私は、日本共産党を代表し、市政の重要事項について、順次、質問いたします。

 はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、物価高騰対策についてです。
 11月2日、閣議決定された「総合経済対策」を踏まえた国の補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の「重点支援地方交付金」における低所得世帯枠が追加的に拡大されるとともに、地域の実情に応じた支援を行う推奨事業メニュー分が追加計上されたこと等を受けて、本市は、必要な予算措置を講ずるとしています。
 1点目は、住民税非課税世帯に準じた低所得世帯への支援についてです。
 国の「低所得世帯支援枠」への追加分により、住民税非課税世帯には「物価高騰対応臨時給付金」1世帯7万円を支援する予算が提案されました。
 しかし、所得が少しだけ上回るため、住民税の均等割のみ課税される世帯があり、この世帯は臨時給付金の対象にはなりません。このような、国の給付金の枠をわずかに超えた世帯にこそ、本市が支援すべきだと思いますが、いかがお考えか伺います。
 政府も、非課税世帯に準じた所得世帯に対しても非課税世帯と同水準の支援を行う必要があるとして、検討中でありますが、国の結果待ちにせず、臨時給付金と同時に、住民税非課税世帯に準じた低所得世帯への支援を行うべきと考えますが、いかがか伺います。

 2点目は、学校給食費の保護者負担軽減についてです。
 本市は、国の「重点支援地方交付金」推奨事業メニューにある「学校給食等食材費高騰対策費」を物価高騰による給食食材費の高騰分に使うことで、給食費を据え置き、保護者負担を増やさないという今年度と同様の対応をとっています。
 しかし、国の同じ推奨事業メニューを使い、物価高騰が続く中、子育て世帯の負担軽減として、給食費の据え置きにとどめず、給食費そのものの軽減や無償化に取り組む自治体が増えています。本市でも給食費無償化の要望が出されており、保護者の思いに応えるべきです。
 本市においても、食材費の高騰分にとどまらず、独自予算を活用するなどして給食費の保護者負担の軽減をすべきだと思いますが、いかがか伺います。

 質問の第2は、オリンピック・パラリンピックについてです。
 1点目は、IOCの発表への対応についてです。
 11月29日、IOCは理事会後に記者会見を開き、2030年冬季五輪開催地の最終候補地にフランス・アルプス地方を、34年大会にアメリカ・ソルトレークシティーを選んだと発表しました。また、38年大会についても、スイスを「優先的に協議できる候補地」としたことを明らかにしました。
 市長は、10月18日の決算特別委員会において、「2030年大会の招致は断念するものの、2034年以降の大会招致の可能性を探るため、IOCとの継続的な対話を引き続き進める」と説明しましたが、2034年大会の招致の可能性がないばかりか、2038年も可能性はほとんどなくなりました。15年、20年後の大会招致の夢を語っても市民には響かないことは明白であり、現実的ではありません。
 「IOCとの継続的な対話」のステージから退くことを市民の前で明らかにし、すべてを白紙に戻すべきだと考えますが、いかがか伺います。

 2点目は、招致を前提にした各計画の見直しについてです。
 オリンピックには、人間の尊厳と平和な社会の推進という崇高な理念がありますが、一方で、過大な財政負担と、テレビ局やスポンサー企業の利権をめぐる疑惑など、アスリートの健康や市民文化の醸成よりも、商業主義に走る姿に強い批判があります。東京2020大会での贈収賄等の事件や、新国立競技場建設にかかわる景観と環境破壊の問題も、オリンピックの精神とかけ離れた、商業主義への強い依存が表れたものとして、批判がいっそう高まっています。
 本市の2030年を目指した招致も、その目的を、投資を呼び込む都心のリニューアルだと位置づけ、都心アクセス道路建設、新幹線の札幌延伸、都心部再開発等を、市民合意が不十分なまま押し進め、外需頼みのイベント呼び込み型で経済振興を図ろうとするものです。これらは、行き過ぎたオリンピックの商業主義の姿と重なり、招致への理解を得られなかった大きな要因となったのです。
 2030年招致を断念し、2038年の招致すら見通せなくなったいま、招致を前提とする「まちづくり戦略ビジョン」などの各計画を、これからでも見直すべきだと考えますが、いかがか伺います。

