2012110501 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案7件中、議案第1号、第2号の2件に反対し、残余の議案5件に賛成の立場から討論を行います。
 議案第1号「平成23年度札幌市各会計歳入歳出決算認定の件」に反対する理由を5点明らかにします。
 1点目は、職員定数の大幅削減です。
 職員236人削減し、他の分野に159人増やしたものの、差し引きで77人の定数減となりました。一般行政部門の職員比率は、政令指定都市中、最も低くなっています。職員の定数削減の影響で、職場によっては業務量が増えサービス残業が恒常的になっていることは問題です。職員が生き生きと働ける環境を保障する上でも、市民サービス向上の観点からも職員定数削減は問題であり反対です。
 2点目は、東雁来の子育てに特化した市営住宅の問題です。
 子どもが小学校を卒業したら退去することを入居の条件にし、時期が来たら強制的に退去させられるしくみをつくることは、公営住宅法の目的に照らして許されるものではありません。
 3点目は国民健康保険会計です。
 昨年度予算で見込んだ保険料軽減対策分の繰り入れ金95億2500万円に対し、決算額67億2900万円であり、不要額が28億円となりました。これを保険料の引き下げに回すと、一世帯あたり9300円の引き下げになります。繰り入れを予算通り確保し、払いたくても払えない高すぎる国保料を引き下げるべきです。
 1992年度の国保の加入者平均所得は279万円でしたが、今年度は95万円と、3分の1に減っています。所得は減っているのに国保料は上がるという事態は問題です。
 また、滞納が続くと保険証を取り上げられ、資格証明書が出されることになりますが、今年5月現在で1万237世帯に交付されています。資格証明書では、病院の窓口でいったん10割を支払わなければならないため、受診抑制がおこり、手遅れ死が後を絶ちません。資格証明書の交付は、資力がありながら故意に支払わない悪質滞納者に限り、それ以外は保険証を交付すべきです。
 4点目は、後期高齢者医療会計です。この制度は、高齢者の受診抑制を第一の目的にしており、年齢で医療を差別する制度は廃止すべきです。よって決算に反対です。
 5点目は、基金会計です。
 本市の22の基金が2011年度決算で総額2798億円となっています。まちづくり基金は、231億円積み立てられ、土地開発基金は676億円にもなっています。かつてなく厳しくなっている市民生活を支えるために、これらの基金の適切な取り崩しを図るべきです。保育料値上げなど、市民への負担増が強行されている中、必要なところに有効に活用できる、柔軟な活用をはかるため、必要であれば条例改正を行って、市民福祉の財源として活用すべきです。
 次に、議案第2号平成23年度札幌市病院事業会計決算についてです。
 市立病院の病床数を810床から764床に削減し6床室を4床室に改造して差額ベッド料を一日あたり2100円徴収することとなりました。市内の病院で4床室でも差額ベッド料をとっているのは市立病院だけです。市民誰もが安心して医療を受けられるようにするのが公立病院の役割であり、一般病床ベッドを減らす一方、差額ベッドを増床したことは問題であり反対です。
 以上、議案第1号第2号への反対理由を述べてまいりました。次に、代表質問および決算特別委員会で取り上げた課題について述べてまいります。
 まず、危機管理対策室についてです。
 厳冬期、大災害で交通マヒ、道路の寸断が起きたとき、その日のうちに備蓄物資を運ぶことができず数日間毛布も食料もなしで過ごさなくてはならないことが想定されます。本市でこのような災害が起きた場合、厳しい寒さで、市民や弱者が凍死してしまわないよう、市立小中学校を(仮称)基幹避難所に位置づけて、備蓄物資を配置する検討をしていますが、基幹避難所だけでなく、すべての避難所に最低限の備蓄物資を配置するべきと質しました。基幹避難所に備蓄物資を配置することを想定し、危機管理対策室は、「避難場所基本計画検討委員会」に、「すべての避難所に備蓄物資を配置することは効果的でなく、基幹避難所に配置するのが適当ではないか」と、勝手な判断に基づき誘導していることは問題であり、市民の命優先という立場から、すべての避難所に最低限の備蓄物資を配置すると言う考え方で検討すべきです。
 市長政策室についてです。
