私は、日本共産党を代表し、市政の重要課題について順次質問致します。
はじめに、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、高市首相の改憲手続きに関する発言についてです。
高市首相は、11月4日の衆議院代表質問への答弁で、「内閣が憲法の原案を国会に提出することは可能である」また「憲法改正案を発議し、少しでも早く国民投票が行われる環境をつくっていけるよう全力で取り組んでいく」と述べました。これは、憲法72条「内閣総理大臣は内閣を代表して議案を国会に提出できる」の規定を踏まえた政府見解を踏襲したものでありますが、憲法審議会で十分な議論を行わなくても内閣が改憲草案を提出することができるとの認識を首相が示したことであり、極めて異例な答弁です。
本来、改憲手続きは憲法96条で、衆参両院の各3分の2以上の賛成をもって国会が発議するものであり、国民投票の過半数による承認が必要と定められています。
市長はこれまで、最高法規の憲法の在り方は、憲法が定める手続きに基づいて、国会で議論を深めていくものと議会で答弁されてきました。
高市首相の「内閣が憲法原案を国会に提出できる」という発言は、憲法が定める手続きである憲法96条とは相いれないと思いますが、いかがお考えか伺います。
質問の第2は、いのちのとりで裁判の判決と補償についてです。
生活保護基準改定の是非が争われた、いのちのとりで裁判は、最高裁において、国が2013年から15年にかけておこなった保護費の引き下げが、生活保護法第3条に反し、違法との判決がくだされました。
しかし、政府は、最高裁判決の趣旨を捻じ曲げ、減額分の遡及もせずに、手法を変えて再度減額する方針を示しました。到底認められる内容ではありません。全額補償が実施されるべきですが、市長のお考えを伺います。
質問の第3は、物価高騰対策についてです。
1点目は、札幌市の市有施設の利用料金等の値上げによる市民負担増への認識についてです。
11月21日に閣議決定した国の経済対策では、軍拡予算や半導体への投資などが6割を占め、続く物価高騰のなかで国民が一番望んでいる消費税の減税は盛り込まれませんでした。
自治体の役割として、物価高騰による影響の抑制こそ求められますが、札幌市は今年度から、市有施設の利用料等を値上げし、来年度からは敬老パス制度の縮小、火葬料有料化、市営住宅の家賃と下水道料金の値上げなどを予定しています。市民所得が政令市中最低水準の市民への影響は、とりわけ深刻なものになります。
札幌市は、経費の増加に対応したものであり過度な負担とならないよう配慮したと説明されていますが、値上げの負担がいくつも重なり合うことで、市民にとって過度な負担になります。そのような認識をお持ちか、伺います。
2点目は、重点支援地方交付金についてです。
国の経済対策による重点支援地方交付金の追加には、足元の物価高への対応として「水道料金の減免」や生活困窮者への灯油購入の助成などが、支援策として示されました。
国の物価高騰対応重点支援地方創成臨時交付金を活用し、今年の1定議会の2024年度補正予算において計上した、10月11月の水道料金の基本料金2か月分の減額は、市民にいきわたる支援として大変喜ばれました。
また、厳冬期の暖房には欠かせない灯油の価格は、今年、高水準が続き、市内の灯油価格調査で、11月の1リットル当たり平均価格125.81円と、前年比で5.4%も値上がりしています。
重点支援地方交付金を、水道料金の減免や、灯油購入の補助など、広く市民にいきわたるよう活用すべきですが、いかがか伺います。
次に、新MICE施設整備基本方針についてです。
札幌市は、9月8日、市議会経済観光委員会に「新MICE施設整備基本方針」を示し、建物整備費487億円、土地取得費105億円という事業費試算を出しました。
2018年に「施設整備基本計画」をまとめた際には、西11丁目駅周辺地区との比較検討、札幌パークホテルの建て替えと一体のMICE施設としての配置計画、平面計画などが示されましたが、新型コロナウイルス感染拡大で停止していた協議が再開されると、唐突に土地の取得やホテルとは別に本市が施設建設をすることなどが示されたことに、戸惑いを禁じえません。
質問の第1は、事業手法の変更についてです。
2018年5月の「整備基本計画」では、整備手法について、再開発事業を前提とした提案が事業者からあり、本市はMICE棟の床に該当する部分の費用を支払うことで新施設を取得する、という内容になっていました。ところが、今回の「整備基本方針」では、「一体的な利用に向けた連携を前提に、市と事業者がそれぞれ建設を目指す」とし、札幌市が土地の「購入をすべきと判断した」、と結論付けています。
