20130613miyakawa 私は、日本共産党を代表して、議案第32号札幌市公契約条例案、およびその制定を求める内容の陳情第56号、第57号、第58号、および第61号に賛成し、制定に反対する陳情第60号に反対する立場で討論を行います。
 わが党が市内全戸を対象に実施している市民アンケートは、現在なお、集約の最中でありますが、3,083通回答の中間とりまとめでは、「公契約条例を知っていますか」の設問に対して、「知っている」が22.3%、「名前は聞いたことがある」が23.7%、「知らない」が44%と、4割以上の市民が「公契約条例を知らない」のが現状であります。
 一方、制定を求める市民運動では10万人の市民が署名をしているのであります。
 また、商工会議所等6団体が反対を表明しているという側面もあります。
 今後、条例の理解を深めるよう、事業者団体、札幌市、そして議会が、ねばり強い協議を続けるべきであります。
 本条例の採決にあたり、可決すべきであることを、以下、申し上げます。
 まず、本市の最低制限価格の人件費基準についてです。
 本市は、清掃・警備等の最低制限価格の設定にあたり、人件費は70%を基準としてきましたが、2012年度から90%へと引き上げました。
 以前の70%は、体力のない中小企業の経営も労働者の生活も、両方とも過酷な状況でした。
 私は、90%へと引き上げたことは、遅かったとはいえ、必要な措置がとられたものであり、企業経営の改善と労働者の賃金引き上げの条件が、ようやく整ったものと捉えています。
 次に、労務単価についてです。
 清掃員Cの場合で、2008年度5,600円でしたが、今年度6,700円と、5年で1.2倍に引き上げられています。
 清掃業務の予定価格の積算は、直接人件費をもとにして、それに一定の割合をかけて、一般管理費などを決め、予定価格全体が決まる計算式になっています。
 この間、労務単価が上がっているので、直接人件費が増え、それに比例して一般管理費も増えています。
 企業の利益は一般管理費から見込まれているため、増え続けているはずです。
 それでも、利益が足りないと言って、人件費を流用するのはスジが違いますし、企業の赤字補てんに充てられるならば、税の使われ方として問題であります。
 労務単価が上がった分は、賃金の改善に使うべきです。
 次に、北海道の清掃の委託事業では、賃金アップが行われるということについてです。
 10月1日、道議会で、わが党真下議員の庁舎清掃の委託業務に関して「最低賃金に張りついている状況をよしとするのか」という質問に対して、総務課長は「労働者の生活の安定や労働力の質的向上につながることから、最低賃金以上の賃金を払うことはもとより、職務内容や能力・経験等も勘案し、適正な賃金が支払われるよう、配慮すべきものと考える」と答弁しました。
 北海道の委託事業において、清掃労働者の賃金が引き上げられます。
 陳情60号では、公契約条例が制定されると同一労働同一賃金の原則が破壊されるとしています。
 それでは、事業者が、北海道の委託事業を受注しないということになるのでしょうか。そうはならないと思います。
 本市の委託事業も同じであります。
 賃金を引き上げることで問題が発生するという考え方は、理論的根拠を失い、現実の中で解消されていくことは明らかであります。
 次に、労働者の生活実態についてです。
 清掃労働者の賃金は、最低賃金にぴったり張り付いています。
 現在、最低賃金は時給734円であります。
 1日8時間フルタイム、21日間働いたとすれば、1か月の賃金は12万3,312円、年収は147万9,744円ですからワーキングプアです。
 1か月12万3,312円で、家賃を払い、電気・水道・ガス・電話代・健康保険料、冬場は灯油代です。
 20歳から40歳の働く人で家賃が3万6000円とした場合の生活保護基準は、夏場でも13万1520円、冬では15万5610円になり、最低賃金では生活保護基準以下となります。
 最低生活費を下回る、憲法が保障する健康で文化的な生活ができない状態を、議会として、放置することは許されません。
 この状況を改善するために、本市も議会も事業者も力を合わせる時ではないでしょうか。
 公共事業が少ない現状において、低価格入札など、仕事の奪い合いという実態があります。
 事業者同士が受注競争行なう際に、人件費の削減、労賃叩きが、競争の道具となっている実態がありますが、これからの社会の在り方として、それを変えていかなくてはならない、このことを、本市、そして議会が率先して示そうではありませんか。
 条例案で、罰則規定が先延ばしされたことは、後退したことになりますが、まず、可決させることで一歩前進することが大事であり、公契約条例を制定すべきことを訴え、討論といたします。