私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております議案25件中、議案第1号、第5号、第7号、第15号、第17号、第46号に反対、残余の議案並びに、我が党が提出した、『「議案第1号 令和4年度札幌市一般会計予算」「議案第5号 令和4年度国民健康保険会計予算」「議案第7号 令和4年度介護保険会計予算」を撤回の上、再提出を求める動議』に賛成の立場で、討論を行います。
 2022年度予算は、秋元市長2期目最後の本格予算であり「アクションプラン2019」の総仕上げ、「次期札幌市まちづくり戦略ビジョン」を見据え、感染症の影響から市民を守り、社会経済活動の力強い回復を支えるまちづくり、子どもを生み育てやすく、誰もが安心して暮らせるやさしいまちづくりなどをあげています。これらをどう具体化するのかが問われます。
 予算額は、2022年1定補正予算等の経済対策と一体的に編成し「16ヶ月予算」として1兆2,483億円、前年度比9.2%増、公債会計を除く特別会計と企業会計を合わせた全会計は1兆8,929億円と、過去最大の予算規模です。
 「議案第1号 令和4年度札幌市一般会計予算」に反対する理由の第1は、動議の提案説明で申し上げましたように、市民合意のない大型開発事業、不要不急の事業が含まれているためです。
 創成川通機能強化検討調査費・直轄事業負担金、いわゆる都心アクセス道路については、自然災害における構造上の危険性、物流などにおいての必要性の乏しさ、建設費・維持管理費の増大などを指摘し、トンネル案の撤回を提言してまいりました。コロナ禍を経て、都市計画審議会でも委員から見直すべきとの意見、疑問が出されたほか、市民の反対の声は少なくありません。市民合意のない事業費が、将来の市民負担となる懸念があります。
 北海道新幹線延伸については、有害残土処分地・候補地について反対の陳情や、トンネル予定箇所の地上に住む住民からルート変更の陳情、また、通学路が残土搬送路となることに変更を求める陳情などが次々提出されています。これらは市民合意がないことの一端であり、市民をないがしろにして2030年開業ありきでのすすめ方は認められません。
 また、札幌駅交流拠点まちづくり推進費に、北5西1・西2地区、北4西3地区の再開発に係る補助が含まれていますが、札幌延伸による需要や経済効果は不透明であり、事業そのものを見直すべきです。新幹線札幌駅東改札口については、国や鉄道運輸機構が負担すべきです。
 民間再開発促進費のうち、「北8西1地区」「南2西3地区」の事業費が、当初の1,4倍から1,7倍へと増大しています。増額理由や内容も明らかにされないまま市税を投入し続ける懸念があり、反対です。
 丘珠空港については、コロナ禍を経て、インバウンドを見込んだこれまでの計画や将来像を再検討すべきであり、生活環境の悪化を懸念する住民との合意を無視した滑走路延長計画は見直すべきです。

 理由の第2は、2030年五輪招致予算5億3889万円が含まれるからです。
 我が会派は、五輪招致と開催には圧倒的な市民の賛成がなければ成功することはできないと、申し上げて参りました。
 この度の意向調査では、約4割の市民が「反対」、または「どちらかというと反対」であり、「開催に多額の予算が必要」が最も多い反対の理由です。
 本市の施設整備費負担とされた450億円には、約50億円の利息は含まれていません。さらに、建設資材の高騰などで膨らむ可能性も、否めません。
 2017年に本市で開催された冬季アジア大会では、招致段階での総事業費の見込額が35億円のところ、実際は71億円と膨らみました。市民の懸念や疑問を払拭しないまま、強引に進めるべきではありません。市民への正確な情報提供が必要であり、多くの市民の意志が表明できる機会も十分にないまま、招致を進めることは反対です。
 第3の理由は、学校規模適正推進費1100万が含まれているからです。 
 この度、小学校は39校、中学校で4校を対象とし、画一的な統廃合が提案されています。住民合意のないままに統廃合を進めるやり方をあらためるよう、強く求めるものです。

