消に向けた保育所等の整備によるものと述べました。しかし、待機児童は、昨年10月時点で2748人となっており解消どころか年を追うごとに増加の一途です。
 一方、都心部の民間再開発事業への補助は、現在すすめられている6つの事業で約257億円(完成時の総額)で、完成が目前の北1西1地区再開発事業への補助金156億円と合わせ約413億円にのぼります。今後、さらに大通東1街区や札幌駅周辺などの大規模な再開発や冬季五輪招致など、莫大な費用を要する事業が計画されています。さらに、1000億円もの税金を投入するムダな大型公共事業「都心アクセス道路」の建設にむけた調査費や、マイナンバー関連費用、学校規模適正化の名で統廃合すすめるための事業費などが含まれており、共産党市議団として予算案に反対しました。
 札幌市では、年収300万円以下の世帯が全体の39・3%と約4割を占め、市民の生活は非常に厳しいものとなっており、こうした実態に光を当てる施策の拡充こそ行政に求められています。
 しかし市は、暮らし・福祉施策の拡充の願いには耳を傾けず、市税の収納率向上を、表彰制度を設けて競わせるなど強化しており、差押えはこの10年間で6340件から12713件へと倍増しています。共産党市議団は「納付相談は、払う意志を尊重し、払い続けられることを前提としていくことが大切であり、子どものいる世帯の差押えはやめるべき」とただしました。
 子どもの貧困対策も待ったなしです。市の調査でも「経済的理由により家族が必要とする食料を買えなかった」経験のある世帯が17・2%、子どもについて「病院を受診した方が良いと思ったが受診させなかった」世帯は18・4%にのぼるなど、深刻な実態が明らかとなっています。ところが、市の「子どもの貧困対策計画」は、「困難を抱える子どもや世帯を早期に把握し、必要な支援につなげる」とするものの、肝心の具体策がありません。
 党市議団は、子ども医療費無料化の拡大や学校給食費の無料化などを求める論戦を行い、このなかで就学援助の入学準備金の3月支給を、小学生についても「検討をすすめている」との前向きな答弁を引き出しました。
 日本ハムの球場移転問題は、北広島市に決定したものの「札幌ドームを利用してもらえるよう策を練るべきだった」など、市への批判が強まっています。
 この問題について党市議団は、新球場構想を打ち出す以前の2010年代前半に、球団が、札幌ドームを長期に利用できるフランチャイズ契約を市に提案していた問題をただしました。球団側は、このとき市から「丁寧にお断りされた」とのべていますが、市は「断ったという認識はない」と答弁し、食い違いを見せました。当時、十分な協議が行われていたのか、交渉過程をすべて明らかにすべきだとただしました。
 最後に、障害者団体が粘り強く運動を続けてきた精神障害者の運賃割引が、来年4月から地下鉄と市電で実施されることが明らかとなりました。「本当によかった、長年の運動が実った」と喜びの声が上がっています。党市議団もくり返し議会で取り上げてきた問題であり、本当にうれしく思います。
 これからも、福祉・くらし優先、市民の命を守る市政をめざし、全力を尽くす決意です。