私は、日本共産党を代表し、市政の重要問題について順次質問いたします。

 はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、秋元市政2期8年の市政運営と、今後の予算編成についてです。
 1点目は、大型再開発事業の認識と市民合意についてです。
 秋元市長は2015年の選挙で、1972年の札幌冬季五輪を機に整備された都市インフラの更新と、再開発事業への助成による民間投資の活性化を公約しました。
 1期目の「アクションプラン2015」では、一般会計の建設事業費について、学校などの市有建築物や道路、公園等の都市基盤などを計画的に維持・更新していくため、極力平準化を行い、年1,000億円規模を確保するとともに、2016,17年度に都市再開発などの大型事業を積極的に展開するとして4年間で4,633億円、2期目の「アクションプラン2019」では、それら事業を引き続き展開するため、4年間で4,493億円を想定し進めてきました。
 そのうち学校整備関連は、学校の新築はなく概ね統廃合による改築であり、市営住宅関連はアクションプランの想定を予算で下回る一方、再開発関連はアクションプランの想定を年度予算で上回ってきました。
 企業会計を含む中長期的な計画では、2019年からの建設事業費の膨張が見られます。事業費財源のうち市債をみますと、2015年度517億円、2016年度以降18,19年度は630億円前後、その他は700億円を超え膨らんでおり、2023年度は907億円という参考値をあげています。
 2030年の新幹線札幌延伸と冬季オリンピック招致を当て込んだ再開発事業が市債を発行しながら進められてきたと言えます。
 市債は、返済期間を30年とし、当然利子も付きますので、将来にわたり大きなツケを回すことになるため、特に大型再開発事業は市民の納得が得られる事業であるべきと思いますがいかがか伺います。また事業について市民への説明と合意が必要ですが、それらはきわめて不十分だと思います。市長の認識を伺います。
 2点目は、再開発事業による市民への影響についてです。
 昨年第1回定例議会の代表質問で「現在進めている再開発事業で、市民の多くがその恩恵を享受できるのか」認識を質問しました。市長は「都心の再開発など魅力あるまちづくりは、将来を見据えた投資である」「投資は、多くの市民の暮らしの充実に繋がるものであり、持続可能なまちづくりに資する」と答弁されています。
 投資を呼び込む方針のもと、例えば再開発事業で建設される高額物件のマンションは、首都圏の富裕層に人気があると言われ、すでに契約や申込済の物件購入は、多くが道外や国外在住者であり、投資目的で2,3軒購入を検討する人もいると報道され、投資は市民の暮らしとかけ離れたところで進んできました。なぜなら、高額物件の販売が始まったことで住宅の平均価格が大幅に上がり、一般市民は住宅価格が札幌より安い近郊の市に移り住む人が増えていると報道されているのです。
 再開発事業費への税金の増額が繰り返されていますが、公共事業としての公共的な位置づけはないことが明らかです。
 この間これら再開発事業によって、多くの市民のくらしの何が充実したとお考えか伺います。また札幌市民の雇用と経済にどのような効果をもたらしているのか伺います。
 3点目は、政令指定都市の中で最低レベルの基本指標と改善についてです。
 本市の予算額は10年連続最高額を更新し、1兆円を超えて6年になります。その間本市の経済や市民の暮らしはどうなっているでしょうか。
 2015年度決算から最新のデータである2022年度予算の本市の「指定都市基本施策比較検討調べ」をみますと、市民の収入である所得や報酬、また求人や失業率が、政令指定都市20市の中で常に低いことが特徴として現れています。
 「市民所得・雇用者報酬」は、2015年からほぼ毎年最下位です。「有効求人倍率」は15位から19位と求職者に対し求人が不足しており、「完全失業率」は常に2番か3番目に高いという状況が続いてきました。
 本市は「就業サポートセンター等事業」や「ひとり親家庭自立支援給付金」など、就労支援事業を行ってきましたが、これでは効果が不十分だと思います。どのようにお考えか伺います。
 また、所得が低い市民にとって基本指標の改善は急がれる課題だと思いますが、改善のお考えを伺います。
 4点目は、経済効果をもたらす予算編成についてです。
 本市は、福祉・くらし分野でも「特養ホームの整備率」「市営住宅の応募倍率」「世帯収入に占める国保料の高さ」など、政令市最低レベルになっています。
 わが党が毎年提出する予算要望に対する本市の回答では「子ども医療費助成の拡大」の要望に、「将来にわたり多額の財源を要するため、事業の持続可能性などから検討する」とし、また「国保・介護の負担軽減のため本市の独自予算」を求めると「市独自の軽減策を講じることは制度の主旨から適切でない」としてきました。これらは、市民の暮らしに独自財源を投入せず、国の社会保障の後退に追随するものです。
 子ども医療費助成の拡大は、重症化を防ぎ、将来にわたって医療費の抑制効果が見込めることや、応募倍率が高い市営住宅の建設は、地元業者への公共事業の発注で、将来にわたって修繕など含め仕事を作ります。
 福祉・くらしの予算が、市民の安心はもとより地元に仕事を作り、本市の経済に効果をもたらすことを評価し、積極的に予算に反映すべきと考えますがいかがか伺います。
 5点目は、医療・福祉分野の発展についてです。
 2015年以降、政令市比最低レベルの社会保障と所得の中、多くの市民が非正規雇用や低年金で暮らしてきました。
 わが会派は、2020年21年と市長提出の「予算を組替え再提出を求める動議」を提出してきました。わが会派以外の反対で否決されましたが、あらためて税金の使い方を見直すべきであると考えます。
 市長が2期8年間で、積極的に進めてきた再開発事業をはじめとする大型事業の予算規模は、市民の暮らし向上には結びついておらず、経済的な波及効果も一時的にとどまります。
 経済センサスによると、本市の事業所数は「卸・小売業」「宿泊・飲食サービス」に続き「医療・福祉」が多く、従業者数は「卸・小売業」に次いで「医療・福祉」が多くなっています。
 昨年第1回定例議会で「経済効果について」の質問に対し市長は「医療・福祉分野は雇用者所得の増加による影響が大きいことから、他産業と同程度の経済波及効果がある」と答弁されており、医療・福祉は本市の持続可能な経済を支え得る分野といえます。
 しかしこの分野は、やりがいはあるけれども低賃金、過酷な労働環境、慢性的な人手不足に苦しんできました。
 本市は2040年には、高齢人口が4割を占めると試算しております。本市が「医療・福祉」分野に思い切った予算を配分し、本市を支える産業として発展させることが必要だと思いますがいかがか伺います。
 これにより安定した雇用を作り、高齢になっても安心して暮らせる札幌をつくることは、市長が今定例議会で掲げる「働く場の確保や税収増による、人々の暮らしの充実に繋がる好循環の実現」に資するものだと思いますがいかがか伺います。
 質問の第2は、安全保障政策についてです。
 1点目は「安保3文書」改定と国民の反応です。
 岸田内閣は12月16日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の「安保3文書」を改定し、反撃能力いわゆる敵基地攻撃能力を備えるためとして、「5年間で43兆円」にのぼる大軍拡、大増税計画を打ち出しました。政府見解としてきた「専守防衛」を投げ捨てる暴挙であり、強く撤回を求めるものです。
 今年1月1日付の東京新聞のインタビューでは、女優の吉永小百合さんが、「怖いのは、昨年末、サッカーのワールドカップで日本中が沸き返っていた時期に、敵基地攻撃能力や防衛費増額という大変な問題を、みんなで考えるんじゃなく、どんどん決めていこうとした動きです」と話され、タレントのタモリさんは、黒柳徹子さんとの対談番組で、2023年を「新しい戦前」と表現されました。NHKの世論調査では、軍事費増額のための増税に61%が「反対」と答え、国民の合意はありません。
 相次いでいる著名人の発言や国民世論は、どのような理由からのものだとお考えか伺います。
 2点目は、「安保3文書」改定の決定過程についてです
 市長は、2015年の安保法制いわゆる戦争法成立の際、「必ずしも国民の理解が深まり、不安が解消されたとは言えない状況の中で可決」されたと答弁され、国会審議のあり方に疑問を投げかけました。憲法についても、「国民的議論」が必要だと答弁されています。
 国民の命や安全、憲法や安全保障にかかわる重大問題を、国会審議や国民的議論もおこなわず「閣議決定」で改定した「安保3文書」に正当性があると認められるのか市長の判断をお伺いします。
 3点目は、改定内容と丘珠空港についてです。
 自民党の元幹事長も、敵基地攻撃能力の保有は、「少なくとも国民にきちんと説明しなければならない」「完全に専守防衛を逸脱してしまう」とのべています。
 「防衛力整備計画」では、「北海道を始めとする国内の演習場等を整備し、その活用を拡大する」「米軍施設・区域の自衛隊による共同使用や民間の空港、港湾施設等の利用拡大を図る」とされ、昨年、米海兵隊との実動訓練・レゾリュート・ドラゴン22で米軍機・オスプレイの拠点とされた札幌飛行場(丘珠空港)の利用拡大が想定されます。
 日本弁護士連合会は12月、「『敵基地』等への攻撃は、当然に相手国の反撃を招いて武力の応酬に直結する」との意見書を政府に提出しましたが、市長は丘珠空港が攻撃目標とされる可能性についてどのように認識しているのか伺います。合わせて滑走路延長を内容とした「丘珠空港の将来像」に基づいた政府への要請はいったん中断し、自衛隊や米軍の空港使用がどのようになるのか市民に説明すべきと考えますが、その意思がおありかどうか伺います。
 4点目は憲法9条を生かした外交努力についてです。
 日本はかつて、絶対主義的天皇制のもとで侵略戦争に突き進んだ痛苦の経験をもっています。
 札幌市平和都市宣言は、再び戦争の惨禍を繰り返さないという決意から生まれた憲法9条を生かし、「日本国憲法がかかげる平和の理念に基づき、非核三原則を守ることを誓い、信義と公正を重んずる全世界の市民と相携えて世界平和の実現を望」むとうたっています。
 国際紛争や軍事衝突は、尊い人命を奪うばかりか、ロシアによる原子力発電所への攻撃など、人間が生きていく環境まで破壊すると国際社会から厳しく批判されています。
 4月に開催されるG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合は、直接、札幌市が国際社会にむけて発信できる絶好の機会です。戦争や紛争の解決にむけて先進国が外交努力を尽くすよう、平和都市宣言をもつ本市としてアピールする考えはないのか伺います。
 質問の第3は、エネルギー政策とG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合です。
 原発の新設・再稼働に舵を切る政府方針とG7札幌大臣会合についてお聞きします。
 1点目は、原発回帰の政府方針についてです。
 札幌地裁は昨年5月、泊原発は津波に対する安全性の基準を満たしていないと運転差し止めの判決を言い渡しました。提訴から10年、政府の原子力規制委員会の審査開始から9年の間、安全性が証明できない泊原発をふくめ、岸田政権は、官民で原発再稼働を加速させると表明していますが、市民の命と安全を守る立場にある市長として、泊原発を含めて再稼働を進めることを、このまま静観されるのか、政府に見直しを求めることはされないのか伺います。
 2点目は、G7札幌大臣会合とエネルギー政策についてです。
 政府は、原発を「安定的なベースロード電源」と位置づけ2030年の発電量の20から22%を賄う方針です。
 現在、泊原発は稼働していませんが、北電管内では、火力発電の出力制御等をおこなっても供給が需要を上回る場合、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力を送電網への接続から外す出力調整がされました。
 今後、原発や火力に頼ることを続けるなら、再生可能エネルギー導入の足かせとなり、市長が目指す原発に依存しない地域社会の実現は遅れることになります。
 年頭あいさつで、G7札幌大臣会合に合わせて、気候変動対策の取り組みをアピールすると発言されています。
 再生可能エネルギー普及や温室効果ガス削減を本気で進めるうえでも、本市として原発再稼働、原発回帰は認められないことを明確にアピールすべきではないでしょうか。市長の見解を伺います。