 3点目は、オリンピック・パラリンピック基金についてです。
 本市は、2016年3月に札幌市基金条例を改正し、「オリパラ基金」を設置しました。スタートに30億円、2017年度に10億円、2019年度に10億円を一般財源から積立て、寄付金とあわせて2022年度末で残高51億9884万円となっています。
 市長は、10月18日の決算特別委員会で、我が党の議員が一般財源へ戻すことを求めたところ、「条例改正が必要になる」と答弁されました。
 2038年の招致も見通せなくなったいま、札幌市基金条例の改正を行い、50億円を一般財源に戻すべきですが、市長のお考えを伺います。

 次に、誰もが利用しやすい公共交通についてです。
 質問の第1は、公共交通整備のための財政支援についてです。
 地域公共交通は、地域の維持・存続・発展に必要不可欠な重要インフラです。日本では、地域公共交通が基本的に民間企業に委ねられ、公営企業も独立採算で運営するしくみとなっています。
 しかし、国鉄が分割民営化された後、JRは経営困難に陥り、「赤字」ローカル線が廃止されたことに表れるように、バス路線に転換しても少子高齢化・人口減少が進行し、地方経済の大幅な縮小と過疎化、バス路線の維持困難など、交通問題と地域の衰退が相乗的に深刻になっています。
 地方都市も例外ではなく、本市でも路線バス事業者は、利用の少ない路線をはじめとする減便や廃止、人件費の抑制などを行いながら経営にあたっています。路線の維持が厳しいことから、本市は事業者に対し財政的な支援を行なっていますが、人口減少時代が到来する中で、運転手が確保できないために、今月から一部路線の廃止や地下鉄駅への短絡化を実施するとの方針が示されました。
 また、本市は路面電車を「都市の装置」と位置付けループ化まで進めてきましたが、札幌駅などへ繋げるための延伸計画を、「採算が取れない」との理由から、昨年秋に「困難」と結論づけました。
 バスに乗るだけで都心部まで移動できるルートがなくなれば、地下鉄駅での乗り換えに困難を感じる市民は外出しづらくなります。電停からJR駅までの移動を、新たな交通システムに乗り換えさせる仕組みづくりも同様のことが起こりかねません。
 これらに表れる問題は、地域公共交通を、利用者からの乗車料収入で賄うという独立採算のしくみの、限界を表しているのではないでしょうか。
 公営企業法や道路運送法を見直し、地域公共交通の独立採算制から脱却し、交通政策基本法にある「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展」を実現するための国による財政負担や支援のしくみが必要だと考えますが、お考えをうかがいます。

 質問の第2は、シームレスな交通結節点についてです。
 「総合交通計画」では、「交通モード間が連携したシームレスな交通」を基本的な考え方としています。交通結節点ではこれまで、駅前広場やバスターミナルの整備、エレベーターの設置・増設などを進めてきました。しかし、中心となる札幌駅では、地下鉄南北線と東豊線の移動や、新幹線ホーム設置による東側への改札口の新設計画など、乗換の移動に長い距離を必要とします。大通駅も、東西線・南北線から東豊線へ乗り換えるには距離があり、改札階から地上を直接つなぐエレベーターは少なく、目的地に行くためには遠くにあるエレベーターまで歩くか、地下一階で別のエレベーターに乗り換えるなど、不便を強いる場合が多いのが実態です。46ある地下鉄駅のうち、JRとつながっているのは、札幌駅と新さっぽろ駅だけで、同じ名称の「白石」駅や、「琴似」駅は離れているなど、本市の交通結節点は「誰もが移動しやすい」とは言い難い状況があります。高齢者や障がいを持つ人が気軽に外出できるよう、「シームレス」を徹底した整備が急がれると考えます。
 市民や来訪者にとってわかりやすく、歩かせることなく、雨や雪に濡れることなく、次の交通機関に待たされずに乗れるしくみを、すべての交通結節点に整備する考えをお持ちなのかどうか、うかがいます。

