私は、日本共産党を代表して、市政に関わる重要問題について順次質問いたします。

 最初に市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、新年度予算案についてです。
 1点目は、市長公約の反映についてです。
 新年度予算案は、秋元市長による任期最後の本格予算であり、一般会計で前年度比151億円、1.5%増の1兆116億円と当初予算ベースでは、市政史上初めて1兆円を突破しました。
 市長は、予算規模が拡大した主な要因として「アクションプラン」で掲げた施策の実現と、喫緊の課題である「子どもの育成支援」「女性の活躍推進」「経済・雇用」の推進をあげ、とりわけ待機児童解消に向けた保育所等の整備によるものとのべました。
 2015年の札幌市長選挙で、秋元市長が公約に掲げた「待機児童ゼロの実現」「子ども医療費の無料化を小学生まで拡大」「給付型奨学金の創設」などは、いずれも市民の切実な要望であり、その願いを市長に託して一票を投じた市民も少なくなかったと考えます。
 「アクションプラン」で掲げられた市長公約の進捗状況が明らかにされ、公約関連事業112項目のうち2019年度までの達成見込みは109項目、達成率は97.3%としています。
 しかし、子どもの医療費の無料化を小学1年生までにとどめ、給付型奨学金の対象を10人のみとし、待機児童は新年度予算を立てても、なお昨年10月時点の2,748人を解消できていません。これらのことについて市長は「公約を実現した」とお考えになっているのか、認識を伺います。
 2点目は、開発計画をすすめる上での中長期的な財政見通しについてです。
 新年度予算案では、世界都市としての魅力向上や経済・雇用の拡大など「アクションプラン」にもとづく再開発事業の推進が柱の一つに据えられています。
 予算計上されている南2西3西南地区や北8西1地区など、6つの民間再開発事業への補助総額は65億8,100万円で、その最終的な補助金は総額約257億円となり、完成が目前の北1西1地区再開発事業への補助金約156億円と合わせ約413億円にのぼります。
 今後、さらに大通東1街区などの都心再開発事業や都心アクセス道路、MICE施設の建設、新幹線の札幌延伸と札幌駅周辺の大規模な再開発、冬季五輪招致など、莫大な費用を要する事業が計画されています。
 秋元市長の就任以降、一般会計の市債残高は、臨時財政対策債を含め、右肩上がりに推移し、2014年度から2018年度までで1,393億円増え、1兆1,227億円となる見込みであり「将来にツケを回すことにならないか」との懸念を広げています。
 市長は、市債残高について「アクションプランの見込み額を下回る」「将来に過度な負担を残さない」とのべていますが、そうであるなら、今後の中長期の大型開発などの計画・費用とともに財政見通しを市民に明らかにしていくべきだと考えますがいかがですか伺います。また、市債の発行をどのように抑制し、減少に転じていくお考えか伺います。
 質問の第2は沖縄の米軍基地問題についてです。
 1点目は、相次ぐ米軍機の事故についてです。
 この間、沖縄では米軍機の事故が相次ぐ異常事態となっています。NHKのまとめでは、2016年12月の名護市安部(あぶ)にオスプレイが墜落した後、1年余りで米軍機の事故・トラブルは20件を超えました。
 昨年10月にはCH53大型ヘリが東村高江で炎上・大破し、12月には宜野湾市の緑ケ丘保育園にCH53大型ヘリの部品が落下、その6日後には普天間第二小学校に大型ヘリから8キロもある窓が落下しました。
 さらに、今月9日には、伊計島で重さ13キロもあるオスプレイから落下した部品が見つかりました。
 「わずか数十センチずれていたら、園児が遊んでいる園庭に落下した」という緑ヶ丘保育園では、園長が「死人が出なければ政府は動かないのか」と憤り、父母会は園の上空を飛行しないよう求める嘆願書を提出しました。
 しかし、こうした事故が起きるたびに県や市町村が抗議し、飛行停止を求めても、米軍はこれを無視し、何事もなかったかのように飛行を再開しているのが実態です。
 市長は、このような米軍の横暴なふるまいについて、どのようにお考えか伺います。また、こうした米軍の横暴、勝手がまかり通っているのは、日本政府の米軍追従の姿勢にあると考えますが、市長の見解を伺います。
 2点目は、オスプレイなどの訓練移転についてです。
 政府は「沖縄の負担を軽減する」として、米軍普天間基地に所属するオスプレイの訓練移転を日本全土にすすめようとしています。
 昨年8月には、豊平区の西岡演習場や清田区の有明演習場を含む、北海道大演習場でオスプレイが参加する日米共同訓練が実施されました。
 駐日米大使は「道内でのオスプレイ訓練は欠かせない。今後も継続的に行う」とのべています。
 墜落事故をくり返すオスプレイは、かねてより構造的な欠陥が指摘され、エンジンが停止しても安全な降下を可能にするオートローテーションの不備や空中給油が極めて難しいなど、安全性への懸念がぬぐえず、危険なオスプレイの飛行は容認できるものではありません。
 「負担軽減」を口実に、日本全土に訓練を移転すれば全国で米軍機による事故が相次ぐ恐れがあると思いますが、どうお考えか、市長の見解を伺います。
 質問の第3は、東区の共同住宅「そしあるハイム」で発生した火災についてです。
 1月31日午後11時40分頃、東区にある生活困窮者支援を目的とした「そしあるハイム」での火災で入居者16人のうち男性8人、女性3人の計11人が亡くなりました。 
 同施設は築50年で旅館を改築した木造2階建てで生活困窮者や高齢者が暮らしていました。
 1点目は、有料老人ホームの届出状況と今後の対策についてです。
 2016年、厚生労働省の有料老人ホーム届け出状況調査によると、本市の届け出済み有料老人ホームは165施設ですが、未届けの有料老人ホームは231施設ありました。
 未届けが、届け出施設を上回るのは、全国でも札幌だけの特異な実情です。
 本市では、届け出をしない有料老人ホームが多い理由をどのように分析されているのか、市長のご見解を伺います。また、現在の届出状況と今後の安全確保策について伺います。
 2点目は、公的支援策の拡充についてです。
 2009年に群馬県渋川市の無届け施設「静養ホームたまゆら」で10人が死亡した火災では、その半数以上は東京都墨田区が紹介した生活保護受給者でした。
 専門家は「介護施設にも障がい者施設にも入れず、民間の賃貸物件にも敬遠され、行き場のない単身高齢者や困窮者は多い」と指摘しています。
 2015年厚生労働省は、社会福祉法など法的位置付けの無い施設に関する実態調査を実施しました。
 この調査は、生活保護受給者が2人以上入所し、住宅の提供以外に、何らかの料金を徴収している施設を対象にしたもので、全国に1,236施設あります。
 そのうち本市が195施設を占め全国で最多となっています。特に、本市の場合には、高齢者を対象としたものが158施設と全体の8割を超えているのが特徴です。
 これは、生活に困窮した高齢者が、市営住宅や養護老人ホームなどに入れず民間任せになるなど、住宅施策の貧困のあらわれだと思いますがいかがか、市長は「生活に困窮する方々が安心して暮らせる住まいをどう確保するのか大きな課題である」と述べています。
 こうした痛ましい事故を無くすためには、公的支援策を抜本的に拡充していく決断が必要だと思いますが認識を伺います。
 3点目は、ケースワーカーの役割についてです。
 本市は火災後、施設を運営する「なんもさサポート」と生活保護受給者らに「そしあるハイム」を紹介したことがある支援団体などへの聞き取り調査の結果、食事は提供されていたものの、入居条件を高齢者に限定せず、入居時に下宿として運営してきたことなどから「そしあるハイム」は有料老人ホームにあたらないと判断しました。
 また、入居者が長期間にわたり住んでいたことから無料低額宿泊所にも該当しないとしています。
 しかし、火災のあった「そしあるハイム」には、入居者16名中、13名が80代を含む65歳以上で単身高齢の生活保護受給者でした。
 中には、足が不自由な人や介護の必要な人も入居しておりました。今後、再発防止に向けた具体策を講じるにあたりケースワーカーの役割は重要です。
 ケースワーカーは、定期的な面接や訪問などを通じて保護受給者の住居を含めた生活実態を把握しうる立場にあります。また、医師の意見書などで保護受給者の病気や障がいの状態は行政に報告されます。
 ケースワーカーは保護受給者が生活を営む上で複数の情報を基に、その人にとって必要な支援を組み立てることが求められています。
 そこで「そしあるハイム」への入居に至る経緯を把握するために、保護申請時からのケース記録を含め検証する必要があると思いますが市長の認識を伺います。また、入居者の安全を確保する観点から、ケースワーカーが住居を訪問した際、防災上の不備が懸念される場合には、消防局などへの情報提供も積極的にすべきだと思いますがいかがか伺います。

