私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について順次質問いたします。

 はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、岸田政権と憲法論議についてです。
 岸田首相は憲法改正論議について、「発議のために国会の議論を進めていく」と述べ、国民投票のスケジュールや、国会発議を意識した議論を進めています。
 6月に改正国民投票法が成立した際に、当時の菅首相は、憲法論議を進める「最初の一歩」になると評価し、加藤官房長官は、新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の事態を全国民が経験するさなか、「緊急事態の備えに、関心が高まっている」、「(改憲の)議論を提起し、進めるには絶好の契機だ」と発言されました。
 国難に便乗する姿勢に、多くの国民が怒りの声を上げました。
 総選挙の結果、自公政権の補完勢力がのび、改憲勢力が国会発議に必要な議席を獲得し、憲法改正を早期に求める発言を繰り返しています。
 市長は、先の総選挙の結果、国民が憲法改正を認めたというお考えなのか、伺います。また、議会答弁で改憲論議は、「国会において慎重かつ十分に審議がなされるべき」と述べられていますが、総選挙において改憲を公約に掲げた政党は少なく、国会発議や国民投票の時期を議論することは、慎重かつ十分な議論からみてもふさわしいとはいいきれないと考えますが、市長のお考えを伺います。
 質問の第2は、コロナ感染症への課題と今後の対応についてです。
 歴史的にも感染症による大流行は、一国を滅ぼしかねない被害を招くことから、憲法25条でも「公衆衛生の向上」が位置づけられ、国の責務とされました。
 しかし、歴代政権の下で、憲法の精神と逆行するかのように、社会保障が削減、保健所や衛生研究所、感染症病床など公衆衛生の体制は縮小を迫られ、昨年から続いた新型コロナウイルス感染症への対応でも、医療や福祉の現場で働くケア労働の方々や、多くの市職員の不眠不休の努力、緊急の応援体制に支えられ、なんとか感染者を減少させたというのが実態ではないでしょうか。
 南アフリカで発見されたオミクロン株は、日本国内でも感染が確認され、現在32の国と地域に広がっています。WHOおよび国立感染症研究所は「懸念される変異株」に指定して監視体制を強化し、その解明が始まっていますが、感染力の強さやワクチンの効果などは、まだわからないことが多く、その拡大や第6波への備えが迫られています。また、新型コロナウイルスのみならず、新たなウイルスへの感染も懸念されています。
 こうした中で、今後の世界的なパンデミックに備えるために、これまでの本市の感染症対応にどのような課題があったのか、また、今後どう対応されるお考えか、伺います。
 質問の第3は、新自由主義についてです。
 新型コロナ危機は、現状の医療・公衆衛生がいかに脆弱なのか、「貧困と格差」が命と健康の格差になっている日本社会の現状を浮き彫りにしました。
 おおもとには、すべてを市場に任せればよい、小さな政府で医療、福祉、公共サービスの縮小や民営化を進める新自由主義、構造改革路線があり、自治体業務でみれば、外部委託・民営化の推進や地方公務員の削減となって現われ、新型コロナウイルス感染症対策を進めるうえでの障害にもなりました。
 岸田首相も、格差の是正という政策転換を迫られています。市長においても、今般の感染症対策を踏まえたうえで、新自由主義的な路線の抜本的な見直しは避けられないとの認識は持たれているのか、伺います。
 質問の第4は、国際競争と原油価格についてです。
 かつて灯油は生活必需品であり、需給調整による価格操作で、急激な値上がりを抑える仕組みがありました。
 新自由主義的な政策のもとで、こうした需給調整機能は廃止され、国際競争や中東情勢で原油価格が高騰、家計を直撃する事態を招いてきました。
 これでは命や健康は守れない、せめて「福祉」として暖かい冬を、とはじまったのが、生活困窮者、低所得者層に灯油代などを助成する「福祉灯油」です。
 国は価格抑制を目指す備蓄放出を実施しますが、自治体としても市民生活を温める必要があります。
 市長は「福祉灯油」について「費用対効果が乏しい」とされていますが、「しあわせ」や「豊かさ」ともいえる福祉に、市長はどのような効果を期待して乏しいとされているのか、燃料費高騰への負担軽減策の実施の是非と合わせて伺います。
 質問の第5は、年金改定と税制についてです。
 新型コロナウイルス感染症拡大により、解雇や雇止め、シフト替えなどにより収入の道を閉ざされる市民がいる一方で、富裕層の資産は倍に膨らんだといわれ、その要因は、安倍前政権が、公的年金積立金などを株式市場につぎ込んだことによる株価の上昇です。
 今年から賃金の指標がマイナスになった場合に、年金も合わせてマイナス改定される、賃金マイナススライドが施行されました。新型コロナ感染症拡大による賃金下落等が、2022年以降の年金改定に反映され、年金支給額引き下げとなってさらに年金受給者の生活を圧迫します。
 市民からは、収めた年金財政を、株価つり上げに付け替えるような仕組みはやめてほしいと、怒りの声が寄せられています。
 政令市のなかでも、とりわけ低い市民所得を、さらに低下させかねない賃金マイナススライドは見直し、大企業や富裕層に優遇した不公平税制の是正、株式売買に課税する金融所得課税の強化こそ取り組むよう、政府に求める考えがないのか、市長に伺います。
 質問の第6は、札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想(案)についてです。
 第2次札幌市都市計画マスタープラン、街づくり戦略ビジョンには、札幌ドーム周辺について「スポーツや集客交流産業の振興に関わる拠点性を高める・・」とし、札幌ドームと相乗効果を期待し多様な施設建設、多様なイベントの開催ができる拠点とする計画です。しかし、日本ハムファイターズの本拠地が2023年には北広島に移転が決まり、プロ野球が札幌ドームを利用してきた約半分を失うことになります。
 プロ野球の利用分を埋めるほどのイベントの開催は、相当厳しいものがあるとみるべきであり、相乗効果というよりはむしろ、かなり効果が薄まることも懸念されます。これは、基本構想に関わる重要な問題です。また、ドーム周辺地域における混雑度は、国道36号線、観測地点は清田北野1条1丁目でありますが1.27、羊ヶ丘通り観測地点、福住3条5丁目1.01といずれも1を超えておりピーク時間を中心として混雑する時間帯が加速度的に増加する可能性が高い状態だと考えます。さらに、札幌ドーム周辺は風致地区であり鳥獣保護区であり、今なお、自然の状態を保ち、数多くの貴重な植物が生息しています。そのような場所に建物を建てること自体が、緑を壊していくことは明らかです。
 日本ハムファイターズの移転、周辺道路の混雑、自然環境保全を踏まえて高次機能交流拠点の位置づけを見直す必要があると考えますが、市長のお考えを伺います。

