001 私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について質問いたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてうかがいます。
 質問の第1は、安全保障関連法案いわゆる戦争できる国づくりについてです。
 安倍政権は、憲法9条を蹂躙し、日本を「海外で戦争する国」につくりかえる安全保障関連法案、いわゆる戦争法案を強行しようとしています。首相は、「従来の憲法の基本的な考えを変えたものではない」と繰り返しますが、審議をすればするほど憲法違反の実態が明らかとなっています。
 1点目は、法案を強行しようとする姿勢についてです
 衆院憲法審査会では、自民党推薦の憲法学者を含め3名全員がこの法案を違憲と断じました。参考人質疑では、歴代の元内閣法制局長官が、「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では認められない」「法案はすみやかに撤回すべき」と述べました。こうした批判の声は、歴代の自民党政権を中心的に担ってきた重鎮の方々からも上がっています。野中広務元官房長官は、テレビの政治座談会などで「戦争を経験した人間として、再び日本が戦争をする国になるのは、死んでも死にきれない」といい、古賀誠元幹事長は、「恐ろしい国になっている」と述べました。
 また、山崎拓元防衛庁長官をはじめ、亀井静香、武村正義、藤井裕久の各氏は、日本記者クラブで会見にのぞみ、「日本が今、最大の危機に直面している」「法案の強行は大きな禍根を残す」と訴えました。さらに世論調査では、6割の国民が戦争法案の成立に「反対」し、8割以上が安倍首相は「十分に説明していない」と答え、憲法違反とする憲法学者は圧倒的多数となっています。
 これらの声に全く耳を傾けず、憲政史上最長の会期延長まで強行して、ごり押ししようとする安倍内閣、自民党、公明党のやり方は、異常という他ないと考えますが、いかがか市長の見解をうかがいます。
 2点目は、憲法の解釈についてです。
 安倍首相は、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合、集団的自衛権を発動して機雷の掃海を行うといいます。しかし、戦時における機雷掃海は、相手国から見れば敵対行為となり、国際法上は攻撃の対象となります。相手からの攻撃に応戦すれば、当然、武力の応酬となり、海外での武力行使そのものになります。
 また、戦闘地域で弾薬の補給、武器の輸送などの軍事支援、いわゆる後方支援を行うとしていますが、安倍首相が後方支援と呼んでいる活動は、国際的には兵站と呼ばれる活動であり、武力行使と一体不可分であり、軍事攻撃の格好の標的となることは、世界と軍事の常識です。
 これまでの政府による憲法の解釈をも180度覆す安全保障関連法案は、憲法9条に違反するのはすでに誰の目から見ても明白だと思いますが、市長は、どのようにお考えなのか、見解をうかがいます。
 さらに今年は戦後70年です。先のアジア太平洋戦争では、札幌市民にも多くの戦没者がうまれました。この節目の時期、市長の不戦の決意をお聞かせください。
 3点目は、沖縄の米軍新基地建設についてです。
 ジュゴンの住む世界的にも貴重で美しい辺野古の海を10トントラック10万8千台の土砂で埋め立てようとする米軍新基地建設に対し、沖縄県民のみならず、全国から反対の声が広がっています。
 安倍首相は、先の訪米の際、オバマ大統領に「辺野古への新基地建設が唯一の解決策との政府の立場は揺るぎない」と述べました。国民からは、「いったいどこの国の首相なのか」という怒りの声が広がりました。
 5月17日、那覇市で開催された「止めよう辺野古新基地建設、沖縄県民大会」には3万5千人が集まりました。採択された大会決議は、「私たち沖縄県民は自ら基地を提供したことは一度もない。普天間基地も住民が収容所に入れられている間に建設され、その後も銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収によって基地は拡張されてきた」と述べています。市長は、この沖縄県民の声をどのように受け止めているのか、認識をうかがいます。
 また、沖縄県知事選挙をはじめ、新基地建設反対の民意がくり返し示されているにもかかわらず、この声をアメリカ政府に正面から提起しようとしない安倍自公政権の姿勢を市長はどのように、お考えなのかうかがいます。
 質問の第2は、原発再稼働についてです。
 1点目は、政府の「エネルギーミックス」いわゆる電源構成についてです。
 政府の長期エネルギー需給見通し小委員会が、2030年の「エネルギーミックス」に関する報告書をまとめ、原子力発電の割合について20~22%としました。2割もの電源を原発でまかなうとなれば、再稼働を申請している原発を稼働させるだけでなく、40年以上の老朽原発の運転延長や新たな建設も必要となります。
 この政府案は、7月中にも正式決定されるといいますが、いまなお避難生活を強いられている福島の被災者はもちろん、国民の原発ゼロの願いに背くものだと考えますがいかがか、見解をうかがいます。
 2点目は、泊原発の再稼働についてです。
 九州電力川内原発の再稼働が、この夏にも強行されようとしています。仮に泊原発が再稼働し、万一過酷事故が発生した場合、本市は周辺9町村から5万人の避難民を受け入れるとしています。
 しかし、風向き次第では札幌にも放射性物質が降り注ぎ、避難民の受け入れどころではありません。原発の再稼働に反対する立場を明確にすべきだと考えますがいかがか。
 また、原発はすべて廃炉にし、再生可能エネルギーへの転換をはかるべきだと考えますが、見解をうかがいます。
 本市の温暖化対策推進計画について、上田前市長は「原発の稼働によって温室効果ガスを削減していく考え方はとっていない」とのべましたが、秋元市長はどのようにお考えかうかがいます。
 質問の第3は、労働者派遣法についてです。
 6月19日、衆議院本会議で可決された改定「労働者派遣法」は、派遣労働は「臨時的・一時的業務に限る」、「常用代替であってはならない」としてきた大原則を根底から覆すものです。
 1点目は、本法に対する認識についてです。
 低賃金・不安定の派遣労働の拡大は、労働者の生活悪化をいっそうすすめ、少子化の拡大と消費の落ち込みによる景気悪化など、日本と本市が直面する問題の解決に逆行すると考えますが、いかがか見解をうかがいます。
 2点目は、「人間らしい労働」の実現という世界の流れに反するという問題です。
 ILO国際労働機関が提唱するディーセントワーク「人間らしい労働」の実現は世界の流れであり、日本政府もその推進を掲げています。2013年のG20サミットの宣言は、「質の高い雇用を通じた成長」をかかげ、「非正規雇用を減少させるため」の効果的な対策をよびかけました。正社員から派遣社員への置き換えをいっそうすすめ「生涯派遣」と「使い捨て」を野放しにする労働者派遣法の改悪は、世界の流れに反していると考えますが、いかがか市長の認識をうかがいます。この法改定は、派遣労働者が正社員になれる道を閉ざすものと考えますが、いかがか。
 質問の第4は、マイナンバー制度についてです。
 赤ちゃんからお年寄りまで、日本国内に住民票を持つ人全員に生涯変えられない番号をつけ、その人の納税や社会保障給付などの情報を国が管理し、行政手続きなどで活用する仕組みで、今年10月から国民への番号通知が行われる予定となっています。マイナンバーを管理する全ての事業所では、従業員とその家族、アルバイトも含め膨大な番号の厳格な管理が求められているとともに、システム更新や整備費用にかかる重い負担に悲鳴が上がっています。
 すでに、日本年金機構から125万件の個人情報が流出する事件が起き、国民の不安が広がりました。情報漏えいを100%防ぐ方法はなく、情報が一つに集積されるほど危険性は高まると言われています。
 市民の個人情報を守り、情報漏えいの危険性を回避するためにも、マイナンバー制度の実施は中止すべきと思いますが、この制度に対する市長の認識を伺います。また、本市から国に対して、中止を求めるべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第5は、選挙公約の反映についてです。
 112項目に対して64の事業が盛り込まれているとのことです。市長がかかげた公約の「6つの挑戦」で、一番最初に「地元企業の受注拡大に努め、入札・契約制度の改善を行います」とかかげています。
 しかし、当選して真っ先に打ち出したのが、財界肝いりの都心アクセス道路の整備に向けた検討調査費の計上でした。誰が見ても構想段階から一歩踏み込んだものであり、市民からは「ムダ遣い」「札幌駅北側から札幌新道にかけての環境が悪くなる」と反対の声が上がっています。
 また、いま現在で数百億円もかかるといわれている都心アクセス道路計画は中止し、自動車専用道路や都心部再開発などゼネコンへの発注が優先される巨大開発から、くらしや福祉、中小企業支援優先に切り替えるべきと考えますが、市長の公約とかかわってどのようにお考えなのか、お示しください。
 質問の第6は、補正予算案についてです。
 秋元市長のもとで288億2,300万円の一般会計補正予算案が示され、当初予算の規模としては、札幌市政史上初めて9,000億円を超えるものになっています。
 市長は「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」を実現するため、世界都市・道都としての都市基盤の整備への取り組みを積極的に盛り込んだとしています。都市基盤の強靭化をすすめる再開発事業で、都心部やその周辺地区での再整備に多額の税金を投入しようとしていますが、国が推し進める大型開発優先の都市開発を率先して行おうというものであります。
 建設事業費は、骨格予算・肉付け予算案の合計で約1,013億円、肉付け予算案では、予算案総額の82%にあたる235億円が建設事業費であり、そのうち民間再開発促進に31億円が費やされることになっています。
 すでに着工している北1西1街区はもとより、北8西1、北4東6、南2西3など、総事業費950億円に対して本市の補助金181億円が投入され、いずれも今後4、5年の間に超高層ビル建設、大型開発が行われる計画に多額の税金が注がれることとなっています。住民の福祉と暮らしを最優先にした街づくりこそ必要だと考えます。
 1点目は補正予算案への基本的な考え方についてです。
 安倍自公政権の下、厳しい経済状況が続くなかで、実質 賃金や年金は下がり続けています。国保料や介護保険料は引き上げられ、消費税の更なる増税が予定されています。
 医療・介護・保育・教育に重点的に配分した予算とすべきと思いますが、いかがか伺います。今こそ、市民の暮らしを守る立場に立つことを最優先にすべきと考えますが、市長の認識を、まずお示しください。
 2点目は公共事業の在り方についてです。
 これからは、人口減少対策が急務であり、そのためには市民が安心して暮らし続けられるような個別・具体の地域づくりに本腰を入れなければなりません。大手ゼネコン向けの大型再開発ではなくて、本市に根を張って辛抱している中小零細業者が存分に力を発揮できる公共事業を行うべきと考えますが、いかがか。道路・街路、公園、河川の整備など市民生活の基盤整備や災害対策に直結する事業を集中的に行うのが市民の願いに応えることになると思うのですが、いかがお考えかうかがいます。
 3点目は中小企業支援についてです。
 インバウンドなど観光関連分野の強化や道外企業の誘致に力点が置かれている一方で、中小企業支援策が明確に示されていません。
 地元企業・中小零細業者支援など、足もとの経済の活性化に軸足を置き、域内経済の循環づくりにこそ力を注ぐべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 4点目は基金の活用についてです。
 財政調整基金と土地開発基金からそれぞれ25億円を取り崩すとしていますが、市民の財産である基金は、思い切って福祉・保育・教育に回すべきと考えます。
 特に土地開発基金とまちづくり推進基金は、一般財源として活用できるので、安心して医療・介護をうけるためには、国保料などの引き下げや減免拡充を行うことが出来ます。子育てをしながら働きたいという若い子育て世帯のためには、小規模事業保育や賃貸物件を使い、いつでも撤退可能な事業者で待機児童・超過入所の解消を図るのではなく、従来の社会福祉法人での認可保育所の整備・充実を行うこと、少人数学級・小規模学校で十分に教員の目が行き届く教育環境の整備へと舵を切っていくのが、新しい市長への期待だとわが党は考えるものですが、いかがお考えになりますか、うかがいます。
 また土地開発基金は、25億円取り崩しても現金で262億円、土地で331億円の残高見込みです。一方、市債の発行は122億円となり、当初予算と合わせて994億円です。次の世代にツケ回しをする市債の発行を増やすのでなく、基金を使うべきではないでしょうか、うかがいます。
 5点目は「世界都市」の考え方についてです。
 「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」の実現を目指すなら、子どもから高齢者・障がいを持った方など全ての市民が安心して本市で暮らし続けられる街とすべきです。
 「札幌市平和都市宣言」にあるように、「市民福祉」を守るために、「人類がひとしく平和のうちに暮らせる世界を実現」すべく尽力するのが市長の責任であり、世界から尊敬される仕事をしてこそ、「世界都市」を標榜できるのだと思うのですが、いかがかうかがいます。