なぜ、再開発事業によるホテルとの一体的な整備から、別々に整備する計画へと変更したのか、当初事業者から出された再開発の前提はどのように検討が推移したのか、うかがいます。
質問の第2は、「基本方針」提示までの議会への説明についてです。
9月8日の経済観光委員会で我が党は、「不動産鑑定評価額」とする債務負担行為は前代未聞であることを指摘いたしました。現時点で想定105億円にも上る土地取得や、その取得時期の是非について、議会への説明や議論が十分に保障されるべきだったのではないでしょうか。また、「基本方針」には、「事業手法やMICE市場の動向の変化、建設費の高騰の影響等を加味」したことや、施設規模、投資効果について検証したと書かれていますが、その具体的な内容や検討経過について事前の報告がなされないまま、9月29日には土地取得のための債務負担行為を議決するスケジュールでした。
このたびの基本方針提示から補正予算決定までの経過はあまりに短く、議会に対し事前に説明をし、議論を深めるべきだったと考えますが、いかがかうかがいます。
質問の第3は、使用年数80年と想定した事業計画についてです。
第3回定例会では、多くの議員から80年先を見通す計画に疑問を呈していましたが、私も同様です。
札幌市は現在「第3次都心まちづくり計画」を策定するため、「計画案」を作成中ですが、その中では、「社会・経済・環境の変化とまちづくりの動向」について、「先行きが不透明で、予測が難しい時代」と記しています。
グローバル化の進展による新型コロナウイルスのような新たな感染拡大の可能性や、気候変動による天候の極度な変化、頻発する自然災害、他国への侵攻・軍事的行為など、日本や世界を揺るがす大きな問題が次々と起こる現代において、80年後までを見通すことは難しく、札幌市が提示する事業計画のライフスタイル収支や経済波及効果額には、信憑性がないと言わざるを得ません。
1点目は、税収を「増」とする根拠についてです。
「ライフサイクルにおける収支」の項目で、収支プラスの要素の一つに税収をあげ、「新MICE施設の開業によって増加」する、としています。
税収には個人市民税なども含まれますが、札幌市の人口は、35年後の2060年には162万人と減っていく推計です。80年後の本市の人口はどの程度になり、そのうち納税者がどの程度となる見込みでしょうか。
税収が増加すると示した根拠について、個人市民税、法人市民税、固定資産税・都市計画税が、現状から80年の間にどう増えるのか、具体的な税収額をお示しください。
2点目は、稼働率と運営収支についてです。
「運営収支」の項で、単年度で年間約2.2億円の黒字、80年後に約170億円のプラス、と示されました。
収入としている利用料金、駐車場料金や、支出としている人件費・物件費は、それぞれ年間でいくらと試算されたのか、80年後はいくらと試算されたのか、うかがいます。また、メインホールの稼働率90%は、80年間同じように稼働するとお考えなのか、さらに、「加味した」とする大規模修繕費の実施時期と回数、費用についてもあわせてうかがいます。
次に、都心アクセス道路に関する水害リスクおよび地震時の安全性についてです。
札幌市は、都心から高速道路までの距離が他都市と比べて長く、都心へのアクセス性が脆弱であるとして、国道5号「創成川通」に創成トンネルと連続する4.8㌔の地下トンネルによる高規格道路、いわゆる「都心アクセス道路」の整備を進めています。
わが党は、財政負担が比較的小さく、工事期間中の交通影響も最小限に抑えられる右折レーン整備などの交差点改良を優先すべきと求めてきました。
当初1,000億円とされていた総事業費は、地下構造の採用により1200億円へと増加し、2割の地元負担金240億円のほかに、地下構造に伴う上下水道管の移設についても、国の負担や補助金を見込んでもなお、本市の負担は165億円にのぼる見込みです。今後、物価や人件費の上昇によりさらに地元負担が膨らむ懸念はぬぐえません。
加えて、地球温暖化の進行に伴う台風や豪雨の激甚化により、地下空間の浸水リスクは確実に高まっています。三重県では、豪雨により地下駐車場で270台を超える車両が水没する事案が発生しており、市民からは「アクセス道路は5㌔に及ぶ地下トンネルだが安全なのか」と不安の声があがっています。
2018年に北海道開発局が作成した「豊平川氾濫シミュレーション」では、72時間総雨量406㍉の条件で堤防が決壊した場合、約100分後に創成トンネルへ氾濫水が到達すると示されました。
さらに本年は、豊富町で1時間 197.5ミリ、白老町では123ミリなど、従来の想定を超える短時間強雨が相次ぎ、釧路・十勝地方では北海道初の線状降水帯も発生しています。
2017年にわが党が浸水リスクについて質問した際、市は「地下構造になった場合、最新の設計基準等に基づき、大方の豪雨の時には対応できるであろう」と答弁していましたが、近年の気候状況を踏まえれば、当時よりも危険性が増しているのは明らかです。