 次は、都心再開発についてです。
 本市では、1972年の冬季オリンピックに集中して都市基盤が整備されたため、一斉に更新時期を迎えています。しかし、すべてを更新するための財源も人手もないため、耐用年数が過ぎた水道管などは交換できず、生活道路はつぎはぎだらけの補修作業によって、長寿命化や平準化などで対応をしています。
 質問の第1は、長期的な視点に立った都心の再開発についてです。
 1点目は、2030年に集中する問題についてです。
 冬季オリンピック・パラリンピック招致は、当初2026年、北海道新幹線札幌開業は、2035年でした。しかし、前倒しなどそれぞれ2030年に変更、それに合わせた完成が大前提とされる事業、札幌駅周辺を中心に再開発計画が相次いで行われています。
 2030年に合わせた、期限を決めた再開発は、現在本市が直面している都市基盤の一斉更新が50年、100年先に繰り返される懸念がありますが、本市はどのようにお考えか伺います。一時期に集中しないような再開発を進めていくことが重要だと思いますが、いかがか伺います。
 2点目は将来世代への負担増についてです。
 人口減少、超高齢社会を迎える本市は、再開発をはじめとする都心部のまちづくりは、市外、道外の需要の取り込みや国内外から人や民間投資を呼び込むことで、市内経済の活性化や税収増による財政基盤の強化を図るもの、として、札幌駅周辺再整備、都心アクセス道路建設などの再開発事業に莫大な財政支出や市債を発行しています。
 しかし、市外、道外の需要を取り込むといっても、先行きは不透明です。
 むしろ、莫大な財政投資が将来世代へ重くのしかかることになると思いますが、そのような懸念はお持ちではないのか、お考えを伺います。
 質問の第2は、市民の合意形成についてです。
 都心部は市民だれもが、札幌市の顔と認めるエリアです。
 都心の再開発は、札幌市の顔として、市民が好きだと誇りに思えるようなまちづくりを進めるために、市民の合意形成は重要です。
 しかし、都心再開発事業の計画策定や開発審査段階では、その地区の地権者等や一部の周辺住民、また公募で選ばれた数人の市民が参加する都市計画審議会などのみです。
 札幌市の顔である都心のまちづくりについては、多くの市民が主体性をもって、都心部はどうあるべきか、議論できる仕組みが必要だと思いますが、いかがか伺います。

 次に、経済・雇用についてです。
 質問の第1は、医療・介護などの現場で働く人の賃上げについてです。
 成長と分配の好循環の実現を掲げた岸田首相は、11月19日、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定しました。公的部門における分配機能の強化策の一つとして、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引き上げを打ち出し、来年2月から、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に月額9,000円の賃上げ、看護師は、新型コロナウイルス感染症対応等の医療機関に勤務する看護職員を対象に月額4,000円を引き上げ、10月以降については来年度の予算編成過程で検討する、としました。
 公的価格評価検討委員会が11月19日に設置され、年末までに具体策をまとめる方向ですが、検討の土台となる資料「職種別平均賃金」には、夜勤手当をはじめとする時間外勤務や休日出勤手当が含まれており、実態を正しく把握し、そこから議論を出発させる姿勢がありません。また、全産業平均より月額約9万円低いとされている介護労働者からは、「ひとケタ違う」との厳しい声があがっています。
 我が党は、命をあずかるエッセンシャルワーカーとして、その労働にふさわしい引き上げでなければ、改善とは言えないと考えます。
 本市でも、看護師、保育士、介護士等の賃金は全産業平均より低く、人員不足や高い離職率が問題となっています。
 政府の「公的部門における分配機能強化策」により、本市で働く看護師や保育士などの賃金は、どの程度引き上げられるとお考えですか。多くの医療機関や介護事業所では、新型コロナウイルス感染症拡大により受診控えや利用控えが起こり、苦しい経営に陥っていると考えますが、経営状況に影響されずに賃上げが行われるとお考えですか、うかがいます。
 また、示されている引き上げ額は来年9月までのものですが、医療機関や介護事業所等での高い離職率は、それまでに減少するとお考えですか。見通しについてうかがいます。
 質問の第2は、市内事業者の支援についてです。
 1点目は、事業再開のための支援策です。
 本市が今年度5億1千万円の予算を組んで行った「商業者グループ販売促進支援事業」では、43の事業者グループから申請がありましたが、実際に採択できたのは13グループで、約7割が採択されませんでした。決算特別委員会での我が党の質疑の中で、総額で23億5千万円の申請があり、「市内の様々な事業者グループの販促活動に対する支援ニーズが明らかになった」とお答えになりました。今回の補正予算22億1千万円は、これを補うものとして組まれたと認識しています。
 しかし、事業者の経営はいまだ苦しく、さまざまな支援策を早急に促進しなければ、事業が維持できない深刻な事態は、なお続いていると考えます。
 第2回定例会で我が党は、事業者の二重債務問題について取り上げました。事業再開のための運転資金や設備投資などを必要とする事業者が、コロナ禍に耐えるために、すでに債務があっても融資を受けられるよう支援する必要があります。国においては、事業復活支援金や、融資の継続・上限額の引き上げなどの経済対策が打ち出されておりますが、本市がさらに上乗せして、事業再開のための積極的な支援策を講じる必要があると思います。融資枠の拡大や、倒産や廃業を防ぐための手立てをどのように進めるお考えか、伺います。
 2点目は、地元建設事業者の新型コロナ感染症の影響に対する支援についてです。
 建設産業は、「社会資本の整備や維持を行うとともに、災害発生時の応急対応や除排雪作業など、安全・安心な市民生活を支える地域の守り手として、非常に重要な役割を担う」として、本市の「基幹産業」と位置付けられています。
 東京商工リサーチの調べによりますと、今年2月時点でコロナ関連破綻は全国で1,000件を突破し、そのうち建設業は80件で、飲食、アパレル関連に次いで3番目に多く、「ここにきて建設業者の破綻が目立ってきた」と報告しています。特に、従業員10人未満の小・零細規模の企業が8割を占め、コロナ禍で予定していた工事が中止となったり、新規受注を獲得できず経営が悪化するケースが大半を占めていました。
 公共工事をメインとする建設業者が倒産したケースでは、「コロナの影響で民間工事の受注が落ちてきた業者が軒並み公共工事の入札に参加し、競争が激化したことも原因の一つ」と報じています。
 本市は、地元建設事業者の新型コロナウイルス感染症の影響をどのように把握し、どのように支援されようとお考えか、伺います。