 次に、子どもの貧困についてです。
 質問の第1は、子どもの貧困対策です。
 日本の子どもの貧困率は、過去最悪の16.3%に達し、6人に1人が貧困に苦しんでおり、本市としても独自の対策が急がれています。
 市長の選挙公約では、「子どもの貧困対策推進法に基づき、教育・生活・就労などの分野を総合的に支援する『子ども貧困対策計画』を策定する」としています。
 子どもの貧困対策を確実に進めていくためにも、本市の子ども達の貧困の実態について詳しく調査・把握したうえで計画を具体化していくことが重要だと考えますが、いつまでにどのようにすすめていくお考えか、市民の前に明らかにしてください。
 また、子どもの貧困は家庭の貧困と切り離せず、雇用やジェンダーの問題など深く関係しています。本市として、子どもの貧困を緩和し解決をめざす全庁的プロジェクトを立ち上げ、「貧困対策推進課」などの専門部署を設置すべきだと考えますが、いかがか。
 また、本市として子どもの貧困の緩和・解決を目指す制度、政策は、貧困対策全般の中に位置づけて取り組むべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第2は、学校の定期健康診断についてです。
 1点目は、精密検査を受けていない子どもへの対策についてです。
 本市では、小・中・高等学校で、9項目の定期健診を行っています。そのうち、精密検査を受けなければならないのに病院に行っていないという子どもがいることが明らかになりました。
 たとえば、尿検査では、小学校の全児童のうち、検査が必要と判定された児童は354人でしたが、そのうち143人が受けていません。中学校でも検査が必要な生徒が277人いますが、半数以上の142人が受けていません。
 学校での定期健康診断の結果、必要な精密検査を受けていない子どもがいることについて本市としてどのように受けとめておられますか。このような状況は問題であると思いますが、子どもの健康を守る対策を今後どのように講じるおつもりなのか、うかがいます。
 さらに、内科、歯科、眼科、耳鼻咽喉科検診については、精密検査が必要な子どもの実態を教育委員会として把握していません。これらの検診についても定期健診の結果を把握し、必要な検査を受けられるように改善すべきだと考えますが、いかがかうかがいます。
 2点目は、経済的な理由で病院に行けない子どもへの対策についてです。
 定期健診の結果、精密検査が必要でも、家庭の経済的な理由で病院にかかれない子どもが多くなっています。
 そうした家庭について、一定期間、無料や低額で病院を受診できる無料・定額診療制度を周知して必要な検査や治療を促していくべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第3は、子どもの医療費助成の拡充についてです。
 市長は、選挙公約で「子ども医療費の無料化を小学生まで拡大する」としています。一刻も早く小学生までの医療費の無料化を実施すべきと考えますが、いつまでに実施するのか明らかにしてください。
 また、子どもの貧困をなくすためにも18歳以下の子どもの医療費無料化を行うことを明確に決めた上で、拡充していくべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第4は、就学援助制度についてです。
 本市の就学援助制度は、生活保護基準額の1.1倍の一般限度額と住宅所有の1.05倍の特別限度額があります。
 生活保護基準引き下げが行われたことで、2014年10月に、札幌市就学援助審議会が「物価の変動や社会経済情勢を考慮して一定期間は、生活保護基準引き下げに連動させない」と答申していますが、一定期間に限定せず、継続して支援していくべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 また、現在、就学援助制度の対象となっていないクラブ活動費、生徒会費、PTA会費と必修科目になった柔道着、学習に影響が出ることが懸念されるメガネにも就学援助を拡大すべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第5は、奨学金についてです。
 1点目は、奨学金の対象についてです。
 本市は、1951年度から給付型奨学金制度を実施していますが、希望者の半分しか奨学金を受けることができていません。希望するすべての人が奨学金を受けられるように改善すべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 2点目は、給付型奨学金制度の予算化についてです。
 市長の選挙公約では、「給付型奨学金の創設や相談体制の充実に取り組む」としています。
 本市の奨学金は、市民などからの寄付によって奨学基金として積立ててまかなわれています。貧困と格差が広がる中で、経済的な理由で教育を受ける権利が侵害されることがないように、市民からの寄付だけに頼らず、きちんと給付型奨学金を予算化すべきです。市長が選挙公約で掲げた「給付型奨学金の創設」をいつまでにどのくらいの規模で行うのかうかがいます。