 理由の第4は、マイナンバー関連費が含まれているからです。
 昨年の国民健康保険に続き、母子保健システム、札幌市検診情報システムを改修し、さらにその情報がマイナンバーに紐づけられます。情報は、集積されるほど攻撃されやすく、漏えいのリスクが高まることから、反対です。

 「議案第5号 国民健康保険会計予算」、「議案第46号 国民健康保険条例の一部を改正する条例案」並びに「議案第7号 令和4年度札幌市介護保険会計予算」に反対する理由は、いずれも保険料が高すぎるためです。
 今回、国が未就学児の国保均等割軽減を行い、条例を一部改正したことは一歩前進です。しかし、保険料の限度額を引き上げ、中間層の引き下げを図ってもなお、高すぎる保険料に変わりありません。思い切った繰入れによる、負担軽減を図るべきです。
 「議案第15号 令和4年度札幌市下水道事業会計予算」に反対する理由は、茨戸水再生プラザの運転管理業務を、本市職員22名を削減し、民間委託にするためです。技術力の向上や人材育成が困難になることからも反対です。

 「議案第17号 令和4年度札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、特別支援学級の配置基準の見直し、学校給食業務の委託拡大などで、102名の削減となるためです。

 次に、我が会派が提出した動議についてです。
 新型コロナウイルス感染症が長期化し、市民の命と健康、営業が脅かされるなか、感染防止と市民の暮らし、福祉、教育などが最優先でなければなりません。
 こうした市民の切実な願いに応えるとともに、コロナ危機を体験した市民感覚を反映して、不要不急の大型開発計画や無駄遣いを見直すことが早急に求められていることから、真に市民の期待に応える予算となるよう組み替えるとともに、各議員の皆様へご賛同を呼びかけるものです。

 次に、代表質問並びに予算特別委員会で取り上げた諸課題について、局別に申し述べます。
 最初に、総務局です。
 会計年度任用職員制度についてです。
 この制度は、同一部での任用が3年を限度としており、今年度末に任期満了を迎える職員が、約1,200名います。別の部への採用応募は可能であることから、相談や周知を行うことを求めます。
 市職員の時間外勤務についてです。
 過労死ラインである、月100時間を超える時間外勤務者が、コロナ禍以前から数百名いることから、時間外勤務の解消を急ぐよう求めます。
 個人情報についてです。
 本市は、新たにデジタル局を立ち上げ、官民データの利活用によるスマートシティの取組を拡大しようとしています。市民の個人情報やプライバシーの権利を守る仕組みが後退することのないよう強く求めます。

 次に、まちづくり政策局です。
 2023年、日本ハムファイターズの本拠地が、札幌ドームから北広島市の北海道ボールパークへ移転することに伴い、道路や地下鉄、シャトルバスなど、市民がアクセスしやすいよう取り組むことを求めます。

 次に、財政局です。
 市税事務所のお知らせセンターの委託業務に「催告書の郵送、簡易な納税相談や財産調査」が加わります。
 扱う個人情報が増え、漏洩のリスクも高まり、複雑なケースの納税相談も予想されることから、市税事務所職員が充分に関わる体制が重要です。

 次に、市民文化局です。
 消費者契約では、4月1日の民法改正により、成年年齢が引き下げられ、18歳からローンやクレジットカード契約が可能となることから、被害を未然に防ぐ取組の充実を求めます。
 孤独孤立し不安を抱える女性に対する支援事業について伺いました。
 コロナ禍で困難さが深刻となっている実態があります。単年度では解決しない課題であり、連携する支援団体と積極的に関わり、長期的な視野をもって支援にとりくむべきです。
 ヒアリングループの整備についてです。
 ヒアリングループは、補聴器を利用している方にマイクを通した音声を直接補聴器に伝えることで、クリアに聞こえる効果があります。
 高齢・障がい福祉とも連携し、各区民センターなどで整備を進めるよう求めます。 

 区役所における総合案内及びお悔やみ窓口の開設・民間委託についてです。
 公的責任を後退させないよう、委託ではなく、職員を増員して配置することで、現場の課題を行政に反映し、サービスの向上につなげるべきと考えます。