 次は、子育て施策についてです。
 質問の第1は、支援の拡充についてです。
 本市は「第二期さっぽろ未来創生プラン」の未来創生重点プロジェクトの一つとして「子育て環境の充実」をかかげており、将来子どもを持ちたいと望む市民の希望をかなえるため、より一層の子育て環境の充実を図るとしています。
 本市の合計特殊出生率は全国平均を下回り、2017年1.16、2018年 1.14、2019年は 1.12 と年々減少が続いています。
 2019年7月の総務委員会で、我が会派の出生率が改善しない原因の問いに、本市は「2018年に行った調査結果により、生活や結婚のための資金への不安があることや、年齢上の理由のほか、不安定な収入や仕事の事情が主な要因になっている」と分析しています。
 2020年の札幌市子ども・子育てに関する市民アンケート調査では、「札幌市に今後充実してほしい子育て支援策」について、「手当や給付金などの金銭面での支援」が69.2%と高い回答でした。
 経済的不安を軽減し、本市で若い世代が安心して子どもを生み育てられるためのさらなる支援の拡充が求められていると思いますが、いかがか伺います。
 質問の第2は、経済的負担軽減についてです。
 1点目は、学校給食費についてです。
 2017年文部科学省の調査では、1,740自治体中82自治体で無償化、424自治体で学校給食の一部補助が実施されており、保護者から歓迎されています。
 本市の義務教育全体の9年間で支払う学校給食費は、約506,000円で、きょうだいが多ければ多いほどその負担は家計を圧迫します。
 本市はこの5年間に2度、学校給食費の値上げを行い、子育て世帯は支援を願っている中、一層負担を増やす結果になったと思いますが、いかがですか。また、本市は2023年度から学校給食費の公会計化に向け準備を行うとしており、せめて、給食費の一部補助に踏み切るべきと思いますが、いかがか伺います。 
 2点目は、子ども医療費助成についてです。
 市長2期目の公約のひとつである、通院医療費が小学6年生まで新たに助成対象となったことは、市民から喜ばれています。
 しかし全国の自治体をみると、中学校卒業まで通院費助成を行っているところが圧倒的に多く、20政令市でも11都市、更に5都市では18歳まで助成をしています。
 子ども医療費は一般的に年齢が上がるにつれて少なくなりますので、仮に中学生を対象とした場合は、小学6年生以下と比べ、1学年当たりの事業費は少なく済みます。
 子育て世帯がお金の心配なく医療を受けられるよう、本市もまずは義務教育である中学校卒業まで子ども医療費助成を拡充すべきと思いますがいかがか、また、所得制限はなくすべきと考えますがいかがか、伺います。
 3点目は、札幌市奨学金についてです。
 新型コロナウイルス感染症は、本市に所在する大学・専門学校に通う学生に、今なお大きな影響を与え、また、コロナ禍以前から自らの学費や生活費をアルバイトで賄う学生が増えています。アクションプラン2019において、本市が行っている札幌市奨学金の採用人数が、1,306人から1,500人へと高校生の枠が拡充されました。
 10月の文教委員会で、若者の市民団体より、コロナ禍で経済的に困窮する学生の深刻な実態から、札幌市奨学金の拡充を求め、陳情と署名が提出されました。
 11月23日、北区のゲストハウスがおこなった炊き出しには、多くの市民が訪れ、学生の姿も多数あり、生活費のため掛け持ちで週8回アルバイトをする学生や、父親の服を着ているという女子学生の姿があったと言います。
 奨学金の目的を、「経済的理由によって就学困難な学生、生徒を支援し、有用な人材を育成すること」とする本市は、札幌市奨学金をさらに拡大し、経済的理由で進学を諦めざるを得ない学生・家庭が希望を持てる十分な予算をつけるべきと考えますが、いかがか伺います。

 次は、医療と介護についてです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、医療・介護の脆弱な提供体制を露わにしました。高齢者をはじめ市民が安心して必要な治療とサービスを享受することが可能となる仕組みづくりと行政の役割がいっそう求められています。
 質問の第1は、在宅医療の推進の課題についてです。
 在宅医療は、自力での通院が困難な場合や住み慣れた自宅等の生活の場で医療を受けたい場合に、医師などが自宅等を訪問して看取りまでを含めた医療を提供するものです。
 医師だけでなく、訪問看護師、介護支援専門員、ヘルパーなどの多職種との連携が必要で、とりわけ介護との結びつきが強いことが特徴です。
 全国的に、在宅医療を担う医師や看護師不足などが言われていますが、本市では、在宅医療を進める上で、どのような課題があるのか、伺います。
 質問の第2は、地域包括ケア体制についてです。
 厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、中学校区を単位として、医療・介護・予防・住まい・生活支援など、地域の包括的な支援・サービスを概ね30分以内に提供する体制いわゆる地域包括ケア体制の構築を実現するとしています。
 1点目は、人権が尊重され、地域の実態を反映した基盤整備についてです。
 「札幌市高齢者支援計画2021」では「いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくり」を基本目標としています。
 しかし、年金が引き下げられ、医療や介護の負担が重くなる中、必要な医療・介護サービスを削らざるを得ない高齢者は増えていることから、基本目標の達成には多くの課題があります。各種制度の狭間で苦しむ高齢者を生み出さない責任と誰もが尊厳ある人生を送れるようにする行政の役割が試されています。
 特に、高齢者と家族を支える支援体制の充実には、人権を尊重する基盤整備とすることが肝要であると考えますが、いかがか。また、住み慣れた地域で暮らし続けるためには、地域ごとの実態を反映した基盤整備とする必要があると考えますが、いかがか合わせて伺います。
 2点目は、地域の自主性や主体性に基づき、住民と一体となった推進についてです。
 地域包括ケア体制の構築は、医療機関・介護事業所はもちろんのこと、住民との連携で進めるまちづくりの大きな柱となります。そのため、地域の自主性や主体性を引き出す本市のコーディネートは、極めて重要であると考えますが、いかがか、認識を伺います。
 質問の第3は、保健所の介護分野との連携強化についてです。
 保健所は、PCR検査の実施や疫学調査、入院先の手配などで、その役割と機能の充実が注目されています。
 そもそも保健所は、医療機関とは密接なつながりがある一方、介護サービス事業者とは、直接的な接点がほとんどなく、クラスターの対応で混乱することもありました。
 感染症の発生リスクと対処法の浸透、医療との連携強化には、保健所と介護の新たなつながりが必要です。
 保健所の介護分野への積極的な関与と連携が重要であると考えますが、いかがか認識を伺います。

