私は、日本共産党を代表して、市政の重要問題について順次質問いたします。]

 はじめに、市長の政治姿勢についてです。
 質問の第1は、介護保険制度についてです。
 厚生労働省は、来年度の制度改定に向け介護保険制度の議論を本格化させています。要介護1と2の生活援助サービスを介護保険の給付から外し地域支援事業へ移行することや、サービス利用料の原則2割負担、これまで全額保険給付でまかない利用者負担ゼロだった介護サービスを受けるのに不可欠なケアプランの有料化等が検討されています。
 東京商工リサーチは2022年1~9月の「老人福祉・介護事業」倒産は100件で、コロナ禍で長引く経営不振が続く小規模事業者を中心に倒産がこれから本格化する可能性が高まっていると報告しています。
 21 世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会が2022年8月に全国の老人ホーム施設長2107人にアンケートを実施したところ、6割の事業者が要介護1と2の生活援助サービスの地域支援事業への移行や、利用料2割負担に反対しており、サービスの削減に繋がる改定は、利用控えへの懸念が大きく現場から支持されていないことがわかります。
 国の制度見直しの方向は、一層のサービス後退と利用者の介護利用控えにつながる懸念があり、慎重な議論が必要であると考え、本市議会の第3回定例会において、「介護保険制度の見直しに関する意見書」を全会一致可決し、国へ提出しました。
 医療に続き、介護でも負担増・給付削減が実施されれば、必要な介護を受けられない事態や、生活破壊がますます深刻化し困窮する高齢者が増加することに繋がると考えますが、本市の見解を伺います。
 質問の第2は、地域交流拠点形成と官民連携についてです。
 本市の「第二次札幌市都市計画マスタープラン」は、地下鉄駅周辺などの利便性の高い地域として、市内17カ所を「地域交流拠点」と位置付けて、「官民連携によるまちの賑わい創出」をめざしています。
 このうち、唯一地下鉄やJRの駅がないのが「清田」地域です。
 清田区では、羊ケ丘通や隣接する北広島市の大曲地域などに林立する大型店舗に人の流れが奪われ、区民が中心核になってほしいと願う「清田」地域の利便性が失われてきました。交通結節点が不在なために、こうした事態を招いているのです。
 その一方で市は昨年2月、清田地域と歩行距離で1.7㌔も離れた平岡の商業施設を、移動手段の充実などにより連携させる「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を策定しましたが、この考え方に対し、豊平区と清田区の町内会連合会などで組織される「地下鉄東豊線建設促進期成会連合会」は9月21日、市長宛要望書で、平岡3条5丁目の「イオンモール札幌平岡」の増床や拡張が、「『地域交流拠点清田の機能向上』になぜつながるのか理解できない」「地域交流拠点清田の地区がさびれて拠点形成が遠のく恐れすら感じている」と、非常な危機感を表明されました。
 市は今年11月18日の都市計画審議会に、「平岡3-5」の用途地域の変更、地区計画の決定などを事前説明されました。正式には来年1月の審議会に諮問する予定です。
 市長は、交通結節点を位置付けないまま、清田の「官民連携のまちづくり」を具体化した場合、区民や期成会が抱いている危機感や不安、疑問が現実のもとなるとはお考えにならないのか、お聞きします。
 合わせて、地域交流拠点に軌道系公共交通の駅が必要ないという立場なのか、それとも欠かせないという立場なのかお伺いします。

 次は、2030冬季オリ・パラ招致についてです。
 質問の第1は、IOC将来開催地冬季委員会への報告についてです。
 11月23日、IOC将来開催地冬季委員会が開かれ、市長はJOC山下泰裕(やました やすひろ)会長とともに出席したと、翌日の定例記者会見で発表しました。更新した大会概要案に沿って、北海道・札幌がいかにふさわしいかをアピールし、「実りの多い機会となった」と感想を述べられました。
 この委員会で、本市の取り組みとして住民理解や機運醸成についても報告した、とのことですが、本市が続ける招致活動に対し市民の招致反対の機運が日増しに高まっていることを、どのように報告されたのか、うかがいます。
 質問の第2は、JOC山下会長の評価についてです。
 東京2020大会のスポンサー契約をめぐる汚職事件は、大手広告会社をはじめとする関係企業の贈収賄額が約2億円にのぼり、容疑者の起訴は15人となる大規模なものとなっています。さらには、テスト大会を巡る談合疑惑も発覚し、入札の前に、実績のある会社名などを記入していたことが明らかになり、独占禁止法違反の疑いで、東京地検特捜部と公正取引委員会の捜査が始まっています。
 一連の東京2020大会をめぐる汚職事件に関し、組織委員会の会長を務めた橋本聖子氏は、「非常に残念。夢を打ち砕くような状況になっており、大変申し訳なく思う」というコメントを、副会長を務めたJOCの山下会長は、「事実であれば極めて残念」というコメントを述べたにとどまっています。
 なぜ東京2020大会組織委員会の副会長を務めながら高橋容疑者の暴走ぶりをチェックできなかったのか、組織委員会での不透明な運営や手続きを許してきた根本の原因は何か、組織委員会の上層にいた人間として何をすべきであったのか、等の深い反省を、自らの言葉で国民に語り、真相を明らかにしようとする姿勢がなく、当事者意識を感じることができません。
 本市は、更新した大会概要案に、山下JOC会長との共同という形で「クリーン宣言」を書き加えましたが、汚職事件の舞台である東京2020大会組織委員会の副会長を務めていた山下氏の、事件に対する態度を、市長はどのように見ておられるのか、うかがいます。
 質問の第3は、招致活動の中断についてです。
 友情・連帯・フェアプレーの精神が求められるオリンピック・パラリンピックをめぐって、全く不公正な贈収賄や談合が行われていたことは、世界中のアスリート、スポーツ愛好家を落胆させました。
 スピードスケートのメダリスト・小平奈緒(こだいら なお)選手は、10月27日の引退記者会見で、2030年札幌冬季五輪招致について「招致に協力してほしいという要望があった」と明かしつつ、「札幌五輪に関してはいったん置いているところです」と述べ、東京2020大会の問題を念頭に「利用されたくないという思いはある。純粋に世界を明るくする舞台であってほしいし、人と人をつなぐものであってほしい。」と語りました。
 フェンシングのメダリストでIOCの委員、北海道・札幌2030オリパラプロモーション委員を務める太田雄貴(おおた ゆうき)氏は、冬季産業再生機構の記者会見で、札幌の五輪招致について、「招致を進める意義、意味がもう1度問われている」と指摘し、「歩みをいったん止めようという判断も、時としてはオプションとして持っておくべきだと思っている。走り始めた列車が止められないというようなことがあってはよくない」と述べたことが、10月31日に報じられています。
 アスリートたちが事件に心を痛めながらも勇気をもって発言されていることと比べ、これだけの大規模な汚職事件を目の当たりにしてもなお、「世界が驚く、冬にしよう」とのスローガンを掲げて招致活動を継続している本市の姿勢に、世界中が驚いているのではないでしょうか。
 IOCは昨日、2030年冬季オリ・パラの開催地の決定を、来年秋の第140回総会より後に「先送り」することを決定しました。
 圧倒的多数の市民から賛同が得られるよう、開催時期の延長も視野に、2030年への招致活動という歩みをいったん中断するべきだと考えますがいかがか、うかがいます。