 次に、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてです。
 質問の第1は、広がり続ける不信感・不快感についてです。
 東京2020大会は、招致活動中の賄賂疑惑や、猛暑の夏を「温暖な気候」と説明するなど、当初から不公正でした。新国立競技場の巨額の建設費用、大会組織委員会元会長の女性蔑視発言、ワクチンもないコロナ感染拡大中の大会開催強行など、国民が開催を支持できない事件、事態が数多く発生しました。
 さらに起きているのが、東京地検特捜部が明らかにしている汚職事件や談合という事態です。JOCや大会組織委員会という日本を代表するスポーツ組織の、その時々の対応や判断の甘さが国民の不信感を再燃させ、このたびの汚職・談合事件でさらに深まっております。
 市長は、あり方検討の指針に基づく新たな大会概要案を作成して市民理解を促進しようとしていますが、市民の中に、招致活動そのものに対する不快感が生まれているとお感じにならないのか、伺います。
 質問の第2は、招致活動を中断し、福祉を優先することについてです。
 北海道新聞社が昨年12月に行った世論調査では、札幌冬季五輪招致について、賛成・どちらかといえば賛成が33%、反対・どちらかといえば反対が67%と、前回の調査より10ポイント反対が増えた結果となりました。反対の理由で最も多かったのが、「除雪やコロナ対策、福祉など他にもっと大事な施策がある」で、48%となりました。
 本市が昨年3月に行った意向調査でも、反対の主な理由として「他の施策に注力してほしい」が最も多く、市民の中に、「オリパラ招致等にお金を使うより、暮らしや福祉を優先してほしい」、という声が強くあることは明らかです。
 新型コロナウイルス感染の拡大や、ロシアの軍事侵攻が引き起こした物価高騰などによる、雇用不安や経済的な負担増など厳しい生活を長期間強いられている多くの市民にとって、切実な願いではないでしょうか。介護や子育てへの支援など、もっと大事な施策を優先して進めてほしい、と願うのは当然のことだと思います。
 オリンピズムの目的は、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために」スポーツを役立てることであり、医療や介護、子育て支援など福祉の充実は、人間の尊厳を保持する保障です。充実させる施策を最優先に進め、市民がそれを実感して初めて、招致に同意できる基盤がつくられるのではないでしょうか。
 いまは、招致活動を中断し、まず、福祉やくらしを優先する時だと思いますが、市長はどうお考えか、伺います。
 質問の第3は、客観的な市民の意思確認についてです。
 我が党は、議会で繰り返し、住民投票などで市民の賛否を確認してから招致に進むよう求めてきました。2019年7月のオリパラ調査特別委員会では、「大会招致に多くの市民から支持を得ることが何よりも大変重要」との認識も示されておりました。
 しかし、1万人の意向調査実施を記者発表した昨年2月、マスコミから「意向調査の結果によって招致を進めるか進めないかの判断は変わらないのか。仮に反対が非常に多かった場合でも判断は変わらないのか」と問われ、市長は「調査の結果を受けて、それらを参考にしながら議論をしていきたい」と答えました。意向調査の結果、「多くの市民からの支持」が得られなかったにも関わらず、市長が、調査結果を「参考」程度にとどめ「総合的な判断」によって招致活動をいまだに続けているという、歪んだ事態を招いています。
 昨年12月、「JOCとも相談して再度意向調査を実施する」と表明しましたが、意向調査を再び行っても、結果を「参考」程度にするのであれば、結論ありきの調査でしかありません。市民から多くの「反対」の意思が示されても、市長の「総合的な判断」によって招致活動を続ける可能性は否定できないのです。
 また、昨年3月に実施した「意向調査」は、1万人を対象にしただけで、回答者に何度も「理解」を押し付けるなど、不公正な設計の調査だった問題を指摘しましたが、こうしたことが繰り返される懸念も払しょくできません。
 行政側の意図はなく客観的であることを証明するためにも、大会招致を進めるかどうかは、市長の「総合的な判断」ではなく、市民の意思を明確に確認し、その結果を尊重するべきだと考えますが、いかがですか。
 また、市長は、全国を対象に意向調査を行う方向を述べておられますが、大会招致をはじめに表明したのは本市であり、地元・札幌市民の意思を、明確に確認するべきです。そのためには、住民投票が最もふさわしいと考えますが、市長のお考えを伺います。