 次に、市営住宅の諸課題についてです。
 質問の第1は、結露と断熱性についてです。
 白石区の市営住宅は7カ所・道営住宅は2カ所あり、合わせて85%が昭和50年代に建設されています。結露や修繕について複数の相談が寄せられたため、私の事務所で居住者にアンケートを実施しました。
 除湿器を使用し、換気しこまめに拭いているがカビもひどいなど、結露に悩む声が多く寄せられ、市住の一部では共用部分に広範囲のカビの発生が見られました。市、道それぞれに個別の要望をしたところ、道営住宅では、結露での破損について、壁や畳を含め修繕されております。
 市営住宅高断熱化モデル改修の効果検証では、壁や窓の結露が半数ほどの世帯で減っており、「断熱効果による改善が見受けられた」と記されています。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、「結露は構造上の問題があることが多い」旨記載されています。
 結露は古い建物など断熱性が低いと発生しやすいと考えられますが、本市の見解を伺います。
 質問の第2は、建て替えにおける高断熱化についてです。
 本市では2050年ゼロカーボン都市をめざし、市有施設と、企業、民間の家、マンションでZEB、ZEHなどゼロエネルギー、省エネ再エネ施策を推進しています。市営住宅の高断熱化モデル改修効果検証では、札幌版次世代住宅基準のベーシックレベル相当の仕様で、CO2排出量は年12tもの削減となりました。室温は上がり、灯油量は42.9%も減るなど、住環境も大きく改善されました。本市で民間にZEH、ZEH-Mを広げるにあたり、検証効果について企業に周知していくということです。
 本市では「市営住宅長寿命化計画」において、計画期間の建て替えや改修を見通していますが、建て替えとなる市営住宅について、ZEH水準の導入はどうお考えか、伺います。
 質問の第3は、低額所得者の居住支援についてです。
 2008年からの10年間で、社宅は29万8千戸、公的借家は33万8千戸減り、特に家賃が低い住宅ストックほど減少しました。本市でも、2014年からの5年間で公的住宅が2,314戸減っています。
 2000年代初頭から増加した不安定雇用は社会問題化し、コロナ禍では特に若い世代や非正規の多い女性の困窮が可視化されました。住居確保給付金の本市の相談数は、昨年度は3,400人近く、今年は1,500人を超えています。
 本市の市有建築物及びインフラ施設等の管理に関する基本的な方針と個別施設計画である「市営住宅長寿命化計画」では人口減少を想定し市営住宅を削減するとしています。   
 2014年度27,795戸あった市営住宅は、昨年度26,714戸と1,081戸も減っており、1,178戸あった借り上げ市営住宅は、昨年度までに224戸、今年度は77戸返還し、2030年度には全戸がなくなることになります。本市人口は微増が続いており、生活保護世帯は2011年からの10年間で1万世帯近く増加、高齢者、障がい者世帯も増えております。また、計画策定後に新型コロナウイルス感染症拡大による著しい社会、経済情勢の変化が起こり長期化しています。居住の安定の確保を図るべき世帯に対し必要な住宅供給を行う観点に重きを置き、見直すべきと考えます。
 適正な水準の住宅に入居するには、民間の家賃水準では負担が難しい世帯について、住居確保給付金は条件が厳しく期限があるため、継続した家賃補助や公的住宅を増やしての支援が必要と考えますが、いかがか伺います。
 質問の第4は、民法改正に伴う対応についてです。
 民法改正により、保証人制度と国交省賃貸標準契約書の改定による修繕費用の見直しに伴い、公営住宅管理標準条例(案)の改正による保証人の規定を削除する旨の見解や、修繕について適正な対応を行うよう、2018年に国からの通知が出ております。北海道では2019年に、「道営住宅における保証人のあり方について」諮問、北海道住宅対策審議会にて答申がされ、保証人制度をなくしています。
 一方、本市では、民法改正という局面での検討があったのかどうかも、市民に知らされていません。
 民法改正に伴う対応について、困窮者支援団体や法律の専門家を招いて、開かれた検討が必要であると考えますが、いかがか伺います。