札幌市は、現在、都心アクセス道路の豪雨・氾濫時における水害リスクをどのようにとらえ、どのような対応策を検討しているのか伺います。
また、月寒断層の直下型地震被害想定での液状化の影響も含め、具体的にどの程度の地震動を想定し、安全性をどのように担保しようとしているのか伺います。
次は、多文化共生における、日本語指導教員の配置についてです。
札幌市は、2024年度に「札幌市多文化共生・国際交流基本方針」を策定、今年度「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」を制定し、互いを尊重し、誰もが個性を発揮できる「共生社会」の実現を目指しています。
札幌市の外国籍市民数は、2014年の9,426人から2025年2万665人と10年間で約2倍、公立小中学校における帰国・外国人児童生徒数も、2015年49名から2023年156名と3倍以上になり、児童生徒の国籍なども多様化しています。
札幌市で、日本語を母語としない児童生徒の教育支援を担っているのが、日本語指導担当教諭「日本語巡回指導教員」です。
日本語巡回指導教員は、小学校4校、中学校1校に1人ずつ計5名加配され、日本語巡回指導の方式で、支援が必要な児童生徒が多くいる学校を拠点として、他学校の対象児童生徒についても支援を行っています。
札幌市は、帰国・外国人児童生徒への支援の成果について、「児童生徒や教職員が生活習慣や言語の違いを敬い、多文化共生への理解を深められるよう、様々な工夫を行い、人間尊重の意義を高めることができた」と評価しています。これは、多様な文化背景を持つ児童生徒同士が学校生活を送ることで、お互いの多文化理解の感覚を身につけることとして、どの教育現場でも達成を目指し広がってほしいと思うところです。
しかし、とりわけ日本語巡回指導教員においては、2023年に1人加配したものの、5人の指導教員で対象児童生徒の支援は十分行われているのかと心配するところです。
帰国・外国人児童生徒の転入数が増えており、新規受入校も増えていることから、今後、巡回指導教員の増員や、巡回方針を見直し、常勤としての配置が必要になると考えますが、いかがお考えか伺います。
次に、札幌市におけるジェンダーギャップについてです。
質問の第1は、札幌市のジェンダーギャップの認識についてです。
2025年、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数において、日本は148か国中118位と大変低く、G7では最下位です。教育と健康はトップクラスでありながら、経済と政治分野のスコアが著しく低い状況であると評価されています。
都道府県版のジェンダーギャップ指数においては、北海道が47位と最下位であり、特に行政と経済分野で47位です。
札幌市は北海道の人口の約4割を占めることから、このジェンダーギャップ指数は札幌市の評価にも直結すると捉えられます。
都道府県別ジェンダーギャップ指数について、札幌市の状況が大きく影響していると考えられますが、認識を伺います。
質問の第2は、ジェンダーギャップの解消についてです。
今年の3月、道内の新聞記事で、北海道からの転出超過数が、女性が男性を上回っている状態について、性別による無意識な役割分担意識、アンコンシャスバイアスからくる職種の偏り、同じ仕事をしていても、管理職となるのは男性で女性は昇格が望めず、昇給も格差があることから、男女の待遇差が少なく、出産・育児休暇を経てもキャリアアップができ働きやすい首都圏への、女性の流出を招いていることが、報道されました。
札幌市の2021年の市民意識調査では、男女平等意識は社会分野で10.6%と低く、男女の賃金格差は約1.7倍です。
ジェンダーギャップ、賃金等の男女の格差や生きづらさを実感している札幌市の女性は少なくないと思われますが、札幌市として、どのようにお考えなのか伺います。
函館市では、若年層をはじめ、特に20代の女性の市外転出超過となっていることから、調査と現状分析を行い、あらゆる分野におけるジェンダーギャップ解消が必要と掲げ「ジェンダーギャップ解消に向けた取り組み」をはじめています。
札幌市の状況をみますと、2024年は道外転出超過数が男性466人に対し、女性は1731人と約4倍であり、20代が多く、東京など首都圏への流出が多いことが示されています。
札幌市としても、ジェンダーギャップ解消のために、現状分析をおこなうなど、具体的な取り組みをすべきと考えますが、いかがか、伺います。
質問の第3は、札幌市役所における女性職員の役職者登用の推進についてです。