 次は、市内経済についてです。
 今年度上期の市内景気は、前期と比べ経営状況が「上昇」と回答した企業の割合から「下降」と回答した企業の割合を差し引いた数値いわゆるB.S.I(景況判断指数)によると、全体では4期連続で上昇していますが、企業の規模別では大企業がプラス21.3、中小企業がマイナス9.5と、中小企業は厳しい見方をしています。また、中小企業のうち小規模企業ではマイナス22.4と、いっそう厳しい見方になっています。B.S.I(景況判断指数)がプラスならば景気は上向き、マイナスならば景気は後退を示すことから、中小企業と中でも小規模企業では、依然として市内の景気を厳しく捉えていることが伺えます。
 質問の第1は、中小企業に対する柔軟な融資と小規模企業を倒産・廃業させない独自支援策についてです。
 札幌市は、事業所のほとんどを中小企業が占め、経済基盤の根幹であることから、中小企業の振興は、本市の発展に欠かせないものです。しかし、長引くコロナ感染症拡大のもと必死に頑張ってきた中小企業ですが、今度は物価・原材料・光熱費などの高騰に苦しんでいます。
 今年10月から来年3月における市内中小企業のB.S.I(景況判断指数)は、「ほぼ横ばいの見通し」となっていますが、昨今の社会経済情勢から「下降」に転じる可能性は濃厚だと見るべきです。そこでお尋ねします。
 本市は、原油・原材料高騰対策特別枠等の融資を行っていますが、景気動向によっては融資要件と対象の緩和、12月末までの新型コロナ対応サポート資金の取扱期間の延長など、融資を進める上での柔軟な対応が求められると思いますが、認識を伺います。
 また、本市の2021年度中小企業等への融資実績を見ますと、従業員が5人以下の事業者に対する融資件数の割合は49%、金額の割合は34%でした。
 さらに、従業員数が6人以上20人以下の事業者を対象とした融資は、件数で34%、金額で38%を占めています。
 これらを合わせますと、従業者数が20人以下という比較的小規模な事業者が、中小企業等への融資実績全体において、件数で8割、金額で7割以上を占めています。
 当然、経営を維持する上で、事業者が必要とする融資には応えるべきですが、過剰債務は、企業の倒産・廃業に繋がる懸念があります。経営規模が小さく、体力の乏しい個人事業主を含む小規模事業者では尚更です。
 小規模企業に対する固定費補助や返済猶予など、本市独自の支援策が必要だと思いますが、いかがか認識を伺います。
 質問の第2は、インボイス制度の導入による事業者への影響についてです。
 消費税が導入された時には、課税売上高が3千万円までの事業者は、営業利益が少ないため、消費税の負担の無い免税業者でした。しかし、その後政府は、免税の対象業者を売上高1千万円まで引下げ、多くの免税業者に消費税の負担を強いる課税業者にしてきました。
 国による消費税の税率増に加え、そもそも売上高の少ない免税業者を課税業者に転換してきたことが、本市の中小・小規模企業の体力と希望を奪ってきました。
 来年10月からインボイス制度が導入されると、課税業者が消費税の負担の無い免税業者から仕入れを行った場合には税額控除が認められなくなり、課税業者の納税額は増えることになります。
 その結果、免税業者は取引先から取引の停止、或いは消費税分の値引きを迫られることになり、インボイスの導入は、消費税の負担の無い免税業者にも事実上、消費税を負担させる仕組みとなります。
 そこで、昨年の3定代表質問で、インボイス制度の導入に伴う市内中小零細事業者への影響の認識などを取り上げましたが、本市は、制度の実施目的と円滑な運用のための経過措置などを説明する答弁にとどまり、わが会派の質問に対して、まともにご答弁を頂けませんでした。あらためてお尋ねします。
 インボイス制度の導入による市内の中小零細事業者への影響をどのように認識されているのか、市内経済の衰退につながる懸念は無いのか、見解を伺います。
 この制度の内容が各事業者に周知されるにつれ、先月15日には、西田敏行氏が理事長を務める日本俳優連合が、制度施行の中止を求める声明を発表し、その翌日に、声優やアニメ、演劇や漫画業界の各有志団体は、コロナ禍で「ただでさえ虫の息のところ、とどめの一撃になる」などと訴え、インボイスに反対97%の実態調査結果を公表しました。
 その他、出版・映像など、様々な業種に及ぶエンターテイメント業界や各分野のクリエイターからインボイスに反対する声明が続々と上がっています。
 本市では2014年に「映像のまち条例」が制定され、その実現に向け「地域資源映像化補助金」「映像クリエイター支援補助金」など、映像制作に係る経費の一部の補助や新たなビジネスを生み出す場を提供する「No Maps」の開催を支援しています。
 いずれも新たな産業を支える人材の育成と関連産業の振興を期待する補助だと考えますが、インボイスの導入は、これらの産業振興に深刻な影響を及ぼすと思いますが、本市の認識を伺います。