 次は、都心アクセス道路についてです。
 質問の第1は、建設事業費についてです。
 都心アクセス道路は、札幌北インターチェンジ付近から北3条通までの約4キロ区間の国道5号創成川通を整備しようとするものです。想定される整備形態は地下構造・高架構造・交差点改良の3つの案が検討されています。
 昨年12月に出された開発局の試算によると、全線を地下で整備する場合は約800億から1,040億円、高架の場合は約560億から720億円、交差点改良の場合は約85億から170億円の総事業費がかかるとされています。
 地下と高架の2案の場合には、札樽道との接続工事も必要となりますが、新たにどの程度の建設費となるのか。また、地盤の強弱と埋設物などによって建設事業費は更に変動すると言われていますが、どの程度の変動幅を見込んでいるのか伺います。さらに、開発局が2016年度に行った落札価格1億円以上の土木工事のうち、落札後に契約内容を変える「設計変更」により建設費用が増額された工事が110件あります。中には設計変更が繰り返され、落札価格から3倍以上の総事業費にまで膨らんだ工事もあることから、建設事業費の試算そのものに対する市民の疑念は深まっています。
 地下もしくは高架の整備形態では、すでに開発局の試算通りの建設事業費とならないと思われますが認識を伺います。
 質問の第2は、維持管理費についてです。
 新たに道路を建設すると、完成後には道路の維持管理費がかかることになります。地下構造いわゆるトンネルの場合には、照明灯・電光掲示板・高圧受電などの設備のほか交通量が多く長距離となる場合には、トンネル内を換気するためのジェットファン、都心部で増加傾向のゲリラ豪雨などによるトンネル内への浸水に対応する排水ポンプなどの設備機器も必要となります。
 例えば、総延長884mの創成トンネルには片側4基、両側車線で合計8基のジェットファンが設置されています。これは総延長約4㎞のアクセス道路を全線トンネルで整備した場合に、両側車線で36基のジェットファンが必要になる計算です。
 ジェットファン1基の分解、清掃にかかる費用は約1,000万円で、36基の場合には3億6,000万円かかることになります。
 本定例会、市長は予算方針の説明の中で「歳出では今後、公共施設の老朽化対策に係る経費の増大が見込まれるなど、楽観視できる状況にはなく、今後も不透明な状況が続くと見込んでいる」と述べられました。
 そこで伺いますが、アクセス道路の整備によりどの程度の維持管理費が見込まれるのか。また、新たな高規格道路建設による維持管理費の増加は公共施設・インフラの老朽化対策の遅れなど、影響を及ぼすものと考えますがいかがか伺います。
 質問の第3は、都市の魅力と活力向上についてです。
 2月16日、市長は、道の窪田副知事、札幌商工会議所の勝木副会頭と共に国土交通省高橋国土交通政務官に対して「2030年度末の北海道新幹線の開業効果を道内各地に波及させ、広域的な交通ネットワークを形成するには不可欠である」などとして、アクセス道路整備に向け予算確保や調査を求める要望書を提出したと報道されています。
 市長は要望後の取材に対して「国が受け止めていると改めて感じた。今後も市民への情報提供や合意形成に向けた努力を進めていく」と述べています。
 本市は、アクセス道路整備の目的として、渋滞の緩和・観光客の利便性向上・物流の効率化などを図り、都市の魅力と活力向上につなげるなどアクセス道路の効果のみ強調しています。
 しかし、創成川通の混雑度は0.87と、4段階ある混雑度の中で最低ランクです。国道36号豊平3条1丁目、豊平橋付近の混雑度1.93と比べても混雑度は半分以下です。
 特に、国道沿いに札幌ドームがあり、大型商業施設の建設もされるなど国道36号の混雑度は更に高くなっていると考えられます。
 観光客の利便性向上の点では、2016年の4定わが党代表質問で「札幌北インターを利用する都市間高速バスの割合はどの程度なのか」という質問に対し、当時の吉岡副市長は「現行の走行経路で約1割程度が利用している」と答弁されました。
 都市間高速バスは、ほとんど札幌北インターチェンジを利用せず、高速道路を使用しても、国道12号や36号などを経由し、大谷地・北広島インターチェンジなどが多く利用されています。また、札幌北・新川インターチェンジの利用や渋滞は圧倒的に通勤時間帯に集中しているのが実態です。
 したがって「今後新幹線札幌延伸やインバウンド観光客の増加による更なる観光需要を取り込むとともに、全道へ波及することも可能となる」という本市の説明は根拠に乏しいものと言わざるを得ません。
 また、石狩湾新港と物流の効率化を図ると言う点でも、入って来るものはLNG・液化天然ガス・木材チップ・砂利と砂などがほとんどで、札幌の都心部に入って来るものはごくわずかです。
 本市への物流は、千歳空港、室蘭港、苫小牧港、白石のJR貨物札幌貨物ターミナル、大谷地流通センターなどからが主流で、高速は北広島・大谷地・北郷インターチェンジ、国道は36号、12号の利用が多いのが実態です。
 都心への車の流入を増やすアクセス道路の建設は環境首都札幌にも相反するものであり、人と環境に配慮された総合的な見地で検討をすることこそ求められていると思いますが、ご見解を伺います。
 また市長は「人口減少時代いわゆる生産年齢人口が少なくなるもとで経済の活力を維持していくためには、国外からの活力をどう取り入れるのか、すなわち外需の拡大が必要である」旨の発言をしています。
 しかし、公共交通への誘導で車の流入を抑制し、歩いて観光できる都心部は、観光客の滞在時間が確保され消費も増えるなど、地元経済も活性化されます。
 何よりも多くの観光客は、北海道、札幌に対し、広大な大地と豊かな自然、食文化に魅力を感じているのです。
 こうした札幌独自の魅力と強みを活かしてこそ、経済の活力の維持につながると思いますが、いかがか伺います。