 最後は、教育についてです。
 質問の第1は、「学校施設・地域コミュニティ施設の再構築に係る取組方針」についてです。
 2020年12月に取りまとめた「学校施設・地域コミュニティ施設の再構築に係る取組方針」は、2018年に策定した、「札幌市立小中学校の学校規模の適正化に関する基本方針」に掲げる適正化の構築に係る取組を推進するもので、現在、順次地域説明を行っているところです。
 文科省の施設整備指針では、小中学校とも「通学区域については児童・生徒が疲労を感じない程度の通学距離が望ましい」とされています。
 しかし統廃合をすると、通学距離2㌔を超え、ほとんどの児童が民間バスで通学することになる地域があります。超えないまでも通学距離が遠くなり、児童会館は新しい学校の中であることから、帰宅後遊ぶ場所がなくなる地域が増えることは明白です。
 児童にとって学校は地域コミュニティの核です。
 学校に通う道中も含め、地域で遊び、生活を通して学び、日々成長していくものです。
 まちづくりセンターや地区会館などコミュニティ施設の複合化や避難所が遠くなる問題など、地域住民の暮らしにとっても課題があります。
 学校統合改築・移転、コミュニティ施設の複合化が子どもや地域にとって及ぼす影響について、どのような検証を行なったのか伺います。また、その時代や状況に合わせた適切な教育方法、子どもたちが健やかに成長するための教育など、教育学的な検証が必要と思いますがいかがか伺います。
 質問の第2は義務教育学校についてです。
 1点目は「学校教育法等の一部を改正する法律」の附帯決議についてです。
 2015年学校教育法が改正され、新たな学校種としての「義務教育学校」が制度化されました。
 義務教育学校は、小中一貫して9年間の義務教育を行うもので、本市は今後、札幌市全体で小中一貫した教育を進めるとしています。
 法案の審議に当たって衆参文部科学委員会で、参考人質疑などの国会論議が行われ、委員からは「真の目的は学校統廃合及びそれに伴う教育予算の削減ではないのか」との指摘があり、当時の下村文部科学大臣は「義務教育学校の制度化は…学校統廃合の促進を目的にするものではない」と答弁しています。
 しかし参考人から「文部科学省が法案提出に先立ち58年ぶりに統廃合の基準見直しを行ったこと、予算の重点化等が行われる懸念」が語られました。
 2014年、総務省は自治体に対し公共施設等総合管理計画の策定に取り組むよう要請し、公共施設の集約化・複合化に係る地方財政措置を講じるなど、財源で誘導を図ってきたと言っても過言ではありません。
 「学校教育法等の一部を改正する法律」の附帯決議には、「市町村教育委員会は、義務教育学校の設置に当たっては、安易に学校統廃合を行わないよう、特に留意すること。また、検討段階から保護者や地域住民等に対して丁寧な説明を行い、その意見を適切に反映し、幅広く理解と協力を得て合意形成に努めること」と書かれています。
 安易な統廃合は子育て世代の流出、地域の衰退につながりかねず、将来を見据えて住民参加で行うべきと考えます。本市は、附帯決議についてどのように具体化していくお考えか伺います。
 2点目は、学校規模適正化と事業開始後の地域対応についてです。
 本市で初めての取組となる義務教育学校は、校舎の改築等を伴わない東区の福移小中学校は令和5年度の開校を、校舎改築が必要な南区定山渓小学校と定山渓中学校は令和7年度、真駒内桜山小学校と真駒内中学校は令和8年度開校の予定とされています。
 真駒内地域では、現在の小中学校の児童生徒数を合わせると1,034人、巨大な校舎になると想定されます。
 この地域は、真駒内駅前地区まちづくり計画により、児童数はさらに増えることが見込まれます。
 地域に回覧した資料によりますと、グラウンドが2つ必要になり、その1つは学校から交差点を挟み、横断歩道を2つ渡る筋向いになる計画です。おそらく高学年の児童が授業や部活で使う場合、交差点を渡ってグラウンドを使用することになると考えられますが、すでに心配の声が上がっています。
 今後、計画を進め具体的になっていくほど、地域ごとの課題や住民の様々な不安・疑問も具体的になっていくものと考えられます。その場合、住民との信頼関係を壊す対応はすべきではなく、地域住民や当事者である児童生徒との話し合いを丁寧に行うべきと考えますが、どのように対処するお考えか伺います。
 質問の第3は、特別支援学級新設とその職員配置基準についてです。
 1点目は、特別支援学級の新設についてです。
 一般的に次年度、通常級への入学児童が多い見通しの場合は、学校で増設するなどして入学を受け入れています。
 しかし、特別支援学級に通う児童が小学6年生になった時、次年度進学する校区の中学校に特別支援学級がない場合、保護者は設置を求めることができますが、空き教室が確保できないなどの理由で設置されないことがあります。その場合、特別支援学級がある校区外の中学に通うことになります。
 統廃合でさらに遠くの学校へ通うことになる児童がいるのではないか懸念するところです。
 現時点で入学の希望がかなわず、校区外の小中の特別支援学級に通う児童はそれぞれ何人いるのか、また、特別支援学級が新設されないことで、校区の学校に通えない不平等な状況を改善すべきと思いますが、いかがか伺います。 
 2点目は、職員配置基準についてです。
 本市は来年度から、特別支援学級の新しい体制「個々の教育的ニーズに応じた特別支援学級等の新たな体制案について」実施するとしています。
 少人数によるきめ細かな指導を行うための教員の加算措置、加算規定の発展的見直しを行うとしています。
 これまで教員配置は、1クラス児童数8人に教員1人を基本に、児童数が7人または8人となる場合、教員を障がい種別に加算してきました。例えば、情緒と知的1クラスずつある場合、2クラスとも6人を超えて7人になった場合、各クラスに教員1人ずつ、計2人の加算となっていました。
 新しい体制では、1教員あたりの児童数が6人を超える場合に加算となるため、2クラスとも児童数が6人を超えて7人になった場合、2クラスに1人の加算となります。
 クラスをまたいで1人の加算では、障がい種別に応じたクラス編成から、全体を3人でみることによる障がい種別によらないクラスになることが懸念されます。
 これまで通り、障がい種別での加算をすべきと思いますが、いかがか伺います。
 情緒障がいの場合、周囲の環境から受けるストレスによって生じる反応として、自分の意思ではコントロールできない心身の状態が持続することがあります。
 新たな体制について、保護者への説明はどのように行うのか、また教員・保護者との意見交換を十分行い、児童や教員にとって最善の職員配置にすべきと思いますがいかがか伺います。