 次は、公契約のあり方と課題についてです。
 公契約とは、自治体の事業を民間企業等に発注・委託する際に結ぶ契約で、公共施設の建設、管理運営、清掃、児童クラブなどの事業が対象です。市民の生活に密着している多くの事業が「公契約」として民間委託の対象となっています。
 公契約は、地元企業の経営と人材育成や働く人への賃金にも大きく関わることから、市の公契約のあり方が問われていると考えます。
 質問の第1は、本市が行った「労働者賃金実態調査」の認識と課題についてです。
 本市は2020年から「工事請負契約に係る労働者賃金実態調査」を実施しています。調査対象は設計金額3億円以上の土木と営繕系工事です。土木系工種4件、営繕系工種6件、21年度はそれぞれ5件ずつとなっており、それらの工事に関わる受注者、下請負人の労働者に対し10月中に支払われた賃金を調査しています。この調査によりますと、賃金の平均額は、1,871円で北海道地区の設計労務単価より24.4%低く、大工、とび工、鉄筋工、型わく工など、全ての職種で設計労務単価を下回る結果でした。
 そこで質問しますが、本市の発注する事業において、働く労働者の賃金が人件費の基準となる設計労務単価より低い傾向は改められなければならないと考えるがいかがか。また、実態調査ですが、2020年度は214社に依頼して141社、2021年度は187社に依頼して122社からの回答をいただいております。今後の施策に活かすためには、より多くの会社に調査に協力してもらう必要があると考えますがいかがか伺います。
 質問の第2は、指定管理者制度についてです。
 本市の「指定管理者制度に関するガイドライン」では、指定手続きは「公募が原則」であり、非公募は「限定的に運用する必要がある」となっています。しかし公募は減り、非公募が増えています。今議会に提案された指定管理者の一斉更新では、非公募が公募の2倍以上になっています。公の施設という性質である以上、専門性や継続性が求められることから非公募が増えるのは当然と考えます。
 指定管理者制度は、「行政サービスの質の向上を目指す」と導入されたものですが、2011年閣議後の記者会見で当時の総務大臣は「指定管理者制度によって、自治体が自ら非正規化を進め、官製ワーキングプアを大量に作ってしまった」と述べています。本市でも指定管理者施設で働く労働者の3人に2人が非正規労働である割合が10年以上続いています。導入から15年たちますが、「行政サービスの質の向上」どころか、不安定で賃金の安い働き方が慢性化しており、制度の見直しが必要であると、思います。
 直営化の検討をはじめるべきと思いますがいかがか伺います。
 第3回定例議会で、わが党の質問に対し、副市長は「指定管理施設において、従業員の賃金水準が確保されることは重要」と認識を示しながら、「選定時に一定以上の賃金を支払う者に加点する仕組みを設けている」と答弁しました。
 しかし、この加点では必ずしも賃上げに繋がっていないことから、指定管理施設で賃上げを実現するため、賃金スライドの導入が必要と思いますがいかがか伺います。
 賃金スライド導入の際には、選定時などの工夫で、労働者の賃金に反映されるようなしくみを検討する必要があると思いますが、いかがか伺います。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 質問の第1は、10月から導入された病床確保料の「減額調整」の影響についてです。
 国は、新型コロナウイルス感染症の重症患者を受け入れるためにすぐ対応できる「即応病床」を医療機関が確保する場合、「病床確保料」として、平常であれば得られるはずであった入院収入分としての補助を医療機関に行っています。厚生労働省は、10月から、重点医療機関で「即応病床」の使用率が半年平均で50%を下回る場合に、病床確保料を減額する「減額調整」を導入しました。
 使用率の分母となる病床数を増やせば、使用率は下がることになり、細かい調整が必要となります。感染者が少ない時期には「即応病床」を減らさなければなりませんが、病床の増減は、看護師等の職員配置の変更が伴うため、容易ではありません。また、急激に感染が拡大した場合、要請に応じて病床を増やしても、従事する職員やその家族にも感染が広がり出勤できないなど、人材確保が難しい事態も生じます。
 本市での確保病床の使用率は、30%台となった3月以降減少し、7月末に再び増加となったものの、第7波の最大時となる8月も48%を超える程度で、9月には減少に転じました。この半年間を見ると50%維持とならない病院が大半ということになります。第8波である11月8日時点では45.6%ですが、すでに入院調整が厳しく、救急搬送困難事例も増加しています。11月末には、本市が集計する実質的な病床使用率は9割以上となっているにも関わらず、厚生労働省の即応病床の基準に合わせると、約59%となり、実態からかけ離れた基準であると言えます。
 ある重点医療機関は46床の確保病床を持っていますが、新たに導入された減額調整に該当した場合、これまで得ていた「病床確保料」が半分以下に減ると試算しています。
 全国知事会は、国への緊急要望で「病床を多く確保している病院で大幅な減額となる可能性がある」と指摘し、地域や医療機関に応じた柔軟な対応を求めています。