 次は、新型コロナウイルス感染症についてです。
 質問の第1は、本市での高齢者の感染の対応についてです。
 国は、医療や保健所のひっ迫を理由に9月26日から全数把握を停止し、65歳以上や基礎疾患のある方、妊婦や幼児は発熱外来受診を、そのほかは自己検査と自宅療養を推奨しました。
 本市では10月から全国にさきがけ第8波となり、感染数、死亡数ともに過去最悪を更新し、10月から1月末までの死亡者数は596人、特に11月は220人、12月253人と、最多であった8月の101人を大きく超えました。
 70代後半のあるご夫婦は、2人とも発熱し、自己検査で陽性となりましたが、デジタルに不慣れなため登録ができず、ようやく電話でつながった保健所に紹介された発熱外来は、どこも受診できる枠がありませんでした。再び電話で保健所にパルスオキシメーターの送付を頼むと「送れない。登録してください」と言われ、送付の手続きすらできなかった、とのことです。
 デジタル登録できない方の場合、これまでは電話による登録援助をしていましたが、陽性の自己登録が始まってから、行われなくなりました。また、高齢や基礎疾患等でリスクが高くても、かかりつけ医が発熱外来を行っていない場合、医療機関にかかれない事態も頻発しましたが、発熱外来を紹介するだけでした。
 デジタル弱者でもある高齢者についての対応と支援が十分であったか、検証する必要があると思いますが、いかがか伺います。
 また、本市は、高齢者専用のコロナ病床を増やしてきたものの、入院を必要とする患者数に追いつかない状況が続き、介護施設からは、入院を要望しても断られたとお聞きしています。
 入院できないまま介護施設や自宅等で亡くなる事例もあったのではないかと推察します。
 介護老人保健施設や介護療養型医療施設以外の、多くの高齢者施設等では医療機関と提携していますが、クラスターが発生した場合は、医師や看護体制も不十分なのが現実であり、施設職員の心身の負担も深刻です。
 施設に入所している高齢者が感染した場合に、施設内の留め置きを極力減少させるべきと思いますが、いかがか。入所者が、病院を受診できないことがあってはならないと思いますが、いかがか伺います。 
 質問の第2は、「第8波」と地域医療構想についてです。
 本市は、医師会などの協力も得て、新型コロナ感染者受け入れのための病床確保に努力されてきましたが、それでも「第8波」にいたるまで、感染拡大で病床がひっ迫する事態は変わりませんでした。
 これは国が長年、病床削減政策として長期入院に対する診療報酬を減らし、稼働していない病床を抱えていたり、医療スタッフを抑制しなければ、病院経営が成り立たない医療制度、診療報酬体系にしたからです。全国的に病床削減を迫る地域医療構想も、こうした流れの一環です。
 厚生労働省は新型コロナ感染症拡大を受けて、公立・公的・民間の医療機関における今後の対応方針の策定や検証・見直しをおこなうよう助言し、昨年11月には、3年ぶりとなる「札幌圏域地域医療構想調整会議」が開催され、本市の担当者も出席されています。
 新型コロナの感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行させようという政府の方針では、入院調整が保健所ではなくなり、医療機関がおこなうことが想定されますが、受診や入院の要請に対応できるのかという不安の声が医療機関、介護施設関係者などからも聞かれます。
 本市は、地域医療構想調整会議のなかで、感染症対応に限らず恒常的に余裕のある病床確保の必要性を主張する考えはないのか、また、そのための財政措置を国に求めるべきだと考えますが見解を伺います。