 以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴、ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で7項目にわたりご質問をいただきました。私からは1項目目の私の政治姿勢についての6点、それから2項目目の都心再開発についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の副市長そして教育長からお答えをさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます。
 まず1項目目の、私の政治姿勢についての1点目、岸田政権と憲法論議についてのご質問でございます。
 憲法の改正は、国民の理解を得ることが欠かせないものであり、その必要性や内容については、慎重かつ十分な国民的議論がなされるべきものと考えているところであります。国会においてもこうしたことを踏まえ、今後、憲法が定める手続きに基づいて、憲法のあり方に関する議論を深めていくものと認識をしております。
 次に2点目、コロナ感染症への課題と今後の対応についてであります。
 札幌市のような人口が多く密集する大都市におきましては、新たな変異株が発生することで感染が急速に拡大するリスクを抱えているということから、これに対して、どのように対応するかが課題であると認識をしております。これまで、札幌市では、市民や事業者のご協力をいただきながら、感染予防に努めるとともに、検査や医療提供などを迅速におこなうため、北海道や札幌市医師会、各医療機関などと連携をしながら、全庁体制で取り組んできたところであります。今後の感染拡大に対しましては、各都道府県が策定をする「保健・医療提供体制確保計画」に基づいて対応することとされておりますことから、引き続き北海道や関係機関と連携をして適切に対応してまいりたいと考えております。
 3点目の新自由主義についてであります。
 札幌市においては、誰もが安心して暮らせる街を目指して、外部委託などにより業務を効率化し、限られた経営資源を必要な分野に有効に配分することなどで多様化する行政需要に対応しつつ、質の高い行政サービスの提供に努めてきているところであります。国においては、これまでの成長力強化や生産性向上に加え、次の成長に向けた分配について議論されているところであり、その行方について注視していきたいと考えております。
 次に4点目、国際競争と原油価格についてでございます。
 福祉灯油につきましては、給付に際して多額の経費を要する一方、冬季間の暖房費のごく一部を補填するということにとどまることから、効果は限定的であると考えているところであります。先に示された国の経済対策においては、新型コロナウイルス感染症による減収や物価の上昇など、様々な困難に直面した方々が、速やかに生活や暮らしの支援を受けられるよう、住民税非課税世帯に対する現金の給付などが盛り込まれているところであります。したがいまして、こうした取り組みを遅滞なく実施することで、市民生活の安定につなげてまいりたいと考えております。なお、燃料費の高騰につきましては、市民生活全体に多大な影響を及ぼすことから、先般、国に対して石油価格の安定と供給の確保について、強く要請をおこなったところであります。
 次に5点目、年金改定と税制についてでありますが、公的年金制度の見直しは、将来世代の給付水準を確保し、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から国において決定されたものであります。公的年金の制度設計はもとより、金融所得課税などの税制度についても、広く国政の場において議論されるべきものと認識をしております。
 次に6点目の札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想(案)についてお答えをいたします。
 札幌ドーム周辺は、平成12年に策定をいたしました第4次の札幌市長期総合計画から、ドームを核としたスポーツ文化や集客交流産業の振興にかかわる拠点として位置づけられているものでありまして、北海道日本ハムファイターズの存在を前提にしたものではございませんので、その移転等を理由として高次機能交流拠点の位置づけを見直す考えはございません。現在、策定中のスポーツ交流拠点基本構想に基づき、札幌ドームとの相乗効果を生み出す様々な機能を配置することによって、その拠点性を向上させ、経済やまちの活性化を目指してまいりたいと考えております。
 次に大きな2項目目の都心再開発についてお答えをいたします。
 まず1点目の長期的な視点に立った都心の再開発についてのうち、2030年に集中する問題についてお答えをさせていただきます。
 民間建築物の更新期を迎えた都心において、新幹線開業やオリンピック・パラリンピック開催を見越した民間の開発意欲の高まりを捉え、この機に官民連携により、良好な公共空間の形成や環境負荷の低減、バリアフリーの充実などを推進し、都心の魅力を高めていくことが重要であると認識をしております。建物の、将来的に更新時期が重なるのではという懸念につきましては、建物の長寿命化や維持管理費の平準化も考慮された良質な開発を誘導することで、将来にわたって持続可能な都心を実現してまいりたいと考えております。
 次に将来世代への負担増についてでありますが、札幌駅周辺の再開発や都心アクセス道路の整備を始めとする都心部のまちづくりは、都市の魅力と活力を高めるとともに、都市の強靭化などの課題の解決に資するものであり、将来を見据えた投資として必要なものと認識をしております。今後も長期的な財政の持続可能性を見据え、将来世代への負担も見極めた上で、市債や基金の適切な管理等をおこない、バランスを取りながら必要な投資を進めていく考えであります。
 次に2点目の市民の合意形成についてでありますが、再開発を含むまちづくりの指針となる都心まちづくり計画を策定する際に、策定協議会における議論や地域との意見交換を重ねて素案をまとめ、パブリックコメントを実施をいたしましたほか、同計画の策定後も、エリア別のまちづくりの取り組み等の機会を捉えて市民意見を伺ってきたところであります。今後も取り組みの内容や段階に応じ、市民が関与する機会を設け、市民が誇りに思える都心を実現してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

