私は、日本共産党を代表し、市政の重要課題について順次質問します。
はじめに、札幌市地域公共交通計画についてです。
わが党が、昨年9月の第3回定例会代表質問で、「持続可能な公共交通」について、「SDGsの目標である、住み続けられるまち、誰もがどこでも行けるように、安全で手頃な公共交通機関を目指そうとするものなのか」と尋ねたところ、天野副市長は、「将来にわたって公共交通機関による移動手段を確保していくという観点においてSDGsと方向性が一致している」と答弁されました。しかし、本市が行う地域公共交通政策は、「将来まで路線を確保」することのみに焦点が当たり、市民の不便や負担が増すことへの視点に欠けていると言わざるを得ません。SDGsの目標は、市民の誰もが移動できるためのものであり、高齢者も低所得者も、交通空白地域に住む人も移動できるための計画として、きわめて不十分です。
昨年11月に策定された「札幌市地域公共交通計画」は、路線バスに代わる交通手段としての「代替交通」、地域住民が主体となって運営する「地域交通」、さらに都心部での「新たな公共交通システム」の3つを、今後導入・拡充が必要な、その他の交通機関として示されました。
質問の第1は、代替交通の拡大についてです。
「札幌市乗合バス路線維持対策要綱」では、「廃止となる路線において、存続路線のバス停から500㍍超離れたバス停が複数ある等の場合に、札幌市が主体となり代替交通の導入を検討すること」となっています。
それを受けて本市計画の「代替交通」は、移動需要の規模など地域特性に応じて、定時定路線運行や路線不定期運行、デマンド交通、乗合タクシーの運行などで代替となる交通手段を確保するものです。
手稲区のデマンド交通に続き、空沼線、栄町・篠路線の2路線が代替交通を導入しました。
この2路線は、国土交通省の「交通空白解消緊急対策事業」に、本市が応募し採択された事業です。
国交省は、この事業を「何らかの対応が必要な交通空白を抱える地域において、その解消に向けたサービスを実施するための仕組みの構築を支持するもの」としています。
国による上限1億円の補助は、同一自治体の別地域で2件目以降の実施に対しても2分の1の補助を設けています。
1点目は、代替交通対象地域についてです。
市内都心部では、バス・電車・地下鉄・JRなど、交通手段の選択肢がまだ存在する一方、バスの他に選択肢がない地域が生まれています。さらに廃止路線の地域では、バス停が遠くなり利用できない人がうまれる一方、通学・通勤時の混雑の度合いが強まる事態となっています。
2024年8~9月に行われた「札幌市地域公共交通計画案」についてのパブリックコメントには、「代替交通導入の基準をバス停による距離で整理しているが、地域の利用実態も把握すべき」また「判断基準のバス停間の距離を短くしてほしい」などの市民意見が寄せられており、代替交通を導入する場合の500㍍を超えるという基準は、公共交通を必要とする地域住民にとって厳しい条件となっています。
本市の計画に照らし、代替交通導入の対象となる地域はいくつあるのか伺います。
2点目は、代替交通の基準見直しと交通空白地域の解消についてです。
本市は、代替交通の導入について「基準に沿った面的なネットワークが維持できなくなる恐れがある場合に検討する」とし、基準の見直しについては、「今のところ予定はない」とのお考えです。
4月のダイヤ改正で、市内のバス路線廃止・系統廃止・一部区間廃止などが相次ぎました。
しかし、現在の代替交通の導入は3路線でしかありません。
国交省は、交通空白を抱える地域の解消に向けたサービスを実施するため、新たな事業を展開していますが、本市では交通空白地域が増え、公共交通の地域間格差が広がっています。
500㍍超とする代替交通導入の基準は見直しを検討する必要があると思いますがいかがか伺います。
バス停がなくなった地域を、対策が必要な交通空白地域ととらえ、国の制度を積極的に活用するなど、交通空白地域をなくすべきと考えますがお考えを伺います。
質問の第2は、新厚別ふれあい循環バスの継続に関する認識と持続可能な支援についてです。
「地域交通」は、住民が主体となって移動手段の検討を行い、行政や運行事業者はサポートする立場で参加する三者協議の仕組みです。
これは、2021年度に本市が創設した「地域交通支援制度」であり、制度の第1号となったのが、3月末で廃止となった路線バス「厚別ふれあい循環バス」を継承するため、近隣の6町内会が新組織をつくり、4月から運行をスタートした「新厚別ふれあい循環バス」です。