 次は、公有地の売却についてです。
 2006年、東札幌地区開発の商業・業務ゾーンを、本市はプロポーザルで事業を募集し、大和ハウスグループが選定されています。
 大和ハウスグループは本市の土地2.86haを16億円で購入、「イーアス札幌」として、商業施設やボルダリングジムなどテナントを入れて経営してきました。
 ところが2017年1月、本市との10年間の指定期間が切れると、その3カ月後の4月に大和ハウスは外資系の会社に売却しました。
 大和ハウスは、2015年、本市の東雁来第2土地区画整理事業の保留地6.1haを19億3,454万6,000円で取得しました。さらに2017年には、新さっぽろ駅周辺の市営住宅跡地の開発を、公募型プロポーザルで募集したところ、大和ハウスグループが選定され、本市所有の土地4.9haを44億2,950万円で購入する仮契約を結び、大学や商業施設、ホテル、高層マンション、医療施設など10棟の施設群の建設を進める計画です。
 この新さっぽろ駅周辺地区は、1971年「副都心」として位置付けられ、地下鉄東西線の始発駅・JR駅・バスターミナルなど交通の結節点であるとともに、区役所・区民センターを始めとした公共施設、文化・医療・商業などの生活利便機能がコンパクトに集積された厚別区の拠点です。
 将来にわたり市民の共有財産として極めて価値の高い地域であります。
 しかし、まさか土地まで公募型プロポーザルによって売却されるとは、多くの区民は知らないのが実態です。
 国土交通省はプロポーザルの意義を「建築物は国民共有の財産であり、建築後何十年にもわたり使われていくものであるから、設計料の多寡ではなく、最も適した設計者を選定する」とのべていますが、何十年使う国民共有の財産どころか、東札幌地区開発では、指定期間が外れた途端に売却されました。その売却価格は明らかにされていませんが、仮に土地の評価額が上がれば、民間が莫大な利益を手にすることになるのです。
 本市との指定期間を過ぎれば、民間が土地を自由に売ることも再開発することができるわけですから、市民から見ると、民間の利益のために市有地を売却しているのではないか、という疑念を抱かざるをえないのす。
 さらに、一等地の多くを市が関与できなくなっていく心配があり、今の子どもたちが20年・30年後、本市で暮らす時、「ここに子どもと楽しめる文化施設が欲しい」と思っても、民間の土地になっているのですから、結果として住民の要求に添ったまちづくりが出来なくなると考えます。
 市民共有の財産である市有地を、将来にわたり民間の市場に明け渡すことは、地方自治体の本旨である住民の福祉に反すると思いますがいかがか伺います。