 本市指定管理者における職員は2011年度、3169名で、そのうち正規職員は1144人で33%となっています。非正規職員の賃金は正規職員の60%でしかなく、格差は重大です。非正規職員の正規化と賃金の改善を行うために、あらたな運用ガイドラインを検討する時期が来ていること、事業者の選定内容の見直し、雇用実態のサンプリング調査の再実施、4年の公募期間の見直しを求めます。
 次に市民まちづくり局についてです。
 北1西1街区に建設が予定されている再開発ビルについて過大な開発にならないように、保留床の面積など一層の精査を行うべきです。また、2300人を収容する多目的ホールは、現在、4階とされていますが、より低いフロアに設置すべきです。
 大通交流拠点地下広場整備基本計画についてですが、22億円という総事業費に、「市営住宅の家賃減免制度や保育料を値上げしてまでやることか」「納得できない」「今やる必要があるのか」という声もあり、市民理解が得られているとは言えません。市民合意がないままで着手するべきではないことを申し上げておきます。
 10区の区民センターのうち、土足禁止としてスリッパ履きとしている大ホールが4カ所あることを指摘しました。スリッパで履きであるために、高齢者が転倒する危険があること、帰りに靴を間違えるというトラブル、衛生上、安全上でも対策が求められることから、早急に改善すべきです。
 次に財政局についてです。
 税の滞納整理についてですが、滞納者の生活再建をすることで、税も納められるという立場で指導・相談をすべきです。会社の運転資金まで差し押さえるような強権的な差し押さえはすべきではないこと、市税の窓口が、多重債務や自殺から市民を守るためのゲートキーパーの役割を果たすこと、生活保護の相談を勧めることも含め、滞納者の生活再建を支援できるよう、職員研修を位置づけるべきです。
 保健福祉局関係です。
 児童心療センターで医師5名のうち4名が退職の意向を示したことについてとりあげました。静療院成人部門と児童部門を切り離し、新たに複合福祉施設を作ろうとしているさなかに起きた退職表明は、偶然に起きた個人的な事情によるものだとはとうてい思えません。理念のないまま、成人部門施設だったところに障がい児施設を入れていく空き部屋対策が先行し、当事者や現場の医師・職員の声を十分に聞いてこなかったことで矛盾が広がり、医師の同時大量退職に結びついたと認識すべきです。利用者・現場職員とあらためて丁寧な話し合いを重ね、もう一度最初から計画を練り直すことを強く求めておきます。
 生活保護受給者に対する職権による保護廃止についてです。求職活動をしているのに「報告がない」というだけで保護を廃止した事例をとりあげました。保護受給者に対して何らかの措置をとらなければならない場合においても、「窓口支給」にする、廃止ではなく「停止」にするなどして、最後のセーフティーネットである生活保護を廃止する際には慎重のうえにも慎重を期すべきです。
 介護保険料滞納者に対する給付制限についてです。65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は年金から天引きされることが基本で、天引きされていないのは年金がひと月1万5000円に満たない低所得者です。お金がないために保険料を払えず、介護サービスを必要とするときにサービスを受けられないという給付制限は、あまりにも過酷です。このような給付制限をあらためることを強く求めるものです。
 次に子ども未来局についてです。
 児童虐待についてです。2011年度は、児童虐待相談受付処理件数は、437件でした。
 虐待の背景は、親の不和、経済的な問題、子育ての不安、病気、孤立など様々であり、最近は、実母、実父によるネグレクトが多くなっています。多くが在宅で指導することになりますが、児童福祉司は、初期対応に追われ、その後は、十分時間をかけられないなど、人員不足は深刻です。児童福祉司のさらなる増員を行うべきです。
 発達医療センターについてです。
 本市が計画している複合施設は、豊平区の1カ所で検討していることから施設の状況や体制の問題など課題も大きく、障がいのある子どもを抱っこして通うことが大変であり、利用者の不安も大きいことから職員や利用者の声をよく聞いて無理のない計画にすべきです。
 待機児童の解消と、保育の質の確保についてです。保育ルームは、将来認可保育所に移行できるように支援を行なっていくべきこと、幼稚園の預かり保育や保育ママは保育の質の低下につながることを指摘し、認可保育所を増やすことで待機児童と超過入所を解消すべきことを申し上げます。
 次に環境局についてです。
 ていねプールは、当面、存続することになりましたが、存続に当たって現在無料となっている中学生以下の利用料を有料化することを前提としていることは問題であり、無料で利用できるようにするべきです。