「運行経費の一定割合を運賃収入や地元企業の協賛金などで賄うこと」を要件に、本市が財政的支援を行いますが、実証運行開始期間、つまり今年度のみ、運賃収入で賄えない運行欠損の全額補填を行い、本格運行に移行する来年度以降は、最大で運行欠損の2分の1補助、残りは住民組織が負担をします。今年度は3ヵ月ごとに実績を調査し、収支率50%を達成できなければ、地域交通の継続可否を検討するという仕組みです。
サピカや敬老パスは使えず現金のみで、運賃を片道300円に値上げし、停留所は減らさず一日の便数を減らすなどの努力をされています。
そのような中、本市は収支率が達成できなければバスの廃止も含め検討するという厳しい目標を設定し、住民組織に求めています。
持続可能なネットワーク維持に向けた公共交通機関等のひとつとして計画に組み込まれている地域交通であるにも関わらず、持続可能どころか、数年後には継続できないのではないかと危惧をするところですが、本市の認識を伺います。
本市はサポートする役割を担っていますので、収支率が達成できなければ廃止するのではなく、例えば収支が足りない場合は本市が埋めていくなどの財政支援の強化など、持続可能な地域交通となるための支援を行うべきですが、検討のお考えはあるのか伺います。
質問の第3は、新たな公共交通システムについてです。
昨年9月の第3回定例市議会の代表質問で、すでに定時制が確保され、シームレスで行先がわかりやすい路面電車を延伸せずに、運営形態も運行システムもわからない「新たな公共交通システムを導入」する「計画案」など検討にものせられない、と我が党の考えを述べました。
天野副市長は、「社会実験の検証結果を踏まえてサービス水準を定め、車両数や維持管理施設の規模、運用形態などを決定する」との考えを答弁したにとどまりましたが、その後の検討状況についてうかがいます。
今年度と来年度に実施する予定の「実証実験」は、どのような内容で、いつから実施するのですか。水素燃料で走る連節型のバスを今年度の実験に使う予定であれば、その場合の車両の数と購入費用、乗車定員、車両を待機させる基地となる場所などについて明らかにしてください。水素燃料連節バス車両を使用しない場合、実験で何を得ようとされるのか、また、小型・中型・連節型とも、運行事業者はどこを想定して実験を行うのか、あわせてお示しください。
次は、在宅医療についてです。
本市が策定した「さっぽろ医療計画2024」は、「市民が生涯を通して健康で安心して暮らせる社会の実現に向けた医療・保健システムの確立」を基本理念にしています。その実現のため、基本目標の一つに「地域の安心を支える医療提供体制の整備」を掲げ、在宅医療の提供体制のさらなる充実を推進しようとしています。
自宅で生活する高齢者が、転倒や痛みなど心身の状態が急変した際、同居している家族がいても、仕事を休めない、老々介護のため配偶者が同伴することが困難など、通院そのものが難しくなります。
在宅医療は、医師が自宅を訪問し、診察・処置などを行う訪問診療のほか、訪問看護や訪問リハビリテーション、訪問薬剤管理指導などを受けることができ、例えば、末期がんで痛みや息苦しさを伴う状態や認知症等でも自宅に住み続けながら暮らすことができ、自宅で最期を迎えたい、という願いにも応えられます。
団塊の世代が75歳に達する2025年が到来し、また、高齢化に伴い死因の上位を占める悪性新生物も増加しますので、在宅医療の需要はさらに増加する見込みです。
質問の第1は、市民への情報提供と将来の需要についてです。
本市が昨年度行った「市民意識調査」では、高齢などが理由で通院が困難になった場合に、人生の最期の時の過ごし方として、「自宅で療養して、必要になれば病院等に入院したい」人は46%と最も多くなっていますが、「自宅で最期まで療養したい」人は11.7%です。また、在宅医療を利用する際の不安なこととして「突然の体調変化等への対応」、「受けられる医療の内容」という回答が、「家族等への負担」や「経済的な負担」に次いで多くなっていました。こうした結果は、在宅医療が急変に対応できることや訪問看護などについて十分に知られていないことによるものと推測します。
本市において、在宅医療に関し、市民への情報提供をどのように行っているのか伺います。
また、在宅医療について将来の需要をどう見込んでいるのか、併せて伺います。
質問の第2は、提供体制を充実させる取組と課題についてです。