 次に、雇用問題についてうかがいます。
 質問の第1は、官製ワーキングプアについてです。
 総合評価方式の導入により、地下鉄東西線の清掃業務に従事する労働者から、時給が最低賃金より30円高くなり、休みも取得できるようになったと喜ばれています。
 しかし、これで官製ワーキングプアが解消されたわけではありません。市が率先して指定管理者制度のもとで働く労働者、市役所で働く臨時・非常勤職員などの処遇改善を行い、民間に対する賃金の底上げと労働条件改善の目標となるべきと考えますが、いかがか伺います。
 また、総合評価方式で仕事を受注した企業の追跡調査を行い、賃金や労働条件を市民に公表することで、官製ワーキングプアの解消を民間に喚起することになると考えますが、いかがかうかがいます。
 さらに総合評価方式は、受注企業に最低賃金価格を決めることができないなどの弱点があり、将来的には公契約条例の制定が必要だと思いますが、認識をうかがいます。
 質問の第2は、ブラック企業・ブラックバイトの問題についてです。
 現在、大学生の7割が、経済的な問題から学費や生活費のためにアルバイトを強いられています。サービス残業やノルマを達成できなければ商品の買い取りをさせるなどの違法・脱法な働かせ方が当たり前のように行われています。
 安倍政権が今国会で成立をねらう、「正社員ゼロ」「一生涯ハケン」という「労働者派遣法改悪」が導入されたら、ブラック企業が合法になってしまいます。
 一方、労働者も働くルールを知らない場合が多く、使用者側もルールを知らないまま雇用していることにも問題があると考えます。
 本市が2005年に作成した「労働相談道しるべ」は、働くルールがわかりやすく書かれており、ルールを啓蒙するには、とてもいい冊子です。これを活用してワークルール教育を拡充すべきと考えますが、いかがか。
 2013年、日本共産党がブラック企業規制法案を提起し、厚生労働省は「ブラック企業実態調査」を行ないました。道民の3割が暮らす札幌でも、本市としてブラック企業・ブラックバイトの実態を調査すべきと考えますが、いかがかうかがいます。

 次に、介護保険と障がい者施策について伺います。
 今年2月、東区で70歳代男性が、「すまん、母さん」という書き置きを残し、認知症の妻を殺害し、自殺未遂を図るという痛ましい事件がありました。「夜中も徘徊するため、風呂に入る暇もなかった」という自供からも、家族による在宅介護の厳しい実態が表面化しました。
 質問の第1は、介護保険制度についてです。
 今年度から、介護保険制度が変わり、要支援者の訪問介護と通所介護は予防給付から外され、要介護1,2の方々は特養ホームには原則入所できなくなります。
 認知症は、徐々に進行するために、気が付けば徘徊を繰り返す状態に至ることが多く、軽い認定区分のままでいる例もあることから、重い認知症でも要介護1・2のままで特養ホームに入れない方の増加が懸念されています。そのため、いま以上に家族が心身ともに介護に疲れ果てることが心配されています。本市で、要介護1,2の認定を受けている市民の実態調査をすすめ、在宅介護をしている家族を孤立させない独自の対策が必要だと思いますが、いかがかうかがいます。
 質問の第2は、介護報酬についてです。
 国は、今回の介護報酬の改定はマイナス2.27%と公表しましたが、民間団体の調査によると、道内の介護事業所の平均収支はマイナス10.5%にもなり、「経営が後退する」と回答した事業所は7割に上っています。一方で特養ホームの入所待機者は、2014年12月現在3,543人ですが、入所の対象外となった要介護1,2の方々を含めると、6千人以上となります。今超高齢社会を迎えようとしている本市では、介護施設の「人員不足」は深刻です。
 介護労働者の賃金は、全産業労働者の平均賃金と比べ、10万円も低い状態が続いています。また、健康不安や病気を抱えながら働いている介護労働者も多いことから、仕事をやめてしまい、残った職員がより一層の過重労働となり、また離職するという、悪循環が現場で起きています。このままでは人手不足によって、閉所せざるを得ない介護施設がますます増えることが懸念されます。国に対して介護報酬引き上げの再改定を求めるとともに、介護労働者の実態調査を行い、処遇改善に向けた対策をとるべきと思いますが、いかがかうかがいます。
 質問の第3は、障がい者施策についてです。
 2015年4月から精神障がい者手帳3級者の利用額がウィズユーカードの廃止に伴いプレミアム分2000円が引き下げられました。これに対し、当事者を中心に引き下げ撤回を求める陳情が2月、5月に出され、現在、厚生委員会で継続審査となっています。
 長年の差別を受けてきた歴史を持つ、精神障がいの方々にとっては、障がい福祉施策上では3障がい一元化されていながら、運賃割引制度が未だに精神障がい者だけ半額助成の対象となっていない事は耐え難いのです。
 1点目は、公開質問への回答の実現についてです。
 秋元市長は、札幌市長選挙時の民間団体の公開質問に対して、「市営交通である地下鉄・路面電車についても、率先して交通費割引を実行に移していきますし、民間のバス会社へも、交通費割引の実施に向けて協力要請を粘り強く行っていきます」と回答しています。
 本市がこの障がい者間の差別解消のために、責任をもって国や交通事業者に強力に要請するとともに、精神障がい者の運賃割引を地下鉄・市電で先行実施をすべきではないでしょうか。回答通りに約束を守るべきだと思いますが、うかがいます。
 2点目は、介護保険優先原則により、障がい者が福祉サービスを受けるにあたって、65歳になると、障がい者総合支援法から介護保険に移行させられる問題についてです。
 それまで受けることができた福祉支援が減らされ、受けることができなくなるうえ、自己負担が発生してしまいます。そのため、必要なサービスが65歳以降は受けられず寝たきりの状態が増え、褥瘡へと病状が悪化してしまう事例まで起きています。
 本市として、画一的な対応ではなく、障がいの特性に配慮した選択制の導入を図っていくべきと思いますが、いかがか。合わせて国に対して法整備の改善を強く求めるべきだと思いますが、いかがかうかがいます。