 次は、介護保険要支援認定者への地域包括支援センターの関わりについてです。
 本市には、高齢者の介護予防支援の拠点として、総合相談支援、虐待の早期発見・防止等の権利擁護、介護予防、包括的・継続的ケアマネジメント等を行う地域包括支援センターが27か所あります。介護予防センター53カ所が、ブランチとして一部機能を補完しているとしても、1センターあたりの高齢者への対応人数は20,479人で、政令市平均の約2倍です。そのため、地域の高齢者へ十分関われない状況があると考えます。
 さらに2019年に本市が介護サービス提供事業者に行った、「介護保険サービス提供事業者調査」の自由記載では、「困難ケースの対応も増加している」、「介護予防ケアマネジメント業務の占める割合がかなり大きく包括の業務を圧迫している。」、「給与と業務量がマッチせず、人材が定着しない」などの切実な声が出されています。
 本市は条例の基準に基づき、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などを配置していますが、この基準では地域の高齢者のニーズに事業所が十分に応えきれていないことを示しています。
 本市は、2023年度予算で「2040年を見据えた地域包括支援センター機能強化事業」として専門職員1名あたり50万円の処遇改善費が組まれたことは、現場で働く介護労働者に歓迎されるものです。
 一方、人的体制の強化については、高齢者増による自然増2人と、単年度のモデル事業として、フレイル予防マネジメントを行う「フレイル改善マネジャー」3人の職員増にとどまっています。
 2022年3月31日時点で、要支援1・2の認定者40,088人のうちサービスを受けていない人が約17,000人います。そのうち地域包括支援センターが、アプローチできている高齢者は、約3割の5,000人にすぎません。要支援の認定を受けながら、サービスを利用したくても利用できない高齢者がいるのではないでしょうか。サービスを受けていない高齢者の約7割にアプローチできていない実態について、どのようにお考えか、その対処方針についてもあわせて伺います。

 次は、子ども施策の課題についてです。
 質問の第1は、保育士配置基準についてです。
 保育現場であってはならない「バスの置きざり」や「虐待」などの不適切な保育が起きていることが報道されています。本市は、今定例会の予算で、保育施設等の送迎バスの安全対策装置という対応を示しています。こうした対応は第一義的に必要とされる対応でありますが、同時に保育士の働き方の改善や保育士の専門性をどう育てるのか等が課題となっていると考えます。
 保育現場での保育士同士の日常的なコミュニケーションがあれば「登園していない子どもへの気付き」「発達に則した子どもへの接し方」などの情報共有ができ、安全な保育の保障につながると考えます。
 しかし、国の基準では、0歳児3人に保育士1人、1~2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4~5歳児30人に1人の保育士配置となっており、保育士どうしのコミュニケーションや打ち合わせの時間の確保が困難です。
 本市は、保育士の加配を行っていますが、他都市では、独自に配置基準を見直し、保育士の配置を厚くしています。本市でも基準を見直し、保育士の配置数をさらに引き上げるべきと考えますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、子育ての負担軽減についてです。
 1点目は、学校給食についてです。
 1つ目は、給食の質についてです。
 昨今の物価高騰は、学校給食にも大きな影響を与えています。国内の学校給食用食品製造に関わる企業33社が加盟する学校給食用食品メーカー協会会長は「原材料価格の高騰はかつてないレベル、おいしくて栄養価が高く、地産地消で、食育も加味した給食を保護者負担で未来永劫継続するのは難しいと思う」と見解を示しています。
 本市の給食運営委員会においても、物価値上がりによる献立への影響について議論が続けられてきましたが、「来年度(R5年度)の給食費について据え置き」、「今後も引き続き安心で安全な給食を提供していくこと」と答申が示されました。
 給食は、成長期にある子どもの健全な食習慣の基礎を培う目的や、地元農家から野菜を取り入れるなど地産地消の観点からも極めて重要な食育の一環です。
 経済状況が急変する中でも、札幌市の子どもたちが、安心して毎日質の高い給食をおいしく食べられるよう、更なる食育の推進に努めていくことや、質の維持向上は必要と考えますが、見解を伺います。
 2つ目は、学校給食費の無償化についてです。
 学校給食費の無償化は、誰もがわかりやすい子育て支援であり、無償化を通して子どもや家庭を積極的に支えていきたいと、小中学校とも給食費を無償化している自治体は2017年度の76市町村から5年で3倍化し、2022年12月時点で254団体に広がっています。来年度においては東京23区など人口規模の比較的大きな自治体でも無償化方針を示す自治体が相次いでおり、子育て世帯に大変喜ばれています。
 本市の学校給食費は、現時点の月額だと、小学校6年間で約32万2千円、中学校3年間で約18万4千円です。義務教育9年間で一人当たり50万6千円がかかることになり、きょうだいで同時に小中学校に通っていれば、毎月給食費の支払いだけでも大きな負担です。
 本市でも子育て世帯の支援として、独自で学校給食費無償化を進め、せめて多子世帯への減額などは急いで実施をすべきと思いますが、いかがか伺います。
 2点目は、子ども医療費助成についてです。
 子育て支援を重視し、子どもたちのいのちと健康を守りすこやかな成長を保障するためにも、お金の心配なく医療にかかることができる「子ども医療費助成」はもはや全国の自治体において最重要政策のひとつであり、市区町村の約半数が通院・入院ともに「高卒まで」の助成を実施しています。「中学校卒業」までと合わせると、通院は94.7%、入院は97.8%で、また、子どもの健康に保護者の収入で格差をつけるべきではないとの考えから所得制限を撤廃する市区町村も増えています。
 本市が行った「令和3年度札幌市子どもの生活実態調査」において「子どもに必要な病院受診をさせなかった」の回答の中で、その理由が「お金がなかった」と回答した割合が、子ども医療費助成のない中学二年生と高校二年生で高い傾向にあり、また中間所得層にも一定数いることがわかりました。
 本市の子ども医療費助成制度は、2021年4月診療分より小学4年生から6年生までの通院医療費が新たに助成対象となりました。
 子育て支援のニーズが高まる中で、本市の「小学6年生まで」はあまりにも遅れていると市長は認識すべきです。
 子どもは大きくなればなるほど体も丈夫になり、病院にかかる頻度も減り、公的財源の負担が減少します。子ども医療費助成制度は、窓口負担無料、所得制限の撤廃、本市の全ての18歳までの子どもたちが安心して医療にかかれるよう拡充すべきと考えますがいかがですか、伺います。