 質問の第3は、交通計画への市民参加についてです。
 公共交通は重要なインフラであり、まちづくりと切り離すことはできません。しかし、事業者と行政との調整が優先され、市民が意見を寄せるパブリックコメントの段階では多くの場合、反映されることがなく、多少の手直しはなされても、抜本的な改善を求めた場合には「聞き置く」だけになっているのが実情です。
 本市では現在、「地域公共交通計画」を来年秋に策定するための協議会を設置しています。メンバーは全体22名で、そのうち、交通事業関係者等が10名、行政関係者等が6名、学識経験者3名、利用者の代表として、障がい者団体、PTA、消費者協会からの3名、となっており、市民参加の枠がほとんどありません。利害が対立する問題になったとしても、多くの市民が参加し、事業者や行政と目的や課題を共有し、時間をかけて丁寧に議論を重ねていくことが、「持続可能な開発目標」を推進する公共交通を形成していくうえで重要だと考えます。
 一般市民からも参加できるよう協議会の枠を増やし、多様な視点から議論できるようにする必要があると考えますが、いかがか、うかがいます。

 次に「生活道路排雪の在り方検討」についてです。
 質問の第1は、多くの市民意見の反映についてです。
 冬みちプラン2018に基づいて進めてきた新たな除雪方法の試行とパートナーシップ排雪の実証実験では、簡易排雪や抑制断面など生活道路の幅を狭めるか雪を残す手法を一部地域で実験しましたが、その手法や効果について市民から多くの意見が寄せられました。
 今年度の試験施工をふまえ、今後、有識者を交えた外部委員会を立ち上げ、排雪の方針を定めていくとのことですが、除排雪は、市民意識調査で常に「力を入れてほしい施策」の上位を占めるように、地域生活に密着していることから、市民の意見が最大限反映されなければなりません。
  「外部委員会」の委員には、町内会の代表はもとより、市民委員を公募し、幅広い市民で構成する必要があると考えますが、そのお考えはないのか、伺います。また、意見募集は、パブリックコメントにとどめず、説明会、意見交換会をきめ細かく開催していくことで、多くの市民の意見を反映させることが必要と考えますが、いかがか伺います。

 質問の第2は、担い手確保につながる労働環境への配慮についてです。
 「在り方検討」で本市は、「試験施工」をおこない、排雪作業のスピードアップ、施工機械の有効活用などで得られた、効率化や省力化のデータを今後の検討に生かすとされています。除雪作業に従事する人たちの安全確保や労働環境に、十分に配慮しながら進めていくことが何よりも重要であり、「試験施工」や「在り方検討」で、どのように位置づけていくのか伺います。
 除排雪に従事するオペレーターの方からは、深夜出動や緊急出動には気が休まることがなく、自宅待機で過ごす時間は、緊張感を強いられるとお聞きしました。
 定期的で規則的な排雪作業は、除雪作業を担う人にとって精神的、身体的な負担が少なく、担い手確保への貢献になると考えますがいかがか伺います。
 生活道路に雪をためずに定期的で規則的な排雪を行うことは、次の降雪時の除排雪作業を軽減することになると考えますが、いかがか伺います。
 定期的な排雪作業に切り替えていくことを、「在り方検討」の議題とし、来年度から始まる建設業界での時間外労働の上限規制にも役立つものにすべきだと考えますが、いかがか伺います。

 質問の第3は、生活道路排雪の公費負担についてです。
 生活道路の排雪は、人や車両の往来という一般通行や通学路を維持する役割のほか、近年、訪問看護や訪問介護を受ける高齢者の増加、宅配サービス事業の拡大などから、こうした物資やサービスの提供を支えるインフラとして重要性を増しています。
 多くの市民が除排雪の充実を願うもとで、パートナーシップ排雪制度は、利用するかどうか町内会が選択し、利用する場合は、支払額が安くなるが雪を残す方法と、残さない方法を選択することとなります。町内会が財政力によって、利用するかどうか、また排雪量を選ばざるを得ないのは、制度的な欠陥であり維持管理で地域に格差が生じていることの抜本的な改善が図られるべきです。
 町内会から要望が繰り返されてきた地域支払額の負担軽減については、会派としても一貫して要望し、2018年からは、「道路の管理は本市が責任を持ってやるべき」「町内会負担ゼロ」を求めてきました。
 生活道路の排雪は、全額公費負担とするべきですが、お考えについて伺います。

