001 私は、日本共産党所属議員を代表して、ただいま議題となっております議案23件中、議案第1号 一般会計補正予算、議案第3号 国民健康保険会計補正予算、議案第4号 後期高齢者医療会計補正予算、議案第5号 介護保険会計補正予算、議案第10号 個人情報保護条例の一部を改正する条例案、議案第14号 老人休養ホーム条例の一部を改正する条例案、議案第18号 札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案の7件に反対、残余の議案16件に賛成、陳情第7号 札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案に反対する陳情には採択すべきとの立場で討論を行います。
 今回の一般会計補正予算は、288億2,300万円で、当初予算の規模としては、札幌市政史上初めて9,000億円を超えるものになっています。
 市長は「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」を実現するため、都市基盤の強靭化をすすめる再開発事業で、都心部やその周辺地区での再整備に多額の税金を投入しようとしていますが、これは、国が推し進める大型開発優先の都市開発を率先して行おうというものであります。
 建設事業費は、骨格予算・肉付け予算案の合計で約1,013億円、肉付け予算案では、予算案総額の82%にあたる235億円が建設事業費であり、そのうち民間再開発促進に31億円が費やされることになっています。
 すでに着工している北1西1街区はもとより、北8西1、北4東6、南2西3など、総事業費950億円に対して本市の補助金181億円が投入され、いずれも今後4、5年の間に超高層ビル建設、大型開発に多額の税金が注がれるのは問題です。市長には、住民の福祉と暮らしを最優先にした街づくりを行うことこそ求められています。 
 議案第1号 一般会計補正予算に反対する理由の第1は、マイナンバーのシステム改修等に伴う補正予算10億5030万円が計上されているからです。
 マイナンバー制度は、年金情報を含む社会保障と税などの膨大な個人情報を国と自治体が一元的に把握・活用しようとするものです。
 しかし国内では、日本年金機構の125万件の個人情報流出をはじめ、ベネッセ、東京商工会議所会員企業12000件の情報が流出し、国外でもアメリカでは成りすましに関する犯罪がわずか2年間で1170万件発生し、被害額は1兆300億円にものぼりました。韓国では人口の3倍もの個人情報が流出したことで、犯罪の温床になったことから、共通番号制度の見直しが図られています。このように国内外で情報の漏えい事件が相次いで起こり、大きな社会問題となっているのです。
 また、意図的に情報を盗もうとする人間がいることにより、情報は常に流通・売買される危険があることから、個人情報を守る上で取り返しのつかない事態となる可能性があります。情報の漏えいを100%ふせぐ手立てのないもとでは、個人情報は集積されるほど盗まれる危険性が高くなるのは明白です。
 さらに、内閣府が今年1月に行った世論調査では、制度を知らないと答えた人は70%を超え、本市の昨年11月に行ったマイナンバーに関する調査でも「不安だ」「危険な制度だ」という意見が多数を占めました。
 国民の半数以上に制度の内容が周知されず、市民にも不安の大きい制度は問題です。個人情報の管理のあり方に問題があるとともに、システムの構築と維持・管理に莫大な費用を要するマイナンバー制度の実施は中止すべきであり反対です。
 また、議案第3号 国民健康保険会計補正予算、および、議案第4号 後期高齢者医療会計補正予算、議案第5号 介護保険会計補正予算は、マイナンバーに関連する基幹系情報システムの改修費用であり、反対です。
 議案第10号 個人情報保護条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、先に述べたとおりマイナンバー制度は個人情報の漏えいを防止できないばかりか、いっそう危険となるシステムであり、条例改正によって安全が保障されるものではないからです。また、情報提供等記録開示システムの利用が困難な人の場合には、法定代理人のみならず、本人の任意代理人にも認めるとされることからも情報の漏えいする危険性が拡大される懸念があり反対するものです。