 次は、生活道路の排雪強化についてです。
 我が党は、町内会など地域も費用を負担する「パートナーシップ排雪制度」について、第3回定例会の代表質問で、「本市の全額負担で、全ての生活道路を、パートナーシップ排雪と同程度に排雪を行う」よう求めてきました。
 近年、地球温暖化の影響で発生頻度が増えている「日本海寒帯気団収束帯」が、本市にも昨年のドカ雪や、今冬の強烈な寒波という形で影響している、といわれ、今後も発生を想定した対応が必要です。
 今年度は、昨年度を踏まえ総額257億円の除雪予算とし、大雪が見込まれる場合には前倒しで排雪作業が行われており、市の姿勢として重要だと考えます。しかし、生活道路については、除雪作業後に路面に残る雪の厚さを30cmまで許容する基準となっているため、降雨や気温の上昇で路面の雪が緩んだ場合、ひどい轍で歩行や交通に障害を起こします。
 生活道路は、幹線道路と違い幅員が狭く、雪をためておくスペースが少ないので、今後の地球温暖化の影響を考えると、札幌市が定期的に“たまった雪は排雪する”ことこそが、市民に求められていると思いますがいかがか伺います。

 最後に、今後の観光振興の考え方についてです。
 質問の第1は、次期「札幌市観光まちづくりプラン」についてです。
 北海道の各地と札幌には、大勢の訪日外国人旅行者いわゆるインバウンドの方が訪れます。地域住民と観光客が文化的な交流を図り、信頼関係を深める貴重な機会です。
 観光をより良い機会とするためには、住んでいる人も幸せ、その地を訪れる人も幸せ、そして住民が誇りを持って暮らしている。まさに「住んでよし、訪れてよし」の地域づくりが欠かせません。酪農や農業で培われてきた大地の喪失、ローカル線の廃止など、かつての魅力を失い続ける北海道にとって極めて重要な考え方ではないでしょうか。
 この考え方は、単に「観光客が増え、儲かればいい」という観光地づくりではなく、みんなで「観光による地域づくり」を目指そうというものだと考えます。
 現在、本市では2023年度から計画期間10年間の次期「札幌市観光まちづくりプラン」の策定に向けた検討を進めています。「次期プラン」は、地域の産業や文化を支えるとともに、関連事業者と市民が「これなら頑張れる」という希望の持てるプランにするとともに「住んでよし、訪れてよし」の札幌を本市の目指すべき姿として位置付けることが重要だと考えますが、どのように認識されているのか伺います。
 質問の第2は、国の観光政策についてです。
 国は2030年の訪日外国人旅行者いわゆるインバウンドを6,000万人呼込み15兆円の消費額を目標に掲げています。
 その達成に向け、消費額の大きい富裕層をターゲットとして、上質な宿泊施設とサービスが提供可能な環境整備を官民挙げて迅速かつ強力に推進するとしています。
 これは労働者の賃金が上がらないもと、個人消費の落ち込みによる地域経済の低迷と中小零細業者の衰退を、富裕層とインバウンドによる国内消費額の増加で補おうとする観光政策だと言わざるを得ません。
 2021年6月に観光庁の設置した「上質なインバウンド観光サービスの創出に向けた観光戦略検討委員会」がまとめた報告書では、日本はインバウンドの中でも、富裕旅行者の受入れに舵を切るべきと提言しました。
 その内容は、伝統工芸品・ブランドの高級衣服や宝飾品などを購入するのは富裕層なので、高級宿泊施設・高級食材等を提供する富裕層向けサービスを中心とした施策を推進するというものです。
 中でも、地方には自然や食材などの魅力があっても、富裕層向けの宿泊施設が無く、今後は上質な宿泊施設の開発を課題に挙げており、北海道が一部の富裕層旅行者の誘致に特化した観光地づくりになる懸念があると考えますが、本市の認識を伺います。また、国の観光政策は、インバウンドの受入れ目標数と消費額に固執し過ぎるべきではないと考えますが、本市の見解を伺います。
 質問の第3は、サスティナブルツーリズムの推進とDMOの設置についての考え方についてです。
 サスティナブルツーリズムは、直訳すると「持続可能な観光」という意味で、国連世界観光機関(UNWTO)では、訪問客、業界、環境及び観光客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在及び将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光として定義しています。
 エコツーリズムやグリーンツーリズムなどの他のツーリズムと比べ、サスティナブルツーリズムは、自然を楽しむ或いは環境や文化の保全にとどまらず、経済・社会面も加味しながら、どのような地域においても、住民コミュニティーに配慮し、持続可能な状態で保つことが強調されているのが特徴とされています。
 このような観光のあり方への転換が注目される背景には観光地に許容範囲を超える大勢の観光客が集まることで、環境汚染や自然破壊、住民の生活環境が悪化する、いわゆるオーバーツーリズムの課題があります。
 自然と文化・歴史遺産をはじめ、各地の魅力を広げ、発信する取り組みは、大いに歓迎すべきですが、オーバーツーリズムは、住民生活の犠牲と観光地そのものの価値の低下にもつながるため、観光客を集客するだけではなく、地域の文化や自然に配慮しながら、観光地の住民と観光客の相互が潤う持続可能な観光地づくりサスティナブルツーリズムが重要視されています。
 本市にとっても、観光を通じて地域の活性化が図られることで雇用を生み出し、地域住民の生活と自然・文化を守ることが観光客の満足度にもつながり、リピーターを増やすというサイクルいわゆるサスティナブルツーリズムは、今後の観光振興にとって大変重要であると考えますが、どのように認識されているのか伺います。また、その実現に向け、市民と観光関連業者との協働の取組とするうえで、本市はどのような役割を果たそうと考えているのか伺います。さらに、次期「札幌市観光まちづくりプラン」検討委員会では、DMO(観光地域づくり法人)の設立を、来月にも本市に提言すると報じられていますが、サスティナブルツーリズムとDMOとの関係性の構築をどのように進めようとお考えなのか伺います。