訪問診療の2023年度の提供医療機関は、診療所で167施設、病院では36施設と全国平均の提供割合に比べると少なく、実施医療機関が2020年度より減ったことから一施設あたりの実施件数が増加し負荷がかかっています。また、急変などで24時間往診が可能な体制を確保した在宅療養支援病院・診療所として届け出ている医療機関は196施設ですが、65歳以上の人口10万人当たりの届出数で見ると、政令市平均が61施設のところ、本市は34施設と約半数です。
本市が昨年末に行った医療機関を対象とした「在宅医療に関する実態調査」で、回答を得た789施設のうち8割の施設は在宅医療を提供していません。そのうちの96%が引き続き「提供しない」と回答しています。さらに、提供している施設でも、「縮小を検討」「提供を止めることを検討」が合わせて17%ありました。
本市においては、在宅医療提供体制を充実させる計画ですが、どのような取り組みをされているのか伺います。また、現状においての課題について伺います。
次に「札幌市障がい者協働事業」についてです。
札幌市は、障がいのある方の一般就労の促進及び社会的、経済的な自立を図ることを目的とした「障がい者協働事業」に2006(平成18)年から先駆的に取り組んでいます。
同事業は、障がいのある方を従業員の半数以上、かつ5人以上雇用する事業者に対して運営経費に対して補助金を交付するものです。現在、市内の11法人・13事業者が同事業に基づく補助金を原資に、印刷業などを営み障がい者80名を雇用し、企業の障がい者雇用を促進しています。
しかし、本市は、2022年度の行政評価委員会の指摘を受けたことを理由に同事業を2028年度以降見直すことを3月に公表し、現在検討中とします。
こうした動きが、市民や事業者、障がい者に「廃止」と受け止められ不安や懸念を与えています。事業に携わっている方や障がいのある方たちの希望を損ねることはあってはなりません。改めて、廃止なのか、見直しなのかお考えを伺います。
行政評価委員会による指摘は、「より具体的に雇用が増え参入する事業所が生じる手法を検討すべき」ということでありますから、同事業を拡大させる方向での見直しを求めていると理解しますが、ご認識を伺います。
また、雇用者数を増やすための活動を積極的に行うべきと考えますが、いかがか伺います。
最後に、学校環境の充実と就学援助制度にかかわる課題についてです。
質問の第1は、学校図書館の充実と司書配置についてです。
国は、2024年3月「第6次学校図書館図書整備等5か年計画」を示し、「令和4年度からの5年間で、全ての小中学校等において学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、図書の更新、新聞の複数紙配備および学校司書の配置拡充」を図ることとしました。
学校図書館に整備すべき蔵書の標準として定められている学校図書館図書標準の100%達成を目指し、学校図書館への新聞配備、学校司書の配置拡充を図る計画です。
2020年度に文科省が実施した調査によると、本市の小中学校では、学校図書館図書標準の達成状況が小学校で95.4%、中学校で96.9%となっており、全体の整備状況、71.2%、61.1%を上回っていますが、100%にはあと一歩の状況となっています。
学校司書の配置は、2023年の文科省の調査で、本市の中学校では99%ですが、小学校では0%と、一人も配置されていない結果となっています。
これについて2023年10月の決算特別委員会において、我が党議員が小学校への図書館司書の配置を求め質問したところ、「慎重に検討してまいりたい」と答弁されました。
今年度、小学校への司書配置にむけて、どのように取り組まれるのか、検討の内容と取り組みについて伺います。
質問の第2は、学校給食のあり方についてです。
札幌市では、1947年(S22)に学校給食が始まりました。1993年より全小中学校で実施、その3年後からは特別支援学校も含めて提供されています。
国においては、1954年(S29)に学校給食法が制定され、2005年に、食育について基本理念と方向性を示した食育基本法の公布とともに、学校教育法の一部改正により、食育指導や栄養指導を行う学校教員として栄養教諭制度が位置づけられました。また、2008年の学校給食法の大幅な改正により、学校給食を教育の一環として実施することが明確となりました。
本市では、食育の推進を位置づけ、何をどのように食べていくと生涯を通じて健康に過ごせるのか、自ら考え実践する力を育むことを重視し、栄養教諭と連携してすすめています。
1点目は、給食を通して食を学ぶ教育についてです。