 次は、医療・福祉施策の充実についてです。
 質問の第1は、介護保険料についてです。
 年金は減り、介護保険料の負担増は繰り返され、もはや年金生活者には介護保険料の支払いは限界です。
 特に、介護サービスを利用する場合の、利用料負担も強化され、介護度が高くて病気の症状が重く、介護と医療の両方で自己負担をしている人、施設に入所して食費・居住費の全額負担をしている人などには過酷な負担増です。 
 また、介護が必要と認定されながらも、経済的な理由で必要なサービスの利用を制限する人は依然と多く、サービスを利用している人であっても、支払可能な金額で介護サービスの内容を決めざるを得ないのが実態です。
 本市は、介護保険制度の3年ごとの見直しにより、2018年から、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料を、現行5,177円から5,773円に引き上げる案を示しています。
 介護保険の財源は、本市の特別会計で運営していますが、その余剰金を積み立てた「介護給付費準備基金」から27億円を繰り入れ、保険料の上昇を抑制したといいます。それでも年間約6,000円の負担増となります。
 この負担増にとどまらず、厚生労働省は、さらに2025年に全国平均では約1.5倍の8,165円になると試算しています。
 第1号被保険者の保険料は、月額1万5,000円の年金からも天引きし、1万5,000円以下の場合は、納付通知書で納付します。
 介護保険は、給付サービスを増やせば、保険料が上がる構造的な問題に加え、所得税・住民税、国保料に比べても所得の少ない人ほど負担割合が高くなる逆進性が強いことから、低所得者ほど重い負担となり、必要なサービスを受けられないことが懸念されます。
 保険料を引き下げるためには、税金を投入する以外にありません。今、本市がおこなっている一般会計からの繰入を増やし、介護保険料の引き下げをすべきと思いますがいかがか。また、国と北海道、市町村で積み立てている「財政安定化基金」の市町村分は、第1号被保険者の保険料によるものですから、これを保険料引き下げに使えるようにするなど、国に対して要望すべきと思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は国民健康保険についてです。
 1点目は、資格証明書についてです。
 国民健康保険制度では、国保料を1年以上滞納した人は保険証を「返還」させられ、代わりに病院の窓口でいったん医療費の全額を支払う「資格証明書」に置き換えられることになります。
 後日、滞納分を収めれば、現役世代なら給付分の7割を払い戻される建前ですが、多くの場合、それも滞納返済に充てられ、実際には払い戻しはありません。
 つまり、保険料の支払いが困難な人から保険証を取り上げて医療費の全額を被保険者に払わせるものです。わが党は、受診抑制を招き、医療を受ける権利を奪うものであり、資格証の発行はやめるべきと求めてきました。本市は、資格証を発行する目的について、わが党の質問に「折衝機会の確保のために交付している」と答弁していますが、折衝した結果、納付に結び付いた世帯数は明確に集計しておらず、実態の把握もしていません。
 横浜市は検証した結果、資格証明書は収納率向上に効果的ではないと判断し、資格証の発行を大幅に減らしています。本市も、早急に検証を行うべきだと思いますがいかがか伺います。
 2点目は、国民健康保険の都道府県化についてです。
 2018年度から、国保の都道府県化が実施されます。
 本市は2017年度、保険料軽減対策分として、一般会計から30億円の法定外繰り入れを行っていましたが、2018年度は、都道府県化により保険料が平均約5,000円下がる見込みであることを理由に、法定外繰り入れは予算に盛り込まれていません。
 国のガイドラインでは、一般会計からの法定外繰入については、5・6年のうちに削減・解消を目指すとされ、厚生労働委員会では一般会計からの繰入は「市町村が判断すること」としていますが、本市は、都道府県化になったとたん保険料軽減対策分の繰入をやめています。
 市民は、高すぎる国保料を引き下げ払える国保料にしてほしいと要望しています。本市は昨年同様の繰り入れをおこない、国保料の引き下げを行うべきと思いますがいかがか伺います。

 次に、子どもに関する諸施策についてです。
 質問の第1は「札幌市子どもの貧困対策計画(案)」についてです。
 1点目は、子どもの貧困の実態についてです。
 2009年、国は初めて日本のOECD(経済協力開発機構)の基準に従った「貧困率」を公表しました。国際的な比較のなかで、日本の子どもの貧困率、とりわけ母子世帯における貧困率の高さが問題になりました。
 さらには、他の国では税の再分配を行うことで、所得格差の縮減や低所得世帯に対する支援策を講じ、貧困率が減少していますが、日本は世界で唯一貧困率が上昇しており、これについて大学の教授など専門家は「税の控除や社会保障が機能していない」ことだと指摘しています。
 2013年「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、本市でも「子どもの貧困対策計画」策定にあたり、2016年10月~11月実態調査を行いました。
 調査結果から、「経済的理由により家族が必要とする食料を買えなかった」経験のある世帯が17.2%、うち非課税世帯では34.9%でした。「冬に暖房が使えなかった」という回答は8.1%、うち非課税世帯では19.6%でした。また、子どもについて「病院を受診した方が良いと思ったが受診させなかった」世帯は18.4%で、うち非課税世帯では、24.2%と実に4人に1人が必要な医療を受けていないことがわかりました。保護者が受診を我慢しているケースは、39.1%、非課税世帯では48.5%と約半数に及びます。
 これら、命に直結する設問ですら「できなかった」と回答している世帯がこれだけ多くいることについて市長はどう受け止めるのか伺います。
 2点目は、貧困に対する具体的な対策についてです。
 「札幌市子どもの貧困対策計画(案)」では、「本市の子どもの貧困対策を計画的に進めることで、困難を抱えている子どもやその世帯をより効果的な支援につなげること」を趣旨として計画を策定するとしています。
 本計画についてわが党の質問に対し、市長は「実態調査の結果からは困難を抱える世帯ほど、必要な政策等の情報を得られていない傾向にあることが確認されたところであり、必要な情報を確実に届けられるよう、検討してまいりたい」と答えております。
 しかし、調査結果からは、「制度やサービスについてまったく知らなかった」という回答の数よりも、すでに就学援助や児童扶養手当などを利用しているという回答が多く、これは、制度を利用してもなお、生活が苦しいという実態の表れだと思いますが、いかがか伺います。
 この計画案には掲載されていない、「給食費の無償化」は多くの子どもたちが対象となり、「無料低額診療制度の薬局への適応」は、低所得の家庭が治療の機会を得ることになります。そのような手立てをすぐに打つ必要があると思いますがいかがか伺います。
 本計画案の基本理念には「子どもが生まれ育った環境などに左右されることなく」と書かれていますが、子どもはすぐに成長します。計画策定や対策に時間をかけていては「左右されること」になりかねません。
 本計画案では、「取り組み状況や効果等を検証し、必要に応じて施策の充実や見直しを図っていきます」としていますが、それでは、今現在貧困状態にある子どもたちは、改善されることなく放置されてしまうことが懸念されます。そうならないために、本市はどのような手立てを講じるお考えか、伺います。
 質問の第2は、財政の効率化で進める学校統廃合についてです。
 2007年6月、財務大臣に向けて、財政制度等審議会が「平成20年度予算編成の基本的考え方について」の建議を出しました。その中で、小規模校について「教育施策・効果上の問題があり、財政上も非効率である」「今後は、統合・再編の推進に向け…地域に応じた制度設計やインセンティブの付与等についての検討を進め…教育にかかるコストを縮減していくことが必要」と要望し、その後、文部科学省は2015年1月「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を各教育委員会に通知しました。
 この手引きには、学校の適正規模・適正配置すなわち学校統廃合を実施する際に活用できる予算事業として、スクールバス購入費補助、学校統廃合した場合の教員定数の加配措置、施設整備補助支援などを行い、あからさまな財政誘導で学校統廃合をあおってきました。
 本市は国と同様に小規模校は非効率と考えているのですか。そもそも、教育の現場に財政の効率を持ち込むこと自体が間違いだと考えますが、見解をお聞かせください。