 次に、介護保険制度についてです。
 「介護の社会化」をめざすとして、2000年に導入した介護保険制度は、高齢者人口と利用者の増加に伴い、様々な課題が噴出しています。介護保険料や利用料のたび重なる市民負担増、食費や部屋代の自己負担化、特別養護老人ホームの入所対象の限定化、要支援1.2の保険外しなど、見直しのたびに改悪されています。「必要な介護が受けられない」、「介護費用が年金では足りない」などの声とともに、介護心中や介護殺人を生み出し、家族の“介護離職”も年間10万人前後で推移しており、「介護の社会化」を目指した制度は、高齢者にとっても家族にとっても使いづらいものになっています。
 本市は、市民のくらしを守り、介護を必要とするすべての高齢者が十分にサービスを受けられるよう、きめ細やかな施策を進めることが重要です。

 質問の第1は、介護保険料と利用料の引き下げについてです。
 自治体独自で決められる介護保険料の基準額は、制度開始時は、月額3141円でしたが、現在は1.8倍の月額5773円にもなっています。
 市民のくらしが厳しいことから、負担軽減のため、介護給付準備基金を取り崩し、保険料の引き下げをすべきではありませんか、伺います。
 次期計画作成にかかわり本市が行った市民アンケートで「保険料負担の在り方」を聞いたところ、「所得の高い人の負担を増やし、所得の低い人の負担を減らす」が56%、要介護・支援認定者を対象とした調査では43%と、いずれも最多となっています。
 本市保険料の13段階設定を細分化し、低所得者の負担軽減をさらに行うべきと思いますが、いかがですか、伺います。
 国は、所得に関係なく原則一律1割としていたサービス利用料を2割、3割負担へと引き上げ、さらに今回の改定で2割負担の対象者を拡大しようとしています。
 原則1割の利用料とすることを、国に強く求めるべきと考えますが、お考えを伺います。

 質問の第2は、サービス提供事業者への支援についてです。
 本市は全国よりも要介護認定率が高く、要支援認定者の割合が多い実態であることから、介護サービス利用者は増加傾向を見込んでいます。一方で、それを支える介護サービス提供事業者は人手不足の上に、コロナ禍による利用者の減少と水光熱費の高騰で、事業経営を圧迫し撤退を検討せざるを得ない状況です。
 国は来年2月から「介護職員処遇改善策」として、職員一人当たり平均6千円の引き上げを行うとしますが、「桁が違う!」と声が上がるほど引き上げ幅が足りません。
 大幅な引き上げを国に求めると同時に、介護人材の新規就業を促進するために、復職支援や福祉系資格取得支援などの本市独自策を強化すべきと思いますが、いかがか伺います。

 最後に、敬老優待乗車証「敬老パス」の制度変更案についてです。
 この度、発表された「敬老パス」の制度変更案は、自己負担はなくなるものの、ウォーキングや介護教室参加などの健康活動に応じてポイントが貯まり、ICカードに換算して使う、また電子マネーにポイントを換算することでJRやタクシーでも使えるというものです。変更案を新聞報道などでみた市民からは、驚きの声とともに、問い合わせが多数寄せられているところです。

 質問の第1は、変更案の考え方についてです。
 敬老パス制度は、「高齢者の外出を支援し、明るく豊かな老後の生活の充実を図る」ため、本市が70歳以上の市民を対象に交通費を助成する制度であり、市民に大変喜ばれています。   
 「敬老パス制度」の「敬老」という言葉には、多年にわたり、社会に尽くしてきた高齢者を敬い、長寿を祝うという意味が込められています。変更案には「健康づくりと社会参加のきっかけを後押し」と書かれ、健康づくりが強調されていますが、「敬老パス」同様、敬老の精神が継承され、健康状態にかかわらず70歳以上のすべての市民を対象とする、という考えに変わりはないのか伺います。