 病床確保料の支給要件を厳格化する「減額調整」により、すでに長期間コロナ禍で疲弊している医療現場に対し、さらなる負荷をかけることになると考えますが、本市の認識を伺います。また、コロナ病床の減少につながりかねない懸念があることから、国に対し、さらに強く要望すべきだと考えますがいかがか。減額調整をやめ、実態に合わせた補助要件とすべきですが、いかがお考えか、伺います。
 質問の第2は、全数把握見直し以降の対応についてです。
 第3回定例会の代表質問で、国の全数把握の見直しは、感染状況を正確に把握することができず、早期発見という原則を根本から覆すものであることを指摘しました。本市の対応をうかがったところ、副市長は、「迅速な入院調整を行っており、今後も発生届の有無にかかわらず必要な医療を提供する体制を継続していく」旨をお答えになっております。しかし、その後も感染は拡大しており、自宅療養中に悪化した場合の、対応の遅れなどの懸念はぬぐえません。
 日本集中治療学会の全国調査によると、3月から8月に酸素投与が必要な中等症以上で入院した20歳未満220人のうち、150人に基礎疾患がなかったことがわかりました。
 小学生以下の子どもが90%以上を占めており、最も多いのは急性脳症(きゅうせいのうしょう)で26%、熱性けいれんが16.8%となっています。
 また、国立感染症研究所によると、1月から8月に亡くなった20歳未満の29人のうち15人に基礎疾患がなく、病院到着時には発熱・意識障害が多かったことが報告されています。これらのことは、若くて基礎疾患がない人であっても重症化する恐れがあることを示しています。
 市内では、40度近い発熱があり、抗原検査キットで陽性と判定が出たため発熱外来に電話をしても、電話が通じない、現場では患者があふれているなど、簡単には受診ができない状況が、私どものところにも報告されています。
 国の全数把握の見直しにより、容態が急変しても入院調整などに時間がかかり、対応が遅れる懸念が拭えない事態が続いていると考えますが、本市では、そうした問題は生じていないのか、改めてお伺いいたします。
 質問の第3は、PCR検査体制についてです。
 重症化リスクが高いとされる65歳以上の方や、基礎疾患のある方以外は、症状があっても発熱外来への受診を控え、抗原検査キットで検査することが推奨されています。
 しかし、抗原検査キットの場合は、短時間で判定できるという利点はあるものの、ウイルスが持つ特有のたんぱく質を測定するため、抗原検査キットでは陰性と判定されても、PCR検査では陽性という例も少なくなく、3割から4割程度は偽陰性だといわれています。ウイルスそのものをつかまえて正確に判定できるPCR検査は欠かせないと考えます。
 政府の「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」では、重症化リスクが低い人が発熱し、自己検査によって陰性と判定が出た場合には、電話やオンラインによる診療を活用する方針を打ち出しました。
 しかし、日本医師会の釜萢(かまやち)理事は「オンライン診療でインフルエンザと診断し、処方するのは極めて困難」であり、直接の受診が望ましい、と指摘しています。
 抗インフルエンザ薬を有効に投薬するには、発症から48時間以内、コロナ治療薬等は1日でも早いタイミング、とされています。医療現場では、迅速で正確な診察・診断が求められますが、発熱外来を実施している医療機関には個人病院も多く含まれ、検査機関を持たない病院がほとんどです。発熱の原因がインフルエンザなのか、新型コロナウイルスなのかを調べるためには検査が必要ですが、検査機関に判定等を依頼するにも人手や時間、外注費がかかるため、その経費や人材確保が課題となり、発熱外来の実施が困難な要因になっています。
 本市がPCR検査体制を構築して発熱外来等を支え、インフルエンザとの同時流行に備えるべきだと考えますが、いかがか。病院が休診となる土日や夜間などの重点化も含め、必要な治療や投薬につなげるよう、医療機関と連携して実施すべきですが、いかがか伺います。
 質問の第4は、介護入所施設の感染対策についてです。
 1点目は、クラスターを発生させないための環境整備についてです。
 本市の70歳以上の陽性者数に対する死亡率は約4%と高く、介護入所施設や病院等でのクラスターの多さが要因の一つと指摘されています。クラスターは、今年7月と8月の2カ月では189件でしたが、11月ひと月で155件となっています。コロナ感染により亡くなられた方の数は、7月から10月の4カ月間で198人が、11月ひと月だけで220人と、大幅に増えています。
 市内には、一部屋に4人などの「多床室」のユニット型を取り入れている高齢者施設もあり、エアロゾル感染対策を徹底し、クラスターを防ぐことが重要だと考えます。窓を開けた換気では室温が下がるため、熱交換型の換気設備が望ましく、設置を推進すべきではないかと考えますがいかがか。施設での換気設備の整備状況を調査しながら、必要な手立てを検討すべきですが、いかがか伺います。
 2点目は、本市のクラスター対応についてです。
 2020年4月に、北区にある介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」で新型コロナウイルスによる集団感染が起こりました。高齢者は、医療と介護の両方を必要とする方が多く、感染が発生した場合、施設での迅速な対応とともに、保健所の手厚い支援が必要です。
 高齢者施設でなおクラスターが発生する現状に対し、本市はどのように支援を行っているのか、必要な医療への連携がどのように行われているのか、具体的な対応について伺います。