 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴、ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で7項目にわたりご質問をいただきました。私からは大きな1項目、私の政治姿勢についての3点と2項目目2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、   石川副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
 私の政治姿勢についてのうち、まず1項目目の秋元市政2期8年の市政運営と今後の予算編成についてのご質問についてお答えをいたします。
 1点目の大型再開発事業の認識と市民合意と2点目の再開発事業による市民への影響についてあわせてお答えをさせていただきます。再開発事業は、民間投資により街の魅力や活力を高め、税収効果を含む経済波及効果が見込まれるものであり、都市計画に係る審議会や議会での予算審議などの手続きの中で市民の意見を確認する機会を経て、実施をされている事業であると認識をしております。また再開発事業により、賑わいの創出や訪れる人々の利便性の向上が図られ、国内外の人や企業を呼び込み、経済を活性化させ、雇用の場の確保や固定資産税などの税収増により、子育て支援や様々な形で暮らしの充実に繋がるものと考えております。
 3点目の政令指定都市の中で最低レベルの基本指標と改善についてということでありますが、これらの指標は地域の経済力とも大きく関連をしておりまして、第三次産業が大きな割合を占める札幌の各産業構造において、雇用や市民所得などを向上させるためには、域外の需要を取り込むということが重要であり、先に触れた再開発事業で街の魅力を高めることに加え、観光や食分野など札幌市に強みのある産業の振興に力を入れてきたところであります。また、就労支援といたしましては、これまでも女性や高齢者など幅広い方を対象に、マッチング機会の提供や人材育成のほか、職場体験を通じた定着支援などに努めてきたところでありますが、今後も雇用環境の変化や、景気動向を注視し、国の経済対策等も踏まえながら、基本指標の改善にも資する取り組みということを着実に進めてまいりたいと考えております。
 4点目の経済効果をもたらす予算編成、そして5点目の医療福祉分野の発展についてでありますけれども、医療福祉分野においては、医療や介護報酬など、国の制度による定めがあり、取り組みの効果が、雇用者所得の増加に直接的に作用することが難しいことなど、他の産業との構造的な違いはありますものの、これまでもそして令和5年度当初予算においても、一般会計予算総額の約4割を保健福祉費として計上し、福祉や暮らしの充実に積極的に取り組んできたところであります。加えて医療福祉をはじめとする多様な分野において、人材の育成や確保等に向けた課題に対応することで、雇用の促進、改善に繋げていくなど様々な面から、市民の暮らしの充実に注力をしてまいりたいと考えております。
 次に政治姿勢についての2項目目安全保障政策についてであります。
 1点目の安保3文書改定と国民の反応についてと、2点目の安保3文書改定の決定過程について、あわせてお答えをさせていただきます。国の安全保障政策や、その財源のあり方については、何より国民の理解が得られることが重要であると考えております。この3文書に関しまして、今後国会において関連法案等を審議する過程で、その内容や財源について十分な説明と議論がなされるべきものと考えております。
 3点目の改定内容と丘珠空港についてであります。自衛隊の訓練を含めた丘珠空港の運用につきましては、これまでも国に対し情報の提供や市民生活への配慮を要請してきたところであり、市民が不安を抱くことのないよう今後も引き続き国に求めてまいります。丘珠空港につきましては、北海道札幌にとって重要な役割を担う空港として、医療や防災など、市民道民の安全安心な暮らしに寄与するとともに、多様な交流を支える広域交通拠点となる空港を目指し、国への要望など必要な対応を行っていく考えであります。
 4点目の憲法九条を生かした外交努力についてでありますが、札幌で開催をされるG7閣僚会合では、国際社会の重要課題である気候変動、エネルギー、環境について議論をされ、平和への思いの共有については、広島で開催されるG7サミットの意義として期待をされているところであります。G7各国に対しましては、札幌市も加盟する平和首長会議がウクライナ侵攻から1年が経過するに当たって、対話を通じて一刻も早い戦争の終焉を求めてアピールをしたところであり、今後も世界平和に向けた取り組みを行ってまいります。
 次に政治姿勢についての3項目目、エネルギー政策とG7札幌気候エネルギー環境大臣会合についてお答えをいたします。
 原発回帰の政府方針およびG7札幌大臣会合とエネルギー政策についてでありますけれども政府の新たな基本方針においても、原子力発電所の再稼働は安全最優先で進められるものと認識をしており、原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会による厳格な安全審査の実施が前提と理解をしておりますことから、引き続き政府等の動向を注視してまいりたいと考えております。また、原子力発電については、脱炭素社会の実現に向け、省エネの推進や、太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大を図っていく中で、可能な限り依存度を低減していくことが重要であると認識をしております。
 次に大きな2項目目、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。まず1点目、広がり続ける不信感不快感についてでありますが、東京2020大会の疑惑は、アスリートをはじめ、大会の開催に心血を注いだボランティアなど関係者の努力を踏みにじり、オリンピック・パラリンピックそのものだけではなく、招致活動に対する市民の信頼も大きく損なう結果となり、強い憤りを感じているところであります。その上で、招致活動については市民の信頼を前提に進めていくものであることから、まずはその不信感の払拭に努めていきたいと考えております。
 次に2点目、招致活動中を中断し、福祉を優先することについてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策に加え、物価高騰など、市民生活に直結する喫緊の課題については、時期を逸することなく取り組んでいるところであります。一方、人口減少など社会構造の変化に直面するなか、地域の経済活性化を図りながら、福祉を含めた行政サービスを持続的に充実させていくことが必要であり、オリンピック・パラリンピック招致はこうしたまち作りを加速させていく効果があるものと考えているところであります。
 次に3点目の客観的な市民の意思確認についてでありますが、大会招致にあたっては、住民の理解や支持が重要であり、今後しかるべき時期に民意の確認を改めて行い、その結果を尊重していく考えであります。また開催都市として、地元市民の意向が重要なのはもちろんのことでありますが、加えて招致実現のためには国の支援が不可欠でありますことから、国民の意向を把握していくということも必要と考えているところであります。具体的な民意の確認手法については、審議会とも十分に協議をいたしながら、今後判断をして参ります。私からは以上です。

