日本共産党は、懲罰を科すことに賛成しますが、懲罰内容を「除名」とすることに反対の立場で討論します。
 松浦議員は、5月13日の第1回臨時会において、地方自治法の規定に基づき臨時議長に就任しました。その際、他の議員の発言を認めず、動議や議事進行の発言を求めても指名をせず、議事を進行する立場の者としての最低限の責務を果たしませんでした。その不当性は議事録でも確認済みでしたが、その事実の受け入れも拒否したことは、議会内の民主主義を否定するものであり、到底許されるものではありません。したがって、懲罰を科すべきだと考えます。
 しかし、その懲罰内容を、最も重い「除名」とすることには反対いたします。
 6月17日の懲罰特別委員会の意見表明で、除名処分とした会派から、松浦議員が具体的な経緯やその理由について説明していない、として、「その場しのぎの言い訳」、「場当たり的な態度」、「信用できない答弁」等が述べられました。しかし、松浦議員は、「知識不足であった」と理由を述べ、議会を混乱させたことについて明確に議場で2度陳謝したのです。このことは、事実として受け入れるべきです。それが、場当たり的かどうかなど、心の中まで測ることは不可能で、議会の裁量の範囲を超えるものです。
 また、以前からの松浦議員の発言を顧(かえり)みたり、5月14日の松浦議員の質疑や行動に言及され、「反省している姿勢は全くうかがわれませんでした」との意見がありました。しかし、このたびの懲罰特別委員会の審議は「5月13日の議場で起きたこと」が判断の対象となっています。
 司法の場では、除名取消し訴訟で、「懲罰事犯の審議に際し、原告の議会内での言動に限ることなく」「議会外での行動に論及され」た事実が厳しく指摘され、「除名処分は違法」とした判例があります。「陳謝もその場限りの言い訳」などの憶測や、5月13日以外のことを持ち出して判断するようなことは、絶対にあってはならないと考えます。
 地方議会の裁量権について、司法の場では、「必要な限度を超えて行使する場合は、懲罰は違法」と解釈される傾向があります。とりわけ、「除名」処分については、議員の資格をはく奪し、選挙で市民が託した1票をも否定するものとなることから、他の処分とは違って、必要な限度を超えていないか、特別に慎重な対応を司法は求めているのです。

 議員のみなさん、いま一度、ご自分の判断が、司法が求める「特別に慎重な対応」なのかどうか、問いなおしてください。ご自分の判断が、民主主義の根幹を成す選挙で市民から選ばれた、ひとりの議員の身分をはく奪してしまうのです。本当にそれに値する行為だったと言えるのでしょうか。自らの非を認め議場で2度陳謝したことは、事実です。いかなるしがらみや憶測にとらわれることなく、客観的事実に基づいて判断されるべきと申し上げ、討論を終わります。