 次は、コロナ禍の自粛による高齢者への影響についてです。
 コロナ禍での活動自粛の長期化に伴い、外出もままならず、家に閉じこもることや、介護サービスを受けずに生活していた高齢者の心身への影響、いわゆる「コロナフレイル」が懸念されています。
 厚生労働省が2020年度に実施した老人保健健康増進等事業による調査では、コロナ禍前後で「外出の機会が減少した人」が17.6ポイント、「これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった人」が5.7ポイント増加する結果が見られ、全国的な課題として取り上げられ、また、コロナ禍の長期化により高齢者への影響はさらに大きくなっていることが懸念されます。
 コロナ禍で日常生活のあり方が変容し、活動制限が緩和されてもなお不安を感じ、感染予防のために自主的に活動を控える高齢者は少なくありません。将来的に重症化を予防するためにも本市として中長期的な対策をとることが必要ですが、本市の高齢者への影響をどのように把握し、また、それを踏まえたフレイル対策をどのように講じていくのか伺います。

 次は、子育て世帯の支援についてです。
 質問の第1は、学校給食費の無償化についてです。
 第3回定例議会で、わが会派の「子育て支援策としての給食費無償化」を求めた代表質問に対し、教育長は「学校給食は施設、整備、運営等の経費を公費で負担し、食材費のみを保護者の皆様にご負担いただいているところ。生活困窮者世帯に対しては、就学援助制度等で給食費を支援しており、これ以上の公費負担は難しいものと考えている」と答弁されました。
 「食材費は保護者負担」というのは、学校給食法第11条に基づくものと思いますが、それは「給食費を無償にしない」というものではありません。文科省は2018年の文教科学委員会で「学校給食法第11条は給食費の補助を禁止する意図はなく、自治体の判断での全額補助を否定していない」と答弁し、今国会で岸田首相も同様の答弁をしています。
 この国会答弁は、自治体の裁量権を否定していない、つまり市長が決断をすれば、給食費の無償化はできるということですが、本市の受け止めを伺います。
 今年4月文科省から各自治体にむけた「食材高騰による保護者負担の軽減のために、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用を可能とする」という事務連絡がありました。本市は、この交付金を活用し給食費の値上げを防ぐため食材費の値上がり分への対策を取りましたが、全国ではさらに、8割を超える自治体が学校給食費の負担軽減や無償化に乗り出しています。
 ところが本市教育委員会は「2023年度以降、給食費の値上げを検討している」と報道されました。本市はコロナ感染が拡大し始めた2020年4月に給食費の値上げをしたばかりです。全国では「物価高騰に苦しむ子育て世帯の経済的負担を少しでも軽減できないか」という考えから、無償化に乗り出しているのですが、本市はそのような考えをおもちにならないのか、とても残念に思うところです。
 本市に、今求められているのは値上げの検討ではなく、負担の軽減です。
 保護者からは「毎月の家計からの支出を抑えられるので、給食費の無償化は助かる。ぜひ実施してもらいたい」と、期待の声が上がっています。
 「だれもが安心して子育てできるまち」「子どもが幸せに過ごすことができるまち」を目指す本市は、もっと子育てに優しい施策を実現すべきです。子育て世帯の経済的負担を減らすため、給食費の無償化を行うべきと考えますがいかがか伺います。
 質問の第2は、就学援助制度の拡大についてです。
 本市が行った「子どもの生活実態調査」では「生活は黒字でも赤字でもなくギリギリである」と回答した世帯が、全体の35%になります。そこに追い打ちをかけるように物価高騰が家計を直撃、消費に占める生活必需品の割合が多い所得の低い世帯ほど、負担増が生活に重くのしかかっています。
 そのような中で子育てしていることを踏まえると、就学援助制度を多くの世帯に活用してもらうことは重要です。
 しかし、本市の就学援助制度の基準は、所得が生活保護水準の1.1倍と低く、2020年度は小学校で13%、中学校で15%の受給率に留まっています。
 必要とする世帯が制度を利用できるよう、就学援助の対象基準は思い切った拡大が必要であると思いますがいかがか伺います。

 次は、市営住宅についてです。
 質問の第1は、市営住宅の役割についてです。
 本市の市営住宅の現状は、依然、公募戸数に対し応募申込が多いという状況が続いています。
 2019年度は、公募戸数1,338戸に対し応募者数は11,482名。2020年度は907戸に対し10,667名が応募していますので、倍率は12倍です。このような状況が改善されないままですから、応募した市民からは「何度申込んでも入れない」という怒りと落胆の声が上がっています。応募申込に対して、公募戸数が1割に満たないというこの状況を、本市はどのようにとらえているのか伺います。
 本市の住宅マスタープランでは、市営住宅を建替える際の戸数を、新たな入居需要に対応するものではなく、現在の入居者が引き続き住むことを基本の考え方としているため、建替えのたびに戸数が減り、応募倍率が高くなるということが繰り返されているのです。
 2019年からは借上市営住宅の用途廃止を開始しており、さらに狭き門となっています。
 市営住宅は、民間住宅にはない「家賃減免制度」がある住宅です。賃金や年金が少なく生活が困難な場合、節約をして暮らしても、家賃は固定費であるため、市住に入居できない人は節約ができません。家賃を払って食事や暖房を辛抱する方がいるといっても過言ではありません。
 本市は、低額所得者に対し、低廉な家賃で住宅を賃貸し、生活の安定を図るという市営住宅の役割を果たせていないと思いますが、どのようにお考えか伺います。
 質問の第2は、計画的な修繕による募集戸数の拡大についてです。
 「市営住宅に空き家があるけれど、なぜ入居できないのか」と聞かれることがあります。当然の疑問ではないでしょうか。本市には事故空き家や政策空き家を除いて、一般空き家が10月末時点で2730戸ありました。修繕されないまま空き家になっているところも多くあります。
 入居者が退去したあと、修繕をして募集をかけるというスケジュールですが、募集戸数を増やし多くの方が入居できるよう、修繕を早めるという努力はできないのか伺います。

 最後に市営住宅月寒団地の余剰地の活用についてです。
 市営住宅の高層化による建替えに伴い月寒F団地には約600坪の余剰地が産まれました。地下鉄東豊線の月寒中央駅からも近く利便性の高い土地です。区民からは、余剰地は「冬場の一時的な雪置き場や公園で活用したい」或いは「高齢者施設を建ててほしい」等の要望が区役所に出されていました。しかし、市からは、「土地の利用について庁内照会したが利用希望がなかった」として売却することが回答されたという事です。
 庁内照会のみで判断するのではなく、もう少し時間をかけて、住民の願いに応えた余剰地の活用を検討することが必要だったと考えます。
 そこで、今後実施される市営住宅月寒A団地からE団地の建替えにおいても、高層化に伴い広範囲の余剰地が発生することが予想され、地下鉄に近い等、利便性もよく、再開発の構想も広がる可能性があります。
 余剰地の活用については、地域住民はもちろん町内会や商店街などの意向を充分確認した進め方とすべきですがいかがか伺います。

 以上で私の質問のすべてを終了します。ご清聴ありがとうございました。

 