 議案第1号 一般会計補正予算に反対する理由の第2は、都心アクセス道路検討調査費が計上されているからです。
 本市が行った創成川通り、北32条西2丁目付近の道路混雑度調査では、4段階中もっとも低い「混雑度1.0未満」の0.87で、昼間12時間を通して、道路が混雑することはなく、円滑に走行でき、渋滞やそれに伴う極端な遅れはほとんど生じない状態でした。
 市民の多くは、行財政改革の名のもとで、保育料や国保料などが値上げとなり、厳しい暮らしを強いられています。大型公共事業となる高速道路の建設ではなく、住民の福祉とくらしを支える地元密着型の事業こそ優先されるべきです。市民への負担を増やしながら数百億円もかかる道路の建設はやめるべきであることを厳しく指摘しておきます。
 議案第14号 老人休養ホーム条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、南区・駒岡にある「老人休養ホーム」の利用料を、宿泊料金を3000円から3200円に、休憩料金を600円から620円に値上げするものだからです。
 本施設は、2010年に行われた事業仕分けで「不要」とされ見直しの対象にあげられましたが、その後、市民から存続を求める声が寄せられ存続が決定しました。利用者の多くは高齢者と障がい者です。2010年に浴室利用料を有料化した老人福祉センターでは、その後利用者が3分の1以下に激減しました。保養センター駒岡の利用料値上げは、年金の引き下げや消費税の増税などで、生活に苦しむ利用者とその介添えをする家族などのささやかな楽しみをさらに奪うものであり、やめるべきです。
 議案第18号 札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、教育委員会が地域の合意なく、一方的に豊滝小学校の統廃合計画をすすめてきたことです。当初、教育委員会は、地域住民・保護者に対して「地域の合意なしには進めない」「話し合いは統廃合を前提としたものではない」と地域説明会で約束をしていました。しかし、2月25日の新聞報道で、地域住民・保護者、学校関係者が全く知らないうちに突然「豊滝小を来年統合」という記事が掲載されました。教育委員会がすすめてきた豊滝小学校の統廃合計画は、地域住民・保護者・子ども達に配慮を怠り、あまりにも一方的なやり方です。条例案は白紙撤回し、教育委員会は、改めて地域住民・保護者との信頼回復に努め、誠実に話し合いをすすめていくべきであり条例案には反対です。議案第18号に関連する陳情第7号 札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案に反対する陳情は住民の切実な願いであり採択すべきです。

 次に、代表質問並びに議案審査特別委員会でわが党がとりあげた点、市政の諸課題について局別に述べてまいります。
 代表質問で安全保障関連法案いわゆる戦争法案について取り上げました。市長は、「この法案をめぐって、様々な意見があることは承知しているが、政府や国会においては、必ずしも多くの国民の納得がいく説明や議論がなされているようには感じられない」また、「この問題は、立憲主義や今後の国の在り方にもかかわる非常に大きな問題であることから、政府においては、国民の疑問の声にも耳を傾けて、丁寧で解りやすい説明を行うとともに、国会においても、慎重かつ十分に審議を尽くしていただきたいと考える」と答弁されました。しかし、自民・公明両党は、違憲論や国民の反対する声を顧みず、数の力によって衆議院で強行採決し、審議は参議院へと送られました。この暴挙は、憲法を破壊するとともに主権者である国民多数の反対の意見を踏みにじるまさに国民主権の大原則の蹂躙です。市長は、国に対して、安全保障関連法案の廃案を求めるべきだと改めて強く申し上げておきます。

 危機管理対策室についてです。
 避難所環境整備事業についてです。暗証番号キーの導入、自主防災組織に鍵を持たせるなどの検討をするとのことでした。災害時に避難してきた住民が、施錠されていて避難所に入れないことのないよう早急に対応するよう求めます。厳冬期の寒さ対策となる高規格寝袋の配備計画についても迅速に進めるとともに高齢者・障がい者などが利用する福祉避難所との連携を具体的に進めていくことも指摘しておきます。