 質問の第2は、十分な市民議論と、変更案への市民意見の反映についてです。 
 このたびの提案では、上限額を7万円から2万円に引き下げることが示されています。また、外出して歩くことや、スマホアプリなどIT機器を操作することによる「ポイント付与」というしくみになっています。
 「歩けない人はポイントが少なくなるのではないか」、「上限が2万円では少なすぎる」など、すでに不安の声が上がっており、外出困難者やIT操作が難しい高齢者への対応、また、上限額の引き下げに対する強い抵抗などが懸念されます。
 今後のスケジュールによると、12月からの2ヵ月弱で、市民アンケートと10区での市民意見交換会を行い、2月以降のシンポジウムと並行して、12月から3ヵ月間コールセンターによる意見募集を行う予定になっています。
 提案された変更案は、限度額の変更や新たな課題が生じるものであり、敬老パスを楽しみにしている市民にとって、大きな制度変更となります。
 本市はこれまで、「家庭ゴミ有料化」の実施や、「町内会ささえあい条例」いわゆる町内会条例の制定など、市民に大きな影響を与える変更をする際には、何よりも市民合意を重視し、時間をかけ、意見交換を重ねたうえで結論を出してきました。
 敬老パスは、1975年に無料のフリーパスとして始まり、長く利用され喜ばれてきた制度であることから、ゴミ有料化や町内会条例に匹敵する、ていねいな市民議論が必要だと思いますが、そのお考えをお持ちなのか伺います。また、市民議論の中で出された意見を、現在の変更案にこだわらず、柔軟に取り入れていくお考えがおありなのか、伺います。

 以上で、わたくしの質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁
 全体で5項目にわたりご質問いただきました。私からは1項目目の私の政治姿勢についての2点、お答えをさせていただきます。その他のご質問に対しましては、担当の町田副市長、天野副市長からお答えをさせていただきます。
 私の政治姿勢についてのまず1項目目の物価高騰対策についてお答えをいたします。1点目の住民税非課税世帯に準じた低所得世帯への支援についてでありますが、今回取りまとめました物価高騰対策のうち、低所得世帯への支援として、まずは長引く物価高騰の影響を最も受けている住民税非課税世帯へ速やかに給付金を支給することが必要と考えているところであります。住民税非課税世帯に準じた低所得世帯への支援につきましては現在、国において検討されていると承知をしており、本市もその動向を注視しながら、時期を逸することなく、必要な支援が講じられるよう取り組んでまいります。
 2点目の学校給食費の保護者負担軽減についてでありますが、学校給食費につきましては、物価高騰の影響が大きい子育て世帯への支援として、食材費の高騰分を公費で負担することにより、来年度も保護者負担が増えないように対応していく考えであります。
 2項目目のオリンピック・パラリンピックについてお答えをいたします。まず1点目のIOCの発表への対応についてであります。IOCが2030年大会と2034大会の狙いを定めた対話に進む国や都市を決定し2038大会についてもスイスと優先的な対話を進めると公表したことで、事実上、継続的な対話は意味を失っており、現時点で招致活動を具体的に進めていける状況ではないと認識をしております。
 次に2点目の招致を前提にした各計画の見直しについてでありますが、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンでは、大会の招致について、まちづくりを加速させるものとして位置づけたところであり、招致を前提として策定したものではありません。したがいまして、戦略ビジョンを初めとする各種計画におきましては、大会誘致の動向に関わらず進めていくべき政策等をまとめており、現時点で見直しが必要であるとは考えておりません。
 3点目のオリンピックパラリンピック基金についてであります。今後の招致活動につきましては、競技団体を初めとした地元関係者の意向も確認をして判断をすることとしており、その結果に応じて基金のあり方についても今後検討してまいります。私からは以上です。