秋元市長 答弁

 全体で9項目ご質問をいただきました。私からは大きな1項目、私の政治姿勢についてと、2項目2030冬季オリパラ招致についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、石川副市長、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に私の政治姿勢についてのご質問のうち、1項目の介護保険制度についてお答えをいたします。国におきましては、介護保険制度の持続可能性を高めるため、介護サービスの給付や利用者負担のあり方について様々な角度から議論を重ねてきたものと認識をしております。給付や負担の見直しは、サービス水準の低下やサービスを利用する高齢者の負担の増大に繋がりそれによる利用控えも懸念されるため、国における議論の推移をしっかりと注視していく必要があるものと考えており、今後も必要な方が必要なサービスを受けられる制度設計がなされるよう、引き続き国に慎重な議論を求めてまいりたいと考えております。
 次に政治姿勢についての2項目、地域交流拠点形成と官民連携についてお答えをいたします。地域交流拠点清田では、区役所周辺における恒常的な賑わい交流の創出を目指し、区民や地元企業などによるワークショップでの意見や町内会や各種団体で構成される清田まちづくり区民会議からの要望を踏まえて、具体的な取り組みを検討しているところであります。一方で、拠点清田周辺にはまだ新しい建物が多く、当面は建て替え更新が見通せず、機能集積には一定の時間がかかる状況にあるため、拠点清田の補完に向けて平岡3条5丁目地区におきましては、イオン北海道が区民会議からの要望などを踏まえながら、地域のイベントに活用できる広場やホールの整備などを検討しているところであります。清田、平岡両地区とも、その検討に際しましては、区民会議の方々をはじめ、様々な区民に参加をいただきながら進めているところでもあり、このような状況を踏まえますと、区民からも一定の理解を得ているものと認識をしております。
 また、地下鉄東豊線の清田方面の延伸につきましては、将来需要が重要でありますことから、札幌ドーム周辺の具体的な計画が定まった状況の中で、改めて地下鉄東豊線の利用者数の推計などを踏まえ、事業採算性の検証を行う考えであります。
 次に大きな2項目、2030冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。まず、IOC、将来開催地冬季委員会への報告内容についてでありますが、先月23日に開催をされましたIOC将来開催地冬季委員会に対し、札幌市が本年3月に行った意向調査の概要や出前講座などの市民との対話の機会において、大会の開催意義の理解促進に積極的に取り組んでいることなどを報告いたしました。
 また、報告の冒頭、JOC山下会長から東京2020大会の汚職事件を受け、大規模な国際大会の運営の透明性公正化を図るためのプロジェクトチームを立ち上げ、2月末をめどにガイドラインの策定を進めていることを併せて報告をしたところであります。
 次に、JOC山下会長の評価ということでありますけれども、JOCの山下会長は事件発覚後、私との連名で2030大会に向け、大会の組織および運営面における改革に取り組んでいく決意を示す宣言をし、また先ほど将来開催地冬季委員会での報告内容でも触れさせていただいた通り、大規模大会の運営の透明化、公正化に向けた検討をスポーツ界全体に呼びかけるなど、一連の事案に危機感を持って主体的に取り組まれているものと認識をしております。
 次に、招致活動の中断についてというご質問でございますけれども、現在、東京2020大会の事案で損なわれた国際スポーツ大会のガバナンスの信頼回復に向け、スポーツ庁やJOCがガバナンス体制のあり方検討を進めており、2月には結果を公表の予定であります。札幌市といたしましても、このプロジェクトチームに積極的に参画をし、クリーンで新しい形のオリンピックパラリンピックについて検討を進めつつ、その内容を市民に丁寧に説明をし、理解促進に努めていく考えであります。私からは以上です。

町田副市長 答弁

 私からは大きな5項目、新型コロナウイルス感染症対策について、そして大きな6項目のコロナ禍のリスクによる高齢者の影響についてお答え申し上げます。
 5項目の新型コロナウイルス感染症対策についてのうちの1点目、10月から導入された病床確保料の減額調整の影響についてのご質問でございますが、11月21日付の国からの事務連絡におきまして、地域のコロナ病床確保に中核的な役割を果たす医療機関等につきましては、都道府県知事の判断で即応病床使用率に関わらず減額調整の対象としないことができる旨の方針が示されたところでございます。この方針も踏まえまして札幌市におけるコロナ病床の確保に支障が生ずることのないよう、北海道と協議してまいります。
 2点目、全数把握見直し以降の対応についてでございますが、札幌市では今年5月より国に先駆けて、陽性者サポートセンターを設置し、自宅療養中の健康相談を受け付ける体制をとってきたところでございます。健康相談により急変の恐れがあると判断された方については、発生届の有無に関わらず、看護師から積極的な健康観察を行い、必要な方には医師の判断のもと、速やかな入院調整を行っているところでございます。今後も医療機関との連携協力体制のもと、適切な入院調整が行えるよう努めてまいります。
 3点目、PCR検査体制についてのご質問でございますが、新型コロナとインフルエンザとの同時流行期には、重症化リスクの高い方などを早期治療に繋げるため、国は重症化リスクの低い方については、新型コロナ用抗原検査キットで自己検査していただくよう方針を示したところでございます。札幌市では現在もPCR検査体制を維持しておりますが、感染拡大時における発熱外来等の逼迫時に備えまして、より迅速に多数の検査結果が判明できます。抗原検査キットの配布体制も強化してきているところでございます。
 こうした対策につきましては、札幌市医師会や市内医療機関とも共有しており、今後も綿密に連携し必要な方の医療に繋げてまいりたいと考えるところでございます。
 4点目介護入所施設の感染対策についてでございますが、このうち1点目のクラスターを発生させないための環境整備についてでございますが、介護入所施設では全ての居室への窓を含む換気設備の設置が義務づけられているところではございますが、施設によっては風の抜けが悪い、あるいは関連により窓を開けることができない場合などなどもございます。その対応といたしまして、感染拡大リスク低減のための熱交換型を含めた換気設備装置への補助も実施しているところでございます。札幌市におきましては補助の情報提供を通して、換気の重要性などの周知のほか、相談にも応じることで総合的な感染症対策を促す取り組みを行っているところでございます。今後もコロナ感染症対策の徹底と感染症対策に係る環境整備への支援を実施してまいります。
 次に2点目の本市のクラスター対応についてでございますが、施設で陽性者が発生した場合は直接施設からご報告をいただき、報告、受領後速やかに施設に聞き取り調査等を実施しているところでございます。その結果を踏まえまして、必要なところへはゾーニング、方法等の助言や訪問対応を行っております。あわせて施設からの報告相談に基づきまして、看護師による陽性者の健康観察を行っており、主治医や協力医療機関との連携はもとより、主治医を持たない方にも病状に応じて往診外来診療、入院などの必要な医療に繋げているところでございます。
 次に大きな6項目、コロナの自粛による高齢者への影響についてのご質問でございますが、コロナ禍におきましては、感染対策を講じ、段階的に介護予防教室を再開してはいるものの不安を感じられる高齢者も一定数いることから、対面によらない多様な形態による支援も並行して実施しているところでございます。また、コロナ禍の収束が未だ見えない状況を受けまして、自粛生活の長期化による体調の変化はもちろん、気持ちや行動への影響を把握することも重要であると認識するところでございます。現在、札幌市高齢者支援計画2024策定に向け、高齢者等6500人を対象とした意識調査を実施しており、その中で高齢者の変化を明らかにし、中長期的なフレイル対策を計画に反映し取り組んでまいりたいと考えるところでございます。私から以上でございます。