 最後に、環境・エネルギー施策についてです。
 質問の第1は、CO2排出削減目標の引き上げについてです。
 昨年行われたCOP23は、2020年に開始する「パリ協定」の実効性を高めるためのルールや目標について議論されました。「地球の平均気温の上昇を1850年ごろに比べて2度より十分に低く抑え、1・5度に抑えることを目指す」ため、各国の温室効果ガス排出削減の目標をこれまで以上に引き上げるための仕組みづくりが議論され合意しました。
 本市は、環境首都札幌を掲げ、諸施策に「環境」という言葉を入れていますが、その取り組みの拡大に最大の力を発揮して、あらゆる分野で促進すべきと考えます。
 第4回定例会のわが党の代表質問で、COP23の議論内容に触れながら、地球温暖化抑止という課題の解決に向けて、全力を注ぐ必要性について質問したところ、本市は、温暖化抑止は「世界全体で立ち向かっていく必要がある」という認識を示されました。
 「全世界で立ち向かっていく」ために、本市の温暖化対策の中期目標、「2030年に1990年比25%削減」をさらに引き上げることについて、検討を始めるべきだと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、「脱石炭」の流れについてです。
 COP23で、日本は石炭火力問題でも世界から厳しい目を向けられました。原発と石炭火力発電を「ベースロード電源」と位置づけ、その輸出や開発を成長戦略の柱に推進しているからです。
 2011年の福島第一原発事故を機に、全国で石炭火力発電所の新増設計画が進められ、2012年以降に計画された国内の石炭火力発電所は49基で、うち4基が計画中止・変更となりましたが、2基はすでに稼働し、北海道でも2019年稼働で釧路火力発電所の建設が計画されています。
 石炭火力発電は、火力の中で最も多くCO2を排出し、その量は、液化天然ガス火力の2倍以上と言われています。この計画通りにすべての石炭火力発電が稼働すれば、その能力は4割増となり、政府がかかげる2030年度のCO2削減目標を6,000万トン以上超過するとの試算が出されています。また、道内にはすでに、苫東厚真、奈井江、砂川などに10基の石炭火力発電所があり、北海道電力の発電の49%を占めるほどになっています。
 本市は、CO2削減のための取り組みを広げ、市民、事業者との力を合わせ、2015年段階で71万トンCO2を削減したところですが、こうした削減の努力を日々積み上げている一方で、CO2を排出し続ける石炭火力発電所があらたに増設されようとしていることについて、本市はどのようにお考えですか。CO2削減を推進している本市としてのご見解を伺います。
 質問の第3は、住宅分野における温暖化対策についてです。
 1点目は、高断熱住宅についてです。
 昨年の決算特別委員会で、エネルギー消費の少ない住宅の普及について質疑しました。
 「全住宅の10%が目標であるが、どの程度普及しているのか」との質問に対し「全住宅に対する割合は把握していないが普及は進んでいると認識している」と答弁されました。
 全住宅の10%に普及することを着実に達成するためには、現状がどうなっているのか、まず実態を把握すべきと考えますが、どのように対処されるのか伺います。
 2点目は、マンションなどの集合住宅での「外断熱改修」の促進についてです。
 2016年の「札幌市分譲マンション管理実態調査報告書」によると、市内には分譲マンションが17万戸を超え「年々増加傾向にある」とされています。
 中でも「老朽化問題」「建て替え問題」等に直面する可能性がある築25年を経過したマンションは1,418棟、7万458戸となっています。
 現在の住宅エコリフォーム制度は、専有部分をリフォームする際には対象となりますが、外壁などの共有部分のリフォームは対象とされていません。
 専有部分のリフォームでは内断熱となりますが、断熱材が連続しないため十分には機能せず、室内の結露、それによるカビの発生などを完全には抑えることができません。
 北海道は「外断熱改修のすすめ」というパンフレットを発行し、大規模修繕の際の外断熱改修を勧めています。
 ある建築家は札幌市内で7カ所のマンションで外断熱改修を行ったとしており、すでに市内でこうした取り組みが始まっています。 
 そうしたところから、よく聞き取りを行い、本市がすべき支援などについて具体化し普及を図るべきだと考えますが、いかがか伺います。
 3点目は、ネット・ゼロ・エネルギー住宅の普及についてです。
 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとは、略語で「ZEH(ゼッチ)」とも呼ばれ、建物の「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」、つまり、断熱性の高い住宅に、再生可能エネルギーを導入してエネルギー消費量収支がゼロとなる住宅のことです。
 国は、CO2削減のため「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上をZEH(ゼッチ)にすることを目指す」としており、現在、その普及のために、経産省・環境省・国土交通省それぞれが、新築・改築するハウスメーカーや中小工務店に対して補助金を出しています。
 暖房の要らない住宅として、本市では「札幌版次世代住宅」の普及を進めています。これにさらに、再生可能エネルギーによる発電を組み合わせ、お風呂や照明などに必要なエネルギーコストをゼロにすることができます。
 通常の住宅建築費用に、250万~300万円程度の費用がかかりますが、エネルギー消費の効率化を図る「見える化」システムHEMS(ヘムス)と組み合わせることで、家庭におけるエネルギーの自給自足ができます。
 光熱費を低く抑えられることから、長期的にはかかった費用が相殺されます。家族の省エネ意識の高まりや、子どもたちの自然科学への興味の醸成など、環境教育効果にもつながるものです。
 本市は、エネルギー消費量のうち、約6割が民生家庭部門であることから、こうした住宅の普及が必要だと考えますが、このようなネット・ゼロ・エネルギー住宅について、本市はどのように評価されるのか、普及のために努力されるお考えはないのか、伺います。