町田副市長 答弁
 私からは大きな4項目目、介護保険制度について、5項目目、敬老優待乗車証「敬老パス」の制度変更案についての2項目についてお答え申し上げます。
 まず、4項目目のうちの介護保険制度についてのご質問のうちの1点目、介護保険料と利用料の引き下げについてのご質問でございますが、まず介護保険料の引き下げについてでございますが、令和6年度からの介護保険料につきましては、市民とりわけ低所得者層層の負担が増えることのないよう、介護給付費準備基金を取り崩すことにより、現在の基準額である月額5,773円程度に据え置く方針でございます。この介護給付費準備基金は介護保険制度において、安定的な財政運営のために設置しているものであり、その趣旨を踏まえつつ、基金残額をできる限り活用することにより、基準額の上昇抑制を図ってまいりたいと考えるところでございます。
 次に保険料を段階設定の細分化についてのご質問でございますが、令和6年度からの介護保険料におきましては、特に低所得者層の負担感に配慮し、基準額を現在と同程度とすることに加え、第1段階から第3段階の基準額に乗じる負担割合を引き下げる予定でございます。保険料の段階設定につきましては、細分化による基準額抑制の効果や負担能力に応じた負担を求める観点から、引き続き検討してまいります。
 次に利用料の引き下げについてのご質問でございますが、介護保険料の利用料の負担割合については、現役世代にかかる過度の負担を避けるとともに、高齢者世帯内における公平性を鑑み、負担能力に応じた割合が設定されているものと認識するところでございます。しかしながら高齢者世代における経済的負担は増加していることから、誰もが必要な介護サービスをできるよう、負担軽減措置の拡充などを引き続き国に求めてまいります。
 次に4項目目、介護保険制度についての2点目、サービス提供事業者への支援についてでございますが、介護事業者への支援は全国的な課題であります。国や北海道と連携して進めているところでございますが、賃金等の処遇改善につきましては、国に対し継続して要望をしているところでございます。札幌市の独自事業といたしましては、介護人材確保や定着に向けた取り組みの支援や、介護職のイメージアップ等、担い手を増やすための取り組みを進めているところでございます。これまでの取り組みに加えまして、介護ロボットやICT導入等による介護現場の負担軽減に向けた支援を新たに行うなど、取り組みを継続してまいりたいと考えてございます。
 次に大きな5項目目、敬老優待乗車証「敬老パス」の制度変更案についてのうち1点目、変更案の考え方についてでございますが、敬老パスの趣旨は多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者を敬愛するとともに、明るく豊かな生活の充実を図ることでございます。敬老健康パスにもその趣旨を受け継ぎ、対象者は敬老パスと同一と考えているところでございます。
 次に2点目、十分な市民議論と変更案への市民意見の反映についてでございますが、健康寿命を延ばしていくことは全ての市民に関わる重要な政策であるため、丁寧な議論を行うことが必要と認知するとこでございます。敬老健康パスは、誰もが参加可能なものに発展させていくことを目指しております。そのため、市民の考えや意見を取り入れながら、敬老健康パスの内容をよりよいものにしてまいりたいと考えるところでございます。私からは以上でございます。