吉岡副市長 答弁

 私からは8項目、市営住宅について、9項目、市営住宅月寒団地の用地の活用についての2項目についてお答えをいたします。まず8項目、市営住宅についてであります。最初に、市営住宅の役割についてでありますが、札幌市では、札幌市住宅マスタープランに基づき、低額所得者など住宅確保要配慮者の住居の安定を確保するため、民間賃貸住宅も含めた住宅セーフティネットの構築に努めているところであります。市営住宅はその中核をなすものでありますが、立地条件の良い場所へ人気が集中する傾向がある一方で、募集しても応募がなく、随時入居が可能な空き住戸も生じており、応募倍率の高さが必ずしも入居需要を表しているわけではないという状況にもございます。
 このようなことから、市営住宅につきましては、入居制度の運用を工夫するとともに、民間賃貸住宅の活用も図りながら、多様なニーズに対応した住まいの安定確保に努めてまいります。次に、計画的な修繕による募集戸数の拡大についてであります。市営住宅の提供に当たっては、近年、高齢入居者の福祉施設入所などにより退去者が増加していることもあり、修繕が追いついていない状況が一部に生じております。このため、入居希望者の多い定期総会を優先的に修繕するなど、効率的な整備に努めているところであり、引き続き、できるだけ多くの方が入居できるよう着実に進めてまいります。
 次に9項目目、市営住宅、月寒団地の余剰地の価値、活用についてであります。月寒団地を含む月寒駅周辺につきましては、第2次札幌市都市計画マスタープランにおいて、地域の豊かな生活を支える中心的役割を担う地域交流拠点に位置付けており、生活利便サービスの提供や賑わいの創出などを、拠点にふさわしい都市機能の集積を官民連携により図ることとしております。月寒A団地からB団地をどのように建て替えるかにつきましては現在検討中でありますが、敷地全体で6.4ヘクタールを有しますことから1.3ヘクタールであったF団地の跡地よりもまとまった規模の余剰地が発生する見込みであります。そのため、地域交流拠点にふさわしい土地利用が図られるよう、地域住民の皆様や事業者などの意向の把握と反映にも留意しながら検討を深めてまいります。私からは以上でございます。

石川副市長 答弁

 私からは大きな3項目、市内経済について、そして大きな4項目目、契約のあり方と課題についてお答えを申し上げます。まずは大きな3項目、市内経済についてであります。1点目の中小企業に対する柔軟な融資と小規模企業を倒産廃業させない独自支援策についてでありますけれども、札幌市といたしましては、これまでも新型コロナ対応関連資金や原油、原材料高騰等対策資金など、低利の融資制度を適宜創設し、信用保証料の補給と合わせて事業者の資金調達を支援してきたところであります。
 新型コロナ対応サポート資金につきましては、令和5年3月まで延長することとしておりまして、今後も景気動向や社会情勢を踏まえて融資制度を柔軟に運用してまいります。なお、札幌市独自の支援策の実施に当たりましては、今後の持続可能な財政運営を踏まえますと、国による追加の財政措置が必要不可欠であり、国の動向を見極めつつ、引き続き、あらゆる機会を通じて国に要望いたしますとともに、市内事業者の状況に応じて市として実施すべき取り組みについて対処してまいります。
 続いて2点目のインボイス制度の導入による事業者への影響についてであります。現在、国におきまして、制度の円滑な導入を目指すため、免税事業者からの仕入れに係る控除の特例に関する経過措置期間に加え、小規模事業者の負担軽減策の検討が行われているものと承知をいたしております。インボイス制度の導入に関しましては、国政の場において、適正な課税制度の運用、事業者の負担等を踏まえつつ、広く議論されるべきものと認識をいたしております。札幌市といたしましては、市内事業者に制度の内容を正しく理解していただくことが重要でありますことから、経済団体などと連携したセミナーの開催や中小企業支援センターなどで経営相談に応じているところであります。
 続きまして、大きな4項目、契約のあり方と課題についてであります。まず1点目の本市が行った労働者賃金実態調査の認識と課題についてであります。最初に設計労務単価との乖離についてでありますけれども、設計労務単価は積算上使用する単価ではありますが、工事現場で働く労働者につきましては、設計労務単価を踏まえ、経験や技能に応じた適正な賃金が支給されることが望ましいものと認識をいたしております。現状におきましては、同様の調査を実施する他都市の状況を見ましても、本市と同程度の水準になっておりますことから、本市の調査結果が特段低いものではないと受け止めているところであります。
 次に調査対象工事の拡大についてでありますけれども、賃金実態調査は、対象工事に限定した賃金支払状況の確認と入札契約制度改善の基礎資料と位置づけておりまして、現在のサンプル数に不足はないものと考えているところであります。引き続き事業者の協力を得ながら、サンプルとして得られる職種に偏りが生じないよう、対象工事の選定に留意しつつ、調査を継続してまいりたいと考えております。
 続きまして2点目の指定管理者制度についてであります。最初に直営化の検討についてでありますが、これまでも、公共施設の運営に当たりましては、円山動物園をはじめとした直営を含め、施設の機能や位置づけ、さらには利用者の状況を踏まえまして、運営形態を選択してきたところではありますが、今後も働く職員の適正な労働環境に配慮しつつ、最適な運営手法を見極めてまいりたいと考えております。
 次に賃金スライドの導入につきましては、昨今の社会経済情勢を踏まえ、賃金水準の上昇を担保する新たな制度の構築など、指定管理施設における労働環境の向上を後押しできる取り組みを検討してまいります。私からは以上であります。