札幌市では、小・中学校等298校のうち、164校に給食室が整備され、単独調理方式・または親子方式で1日約14万3千食が提供されています。
給食を調理する過程での香り、匂いを感じ調理する様子が見えるなど、子どもたちにとって給食とともに栄養教諭や調理員が身近な存在となっています。
本市では、1990年代から栄養職員による食教育の実践が行われており、現在は、単独調理方式及び、親子方式の親学校へ栄養教諭136名、栄養士22名の配置により、子学校を含めて、給食時間の指導や支援、給食だよりの発行や、また、教科や総合的な学習の時間などで、食と健康について、環境と結びついたフードリサイクル事業などを実施し子どもたちの学びをすすめてきました。
札幌市の学校において、単独調理方式・親子方式の給食を通じての食育を30年来続けてきておりますが、その教育実践のなかで、子どもたちが食を通じて考える力を育み成長する姿と、栄養教諭が配置される効果についてどうお考えか、伺います。
質問の2点目は、学校給食の今後の検討の在り方についてです。
今年度予算において、「持続可能な学校給食提供の在り方検討事業費」として200万円が盛り込まれました。
札幌市の学校給食の課題として、給食施設の老朽化による更新、旧式の給食室のドライシステムへの転換、将来的な少子化と人材の確保が挙げられております。そして、現行の給食提供方式にとらわれず検討する必要があるとして、昨年度、「札幌市における持続可能な学校給食提供の在り方に関する方向性調査」を、プロポーザル後、約1,700万円の特定随意契約で委託し、実施しました。
この調査では、単独・親子調理方式、給食センター導入やデリバリー方式などの課題について、事業者の意向を聞いています。民間では当然、事業者の収益に有益かどうかが前提としての意見であり、本市としては、直営、単独・親子方式に限らない手法を模索するものです。
この調査結果について、教育委員会は、3月13日の札幌市学校給食運営委員会へ報告しています。そのなかでは、給食室の整備やドライシステムへの導入が、これまで年5,6校のペースで整備できていたものが、学校施設維持更新基本計画で年2校の予定となってしまい、老朽化対応やドライシステム導入に50年以上の期間を要してしまうと説明されています。そして、調査報告として、給食センター方式が全国の自治体で一定数取り入れられていることや、単独・親子方式、センター方式、デリバリー方式という各方式のなかで、運営経費に掛かる定量評価や定性評価においての比較では、給食センター方式がより多くの観点で高い評価がされたという説明をおこない、コンサルティング業者から、札幌市の食数規模や調理施設老朽化を踏まえると給食センター方式を導入することが望ましい、と提示があったとのことでした。
しかし、最も大切な課題である、給食を活用した食育の推進についての、調査報告の説明はなく、これまでのように年5・6校の整備ペースであれば、20年で更新できることになりますが、なぜ50年以上もかかるような変更がされたのか、説明はありません。運営経費や、給食施設更新の経費削減のためにおこなわれた調査であることが明らかです。
この度の方向性調査は、あくまでも参考の一つであり、検討には民間業者の視点だけではなく、食育当事者等の意見が必要です。
教育である学校給食に関して、これまで培ってきた安全や食育を守り発展させるためにどうあるべきか、子どもたちの発達を保障し、子どもが生きる力を育んでいくという教育的観点を優先する「持続可能な」学校給食の構築こそ、本市が責任をもっておこなうべきです。
また、適温でおいしく、安心な単独調理方式・親子方式は、子どもたちと保護者の多くが望んでおり、市民の関心が高い施策であり、現在の在り方検討についての状況を説明することが必要と考えます。今後の給食の在り方の検討に向けて意見をいただくという有識者などを含む懇話会を立ち上げるとお聞きしています。
子どもたちや保護者、市民へ、現在の学校給食の在り方検討についての状況を広く周知するとともに、食育の当事者である学校現場の教職員や児童・生徒などを含めて市民の提案、意見を取り入れるべきですがお考えを伺います。
質問の第3は、就学援助制度に関わる課題についてです。
就学援助制度は、教育に係る経済的負担の軽減を図ることを持って、教育の実質的な機会均等を目的としています。少子化や子どもの貧困の解決が急がれる視点からも重要な制度です。
この制度は、自治体が生活保護に近い状態と認定した準要保護世帯を支援するもので、本市は、所得が生活保護基準の1.1倍としております。生活保護基準額引下げ前の基準を使用しているとは言え、物価高騰の実態などから考えると非常に低い基準と言わざるを得ません。