 次に、医療と国民健康保険についてです。
 質問の第1は、国民皆保険制度についてです。
 日本では憲法25条を具現化するために「誰でも、いつでも、どこでも」平等に医療を受けることができる皆保険制度が1961年に発足し、国民の命と健康を守ってきました。国民皆保険制度は社会保障の根幹であり、福祉の向上のためには欠かせないものだと思いますが、国民皆保険制度についての市長の認識をうかがいます。
 質問の第2は、国民健康保険料の引き下げについてです。
 本市の国保加入世帯の平均所得は1999年で140万9千円から2014年は96万8千円と44万円以上減少しています。保険料は下がるどころか2015年度は年金世帯では全世帯で引き上げられ、自宅に届いた納付書を見て「高くて払えない」との声が広がっています。
 また、必要な医療を受けられない市民が増え、いわゆる「手おくれ死」も出ている状況は大問題です。本市はこの間、国保料が高いことを認めており、平均保険料を据え置くだけでは解決されないことは明確です。国民健康保険法の総則第1条「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、社会保障及び国民保健の向上に寄与する」と自治体の義務を明記しています。据え置きでなく国の支援金15億と本市独自予算の繰り入れを行い保険料の引き下げに踏み切るべきと考えますがいかがかうかがいます。
 質問の第3は、資格証明書の発行についてです。
 国保料が高くて払えず滞納世帯が53,745世帯、短期証が20,851件・資格証明書が10,700件発行されています。
 本来皆保険制度で保険証が手元にないということは「異常」なことで、早期受診が出来ず、病気の重篤化にもつながる資格証明書の発行はやめるべきと思いますがいかがかうかがいます。
 質問の第4は、健康診断についてです。
 病気の早期発見と早期治療は重要であり、そのためには健康診断を受診することは大切です。
 しかし、本市の特定健診の受診率は20%にも満たない非常に低い状況が続いているのは問題だと思うのですが、市長の認識をうかがいます。
 質問の第5は、無料低額診療事業についてです。
 社会福祉法第2条第3項の規定に基づき、経済的な理由により適切な医療を受けられない患者が利用できる無料低額診療事業は、制度開始以降利用者が増え続けていますが、医薬分業のもと保険調剤薬局では無料低額診療事業を利用できないため、薬局で薬を受け取る際に自己負担が発生します。その薬代が払えずに薬をもらわない患者がいます。
 せっかく診察しても薬を服用しなければ治療は進みません。この間、無料低額診療事業への調剤薬局での窓口負担緩和に向け旭川市、苫小牧市、青森市、高知市などが市独自の助成を実施しています。国に制度改正を求めることはもちろん、無料低額診療事業を薬局にも拡げ、必要な治療が継続できるよう本市も独自で助成すべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第6は、医療費一部負担金減免についてです。
 本市では2012年12世帯、2013年4世帯、2014年8世帯の方しか利用しておらず市民に周知されていない状況が依然として改善されていません。
 また、国の基準は申請できる期限を設けてはいませんが本市は「失業後6か月を過ぎたら減免対象にならない」こととなっており、体調を崩したときが失業から6か月すぎていると制度を使えなくなります。「分納は認めつつも滞納している人は対象にならない」など、市民が受けやすい制度になっていません。
 帯広市では申請月から6か月を適用することとなっており、必要な市民の立場で制度がつくられています。派遣で働く市民が増え国保に加入する市民が増えています。医療費一部負担減免の基準を見直し、申請月からの制度開始にすること、申請の相談があった時は国保料の滞納についても納付相談で丁寧に関わり、国保加入時には窓口で制度の説明をして知らせる、医療機関にパンフレットやポスターで知らせるなどの工夫をして市民への「周知」を強めることが必要と考ますが、いかがかうかがいます。

 次に、保育と学童保育について質問します。
 質問の第1は、保育についてです。
 本市は「今年の4月までに待機児童ゼロを目指す」としていましたが、国の狭い定義でも69名が待機児童となりました。また「特定保育所のみ希望」し入所していない子どもは592名もいます。さらに、定員を超える子どもたちを入所させる超過入所は、901名となっており、これらを合わせると実質的な待機児童数は1500名以上になります。
 1点目は、待機児童対策についてです。
 補正予算では来年4月までの待機児童解消に向けて、当初予算と合わせて1006人分の定員増を図るとしていますが、まだまだ保育施設は足りず潜在的な保育ニーズに応える保育所の整備を進める必要があると考えますが、いかがかうかがいます。
 2点目は、子ども子育て支援新制度についてです。
 新制度では、保護者の労働時間によって、11時間の「標準時間」と8時間の「短時間」という保育時間の区別をつくりましたが、短時間認定を受けた保護者が保育時間を超えてしまうことが多く、それにかかる延長料金が保護者にとって大変な負担となっています。
 例えば年収約500万円の世帯で3歳未満の児童の場合、標準時間の保育料は月額22,550円で、短時間認定を受けた場合は22,170円となり、その差はわずか380円です。延長料金1時間100円の場合、4時間分の延長料金が加算されてしまえば標準時間よりも高くなってしまいます。
 利用時間を管理するためにタイムカードを導入した園もありますが、必ずしも同じ保護者が迎えに行くとは限らないため押し忘れが頻発するなど混乱が起き、「事務処理に手間がかかりすぎる」との声も広がっています。
 このように新制度における短時間認定は保育士側にも保護者側にもメリットがなく、全国では短時間認定をやめた自治体もあります。本市においてもすべて標準時間に認定すべきと考えますが、いかがかうかがいます。
 質問の第2は、学童保育についてです。
 1972年、共同学童保育所への札幌市からの助成を求める運動が始まり「学童保育連絡協議会」が結成されました。保護者たちと共同で運営し、障がい児保育、延長保育などに先駆的に取り組み、遊び、学習、休息などあらゆる面で放課後の子どもたちの発達を保障する「保育」の実践をリードしてきたと考えます。
 1点目は、民間学童保育所が果たしてきた歴史と役割についてです。
 この歴史を振り返り、民間共同学童保育所が本市の子どもたちの育成にどのような役割を果たしてきたとお考えか、うかがいます。
 2点目は、学童保育指導員の処遇改善についてです。
 昨年度、本市は、民間児童育成会の指導員の処遇改善を図る目的で実施した「保育緊急確保事業」で、指導員一人あたり31万2千円を上限額として補助しました。
 国は「1事業所あたり156万円」を基準としていたのに、本市は、指導員の役割を5つに分類し、その役割ごとに補助をするという札幌独特のルールをつくり、「一人あたり」に換算したため、その対象が歪められ、せばめられたことは問題です。
 国は、今年度も指導員の処遇改善事業を実施し、非常勤職員配置153万9千円を1事業所あたりに交付することとしました。国の要綱に従って、1指導員あたりではなく、1事業所あたりに補助するのが当然と考えますが、いかがかうかがいます。
 3点目は、児童クラブが設置されたあとから作られる学童保育所への助成金についてです。
 補正予算に、新たに2つの学童保育所への助成金が盛り込まれました。今後も、児童クラブが設置された小学校区に、あとから民間学童保育所が作られた場合でも、助成金の対象とすべきだと考えますがいかがか。対処方針について、うかがいます。

 次は、高齢者交通費助成についてです。
 高齢化によって自家用車を手放し、移動手段を持たない市民が増えています。バス停や地下鉄駅まで歩ければ良いのですが、「転倒の危険性がある」「体力的にも重い荷物が持てなくなった」「その他、健康上の理由」などから、どうしてもタクシーを使わざるを得ないのです。特に冬場は、買い物で使ったお金や病院の医療費よりも、タクシー代のほうが高くなり、少ない年金での暮らしは深刻です。
 質問の第1は、買い物難民の増加についてです。
 本市は、かつて経験したことのない超高齢社会を迎えるにあたり、都市部であっても、例外なく急速に買い物が困難となる高齢者が増えることが予測されますが、その認識と対策についてうかがいます。高齢者の生活範囲を広げ、生活の利便性の向上や社会参加を促進する新たな仕組みづくりは、本市の責務であり急がれる課題だと思いますが、いかがかうかがいます。
 質問の第2は、タクシー会社と連携した取り組みについてです。
 タクシーはドア・ツー・ドアで乗客を運ぶなど、利用者個々の要求に柔軟に対応できる特徴を持ち、住民に密着したサービスが提供できる公共交通機関です。
 すでに65歳以上の高齢者を対象とした乗車料金の割引を実施している会社もあります。本市の敬老優待乗車証、いわゆる敬老パスをタクシーでも利用できるような制度の改善、あるいはタクシー券が利用できる新たな制度の創設が必要になると思われますが、いかがかうかがいます。