木田教育長 答弁

 私からは大きな7項目、子育て世帯の支援についてお答えをいたします。まず1点目学校給食費の無償化に関わりまして、学校給食費の無償化に対する受けとめと支援についてお答えをいたします。学校給食は施設整備運営等の経費を公費で負担をしておりまして、食材費のみを保護者の皆様から給食費としてご負担をいただくものと認識をしております。子育て世帯における学校給食費の負担軽減はこれまでも就学援助制度等で実施をしてきておりまして、これ以上の支援は現時点では難しいものと考えているところでございます。
 次に2点目、就学援助制度の拡大についてでありますけれども、就学援助については、現行の基準により、援助を必要とする家庭に行き渡っているものと認識をしておりますが、今後必要に応じて検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

池田議員 再質問

 オリパラ招致について再質問をいたします。代表質問で、先ほど2020東京オリンピック・パラリンピックを巡っての汚職問題、談合問題を取り上げて、開催時期の延長も視野に、招致活動の歩みをいったん中断するべきとお聞きをいたしました。市長はガバナンスのあり方検討をしながら、その中身を2月に公表されること、そしてクリーンで新しい取り組みとしていくことを、市民に丁寧に説明して理解してもらうように努めていくと、こういった答弁がされておりました。私はどんなに丁寧に説明しても、汚職問題、そして談合問題がなぜ起こったのか、なぜ止められなかったのか、こういうことが明らかにならなければ、ガバナンスのあり方も見えてこないのではないかというふうに思うわけです。このまま招致活動を進めることに市民の理解や賛同は到底得られるものではない、そのように思っているところです。そしてさらに、反対の市民の思いが広がっていくのではないのかというふうに思います。さらに、12月1日に組織委員会の橋本聖子元会長が2020東京オリンピックを巡る談合事件を受けて、2030年冬季大会の札幌への招致は非常に厳しいとの認識を示しています。
 状況は刻々と変化し、招致の難しさが浮き彫りとなっていると考えますが、そこで再質問ですが、市長は組織委員会の橋本聖子元会長の発言も含め、現状をどのように受けとめておられるのか伺います。

秋元市長 答弁

 東京2020大会を巡る贈収賄の事件、それから今回の談合の疑いというようなことが大きく報道されております。そういう意味では、本来的にはこの2030年招致と2020年の大会の運営とは別なものではありますけれども、オリンピック・パラリンピックの開催招致というようなことに、影響が大きくある事柄であります。そういう意味では今スポーツ庁がその2030の招致のみならず、日本で今後開催をする国際的なスポーツ大会の運営、これをしっかりと公正性あるいは透明性の確保されたものにしていかなければいけないということで、今検討を進めているわけであります。当然のことながら、なぜこの2020大会のどういうところに問題があって課題があって、それをどのように対応していくべきなのかということが検討されるわけでありますので、今ご質問にあったようにそういう原因あるいは課題というものを明らかにしつつ、対応策を考えていくということであります。したがいましてそのことを明らかにしていくことで、ご理解をいただいていくという考え方を進めているという状況であります。以上です。

池田議員 再々質問

 今の答弁で、2030、そして2020と合わせて、承知という意味では大きく関係があると、この汚職問題などが問題になっているということのお話がありました。そういったことを明らかにしていくのだという答弁もありました。しかし、私はこの日本で今起こった2020の東京2020で起きた汚職問題や談合問題、これは日本だけの問題ではなく世界で今大きく問題となっている。そして今、それをどうしていくのかという、そういう焦点がそこに当てられているのかなというふうに思うところであります。
 12月6日、IOCがスイスで理事会を開き、札幌市が招致を目指している2030年の冬のオリンピックの開催地の決定を、当初予定していた来年の総会よりも後に先送りをすることを決めたと、そういうことが報じられております。このことは2030年冬季オリパラの開催地決定を、来年秋の第140回IOC総会よりも後に先送りするということです。市長もこのことは承知しているというふうに思うんですけれども。このIOCの決定を承知していても市長はそれでもなお開催時期の延長を検討せず、2030年への招致を進めていくおつもりなのか、最後に改めて伺います。

秋元市長 答弁

 先ほどもお答えをさせていただいた通り、東京大会2020大会で起きた事柄でこのことをしっかりと検証してそれに対する対応策を作っていかなければ、これから2030年の招致のみならず、日本で行われるいろいろな国際大会スポーツ大会、この運営がですねやはり信頼をされていかないと、そこに問題があるわけでありますので、この東京大会のいろいろな課題、原因でそれをどのようにクリーンな大会に、透明性、公正性を確保していくのかということを議論をしていきましょうということであります。まずは、このことをしっかり受け止めて、そのことを明らかにした状態の中で、市民の皆さんのご理解を得て行くと、そういうプロセスを踏んでいかなければいけないと、このように思っております。