札幌市は、女性の役職者登用について、昇任試験での配慮や多様なワーク・ライフ・バランスを考慮した職場環境の整備等に努力してきました。
職員全体の女性の割合が増加するとともに、2024年度の女性の管理職は全体で17.2%へ、新規昇任者数についても、係長で21.9%と、それぞれ上昇してきております。
しかし、人事委員会からは、「役職者に占める女性職員の割合は依然として低い状況」と指摘されています。
女性は出産と、育児休業も長期の取得が多く、男性よりキャリア形成が遅れる傾向にあることから、さらなる対策と支援が必要ではないでしょうか。
政策や事業の策定に女性の視点の取り入れることは、住民の多様なニーズに応え、公共サービスの向上をすすめるうえでも大きな役割を担います。
女性の役職者の登用率をあげることは、政策決定の上で重要なことであると考えますが、いかがか、伺います。また、推進する上での課題について、認識を伺います。
次は、介護保険制度についてです。
2000年(H12)にスタートした介護保険制度は、自治体が責任を持つ措置制度から、利用者が事業者との「直接契約」により介護サービスを利用する仕組みに変わりました。
それにより自治体は、市民や介護サービスの相談に直接かかわる機会が減ってきていると感じます。市民が安心できる介護制度としていくには、介護を必要とする市民の実態を掴み、制度に反映させる自治体の努力が重要と考えます。
質問の第1は、介護保険制度の見直しによる影響についてです。
介護保険制度は、3年に1度、計画とともに介護報酬と介護保険料改定が行われます。介護報酬は2000年から通算するとマイナスであり、介護保険料は毎回引き上げられ、2000年制度開始時、平均額が2911円でしたが、現在は、6,225円と2倍以上となっています。事業所の経営と利用者に大きな影響をあたえ、「経済的な理由でサービスを抑制せざるを得ない」「ヘルパーを派遣できず、サービスを提供できない」などの実態が広がっています。
国による2027年(R9)からの10期計画の見直し検討では、これまで介護従事者や利用者からの反対により見送られてきた「利用者負担割合の2割への引上げ」「要介護1.2の在宅サービスの地域支援事業への移行による保険外し」「ケアプラン有料化」などの具体案が示されましたが、反対意見が続出しています。
これらが実施されると、これまで以上の負担増とサービスの低下を招き高齢者世帯のくらしや介護事業所の経営をさらに困難にさせていくことにつながると考えますが、いかがか伺います。
質問の第2は、札幌市における介護保険料の所得区分についてです。
札幌市は、国に先駆けて2021年(R3)の8期から、所得段階を13段階へと増やし低所得者への負担軽減に配慮してきました。また、国は、自治体により区分を増やす設定を可能としています。
低所得者の負担軽減に配慮するとともに、保険料上昇を抑制するため、さらに所得区分の細分化をすべきと考えますが、いかがか伺います。
次に、除排雪についてです。
札幌市は、人口100万人を超える世界都市の中で、最も降雪量が多く年間降雪平均597㎝、年間雪日数は平均124.4日であり、札幌市民は1年の約3分の1を雪と共に暮らさなければなりません。
雪の問題は、市民にとって、ときに命に係わる重大な問題です。
わが会派は、市の責任により、生活道路の除排雪を徹底するための予算やパートナーシップ排雪制度の地域町内会負担の廃止、除排雪の出動基準の引上げ、事業者の日常的な業務確保のための予算確保を求めてきました。
質問の第1は、税金の使い方の認識についてです。
札幌市が毎年行う「市民意識調査」では、「新雪除雪は、かき分けであること」「自宅前に寄せられた雪の処理は各世帯が行うこと」「生活道路の排雪は行わないこと」など、札幌市の除排雪作業への市民の認知度は高いものの、市政に関する要望の第1位は、10年以上連続で「除雪」であり、市内10区すべてで第1位です。
除排雪に力を入れてほしい道路は「70.5%が生活道路」と回答し、生活道路の状況改善のために必要なことは「道路脇の雪山の高さや交差点の見通し」「路面の凹凸や段差、気温の上昇によるザクザク路面」「道路の幅」と続きます。自宅敷地内の雪置き場の有無について「十分にある」は16.4%でしかありません。また2025(R7)年5月~6月に行った市民アンケートでは、冬の暮らしの困りごとの第1位が「道路や交差点の見通しが悪い」ことでした。
2024年度の除排雪事業費は278億円であり、10年間で97億円増額しています。増額の内訳は、作業員の人件費・燃料費60億円。交差点、バス路線の排雪強化などサービスレベルアップ37億円となっています。