町田副市長 答弁

 私からは、大きな3項目目、新型コロナウイルス感染症について、そして大きな4項目目の介護保険要支援認定者への地域包括支援センターの関わりについて、5項目、目子ども施策の課題についてのうちの1点目、保育士配置基準について、そして2点目の子育て負担軽減についてのうちの子ども医療費助成についてのご質問についてお答え申し上げます。
 まず大きな3項目目、新型コロナウイルス感染症についての1点目、本市での高齢者の感染の対応についてのうちのまず高齢者の対応と支援についてのご質問でございますが、陽性者登録センターはスマートフォンを活用して申請する仕組みであるため、特にデジタル弱者への対応を意識しながら検証を重ね、電話による登録の補助やシステムの改修を行うことで改善してきたところでございます。今後とも、より適切な患者への支援に向けて検証と改善に努めてまいります。
 次に施設入所者への対応についてでございますが、高齢者施設の入所者については、保健所の医師がそれぞれの症状や基礎疾患、主治医や施設の協力医療施設の協力医療機関の状況、生活環境の変化による影響などを総合的に判断し、往診、外来診療、入院の調整などを行うことで、陽性者一人ひとりに必要な医療が提供できるよう配慮しているところでございます。高齢者など重症化リスクの高い方を医療に繋げることは大変重要なことと認識しており、引き続き入院を必要とする方が速やかにまた適切に入院できる体制整備に努めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症についての2点目の第8波と地域医療構想についてでございますが、地域医療構想に基づく必要病床数は、長期的な人口減少や疾病構造の変化を見据え、各地域において質の高い効率的な医療提供体制を維持するため、将来的な医療需要を推計し、医療機能の分化や連携を推進するためのものでございます。一方、今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた医療法改正等により感染症拡大時における病床確保等は、有事における機動的な対応として令和6年度開始の次期医療計画において、都道府県単位で定めることとされたところでございます。また札幌市では、北海道が定める医療計画の基本方針に沿った上で札幌市の現状や特性を踏まえた札幌医療計画を策定しており、本計画においても感染拡大時の医療提供体制について定め、北海道とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に大きな4項目目、介護保険、要支援認定者への地域崩壊支援センターの関わりについてのご質問でございますが、札幌市におきましては要介護支援認定者意向調査により、要支援認定を受けたもののサービスを利用していない方の中に、いざというときのためにとりあえず認定申請した方やサービス利用をしなくても生活できる方が相当数含まれていることを認識するところでございます。一方、サービスを利用していない方の中には、重症化リスクの高い方も含まれていることから、地域包括支援センターにおいては、そうした方に優先的にアプローチをしているところでございます。今後も、1人1人の高齢者の状況に応じた支援が重要と考えるため、地域包括支援センターにおけるサービス未利用者の実態把握に一層努めてまいります。
 次、大きな5項目目、子ども施策の課題についての1点目の保育士配置基準についてでございますが、札幌市では1人1人の子どもに対し、より細やかな目配りが可能となるよう、基準を超えて保育士を配置した場合などに必要な補助を行い、保育環境の充実に努めてきているところでございます。配置基準につきましては、全国共通の課題であり、子どもたちが健やかに安全な保育を受けられるよう、引き続き国に対して改善を要望してまいります。
 次、子ども政策の課題についての2点目の子育て負担軽減についての子ども医療費助成についてのご質問でございますが、子ども医療費助成は、あくまでも国が全国一律で実施すべきものと認識しているところでございますが、札幌市としても現在検討を重ねているところであり、将来世代に過度な負担となることのないよう留意しつつ、必要とする家庭に支援がしっかり届くよう判断してまいりたいと考えるところでございます。私からは以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私からは、6項目目、生活道路の排雪強化についてお答えをいたします。市内の全ての生活道路を札幌市が定期的に排雪することは、新たに多くの機材や人材の確保が必要になるとともに、多くの費用を要しますことから、極めて困難であると考えます。一方で、持続可能な生活道路排雪のあり方については、検討していく必要があると考えておりますことから、体制面や財政面などの課題を踏まえながら議論を進めてまいります。私からは以上でございます。

石川副市長 答弁

 私からは大きな7項目目、今後の観光振興の考え方についてお答えを申し上げます。
 まず1点目の次期札幌市観光まちづくりプランについてでありますが、観光施策を推進するに当たりましては、市民や地元事業者が観光による恩恵を十分に感じることが前提であり、国が観光庁ビジョンに掲げる、住んでよし、訪れてよしの理念は重要であると認識をいたしております。次期プランに掲げる本市の目指すべき姿につきましては、有識者会議である地域札幌市観光まちづくりプラン検討委員会での議論を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 次に2点目の国の観光政策についてであります。国が現在検討しております新たな観光立国推進基本計画の素案では、今後の観光政策の方向性として持続可能な観光地域作りインバウンドの回復、さらには国内交流の拡大を戦略的に推進することとされておりまして、国の政策は富裕層やインバウンドの数値目標に偏ったものではないものと認識をいたしております。本市といたしましても、富裕層やインバウンドを含め国内外の多様な観光ニーズに応えられる魅力的な観光地域作りを進めてまいりたいと考えております。
 続いて3点目、サステナブルツーリズムの推進とDMOの設置についての考え方についてであります。持続可能な観光は観光施策全般の土台となる重要な理念であり、サステナブルな旅行へのニーズが高まっていることも踏まえますと、着実に実現すべきものであると認識をいたしております。このため、市民や多様な観光関連事業者が一丸となって取り組めるよう、次期札幌市観光まちづくりプランの根幹となる概念として、持続可能な観光の考え方を位置づけてまいりたいと考えております。また、DMOの設置設立につきましては、検討委員会の議論の結果も踏まえまして、今後検討していくこととはなりますが、持続可能な観光の実現に向けて一層の推進体制の強化を進めてまいりたいと考えております。私からは以上であります。

榎田教育長 答弁

 私からは5、子ども政策の課題についての2項目目、子育て負担軽減、学校給食についてお答えをいたします。
 まず1点目、給食の質についてでございますけれども、給食は成長期にある子どもの健康の保持増進に寄与するとともに学校生活を豊かにするなど、子どもたちの健やかな体や豊かな心の育成に重要なものであるというふうに認識をしております。教育委員会といたしましては、給食費の公会計化によりまして、計画的に食材を購入することで安全で栄養バランスのとれた美味しい給食を提供するとともに、地産地消や食事マナーなどを通して、引き続き食育の推進にも努めてまいりたいと考えております。
 次に学校給食のうちの2点目、学校給食費の無償化についてでございますが、これまでも就学援助制度等で子育て世帯への負担軽減を実施しており、これ以上の支援は現時点では難しいものと考えております。以上でございます。

