私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案第34号、第39号、第46号、第47号に反対、残余の議案19件に賛成、諮問1件を承認する立場で討論を行います。

 議案第47号「令和元年度札幌市一般会計補正予算」は、国庫支出金等の特定財源から176億8663万6千円、一般会計からの繰り越し金20億4486万4千円、補正総額197億3150万円となるものです。
 本議案に反対する理由の第1は、マイナンバー制度に関連する補正予算が組まれているからです。
 ICT活用戦略推進費800万円は、国の行う、マイナンバーカードを取得し、マイキーIDを設定した者に対し、キャッシュレスでチャージ・買い物をすると25%のマイナポイントプレミアム分が付与される事業に伴い、本市が、希望者に対し、マイキーID設定を支援する窓口を設置するためのものです。また、繰越明許費となっている2億2931万円は、マイナンバーカードの交付が、今年1月の時点で25万4千枚と、わずか12.9%の普及にとどまり、年度内執行が困難になったものです。
 マイキーIDは、マイナンバーを取得したのち、ID発行の手続きを行い、なおかつ、カードやキャッシュレスを利用して初めてポイント付与されることから、その利用は限定的なもので、消費活性化策にはなりえず、低い普及率を引き上げるための策だと言わざるを得ません。
 マイナンバー制度に、万全なセキュリティはなく、個人情報流出が起こる可能性は否定できません。そうした懸念や、国による個人監視の強化などへの警戒心など、総じて市民は必要性を感じていないことが、普及率からも表れています。マイナンバー制度は今からでも止めるべきです。
 理由の第2は、札幌駅改修関係費として1100万円の追加補正が含まれているからです。11月14日、1月31日の都市計画審議会で、札幌駅周辺の改修計画が明らかになりました。札幌駅北口駅前広場の通路の幅員が8メートルから4メートルと狭くなることについて、「車椅子の方の通行に支障がでる」、「観光客が多く滞留する場所がなくなる」こと等、懸念の声が多数出されていました。これらの問題に対する解決策が示されず、新幹線の札幌延伸への課題も山積する中、駅舎の工事が進められることは問題です。
 理由の第3は、国の「GIGAスクール構想」により、小学5、6年生および中学1年生全員、計4万4065台の「タブレット端末」と校内LANなどの整備を行うための45億8600万円が追加となっているからです。
 本市は、教育的効果を強調しますが、その一方で、電磁波など児童生徒の心と身体への影響と、授業の中で教員と子ども、子ども同士がお互いの顔を見ながら会話し、理解しあう機会が減ることで、人間形成が歪められる懸念があります。教員と専門家などによる児童生徒の学びと成長を第一にした検証は不十分です。また、維持管理費が本市の財政を圧迫する懸念も明らかになりました。何より、全国で教員不足が叫ばれているときに、ICT環境の充実に莫大な費用をかけ続けるのは、財政支出の優先順位としても納得できるものではありません。拙速な導入はやめるべきであり、反対です。

 次に、議案第34号「無料低額宿泊所の設置及び運営の基準に関する条例案」についてです。
 反対する理由の第1は、施設長の資格要件に問題があるからです。条例案第7条で、「職員の資格要件」を、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者もしくは社会福祉事業等に2年以上従事した者、としながら、「また、これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者」としています。これは、実質的には、資格のない者が施設長に就任することを可能にしています。資格認定講習を、就任後のいつまでに終了するのかの定めもなく、これでは、資格要件を課した意味がなくなります。職員、とりわけ施設長の資格が担保されないことは、認められません。
 理由の第2は、無料低額宿泊所の中に位置づけることができる「日常生活支援住居施設」について、基準が示されていないからです。厚生省令第13条の2項では、「無料低額宿泊所が生活保護法第13条第1項但し書きに規定する「日常生活支援住居施設」に該当する場合、「日常生活支援施設として委託することができる」としています。本市は、10月から委託を開始する予定とのことですが、いまだに、国から正式な基準が示されていません。一時的な利用の場であるべき宿泊所に、日常生活を送ることを前提にした施設を可能とすることに対する、十分な議論と支援の具体化がなされるべきです。必要な要件や、委託内容が明示されないまま条例を制定することは問題です。
 理由の第3は、利用者の人権を保障しうる施設とならない懸念があるからです。
 生活保護受給者を劣悪な住居に住まわせ、支給される保護費を不正に徴収する「貧困ビジネス」が社会問題になっており、本条例案第4条第2項は、「入居者の意思及び人格を尊重して、常に当該入居者の立場に立ったサービスの提供に努めなければならない」としています。しかし、その設備の基準では、「1室の居室の床面積は7.43平方メートル以上」と、わずか4畳半程度であり、住生活基本法に基づいて国交省が策定した「住生活基本計画」に明示されている、単身者の「最低居住面積水準」25平方メートルより大幅に狭いものとなっています。また、第20条「入浴」では、やむを得ない事情があるときに「1週間に3回以上の頻度」とすることができる規定となっています。夏の暑い季節に「週に3回」の入浴でも可、とする規定は問題です。また、第27条「日常生活に係る金銭管理」においては、「無料低額宿泊所の設置者等が、日常生活に係る金銭を管理することを妨げない」とし、貧困ビジネスとなりかねない要素を含んでいます。
 以上のことから、本議案に反対するものです。

 次に、議案第39号、「学校教員の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。
 この条例案は、「1年単位の変形労働時間制」の導入を進める上で、各自治体に在校時間等の上限時間を定めさせるためのものです。国は、制度の導入理由として、学期中を「繁忙期」とし、代わりに、夏休みなどを増やす、としています。しかし、学期中を「繁忙期」とすること自体、教員の働き方をさらにひどくするものです。例えば、現在の退勤時刻終了をめどに設定されている会議などが18時、19時まで可能となり、その後、教員は授業準備などを行うことになります。当然「繁忙期」に年休などを使うことが困難になることも懸念されます。また、育児や介護との両立もできなくなる可能性があります。さらに、条例で定めることは、教員の意思そのものが無視される恐れがあります。そもそも学校は、子どもの状況などで臨時的、緊急的な対応を絶えず求められる職場であり、それが教育現場です。教員の長時間労働の是正には、授業数に比べてあまりにも少ない教員定数を増やすなど、抜本的な対策こそ必要です。1年単位の変形労働時間制の導入は、教員の長時間労働の問題を解決するどころか、長時間労働の固定化、助長につながる懸念があることから、その前提となる本議案に反対です。

 最後に、議案第46号「軌道事業の廃止に関する件」は、2020年度から、これまで本市交通局が担っていた路面電車の事業を、車両や軌道・変電所などの保有や整備はこれまで通りとしながら、運転業務を民間に委託する、上下分離を行うため、これまでの「特許」を廃止するものだからです。
 路面電車を安全に運行することと、車両等の整備は一体のものであり、本市が責任を持ってすべての事業を行うべきであり、上下分離のための本議案には反対です。

 以上で、討論を終わります。