町田副市長 答弁

 私からは大きな4項目目、子育て施策についてのうちの1点目、支援の拡充についてと、2点目、経済的負担軽減についてのご質問の2項目目の子ども医療費助成について、そして大きな5項目目、医療・介護についてお答えを申し上げます。
 大きな4項目目、子育て施策についてでございますが、そのうちの1点目、支援の拡充についてのご質問でございますが、第2期さっぽろ未来創生プランでは、人口減少を緩和するために、「雇用の創出や魅力的な都市づくり」、「安心して子どもを生み育てることができる環境づくり」に継続的に取り組むことで、市民が明るい未来を描ける好循環の実現を目指しているところでございます。このうち、「安心して子どもを生み育てることができる環境づくり」につきましては、切れ目のない支援を施策の柱に位置付け、通院にかかる医療費の助成対象学年の拡大のほか、保育料の無償化対象の拡大などにも取り組んできたところでございます。今後も、こうした子育て世帯の経済的負担の軽減はもとより、結婚・出産・子育ての不安を緩和する取り組み等を進め、安心して子どもを生み育てられる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 次、4項目目、子育て施策についての2点目、経済的負担軽減についてのうちの、子ども医療費助成についてのご質問でございますが、この事業は「子育てを支える環境づくり」の一つとして重要なものと認識するところでございます。更なる拡充につきましては、将来にわたり多額の財源を要するため、事業の持続可能性や子ども・子育て施策全体の中での位置付けなどを踏まえながら検討してまいります。
 次、大きな5項目目、医療・介護についてのご質問でございますが、そのうち1点目、在宅医療の推進の課題についてでございますが、まず課題の1点目として、医師、歯科医師、薬剤師、看護師など、在宅医療の担い手となる医療従事者を充実させる必要がございます。このため、これらの人材を育成する研修会を札幌市医師会などの関係団体と連携して開催しており、昨年度からは、オンライン開催等も組み合わせて実施しているところでございます。
 また、課題の2点目として、住み慣れた地域や自宅で最期の看取りまで暮らし続けることを支えるサービスとして、在宅医療という選択肢があることを市民の皆様により広く周知する必要がございます。このため、在宅での看取りをおこなった家族の話など、実際の事例を含んだ市民向け講演会を継続的に開催するなど、普及啓発に努めてきているところでございます。今後とも、在宅医療の推進に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次2点目、地域包括ケア体制についてのご質問でございますが、地域包括ケア体制の深化に向けては、地域での自主的、主体的な取り組みへの支援が重要と認識しており、地域ケア会議や地域の支え合いを推進する協議会などを通じて、課題の解決に向けて取り組んでいるところでございます。今後も、高齢者が体の状態やニーズに応じた支援やサービスを受けながら、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、行政、地域、関係機関の協力体制を強化し、自助、互助、共助、公助のバランスが取れた地域づくりを推進してまいります。
 次3点目、保健所の介護分野との連携強化についてでございますが、この度のコロナ禍におきましても保健所は、高齢者施設等のPCR検査や疫学調査、また施設内に入っての衛生指導など、多くの役割を果たしてきているところでございます。これらの経験から得られた知見につきましては、講習会におきまして、高齢者施設等に還元しているほか、平時から、介護分野を所管する部局と保健所の連携を密にして高齢者施設等の支援を実施しているところでございます。
 私からは以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私からは6項目目、市営住宅の諸課題についてお答えをいたします。
 最初に結露と断熱性についてであります。
 結露の発生は、建物の断熱性のみならず、室内で発生する水蒸気の量や換気の状況など、さまざまな要因が影響してくるものと認識しております。そのため、入居時の説明会や、全戸に配布している市住ニュースなどより、空気の入れ替えをこまめにおこなうことなど、結露を防止するための注意事項について各入居者に周知しているところでございます。
 次に、建て替えにおける高断熱化についてであります。
 これからの市営住宅は、居住者がより住みやすく、かつ、環境にも配慮した高断熱化や省エネルギー化への取り組みが一層重要になるものと認識しております。そのため、今後建て替える市営住宅につきましては、高断熱化や、暖房、給湯などのエネルギー消費量の低減に関して一定の基準を満たす、ZEH-M(ゼッチ エム)となるよう、現在検討を進めているところでございます。
 次に、低額所得者の居住支援についてであります。
 札幌市住宅マスタープランでは、今後の人口減少や民間賃貸住宅の空き家状況などを踏まえ、市営住宅の管理戸数を抑制していくことを基本としております。このことを踏まえて、住宅確保要配慮者に対しては、不動産関係団体等と連携し、民間賃貸住宅を活用した支援に取り組んでいるところでございます。また、家賃補助につきましては、他都市の動向なども参考にしながら、慎重に検討してまいります。
 次に、民法改正に伴う対応についてであります。
 札幌市では、国土交通省が示す公営住宅管理標準条例に基づき、市営住宅の軽微な修繕は入居者の負担としているところでございます。現行の費用負担につきましては、入居者に十分に説明し、ご理解をいただくよう努めているところであり、民法改正に伴う国の通知におきましても、適切な対応例として示されているところでございます。また、連帯保証人制度につきましても、国の通知の趣旨を踏まえ、連帯保証人が確保できない場合でも、これを猶予して入居を認めているところでございます。今後も、これらの制度のあり方について、他都市の実情や関係団体等の意見も参考にしながら、引き続き検討してまいります。
 私からは以上でございます。

石川副市長 答弁

 私からは大きな3項目目、経済・雇用について答弁申し上げます。
 1点目、医療・介護などの現場で働く人の賃上げについてでありますが、医療機関や介護事業所等における人材の確保は重要な課題であり、長く働くことのできる環境整備が必要であると認識をいたしております。この度の国の経済対策における、看護職員等の収入の引き上げの内容につきましては、国において新型コロナウイルス感染症への対応や、人材の確保・定着に配慮しながら総合的に検討され、また、措置されるべきものと考えておりまして、札幌市といたしましても、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 2点目の市内事業者の支援についてのうち、まず事業再開のための支援策についてであります。
 札幌市では、国の事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金の上乗せ補助を実施することにより、中小企業の経営力強化を積極的に支援しているところであります。今後も、事業者向けワンストップ相談窓口におきまして、中小企業の声をしっかり受け止め、効果的な支援策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、地元建設事業者の新型コロナ感染症の影響に対する支援についてであります。
 市内の建設業の倒産件数につきましては、例年と比較いたしましても増加傾向は見られず、また、札幌圏の有効求人倍率につきましては、他産業と比較し高く推移しているところであります。今後とも、地域の経済や雇用を支えられるよう、引き続き、建設事業費を安定的に確保していくとともに、地域の守り手である建設事業者の受注機会を確保してまいりたい。このように考えております。
 私からは以上であります。