 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で6項目にわたりご質問をいただきました。私からは1項目目の私の政治姿勢について、そして2項目目の都心アクセス道路についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては担当の吉岡副市長、岸副市長、長岡教育長からご答弁をさせていただきます。
 最初に私の政治姿勢についての1点目、新年度予算についてお答えをいたします。
 まず市長公約の反映についてであります。公約に掲げた項目につきましては、アクションプラン作成時に5年間の財源を明示しつつ、必要な施策全体のバランスを考慮して計画に位置づけ、これを着実に実施してまいりました。平成30年度予算におきましては、喫緊の課題や事業効果を踏まえ、アクションプランを大幅に上回る保育定員の確保に加え、全小学校における算数少人数指導の前倒しなども織り込み、子供の育成支援に力を注いだところであります。今後も社会情勢や市民ニーズに対応した施策の充実に努めてまいります。
 次に開発計画を進める上での中長期的な財政見通しについてであります。中長期にわたる町づくりを進めていく上で、より長い期間を見据えて計画的に対応していくということは重要であると考えております。一方で中長期の財政見通しを立てる上では、社会経済情勢の変化など、見通すことが困難な事情もありますことから、引き続き効果的な手法等について研究してまいりたいと考えております。
 市債の、市債の発行に関しまして、まず建設債につきましては、既存施設の更新需要が高まっていく中で、新規施設も含め、優先事業を厳選することに加えて、交付税措置を伴う地方債を活用することで、市債残高や札幌市の実質的な負担を抑制するよう努めているところであります。
 また増加傾向にあります臨時財政対策債につきましては、地方交付税の代替措置であり、社会保障分野も含め、幅広く活用できる重要な財源であると認識しておりますが、本来的には国が地方交付税の法定率の引き上げによって対応し、臨時財政対策債は廃止すべきと考えておりますので、この点について国に対して引き続き要望してまいりたいと考えております。
 次に、沖縄の米軍基地問題についてお答えをいたします。まず米軍機の事故についてでありますが、沖縄の皆様にとりまして、安全安心に関わる切実な問題であると認識をしております。沖縄の米軍基地問題につきましては、安全保障といった国の重要政策に関する問題でありますが、政府におきましては県民の思いを踏まえた、丁寧な対応を講じていただきたいと考えております。
 次にオスプレイの訓練移転に伴う問題についてであります。米軍機による事故などを踏まえ、引き続き国の責任において徹底した安全管理が図られることが重要であると考えているところであります。
 次に3点目の東区の共同住宅火災についてお答えをいたします。まず有料老人ホームの届け出状況と今後の対策についてであります。有料老人ホームの届け出をした場合、基準に沿った運営をおこなうために多大な労力や費用がかかると考えているということが、届け出をしない大きな要因ではないかと認識をしているところであります。札幌市ではこれまで事業者が届け出するように、丁寧な説明に努めておりまして、今年の2月1日現在で未届け件数は162件に減少してきているところでありますが、今後においても、未届けの解消に努めるとともに、関係部局間でより一層連携を深めながら、各種法令にしたがって安全対策にかかる適切な指導をおこなってまいりたいと考えております。
 次に公的政策の拡充についてでありますが、高齢者や生活困窮者の安全安心な暮らしの確保については、非常に大きな問題であると考えております。これらの方々の安定した生活と、居場所の確保に向けて、支援のあり方を含め、行政としてどのような課題があり、何ができるのかを検討しているところであります。
 次に、そしあるハイムの入居経緯の把握とケースワーカーの役割についてということでありますけれども、ケース記録等を確認をし、そしあるハイムへの入居に至る経緯については既に確認をおこなっているところであります。また、福祉部局と消防局の連携が重要であると認識しており、これまでも情報共有をおこなってきたところでございます。現在、国においても、ケースワーカー等の福祉事務所職員と消防部局の協力による防火体制について、協議が進められておりますことから、こうした痛ましい事故の防止に向けて、更なる情報共有のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 次に2項目目、都心アクセス道路についてであります。
 まず建設事業費等についてと、維持管理費についてお答えをいたします。昨年12月に開催をされました、国、北海道、及び札幌市からなる検討会において、想定される各整備形態について、単位距離や、箇所あたりの概算の費用が国から示されたところであります。今後整備形態の組み合わせなど、道路構造の検討を進めていく予定でありまして、その構造を踏まえて事業費や維持管理費が算出されていくこととなります。道路構造等の検討状況につきましては、その進捗に応じて市民に対し丁寧に情報提供してまいります。なお、公共施設等の老朽化対策につきましては、中長期的な視点を持ち、計画的に進めていく考えであります。
 次に、都市の魅力と活力向上についてであります。札幌市では、平成24年1月に策定をいたしました総合交通計画に基づき、公共交通を軸として交通体系を確立するとともに、適切な自動車交通や、人と環境を重視した都心交通の実現等を目指し、様々な交通政策を進めているところであります。この中で、都心アクセス強化は、道内の各地域や港湾、空港等の交通拠点との広域的なネットワークを強化するための取り組みとして位置づけられているものであります。
 私からは以上であります。

吉岡副市長 答弁

 私からは6項目目、環境エネルギー施策についてお答えいたします。
 最初に1点目のCO2排出削減目標の引き上げについてですが、我が国ではパリ協定を踏まえ、温室効果ガスの主要排出国としての責務を果たすとともに、国際社会を主導していくための長期的な目標として、2050年までに80%の削減を目指しているところであります。札幌市におきましても、同様の目標を掲げ、この長期目標を見据えた2030年の中期目標として、温室効果ガス排出量の25%削減を目指しており、現状ではその達成のために最大限の削減に努力が必要となりますことから、まずはこの高い目標の達成に向け、着実に取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、脱石炭の流れについてでありますけれども、石炭火力発電所の増設につきましては、国においても環境面の他、安定したエネルギー供給や経済性、国際的な評価などの観点から幅広く議論されており、その動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、住宅分野における温暖化対策についてでありますけれども、まず高断熱住宅についてであります。現在札幌市エネルギービジョンに掲げる目標にどの程度到達しているのか、現状の把握に向けた調査をおこなっているところでございます。
 次に、マンションなどの集合住宅での外断熱改修の促進についてでありますけれども、民間集合住宅の高断熱化の普及に向けましては、来年度市営住宅における外断熱改修の実証実験をおこなう予定でありまして、その結果を踏まえ、今度どのような取り組みが有効なのか検討してまいります。
 次に、ネットゼロ・エネルギー住宅の普及についてであります。ZEHに限らずエネルギー消費量の少ない住宅が普及することは、温暖化対策の推進に有効なものと認識しております。北海道は本州と比べて暖房負荷が大きいことから、まずは高断熱高気密住宅の普及を図ることが優先であると考えており、現在の札幌版次世代住宅制度や、札幌エネルギーエコプロジェクトによる新エネルギー機器導入への補助制度、これらの活用によりZEHへの対応も可能でありますことから、これらの制度の普及に努め、住宅省エネルギー化を進めてまいりたいと考えているところであります。
 私からは以上でございます。