太田議員 再質問

 オリンピック招致と丘珠空港について再質問を行います。
 最初にオリンピック招致について伺います。今日行いました代表質問で、私は市長の政治姿勢のところで、秋元市政2期8年を振り返って、その後の各質問項目の中で、市民の暮らしや経済の問題、そして解決のための提言などを行ったところです。コロナで高齢者の死亡率が高いですとか、医療が逼迫している介護サービスに繋がれていないとか、子どもを受診させられなかったとか、保育士が足りないんだとか、除雪を充実してほしいなど市民の声や実態を質問に入れてきました。これはマスコミと本市が行ったオリンピック招致に関する調査で、オリンピックより他の施策に注力してほしいという反対意見が多いことと、根本は同じなんです。このように日々暮らしている中で、生活が苦しいからオリンピックよりも暮らしを充実してもらいたいんだと、これが市民の実感なんだということを言ってきました。
 ただいまいただいた答弁では、コロナ対策や物価高騰などは市民生活の喫緊の課題として取り組んできたんだと、持続的に充実させていくことでまち作りを発展させていく効果があると、こういうご答弁だったかと思います。あまりにもちょっと市民の思いとかけ離れていると思いました。暮らしを充実させる施策を最優先にして、しかもそれを市民が実感できることが大事なんです。市民が実感できていないから、先ほど言ったマスコミの結果などが出ていると私は思っているところです。こういうところで不快感が増えていくんじゃないのかとまた改めて思ったところでありました。
 招致に反対なのはそういう効果を実感できていないんだと、オリンピックより他の施策なんだということをまず念頭に置いていただいて、オリンピックでまち作りを発展させていく効果があると、このような答弁もされました。これで、実感していない市民がどのように市民の暮らしの充実を実感できるものになるのかと、その具体的なところを伺いたいと思いました。
 次に丘珠空港です。安保3文書の改定と丘珠空港については、ご答弁は本市にとっても重要な役割を持つ空港なんだと、そしてこれまでも情報提供や市民の環境への配慮などを要望してきたと。必要な対応をとっていくということの答弁でありました。もちろん本市としては国にしっかりと求めていくし、国が札幌市民に説明しなければならないものであることは私も承知しているところです。しかし昨年10月日米共同訓練が行われて、丘珠空港を拠点に米軍機オスプレイが矢臼別など道内4ヶ所の自衛隊基地に飛来する訓練などを行いました。北海道防衛局より、本市に連絡が入ったのはその訓練開始予定の6日前、そしてオスプレイが飛来する前日、9月26日でした。
 私も防衛局に申し入れをしましたけれども、米軍の機密事項だから、どの飛行ルートを飛んでくるのかさえ知らされないということで、これは札幌市に対しても同じような対応でした。これは、日米地位協定で米軍機は日本の空港への事前通告なしでの使用が事実上認められていると、そして日本には訓練や演習に関して規制をかける権限がないと、こうなっているからなんです。協定は極めて特権的ですから、この本札幌市議会でも2018年に自民公明以外の賛成で、日米地位協定の改定を求める意見書が採択されています。
 このような事実が起こっている中、丘珠空港は自衛隊と民間の共用空港だけれども、3文書で言っている利用拡大には該当しないなど、誰も言えない状況だと思います。3文書改定によって、今後、丘珠空港による自衛隊や米軍の利用が変わっていく可能性がありますから、その可能性について市長として改めて国に確認するべきだと思いますが、いかがか伺います。

秋元市長 答弁

 再質問いただきました。
 まず1点目のオリンピック・パラリンピックに関してございます。今ご質問にありましたように、様々な市民生活、あるいはその福祉の充実というようなこと、これをしっかりやっていかなければいけない、市民の声を受けとめて、やっていかなければいけないということ、これは事実であります。加えて札幌の場合は、この除排雪に多額の経費がかかります。他の都市も全国のどの都市に比べても、もう200億、300億という自主財源を必要とする。そういう構造にある都市であります。したがって様々な福祉の充実をしていく、これを持続可能にしていくためにも、歳入でありますとか、やはり税収含めて歳入面の強化ということもしっかり考えていかなければいけないわけであります。
 オリンピック・パラリンピックが全てではありませんけれども、先日の3年ぶりの雪まつりの開催、このときに多くの方が北海道、札幌にいらっしゃいました。こういった形で様々なイベントを行っていくというようなこと、そのことも経済効果ということで地域の経済力を高めていく、そのことに重要なことでありまして、この両方をしっかり取り組んでいかなければいけないというふうにお話をさせていただいております。
 加えてパラリンピックを開催することで、バリアフリーの施設改修、こういったようなことにも、公共的な施設のみならず、民間の施設などについても、こういった共生社会の実現ということが繋がっていく、またそういうふうに繋げていかなければいけないと、このように考えているところであります。そういう意味では、福祉か、オリンピックかということではなくて、福祉の充実、こういったものを図っていくためにも、地域の活性化、経済の活性化ということにも両方取り組んでいかなければいけないのだと、このことをお話をさせていただいているところであります。
 2点目、丘珠空港のことにつきましてでありますが、今回の3文書の内容について、丘珠空港についての直接的な記載はございません。しかしながら、今後こういった防衛施設においてどのような状況になるのかということについては、この市民の安全安心という観点こういったことからも引き続き国の情報提供ということを求めていかなければいけないと、このように考えているところであります。以上であります。

太田委員 再々質問

 再々質問します。オリンピックについて伺います。札幌は雪が降るから大変なんだというお話ですけれども、そんなのは理由にならないと私は思います。両方取り組んでいくっていうのは当たり前のことです。私達ももちろん経済発展させたいし、それから福祉も充実させたいと思っています。市長は議会が始まったときの本会議での発言の中で、観光などでも皆さんに来ていただいて1位になったと言っていますけれども、やはりそうやって観光で来ていただく人が増えていくということの経済なんかは私もとても大事だと思っているんですけれども、片方で市長触れませんでしたけれども、市民の幸福度などというのは、ここに暮らしていて幸福かどうかとそういうもの、すごい40項目もある中で、調査しますけれども、それは17位なんですよね。だからそれをどっちも大事にしてもらいたいというのは私も同じ思いなんです。バリアフリーの施設などもこれからオリンピックでなくてもやっていただきたいと、そういうふうにやはり思うんだったら、市民の信を問わなければいけないと私は思います。
 そこで伺いますけれども、市民はこういう答弁にとても驚いているかと思うんですけど、自治基本条例では、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するために条例で定めるところにより住民投票を実施することができると、こうなっております。オリンピック招致が市政の重要課題であることは市長も認めておられるところでありますし、何よりもオリンピックというのは圧倒的な市民の賛成ですとか協力がないと成功できません。市民一人一人に賛否を問うことが大事です。
 そこで伺いますけれども、先ほどの答弁の中でこれからその民意の確認手法についてですか、それは今後の取り組みなんだというお話でした。手法の選択肢に住民投票は含まれるのか含まれないのか、端的にお答えください。

秋元市長 答弁

 多くの方々に意向を伺う、そして意見を表明したい方からその意見を受け取り、そういった手法についてしっかり考えていかなければいけないと、こういうふうに思っております。そういう意味で、住民投票というのも一つの手法であるというふうに考えておりますが、どういう場合に行うのか、あるいは間接民主主義との関係をどうするのか、こういったことなどについても、議会の皆さんともしっかり議論をして進めていきたいと、このように考えております。