 スポーツ局です。
 月寒体育館についてです。
 新月寒体育館を羊ヶ丘に建設する予定です。しかし、日本ハムファイターズ移転前の計画であり、札幌ドームとの相乗効果は極めて不透明な事態となりました。
 現在の月寒体育館は地下鉄から徒歩1分で、学校や仕事を終えてからの市民利用が多く、現在の場所に建設することが望ましいと考えます。羊ヶ丘への計画は見直すべきです。

 保健福祉局です。
 産婦健診についてです。
 国は、産後2週間と1カ月の産婦健診について、「産後健康診査事業」として2017年から助成しております。産後間もない時期に産婦の心身の状態を把握し、適切な医療や支援につなげることは重要であることから、産婦健診の公費負担導入を求めます。
 生活保護についてです。
 コロナ感染が長期化し、相談数、申請数は増加傾向です。必要な市民が制度を活用するには、躊躇なく申請できる仕組みの向上と行政の役割の発揮が重要です。また、生活保護世帯は一人暮らしの方が増加しています。特に地域との関係が希薄な高齢者には、医療、介護など必要なサービスに結び付ける役割を果たすとともに、そのためのケースワーカーのスキルと経験を積み重ねるべきと申し上げます。
 敬老優待乗車証、敬老パスの利用拡大についてです。
 全ての高齢者の外出支援や社会参加をすすめるうえで、敬老パスを、タクシーやJRの利用ができるよう拡大すべきです。
 介護事業所への支援についてです。
 2年に及ぶコロナ禍で、人材不足に加えて、感染による利用控えで閉所せざるをえない事業所が生まれるなど多大な影響があります。感染対策費用も増大しており、感染の有無にかかわらず、継続的な支援が必要です。

 次に、子ども未来局です。
 「令和元年6月死亡事例に係る検証の提言に対する札幌市の取組みの評価報告書」では、部局横断的な視点と、専門知識や技術を持った職員を養成することの重要性が改めて指摘されました。
 外部委員会による評価については、継続して点検・評価を行い、庁内で共有しながら取組を進めることを求めます。
 保育の課題についてです。
 本市の認可保育所では定員割れが起きており、来年度も同様の状況が予測されることから、処遇改善で保育士を増やし、定員割れを解消すべきです。
 国の「保育士等処遇改善臨時特例事業」では対象外となる職員がいるため、本市の「加配保育士等雇用促進補助金」の基準額を引き上げ、すべての保育士の処遇改善に繋げるべきです。
 児童養護施設の職員の研修についてです。
 小規模化に伴い、専門性の高い養育を行う体制を整えるため、施設管理者に行っている研修にとどめず一般職員にも広げ、他の施設職員と情報共有できる機会を積極的に増やすことを求めます。
 「子どもの貧困対策計画」についてです。
 今後策定される計画では、若年女性などの政策に取組む等の答弁でありましたが、若者を調査対象から外すべきではなく、若者の貧困による切実な実態を改善する計画にすべきです。

 経済観光局です。
 すすきのゼロ番地についてです。
 「すすきのゼロ番地飲食業協同組合」と札幌振興公社との今後の協議には、本市が積極的に関与し、円満な課題解決とすすきののまちづくりを進められるよう求めます。
 次に、定山渓観光振興についてです。
 誘客促進事業や空き店舗活用事業等で、地元密着の良さを体感できる様々な魅力アップを図られるよう求めます。
 市内経済の活性化についてです。
 2016年「経済センサス活動調査」では、「医療・福祉」分野の民営事業所数は第4位、従業者数は第2位ですが、増加率では、共に第1位を占めていること、また、企業の生産活動により生み出される付加価値額では、「医療・福祉」分野は「建設業」を上回り第2位です。
 代表質問で「医療・福祉」分野における経済波及効果について取り上げたところ、本市は医療・福祉分野の経済効果は他産業と同程度の効果があるものと分析しており、今後、産業規模が拡大していく旨の認識を示しました。これは、医療・福祉分野が個人消費の拡大を中心として、市内経済の活性化に重要な役割を果たしているという点で重要な見解です。
 委員会では、さらに踏み込み、病院を中心とした医療分野の他産業との関係性について取り上げ、医薬品や検査機器に関わる業者のみならず、様々な業者と関連しており、他産業との深い関係性を明らかにしました。また、病院周辺地域には、多様な飲食店や小売り業なども集中しており、足腰の強い経済の一翼を担っています。今後は、これらの点を踏まえた産業振興にも注力すべきです。
 中小企業の支援についてです。
 事業継続に努力している事業者が、支援策に繋がらないことがないように、必要とする事業者に行き届く支援とすべきです。
 また、原油価格高騰で影響を受けている事業者に対し、国の交付税措置を活用し、事業者への原油価格高騰にかかる支援をすべきです。