岸副市長 答弁

 私からはご質問の中の3項目目、公有地の売却について。4項目目、医療福祉施策の充実について。それから5項目目、子供に関する諸施策についての1点目、札幌市子供の貧困対策計画案について。以上についてお答えをさせていただきます。
 まず3項目目の公有地の売却についてであります。町づくりは行政のみならず多様な主体によって担われるべきでございまして、民間の創意や資本を活かしながら、連携した取り組みを進めることが不可欠と考えております。札幌市に活用計画がなく、民間が活用できるような公有財産については、売却などを通じて土地そのものの活用を図ることも住民の福祉に寄与するものと認識をしております。
 次に4項目目、医療福祉政策の充実についてであります。1点目の介護保険料についてでございます。まず一般会計からの繰り入れを増やすことについてですが、介護保険制度は保険料と国、都道府県、市町村による公費負担の割合が法令により定められておりまして、札幌市独自の繰り入れにより保険料を引き下げることは適切ではないと考えているところでございます。
 次に、国への要望についてでございます。財政安定化基金は介護保険法に基づき都道府県が設置をしてございまして、市町村に財政上の不足が生じた時に貸付をおこなうなど、制度の安定的な運営のために必要なものであることから、保険料引き下げのための活用は困難であると考えております。なお、保険料の高騰を抑制することは重要と認識しておりますので、国による財政支援措置につきましては引き続き、他の政令指定都市と連携して要望してまいりたいと考えております。
 2点目の国民健康保険についてでございます。まず資格証明書についてでありますけれども、資格証明書は折衝の機会を得ることを目的に交付をしているものでございまして、ご指摘のような検証については特におこなっていないところでございます。資格証明書の交付により、問い合わせや納付相談などがあることから、このような機会を充分に活用をさせていただき、個々の生活状況等に応じたきめ細やかな対応につなげているところであります。
 次に、国民健康保険料の引き下げについてであります。平成30年度の保険料を試算したところ、保険料軽減対策のための法定外繰り入れをおこなわなくとも従来据え置いてまいりました1世帯あたりの平均保険料を下回る見込みとなったところでございます。このような場合には法定外繰り入れの速やかな解消を図ることが必要であると、北海道の考え方も踏まえまして、札幌市としては繰り入れをおこなわないという判断をしたところでございます。
 次に、5項目目。子供に関する諸施策の1点目、札幌市子供の貧困対策計画案についてでございます。まず子供の貧困の実態についてでありますが、実態調査からは困難を抱えてる世帯において、生活に直接関わる食料購入や受診などで、より抑制の傾向が確認されたところであり、札幌市においても深刻な状況にあると受け止めております。
 次に、貧困対策の早急な実施についてであります。実態調査からは困難を抱えている世帯ほど、必要な支援策を知らないなど、相談支援における課題が確認されましたことから、困難を把握し、支援につながる体制強化を特に推進すべく取り組み等をしたところであります。今後計画に盛り込んだ事業を着実に実施をし、必要な支援が広く確実に届くよう、運用時期からの切れ目のない支援の実現に取り組むとともに、普段の検証をおこない施策の充実や見直しを図ってまいりたいと考えております。これらを通じまして、困難を抱えている子供の世帯の暮らしの支援に力を尽くしていく所存であります。
 私からは以上でございます。

長岡教育長 答弁

 私からは5項目目、子供に関する諸施策についての2点目、学校の統廃合についてお答えをさせていただきます。
 子供達の豊かな人格形成のためには、集団の中で切磋琢磨し、様々な人と関わり合いながら社会性や協調性、他人を思いやる心、多様な価値観などを育むことが非常に大切だと考えております。人間関係の固定化を避けるためには、少なくとも各学年においてクラス替えができる程度の学校規模が必要であり、学校規模適正化の取り組みを進めているところでございます。
 私からは以上でございます。

村上ひとし議員 再質問

 2点について再質問をいたします。1点目は東区の共同住宅そしあるハイムで発生した火災について。2点目は都心アクセス道路についてでございます。
 再質問の前に、市長公約の反映についてでありますけれども、市長はアクションプランに基づいて公約を実現させてきたとする一方、社会や経済情勢、あるいは市民ニーズへの対応も含めて検討して、施策の充実に努めていくというようなご答弁がありました。少子化が叫ばれる中にあって、市の子育て支援策の充実を望む子育て世帯は多くいます。つまり市民ニーズは高いと思います。医療費や奨学金、待機児童、貧困対策など、それぞれの支援策が市民にとって本当に良かったと実感できるよう、更に内容を充実すべきであり、そのためにも秋元市長は思い切って予算も確保していただきたい、ということを申し上げておきます。
 それから、公有地の売却についてでありますけれども、ご答弁の中で民間の創意、あるいは資本を活かして民間が土地を活用するということも住民福祉の向上に資するんだというようなご答弁がありました。
 そこでですね、この間、民間がどういうことをしているかという点でありますけれども、東札幌地区の土地につきまして、これはラ・サールインベストメントマネージメントインク、世界的な不動産投資顧問会社でありまして、本社が米国イリノイ州のシカゴにある会社だそうです。ここのラ・サール不動産投資顧問の、日本法人の方がですね、こんなことを言ってるんですね。「今後も収益性向上の余地がある郊外型商業施設の取得を積極的に進める」というふうに述べています。東札幌地区の開発では、市の指定期間が終了した途端に海外資産に売却されたと。新札幌周辺地区も指定期間が終了したらやはり売却される可能性が否定できないということだと思うんです。こうした海外の企業が収益性が見込まれるような土地だということは、やはり土地としてもそれなりの利用価値の高いところだという風に私は思うわけであります。
 そういう点で公有地の売却についてでありますけれども、利便性の高い公有地は市民の大切な財産であります。市が責任を持って、将来にわたりその時々の市民の要求を実現させることこそ、私は住民福祉の向上であると考えますし、そういう点で公有地の売却方針は見直すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 それでは、質問に入りますけれども、1点目の東区の共同住宅そしあるハイムで発生した火災についてであります。このそしあるハイムだけにかかわらず、高齢者や生活困窮者というのは、どんな生活実態があるのか。こういう時にとりわけ困窮者の場合には、保護課や窓口となるケースワーカーがいろんな相談を受けて、そしていろんな支援をすると思いますけれども、この今回の火災事故にかかわらず、高齢者や生活困窮者などに対する保護課、ケースワーカーの役割が今後ますます重要になると思いますけれども、その認識について伺うのが1点目。
 それから都心アクセス道路の問題であります。今回国道36号の混雑度が高いことについて取り上げました。都心にアクセスする主要幹線道路というのは、複数あります。市長はアクセス道路整備の目的として、渋滞の緩和、あるいは観光客の利便性向上、物流の効率化などを図ると言われておりますけれども、創成川通り以外の幹線道路のあり方を、どのように市長はお考えになっているのか。この点についてお伺いいたします。
 以上2点、再質問をさせていただきます。