1点目は、否認定世帯への実態調査についてです。
本市の就学援助認定状況の資料によりますと、小学校では2022年度に申請した14,928人のうち1,129人、全申請者数の約7.6%が認定されず、中学校では申請した7,474人のうち526人、申請者数の7.0%が制度を受けられていません。
同様に2023年度は、小中学校、合せて8.4%、2024年度は9.2%と認定されない世帯が増えています。
否認定の理由には、これまで認定された世帯の収入が増えたことで基準額を上回ったことなどが考えられます。
しかし、物価高騰を上回るほどの収入増でない限り、生活水準が改善されたとは言えません。
本市の2024年「結婚・出産・子育てに関する市民アンケート報告書では「理想の子どもの人数が実現できない原因」について「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も高く、次いで「収入が少ない、収入が不安定だから」と続いています。実際、子育て世帯からは「教育費の負担が重い」という声が多く上がっており、追い打ちをかけて、米を始めとする物価高騰で、生活はとても厳しさを増しています。
収入が基準額を超えたため、認定されなかった場合についても、給食費や教材費等の教育に係る負担があることで、認定世帯と比較して、家計が厳しくなる世帯も少なくないのではと推察するところです。否認定となった世帯の状況を把握する実態調査が必要と考えますが、いかがか伺います。
2点目は、就学援助制度の拡充についてです。
準要保護世帯への就学援助費は2分の1の国庫補助がありましたが、2005年以降一般財源化され、地方交付税において措置されています。このことから教育の機会均等を保障するため就学援助制度の充実に向け十分な財源を確保し制度を拡充すべきです。
就学援助制度の基準となる所得限度額の政令市比較では、本市の2人世帯は186万円で17位、3人世帯232万円15位、4人世帯252万円19位です。これまで、我が党は繰り返し制度の拡充を求めてきましたが、とりわけ就学援助制度の基準を引上げ、対象世帯を広げるべきですが検討をするお考えはあるのか伺います。
以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴、ありがとうございました。
秋元市長 答弁
全体で大きく4項目にわたりご質問を頂きました。私からは1項目目の札幌市地域公共交通計画について3点お答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の山本副市長、そして教育長よりお答えをさせていただきます。
1項目目の札幌市地域公共交通計画についてお答えをいたします。まず1点目の代替交通の拡大についてのうち、代替交通対象地域についてお答えをさせていただきます。
札幌市の地域公共交通計画では、バス路線の廃止により、新たに交通空白地域が発生する場合に、市が主体となり代替交通の導入を検討することとしております。この計画に則し、本年4月に市内2か所において、代替交通を導入済でありますことから、現時点では新たに導入すべき地域はない状況であります。
次に、代替交通の基準見直しと交通空白地域の解消についてであります。代替交通の導入を検討する要件の一つであります、廃止バス停からの距離基準につきましては、運輸に関する研究機関の調査結果を踏まえて設定したものであります。引き続き、この基準のもと、国の補助制度等を活用しながら、面的な公共交通ネットワークを維持していく考えであります。
次に2点目の、新厚別ふれあい循環バスの継続に関する認識と持続可能な支援についてお答えをいたします。厚別ふれあい循環バスは、地域が主体となり移動の利便性向上を図る取り組みを支援する地域交通支援制度を適用した初の事例であり、実証運行を経て、本格運行へ至ることが望ましいものと認識をしております。したがって、運行継続のために、札幌市としても地域住民にしっかりと寄り添い、利用促進や協賛金獲得等の取り組みへの支援を継続してまいります。
次に3点目の、新たな公共交通システムについてであります。今年度と来年度に実施する実証実験では、車両・運行に関する検証や、水素利活用に関する検証などを行う予定であります。このうち今年度は、秋以降、主に冬季における安定的な運行の検証を目的として、現状では国内に水素燃料電池の連節車両がございませんので、既存のディーゼルハイブリッドの連節車両と水素燃料電池の中型車両を借用して実施をする予定であります。