 次に、環境局です。
 ヒグマ対策についてです。
 市街地へ侵入させないためには、最初に出没を確認した場合、初動対策として、直ちに電気柵を設置するなど、対応が重要であると申し上げます。

 建設局です。
 除雪の体制整備についてです。
 今後の除排雪体制の維持と安定化のために、計画的な人づくりと地元の建設業者への支援が欠かせないことから、予算を増やすべきです。
 創成トンネル換気設備の廃止についてです。
 創成トンネルの換気設備は、2009年3月に供用開始され、導入時で2億3千万円、維持管理などは年間約680万円、分解整備費には1台約940万円かかっていました。導入後稼働がなかったことから廃止されますが、創成トンネルは今後、都心アクセス道路につながる計画です。トンネル総延長は創成トンネルの約5倍となることから、この度廃止した換気設備が再び必要となることも考えられます。
 都心アクセス道路の換気設備の設置は、国においての検討となりますが、トンネルの維持・管理に莫大な費用がかかる懸念が明らかとなりました。

 次に、下水道河川局です。
 本市では、札幌市河川環境指針を2009年に策定し治水整備を進めながら、環境整備に取り組んでいます。
 環境整備については、地域との協働で進め、子どもたちの学びや、地域のまちづくりにも資することから、人員と予算の強化を求めます。

 都市局です。
 市営住宅についてです。
 高齢者が5割を占める市営住宅において、エレベーターがなく、灯油タンクを4階・5階まで何度も運ばなければならないという深刻な事態があります。オイルサーバー設置には数十億の費用がかかるため難しいとのご答弁でしたが、計画的に設置すべき問題でした。
 本市は自治会や社会福祉協議会など関係機関と意見交換し、ソフト面の対応を検討したいとのことですので、オイルサーバー設置の検討とともに、特に高齢者の灯油の運搬について、札幌市の責任で、早急に具体化し負担軽減を図るべきです。
 セーフティネット住宅と要配慮者への住宅支援についてです。
 本市は、市有施設の削減方針から、市営住宅の建設を抑制しているため、応募倍率は依然高いままです。一方、活用を図るとされている民間のセーフティネット住宅は登録数、空き室数とも全く足りず、民間に依拠する整備では住宅福祉は進まないことが明らかになりました。セーフティネット住宅や専用住宅に入居する要配慮者に対し、市営住宅と同様の低廉な家賃とする仕組みを求めます。

 次に、病院局です。
 市立札幌病院についてです。
 オミクロン株では厳重な感染対策のなかでも、クラスターが発生し、救急搬送を含む入院・外来患者の受け入れにも大きく影響したところです。
 一般病棟は感染病棟とは陰圧などで違いがあります。感染対策強化として、一般病棟のトイレや洗面所などを非接触性設備への改修をすすめたいとの答弁でした。まだ古い設備もあり、施設内の感染防止対策を引き続き進めて頂くよう申し上げます。

 最後に、教育委員会です。
 札幌市立高校の1人1台端末の整備については、全額公費負担とすべきです。
 就学援助制度の基準額よりわずかに所得が上回ることで、制度を利用できない世帯があることから、基準額を引き上げるべきです。
 特別支援学級の教員配置基準を障がいの種別から障がいの程度へ、見直しをすることで、来年度、教員配置定数が減る学校があります。
 児童生徒への教育的支援やかかわり方には、教員の専門性の確保は重要であり、子ども一人ひとりの障がい特性に応じた教員配置にすべきです。

 以上で、私の討論を終わります。