確かに増額していますが、公的な除排雪システムにより、都市が機能し市民の暮らしが成り立っています。世界の都市と比べ降雪量が多い札幌で、除排雪事業費は最優先されるべき経費であり、市民意識調査やアンケート結果に照らしても、除排雪事業費の増額は税金の使い方として市民に十分理解されるものと思いますが、これについてどのような認識をお持ちか伺います。
質問の第2は、札幌市雪対策審議会についてです。
秋元市長は、札幌市雪対策審議会で「持続可能な形で冬季の市民生活を維持していくためには、どのような行政サービス、人、物、お金を投下していくのが妥当か、幅広く議論を進めていきたい」とあいさつをされました。
審議会では、部会として小委員会が設置され、8月21日初会合が行われた予算規模小委員会では、資料説明で、札幌市の財政状況について、「扶助費」「公債費」「職員費」の義務的経費が増加し、この経費が増えると、裁量的な施策の余地が狭くなるなど、ことさら収支不足を強調し、膨張する除排雪事業費について、予算規模の観点から様々な意見をいただくということで、議論がスタートしました。
札幌市雪対策審議会は、除排雪事業費の抑制策を決める場ではなく、持続可能な市民の暮らしの安全や除雪従事者の安定した労働環境、札幌市の経済活動を支えることが議論の柱であるという認識でよいのか、改めて、お考えを伺います。
質問の第3は、除排雪経費に係る国庫支出金の総額確保についてです。
札幌市は、来年度予算に向け各関係省庁に「重点要望」を提出しており、総務省と国土交通省には、毎年「除排雪経費に係る国庫支出金の総額確保」を求めています。
2024年度、札幌市の除排雪経費に対する、国からの交付税参入率は47.5%であり、金額にして実際の除排雪経費と約131億円の乖離があります。
また、雪寒指定道路の道路除雪に係る費用は、国の法定補助率に対し配分額が不足すると、札幌市が自主財源で補填せざるを得なく、2020年度決算では国庫不足額の補填分は27億円でした。(最新にする)
今後も、労務単価の上昇などは続くと考えられることから、除排雪経費を支える国庫支出金の確保は必然です。
除排雪経費に係る国庫支出金の総額確保の要望について、国からどのような回答があるのか、今後どのように求めていくお考えか伺います。
最後に、ヒグマ対策についてです。
クマによる全国の死者数は過去最多となり、人身被害は過去最高のペースとなっています。
札幌市でもヒグマと人との距離が、かつてないほど近くなり、様々な摩擦が引き起こされています。この背景には、農作物や家庭菜園、放置果樹や生ごみなどの味を覚えたヒグマが人の生活圏に入り込み、次世代に引き継がれることで、人に慣れ、人を恐れない、いわゆるアーバンベアが増え、市街地での出没を繰り返すにいたっていると専門家は指摘しています。
質問の第1は、緩衝帯の役割についてです。
札幌市の生物多様性さっぽろビジョンでは、かつて緩衝帯の役割を担ってきた農地が減少したため、ヒグマが市街地に出没しやすい環境になったと説明しています。
札幌市は、市街地の周辺地域の境界部分をヒグマ侵入抑制の緩衝帯としてきました。
2023年に改訂された「さっぽろヒグマ基本計画」では、この緩衝帯の役割を、新たに自然歩道などがある都市近郊林に広げ、ヒグマの侵入をある程度許容するものの、定着を抑制し、有害性が認められる場合には捕獲するとしています。
嗅覚が鋭く学習能力が高いヒグマにとって、餌となる食べ物が得られる場所に近く、安全であり、他の個体も生息していないとなれば、別な地域から移り住むヒグマがいると容易に考えられます。
緩衝帯に定着する有害なヒグマにさせないためには、「緩衝帯は住みにくい場所」とヒグマに学習させることが大切です。
ヒグマにとって住みにくい緩衝帯とするためには、粘り強い追い払いや、電気柵等の設置、繰り返しの刈り払いといった対策を優先して実施する必要があると考えますが、見解を伺います。
質問の第2は、専門性を持つ人材の系統的な配置についてです。
出没したヒグマへの対応に加えて、侵入や定着を抑制していくには、現在の人員体制では困難です。
札幌市は国や道と連携、ヒグマ対策の経験がある職員の力も借りて対応に乗り出しているとのことですが、出没の増加に追われています。こうした状況で、ヒグマ対策の知識や経験を継承していくためには、体制の強化が求められます。
札幌市として、専門性をもつ人材やガバメントハンターを系統的に育成・配置をしていく必要があると考えますが、いかがか伺います。
質問の第3は、個体数の把握と生息環境の調査についてです。
ヒグマの出没件数は増加傾向が続き、札幌市では今年、過去最多だった2023年の227件を超え、すでに358件に上っています。
出没の増加は、生息地の餌不足などが要因との指摘もありますが、餌不足の原因や、個体数の増加との関係についても解明が求められています。