なお、運行事業者につきましては、今後、実証実験の結果を踏まえて運行内容や運行形態などを検討し、関係機関との協議を経て判断をする考えであります。私からは以上です。
山本副市長 答弁
私からは大きな項目の2点目、在宅医療について、そして大きな3項目目、「札幌市障がい者協働事業」についてお答えをいたします。
まず大きな項目の2点目、在宅医療について2点お答えをいたします。1点目の市民への情報提供と将来の需要についてであります。在宅医療に関しては、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、急変時の往診など、様々な医療サービスが受けられることを市民に広く知っていただく必要があると認識をしております。そこで、札幌市では、関係団体と連携した講演会の実施や、ガイドブックの配布、ホームページによる周知などにより、市民への情報提供に努めているところであります。また、将来の需要について、北海道の推計によりますと、札幌市の患者数は、高齢化の進展などに伴って増加し、2029年には、24,000人に達すると見込まれております。
次に2点目の、提供体制を充実させる取り組みと課題についてであります。札幌市では、「さっぽろ医療計画2024」に基づきまして、在宅医療提供体制の充実に向け、医師などを対象とした研修のほか、複数の医療機関が連携して在宅患者に対応するグループ診療体制を整備しているところであります。一方で、更なる需要増への対応や、在宅医療サービスの維持向上という課題があることから、これらの施策の効果を検証し、実効性をさらに高めていく考えであります。
次に大きな3項目目、「札幌市障がい者協働事業」についてであります。制度開始後20年近くが経過し、この間、障がい者雇用率の引上げや、合理的配慮の提供の義務化など障がい者雇用を取り巻く環境が変化する中、障がい者雇用の拡大の観点から、行政評価の指摘を受けたものと認識をしております。こうしたことから、より多くの企業が障がい者雇用に取り組み、働くことを希望する障がいのある方々の就労機会が増えるよう、関係者の意見を聞きながら、見直しを検討してまいります。私からは以上です。
山根教育長 答弁
私からは4項目目の、学校環境の充実と就学援助制度に関わる課題についてお答えいたします。
まず1点目の学校図書館の充実と司書配置についてであります。小学校の学校図書館においては、地域開放図書館の開放司書などのボランティアを始め、多くの保護者や地域の方々の協力を得て、子どもが読書に親しむための読書環境の充実を図っているところであります。中学校に配置している学校司書は、生徒の学習支援に加え、教員への助言など幅広い取り組みを行っており、昨年度、試行的に中学校から小学校への派遣も実施したところであります。今後、試行結果の検証を通じて、これまでの取り組みの発展につながるよう、小中一貫した読書環境の充実に向けて検討してまいります。
次に2点目、学校給食の在り方についてであります。まず、給食を通して食を学ぶ教育についてでありますが、食育を通して、子どもたちの食や健康への興味関心を高め、健やかな体が育まれており、その充実を図るうえで栄養教諭の果たす役割は大きいものと認識しております。
学校給食の今後の検討の在り方につきましては、多くの給食室の老朽化や、将来的な調理・配送の担い手確保などの課題を受け、昨年度、給食提供の持続可能性を探るための調査を実施したところであります。今回の調査結果を公表するとともに、本年から学校現場の教職員、保護者、有識者等からのご意見を伺うための外部有識者会議を設置する予定であり、今後、この会議での議論を踏まえつつ、持続可能な給食提供の在り方について、広く市民の意見を取り入れながら、検討してまいります。
次に3点目の就学援助制度に関わる課題についてであります。否認定世帯への実態調査と就学援助制度の拡充についてでありますが、否認定世帯となる理由については、生活保護の受給開始や、家族構成の変化、世帯収入の増加等の実態によるものと認識しております。また、就学援助の基準につきましては、生活保護基準の改定に連動させてきたところでありますが、平成25年8月の生活保護基準の引き下げ以降は、その影響を最小限にとどめるため、引き下げ前の基準の1.1倍を維持してきたところであります。就学援助の基準につきましては、社会情勢などに応じたものであるべきと考えており、今後も必要に応じて検討を行ってまいります。私からは以上であります。