 市民まちづくり局についてです。
 DV対策推進事業についてです。2014年度の相談件数は、1300件と多く、現状の相談体制では大変です。今後更に電話回線を増やすことや相談体制の強化を図るべきです。また、行政手続が必要な方が同行支援を希望した場合、危険のないよう、関係機関と連携して相談者と同行すべきです。
 保健福祉局についてです。
 障がい者相談支援事業についてです。
 現在、市内20カ所が委託先となっており、相談員一人あたりの相談件数は、平均1034件にもなることから、相談できるまでに1か月以上待つ状態です。「せめて相談員を2倍に増やしてほしい」というのが現場の声です。相談員の給与の底上げとともに相談員は、有資格者に限定せず、経験を積んできたベテラン相談員にも対象を広げ、相談体制を充実させるように求めます。
 子どもの心の診療ネットワーク事業についてです。
 この事業は、強度行動障がいや発達障がいなど、心や身体に障がいを持つ子ども達を医療・福祉・教育などにつなげる重要なものです。委託先を札幌医師会、北大、民間医療機関に想定している、との答弁でした。本市の責任と障がいをもつ子どもの発達を保障する理念を明確にし、現場の声や当事者の願いに応える事業となるべきことを申し上げます。
 介護保険制度の改悪により要介護1・2の方が原則特養ホームに入所できなくなり、高齢者の在宅での療養・介護がいっそう切実になります。在宅医療推進会議には、介護職関係の団体や介護事業者、学識経験者を加えること、在宅医療の理解・促進を図ることを求めます。
 子ども未来局についてです。
 児童育成会運営委員会補助についてです。
 代表質問で民間児童育成会の指導員の処遇改善を図る目的で実施した「保育緊急確保事業」で1指導員あたりではなく、1事業所あたりに補助することを求め、検討するとの答弁でした。議案特別委員会で、さらに踏み込んで補助制度が改善される旨の答弁がありましたので迅速、確実に実施するよう求めます。
 私立保育所整備費等補助についてです。
 社会福祉法人と株式会社の運営で、保育の質に差は生じていないかを質しました。
 本市では、待機児童を解消するということで、2009年度から賃貸物件を活用した認可保育所の整備が始まりました。現在25カ所で運営していますが、その中には、JRの高架下・オヒィスビルの4階5階・飲食ビルの2階など、子どもが外遊びをする園庭もない保育所があります。保育の質は別として、ビルの1室でも1軒家でもいいから手ごろな賃貸物件を活用して保育所を整備するというものです。
 未来を担う子ども達が心身ともに健康に育つためには、保育の質の確保と充実が不可欠です。認可保育所の整備は、子どもの最善の利益を実現する保育の質の確保と保育の場としてふさわしい環境を考慮して選定を行うべきであることを指摘しておきます。
 また、札苗緑小学校区に児童会館機能に加えて多世代交流機能を有する施設整備についてですが、用地取得と、どのような施設をつくるかなど、住民の声をよく聞いて決定すること、児童会館ができるまでの間、放課後子ども館は16時45分で閉館することから周知の徹底を行うこと、早い時間の閉館は不安との声がある場合は丁寧に対応すべきことを求めます。
 経済局についてです。
 今年度の企業誘致状況は、コールセンターが4件、IT関連で3件の見込み、現在の正社員率は、10.9%であり、誘致にあたっては安定雇用となるよう正社員化拡大の視点をもつような補助制度へと一層の改善を図るべきです。
 観光文化局についてです。
 2014年度上期、海外からの観光客が59万9000人と対前年比28.1%増えたことに関連して中心市街地に乗り入れる観光バス対策の充実を質したところです。現在の南8西2の観光バス待機場の利用時間を18時までから21時まで3時間延長すること、夏場は北1西9に新たに観光バスの待機場を設置することが明らかとなりました。引き続き、アイドリングストップなどのマナー向上と合わせ、対策を進めるよう求めます。
 最後に教育委員会についてです。
 運動部活動外部顧問派遣者任用モデル事業についてです。先生が多忙であることや技術的な指導が困難であることから10月から10校に10人の新しい「特別外部指導者」を委嘱するモデル事業を行うということですが、教育的な視点と学校教諭との連携した指導となることを求めておきます。
 以上で私の討論を終わります。