 最後に、新さっぽろ駅周辺地区のまちづくりと小学校統廃合問題についてです。
 市長は「札幌市まちづくり戦略ビジョン」に基づき、新さっぽろ駅周辺地区のまちづくり計画の実現に向けて、今回の補正予算に6千950万円の事業費を盛り込みました。この事業は、地下鉄始発駅としての重要な整備の促進を目指すとともに、市営住宅の建て替えにより発生した余剰地の活用に向けた調査等を実施するものです。
 一方で本市は、少子化の影響による学校の小規模化に対応するとして、厚別区の青葉小学校、上野幌小学校など4つの小学校を学校規模の適正化すなわち統廃合の対象校として選定しています。
 このまちづくり計画の対象地域には、市内で最も高齢化率の高い青葉町が含まれています。高齢者の生活実態と意見を尊重し、目先の利益にとらわれることなく、地元住民の暮らしを支えるために、高齢者福祉や子育ての機能の充実が図られ、高齢者が住みやすく、若年層にも魅力的まちづくりが求められています。
 また、本市の実施したアンケート調査によりますと、「身近に豊かな自然がある」ことが、本市の魅力である一方、「子育て」と「老後」については、重要な課題であるという結果が示されています。これは、市民の子育てと老後への不安の表明であり、本市として早急に解決を図るべき課題です。市長の目指す世界都市は、過度な大規模開発に陥ることなく、住民の福祉と暮らしを最優先にしたまちづくり計画でこそ実現するものと考えます。
 さらに、本市全体にまもなく到来する超高齢社会を見据えれば、先行して高齢化している厚別区の新さっぽろ駅周辺地区は、市民の誰もが安心して暮らすことのできる本市のモデルケースとなるまちづくりとして位置づける必要があります。
 そこで質問ですが、少子化対策に逆行する小学校統廃合計画についてうかがいます。
 本市は、小学生が減ったという理由で、新さっぽろ駅周辺地区から徒歩十数分の青葉小学校など、厚別区内の4小学校の統廃合計画を進めようとしていますが、住民は、「小学校を失ったら高齢化に拍車がかかる」「災害時の避難場所がなくなってしまう」と心配しています。特に青葉小学校の近くには、保育園、幼稚園、児童会館や産婦人科、小児科などの病院、そしてウォータースライダのある緑豊かな公園とサイクリングロードなどがあり、市内でも子育ての機能と環境が充実している地域です。
 新さっぽろ駅周辺地区のまちづくりによって、厚別区全体の活性化を目指そうという時に、一方で少子化対策に逆行し、高齢化に拍車をかける小学校統廃合を行なおうとするのは、縦割り行政の弊害以外の何ものでもありません。
 「札幌市まちづくり戦略ビジョン」では、子どもと若者への対策として、安心して子どもを生み育てられるまちづくりをその基本目標に設定しています。まちづくりにおける学校の存在と役割は重要です。新さっぽろ駅周辺地区のまちづくりが進もうとしているなか、小学校統廃合を単独の問題として捉えるのではなく、一体的に検討をすすめることが必要であると思いますが、どのように認識されているのかうかがいます。
 また、子育て家庭の孤立化などによる子育ての不安や負担感の増加、いじめや虐待、不登校、引きこもりなどの問題もあります。子どもが減っている今こそ思い切って少人数学級を拡大し、子どもと先生が向き合う時間をつくるとともに地域全体で子どもを育む取り組みが求められていると思いますが、いかがか。
 さらに、新さっぽろ駅周辺地区の再開発によって少子化に歯止めをかけ、子どもを生み育てやすい環境と地域づくりをすすめるのであれば、厚別区の小学校統廃合計画は撤回すべきと考えますが、いかがかうかがいます。

 以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 8項目についてのご質問がございました。私からは、1点目の私の政治姿勢についてと、3項目目の雇用問題についてお答えをさせていただきます。残りのご質問につきましては、担当の副市長、それから教育長からご答弁をさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます。
 最初に私の政治姿勢についてのご質問でございます。まず、安全保障関連法案についてでございますが、安全保障関連法案に関しまして、3点のお尋ねがございましたけれども、1点目の法案を強行しようとする姿勢、そして、2点目の憲法の解釈につきまして、一括してお答えをいたします。
 この法案をめぐりましては、様々な意見がございます。様々な意見がありますが、現時点において政府の説明や国会での議論において、必ずしも多くの国民の納得が得られているとは言えないと認識をしております。この問題は、立憲主義や、今後の国の在り方にも係る非常に大きな問題でありますことから、政府におきましては、国民の疑問に耳を傾けて、丁寧で分かりやすい説明を行うとともに、また、国会においては慎重かつ十分に審議を尽くしていただきたいと考えているところでございます。
 また、不戦の決意についてでありますけれども、札幌市では市議会における平和都市宣言を求める決議の、全会一致での議決を踏まえ、平成4年3月に札幌市平和都市宣言を行っているところでありまして、人類が等しく平和のうちに暮らせる世界の実現を願う、この宣言の理念を市民の皆さんと共有することにより、平和の大切さについて、より多くの方と一緒に考えてまいりたいと考えております。
 3点目の沖縄の米軍新基地建設、移設問題につきましては、安全保障、外交といった国の重要政策に関する問題であると同時に、沖縄にとりましては、住民の安全・安心に関わる切実な問題であると認識をしてございます。日米の政府間で合意された事柄につきまして、軽々なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、政府におきましては、沖縄県民の思いを踏まえて、丁寧な対応が講じられることを願っているところであります。
 次に、原発再稼働についてでございます。1点目の政府のエネルギーミックスについてでありますが、福島第一原発の事故により、未だ避難を余儀なくされている福島の多くの人々の心情を察し、また、これまでの国民的な議論を踏まえますと、政府には、将来的な原発に依存しない社会を見据えた電源構成を追求していただきたいと考えております。
 2点目の泊原発の再稼働についてありますが、現在、国において審査中であり詳細は明らかにされていない状況でありますけれども、発電所の安全対策などについて、今後、国や事業者から丁寧な説明が行われ、そのことに対して道民、市民の理解が得られることが重要であると考えているところであります。再生可能エネルギーへの転換や、温暖化対策の推進につきましては、低炭素社会と原発に依存しない社会を目指すこととしている札幌市まちづくり戦略事業に基づき、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、労働者派遣法についてであります。1点目の派遣労働の拡大についてでありますが、派遣労働に限らず、低賃金や不安定な立場に置かれる労働者が増える状況は、少子化の進行にもつながり、札幌市にとって望ましいものではないと認識をしております。
 2点目の、労働者派遣法の改正についてでありますけれども、改正案には、派遣元に対し雇用継続のための措置や、計画的な教育訓練を義務付けるなど、派遣労働者の雇用安定や正社員化を含むキャリアアップを目的とする内容が含まれておりますが、一方で派遣期間の規制の見直しが盛り込まれており、正社員から派遣労働者への置き換えが進み、低所得の非正規労働者が増加する可能性もあることについては、危惧をしているところであります。いずれにいたしましても、労働者にとって安定的な雇用が図れることが重要であると考えており、引き続き国会でしっかりと議論をしていただきたいと考えております。
 次に、マイナンバー制度についてでありますが、マイナンバー制度におきましては、個人情報の適正な取り扱いを確保するため、法制度とシステムの両面から必要な対策が講じられているところであります。本制度は、国民にとって利便性の高い、公平・公正な社会を実現するとともに、行政事務の効率化につながる重要な社会的基盤となるものであり、必要な制度と考えております。
 次に、選挙公約の反映及び補正予算についてでございます。まず、選挙公約の反映及び補正予算の基本的な考え方、公共事業のあり方、中小企業支援につきましては関連をいたしますので、一括して答弁をさせていただきます。
 市民の暮らしと福祉につきましては、当初予算において、福祉関連予算をはじめ、市民生活に密着した対策をしっかりと盛り込んでおり、例えば扶助費は2,745億円と一般会計予算の3割を超えているところでございます。これまで札幌市が充実をさせてきました、人を大事にする施策はしっかりと継承しつつ、今回の補正予算におきましても、待機児童対策や高齢者医療、障がい者の生活就労支援など、上積みを図ったところでございます。公共事業につきましては、社会基盤整備の他にも、当初予算と合わせ、道路空洞化対策や、土砂災害防止対策、公共施設の耐震化など、市民の安全安心に資する事業を計上しているところでありまして、更に新さっぽろ駅や篠路駅周辺地区など、地域拠点のまちづくりを推進をすることとしてございます。中小企業支援につきましても、融資制度の拡充や地域商店街の支援、地元企業を中心に裾野の広い観光産業の振興など、地域経済の活性化に取り組むこととしているところでございます。
 次に基金の活用につきましては、その財政的な効果は一時的なものでありますことから、過度に依存すべきではないと認識をしております。将来の財政需要も意識しながら、他の財源確保策とのバランスなどを考慮しつつ、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 最後に、世界都市の考え方につきまして、市民が充実した日々の暮らしを送ることが、世界から憧れるような町、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける町の源泉になると確信をしており、誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続ける町。このことも、私が描く未来の札幌の姿として、掲げているところでございます。
 次に、3項目目の雇用問題についてお答えをいたします。まず、官製ワーキングプアについてでございます。1点目の官製ワーキングプアの解消についてでありますが、市の業務に関連する従事者の適正な労働環境を確保していくことは重要であり、今後とも必要な改善に取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
 2点目の総合評価方式で仕事を受注した企業の追跡調査と結果公表についてでございますが、総合評価方式で発注した業務に限らず、現在、建物清掃や警備等の、いわゆる労働集約型委託業務において、従事者の労働環境にかかる報告書の提出を求め、実態の把握に努めているところでございます。この実態を踏まえて、事業者と十分な意思疎通を図りながら、適正な労働環境が確保されるよう働きかけてまいりたい。このように考えてございます。
 3点目の、公契約条例の制定についてでございます。公契約条例は、企業の健全な経営に配慮しつつ、従事者の適正な労働環境の確保を通じて、公共事業の質を向上し、税金の地域内循環と、地域経済の活性化を図ることが必要と考え、提案をされたものでございます。その後、国内景気が好転し、公共事業などの設計労務単価も引き上げられ、雇用所得環境の改善傾向が続いておりますことから、今後、更に業界との意見交換を深め、地元企業の経営安定、若者や女性を含めた誰もが働きやすい職場環境の実現に向けて、まずは入札契約制度の見直しなどに取り組んでまいりたい。このように考えてございます。
 次にブラック企業、ブラックバイトの問題についてでございます。1点目の、いわゆるワークルール教育の拡充についてでありますが、労働法令違反を防止するためには、企業と市民が労働者の権利や法令の内容を理解することが重要であり、労働問題の事例や相談窓口を掲載した労働相談道しるべ、これをホームページで公開をしているところでございます。また、国において、労働法令のポイントをまとめた冊子を大学に配布しております他、出前講座など様々な取り組みをおこなっており、今後は国や関係機関と連携をしながら、企業や学生への周知に努めていきたいと考えております。
 2点目の実態調査についてでございますが、法令違反が疑われる企業の調査につきましては、監督権限を持つ国が取り組んでいくものと認識をしているところでございます。
 私からは以上であります。