 熊対策については、出現データを分析するとともに、樹林地を分断している住宅地、沢沿い、丈の高い藪など熊が出やすい場所を特定し、有刺鉄線による柵を張ることが有効であるため、専門家と協力して取り組むべきです。
 地球温暖化対策についてです。原発即時ゼロと温暖化対策を両立させるためには、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーを進めることが重要な課題であることを指摘します。
 経済局についてです。
 市内中小企業に対し、25歳から34歳までの若年層の正規職員としての雇用を促進する「企業向け若年層雇用安定助成金事業」について取り上げました。多くの地元中小企業に利用してもらうため、この事業へのニーズや改善点などを広く聞き取り、利用される事業にするよう求めます。
 日本の食糧自給率が40%と低い中で本市の農業を守るため、新たな農業の担い手を育てていくことが必要です。都市型近郊農業としての特徴をいかし、タマネギの「札幌黄」など札幌特産の野菜をブランド化するとりくみを強めることが期待されます。
 観光文化局についてです。
 北1条西1丁目に計画されている再開発ビルの中心施設となる多目的ホールついてです。ホールの維持管理費がかかるために使用料が高くなるということのないよう、維持管理費を低く抑える検討をすすめるべきです。自主事業のレベルを上げるため、プロデューサー・芸術監督を配置して、市民の中に文化と芸術を積極的に広げるよう求めます。
 中島体育センターは地元市民が多く利用しており指導者の育成のための講習にもよく利用されています。新しい中央体育館の建設にあたっては、中島体育センター廃止ありきの考えにたたないこと、長く中央区民が望んでいる本市直営のプールの設置も検討するよう求めます。
 次に建設局についてです。
 1時間当たり35ミリメートルを超える局地的な豪雨が近年多く見られるようになりました。「雨水流出抑制に関する指導要綱」で定める3000平方メートル以上の敷地だけでなく、それ未満の敷地についても、浸透マスや緑地、雨水貯留管の埋設など民間に協力を依頼して雨水流出の抑制が図られるよう求めます。
 地下鉄駅周辺の駐輪場整備を急ぐべきです。「暫定的な措置」だとして長期にわたって歩道を駐輪場にしたままのところは歩行者の通行にも支障をきたしており、民間の土地を借りるなども視野に入れた整備を求めます。
 都市局関係です。
 市営住宅家賃減免見直し問題についてです。市営住宅入居者の3割が家賃減免を受けており、そのほとんどの世帯が生活保護基準を下回る収入で生活しています。家賃減免の縮小で値上げをし、最低生活費をいっそう大きく割り込んで厳しいくらしに追い込むようなことは、許されるものではありません。公営住宅法、憲法第25条に照らして、家賃減免制度の見直し・値上げは白紙撤回すべきです。
 次に消防局についてです。
 増加する単身高齢者世帯での火災を防止するため、単身高齢者世帯の防火訪問および、サービス付き高齢者住宅へのスプリンクラーの設置状況、介護事業者に対する指導について防火安全対策の指導を強めるよう検討すべきです。
 最後に教育委員会についてです。
 いじめの問題の対策についてです。
 日本は、国連子どもの権利委員会から3度も勧告されています。勧告では、日本の教育について、「いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺につながることを懸念する」と述べ、日本の子どもの権利が脅かされている現状を指摘していることから、高度に競争主義的な教育環境を改善していくとともに、いじめの問題は、早期発見が大切であると指摘しました。いじめの問題には、担任だけでなく、校長をはじめ、教員集団が力を合わせ、子どもと真剣に向き合って問題解決に向けて取り組むことが大切です。少人数学級の早期実現、教員の増員、スクールカウンセラーの増員などが求められています。
 期限付き教員についてです。
 1年ごとの期限付きでは、不安定な雇用で先の見通しが持てず落ち着いた教育活動をすることが難しくなります。教員の定数欠については、正規の教員を採用すべきです。 
 就学援助についてです。
 就学援助は、経済的に厳しい家庭に給食費や学用品代を援助する制度ですが、クラブ活動費・生徒会費・PTA会費、めがね、柔道着についても親の経済状況によって子どもの学習権が侵害されないように就学援助の拡大を検討すべきであることを求めます。
 以上で私の討論を終わります。