天野副市長 答弁
 私からは大きな2項目目、誰もが利用しやすい公共交通について、大きな3項目目、生活道路排雪のあり方検討についての2つの項目についてお答えをいたします。 
 まず初めに、大きな2項目目、誰もが利用しやすい公共交通についての1点目、公共交通整備のための財政支援についてでございます。日本の公共交通事業は、利用者からの運賃収入によって運営を行っていますが、運賃額については、その公益性を踏まえ、一般的な市場原理に基づく価格決定とは異なる一定の規制が設けられていると認識をしております。また、地域特性や実情に応じた生活交通の確保維持の観点から、必要に応じて国を含む行政が交通事業者への支援を実施しているところでございます。今後も運転手不足やコロナ禍以降の乗客数減少など、昨今の厳しい社会情勢に対応するため交通事業者と連携しながら取り組むとともに、国に対して支援制度の充実、拡大を要望してまいります。
 次に2点目のシームレスな交通結節点についてでございます。公共交通ネットワークが機能するためには、各交通機関が相互に連携し、スムーズに乗り継げることが重要であると認識をしております。このため、駅を中心とした交通結節点において、駅前広場やバスターミナルの再整備やエレベーターの設置を初めとする必要なバリアフリー化などを順次進めているところでございます。引き続きこれらの取り組みを着実に進めることにより、市民や観光客にとって移動しやすい環境作りを進めてまいります。
 次に3点目の交通計画への市民参加についてでございます。札幌市公共交通協議会の運営に当たりましては、個人の居住地や交通環境、生活様式によらない広い視野での議論を行う必要があると考え、福祉や教育などの分野ごとに委員を選定したものでございます。また、利用者の幅広い意見を得る必要があるという観点から、令和5年4月下旬にパブリックコメントと同様の手法で市民意見調査を実施し、1,000件を超えるご意見をいただいたところでございます。あわせて、これまでいただいている地域からの要望や市政に関する声なども含め、広く市民のニーズを把握しながら、引き続き計画策定に向けて協議会での議論を深めてまいります。
 次に大きな3項目目、生活道路排雪のあり方の検討について、まず1点目の、多くの市民意見の反映についてお答えをいたします。
 生活道路の排雪につきましては宅配利用の増加などにより、市民ニーズも変化している中、パートナーシップ排雪における地域支払額の上昇や制度利用の不公平感などの課題もあり、様々な方のご意見を聞くことが重要と認識をしております。そのため、生活道路排雪の今後のあり方をご議論いただく外部委員会の委員については、行政サービスに知見のある有識者や除雪事業者等の他、公募による市民委員などを想定しております。また意見募集については、これまでに行った連合町内会長との意見交換会に加え、今後は市民アンケートの実施など、さらに多くの市民から意見をいただけるよう検討してまいります。
 次に2点目の、担い手確保に繋がる労働環境への配慮についてでございます。生活道路の排雪につきましては将来的な担い手不足が懸念されることから、労働環境の改善などを目的に、これまでも省力化や効率化に繋がる作業の見直しなどに取り組んできたところでございます。一方で、ご指摘の生活道路全てにおいて雪を溜めずに定期的で規則的に排雪作業を行うことは、これまで以上に多くの人材や機材が必要となりますが、現状の体制を維持することが将来的な課題となっている状況下においては、実施は困難でございます。このため、今後も除雪従事者の労働環境の改善に配慮し、試験施工の結果や事業者の意見なども踏まえながら、持続可能な排雪作業の規模や手法について検討してまいります。
 次に生活道路排雪の公費負担についてでございます。生活道路排雪の支援制度は、冬期道路環境の向上を望む地域と札幌市が共同で取り組む制度であり、パートナーシップ排雪と市民助成トラックを合わせて生活道路全体の約7割の地域で利用されております。全額公費負担とする場合は、支援制度を利用していない地域との均衡を図るため、これらを含めて全ての生活道路を排雪する必要があり、現行の排雪のレベルで作業するには多くの費用や、新たに4割以上の機材、人材の増強が必要となることなどから、実施は難しいと考えております。
 今後は財政面や除雪事業者の体制などの課題を踏まえつつ、生活道路の排雪支援制度の見直しを含め、持続可能な生活道路排雪のあり方について幅広く議論しながら検討してまいります。私からは以上でございます。

長屋議員 再質問
 私から再質問をさせていただきます。介護保険制度のサービス提供事業者の支援についてです。本市は、高齢者の増加とあわせ、今後、介護サービスは増えると想定しております。一方で、サービス提供事業所では、ヘルパーの4割が65歳以上、ヘルパー不足で70歳以上も多いとお聞きしております。人手不足が解消されず、現場は深刻な状況です。ですから、その深刻な状況に沿った支援が求められております。
 先ほど、介護職のイメージアップやICT導入などに取り組んでいる旨のご答弁がありました。私は、復職支援や福祉系資格取得支援などの更なる独自支援、本市の独自支援の強化について求めましたが、その強化することについて、お考えはあるのかどうか、あれば、具体的な強化策についてお示しいただきたいと思います。

町田副市長 答弁
 介護保険サービスについて、サービス提供事業者への支援について再質問いただきました。復職支援というご質問いただきましたが、復職支援につきましては、北海道が札幌市内のサービス提供事業者に対しても規制の事業を実施しているところでございます。こうした事業を札幌市としても積極的に周知するなど、北海道と連携して進めているところでございます。また復職支援に限らず、人材確保、これは本当に必要なことでございます。幅広い人材確保に向けた取り組みとして、札幌市独自の支援といたしましては、先ほどお答え申し上げました通り、令和6年度より新たに行う事業もございます。効果についてしっかり検証していきたいと思います。
 こうした事業について確実に取り組み、サービス提供事業者の方の意見を聞きながら、実効性の高い支援を目指していきたい、繋げていきたいと考えるところでございます。以上でございます。