板垣副市長 答弁

 私からは2項目目、子どもの貧困についてのうち、1つ目の子どもの貧困対策について、3つ目の子どもの医療費助成の拡充について、5つ目の奨学金についてのうち、2点目の給付型奨学金制度の予算化について、それと4項目目、介護保険と障がい者施策について、5項目目、医療と国民健康保険について、6項目目、保育・学童保育について、7項目目、高齢者の交通費助成についてお答えを申し上げます。
 まず、2項目目の子どもの貧困についてであります。そのうち、子どもの貧困対策についてでございますけれども、貧困対策の計画の策定、推進体制及び対策の位置づけの3点のご質問につきましては、一括してお答えをいたします。
 子どもの貧困への対策につきましては、まず、第1に子どもに視点を置いて、幅広く展開していく必要があると考えておりますが、関連する様々な施策とも連携させながら、全庁をあげて取り組んでいくことが大事だろうというふうに考えております。まずは現状の把握に努めまして、出来る取り組みから優先して進めるとともに、子ども貧困対策計画につきましても、関係者の皆様のご意見を十分にお聞きした上で、鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。
 次に、子どもの医療費助成の拡充についてでございますが、小学生までの医療費の無料化につきましては、実施手法や実施時期も含めまして、今後しっかり検討してまいりたいと考えております。また、対象となる年齢の更なる拡大につきましては、他の医療費助成制度や、子ども子育て施策全体の中での位置づけはもとより、財源なども勘案しながら判断していく必要があろうと考えております。
 次に、奨学金についてのうち、2点目の給付型奨学金制度の予算化についてでありますが、子ども達が経済的な事情により、大学などへの進学を諦めることなく、自ら未来を切り開いていけるよう、給付型奨学金の創設を公約に盛り込んだところでございまして、奨学金の創設に当たりましては、具体的なニーズをしっかり把握しながら、中期実施計画を策定する中で、開始時期や予算規模を検討してまいりたいと考えております。
 次、4項目目の介護保険と障がい者施策についてでございます。まず、介護保険制度についてでございますけれども、要介護認定者と介護者の実態につきましては、3年毎の介護保険事業計画策定のたびに、要介護認定者意向調査を実施しているところでございます。直近の調査結果によれば、介護の負担で最も多いのは「自分の時間が取れない」ことでありまして、介護負担を軽減するためのショートステイなど、在宅サービスの充実が必要だと認識しております。また、家族を孤立させない取り組みとしては、認知症の知識を市民に広めるとともに、適切な介護サービスに結びつけるための相談支援体制を充実するなど、家族介護者の支援を一層推進してまいりたいと考えております。
 介護報酬についてでありますけれども、今回の報酬改定では、制度の持続可能性を高めるために基本報酬を引き下げる一方で、中重度の要介護者及び認知症高齢者の受け入れや、介護人材の確保の推進のための加算が拡充されているところでございます。
 介護報酬改定の影響につきましては、国におきまして今年10月を目処に介護従事者の処遇に関する調査が予定されておりますところから、まずはその動向を注視してまいりたいと考えております。また、介護職員の処遇改善を図るためには、能力、資格、経験に応じた給与体系、いわゆるキャリアパス制度の適切な活用を促することが重要だと考えておりますため、事業者に対して必要な支援をしてまいりたいと考えています。
 次に障がい者施策についてであります。1点目の精神障がい者の運賃割引制度についてでありますが、障害者基本法の理念により、3障がい同一の考えのもと、精神障がいの方にも運賃の割引が実施されることが望ましいと考えておりまして、引き続き各事業者にはご判断いただけるよう訴えてまいりたいと思っております。札幌市の地下鉄・路面電車が先行して運賃割引をおこなう場合、減収による経営に及ぼす影響ですとか、バス事業者とは異なる取り扱いによります利用者の利便性の確保などの問題はございますが、関係者で連携・調整を図りながらしっかりと検討を進めて、判断してまいりたいと思っております。
 2点目の障がいの特性に配慮した選択制の導入についてであります。介護保険の対象となります障がいのある方は、障害者総合支援法の規定に基づき、介護保険法のサービスが優先されることとなっております。介護保険が、障がい福祉施策に優先する仕組みは、国の社会保障制度の枠組みに関わることでございまして、高齢の障がい者の支援のあり方について、現在、国で議論されているところでございます。札幌市といたしましては、年齢にかかわらず必要とされるサービスが円滑に利用することができるよう、また、制度間で著しい不均衡が生じないよう、他の政令指定都市と共同で改善を要望しておりまして、今後とも継続して国に働きかけをしてまいりたいと考えております。
 次に、5項目目、医療と国民健康保険についてであります。国民皆保険制度についてでございますけれども、国民皆保険制度は、誰もが必要な時に、安心して医療機関を受診できることを保障する、相互の支え合いの仕組みであり、日本の社会保障の中核の1つとして、極めて重要な制度だと認識しております。
 国民健康保険料の引き下げにつきましては、医療費が増加し続けても、保険料に連動させず、1世帯あたりの平均保険料を据え置くという取り組みは、加入者の負担を軽減するための現状考えられる最大限の取り組みであると考えております。
 次に資格証明書の発行についてでございますが、資格証明書は、特別な事情がないにもかかわらず、1年以上滞納を続けている世帯に対しまして、法令に基づいて交付しているものでありまして、その交付にあたりましては、個々の世帯の生活状況などを十分に考慮し、適切に対応させているところでございます。
 次に健康診断についてでございます。とくとく健診は、生活習慣病の発症や重症化の予防という目的から行っておりますけれども、現在の受診率を見ますと、健診の大切さがまだ十分に理解されていないものと認識しております。健診の目的をご理解いただけるよう、引き続き普及啓発活動に取り組むとともに、文書による個別の受診勧奨等を行うことで、受診率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次、無料低額診療事業の拡充についてでありますが、国におきましては、平成25年7月に実施いたしました無料低額診療事業の実態調査をもとに、調剤のあり方について検討をおこなっているものと聞いております。今後も国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 6つ目の、医療費一部負担金減免についてでございます。減免の基準につきましては、医療費が払えないという事実だけではなく、災害や失業等、そこに至る原因となった事由にも着目いたしまして、生活保護制度など、他の制度との連携も含め、減免の申請者の生活を支え、自立していただく観点から定めたものでございます。なお、申請時の滞納相談につきましては、事情等をよく伺い、丁寧に対応しているところでございます。制度の周知につきましては、加入者として知っておいていただきたい項目の1つとして、加入者の手引きやしおりに掲載し、加入時、あるいは保険証更新時に配布しているところでございます。
 次、6項目目、保育・学童保育についてでございます。1つ目の保育についてでございます。1点目の待機児童対策についてでありますが、新・さっぽろ子ども未来プランでは、将来的に保育所等を利用したいという潜在的なニーズも含めまして、保育サービスのニーズ量を見込んでいるところであります。このプランでは、平成30年4月時点でニーズ量を上回るよう、保育サービスの拡大を行っていくことを目標としておりまして、目標達成に向け、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
 2点目の、子ども・子育て支援新制度についてであります。保育の標準時間と短時間の認定につきましては、子ども・子育て支援法に基づき実施しているところでございます。短時間認定につきましては、主にパートタイムの就労者がいる世帯を想定し、その就労実態等に応じまして利用することが可能となるよう、8時間を最大限の枠として設定されたものでありますが、札幌市といたしましては、経過措置、特例措置を設けまして、保護者の負担が大きくならないよう配慮しているところであり、実状をよくお聞きしながらしっかり運用してまいりたいと考えております。
 次に学童保育についてであります。1点目の民間児童育成会が果たしてきた歴史と役割についてでありますが、議員ご指摘のとおり、その長い歴史の中で地域における留守家庭児童の居場所の1つとして、大きな役割を果たしてきたものと認識をしております。
 2点目の民間児童育成会指導員の処遇改善についてでありますが、昨年度の補正予算では、1指導員につき公平な改善を図るという観点から、事業者単位ではなく、1人あたりの上限額を設定したところであります。今回の補正予算におきましては、国基準に基づき、概ね児童40人を標準といたします、支援の単位を基本的な考え方として計上しておりまして、今年度の具体的な処遇改善のための助成方法につきましては、現在検討を進めているところであります。
 3点目の児童クラブが設置された後から作られます民間児童育成会への助成金についてであります。これまで民間児童育成会の新規開設に対する助成については、児童会館、ミニ児童会館及び既存の民間児童育成会がない小学校区に1か所のみとしてきたところでございます。一方、登録児童1人あたりの専用区画の面積が、条例で定めます基準面積を下回る過密化の解消が課題となっておりますことから、過密化しております小学校区におきましては、今回新設、既設を問わずに民間児童育成会を助成対象としたところでございます。今後とも、過密化解消に資する場合については、民間児童育成会を助成対象としてまいりたいと考えております。
 次に7項目目、高齢者の交通費助成についてでございます。まず、買い物難民の増加についてでございますけれども、今後の人口減少、超高齢社会を迎えるにあたりましては、買い物を含めた高齢者の日常生活を支える機能をいかに維持していくかが大きな課題であると認識しております。そのためには行政だけではなく、企業、関係機関、ボランティアなどが連携しまして、一体となって取り組んでいかなければならないと考えております。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、生活支援サービスの充実に取り組みますとともに、シニアサロンなど様々な活動の場、機会を創出することで、高齢者が社会でより一層活躍することを応援してまいりたいと考えております。
 次に、タクシー会社と連携した取り組みについてでございますが、敬老優待乗車証制度は、生活や身体状況など、個々の事情にかかわらず全ての高齢者に対しまして、それぞれの趣味やボランティア活動などのための外出を支援し、明るく豊かな老後の生活の充実を図る制度でございます。制度の持続可能性という観点からいたしますと、外出の際の移動手段としては、バス、地下鉄、市電に限定しておりまして、タクシーへの拡大は、あるいは新制度の確立は困難であると考えております。
 私からは以上でございます。