生息域とされる森林では、針葉樹など人工林の増加による広葉樹の減少、温暖化による植物の生育環境の変化、乱開発や森林伐採などの影響が考えられ、個体管理をしていくうえでも、こうした生息環境の影響把握が必要です。
札幌市の面積のうち、市街地は約36%で、残る64%が森林です。市全体で民有林は12%、市有林は2%とわずかで、国有林が50%を占めます。
森林と市街地が隣接している札幌市の特徴から、国と連携して、国有林でのヒグマの生息環境や個体数を調査し、把握する必要があると思いますが、お考えを伺います。
以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴、ありがとうございました。
秋元市長 答弁
全体で7項目にわたりご質問いただきました。私からは、大きな1項目目の私の政治性についての3点、そして7項目目のヒグマ対策についてお答えをさせていただきます。残余のご質問に対しましては、担当の天野副市長、山本副市長、加藤副市長からお答えをさせていただきます。
大きな1項目目、私の政治姿勢についてのまず1点目、高市首相の改憲手続きに関する発言についてお答えをいたします。憲法改正に関しましては、その必要性や内容について国民の理解を得ることが欠かせないものであり、憲法が定める手続きに基づいて国会において慎重かつ十分な審議がなされるべきものと考えております。
次に、2点目の命のとりで裁判の判決と補償についてお答えをいたします。生活保護の基準は、国が定めるものであり、本年6月の最高裁判決を受け、国が責任を持って是正措置を講ずべきものと考えております。今般、国は当時の消費実態に基づいた差額を追加給付するという方向性のもと、補正予算を計上したことから、生活保護の事務を受託する札幌市においては、給付に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
次に、3点目の物価高騰対策についてお答えをいたします。まず、市有施設の利用料等値上げによる市民負担増への認識についてお答えをいたします。昨今の急激な物価高騰化におきまして、市有施設の利用料の値上げについても市民のご負担になっているものと認識をしております。
しかしながら、例えば、使用料、手数料は施設や行政サービスを利用する方に、その受益に応じた適切な負担をいただくものとして、経済状況や社会情勢の変化によって適宜見直しが必要なものと考えております。いずれにいたしましても、長引く物価高につきましては、市民生活に影響が及んでおりますことから、札幌市としては国の交付金も活用し、生活者・事業者支援に取り組んで来たところであり、これからも引続き必要な支援を速やかに行ってまいります。
次に、重点支援地方交付金についてでありますが、重点支援地方交付金の拡充に当たりまして、様々な推奨事業が示されたところであります。長引く物価高は影響が多岐にわたりますことから、広く市民に行き届くことを含め、速やかに支援策を検討してまいります。
次に、7項目目のヒグマ対策についてお答えをいたします。まず、専門性を持つ人材の系統的な配置についてであります。ヒグマ対策には、専門的な知識や経験が必要なことから、警察や猟友会、専門事業者等と緊密に連携を図りながら対応にあたっているところであります。
引き続き、関係機関と専門知識、技術を共有するとともに、市職員の体制強化や猟友会と協力をしてハンターの人材育成を行うことなどにより、ヒグマの出没増加にも対応できる体制作りを検討してまいります。次に、個体数の把握と生息環境の調査についてでありますが、札幌市ではこれまでも国有林を含めて市街地近郊での生息状況調査により、個体数や生息域の把握に努めてきたところであります。
引き続き、国や北海道と連携をして調査を実施することにより、生息状況を的確に把握し、個体数管理などより効果的な対策につなげてまいりたいと考えております。私から以上です。
天野副市長 答弁
私からは大きな3項目目、都心アクセス道路に関する水害リスク及び地震時の安全性について、大きな6項目目、除排雪についての2点目、札幌市雪対策審議会についてと3点目の除排雪経費にかかる国庫支出金の総額確保についてお答えをいたします。
まず、大きな3項目目、都心アクセス道路に関する水害リスク及び地震時の安全性についてですが、札幌市といたしましても、近年の自然災害の状況を踏まえた安全対策は重要と認識しており、事業主体である北海道開発局にも検討を求めてきたところでございます。
北海道開発局においては、想定される最大規模の水害を考慮した排水施設の整備等に加え、気象状況に応じた的確な事前通行規制など、ハード、ソフト両面での対策の検討が行われております。また、地震に対しましても、大規模地震の発生時に、発災時に交通機能に著しい影響を与えないよう、液状化や内陸直下型の地震動にも対応した耐震設計が実施されております。