檜田教育長 答弁

 私からは大きな4項目目、子育て施策についての質問の2、経済的負担軽減につきまして、1点目学校給食費と3点目札幌市奨学金について。そして大きな7項目目、教育についてお答えをさせていただきます。
 まず4、子育て施策についての2項目目、経済的負担軽減についての1点目、学校給食費についてでございますが、学校給食は、施設、設備、運営等の経費を公費で負担をし、給食費については、毎年保護者の代表者等を含めた附属機関での審議を経て、食材費のみを保護者の皆様にご負担いただいているところでございます。現在、生活困窮世帯に対しましては、就学援助制度等で給食費を支援しておりまして、これ以上の公費負担は難しいものと考えております。
 3点目、札幌市奨学金についてでございます。
 札幌市は、大学生等に対しまして、他の政令市よりも多くの人数を毎年採用し、給付型での奨学金を実施しており、今後も財源の確保に努めながら、継続して取り組んでまいります。
 次に大きな7項目目、教育についての1項目目、「学校施設・地域コミュニティ施設の再構築に係る取組方針」についてでございますが、2018年基本方針の見直しに当たりまして、「小中学校適正配置審議会」において、有識者あるいはPTA関係者に、学校を取り巻く環境の変化、あるいはそれまでの取り組み状況を踏まえてご議論をいただいたところでございます。教育委員会といたしましては、この基本方針あるいは取り組み方針に基づき、学校規模の適正化などを進めており、今後も、子ども達や保護者、地域の方々の声を受け止めながら、より良い教育環境を整えてまいりたいと考えております。
 次に2項目目、義務教育学校についての1点目、「学校教育法等の一部を改正する法律」の附帯決議及び、2点目の学校規模適正化と事業開始後の地域対応について一括してお答えをいたします。
 義務教育学校の設置につきましては、これまで全市で展開しております小中一貫した教育を推進していく中で、地域からの要望を踏まえるとともに、保護者の理解を得ながら取り組みを進めているところでございます。今後につきましても引き続き、きめ細かな情報提供に努めるとともに、寄せられたご意見も踏まえまして、地域、保護者の想いに寄り添いながら、より良い学校づくりに取り組んでまいります。
 次に、3項目目、特別支援学級新設とその職員配置基準について。
 まず1点目の特別支援学級の新設についてでありますが、令和3年度に入学の希望が叶わず校区外の特別支援学級に通学している児童生徒数は、小学校で2名、中学校で4名であります。特別支援学級への入学に当たりましては、これまでも子どもや保護者の要望に可能な限り柔軟に対応しており、今後も希望する子どもが地域の学校で学ぶことができるよう取り組みを進めてまいります。
 次に2点目の職員配置基準についてでございますが、まず障がい種別での加算についてでありますが、今回の見直しにつきましては、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の増加を踏まえまして、札幌市の実態に即した柔軟なものになるよう考えているところでございます。今後も国基準よりも手厚い教員配置を継続した上で、児童生徒の障がいの程度に応じた配置を検討してまいます。
 次に、保護者への説明と職員配置についてでありますけれども、新たな体制の検討に当たりましては、学校現場の声を丁寧に聞くとともに、保護者をはじめとした関係者の皆様の理解も図りながら、きめ細かな指導をおこなうことができるよう検討を進めてきたところでございます。今後も、引き続き学校と連携しながら、子ども一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実を図ってまいります。
 以上でございます。

佐藤議員 再質問

 ただ今の答弁を受けまして、私から1点再質問させていただきます。
 質問に入る前に、灯油高騰への負担軽減や子どもの医療費など、市民への支援について一言申し上げたいと思います。
 国際競争と原油価格について、燃料高騰の負担軽減策へのお考えをお聞きいたしました。市長のご答弁では、非課税世帯など低所得者への給付金が出るなどで支援がされる旨おっしゃいましたけれども、日本の暖かい所も寒い所も全国一律、しかも今のところ1世帯に10万円。世帯人数が1人でも5人でも同額とお聞きしています。北海道は特に暖房費がかかる上、灯油代だけではなくて、電気やガス、食品も軒並み値上がりしており、5000円でも1万円でも助かるというのが市民の声です。1人1人にとっては効果がないということはなく、市民生活に寄り添った対応をしていただきたいと思います。
 また、子育て支援の子ども医療費ですけれども、例えば歯科でレントゲンを撮ったりすると3000円をすぐに超えてしまいます。学校検診で指摘されても、費用の面で受診を躊躇するということは、子どもにとっても保護者にとっても辛いことです。全国的に子ども医療費通院助成は、中学までがスタンダードとなっています。札幌市の子育て支援として誇れるような水準を目指していただきたいと、せめて中学までは早期に実現してほしいというのが、市民の願いであると切に申し上げます。
 それでは再質問に入らせていただきます。
 学校規模適正化、学校統廃合について、町内会やPTA役員という限られた方だけでなく、子どもや保護者、地域住民に広く知らせることが必要だと考えます。例えば私のところ、白石区では、白石小学校と西白石小学校がどちらも老朽化で改築時期であることから、統廃合が提案されており、白石小学校は16クラス、西白石小は8クラスです。合わせると24クラス、学校規模適正学級数の上限ギリギリになります。西白石小の児童数は増えてきています。工場があった土地が住宅に変わり、大手スーパーが進出するなど、利便性が高まっていて、世代交代で新しい住宅も増えています。地域では若い世代が増えることが期待されていますが、小学校がないと子育て世代が居住を避けることにもつながります。また、環状線を横断して通学しなければならなくなる。通学距離も長く、30分以上かかる場合もあるなど、安全面も心配されています。
 こうした市民の声が私のところに既に寄せられておりますけれども、学校規模適正化の取り組み方針では、学校統廃合について、必要に応じて住民説明会など丁寧な説明をおこないながら取り組みを進めるとありますが、住民から要望がある場合、説明会を開く認識でよいのか。また、具体的に進める検討委員会での段階に入れば、どのように作るかという議論になると考えますが、検討した結果、統廃合の取り組みを見直すなどの選択は保障されるのか。住民へ正確な情報提供と、住民合意がなければ見直すことが必要だと思いますが、住民の納得と合意、意志の尊重がされるのか、伺います。

檜田教育長 答弁

 ただ今の教育についての、学校施設等の再構築にかかる取り組み方針、それから学校規模適正化の基本方針についての再質問をいただいたというふうに思っております。
 教育委員会といたしましては、学校規模適正化の取り組みは、子ども達が何よりも優先でありまして、一定程度の集団の中でお互いに切磋琢磨をし、そして社会性や協調性を育むなど、子ども達にとってより良い教育環境を整えるということをまず第一義として実施しているものでございます。その点では、今後もその意義を丁寧に説明しながら、子ども達はもちろんですが、保護者、そして地域の方々の声をしっかりと受け止めながら、丁寧に取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

佐藤議員 再々質問

 ただ今ご答弁で、何よりも子どものためだということでございました。先ほども、寄り添って、またより良い学校に、学校づくりを進めていくということでございました。今、私聞いたことには答えていただけなかったと思うんですけれども、住民の合意と、子ども達の意見も尊重して聞く、保護者の声も聞く、そして地域の声を聞いて、その意見が尊重されるのかどうかお聞きいたしました。再答弁を求めます。

檜田教育長 答弁

 これまで学校規模適正化につきましては、実際にいくつかの地域で取り組みをさせていただいております。その都度、地域の皆様、いろんな町内会等の方も含めまして、丁寧に声を聞きながら実施をさせていただいておりますし、実際統廃合した後には保護者あるいは子ども達に対しても、アンケート等実施し、そうした声も踏まえて18年の審議の時には有識者の方、そしてPTAの方々にその状況も評価といいますか、一定の状況を評価いただきながら今回の基本方針を作らさせていただいているところであります。ですから、その方針に基づいてこれからもしっかりと教育委員会として、議員がご心配のように地域のいろんな様々な声にも耳を傾けながら取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。