長岡教育長 答弁

 2項目目の子どもの貧困についての2点目、学校の定期健康診断について、4点目の就学援助制度について、5点目の奨学金についてのうち、奨学金の対象について、それから8項目目の新さっぽろ駅周辺地区まちづくりと小学校統廃合問題については、私のほうから回答させていただきます。
 まず、子どもの貧困対策、貧困についての2点目、学校の定期健康診断についてお答えいたします。1点目の精密検査を受けていない子どもへの対策についてでございますが、教育委員会といたしましては、必要な検査を受けていない子どもがいること、これは承知してございます。このことは好ましい状況ではないものと考えてございます。今後も学校と協力しながら、必要な検査を受けていない子どもや、その保護者に対し、働きかけを強めてまいりたいと考えてございます。また、内科、歯科、眼科及び耳鼻咽喉科の検査結果につきましては、各学校において把握してございまして、教育委員会といたしましてもその情報を共有し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 2点目の経済的な理由で病院へ行けない子どもへの対策についてでございますが、国の制度である無料低額診療制度については、養護教諭対象の研修会等において周知を図り、学校を通じて保護者にお伝えしてまいりたいと考えてございます。
 子どもの貧困についての4点目、就学援助制度についてでございます。就学援助制度は、義務教育を円滑に受けられることを目的に、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒に対し、学用品費などの援助を行うものでございます。今後も社会経済情勢や、財政状況などを踏まえ、認定基準や支給品目等について、適時検討してまいります。
 子どもの貧困についての5点目、奨学金について、その中の奨学金の対象についてでございます。札幌市奨学金は、寄附による基金の運用収入の他、一般財源も投入することで必要な事業費を確保しております。これまで、基金造成のため、篤志家、一般市民への寄附の呼びかけを行ってきたところであり、今後も1人でも多くの方に札幌市奨学金を受けていただくことができますよう、なお一層PRに努めてまいりたいと考えております。
 8項目目の新さっぽろ駅周辺地区まちづくりと小学校統廃合問題についてでございます。全国的な少子化傾向の中、一定の学校規模を確保し、子ども達に良好な教育環境を提供するためには、今後も学校規模適正化の取り組みを進めてまいります。また、取り組みを進めるにあたっては、まちづくりと一体で検討することが非常に重要と認識しております。上野幌・青葉地区では、地域では、既に関係校の保護者や地域の代表者等で構成する、小規模校検討委員会を設置し、まちづくりの状況等も踏まえて、望ましい教育環境のあり方について、検討を進めているところでございます。なお、小学校への進学時などに、児童に対してきめ細やかな指導をおこなうため編成している1学級35人の少人数学級につきましては、今後も国及び北海道の動向を注視しつつ、次年度も引き続き実施してまいります。
 私からは以上です。