秋元市長 答弁

 2項目にわたり再質問をいただきました。
 1つはケースワーカーの役割ということでございます。ケースワーカーは、ご案内のとおり被保護者の最低生活の保障と自立の助長ということを図ることを目的とし、生活状況というものを把握できる立場にありますから、今後もその役割というものは重要であろうというふうに認識をしております。今回の案件のように、防火と火災、防火、あるいは火災予防という観点でケースワーカーの役割がどういうことができたかということについては、まず火災の原因等もはっきりしておりませんので、なんとも申し上げる状況にはありませんけれども、引き続き保護者の個々の心身の状況ということと、居住環境等、そういうことを踏まえて必要な支援、援助ということをおこなっていく必要があるだろうと考えております。
 2点目、都心アクセス道路に関連をいたしまして、その他の幹線道路、この辺をどう考えるんだというご質問かというふうに思います。札幌市内では主要な幹線道路におきましても、例えば局所的な渋滞等の課題もございます。こういった課題についてはそれぞれ、円滑な交通環境を確保するために、必要な、なおかつ効果的な対策というものを検討し、適宜実施をしていく方向であります。通常の幹線道路、放射線状に札幌はなっておりますけれども、それとこの先ほどご答弁をさせていただきましたが、都心のアクセス道路の強化、都心アクセスにつきましては、広域的なネットワークを強化するという意味合いの中で総合交通計画の中で位置づけられておりますので、当然のことながらこれ以外の幹線道路がその機能を果たしていくための様々な課題というものにも取り組んでいく必要があるだろうと考えております。

村上議員

 1点目のそしあるハイムのケースですけれども、私、代表質問の中で有料老人ホームの届け出状況について質問させていただきました。札幌で全国でもっともですね、届け出をしていない、いわゆる未届けの有料老人ホームが多いと。しかもそのほとんどが高齢者が入っているわけですから、先ほど答弁の中で基準に沿ったものにしていくためには多大な労力だとか、あるいは費用がかかると考えていることから、札幌では届け出をしないのが大きな要因だろうというような話をしておりました。それで、162件まで減少をさせてきたということですけれども、しかしいまだにこれだけあるわけですから、届け出をするように働きかけるとおっしゃっておりますけれども、徹底的にですね、どういう支援をして、この対策ができるのかっていうのは急ぐ課題だというふうに思われます。
 先ほど市長がね、ケースワーカーの役割も重要であるといういうふうにご答弁されておりますけれども、まだそのそしあるハイムのような届け出上は有料老人ホームに該当しないと、市は判断しましたけれども、今言ったように162件まだ届け出がされていないものがあるというわけですから、そういう意味では対策を急ぐということが必要であるし、必要な支援をしていただきたいと思います。その上でね、特に困窮者に対する対応として、ケースワーカー、保護課が様々な点から高齢者や困窮者の相談を受けて、どういう住居やどういう医療や介護などの制度が必要なのかというのを、その時々判断していくことになると思うんです。そういう中で、必ずしも適当な施設がないんだというような状況が、この度起こっていると思うんですよ。ですからそういうケースワーカーのいろいろな情報を得た中で、必ずしも保護受給者などが、その人に合った支援が受けられていないという、そういう実態をどこから課題を明らかにしていくのかっていう点では、やはり保護課のケースワーカーが重要な役割を果たしていくと思います。
 先ほど市長はですね、こうした痛ましい火災事故をなくすためにはね、どのような課題があり何ができるのか検討していくというような答弁をされましたし、それからケース記録を含めた検証の必要性についても確認をしているということと、また福祉と消防などの連携も重要で、情報共有のあり方も検討していくという答弁がありました。ぜひその場合にですね、保護課のケースワーカーが得た情報が本当に保護受給者にとって、効果的な支援につながっているのかどうかというのを、今後もですね、連携しながら進めていただきたいということを求めていきたいと思います。
 それからアクセス道路についてでありますけれども、私36号線のことを今回強調させていただきました。豊平と清田に住む市民から、この札幌ドームでイベントがあったり、あるいは土日などを中心に、大型の商業施設に買い物にいらっしゃる方が36号線を埋め尽くしてですね、家族で外出しようにもできない。しかも土日、生活道路まで、36号線の渋滞を回避するために迂回をしてですね、住宅のたくさんあるような生活道路を車が走っているという状況もある。これなんとかしてくれないかという相談も、私も受けておりますし、そういう点では36号線の付近のというのは、この間にないほど渋滞が広がっているというふうに思います。
 そこでね、36号線や大谷地などを含めて、観光や物流というのはやはり向こう、その方面っていうのは中心になってるんですよ。ですからそこの混雑だとかを放置しながら、一方で創成川通りで物流や観光って言ってもね、それはなかなか市民の皆さんも納得できる状況にないと思いますので、そういう意味ではこのアクセス道路のみならず、全市的にですね、まずは交差点の改良や右折ラインの増設など、そういうことを優先して進めていくべきでありますし、中心部に入る車をどう減らして、歩いて観光できる札幌を他都市と差別化しながら作っていくのかということも、非常に重要だと思います。そういうことをですね、ぜひ観点に置きながら、必要な調査は実施しながら、検討を進めるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。