私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております議案19件中、議案第8号、第12~第15号、第17号、及び第21号の7件に反対、残余の議案12件には賛成する立場から討論を行います。
 まず、議案第8号「札幌市一般会計補正予算(第3号)」に反対する理由の第1は、2018年度の決算剰余金44億7,600万円のうち、条例に基づき、23億円は財政調整基金に積み立てますが、繰越金12億4,496万5千円から10億円をオリンピック・パラリンピック基金に積み立てるからです。
 冬季オリンピック・パラリンピックの札幌招致については、市民の意見は賛否が拮抗しており、市民合意が得られているとは言えません。こうした中で基金を先行して積み立てることは問題です。
 今回の積み立てで、オリンピック・パラリンピック基金は、約50億円となりますが、北海道胆振東部地震発災から一年が経過した今なお、被災された多くの方々は見通しを持てずに不安な気持ちで日々を暮らしています。また、経済的理由によって修学が困難な学生・生徒の支援など、繰越金は、被災者に寄り添った支援や給付型奨学金の充実など、市民から要望が強い施策に使うべきです。
 理由の第2は、幼児教育・保育無償化により施設等の利用費支給事務など新たに発生する業務を、札幌市子ども・子育て支援事務センターへ外部委託するものだからです。
 今回、外部委託するためにシステム改修を行い、市職員以外でも個人情報を扱うことを可能にするとしていますが、札幌市イントラネット利用要領で「市職員以外は、システム操作等が不可」と定められているように、本来、市職員が行うべきものです。
 個人情報の漏洩リスクが高まることは明らかであり反対です。

 次に、議案第12号「公の施設の指定管理者の指定の件」に反対する理由は、羊丘児童会館の運営管理について、指定管理者を導入するものだからです。
 羊丘小ミニ児童会館は現在、業務委託されていますが、指定管理者は、管理権限が与えられるなど、これまで以上に市の関与を弱め、市有施設への民間参入を一層拡大するものです。
 また、指定管理者の拡大は、低賃金・不安定な非正規雇用労働者を生み出し、官製ワーキングプアを広げるものであり反対です。
 議案第13号「札幌市個人番号利用条例の一部を改正する条例案」についてです。
 本市が10月1日から行う「障がい者等災害対策用品購入助成事業」は、在宅で人工呼吸器などが必要な障がいのある方が、停電時でも作動できる非常用電源装置を購入する費用を助成するというもので、当事者とその家族などからは非常に歓迎されています。
 しかし、本議案は、その手続きでマイナンバーの利用拡大につなげることになるため反対です。
 マイナンバーについては、これまでも指摘してきましたが、個人情報の漏洩の危険、それに伴うセキュリティの強化のため際限なくシステム改修等に税金を投入し続けることになるため容認できません。
 次に、議案第14号「札幌市会計年度任用職員の給与等に関する条例案」についてです。
 この条例案は、地方公務員法及び地方自治法の一部改正に伴い、新たに会計年度任用職員制度を導入するものです。
 この間、正規職員の定数削減をすすめる一方で、臨時・非常勤職員を増やしながら、この制度によって任用期間を会計年度範囲内に限定し、最長1年という有期雇用を制度化することは極めて問題です。しかも、本市では、現在、フルタイムで働いている臨時的任用職員1000人のうち930人を週30時間のパートタイムにし、報酬面でも退職手当の対象から外れるなど、本市職員のなかに不安定・低賃金の非正規雇用を固定化、拡大するものであり反対です。
 よって、関連する議案第15号「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案」にも反対です。
 次に、議案第17号「札幌市住民基本台帳条例及び札幌市印鑑条例の一部を改正する条例案」についてです。
 5月24日に成立したデジタル手続法により、住民基本台帳法の一部が改正され「除票」の利用が法定化されました。
 今回の条例案は、この法改正に伴い、住民登録が抹消された住民票、いわゆる「除票」に関する部分が不要となったために削除するもので、あわせて保存期間を5年から150年に変更するというものです。
 また、住民基本台帳法施行令の改正に伴い、印鑑登録等に「旧氏」の記載を可能とするよう札幌市印鑑条例の一部を改正するものです。
 国によるデジタル手続法は、事務手続きの効率化や利便性の向上をいいますが、戸籍情報などマイナンバーの対象拡大とマイナンバーカードの普及を目的とするものです。
 個人の出自や家族関係の情報を含め、プライバシーにかかわる個人情報の一体的な管理をさらに拡大しようとするもので、個人情報漏洩のリスクを一層高め、また、監視社会への懸念もぬぐえません。しかも、システム構築、改修、セキュリティ対策など莫大な費用が掛かり続けるなど、マイナンバーを拡大する法改正によるものであり、反対です。
 最後に、議案第21号「札幌市建築基準法施行条例の一部を改正する条例案」についてです。
 この条例案は、建築基準法の一部改正に伴い、既存の建築物を一時的に興行場など、別の用途に転用することを可能にするもので、その際、同条例の第2条から第72条で定められた建築物の敷地、構造及び設備、災害危険区域における建築制限等の規制を適用しなくてもよいとするものです。
 申請に当たっては、「市長が安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ公益上やむをえない」と認められる場合に「許可」するとされていますが、その判断基準は極めてあいまいで、現行の規制を緩和するものであり、安全上、防災上の懸念があり、反対です。

 以上で、私の討論を終わります。