村上 ひとし議員 再質問

 先ほど市長から奨学金の問題につきまして、開始時期、あるいは予算規模など、検討していくというお答えがございました。子どもの貧困の問題であると思いますし、家庭の経済的な問題で進学を断念せざるを得ないというのは、やっぱり無くすべきだと。そういう意味では、この奨学金、いち早く充実をさせていただきたいということを、最初に求めておきたいと思います。
 それと原発の問題でありますけれども、福島の原発の事故の原因というのが未だ明らかでないわけですから、安全対策というのは、今の時点でありえないということであります。それと、市長が目指している世界都市という点で考えれば、やはり原発を止めたまま廃炉にしていく。そして、市民や道民の暮らしや健康を守りつつ、そして第1次産業を中心とした観光産業にも大きな力点を置いていくという意味合いからも、泊原発は廃炉にしていくという決断が、私は必要だろうと思います。
 先ほど、敬老の優待乗車証、いわゆる敬老パスの問題で、制度の持続可能性という観点から困難というお話がありました。非常に冷たいご答弁でありましたけれども、買い物難民が都市部でも増えておりますし、この問題は、本当に避けられない、市としての大きな課題になっていくだろうと思いますので、どんな形があるのかということも含めて、私達からも提案をしていきますけれども、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
 3点質問させていただきます。1つは安全保障関連法案のことでありますけれども、国ではいろんな法律が作られます。しかし、この安全保障関連法案というのは、他の法律と比べ、異質の問題、危険性があると思います。だからこそ、いま、思想信条を超えて、全国で、いわゆるこの戦争立法に反対するという声と運動が、日を追う毎に高まっていると思います。札幌でも10代の若者が戦争する国づくりに反対するという声を上げたり、あるいは運動にも取り組み始めました。全ての市民にとって、非常に注目度の高い、重要な問題だということであります。だからこそ市民の代表である市長は、この安全保障関連法案に対する態度を鮮明に打ち出す必要があると思っています。改めて、安倍政権が力ずくで強行しようとしている安全保障関連法案に、賛成なのか反対なのか、お伺いをいたします。
 2点目は、無料低額診療事業についてです。この事業そのものは、生活保護基準の市民や、あるいは国保料が高くて払えないということで資格証明書が出されておりますし、それによって病院に行けないという、そんな市民がたくさんいる。こういう方達が一定の期間無料、あるいは低額で診療が受けられるという制度です。ですから、いろんな市の政策の中でも、必要な医療が受けられないで国民皆保険制度のひずみの中で困っている市民が、制度を利用できる病院に行ったら治療できるんです。ところが、医者も一生懸命治療しますけれども、治療しても検査しても、医薬分業になったために、調剤薬局に処方箋を持って行った時に、お金がないから、薬もらえないんですよ。かつては医療機関の中に薬局も併設されておりましたので、そういう問題はございませんでしたけれども、この医薬分業によってこういう不利益が出ている。やはり他都市でも、これを補助をするという市町村も出てきておりますので、関係する病院の意見を聞いたり、あるいは実態くらいは市独自で調査をすべきではないかと思いますけれども、この点についてもお伺いをいたします。
 3点目でありますけれども、新さっぽろ駅周辺地区のまちづくりのもとで、青葉小学校など4つの小学校が統廃合されると。計画にのぼっているということですけれども、私、先ほど青葉町というのは、市内で最も高齢化率が高い、お年寄りがたくさんいらっしゃる、しかも市営住宅が回りにいっぱいあったり、マンションも多いということで、密集度が高いんですね。そういう中で、例えば青葉小学校を失うということに対して、じゃあ避難場所はどうなるんだ。高齢者が多いわけですから、遠い避難場所に避難するというわけにはいかないわけです。このように、学校というのは地域の拠点であり、そしてまちづくりの要になっています。今、新さっぽろ駅地区の再開発、いわゆるまちづくりが行われようとしているわけですから、こうした避難場所の問題も含めて、教育委員会ではどんなふうに考えているのか。この点について3点、お伺いをいたします。

秋元市長 答弁

 3点ご質問ございました。最初に安全保障関連法案についてのご質問ございました。このことにつきましては、先ほども申し上げましたように、憲法解釈に関すること、あるいは自衛隊が戦闘に巻き込まれるようなことになるのではないか、というような、様々な懸念があり、今、先ほどご質問にありましたように、若い人達も含めて様々な行動に出られている。意見表明をされているというのは十分承知しております。そういった中でやはり、今これまでの進め方、あるいは国会での議論のやりとり、こういったことについては、十分な議論がなされていないのではないかという懸念を先ほど申し上げさせていただきました。そういう意味で、この法案の審議というのは、これは国会で行われていくものでありますので、その中で十分な審議を尽くしていただきたいというふうに、私は先ほど申し上げさせていただきました。

板垣副市長 答弁

 無料低額診療事業についての再質問、ご質問でございますけれども、この問題は保険調剤薬局での自己負担という問題でございまして、確かに議員ご指摘のとおりですね、医薬分業という国の方針に起因する問題といいますか、ひずみでございます。しかしながら、これはやはり国の問題でございますので、現在、国においても検討しているということでございますので、早期に社会福祉法に基づく第2種社会福祉事業としての位置づけを明確にしていただきたい。それが望ましいものと考えております。そういう意味で、まずは国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。

長岡教育長 答弁

 はい。新さっぽろ地区における小学校統廃合についての再度のご質問でございます。教育委員会といたしましては、子ども達の社会性、共生性を育み、良好な教育環境、これを提供するためには学校規模適正化の取り組みは必要であると認識してございます。一方でこの学校規模適正化の取り組みを進めるにあたっては、まちづくりの観点も非常に重要なものと認識してございまして、ご指摘のございました避難所の件なども含めまして、まちづくりと一体で検討してまいります。

村上 ひとし議員

 秋元市長、賛成か反対かというようなお答えにはなりませんでしたけれども、既にご存知のとおり、特定秘密保護法が強行的に成立をしておりまして、既に施行されております。こういうもとで、もしこの安全保障関連法案が成立した場合ですね、安全保障に関わる問題は、国家的な問題だということで、間違いなく特定秘密にされて、私達国民も、そして国会でも明らかにされない。そういう危険性があるということはご存知だと思います。ですから秘密にされたまま、海外のどこかで武力行使がおこなわれて、その結果戦争へと発展していくという危険性があるんです。ですから先ほど私が申し上げましたとおり、他の法案と違って、異質の問題と危険性がある。そしてそのことによって、私達市民や、それから市長自らのですね、いろんな政策に重大に関わるわけです。私は平和でなければ市民の暮らしや福祉を守っていくことができないと思っていますし、もちろん市長が、経済の問題でもアジアを中心とした観光産業を大きく拡大させるという方向性も打ち出しておりますけれども、この問題はですね、この札幌や北海道全体の経済の問題にとっても、重大な影響があると思ってるんです。だからこそ、市民の皆さんも不安に感じているし、反対する声が日増しに増えている。ですから、市長として、今の国が進めようとしている、いわゆる戦争政策にはきっぱり反対の姿勢を表明すべきだということを、改めて申し上げておきたいと思います。
 それと2点目の、無料低額診療制度の問題。国民健康保険、これ保険料高くて払えないという方が本当に多くて、資格証明書を持って病院の窓口に行っても10割払わなきゃならないんですよ。そういう方達も含めて、この無料低額診療制度が使われているんです。先ほど国の問題だと改めてご答弁いただきましたけれども、私は貧困対策の一環として重要だと思ってるんです。ですから、この無料低額診療制度というのは、これは他都市でどうやって導入しているのかということをぜひですね、調査をいただいて、拡充をさせていくという立場で進んでいただきたいと思っています。
 最後に、まちづくりの問題で、学校統廃合でありますけれども、もちろん避難場所の問題も合わせて検討するということでありました。私、今子どもが減っている時に、少人数学級をもっと、今以上拡大して、もし余った教室があるのであれば、地域の町内会や住民に開放しながら、そして住民と一体になりながら教育を進めていく。そのことが、地域全体で子どもを育て、そしていろんな関わりを持ってまちづくりにも生かされると思うんです。ですから、このまちづくりで新しくお金も投入して、そして若い人や子育てをする人をどんどん増やそうというのも、当然まちづくりの中であるわけですから、この統廃合計画は、住民の意見を尊重するのはもちろんですけれども、まちづくりと一体的に考えていく。先に統廃合ありきというような進め方だけはしてはならないということを申し上げて、質問を終わります。