引き続き、札幌市といたしましても、北海道開発局と連携して道路利用者の安全の確保に向けて取り組んでまいります。
次に大きな6項目目、除排雪についての2点目、札幌市雪対策審議会についてお答えをいたします。札幌市雪対策審議会は、人口減少に伴う社会全体の担い手不足や将来的な税収源が避けられない中において、持続可能な雪対策のあり方を検討するために設置した付属機関であり、厳しい財政状況を踏まえた予算規模の検討とともに、除排雪体制の構築や、市民ニーズ及び気象変化に対応した除排雪方法の見直し、さらには雪との共生に向けた市民理解の醸成といった様々な観点から検討を進めることとしております。
次に、除排雪経費にかかる国庫支出金の総額、総額確保についてですが、札幌市の要望に対して、国からは道路の除雪が地域の安全安心な暮らしや経済活動を支える重要な施策、施策であるとのご理解をいただいた上で、今後とも適切な支援を行うよう努めるとの回答を頂いております。
また、全国的に大雪となった場合は、臨時特例措置による支援も検討するとのことでございます。今後も札幌市重点要望に加え、他の積雪寒冷都市とも連携するなど、様々な機会を捉えて要望を行ってまいりたいと考えております。
私から以上でございます。
山本副市長 答弁
私からは大きな4項目目、札幌市におけるジェンダーギャップについて、そして大きな5項目目、介護保険制度についてお答えいたします。まず、大きな4項目目、札幌市におけるジェンダーギャップについて、その認識と解消についてお答えをいたします。
国内の有識者などが今年発表した都道府県版ジェンダーギャップ指数におきまして、北海道が4分野中3分野で最下位であり、市町村別の状況は把握できないものの、札幌市においても固定的な性別役割分担意識や男女間の賃金格差などにより女性が活躍しづらい現状があると認識をしています。
これらの改善を図るためには、市民や企業の意識改革が最重要と考えており、その解消に向けてワーク・ライフ・バランスや女性活躍を推進する企業に対する認証制度などの各種施策により、認証企業数が増えるなど、着実に成果が出ているところであります。
今後は現在実施している施策を引き続き推進していくとともに、来年度に実施を検討している市民意識調査の結果を踏まえながら現状分析を行い、より効果的な施策も検討してまいります。
次に、札幌市役所における女性職員の役職者登用の推進についてであります。
多様な住民ニーズを政策に反映するために、女性役職者の登用は重要な意義を持つものと認識をしています。一方で、男性と比べ自身のロールモデルが身近に少ないことや、育児による制約等により経験業務が限定的になっていることで、女性が昇任に関して意欲を持てないと感じている現状があると認識をしております。
そこで、ロールモデルとなる事例集の公開や、育児をしながら新たな業務分野への挑戦を支援するキャリアサポート制度を導入し、女性職員の活躍促進に取り組んでいるところです。引き続き、各種取組の効果検証を行いながら、女性役職者の登用推進に取り組んでまいります。
次に、大きな5項目目、介護保険制度についてであります。まず、1点目の介護保険制度の見直しによる影響です。介護サービスの需要が増加する中で、必要なサービスを提供していくと同時に、給付と負担のバランスを図りつつ、制度の持続可能性を高めるため、国においては様々な観点から議論を重ねているものと認識をしています。
給付や負担の見直しは、利用者や事業者への影響も大きいことから、広く理解が得られるよう、引き続き国に対し慎重な議論を求めてまいります。次に、札幌市における介護保険料の所得段階についてであります。介護保険料は、今後、次期高齢者支援計画期間中の人口やサービス量の推計を基に、所得段階の在り方も含めた様々な観点から検討してまいります。
私から以上です。
加藤副市長 答弁
私からは大きな項目の2点目、新MICE施設整備基本方針についてのすべての項目及び6点目、除排雪についての1点目、税金の使い方の認識についてについてお答えいたします。
まず、新MICE施設整備基本方針についてでございます。1点目の地方事業手法の変更についてでございますが、コロナ禍が収束をいたしまして、事業者はホテルを早期に整備する必要性が生じた一方、札幌市はMICE 需要の見通しを踏まえ、事業の再検証を行うことが不可欠となり、双方のスケジュールに違いが生じたところでございます。
加えて、工事時期が重なると担い手が不足するといった懸念も顕在化したため、両施設をそれぞれ単独で整備する手法へと見直しを行ったものでございます。
2点目の基本方針提示までの議会への説明についてでございます。
昨年5月の経済観光委員会において、事業手法の見直しの方向性を示した上で、今年9月の経済安保委員会において基本方針を説明し、事業の必要性や経済波及効果など様々な質疑を頂いたほか、その後の代表質問や委員会審議においても、幅広い観点から議論を深めていただいたと認識しているところでございます。
3点目の使用年数80年と想定した事業計画についてでございます。1点目の税収を増とする根拠についてでございます。
新たなMICE 施設の整備による経済波及効果は年間約492億円と想定しておりまして、そこから派生する税収は個人市民税、法人市民税、間接税の合計で年間9億3000万円と見込んでいるところでございます。
2点目の稼働率と運営収支についてでございますが、年間の利用料金収入は施設・備品で約10億1,000万円、駐車場で5,000万円、合計で10億6,000万円。
支出につきましては、人件費約3億2,000万円、物件費5億2,000万円で、合計で8億3,000万円を見込んでいるところでございます。なお、稼働状況や税収効果などは、現時点で得られる年間数値を同水準で積み上げる形で整理をしたものでございます。
また、大規模修繕費につきましては、設備や外装材など耐用年数に応じまして80年間で約370億円を見込んでいるところでございます。
次に、大きな6項目目除排雪についての税金の使い方の認識についてでございます。
除排雪事業につきましては、国の市民生活や経済活動を守るために重要な事業と考えており、安全安心な冬季道路交通の確保に必要な対応を行ってきたところでございます。また、一方で、近年の財政状況は市税収入は増加しているものの、物価や賃金水準の上昇の影響によりまして、扶助費、建設費用などの歳出額の増加がそれを上回りまして、収支悪化による基金の取り崩しが続いている、大変厳しい状況となっているところでございます。
加えて、将来的には税収の減少も見込まれるところでありまして、今後の除排雪事業費の規模につきましては、慎重に検討していくことが必要という認識でございます。私からは以上でございます。
さとう綾議員 再質問
1点再質問をさせていただきます。
物価高騰課下の市民負担増への認識について、市長は、札幌市が今年行ってきた市有施設の使用料、手数料などの市民負担増については、この市民負担となっていることは認識をしている、情勢、経済状況の変化によって見直す必要があるとのご答弁でした。
物価高騰の中で札幌市も厳しい財政状況であると、そういう懸念があること、また、情勢の変化によって見直すことがあるということは理解できます。しかしだから、現段階で決定または検討されている来年度からの値上げについて質問の中でも申し上げましたが、敬老バスの縮小は大幅なバスの減便、廃止が続く中で、フィーダー化によりバスから地下鉄へ乗り継ぎとなると運賃が高くなり、敬老バスの限度額や自己負担額の縮小による負担と重なりますから、一層高齢者にとっても負担増になります。
そして、市営住宅家賃の見直しにより、築年数が経過している建物でも利便性を理由として値上がりとなることや、下水道料金の値上げでは、暮らしに密接に関わる出費ですから、特に低所得世帯への影響が大きく、この物価高騰の中で一層暮らしを締め付けることとなります。
いろいろ値上がりをしている中でも、札幌市もこんなに値上げをするのかと市民の思いがあります。物価高騰支援での国の重点地方交付金の活用には、広く市民に行き渡ることも含めて、速やかに支援策を検討するとご答弁でもありました。
片方で、支援策を講じなければならないほどの物価高騰が続き、市民の暮らしが厳しい事態である中、特に低所得者に影響する値上げにつながるものについては、一旦立ち止まり、実施時期を見直すなどが必要な情勢であると思います。
見直していただきたいと思いますが、いかがか市長に伺います。
秋元市長 再答弁
市有施設でありますとか、あるいは行政サービス、これを継続的に行っていくためには、今この手数料等の見直しをしていく背景というのは、物価高騰だとか、あるいは人件費の上昇という歳出面、こちらが多くなってきているわけであります。
それぞれの施設なり行政サービスを行っていく中で、そういった状況があって、それらをやはり持続可能な形でサービス提供をしていくためには、一定程度、そのサービスを受けていらっしゃる方々、受益者の負担を一定程度お願いをしていかざるを得ない。
そのために料金の見直しなどをさせていただいているところであります。これは適宜適切に行っていく必要があるものというふうに思っております。一方で、物価高騰による対策というのは、国の交付金なども活用しながら、これは別途、市民生活の中に広く影響といいますか、与えておりますので、広く市民の手に届くように別な対策を取っていく、この両立で進めていきたいというふうに考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。